JPH0543682A - 透明なポリアミドの製造方法 - Google Patents

透明なポリアミドの製造方法

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JPH0543682A
JPH0543682A JP20049591A JP20049591A JPH0543682A JP H0543682 A JPH0543682 A JP H0543682A JP 20049591 A JP20049591 A JP 20049591A JP 20049591 A JP20049591 A JP 20049591A JP H0543682 A JPH0543682 A JP H0543682A
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JP
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polyamide
acid
temperature
reaction
bis
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JP20049591A
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Inventor
Toshio Kato
敏雄 加藤
Masatoshi Takagi
正利 高木
Taiji Kameoka
泰治 亀岡
Ryuji Haseyama
龍二 長谷山
Teruhiro Yamaguchi
彰宏 山口
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ジアミンとして特定な脂環族ジアミンを用い
ることにより、芳香族ポリアミドが本来有する優れた耐
熱性および加工性に加え、非晶質でガラス転移温度が高
く、また熱分解に対する安定性に優れ、しかも無色透明
な多目的用途に使用可能であるポリアミドおよびその製
造方法を提供する。 【構成】 2,5−又は2,6−ビス−アミノメチルノ
ルボルナンおよびその混合物と一般式(I) MOC−X−COM (I) (式中、Xはフェニル基、シクロヘキシル基および−
(CH2 m −で示されるアルキレン鎖でm=2〜10
の整数を表わし、Mは水酸基、ハロゲン原子または炭素
数1〜4のアルコキシ基を表わす。)で表わされる二塩
基酸またはその誘導体を重合させることを特徴とするポ
リアミドの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性を有する溶融成
形可能な非晶質の透明なポリアミドの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来技術】従来より芳香族ジアミン或は芳香族ジイソ
シアナートと、芳香族ジカルボン酸ジクロリド、または
芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸ジクロリ
ドまたは脂肪族ジカルボン酸及びその誘導体との反応に
より得られる各種ポリアミドは、種々の優れた物性や良
好な耐熱性のために、それらの特徴を生かしたポリアミ
ドが開発されている。特に耐熱性が要求される分野に広
く用いられることが期待されている。しかしながら従来
開発されてきた芳香族ポリアミドは、優れた機械特性、
耐熱性を有したものが多くあるものの、いづれも成形加
工性にとぼしくまた吸水率が高いという欠点を有してい
た。例えば下記式(II)(化1)
【0003】
【化1】 で表わされる様な基本骨格からなる全芳香族ポリアミド
(デュポン社製;商品名Kevlar)は、難燃性、耐
熱性や高強力・高弾性率等の優れた特性を有するもの
の、明瞭なガラス転移温度を有せず、熱分解温度が43
0℃程度であり加工温度と熱分解温度が近接しており、
成形材料として用いる場合には加工がむずかしく、湿式
紡糸法による繊維、又はパルプ等の分野に利用されてい
るにすぎない。そのため、それらの欠点を改良するため
脂肪族ジアミンあるいは脂肪族ジカルボン酸を用い、分
子鎖中に導入することにより成形性の改良を試みてい
る。例えば、脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸との
反応で得られるポリアミド、下記式(III)(化2)
【0004】
【化2】 で表わされる様な基本骨格からなる繰り返し構造の半分
が芳香族構造のポリアミドは、U.S.P271562
0号およびU.S.P2742496号により公知であ
る。これらのポリアミドは、高温における寸法安定性が
多くの用途に対して不充分であった。また、脂環族ジア
ミンと脂肪族ジカルボン酸との反応で得られるポリアミ
ドとしては、例えば下記式(IV)(化3)
【0005】
