JP2014208766A - フルオレン骨格を有するポリアミド樹脂及びその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い耐熱性を有する新規なポリアミド樹脂を提供する。
【解決手段】ジカルボン酸成分(A)とジアミン成分(B)(例えば、脂環族ジアミン及び芳香族ジアミンから選択された少なくとも1種)とを重合成分として、耐熱性の高いポリアミド樹脂を得る。ジカルボン酸成分(A)は、フルオレン系ジカルボン酸成分(A1)と、芳香族ジカルボン酸成分及び脂環族ジカルボン酸成分(A3)から選択された少なくとも一種のジカルボン酸成分(A2)とを含む。フルオレン系ジカルボン酸成分(A1)は、9,9−ビス(カルボキシアルキル)フルオレン類を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、フルオレン骨格を有する新規なポリアミド樹脂及びその用途に関する。
フルオレン骨格(9,9−ビスフェニルフルオレン骨格など)を有する化合物は、高屈折率、高耐熱性などの優れた機能を有することが知られている。このようなフルオレン骨格の優れた機能を樹脂に発現し、成形可能とする方法としては、例えば、ビスフェノールフルオレン(BPF)、ビスクレゾールフルオレン(BCF)、ビスフェノキシエタノールフルオレン(BPEF)などの反応性基を有する化合物を樹脂の構成成分として利用し、樹脂の骨格構造の一部にフルオレン骨格を導入する方法が一般的である。
例えば、特開平7−198901号公報(特許文献1)には、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、10mol%以上の9,9−ビス(4−ヒドロキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレンなどのジヒドロキシ化合物と、炭素原子数が2から4の脂肪族グリコールからなる実質的に線状のポリエステル重合体であって、屈折率が1.60以上であるプラスチックレンズ用ポリエステル樹脂が開示されている。
一方、フルオレン骨格を有するジアミン化合物も知られている。例えば、特開2004−339499号公報(特許文献2)には、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有する樹脂と添加剤とを含有する組成物が開示されており、このような9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有する樹脂として、ビスアニリンフルオレン類をジアミン成分とするポリアミド樹脂を用いることができると記載されている。
また、特開2008−81418号公報(特許文献3)には、フルオレンの2および7位にC1−4アルコキシ基を有する9,9−ビス(アミノフェニル)フルオレン化合物が開示され、このフルオレン化合物は、ポリアミド原料に用いることができると記載されている。
さらに、特開2008−127362号公報(特許文献4)には、9,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,7−ジアルコキシフルオレン化合物が開示され、このフルオレン化合物は、ポリアミド原料に用いることができると記載されている。
しかしながら、特許文献2〜4のいずれにおいても、実際にポリアミドを合成した例については全く開示されていない。
特開平7−198901号公報(特許請求の範囲) 特開2004−339499号公報(特許請求の範囲、段落[0072]〜[0075]) 特開2008−81418号公報(特許請求の範囲、段落[0001]) 特開2008−127362号公報(特許請求の範囲、段落[0001])
従って、本発明の目的は、フルオレン骨格を有する新規なポリアミド樹脂を提供することにある。
本発明の他の目的は、高い耐熱性を有するポリアミド樹脂を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、高い屈折率を有するポリアミド樹脂を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、フルオレン系ジカルボン酸成分と、芳香族ジカルボン酸成分(非フルオレン系芳香族ジカルボン酸成分)及び/又は脂環族ジカルボン酸成分とを組み合わせることで、特異的に高耐熱性のポリアミド樹脂が得られること、また、得られるポリアミド樹脂は、光学材料として使用できるレベルで高い屈折率を有していることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分(A)と、ジアミン成分(B)とを重合成分とするポリアミド樹脂であり、ジカルボン酸成分(A)は、フルオレン系ジカルボン酸成分(A1)と、芳香族ジカルボン酸成分及び脂環族ジカルボン酸成分から選択された少なくとも一種のジカルボン酸成分(A2)を含む。
本発明のポリアミド樹脂において、フルオレン系ジカルボン酸成分(A1)は、例えば、9,9−ビス(カルボキシアルキル)フルオレン類およびそのエステル形成性誘導体から選択された少なくとも1種であってもよい。
ジカルボン酸成分(A)において、フルオレン系ジカルボン酸成分(A1)とジカルボン酸成分(A2)との割合は、例えば、前者/後者(モル比)=95/5〜20/80程度であってもよい。
また、ジアミン成分(B)は、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン及び芳香族ジアミンから選択された少なくとも1種で構成されていてもよい。例えば、ジアミン成分(B)は、単環式シクロアルカンジアミン、橋架け環式シクロアルカンジアミン、及び下記式(B1)で表されるジアミンから選択された少なくとも一種のジアミンを含んでいてもよい。
Figure 2014208766
(式中、Eは連結基、Zは炭化水素環、Rはアミノ基以外の置換基、nは0以上の整数を示す。)
ジアミン成分(B)は、橋架け環式シクロアルカンジアミン及び式(B1)で表されるジアミンから選択された少なくとも1つのジアミンを含んでいてもよく、橋架け環式シクロアルカンジアミンは、ビ又はトリシクロアルカンジアミン、ビス(アミノメチル)ビ又はトリシクロアルカンジアミンであってもよい。式(B1)において、Eは、例えば、直接結合、炭化水素基(シクロアルキレン基又はシクロアルキリデン基など)、ヘテロ原子を含む基(−O−、−C(=O)−,−S−,−SO−,−SO−など)、又はこれらの基が連結した基であってもよい。また、式(B1)において、環Zは、単環式炭化水素環(シクロアルカン環及びベンゼン環から選択された単環式炭化水素環)であってもよい。代表的には、式(B1)において、Eがアルキレン基、酸素原子を含む基又は硫黄原子を含む基であり、環Zがシクロアルカン環又はベンゼン環であり、Rが炭化水素基(アルキル基など)、アルコキシ基又はハロゲン原子であり、nが0〜4であってもよい。
本発明のポリアミド樹脂のガラス転移温度は、165℃以上(例えば、180℃以上、特に200℃以上)であってもよく、25℃、589nmにおける屈折率は1.55以上(例えば、1.56以上、特に1.57以上)であってもよい。なお、270℃における貯蔵弾性率は0.01MPa以上であってもよい。
また、本発明には、前記ポリアミド樹脂又はその組成物で形成された成形体も含まれる。このような成形体は、特に、光学用成形体(例えば、光学フィルムなど)であってもよい。
本発明のポリアミド樹脂は、通常、高い耐熱性を有している。また、本発明のポリアミド樹脂は、高い屈折率を有している。さらに、本発明のポリアミド樹脂は、高耐熱性でありながら、成形性にも優れている。そのため、成形材料、特に、光学材料(光学フィルム、光学レンズなどの光学用成形体用材料)などとしても使用でき、非常に有用性が高い。
本発明のポリアミド樹脂は、特定のジカルボン酸成分と、ジアミン成分とを重合成分とする。
[ジカルボン酸成分]
ジカルボン酸成分(A)は、フルオレン系ジカルボン酸成分(A1)と、芳香族ジカルボン酸成分及び脂環族ジカルボン酸成分から選択された少なくとも一種のジカルボン酸成分(A2)とを含んでいる。
