JP2017171885A - 高屈折率樹脂及び成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高屈折率と低複屈折とを両立できる新規なポリエステル樹脂を提供する。【解決手段】式(1)で表される構成単位及び/又は式(1)で表される構成単位において一方のナフタレン環とA1を除去した構造単位と、9,9−ビスヒドロキシアリールフルオレン骨格を有する構成単位と、を含むポリエステル樹脂。(A1は直接結合又はアルキレン基;A2はアルキレン基;L1はアルキレン基;R1及びR2は置換基;hは0又は1;nは0以上の整数;mは0〜2の整数;kは0〜4の整数)【選択図】なし

Description

本発明は、ナフタレン骨格及びフルオレン骨格を有する新規なポリエステル樹脂及びこのポリエステル樹脂で形成された成形体(例えば、光学フィルム、光学レンズなどの光学用成形体)に関する。
光学レンズ用樹脂の高屈折率化のニーズは高く、現在は屈折率1.66台の熱可塑性樹脂が市場に出回りつつある。しかし、近年の光学機器の高度な要求に対して、更なる高屈折率化(1.66以上)が求められている。なかでも、ポリエステル樹脂は、光学特性や機械的特性のバランスに優れるため、光学レンズとして汎用されている。一方、高屈折率樹脂としては、フルオレン骨格(9,9−ビスアリールフルオレン骨格)やナフタレン骨格を導入した樹脂が知られており、ポリエステル樹脂においても、フルオレン骨格やナフタレン骨格を導入した高屈折率なポリエステル樹脂が提案されている。
特開2001−72872号公報(特許文献1)には、内部回転異性性を付与しうる結合軸で結合し、この結合軸に対し少なくとも一方のアリール基のπ電子数が4n+6(nは自然数)であるビアリール化合物を有するジオール成分やジカルボン酸成分として含むポリエステル樹脂が開示されている。この文献の実施例では、1,1’−ビナフチル骨格を有するジオール成分と、エチレングリコールと、1,1’−ビナフチル骨格を有するジカルボン酸とを重合して得られたポリエステルなどが記載されている。
しかし、このポリエステルも、十分に高屈折率化されていない。
特開2011−168722号公報(特許文献2)には、多環式芳香族ジカルボン酸成分を含むジカルボン酸成分と、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン骨格を有する化合物を含むジオール成分とを重合成分とするポリエステル樹脂が開示されている。
しかし、このポリエステル樹脂は、1.66を超える屈折率を有しているが、同時に複屈折も高い。
WO2015/170691号パンフレット(特許文献3)には、ビナフチル骨格を有するジオール成分に由来する構成単位と、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有するジオール成分に由来する構成単位と、ジカルボン酸又はその誘導体に由来する単位とを含むポリエステル樹脂が開示されている。この文献の実施例では、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンと、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)は1,1’−ビナフタレンと、エチレングリコールと、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルとを重合して得られるポリエステルなどが記載されている。
しかし、このポリエステルでも、高屈折率化は十分でなく、例えば、実施例のポリエステルの屈折率は1.66未満である。
すなわち、高屈折率と低複屈折とはトレードオフの関係にあり、従来のポリエステル樹脂では、両特性を両立させることは困難であった。
特開2001−72872号公報(請求項1及び5、実施例、表1) 特開2011−168722号公報(請求項1、実施例) WO2015/170691号パンフレット(請求項1、実施例、表8)
従って、本発明の目的は、高屈折率と低複屈折とを両立できるポリエステル樹脂及びこのポリエステル樹脂で形成された成形体(例えば、光学フィルム、光学レンズなどの光学用成形体)を提供することにある。
本発明の他の目的は、アッベ数が低く、耐熱性、成形性及び機械的特性にも優れたポリエステル樹脂及びこのポリエステル樹脂で形成された成形体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、特定のナフタレン骨格及びフルオレン骨格を有する新規なポリエステル樹脂が、高屈折率と低複屈折という相反する特性を両立できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のポリエステル樹脂は、下記式(1)で表される構成単位及び/又は下記式(2)で表される構成単位と、下記式(3)で表される構成単位とを含む。