【化3】 で表わされる様な基本骨格からなる繰り返し構造の半分
が脂環構造から成るポリアミド(三菱互斯化学社製;商
品名RENY)はガラス転移温度93℃、融点 243℃を示
し酸素ガスバリヤー性に優れていることが報告されてい
る。一方、アミノ基が芳香族環に直結した芳香族ジアミ
ンと芳香族酸クロリドとの反応で得られるポリアミドと
しては、例えば、下記式(V)(化4)
【0006】
【化4】 で表わされる様な基本骨格からなる全芳香族ポリアミド
(デュポン社製;商品名Nomex)が知られている。
前述した式(II)(商品名Kevlar)は、P−配
向性のポリアミドである。式(V)で表わされるポリア
ミドは明瞭なガラス転移温度(Tg=280℃)を有
し、またTm490℃とかなり向上しているものの、流
動性を改良するために各種の添加剤を使用して加熱成形
も行われている。この場合、添加剤の使用に伴ない、成
形物の物性を損わない範囲内で加工性を改良させること
は困難であった。
【0007】一方、米国特許第2666748号および
2666780号には、ビス−アミノメチル−ノルボル
ナンの異性体を用い、アジピン酸またはテレフタル酸か
ら成るポリアミドが記載されている。ここで、アジピン
酸を用いて得られたポリアミドの融点は200℃で、ま
たテレフタル酸を用いて得られたポリアミドは融点が2
75℃の結晶性ポリアミドである。このように、得られ
たポリアミドは高い融点を持つものの、強度が小さいこ
とからその使用範囲が制限されるという欠点を有してい
た。また、一般にポリアミドの融点はシャープで、その
ため加工には便利である。しかしながら、融点の近くに
分解温度があるため、成形加工性ならびに透明性に欠け
るという欠点も有する。
【0008】一方、特公昭55−50054号では、上
記のポリアミドが高い融点を持つものの、強度が小さい
ことから使用範囲が制限されるという欠点を改善し、そ
の物性(強度)を向上させるために、他のジアミンから
成る塩と共重合を行なう方法が記載されている。すなわ
ち、ビス−アミノメチル−ノルボルナン異性体とイソフ
タル酸またはテレフタル酸から成る塩、と2−メチルペ
ンタメチレンジアミンとテレフタル酸から成る塩とを重
縮合させている。また、これらの塩とε−カプロラクタ
ムを用い加圧下で重縮合させることによって、透明なポ
リアミドを製造することを報告している。このようにし
て得られたポリアミドのガラス転移温度は173〜68
℃の範囲の値が記載されており、このポリアミドから得
られた成形物の衝撃強度は改善されていると記載されて
いるが、しかしこの方法は、2種類のジアミンから成る
塩を用いているため、当然、物性値はビス−アミノメチ
ルノルボルナン異性体のみを用いて得られたポリアミド
とは異なり、また、改良された点が明白に記載されてい
ない。
【0009】また、特開昭53−125497号では、
透明コポリアミドの製造法が記載されている。ここで
は、イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンとから成る
塩にイソフタル酸とビス−アミノメチルノルボルナンか
ら成る塩とを5〜18%モル添加し重縮合させることに
よって、ガラス転移温度を上げている。この方法は、ビ
ス−アミノメチル−ノルボルナン異性体を用いてはいる
が、その物の物性を改善するために、他のジアミン類と
併用したり、あるいはビス−アミノメチル−ノルボルナ
ン異性体を添加物として用いているに過ぎない。以上の
様に、出発原料である一方の原料、ジアミン類あるいは
二塩基酸を替えることによって、得られるポリアミドの
物性(ガラス転移温度、結晶性、非晶質性、熱分解温
等)を改良して、ポリアミド樹脂の加工性を向上させて
いるが、種々問題点を抱えていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、常圧
下に重合させて得られる脂環族ポリアミドが、芳香族ポ
リアミドに見られる耐熱性を具備し、加工性に優れた非
晶質で透明なポリアミドを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意検討した結果、ビス−アミノメチ
ルノルボルナン異性体と二塩基酸とから非晶質の透明な
ポリアミドを見い出した。即ち、本発明のポリアミド
は、ビス−アミノメチルノルボルナン異性体を含む混合
物と下記一般式(I) MOC−X−COM (I) (式中、Xはフェニル基、シクロヘキシル基および−
(CH2 m −で示されるアルキレン鎖でm=2〜10
の整数を表わし、Mは水酸基、ハロゲン原子または炭素
数1〜4のアルコキシ基を表わす。)で表わされる二塩
基酸またはその誘導体を常圧下に重合させて得られる透
明なポリアミドの製造方法である。また、本発明の方法
は、ビス−アミノメチルノルボルナンと二塩基酸との塩
を形成させた後、重合させる方法でもある。