(フルオレン系ジカルボン酸成分(A1))
フルオレン系ジカルボン酸成分(A1)としては、フルオレン系ジカルボン酸(フルオレン骨格を有するジカルボン酸)およびそのエステル形成性誘導体が含まれる。なお、エステル形成性誘導体としては、例えば、エステル{例えば、アルキルエステル[例えば、メチルエステル、エチルエステルなどの低級アルキルエステル(例えば、C1−4アルキルエステル、特にC1−2アルキルエステル]、シクロアルキルエステル(シクロヘキシルエステルなど)、アリールエステル(フェニルエステルなど)など}、酸ハライド(酸クロライドなど)、酸無水物などが挙げられる。エステル形成性誘導体は、モノエステル(ハーフエステル)又はジエステルであってもよい。フルオレン系ジカルボン酸成分は、ポリアミド樹脂の製造方法などに応じて、適宜選択してもよい。
フルオレン系ジカルボン酸としては、フルオレンを構成する2つのベンゼン環に2つのカルボキシル基含有基が置換した化合物[例えば、フルオレンジカルボン酸(例えば、2,7−ジカルボキシフルオレンなど)]であってもよいが、通常、フルオレンの9位に2つのカルボキシル基含有基が置換した化合物であってもよい。このような化合物としては、例えば、9−ジカルボキシアルキルフルオレン[例えば、9−(1,2−ジカルボキシエチル)フルオレンなど]、ジ(9−カルボキシアルキルフルオレニル)アルカン[例えば、ジ(9−カルボキシエチル−9−フルオレニル)メタン、1,2−ジ(9−カルボキシエチル−9−フルオレニル)エタンなど]などであってもよく、特に、下記式(1a)(1b)で表される化合物を好適に使用できる。このような化合物は、後述の芳香族ジカルボン酸成分との組み合わせにおいて、耐熱性の向上効果が高いようである。
Figure 2014208766
(式中、X1a,X1bは、同一又は異なって、二価の炭化水素基、Rはカルボキシル基でない置換基、nは1〜4の整数、kは0〜4の整数を示す。)
上記式(1a)(1b)において、基X1a,X1bで表される二価の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基{例えば、アルキレン基(又はアルキリデン基、例えば、メチレン基、エチレン基、エチリデン基、トリメチレン基、プロピレン基、プロピリデン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ブタン−2−イリデン基、1,2−ジメチルエチレン基、ペンタメチレン基、ペンタン−2,3−ジイル基などのC1−8アルキレン基、好ましくはC1−4アルキレン基)、シクロアルキレン基(例えば、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、メチルシクロへキシレン基、シクロへプチレン基などのC5−10シクロアルキレン基、好ましくはC5−8シクロアルキレン基)、アルキレン(又はアルキリデン)−シクロアルキレン基[又はシクロアルキレン−アルキレン基、例えば、メチレン−シクロへキシレン基、エチレン−シクロへキシレン基、エチレン−メチルシクロへキシレン基、エチリデン−シクロへキシレン基などのC1−6アルキレン−C5−10シクロアルキレン基(好ましくはC1−4アルキレン−C5−8シクロアルキレン基)などの脂環式炭化水素基、ビ又はトリシクロアルキレン基(ノルボルナン−ジイル基など)などの橋架環式炭化水素基など]など}、芳香族炭化水素基{例えば、アリーレン基(フェニレン基、ナフタレンジイル基などのC6−10アリーレン基)、アルキレン(又はアルキリデン)−アリーレン基[又はアリーレン−アルキレン基、例えば、メチレン−フェニレン基、エチレン−フェニレン基、エチレン−メチルフェニレン基、エチリデンフェニレン基などのC1−6アルキレン−C6−20アリーレン基(好ましくはC1−4アルキレン−C6−10アリーレン基、好ましくはC1−2アルキレン−フェニレン基)などの芳香脂肪族炭化水素基など]など}が例示できる。なお、アルキレン−シクロアルキレン基およびアルキレン−アリーレン基とは、−R−R−(式中、Rは、式(1)においてカルボキシル基又はフルオレンの9位に結合したアルキレン基、Rはシクロアルキレン基又はアリーレン基を示す)で表される基を示す。なお、2つの基Xは、同一の又は異なる基であってもよい。
これらのうち、二価の脂肪族炭化水素基、特に、置換基を有していてもよいアルキレン基が好ましい。X1a及びX1bで表されるアルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、2−エチルエチレン基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基などのC1−8アルキレン基が例示できる。好ましいアルキレン基は直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基などのC1−4アルキレン基)である。
アルキレン基の置換基としては、例えば、アリール基(フェニル基など)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基など)などが例示できる。
1aは直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基(例えば、エチレン基、プロピレン基)である場合が多く、X1bは直鎖状又は分岐鎖状C1−3アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基)である場合が多い。置換基を有するアルキレン基X1aは、例えば、1−フェニルエチレン基、1−フェニルプロパン−1,2−ジイル基などであってもよい。
係数nは0〜4の整数から選択でき、通常、0〜2、好ましくは0又は1であってもよい。
前記式(1a)(1b)において、基Rとしては、カルボキシル基でない置換基であればよく、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)など]、アシル基(例えば、メチルカルボニル、エチルカルボニル、ペンチルカルボニルなどのアルキルカルボニル基)などが挙げられ、特に、アルキル基などである場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−12アルキル基(例えば、C1−8アルキル基、特にメチル基などのC1−4アルキル基)などが例示できる。なお、kが複数(2〜4)である場合、複数の基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、異なるベンゼン環に置換した基Rは、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、基Rの結合位置(置換位置)は、特に限定されず、例えば、フルオレン環の2位、7位、2および7位などが挙げられる。好ましい置換数kは、0〜1、特に0である。なお、2つの置換数kは、同一又は異なっていてもよい。
代表的なフルオレン系ジカルボン酸成分としては、前記式(1a)において、X1aが二価の脂肪族炭化水素基である化合物、例えば、9,9−ビス(カルボキシアルキル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(カルボキシメチル)フルオレン、9,9−ビス(2−カルボキシエチル)フルオレン、9,9−ビス(1−カルボキシエチル)フルオレン、9,9−ビス(1−カルボキシプロピル)フルオレン、9,9−ビス(2−カルボキシプロピル)フルオレン、9,9−ビス(2−カルボキシ−1−メチルエチル)フルオレン、9,9−ビス(2−カルボキシ−1−メチルプロピル)フルオレン、9,9−ビス(2−カルボキシブチル)フルオレン、9,9−ビス(2−カルボキシ−1−メチルブチル)フルオレン、9,9−ビス(5−カルボキシペンチル)フルオレンなどの9,9−ビス(カルボキシC1−6アルキル)フルオレンなど]、9,9−ビス(カルボキシシクロアルキル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(カルボキシシクロヘキシル)フルオレンなどの9,9−ビス(カルボキシC5−8シクロアルキル)フルオレンなど]などが挙げられる。