Figure 2017171885
(式中、Aは直接結合又はアルキレン基、Aはアルキレン基、Lはアルキレン基、R及びRは置換基、hは0又は1、nは0以上の整数、mは0〜2の整数、kは0〜4の整数である)。
Figure 2017171885
(式中、Aはアルキレン基、Lはアルキレン基、R及びRは置換基、jは0又は1、pは0以上の整数、qは0〜2の整数、rは0〜4の整数である)。
Figure 2017171885
(式中、環Zはアレーン環、Aはアルキレン基、R及びRは置換基、sは0以上の整数、tは0〜4の整数、uは0以上の整数である)。
前記式(1)で表される構成単位は、式(1a)で表される構成単位であり、前記式(2)で表される構成単位は、式(2a)で表される構成単位であってもよい。
Figure 2017171885
(式中、Aは直接結合又はアルキレン基、Aはアルキレン基、Lはアルキレン基、R及びRは置換基、hは0又は1、nは0以上の整数、mは0〜2の整数、kは0〜4の整数である)。
Figure 2017171885
(式中、Aはアルキレン基、Lはアルキレン基、R及びRは置換基、jは0又は1、pは0以上の整数、qは0〜2の整数、rは0〜4の整数である)。
前記式(1)又は(1a)において、Aは直接結合又はメチレン基であり、Lはメチレン基であり、hは1であり、nは0であってもよい。前記式(2)又は(2a)において、Lはメチレン基であり、jは0であってもよい。前記式(3)において、Zはナフタレン環であってもよい。
本発明のポリエステル樹脂は、下記式(4)で表される構成単位及び/又は下記式(5)で表される構成単位をさらに含んでいてもよい。
Figure 2017171885
(式中、Aはアルキレン基、Rは置換基、vは0〜4の整数である)。
Figure 2017171885
(式中、Aはアルキレン基、Rは置換基、w及びxは0〜4の整数である)。
前記式(1)で表される構成単位及び/又は式(2)で表される構成単位と、式(4)で表される構成単位及び/又は式(5)で表される構成単位とのモル比は、前者/後者=100/0〜10/90程度である。
本発明のポリエステル樹脂は、下記式(6)で表される構成単位をさらに含んでいてもよい。前記式(3)で表される構成単位と、式(6)で表される構成単位とのモル比は、前者/後者=100/0〜10/90程度である。
Figure 2017171885
(式中、Aはアルキレン基である)。
本発明のポリエステル樹脂は、20℃、波長589nmでの屈折率が1.665〜1.700であり、20℃でのアッベ数が15〜25であり、ガラス転移点よりも10℃高い温度で3倍に延伸したフィルムにおける20℃、波長600nmでの複屈折の絶対値が0.01×10−4〜75×10−4であってもよい。
本発明には、前記ポリエステル樹脂を含む成形体も含まれる。本発明の成形体は、光学フィルム、光学シート、光学レンズなどの光学用部材であってもよい。
本発明のポリエステル樹脂は、特定のジカルボン酸成分(A)由来の単位と、特定のジオール成分(B)由来の単位とを構成単位に含むポリエステル樹脂(例えば、線状ポリエステル樹脂など)である。
[ジカルボン酸成分(A)由来の単位]
(式(1)及び(2)で表される構成単位)
本発明では、ジカルボン酸成分(A)由来の必須構成単位として、前記式(1)で表される構成単位及び/又は前記式(2)で表される構成単位を含む。本発明では、ジカルボン酸成分として、このような特定のナフタレン骨格を有する構成単位を含むため、ナフタレン環に由来する複屈折の発現が抑えられ、低複屈折を実現できる。
前記式(1)において、基Aのアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、1,2−ブタンジイル基、テトラメチレン基などのC1−4アルキレン基などが例示できる。基Aとしては、光学特性の点から、直接結合、C1−2アルキレン基が好ましく、直接結合、メチレン基(特に直接結合)が特に好ましい。
オキシアルキレン基を構成する基Aのアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、1,2−ブタンジイル基、テトラメチレン基などのC2−6アルキレン基などが挙げられる。両側の基Aは、それぞれ同一のアルキレン基であってもよく、異なるアルキレン基であってもよい。また、nが2以上のポリオキシアルキレン基であるとき、ポリオキシアルキレン基を構成するアルキレン基は異なるアルキレン基であってもよく、通常、同一のアルキレン基であってもよい。基Aとしては、光学特性の点から、C2−4アルキレン基が好ましく、エチレン基やプロピレン基などのC2−3アルキレン基が特に好ましい。
