JPH0555070U - 車輪用軸受の回転速度検出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車輪用軸受の軌道輪に取付けたパルサーリン
グと回転センサにより回転速度を検出する装置におい
て、回転センサ取付部のコンパクト化と、シール性能の
向上を図る。 【構成】 回転する外輪２にパルサーリング６を取付
け、固定の内輪３にリング８を圧入し、その圧入リング
８に、回転センサの検出部１５が埋設するセンサ格納部
１１を一体に形成する。外輪２に取付けたシール部材２
２のシールリップ２６、２７を、圧入リング８に形成し
たシール面２８、２９に摺接させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、自動車等の車輪を支持する車輪用軸受の回転速度検出装置に関す る。

【０００２】

【従来の技術】

アンチロックブレーキシステム等を備えた自動車においては、車輪の回転速度 を正確に検出する必要があるために、車輪を回転自在に支持する軸受の軌道輪に 、パルサーリングと回転センサを取付け、パルサーリングの回転に伴う磁気変化 により回転速度を検出する方法がとられている。

【０００３】 上記の回転速度検出装置では、自動車の外部に露出するパルサーリングや回転 センサに対して、石等の衝突や泥水の浸入を防止する構造が必要になるが、この ような防護機能を備えた装置として、本出願人が先に実願平２−１１５０４２号 により提案したものがある。

【０００４】 この提案の装置は、図７及び図８に示すように、車輪用軸受の回転側軌道輪３ １にパルサーリング３３を、固定側軌道輪３２に圧入リング３４をそれぞれ取付 け、圧入リング３４の外面に回転センサ３５をねじ止めし、その回転センサ３５ の検出部３６をリング３４に形成した孔３７に挿入している。

【０００５】 また、圧入リング３４と回転側軌道輪３１の間にシール部材３８を設け、その シール部材３８によりパルサーリング３３を外部から遮断している。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記提案の装置においては、圧入リング３４と回転センサ３５ を別体としているため、組付けのための部品点数が多くなると共に、回転センサ ３５の検出部３６と圧入リング３４の間に、外部からの泥水等のシールする為の Ｏリングなどのシール材３９を組込む必要がある。

【０００７】 また、回転センサ３５の固定状態が車の振動等によって緩まないように、回転 センサ３５をリング３４に取付けるねじを、正確にトルクを管理して締め付ける 必要があり、作業性に問題がある。

【０００８】 さらに、上記の構造では、圧入リング３４の上に、シール部材３８のリップが 摺接するシールリング４０を取付けているため、圧入リング３４とシールリング ４０の間のシールが問題になると共に、シール部材３８を収納するための径スペ ースが小さくなる欠点がある。

【０００９】 そこで、この考案は、コンパクトな形状でシール構造の簡略化が図れると共に 、耐衝撃性と組付けの作業性に優れた回転速度検出装置を提供することを目的と している。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するため、この考案は、車輪用軸受の回転側軌道輪と固定側 軌道輪の対向面端部に、それぞれパルサーリングと圧入リングをパルサーリング が内側となるように取付け、上記圧入リングに、回転センサの検出部を樹脂層を 介して格納するセンサ格納部を一体に形成し、上記圧入リングの孔に挿入した回 転センサの検出素子を上記パルサーリングにすき間を介して対向させ、上記圧入 リングと回転側軌道輪の間をシール部材で密封した構造としたのである。

【００１１】 また、この考案は、他の手段として、上記圧入リングの表面を、シール部材の シールリップが摺接するシール面とした構造を採用したのである。

【００１２】

【作用】

上記の構造においては、回転側軌道輪が回転すると、パルサーリングが回転し 、そのパルサーリングの回転に伴う磁気変化が、回転センサの検出端部を介して 検出される。

【００１３】 上記構造では、圧入リングの内側に回転センサの検出器を格納したので、回転 センサに対するシールが省略できると共に、圧入リングに対する回転センサの組 付け作業が不要になる。

【００１４】 また、圧入リングの表面に直接シール部材を摺接させると、シール部材を収納 するスペースを大きくでき、かつシール性能を向上させることができる。

【００１５】

【実施例】

図１は、自動車に用いられる車輪用軸受を示し、図２は、その車輪用軸受に装 着される実施例の回転速度検出装置を示している。 車輪用軸受１は、図２に示すように外輪２と、内輪３と、その両輪２、３の間 に組込まれる転動体４とから成り、外輪２が車輪と連結して回転し、内輪３が固 定の車輪に支持されるようになっている。

【００１６】 上記外輪２の内径面の端部には、円筒面５が形成され、その円筒面５にパルサ ーリング６が圧入されている。このパルサーリング６は、Ｆｅ−Ｃｒ−Ｃｏ合金 等の圧延磁石から形成され、その内径側周面７に、Ｎ極とＳ極の磁極が周方向に 交互に形成されている。

【００１７】 一方、内輪３の外径面の端部には、金属製のリング８が圧入されている。この 圧入リング８は、図４に示すように、内輪３に圧入される円筒部９と、その円筒 部９から直角に立上がるフランジ１０とから成り、その周面の一部に、図２及び 図３に示すごとく箱形状をしたセンサ格納部１１が一体に形成されている。