式(1a)で表される好ましい化合物は、X1aがC2−6アルキレン基である化合物、例えば、9,9−ビス(2−カルボキシエチル)フルオレン、9,9−ビス(2−カルボキシプロピル)フルオレンなどの9,9−ビス(カルボキシC2−6アルキル)フルオレン、及びこれらのエステル形成性誘導体などを含む。前記式(1b)で表される好ましい化合物は、n=0であり、かつX1bがC1−6アルキレン基である化合物、例えば、9−(1−カルボキシ−2−カルボキシエチル)フルオレン、n=1であり、かつX1bがC1−6アルキレン基である化合物、例えば、9−(2−カルボキシ−3−カルボキシプロピル)フルオレンなどの9−(カルボキシ−カルボキシC2−6アルキル)フルオレン、及びこれらのエステル形成性誘導体などを含む。フルオレン系ジカルボン酸成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらのうち、好ましいフルオレン系ジカルボン酸成分には、式(1a)で表される化合物、例えば、9,9−ビス(カルボキシアルキル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(カルボキシC1−4アルキル)フルオレン]およびそのエステル形成性誘導体から選択された少なくとも1種(9,9−ビス(カルボキシアルキル)フルオレン成分)などが含まれる。
なお、ジカルボン酸成分(A)全体に対するフルオレン系ジカルボン酸成分(A1)の割合は、5モル%以上の範囲から選択でき、例えば、10モル%以上(例えば、20モル%以上)、好ましくは30モル%以上(例えば、35モル%以上)、さらに好ましくは40モル%以上(例えば、45モル%以上)であってもよい。なお、フルオレン系ジカルボン酸成分(A1)の割合を大きくすると、高温における貯蔵弾性率を効率よく向上させやすい。
(ジカルボン酸成分(A2))
芳香族ジカルボン酸成分
芳香族ジカルボン酸成分(又は非フルオレン系芳香族ジカルボン酸成分は、単環式芳香族ジカルボン酸成分、多環式芳香族ジカルボン酸成分(非フルオレン系多環式芳香族ジカルボン酸成分)に大別できる。
単環式芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アルキルイソフタル酸(例えば、4−メチルイソフタル酸などのC1−4アルキルテレフタル酸)、フタル酸などのC6−10アレーンジカルボン酸、これらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
多環式芳香族ジカルボン酸成分としては、フルオレン骨格を有しない多環式芳香族ジカルボン酸、そのエステル形成性誘導体(非フルオレン系多環式芳香族ジカルボン酸成分)が挙げられる。多環式芳香族ジカルボン酸としては、例えば、縮合多環式芳香族ジカルボン酸[例えば、ナフタレンジカルボン酸(例えば、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの異なる環に2つのカルボキシル基を有するナフタレンジカルボン酸;1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸などの同一の環に2つのカルボキシル基を有するナフタレンジカルボン酸)、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸などの縮合多環式C10−24アレーン−ジカルボン酸、好ましくは縮合多環式C10−16アレーン−ジカルボン酸、さらに好ましくは縮合多環式C10−14アレーン−ジカルボン酸]、アリールアレーンジカルボン酸[例えば、ビフェニルジカルボン酸(2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸など)などのC6−10アリールC6−10アレーンジカルボン酸]、ジアリールアルカンジカルボン酸[例えば、ジフェニルアルカンジカルボン酸(例えば、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸などのジフェニルC1−4アルカン−ジカルボン酸など)などのジC6−10アリールC1−6アルカン−ジカルボン酸]、ジアリールケトンジカルボン酸[例えば、ジフェニルケトンジカルボン酸(4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸など)などのジC6−10アリールケトン−ジカルボン酸]などが挙げられる。多環式芳香族ジカルボン酸成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、芳香族ジカルボン酸成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよく、単環式芳香族ジカルボン酸成分と多環式芳香族ジカルボン酸成分とを組み合わせてもよい。
これらの芳香族ジカルボン酸成分のうち、単環式芳香族ジカルボン酸成分、多環式芳香族ジカルボン酸成分(縮合多環式芳香族ジカルボン酸)を好適に使用してもよい。特に、単環式芳香族ジカルボン酸成分においては、高耐熱性と高透明性とをバランスよくポリアミド樹脂に付与するなどの観点から、非対称の単環式芳香族ジカルボン酸成分(イソフタル酸成分など)を好適に使用することもできる。
脂環族ジカルボン酸成分
脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロアルカンジカルボン酸(例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などのC5−10シクロアルカン−ジカルボン酸)、ジ又はトリシクロアルカンジカルボン酸(例えば、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸など)、これらのエステル形成性誘導体(前記誘導体など)などが挙げられる。脂環族ジカルボン酸成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
ジカルボン酸成分(A2)において、芳香族ジカルボン酸成分と脂環族ジカルボン酸成分とは、それぞれ単独で使用してもよく、両者を組み合わせて使用してもよい。例えば、芳香族ジカルボン酸成分と脂環族ジカルボン酸成分とを、前者/後者(モル比)=100/0〜0/100(例えば、90/10〜10/90)程度、特に80/20〜20/80(例えば、70/30〜30/70)程度の割合で使用してもよい。
フルオレン系ジカルボン酸成分(A1)とジカルボン酸成分(A2)との割合は、前者/後者(モル比)=99.5/0.5〜5/95(例えば、99/1〜10/90)程度の範囲から選択でき、例えば、98/2〜15/85(例えば、97/3〜20/80)、好ましくは95/5〜20/80(例えば、95/5〜25/75)、さらに好ましくは93/7〜30/70(例えば、90/10〜35/65)程度であってもよく、通常、90/10〜40/60程度であってもよい。
なお、フルオレン系ジカルボン酸成分(A1)およびジカルボン酸成分(A2)の総量の割合は、ジカルボン酸成分(A)全体に対して、例えば、50モル%以上(例えば、55モル%以上)、好ましくは60モル%以上(例えば、65モル%以上)、さらに好ましくは70モル%以上(例えば、75モル%以上)、特に80モル%以上(例えば、85モル%以上)であってもよい。
(他のジカルボン酸成分)
ジカルボン酸成分(A)は、フルオレン系ジカルボン酸成分(A1)およびジカルボン酸成分(A2)のみで構成してもよく、本発明の効果を損なわない範囲であれば、脂肪族ジカルボン酸成分を含んでいてもよい。
脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アルカンジカルボン酸成分[例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、プラリシン酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸、これらのエステル形成性誘導体(前記誘導体など)などのC2−30アルカンジカルボン酸成分など]などが挙げられる。脂肪族ジカルボン酸成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
脂肪族ジカルボン酸成分の割合は、例えば、ジカルボン酸成分(A)全体に対して、50モル%以下(例えば、45モル%以下)、好ましくは40モル%以下(例えば、35モル%以下)、さらに好ましくは30モル%以下(例えば、25モル%以下)、特に20モル%以下(例えば、15モル%以下)であってもよい。
[ジアミン成分(B)]
ジアミン成分(B)としては、特に限定されず、例えば、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、芳香族ジアミンなどが挙げられる。ジアミン成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
脂肪族ジアミンとしては、例えば、アルカンジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,3−トリメチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、1,11−ウンデカメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン、2−メチル−1,8−オクタメチレンジアミン、5−メチル−1,9−ノナメチレンジアミンなどのC2−20アルカンジアミン、好ましくはC2−12アルカンジアミン、さらに好ましくはC2−8アルカンジアミン)などが挙げられる。脂肪族ジアミンは、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
脂環族ジアミンとしては、例えば、単環式シクロアルカンジアミン、橋架け環式シクロアルカンジアミン、イソホロンジアミンなどの他、後述の式(B1)において環Zが脂環族炭化水素環である化合物などが含まれる。脂環族ジアミンは、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
単環式シクロアルカンジアミンとしては、例えば、ジアミノシクロヘキサン(1,4−ジアミノシクロヘキサンなど)、メチルシクロヘキサンジアミン(3−メチル−1,4−ジアミノシクロヘキサンなど)などのシクロアルカンジアミン;ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,4−アミノメチルシクロヘキサンなど)、ビス(アミノメチル)メチルシクロヘキサンなどのビス(アミノメチル)シクロアルカンなどが例示できる。単環式シクロアルカンジアミンは、C4−10シクロアルカンジアミン、ビス(アミノメチル)C4−10シクロアルカンである場合が多い。
前記橋架け環式シクロアルカンジアミンとしては、例えば、ビシクロオクタンジアミン、ビシクロノナンジアミン、トリシクロドデカンジアミン、ノルボルナンジアミンなどのビ又はトリシクロアルカンジアミン;ビス(アミノメチル)ビシクロオクタン、ビス(アミノメチル)ビシクロノナン、ビス(アミノメチル)トリシクロドデカン、ビス(アミノメチル)ノルボルナンなどのビス(アミノメチル)ビ又はトリシクロアルカンなどが例示できる。橋架け環式シクロアルカンジアミンは、C6−14ビ又はトリシクロアルカンジアミン、ビス(アミノメチル)C6−14ビ又はトリシクロアルカンである場合が多い。
芳香族ジアミンとしては、例えば、アレーンジアミン(例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンなどのC6−10アレーンジアミン)、アミノアルキル−アミノアレーン[例えば、α−(3−アミノフェニル)エチルアミンなどのアミノC1−4アルキル−アミノC6−10アレーンなど]、芳香脂肪族ジアミン[例えば、ジ(アミノアルキル)アレーン(例えば、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンなどのジ(アミノC1−4アルキル)C6−10アレーン)など]の他、後述の式(B1)において環Zが芳香族炭化水素環である化合物などが挙げられる。芳香族ジアミンは、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
耐熱性、屈折率を高めたるめに好ましいジアミン成分(B)は、脂環族ジアミン及び芳香族ジアミンから選択された少なくとも1種を含む。なお、脂環族ジアミンおよび芳香族ジアミンには、下記式(B1)で表されるジアミン(ジアミン(B1)などということがある)も含まれる。このような脂環族ジアミンや芳香族ジアミンを用いると、高い耐熱性を効率よくポリアミド樹脂に付与できる場合がある。
Figure 2014208766
(式中、Eは連結基、Zは炭化水素環、Rはアミノ基以外の置換基、nは0以上の整数を示す。)
上記式(B1)において、連結基E(二価の基)としては、特に限定されないが、例えば、直接結合、炭化水素基{例えば、脂肪族炭化水素基[例えば、アルキレン基(又はアルキリデン基)(例えば、メチレン基、エチレン基、エチリデン基、プロピレン基、2−プロピリデン基、ブチレン基などのC1−10アルキレン基、好ましくはC1−6アルキレン基、さらに好ましくはC1−4アルキレン基)などの飽和脂肪族炭化水素基]、脂環族炭化水素基[例えば、シクロアルキレン基又はシクロアルキリデン基(1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基などのC4−10シクロアルキレン基又はC4−10シクロアルキリデン基、好ましくはC5−8シクロアルキレン基又はC5−8シクロアルキリデン基)などの飽和脂肪族炭化水素基]、芳香族炭化水素基[例えば、アリーレン基(例えば、フェニレン基などのC6−10アリーレン基)、アリールアレーンジイル基(例えば、ビフェニル−4,4’−ジイル基などのC6−10アリール−C6−10アレーンジイル基)など]など}、ヘテロ原子を含む基{例えば、窒素原子を含む基[例えば、イミノ基(−NH−)、置換イミノ基(例えば、アルキルイミノ基など)、アミド基(−NHCO−)など]、酸素原子を含む基[例えば、酸素原子又はエーテル基(−O−)、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−OCO−)など]、硫黄原子を含む基[例えば、硫黄原子又はチオ基(−S−)、スルフィニル基(−SO−)、スルホニル基(−SO−)など]など}、これらの基が連結した基{例えば、オキシアルキレン基(例えば、オキシメチレン基、オキシエチレン基などのオキシC1−10アルキレン基)、オキシアリーレン基(例えば、オキシフェニレン基などのオキシC6−10アリーレン基など)、アレーンジオキシ基(例えば、1,4−ベンゼンジオキシ基などのC6−10アレーンジオキシ基)、ビスアリールジオキシ基(例えば、ビフェニル−4,4’−ジオキシ基などのビスC6−10アリールジオキシ基)、ジアリールアルカンジオキシ基(例えば、ジフェニルメタン−4,4’−ジオキシ基などのC6−10アリールC1−4アルカンジオキシ基)、ジアリールシクロアルカンジオキシ基(例えば、1,1−ジフェニルシクロペンタン−4,4’−ジオキシ基、1,1−ジフェニルシクロヘキサン−4,4’−ジオキシ基などのジC6−10アリールC5−8シクロアルカンジオキシ基)、ジアリールスルホンジオキシ基(例えば、ジフェニルスルホン−4,4’−ジオキシ基などのジC6−10アリールスルホンジオキシ基など)など}などが挙げられる。
なお、連結基は、その種類に応じて、置換基を有していてもよい。例えば、連結基としての炭化水素基には、置換基を有する炭化水素基が含まれる。置換基としては、後述のRと同様の置換基(例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子など)などが挙げられる。