オキシアルキレン基AOの繰り返し数(付加モル数)であるn(各基AOの繰り返し数)は、0以上の整数であればよいが、光学特性の点から、例えば0〜3、好ましくは0〜2、さらに好ましくは0又は1(特に0)である。hは、0又は1のいずれであってもよいが、反応性などの点から、1が好ましい。なお、nが0、hが1である場合が多い。
基Lのアルキレン基としては、基Aのアルキレン基と同様のC1−4アルキレン基などが例示できる。基Lとしては、光学特性の点から、C1−2アルキレン基が好ましく、通常、メチレン基である場合が多い。
ビナフタレン骨格を連結するための主鎖となるカルボニル含有基である基−[O−(AO)−L]−CO−は、ナフタレン環の2位、3位、4位(又は2’位、3’位、4’位)のいずれの位置であってもよいが、複屈折を低減できる点から、前記式(1a)で示される位置である2位(又は2’位)が特に好ましい。
置換基Rとしては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのC1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロへキシル基などのC5−8シクロアルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基などのC6−10アリール基など)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基などのC1−6アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(シクロヘキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基など)、アラルキルオキシ基(ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など);アルキルチオ基(メチルチオ基などのC1−6アルキルチオ基など);アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など);ヒドロキシル基;ニトロ基;シアノ基;ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ基などのジC1−4アルキルアミノ基など);ジアルキルカルボニルアミノ基(ジアセチルアミノ基などのジC1−4アルキル−カルボニルアミノ基など)などが例示できる。
これらの置換基Rは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。置換基Rとしては、C1−6アルキル基、C5−8シクロアルキル基、C1−4アルコキシ基が好ましく、メチル基などのC1−4アルキル基が特に好ましい。
置換基Rの置換数mは、それぞれ0〜2の整数から選択でき、好ましくは0又は1、さらに好ましくは0であってもよい。なお、置換数mは、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
置換基Rとしても、前記置換基Rとして例示された置換基などを例示できる。置換基Rとしては、C1−6アルキル基、C5−8シクロアルキル基、C1−4アルコキシ基が好ましく、メチル基などのC1−4アルキル基が特に好ましい。
置換基Rの置換数kは、それぞれ0〜4の整数から選択でき、例えば0〜3、好ましくは0〜2、さらに好ましくは0〜1(特に0)であってもよい。なお、置換数kも、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記式(2)において、オキシアルキレン基を構成する基Aのアルキレン基及びその繰り返し数pは、好ましい態様も含め、前記式(1)における基A及びnとそれぞれ同一である。jは、0又は1のいずれであってもよいが、反応性の点から、1が好ましい。なお、pが0、jが1である場合が多い。
基Lのアルキレン基としては、好ましい態様も含め、前記式(1)における基Aのアルキレン基と同様であり、基Lは、C1−2アルキレン基、通常、メチレン基である場合が多い。
ナフタレン骨格を連結するための主鎖となるカルボニル含有基である基−[O−(AO)−L]−CO−は、2つの基がいずれもナフタレン環の1〜4位にあればよく、1位及び2位、1位及び3位、1位及び4位、2位及び4位であってもよいが、複屈折の低減効果が大きい点から、前記式(2a)で示される位置である2位及び3位が特に好ましい。
置換基Rとしても、前記置換基Rとして例示された置換基などが挙げられる。置換基Rとしては、C1−6アルキル基、C5−8シクロアルキル基、C1−4アルコキシ基が好ましく、メチル基などのC1−4アルキル基が特に好ましい。
置換基Rの置換数qは、それぞれ0〜2の整数から選択でき、好ましくは0又は1、さらに好ましくは0であってもよい。なお、置換数qは、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