【0012】本発明でジアミンとして用いられる2,5
−又は2,6−ビス−アミノメチルノルボルナンおよび
その混合物は、本発明者らが先に提案した方法に準じて
以下のようにして製造することができる。即ち、下記一
般式(VI)(化5)で表わされるノルボルナンジカル
ボニトリル類
【0013】
【化5】 (式中、X、Yは水素もしくはシアノ基であり、XとY
は同時には、同一でない。)を接触水素化用マーゲンに
有機カルボン酸存在下、酸化白金触媒を用いて、接触水
素化する。引き続き水素ガスを約40atmまで圧入
し、温度を80〜150℃の範囲で接触還元反応させ
る。水素ガスの吸収が停止すれば反応が終了する。反応
終了後、触媒を除去し、低真空で水、溶媒を留去し、続
いて高真空で蒸留することによって無色透明の液体留分
として得ることができる。
【0014】本発明でジアミンとの反応に使用される二
塩基酸又はその誘導体は、一般式(I)で表わされ、具
体的には、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、o
−フタル酸、コハク酸、グルタン酸、アジピン酸、ピメ
リン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデ
カン二酸、ヘキサヒドロフタル酸又は、それらの酸ハラ
イド又はエステル等の誘導体を用いることができる。ハ
ライドを構成するハロゲンとしては、F、Cl、Br、
Iが用いられ、好ましくはClである。具体的には、テ
レフタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジクロリド、o−
フタル酸ジクロリド、コハク酸ジクロリド、グルタル酸
ジクロリド、アジピン酸ジクロリド、ピメリン酸ジクロ
リド、スベリン酸ジクロリド、アゼライン酸ジクロリ
ド、セバシン酸ジクロリド、ドデカン酸ジクロリド等が
挙げられる。
【0015】本発明は上記したジアミンと二塩基酸又は
その誘導体を反応させて、ポリアミドが得られるが、そ
の製造方法は特に限定されるものではなく、それ自体公
知の方法が採用できる。例えば、融点以上の温度で加
熱して融解させ、液相均一系で重縮合反応を行う融解重
縮合法。生成するポリマーが著しく高融点あるいは二
重結合や分解しやすい側鎖を有する場合、室温ないし1
00℃以下の温度で重縮合反応を行う低温重縮合法。
モノマーおよびポリマーの融点の20〜30℃下付近温
度で結晶状態のまま固相で加熱して重縮合反応を行う固
相縮合法。高沸点有機溶媒中、窒素気流下200〜2
50℃の温度で重縮合反応させた後、メタノールあるい
はアセトン中に投入してポリマーを沈澱させる溶液重縮
合法等の方法がある。
【0016】この方法で使用される高沸点有機溶媒とし
ては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N
−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミ
ド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、N−メチ
ル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾ
リン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシ
ド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、
イソキノリン、2,4−ルチジン、ピリジン、γ−ピコ
リン、β−ピコリン、α−ピコリン、2,6−ルチジ
ン、キノリン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、
トリペンチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,
N−ジエチルアニリン、ジクロロメタン、クロロホル
ム、四塩化炭素、メチルエチルケトン、アセトン、シク
ロヘキサノン、アセトフェノン、テトラヒドロフラン、
ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、フェ
ノール、クレゾール酸、o−クレゾール、m−クレゾー
ル、p−クロルフェノール、o−クロルフェノール等が
挙げられる。またこれらの溶媒は、反応原料モノマーの
種類および重合手法により、単独あるいは2種以上混合
して用いても良い。溶媒の使用量は生成ポリマーの溶解
度と粘度を考慮して選択されるが、通常原料アミンに対
して20倍重量比以上が好ましい。20倍未満ではアミンの
塩酸塩の析出が多く攪拌が困難となる。なお、上限は特
に制限はないが、無闇に多量を使用することは反応器の
容積効率を低下させるのみであるため、精々、実際上は