代表的な連結基には、脂肪族炭化水素基、ヘテロ原子を含む基が挙げられ、特にアルキレン基(又はアルキリデン基)、酸素原子を含む基、硫黄原子を含む基が好ましい。連結基Eは、直接結合、アルキレン基、シクロアルキレン基又はシクロアルキリデン基、−O−、−C(=O)−,−S−,−SO−,−SO−である場合が多い。
前記式(B1)において、炭化水素環Zとしては、例えば、脂環族炭化水素環{例えば、単環式脂環族炭化水素環[例えば、シクロアルカン環(例えば、シクロヘキサン環などのC4−10シクロアルカン環、好ましくはC5−8シクロアルカン環、さらに好ましくはシクロヘキサン環)など]、多環式脂環族炭化水素環[例えば、ポリシクロアルカン環(例えば、デカリン環、ノルボルナン環、アダマンタン環、トリシクロデカン環などのC4−15ジ又はトリシクロアルカン環)など]など}、芳香族炭化水素環{例えば、ベンゼン環、多環式芳香族炭化水素環[例えば、縮合環式アレーン環(例えば、ナフタレン環などのC8−20縮合二環式炭化水素、好ましくはC10−16縮合二環式アレーン)環、縮合三環式アレーン(例えば、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環など)環などの縮合二乃至四環式アレーン環]など}などが挙げられる。
これらのうち、単環式炭化水素環(例えば、シクロアルカン環、ベンゼン環など)が代表的である。特に、環Zは芳香族炭化水素環(ベンゼン環など)であってもよい。環Zが芳香族炭化水素環であるジアミンは、フルオレン系ジカルボン酸成分との組み合わせにおいて、耐熱性や屈折率をより一層向上させやすく、好適である。なお、式(B1)において、2つのZは同一の又は異なる環であってもよく、特に同一の環であってもよい。
式(B1)において、置換基Rとしては、特に限定されず、例えば、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのC1−12アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロへキシル基などのC5−8シクロアルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのC6−10アリール基など)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)など]、基−OR[式中、Rは炭化水素基(前記例示の炭化水素基など)を示す。][例えば、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基などのC1−8アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(シクロへキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基)、アラルキルオキシ基(ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基)など]、基−SR(式中、Rは前記と同じ。)[例えば、アルキルチオ基(メチルチオ基などのC1−8アルキルチオ基など)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基などのC6−10アリールチオ基)など]、アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基など)などが挙げられる。
代表的な基Rとしては、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C6−10アリール基)、アラルキル基(例えば、C6−8アリール−C1−2アルキル基)など]、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基など)、ハロゲン原子などが挙げられる。中でも、アルキル基[C1−4アルキル基(特にメチル基)など]、アリール基[例えば、C6−10アリール基(特にフェニル基)など]、アルコキシ基又はハロゲン原子などが好ましく、特に、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子、中でもアルキル基であるのが好ましい。
なお、同一の環Zにおいて、nが2以上である場合、複数のRは同一又は異なる基であってもよい。また、異なる環Zにおいて、Rは同一又は異なる基であってもよい。
置換基Rの数nは、0以上の整数であればよく、環Zの種類に応じて選択でき、例えば、0〜8、好ましくは0〜6、さらに好ましくは0〜4(例えば、0〜3)、特に0〜2程度であってもよい。
具体的なジアミン(B1)のうち、式(B1)において環Zがシクロアルカン環である化合物としては、例えば、ジ(アミノシクロアルキル)アルカン類{例えば、ジ(アミノシクロアルキル)アルカン[例えば、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルプロパンなどのジ(アミノC4−10シクロアルキル)C1−10アルカン、好ましくはジ(アミノC5−8シクロアルキル)C1−4アルカン]、ジ(アミノ−アルキルシクロアルキル)アルカン[例えば、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタンなどのジ(アミノ−C1−10アルキルC4−10シクロアルキル)C1−10アルカン、好ましくはジ(アミノ−C1−4アルキルC5−8シクロアルキル)C1−4アルカンなど]など}などが例示できる。
式(B1)において環Zがアレーン環である化合物としては、ジ(アミノアリール)アルカン類{例えば、ジ(アミノアリール)アルカン[例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどのジ(アミノC6−10アリール)C1−10アルカン、好ましくはジ(アミノC6−8アリール)C1−4アルカン]など}、ジ(アミノアリールオキシアリール)アルカン類{例えば、ジ(アミノアリールオキシアリール)アルカン[例えば、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどのジ(アミノC6−10アリールオキシC6−10アリール)C1−10アルカンなど]、ジ(アルキル−アミノアリールオキシアリール)アルカン[例えば、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンなどのジ(C1−10アルキル−アミノC6−10アリールオキシC6−10アリール)C1−10アルカンなど]、ジ(ハロ−アミノアリールオキシアリール)アルカン[例えば、2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンなどのジ(ハロ−アミノC6−10アリールオキシC6−10アリール)C1−10アルカンなど]など}、ジ(アミノアリールオキシアリール)シクロアルカン類{例えば、ジ(アミノアリールオキシアリール)シクロアルカン[例えば、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロペンタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサンなどのジ(アミノC6−10アリールオキシC6−10アリール)C5−8シクロアルカンなど]など}、ジ(アミノアリールオキシ)ビスアリール類{例えば、ジ(アミノアリールオキシ)ビスアリール[例えば、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルなど)などのジ(アミノC6−10アリールオキシ)ビスC6−10アリール]など}、ジ(アミノアリール)エーテル類{例えば、ジ(アミノアリール)エーテル[例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどのジ(アミノC6−10アリール)エーテル、好ましくはジ(アミノC6−8アリール)エーテル]など}、ジ(アミノアリールオキシアリール)エーテル類{例えば、ジ(アミノアリールオキシアリール)エーテル[例えば、ジ[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテルなどのジ(アミノC6−10アリールオキシC6−10アリール)エーテルなど]など}、ジ(アミノアリール)スルホン類{例えば、ジ(アミノアリール)スルホン[例えば、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンなどのジ(アミノC6−10アリール)スルホン、好ましくはジ(アミノC6−8アリール)スルホン]など}、ジ(アミノアリールオキシアリール)スルホン類{例えば、ジ(アミノアリールオキシアリール)スルホン[例えば、ジ[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンなどのジ(アミノC6−10アリールオキシC6−10アリール)スルホンなど]など}などが挙げられる。