置換基Rとしても、前記置換基Rとして例示された置換基などが挙げられる。置換基Rとしては、C1−6アルキル基、C5−8シクロアルキル基、C1−4アルコキシ基が好ましく、メチル基などのC1−4アルキル基が特に好ましい。
置換基Rの置換数rは、それぞれ0〜4の整数から選択でき、例えば0〜3、好ましくは0〜2、さらに好ましくは0〜1(特に0)であってもよい。なお、置換数rも、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
(式(4)及び(5)で表される構成単位)
ジカルボン酸成分(A)由来の単位は、前記式(1)で表される構成単位及び/又は前記式(2)で表される構成単位に加えて、さらに前記式(4)で表される構成単位及び/又は前記式(5)で表される構成単位をさらに含んでいてもよい。ジカルボン酸成分(A)由来の単位は、両単位を組み合わせることにより、複屈折をさらに低減できるとともに、成形性も向上できる。
前記式(4)において、基Aのアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、2−エチルエチレン基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−8アルキレン基が例示できる。基Aのアルキレン基は、置換基をさらに有していてもよい。置換基としては、例えば、アリール基(例えば、フェニル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基など)などが例示できる。
基Aとしては、直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキレン基が特に好ましく、エチレン基、プロピレン基などの直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基である場合が多い。置換基を有するアルキレン基は、例えば、1−フェニルエチレン基、1−フェニルプロパン−1,2−ジイル基などであってもよい。
置換基Rとしては、前記置換基Rとして例示された置換基などが例示できる。置換基Rとしては、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基(特にアルキル基)である場合が多い。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−12アルキル基(例えば、C1−8アルキル基、特にメチル基などのC1−4アルキル基)などが例示できる。
なお、vが複数(2以上)である場合、フルオレン骨格中の同一ベンゼン環内の基Rは、それぞれのベンゼン環内において、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレン骨格を構成する2つのベンゼン環に置換する基Rは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレン骨格を構成する2つのベンゼン環に対する基Rの結合位置(置換位置)は、特に限定されず、例えば、フルオレン骨格の2−位、7−位、2−位及び7−位などが例示できる。好ましい置換数vは、例えば0〜1、特に0である。なお、フルオレン骨格を構成する2つのベンゼン環において、置換数vは、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記式(5)において、基Aのアルキレン基としても、前記Aとして例示されたアルキレン基が例示できる。基Aとしては、直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキレン基が特に好ましく、メチレン基、エチレン基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−3アルキレン基である場合が多い。
メチレン基の繰り返し数であるwは、1〜4の整数から選択でき、例えば0〜2、好ましくは0又は1である。
置換基R及びその置換数xは、好ましい態様も含め、前記式(4)における置換基R及びvとそれぞれ同一である。
式(1)で表される構成単位及び/又は式(2)で表される構成単位と、式(4)で表される構成単位及び/又は式(5)で表される構成単位とのモル比は、例えば、前者/後者=100/0〜10/90、好ましくは90/10〜20/80(例えば80/20〜25/75)、さらに好ましくは70/30〜30/70(特に60/40〜40/60)程度である。前者の構成単位の割合が少なすぎると、屈折率が低くなる虞があり、後者の構成単位の割合が少なすぎると、複屈折が高くなる虞がある。
(他の構成単位)