【００１８】 上記センサ格納部１１は、圧入リング８に一体に形成される周壁１１ａ、１１ ｂおよび側壁１１ｃ、１１ｄと、その格納部１１の背面にねじ止めされる背面板 １２とから構成され、格納部１１の円筒部９の部分に、パルサーリング６に向か って開口する挿入孔１３が形成されている。また、このセンサ格納部１１の内部 には、密封及び緩衝材としての樹脂層１４が充填され、その樹脂層１４の内部に 回転センサの検出部１５が埋設されており、この検出部１５を構成するホール素 子又はＭＲ素子等の検出素子１６が、上記挿入孔１３の内部に挿入されている。

【００１９】 上記検出素子１６は、挿入孔１３の開口近傍に位置し、パルサーリング６に対 して所定のすき間１７を介して対向している。ここで、圧入リング８の内径面に は、内輪３に圧入する際のストッパとなる突起１８が形成され、この突起１８を 内輪３の端面に当接させて圧入リング８を取付けることにより、検出素子１６と パルサーリング６間のすき間１７が確実に設定されるようになっている。

【００２０】 また、図５に示すように、上記センサ格納部１１において回転センサの検出部 １５の埋設位置から円周方向にずれた位置に、検出部１５で検出した信号を外部 への電気信号に変換する信号処理回路基板１９が埋設されており、この回路基板 １９から出たリード線２０が、圧入リング８に連結したケーブル２１を通って外 部機器（図示省略）に接続されている。

【００２１】 また、上記外輪２の端面には、圧入リング８と外輪２との間のすき間を密封す るシール部材２２が取付けられている。このシール部材２２は、外輪２の外径面 端部に圧入される芯金２３と、その芯金２３と一体の弾性シール２４と、弾性シ ール２４を縮径方向に付勢するガータスプリング２５とから成り、弾性シール２ ４の内径面に設けたシールリップ２６が、ガータスプリング２５のバネ力によっ て圧入リング８の円筒部９外周のシール面２８に圧接している。また、弾性シー ル２４の側面には、側方に突出するサイドシールリップ２７が形成され、そのサ イドシールリップ２７が、圧入リング８のフランジ１０に形成されたシール面２ ９に摺接している。

【００２２】 この実施例は上述した構造から成り、車輪が回転すると、外輪２とパルサーリ ング６が回転し、そのパルサーリング６の回転に伴う磁気変化が、回転センサの 検出部１５で検出される。この検出された信号は、信号処理回路基板１９におい て外部への電気信号に変換され、外部機器に送られる。

【００２３】 上記の構造では、回転センサの検出部１５を圧入リング８の内部に格納したの で、回転センサと圧入リング８との間のシール構造が省略でき、回転センサと圧 入リングの組付け作業も不要にできる。

【００２４】 また、圧入リング８のセンサ格納部１１内部に、回転センサの検出部１５と信 号処理回路基板１９とを円周方向に配列して埋設したので、装置の軸方向寸法を 小さくできると共に、石や砂などの衝突による衝撃から回転センサを完全に防護 することができる。

【００２５】 さらに、シール部材２２のシールリップ２６、２７を圧入リング８のシール面 ２８、２９に直接摺接させ、シールリングを省略したので、径方向のスペースを 大きくとることができ、シール部材２２のシール性能を向上させることができる 。

【００２６】 図６は、他の実施例を示し、内輪側を回転させるようにした軸受への適用例を 示す。この例では、内輪３’の外径面にパルサーリング６’を取付け、固定の外 輪２’に圧入リング８’を取付け、その圧入リング８’に回転センサを格納する センサ格納部１１’を形成している。また、圧入リング８’の内周面に、シール 部材２２’を取付け、そのシール部材２２’のシールリップ２８’を、内輪３’ の内径面に摺接させている。なお、作用や他の構造については前述した実施例と 同様であり、同一の部品に同一の符号を付して説明を省略する。

【００２７】

【効果】

以上のように、この考案は、圧入リングの内側に回転センサを格納したので、 圧入リングに対する回転センサのシールや組付け作業を不要にでき、外部衝撃か ら回転センサを完全に防護することができる。したがって、装置のコンパクト化 とシール性能を向上させることができ、速度検出の信頼性を向上できる効果があ る。

【図面の簡単な説明】

【図１】車輪用軸受を示す断面図

【図２】実施例の回転速度検出装置を示す断面図

【図３】同上の回転センサ取付部を示す正面図

【図４】図３のIV−IV線の断面図

【図５】図３のＶ−Ｖ線の断面図

【図６】他の実施例を示す断面図

【図７】従来例を示す断面図

【図８】同上の正面図

【符号の説明】

１ 車輪用軸受 ２、２’ 外輪 ３、３’ 内輪 ６、６’ パルサーリング ８、８’ 圧入リング １１、１１’ センサ格納部 １３ 挿入孔 １４ 樹脂層 １５ 検出部 １６ 検出素子 １７ すき間 １９ 信号処理回路基板 ２２、２２’ シール部材 ２６、２７ シールリップ ２８、２８’、２９ シール面

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車輪用軸受の回転側軌道輪と固定側軌道
   輪の対向面端部に、それぞれパルサーリングと圧入リン
   グをパルサーリングが内側となるように取付け、上記圧
   入リングに、回転センサの検出部を樹脂層を介して格納
   するセンサ格納部を一体に形成し、上記圧入リングの孔
   に挿入した回転センサの検出素子を上記パルサーリング
   にすき間を介して対向させ、上記圧入リングと回転側軌
   道輪の間をシール部材で密封した車輪用軸受の回転速度
   検出装置。
2. 【請求項２】 上記圧入リングの表面を、シール部材の
   シールリップが摺接するシール面とした請求項１に記載
   の車輪用軸受の回転速度検出装置。