ジアミン(B1)は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらのジアミン成分(B)は、脂環族ジアミン及び芳香族ジアミンから選択された少なくとも1種を含むのが好ましい。このようなジアミン成(B)は、前記式(B1)で表される化合物であってもよい。このような特定の脂環族ジアミンや芳香族ジアミンを用いると、高い耐熱性を効率よくポリアミド樹脂に付与できる場合がある。
なお、ジアミン成分(B)全体に対する、脂環族ジアミン及び芳香族ジアミンから選択された少なくとも1種の割合は、10モル%以上(例えば、20モル%以上)程度の範囲から選択でき、例えば、30モル%以上(例えば、40モル%以上)、好ましくは50モル%以上(例えば、60モル%以上)、さらに好ましくは70モル%以上(例えば、80モル%以上)であってもよい。
なお、ポリアミド樹脂の重合成分は、ジカルボン酸成分(A)およびジアミン成分(B)のみで構成してもよく、本発明の効果を害しない範囲であれば、アミノカルボン酸成分[アミノカルボン酸(例えば、6−アミノカプロン酸、12−アミノドデカン酸など)、ラクタム(ε−カプロラクタムなど)など]を重合成分として含んでいてもよい。
このようなアミノカルボン酸成分の割合は、例えば、ジカルボン酸成分(A)1モルに対して、0.5モル以下、好ましくは0.3モル以下、さらに好ましくは0.2モル以下、特に0.1モル以下であってもよい。
[ポリアミド樹脂]
ジカルボン酸成分(A)とジアミン成分(B)とを重合成分とするポリアミド樹脂は、高耐熱性、高屈折率などの優れた特性を有している。
ポリアミド樹脂のガラス転移温度(Tg)は、120℃以上(例えば、140℃以上)の範囲から選択でき、例えば、150℃以上(例えば、160〜400℃)、好ましくは165℃以上(例えば、165〜370℃)、さらに好ましくは170℃以上(例えば、175〜350℃)、特に180℃以上(例えば、190〜320℃)であってもよく、200℃℃以上(例えば、200〜350℃、好ましくは210〜300℃、さらに好ましくは215〜280℃)とすることもできる。
また、本発明のポリアミド樹脂は、高温においても貯蔵弾性率(E’)を保持する場合が多く、例えば、ポリアミド樹脂の270℃における貯蔵弾性率は、0.01MPa以上(例えば、0.01〜20MPa)、好ましくは0.02MPa以上(例えば、0.02〜15MPa)とすることもできる。このようなポリアミド樹脂は、リフローにも耐えうる高い耐熱性を有している。
本発明のポリアミド樹脂の屈折率は、25℃、波長589nmにおいて、1.53以上(例えば、1.54以上)の範囲から選択でき、1.55以上(例えば、1.55〜1.75)、好ましくは1.56以上(例えば、1.56〜1.72)程度であってもよい。
ポリアミド樹脂の相対粘度(ηrel)は、例えば、1.03〜5、好ましくは1.05〜3、さらに好ましくは1.07〜2.5程度であってもよく、通常1.1〜3(例えば、1.2〜3、好ましくは1.3〜2.5)程度であってもよい。
なお、ポリアミド樹脂は、慣用の方法により製造できる。例えば、ポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分(A)とジアミン成分(B)とを反応(重合又は縮合)させることにより製造できる。重合方法(製造方法)としては、使用するジカルボン酸成分の種類などに応じて適宜選択でき、慣用の方法、例えば、溶融重合法(又は溶融重縮合法、ジカルボン酸成分とジアミン成分とを溶融混合下で重合させる方法)、溶液重合法(又は溶液重縮合法)、界面重合法(又は界面重縮合法)などが例示できる。
具体的には、溶融重縮合法では、ジカルボン酸成分とジアミン成分から調製した塩や、ジカルボン酸成分、ジアミン成分などの原料を、その融点以上の温度に加熱、溶融させ、水やアルコールなどの脱離成分を減圧下、反応系より除きながら反応を行うことができる。また、溶液重縮合法では、溶媒中、脱離成分を共沸や、第3級アミンなどの酸受容体、亜リン酸トリフェニル/ピリジン混合系などの縮合剤などにより除きながら反応を行うことができる。さらに、界面重縮合法では、ジカルボン酸の酸ハロゲン化物を非極性溶媒に溶解し、水酸化ナトリウムなど、アルカリ性を示す化合物の水溶液との界面で、ジアミン成分との反応を行うことができる。
また、溶融重縮合法において、ジカルボン酸成分とジアミン成分との塩は、それぞれを溶媒に溶解し、混合することで沈殿物として得ることができる。このような場合、溶媒としては、ジカルボン酸成分およびジアミン成分を溶解可能であれば特に限定されないが、例えば、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル類)、ケトン類(例えば、メチルエチルケトンなどの鎖状ケトン類;シクロヘキサノンなどの環状ケトン類など)、ハロゲン含有溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類)、アミド類(例えば、N,N’−ジメチルアセトアミド、N,N’−ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)、窒素含有溶媒(例えば、N−メチルピロリドンなど)などが挙げられる。溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、反応において、ジカルボン酸成分(A)やジアミン成分(B)などの使用量(使用割合)は、前記と同様の範囲から選択できるが、溶融重縮合法において、いずれかの成分(例えば、ジアミン成分(B))が揮発しやすい場合などには、揮発しやすい成分を過剰量(例えば、理論量よりも0.01〜3モル%以上多い割合で)用いてもよい。また、ジアミン成分などの揮発を防ぐため、反応初期において加圧下で反応させてもよい。重合反応は常圧下でも減圧下でもよいが、重合後期には、150Pa前後まで減圧し、反応系からの水やアルコールなどの脱離成分の除去を促すことが好ましい。
[樹脂組成物および成形体]
本発明のポリアミド樹脂は、単独で成形体を構成することができる。なお、このような本発明のポリアミド樹脂は、添加剤(後述の成分など)とともに、樹脂組成物(又は樹脂成形体)を構成することもできる。
なお、樹脂組成物は、その使用目的に応じて、各種添加剤[例えば、充填剤又は補強剤、着色剤(染顔料)、導電剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、離型剤、帯電防止剤、分散剤、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、表面改質剤、低応力化剤(シリコーンオイル、シリコーンゴム、各種プラスチック粉末、各種エンジニアリングプラスチック粉末など)、耐熱性改良剤(硫黄化合物やポリシランなど)、炭素材など]を含んでいてもよい。これらの添加剤は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