従に30倍程度が上限である。好ましくは原料アミンの20
〜30倍重量比の範囲で使用するのが良い。
【0017】本発明において反応原料モノマーとして二
塩基酸のハロゲン化物を用いる場合、通常脱ハロゲン化
剤が併用される。使用される脱ハロゲン化剤としては、
トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルア
ミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルア
ニリン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−
ピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、キノ
リン、イソキノリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭
酸水素ナトリウム、酸化カルシウム、酸化リチウム、エ
チレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が挙げられ
る。脱ハロゲン化剤の使用量は化学量論量用いれば良
い。例えば脱ハロゲン化剤としてトリエチルアミンを使
用した場合、反応原料である二塩基酸のハロゲン化物に
対して2倍モル使用すれば良いのである。
【0018】また、反応原料モノマーとして二塩基酸類
を用いる場合は、通常、縮合剤が用いられる。使用され
る縮合剤としては、無水硫酸、塩化チオニル、亜硫酸エ
ステル、塩化ピクリル、五酸化リン、亜リン酸エステル
−ピリジン系縮合剤、トリフェニルホスフィン−ヘキサ
クロロエタン系縮合剤、プロピルリン酸無水物−N−メ
チル−2−ピロリドン系縮合剤等が挙げられる。縮合剤
の使用量は化学量論量用いれば良い。例えば縮合剤とし
てプロピルリン酸無水物−N−メチル−2−ピロリドン
溶液を使用した場合、反応原料である二塩基酸に対して
2倍モル使用すれば良いのである。
【0019】本発明における反応温度は、反応原料モノ
マーの種類、重合手法、溶媒の種類、脱ハロゲン化剤の
種類、縮合剤の種類により異なるが、通常、−15〜2
50℃程度の範囲で実施される。具体的には、反応原料
として二塩基酸のハロゲン化物を用いて反応させる場
合、好ましくは、窒素気流下−15〜80℃の範囲で実
施される。この場合、原料装入時に発熱を伴うため、発
熱の伴う反応の前半を比較的低温で行い、反応の後半を
より温度を上げて行い、反応を十分に完結することが好
ましい。即ち、上記温度で的確に実施するためには、場
合によっては予め温度を−30〜0℃程度まで冷却して
おくことが好ましい。一方、反応原料として二塩基酸を
用いて反応させる場合、反応温度は150〜250℃程
度の範囲で実施される。反応時間は、反応原料モノマー
の種類、重合手法、溶媒の種類、脱ハロゲン化剤の種
類、縮合剤の種類および反応温度により異なるが、通
常、一般式(I)で表されるポリアミドの生成が完了す
るに十分な時間反応させる。これは、通常1〜24時間
程度である。具体的には、反応原料として二塩基酸のハ
ロゲン化物を用いる場合は、−10〜10℃で2〜10
時間程度、さらに20〜30℃で3〜15時間程度反応
させる。また、反応原料として二塩基酸を用いる場合
は、例えばコハク酸(融点181〜185℃)、グルタ
ル酸(融点97.5℃)、アジピン酸(融点153
℃)、ピメリン酸(融点105℃)、スベリン酸(融点
144℃)、アゼライン酸(融点107℃)、セバシン
酸(融点134℃)、ウンデカン二酸(融点111
℃)、ドデカン二酸(融点128℃)、ヘキサヒドロテ
レフタル酸(シス、トランス融点165〜250℃)の
各融点下に流動性を保ちながら、窒素気流下にジアミン
を挿入する。ジアミン滴下時間は2〜10時間程度であ
れば充分であり、好ましくは、3〜5時間程度である。
この際、滴下温度は二塩基酸の融点から50℃を超えな
い範囲で滴下することが好ましい。融点温度を大幅に超
えて実施することは二塩基酸の熱安定性からいって好ま
しくない。反応温度および反応時間は130〜300℃
で水の留出がなくなるまで実施するが、概ね2〜10時
間程度の範囲で実施される。
【0020】一方、塩を形成させた後に重合させる場
合、上記二塩基酸をアルコールまたは水中に分散ないし
溶解させた後、ジアミンを滴下する。塩を形成させる
際、発熱するため滴下時間は、1〜3時間要する。塩は
アルコールおよび水に溶解するためアルコールおよび水
を留去させながら重合させることによって粘稠なポリマ
ーが得られる。
【0021】また、本発明の重合反応は常圧下に実施さ
れるが、勿論加圧下でも同様に実施することができる。
以上のように反応させた後、通常、反応液は粘稠なポリ
マー溶液となっているので、本発明の方法において、有
機溶媒中で重合させた場合、ポリアミドを単離するに