ジカルボン酸成分(A)由来の単位は、さらに他のジカルボン酸由来の構成単位を含んでいてもよい。他のジカルボン酸には、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸成分などが含まれる。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、多環式芳香族ジカルボン酸{例えば、縮合多環式芳香族ジカルボン酸[例えば、異なるベンゼン環にカルボキシル基を有するナフタレンジカルボン酸(例えば、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸など)、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸などの縮合多環式C10−24アレーン−ジカルボン酸など];アリールアレーンジカルボン酸[例えば、ビフェニルジカルボン酸(例えば、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸など)などのC6−10アリール−C6−10アレーン−ジカルボン酸など];ジアリールアルカンジカルボン酸[例えば、ジフェニルアルカンジカルボン酸(例えば、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸など)などのジC6−10アリールC1−6アルカン−ジカルボン酸など];ジアリールケトンジカルボン酸[例えば、ジフェニルケトンジカルボン酸(例えば、4.4’−ジフェニルケトンジカルボン酸など)などのジC6−10アリールケトン−ジカルボン酸)など]など};単環式芳香族ジカルボン酸[例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アルキルイソフタル酸(例えば、4−メチルイソフタル酸などのC1−4アルキルイソフタル酸など)などのC6−10アレーン−ジカルボン酸など]などが例示できる。
脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロアルカンジカルボン酸(例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などのC5−10シクロアルカン−ジカルボン酸など);ジ又はトリシクロアルカンジカルボン酸(例えば、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸など);シクロアルケンジカルボン酸(例えば、シクロヘキセンジカルボン酸などのC5−10シクロアルケン−ジカルボン酸);ジ又はトリシクロアルケンジカルボン酸(例えば、ノルボルネンジカルボン酸など)などが例示できる。
脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アルカンジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などのC2−12アルカン−ジカルボン酸など)、不飽和脂肪族ジカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのC2−10アルケン−ジカルボン酸など)などが例示できる。
他の構成単位の割合は、ジカルボン酸成分(A)由来の単位全体に対して30モル%以下(例えば0.01〜30モル%)であってもよく、好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。他の構成単位の割合が多すぎると、光学特性が低下する虞がある。
[ジオール成分(B)由来の単位]
(式(3)で表される構成単位)
本発明では、ジオール成分(B)由来の必須構成単位として、前記式(3)で表される構成単位を含む。本発明では、ジオール成分として、このような9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する構成単位を含むため、高屈折率であっても、複屈折を抑制できる。
前記式(3)において、環Zで表されるアレーン環としては、ベンゼン環などの単環式アレーン環、多環式アレーン環などが挙げられ、多環式アレーン環には、縮合多環式アレーン環(縮合多環式芳香族炭化水素環)、環集合アレーン環(環集合芳香族炭化水素環)などが含まれる。
縮合多環式アレーン環としては、例えば、縮合二環式アレーン環(例えば、ナフタレン環などの縮合二環式C10−16アレーン環)、縮合三環式アレーン環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環など)などの縮合二乃至四環式アレーン環などが例示できる。
環集合アレーン環としては、ビアレーン環(例えば、ビフェニル環、ビナフチル環、フェニルナフタレン環(1−フェニルナフタレン環、2−フェニルナフタレン環など)などのビC6−12アレーン環など)、テルアレーン環(例えば、テルフェニレン環などのテルC6−12アレーン環など)などが例示できる。