また、本発明には、前記ポリアミド樹脂又は前記樹脂組成物で形成された成形体も含まれる。このような成形体の形状は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択でき、例えば、二次元的構造(フィルム状、シート状、板状など)、三次元的構造(管状、棒状、チューブ状、中空状など)などが挙げられる。
特に、本発明のポリアミド樹脂又は樹脂組成物は、光学的特性に優れているため、光学材料又は光学用成形体(特に、光学フィルム、光学レンズなど)を好適に形成してもよい。
成形体は、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法、加圧成形法、キャスティング成形法などを利用して製造することができる。
特に、本発明の樹脂組成物は、種々の光学的特性に優れているため、フィルム(特に光学フィルム)を形成するのに有用である。そのため、本発明には、前記ポリアミド樹脂又は樹脂組成物で形成されたフィルム(光学フィルム)も含まれる。
このようなフィルムの厚みは、1〜1000μm程度の範囲から用途に応じて選択でき、例えば、1〜200μm、好ましくは5〜150μm、さらに好ましくは10〜120μm程度であってもよい。
このようなフィルム(光学フィルム)は、前記ポリアミド樹脂又は樹脂組成物を、慣用の成膜方法、キャスティング法(溶剤キャスト法)、溶融押出法、カレンダー法などを用いて成膜(又は成形)することにより製造できる。
フィルムは、延伸フィルムであってもよい。なお、このような延伸フィルムは、一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムのいずれであってもよい。
延伸倍率は、一軸延伸又は二軸延伸において各方向にそれぞれ1.1〜10倍(好ましくは1.2〜8倍、さらに好ましくは1.5〜6倍)程度であってもよく、通常1.1〜2.5倍(好ましくは1.2〜2.3倍、さらに好ましくは1.5〜2.2倍)程度であってもよい。なお、二軸延伸の場合、等延伸(例えば、縦横両方向に1.5〜5倍延伸)であっても偏延伸(例えば、縦方向に1.1〜4倍、横方向に2〜6倍延伸)であってもよい。また、一軸延伸の場合、縦延伸(例えば、縦方向に2.5〜8倍延伸)であっても横延伸(例えば、横方向に1.2〜5倍延伸)であってもよい。
延伸フィルムの厚みは、例えば、1〜150μm、好ましくは3〜120μm、さらに好ましくは5〜100μm程度であってもよい。
なお、このような延伸フィルムは、成膜後のフィルム(又は未延伸フィルム)に、延伸処理を施すことにより得ることができる。延伸方法は、特に制限がなく、一軸延伸の場合、湿式延伸法又は乾式延伸法のいずれであってもよく、二軸延伸の場合、テンター法(フラット法ともいわれる)であってもチューブ法であってもよいが、延伸厚みの均一性に優れるテンター法が好ましい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、樹脂の特性は以下の方法により測定した。
(相対粘度(ηrel))
サンプル0.25gをフェノール/エタノール混合溶媒(重量比:9/1)に溶解し、全量を50mLに調製した後、ウベローデ粘度計を用いて、25℃で測定した。
(融点、ガラス転移温度(Tg))
示差走査熱量計(エスアイアイナノテクノロジー株式会社製、EXSTAR6000 DSC6220)を用いて、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で、25℃から280℃まで測定した。
(5%重量減少温度(Td5))
示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイナノテクノロジー株式会社製、EXSTAR6000 TG/DTA6200)を用いて、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で、25℃から500℃まで測定した。
(貯蔵弾性率(E’))
サンプルをガラス転移温度+10℃でプレス成形し、フィルムを作製した。得られたフィルムを短冊状に切り出して試験片とし、動的粘弾性測定装置(株式会社ユービーエム製、Rheosol−G5000)を用いて、周波数1Hz、5℃/分の昇温速度で測定した。
(屈折率、アッベ数)
多波長アッベ屈折計(株式会社アタゴ製、DR−M2(循環式恒温水層60−C3))を用いて、25℃で測定した。
(実施例1)
撹拌機、窒素導入口、蒸留塔を備えた300mLフラスコに、FDP 7.76g(25.00mmol)、イソフタル酸4.15g(24.98mmol)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノシクロヘキシルメタン(すなわち、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン))11.97g(50.21mmol)、ジフェニルエーテル40.10gを仕込み、140℃に予熱したオイルバスで加熱した。0.5時間かけて240℃に昇温し、さらに2.5時間加熱した。この反応液を放冷後、ジメチルスルホキシド51.79gで希釈し、アセトン386.62g中に加えることで沈殿物(ポリアミド)を得た。この沈殿物をろ別し、50℃のアセトン500.77g中で洗浄した後、120℃で真空乾燥した(収量18.57g、収率84.1重量%)。
得られた固体について、各種測定を行ったところ、相対粘度は1.27、ガラス転移温度は227.5℃、5重量%重量減温度は373.0℃、270℃における貯蔵弾性率は0.03MPa、屈折率(25℃、589nm)は1.564、アッベ数は31.3であった。
実施例2
FDPのジメチルエステル体(以下、FDP−mという)2.54g(7.5mmol)、イソフタル酸ジメチル1.45g(7.5mmol)、メタキシリレンジアミン1.05g(7.5mmol)、3,3'−ジメチル−4,4’-ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン1.79g(7.5mmol)を試験管に仕込み、三方コックを取り付けた。この試験管内を窒素置換した後、200℃で1時間加熱した。その後、4時間かけて300℃、2000Paまで昇温、減圧し、さらに1時間加熱した。常圧に戻し透明な塊(ポリアミド)を得た。
得られた固体について、各種測定を行ったところ、相対粘度は1.13、ガラス転移温度は169.8℃、5重量%重量減温度は392.7℃、屈折率(25℃、589nm)は1.588、アッベ数は29.5であった。
実施例3
FDP−m1.27g(3.75mmol)、イソフタル酸ジメチル2.18g(11.25mmol)、3,3'−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン3.40g(14.25mmol)、1,12−ジアミノドデカメチレン0.15g(0.75mmol)を試験管に仕込み、三方コックを取り付けた。この試験管内を窒素置換した後、200℃で1時間加熱した。その後、4時間かけて300℃、2000Paまで昇温、減圧し、さらに1時間加熱した。常圧に戻し透明な塊(ポリアミド)を得た。
得られた固体について、各種測定を行ったところ、相対粘度は1.12、ガラス転移温度は174.7℃、5重量%重量減温度は387.9℃、屈折率(25℃、589nm)は1.555、アッベ数は34.4であった。
実施例4
FDP−m3.38g(10.00mmol)、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル2.44g(10.00mmol)、ビス(アミノメチル)ノルボルナン3.19g(20.70mmol)を試験管に仕込み、三方コックを取り付けた。この試験管内を窒素置換した後、170℃で1時間加熱した。その後、4時間かけて285℃、4000Paまで昇温、減圧し、さらに3時間加熱した。常圧に戻し透明な塊(ポリアミド)を得た。
得られた固体について、各種測定を行ったところ、相対粘度は1.20、ガラス転移温度は185.7℃、5重量%重量減温度は401.6℃、屈折率(25℃、589nm)は1.612であった。