は、反応後必要に応じて、析出している脱ハロゲン化剤
の塩を濾別した後(あるいは脱ハロゲン化剤の塩を溶解
する溶媒であれば濾別せずに)ポリマー溶液を溶媒中に
投入して、ポリアミドの結晶を析出させ濾過、洗浄、乾
燥することによりポリアミドが得られる。
【0022】上記のポリアミドの結晶を析出させるため
に用いられる溶媒としては、例えば水、あるいはメタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、n−ブタノール、イソーブタノール、tert−ブ
タノールなどのアルコール類またはアセトン、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノ
ンなどのケトン類が一般に使用される。
【0023】本発明におけるポリアミドは、後記条件で
測定した対数粘度が0.3〜1.5dl/gのポリアミ
ドであり、優れた耐熱性に加え熱可塑性を具備するため
に、押出し成形、射出成形が可能であり、宇宙・航空機
用基材、電気・電子部品用基材として、さらにまた溶融
紡糸法による高強度の高耐熱性繊維の原料などとして多
目的用途に活用が期待できる極めて有用なポリアミドで
ある。本発明のポリアミドを溶融成形に供する場合、本
発明の目的を損なわない範囲で他の熱可塑性樹脂、たと
えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネー
ト、ポリアリレート、ポリイミド、ポリスルホン、ポリ
エーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテル
エーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミ
ドイミド、ポリエーテルイミド、変性ポリフェニレンオ
キシドなどを目的に応じて適当量を配合することも可能
である。
【0024】またさらに通常の樹脂組成物に使用する次
のような充填剤などを、発明の目的を損なわない程度で
用いてもよい。すなわちグラファイト、カーボンランダ
ム、ケイ石粉、二硫化モリブデン、フッ素樹脂などの耐
摩耗性向上材、ガラス繊維、カーボン繊維、ボロン繊
維、炭化ケイ素繊維、カーボンウィスカー、アスベス
ト、金属繊維、セラミックス繊維などの補強材、三酸化
アンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどの
難燃性向上剤、クレー、マイカなどの電気的特性向上
材、アスベスト、シリカ、グラファイトなどの耐トラッ
キング向上剤、硫酸バリウム、シリカ、メタケイ酸カル
シウムなどの耐酸性向上剤、鉄粉、亜鉛粉、アルミニウ
ム粉、銅粉などの熱伝導度向上剤、その他ガラスビー
ズ、ガラス球、タルク、ケイ藻土、アルミナ、シラスバ
ルン、水和アルミナ、金属酸化物、着色料などである。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明する。なお、実施例の物性は、以下の様な手法により
測定した。 対数粘度;ポリアミド粉0.50gを濃硫酸20mlに
溶解させた後、35℃において測定 ガラス転移温度(Tg);DSC(島津DT−40シリ
ーズDSC−41M)により測定 5%重量減少温度;空気中にて、DTA−TG(島津D
T−40シリーズ、DTG−40M)により測定 実施例1 攪拌装置、窒素導入管を備えた容器に、窒素雰囲気下に
おいて塩化リチウム2.54g(0.060 モル) 、2,5
−又は2,6−ビス−アミノメチルノルボルナン混合体
4.63g(0.030モル) とN−メチル−2−ピロ
リドン110gを装入し溶解させた後、トリエチルアミ
ン6.07g(0.060モル) を添加し、−15℃ま
で冷却した。その後、攪拌を強め、イソフタル酸ジクロ
リド6.09g(0.030モル) を一括装入し、0℃
で2時間、さらに室温で1時間攪拌をつづけた。かくし
て得られた粘稠なポリマー溶液をN−メチル−2−ピロ
リドンで希釈した後濾過し、激しく攪拌しているメタノ
ール中に排出して白色粉末を析出させた。この白色粉末
を濾別後メタノールで洗浄し、180℃で4時間減圧乾
燥して8.19g(収率96.0%)のポリアミド粉を
得た。このポリアミド粉の対数粘度は0.40dl/g
であり、またガラス転移温度は220℃(DSC法によ
り測定、以下同様)、空気中の5%重量減少温度は38
7℃(DTA−TG法により測定、以下同様)であっ
た。ここで得られたポリアミドの元素分析結果は下記の
通りであった。
【0026】実施例2 攪拌装置、窒素導入管を備えた容器に、窒素雰囲気下に
おいて塩化リチウム2.54g(0.060モル) 、ビ
ス−アミノメチルノルボルナン異性体4.63g(0.0
30モル) とN−メチル−2−ピロリドン110gを装
入し溶解させた後、トリエチルアミン6.07g(0.