これらの環Zのうち、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ビフェニル環が好ましく、複屈折を低減できる点から、ビフェニル環が特に好ましく、屈折率を向上でき、かつ機械的特性を向上できる点から、ナフタレン環が特に好ましい。なお、フルオレンの9位に置換する2つの環Zは同一の又は異なる環であってもよく、通常、同一の環であってもよい。
環Zにおいて、主鎖骨格を形成する2つの結合の位置は特に限定されず、Zがベンゼン環である場合、フルオレンの9位との結合位置に対して、他方の結合位置は、例えば、o−位又はp−位であってもよく、p−位が汎用される。ナフタレン環である場合、フルオレンが1−位に結合したナフタレン環に対する他方の結合位置は、例えば、2−位、4−位、5−位又は7−位などであってもよく、5−位が汎用される。フルオレンが2−位に結合したナフタレン環に対する他方の結合位置は、例えば、1−位、3−位、6−位又は8−位などであってもよく、6−位が汎用される。Zがビフェニル環である場合、2つの結合位置は、同一又は異なる環であってもよく、例えば、フルオレンが3−位に結合したビフェニル環に対する他方の結合位置は、5−位、6−位、2’−位、3’−位、4’−位又は、5’−位、6’−位などであってもよく、6−位が汎用される。
前記式(3)において、オキシアルキレン基を構成する基Aのアルキレン基は、好ましい態様も含め、前記式(1)における基Aと同一である。オキシアルキレン基AOの繰り返し数(付加モル数)であるsは、0以上の整数であればよいが、光学特性の点から、例えば0〜3、好ましくは0〜2、さらに好ましくは0又は1(特に1)である。
置換基Rとしては、前記式(1)におけるRとして例示された置換基などを例示できる。置換基Rとしては、C1−6アルキル基、C5−8シクロアルキル基、C1−4アルコキシ基が好ましく、メチル基などのC1−4アルキル基が特に好ましい。
置換基Rの置換数tは、0〜4の整数から選択でき、例えば0〜3、好ましくは0〜2、さらに好ましくは0〜1(特に0)であってもよい。なお、置換数tは、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
置換基Rとしては、前記式(1)におけるRとして例示された置換基のうち、アリール基以外の置換基などを例示できる。置換基Rとしては、C1−6アルキル基、C5−8シクロアルキル基、C1−4アルコキシ基が好ましく、メチル基などのC1−4アルキル基が特に好ましい。置換数uは、0以上の整数であればよく、環Zの種類に応じて適宜選択できる。例えば、0〜8程度の整数であってもよく、好ましくは0〜4(例えば0〜3)、さらに好ましくは0〜2(例えば0又は1)、特に0であってもよい。なお、置換数uは、互いに同一又は異なっていてもよい。また、置換数uが2以上である場合、同一の環Zに置換する2以上の基Rの種類は、同一又は異なっていてもよい。特に、uが1である場合、環Zがベンゼン環、ナフタレン環又はビフェニル環、基Rがメチル基であってもよい。また、基Rの置換位置は、特に制限されず、環Zと、エーテル結合(−O−)及びフルオレンの9−位との結合位置以外の位置に置換していればよい。
(式(6)で表される構成単位)
ジオール成分(B)由来の単位は、前記式(3)で表される構成単位に加えて、前記式(6)で表される構成単位をさらに含んでいてもよい。ジオール成分由来の単位(B)として、前記式(6)で表される構成単位を含むことにより、重合反応性(ポリエステル樹脂の分子量)やポリエステル樹脂の成形性などを向上できる。
前記式(6)において、基Aのアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、1,2−ブタンジイル基、テトラメチレン基、1,5−ブタンジイル基、1,6−ヘキサンジイル基などのC2−10アルキレン基などが挙げられる。これらのアルキレン基は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのアルキレン基のうち、エチレン基、プロピレン基などのC2−4アルキレン基が好ましく、C2−3アルキレン基(特にエチレン基)が特に好ましい。
前記式(3)で表される構成単位と、前記式(6)で表される構成単位とのモル比は、前者/後者=100/0〜10/90、好ましくは99/1〜30/70(例えば95/5〜50/50)、さらに好ましくは92/8〜70/30(特に90/10〜75/25)程度である。前記式(6)で表される構成単位の割合が多すぎると、光学特性が低下する虞がある。
(他の構成単位)
ジオール成分(B)由来の単位は、さらに他のジオール由来の構成単位を含んでいてもよい。他のジオールには、ポリアルカンジオール、脂環族ジオール、芳香族ジオールなどが含まれる。