実施例5
FDP−m3.38g(10.00mmol)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル2.03g(10.15mmol)、3,3'−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン4.80g(20.20mmol)を試験管に仕込み、三方コックを取り付けた。この試験管内を窒素置換した後、200℃で3時間加熱した。その後、2時間かけて285℃、7000Paまで昇温、減圧し、さらに4時間加熱した。常圧に戻し透明な塊(ポリアミド)を得た。
得られた固体について、各種測定を行ったところ、相対粘度は1.14、ガラス転移温度は192.6℃、5重量%重量減温度は397.3℃、屈折率(25℃、589nm)は1.548、アッベ数は37.2であった。
(参考例1)
撹拌機、温度計を備えた500mLフラスコに、FDP46.92g(151.19mmol)、テトラヒドロフラン281.74gを仕込み、フラスコ内の温度を50℃に調整し溶解させた後、1,6−ヘキサメチレンジアミン17.63g(151.72mmol)とメタノール53.45gの混合溶液を0.5時間かけて滴下した。室温で2.5時間撹拌した後、析出物をろ別した。この析出物をメタノール100.45gで洗浄し、50℃で真空乾燥した(析出物の収量63.01g、融点234℃)。
得られた析出物を試験管に4.77g仕込み、三方コックを取り付けた。この試験管内を窒素置換した後、260℃で2時間加熱、さらに減圧しながら260℃で2時間加熱した(最終的な真空度は170Paであった)。その後、常圧に戻し、透明な塊(ポリアミド)を得た。
得られた固体について、各種測定を行ったところ、相対粘度は1.23、ガラス転移温度は134.8℃、5重量%重量減温度は394.1℃、270℃における貯蔵弾性率は検出されず、屈折率(25℃、589nm)は1.599、アッベ数は29.8であった。
(参考例2)
撹拌機、温度計を備えた300mLフラスコに、FDP23.37g(75.30mmol)、テトラヒドロフラン140.06gを仕込み、フラスコ内の温度を50℃に調整し溶解させた後、メタキシリレンジアミン10.32g(75.78mmol)とテトラヒドロフラン10.25gの混合液を0.5時間かけて滴下した。室温で2.5時間撹拌した後、析出物をろ別した。この析出物をメタノール50.6gで洗浄し、50℃で真空乾燥した(析出物の収量33.16g、融点197℃)。
得られた析出物を試験管に5.23g仕込み、三方コックを取り付けた。この試験管内を窒素置換した後、260℃で2時間加熱、さらに減圧しながら260℃で2時間加熱した(最終的な真空度は170Paであった)。その後、常圧に戻し、透明な塊(ポリアミド)を得た。
得られた固体について、各種測定を行ったところ、相対粘度は1.22、ガラス転移温度は157.8℃、5重量%重量減温度は390.1℃、270℃における貯蔵弾性率は検出されず、屈折率(25℃、589nm)は1.630、アッベ数は25.8であった。
これらの結果を表に示す。
Figure 2014208766
表1中、貯蔵弾性率の欄の「−」は検出されなかったことを示す。
上記結果から明らかなように、フルオレン系ジカルボン酸成分と芳香族ジカルボン酸成分及び/又は脂環族ジカルボン酸成分とを組み合わせることで、高い屈折率を維持しつつ、いずれもTgが高く、ポリアミド樹脂の耐熱性を特異的に向上できることがわかった。なお、Tgが高いもののTgとTd5との差は100℃以上あり、十分に溶融成形可能なポリマーであることもわかった。
本発明のポリアミド樹脂は、耐熱性に優れ、高屈折率、高透明性などの特性も有している。
このような本発明のポリアミド樹脂又は樹脂組成物は、例えば、光学レンズ、光学フィルム、光学シート、ピックアップレンズ、ホログラム、液晶用フィルム、有機EL用フィルムなどに好適に利用できる。また、ポリアミド樹脂又は樹脂組成物は、塗料、帯電防止剤、インキ、接着剤、粘着剤、樹脂充填材、帯電トレイ、導電シート、保護膜(電子機器、液晶部材などの保護膜など)、電気・電子材料(キャリア輸送剤、発光体、有機感光体、感熱記録材料、ホログラム記録材料)、電気・電子部品又は機器(光ディスク、インクジェットプリンタ、デジタルペーパ、有機半導体レーザ、色素増感型太陽電池、EMIシールドフィルム、フォトクロミック材料、有機EL素子、カラーフィルタなど)用樹脂、機械部品又は機器(自動車、航空・宇宙材料、センサ、摺動部材など)用の樹脂などとして好適に利用できる。
特に、本発明のポリアミド樹脂又は樹脂組成物は、光学的特性に優れているため、光学用途の成形体(光学用成形体)を構成(又は形成)するのに有用である。このような光学用成形体としては、例えば、光学フィルム、光学レンズなどが挙げられる。
光学フィルムとしては、偏光フィルム(及びそれを構成する偏光素子と偏光板保護フィルム)、位相差フィルム、配向膜(配向フィルム)、視野角拡大(補償)フィルム、拡散板(フィルム)、プリズムシート、導光板、輝度向上フィルム、近赤外吸収フィルム、反射フィルム、反射防止(AR)フィルム、反射低減(LR)フィルム、アンチグレア(AG)フィルム、透明導電(ITO)フィルム、異方導電性フィルム(ACF)、電磁波遮蔽(EMI)フィルム、電極基板用フィルム、カラーフィルタ基板用フィルム、バリアフィルム、カラーフィルタ層、ブラックマトリクス層、光学フィルム同士の接着層もしくは離型層などが挙げられる。とりわけ、本発明のフィルムは、機器のディスプレイに用いる光学フィルムとして有用である。このような本発明の光学フィルムを備えたディスプレイ用部材(又はディスプレイ)としては、具体的には、パーソナル・コンピュータのモニタ、テレビジョン、携帯電話、カー・ナビゲーションシステム、タッチパネルなどのFPD装置(例えば、LCD、PDPなど)などが挙げられる。

Claims (8)

  1. ジカルボン酸成分(A)と、ジアミン成分(B)とを重合成分とするポリアミド樹脂であって、ジカルボン酸成分(A)が、フルオレン系ジカルボン酸成分(A1)と、芳香族ジカルボン酸成分及び脂環族ジカルボン酸成分から選択された少なくとも一種のジカルボン酸成分(A2)とを含む、ポリアミド樹脂。
  2. フルオレン系ジカルボン酸成分(A1)が9,9−ビス(カルボキシアルキル)フルオレン類およびそのエステル形成性誘導体から選択された少なくとも1種である請求項1記載のポリアミド樹脂。
  3. フルオレン系ジカルボン酸成分(A1)とジカルボン酸成分(A2)との割合が、前者/後者(モル比)=95/5〜20/80である請求項1又は2記載のポリアミド樹脂。
  4. ジアミン成分(B)が、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン及び芳香族ジアミンから選択された少なくとも1種を含む請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
  5. ジアミン成分(B)が、単環式シクロアルカンジアミン、橋架け環式シクロアルカンジアミン、及び下記式(B1)で表されるジアミンから選択された少なくとも一種のジアミンを含む請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
    Figure 2014208766
    (式中、Eは連結基、Zは炭化水素環、Rはアミノ基以外の置換基、nは0以上の整数を示す。)
  6. 下記(a)及び(b)から選択された少なくとも1つの特性を有する請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
    (a)ガラス転移温度が、165℃以上である
    (b)25℃、589nmにおける屈折率が1.55以上である
  7. 請求項1〜6のいずれかのポリアミド樹脂で形成された成形体。
  8. 光学フィルムである請求項7記載の成形体。
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