060モル) を添加し、−15℃まで冷却した。その
後、攪拌を強め、テレフタル酸ジクロリド6.09g
(0.030モル) を一括装入し、0℃で2時間、さらに
室温で1時間攪拌をつづけた。かくして得られた粘稠な
ポリマー溶液をN−メチル−2−ピロリドンで希釈した
後濾過し、激しく攪拌しているメタノール中に排出して
白色粉末を析出させた。この白色粉末を濾別後メタノー
ルで洗浄し、200℃で4時間減圧乾燥して8.10g(収率
95.0%)のポリアミド粉を得た。このポリアミド粉の対
数粘度は0.45dl/gであり、またガラス転移温度
は240℃、空気中の5%重量減少温度は422℃であ
った。ここで得られたポリアミドの元素分析結果は下記
の通りであった。
【0027】実施例3 攪拌装置、窒素導入管を備えた容器に、窒素雰囲気下に
おいてアジピン酸14.6g(0.1モル)を装入した
後、160℃に昇温し溶解させた。次に2−exo,5
exoビス−アミノメチルノルボルナンと2−exo,
6exo−ビス−アミノメチルノルボルナンの混合物1
5.4g(0.1モル)を2時間要して装入した。この
間、内温を200℃まで昇温させた(留出水2.88
g、90%理論留出量)。さらに、内温を255℃まで昇
温し、255〜260℃で2時間反応させた(留出水
0.62g、17.2%理論留出量)。反応後、粘稠な
ポリマーを排出、粉砕した。収量21.1g 収率7
9.9% ここで得られたポリアミド粉をX線分析した結果、非晶
質のポリアミドであった。このポリアミド粉の対数粘度
は0.46dl/gであり、またガラス転移温度は11
7℃、空気中の5%重量減少温度は389℃であった。
ここで得られたポリアミドの元素分析結果は下記の通り
であった。
【0028】実施例4 攪拌装置、窒素導入管を備えた容器に、窒素雰囲気下に
おいてアゼライン酸18.8g(0.1モル) を装入し
た後、内温を130℃に昇温し溶解させた後、ビス−ア
ミノメチルノルボルナン異性体14.6g(0.1モ
ル)を2時間要して装入する。この間、内温を220℃
まで2時間要して昇温する。その後、260℃まで昇温
し258〜262℃で3時間反応させた。反応後、粘稠
なポリマーをアルミカップに排出し、窒素気流下に放冷
後、ミキサーで粉砕した。この白色粉末を60℃で5時
間減圧乾燥して24.5g(収率80.1%)のポリア
ミド粉を得た。このポリアミド粉の対数粘度は1.0d
l/gであり、またガラス転移温度は96℃、空気中の
5%重量減少温度は410℃であった。ここで得られた
ポリアミドの元素分析結果は下記の通りであった。
【0029】実施例5 攪拌装置、窒素導入管を備えた容器に窒素雰囲気下、2
5〜30℃で水29.2gとアジピン酸14.6(0.1
モル)を装入した後、同温度でビス−アミノメチルノル
ボルナン異性体15.4g(0.1モル)を1時間要し
て装入する。内温を100℃まで昇温した後、水を留去
しながら190℃まで3時間要して昇温する。さらに2
60℃まで昇温した後、同温度で2時間反応させた。反
応後、粘稠なポリマーをアルミカップには排出し、窒素
気流下に放冷後、ミキサーで粉砕した。この白色粉末を
60℃で5時間減圧乾燥して21.3g(收率81.0
%)のポリアミド粉を得た。このポリアミド粉の対数粘
度は0.9dl/gであり、またガラス転移温度は11
7℃、空気中での5%重量減少温度は400℃であっ
た。ここで得られたポリアミドの元素分析結果は下記の
通りであった。
【0030】
【発明の効果】本発明は、芳香族ポリアミドが本来有す
る優れた耐熱性に加え、脂環族ジアミンと二塩基酸との
反応から得られるポリアミドは、非晶質でガラス転移温
度が高く、また熱分解に対する安定性に優れているた
め、溶融紡糸、プラスチック、フィルムなどの溶融成形
が可能であり、多目的用途に使用可能な全く新規な脂環
族ポリアミドを提供するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷山 龍二 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地三井東 圧化学株式会社内 (72)発明者 山口 彰宏 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地三井東 圧化学株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2,5−又は2,6−ビス−アミノメチ
    ルノルボルナンおよびその混合物と一般式(I) MOC−X−COM (I) (式中、Xはフェニル基、シクロヘキシル基および−
    (CH2 m −で示されるアルキレン鎖でm=2〜10
    の整数を表わし、Mは水酸基、ハロゲン原子または炭素
    数1〜4のアルコキシ基を表わす。)で表わされる二塩
    基酸またはその誘導体を重合させることを特徴とするポ
    リアミドの製造方法。
  2. 【請求項2】 2,5−又は2,6−ビス−アミノメチ
    ルノルボルナンおよびその混合物と二塩基酸とから成る
    塩を形成させた後、重合させる請求項1記載の製造方
    法。
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