ポリアルカジオールとしては、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコールなどのジ又はトリC2−4アルカンジオールなどが例示できる。脂環族ジオールとしては、例えば、シクロアルカンジオール(例えば、シクロヘキサンジオールなどのC5−8シクロアルカンジオール)、ジ(ヒドロキシアルキル)シクロアルカン(例えば、シクロヘキサンジメタノールなどのジ(ヒドロキシC1−4アルキル)C5−8シクロアルカンなど)、イソソルバイドなどが例示できる。芳香族ジオールとしては、例えば、ジヒドロキシアレーン(ハイドロキノン、レゾルシノールなど)、芳香脂肪族ジオール(例えば、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノールなどのジ(ヒドロキシC1−4アルキル)C6−10アレーンなど)、ビスフェノール類[例えば、ビフェノール、ビスフェノールAなどのビス(ヒドロキシフェニル)C1−10アルカンなど]、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加体などが例示できる。
他の構成単位の割合は、ジオール成分(B)由来の単位全体に対して30モル%以下(例えば0.01〜30モル%)であってもよく、好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。他の構成単位の割合が多すぎると、光学特性が低下する虞がある。
[ポリエステル樹脂の特性]
本発明のポリエステル樹脂は、前記ジカルボン酸成分(A)と前記ジオール酸成分(B)とを重合成分とする樹脂であり、種々の特性(例えば、光学的特性、機械的特性、熱的特性など、特に光学的特性、機械的特性)において優れている。例えば、本発明のポリエステル樹脂は、特定のジカルボン酸成分(由来の骨格)と特定のジオール成分(由来の骨格)とを組み合わせて有し、高屈折率と低複屈折とを両立している。
本発明のポリエステル樹脂の20℃、波長589nmでの屈折率は、例えば1.655以上(例えば1.655〜1.750程度)の範囲から選択でき、例えば1.665以上(例えば1.665〜1.700程度)、好ましくは1.670以上(例えば1.670〜1.697程度)、さらに好ましくは1.675以上(例えば1.675〜1.695程度)、特に高屈折率が要求される用途では、1.680以上(例えば1.680〜1.690程度)であってもよい。
本発明のポリエステル樹脂の20℃でのアッベ数は、例えば23.0以下(例えば17.0〜23.0程度)の範囲から選択でき、例えば22.0以下(例えば17.0〜22.0程度)、好ましくは21.0以下(例えば17.0〜21.0程度)、さらに好ましくは20.0以下(例えば17.0〜20.0程度)、特に19.0以下(例えば17.0〜19.0程度)であってもよい。
本発明のポリエステル樹脂の20℃、波長600nmでの複屈折(ガラス転移点よりも10℃高い温度で3倍に延伸したフィルムにおける複屈折)の絶対値は、例えば75×10−4以下(例えば0.001×10−4〜75×10−4程度)の範囲から選択でき、例えば、60×10−4以下(例えば0.005×10−4〜60×10−4程度)、好ましくは50×10−4以下(例えば0.01×10−4〜50×10−4程度)、さらに好ましくは40×10−4以下(例えば0.1×10−4〜40×10−4程度)、特に30×10−4以下(例えば1×10−4〜30×10−4程度)であってもよく、より低い複屈折が求められる場合には、例えば25×10−4以下(例えば5×10−4〜25×10−4程度)、好ましくは20×10−4以下(例えば10×10−4〜20×10−4程度)であってもよい。なお、本明細書及び特許請求の範囲では、この複屈折は、後述する実施例に記載の方法(測定条件B)で測定できる。複屈折は、分子構造に由来する固有の複屈折と、特定の条件により成形した後の高分子鎖の配向度とに依存するが、後述する測定条件Aよりも測定条件Bの方が、高分子鎖の配向度が高く、即ち、絶対値が大きくなる。
本発明のポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は比較的高く、例えば120〜200℃程度の範囲から選択でき、例えば130℃以上(例えば130〜190℃程度)、好ましくは140℃以上(例えば140〜180℃程度)、さらに好ましくは150℃以上(例えば150〜170℃程度)、特に155℃以上(例えば155〜165℃程度)であってもよい。
本発明のポリエステル樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)において、ポリスチレン換算で、例えば1.5×10〜50×10程度の範囲から選択でき、例えば2×10〜40×10、好ましくは2.5×10〜30×10、さらに好ましくは3×10〜20×10程度、特に3.5×10〜15×10程度であってもよい。
[ポリエステル樹脂の製造方法]
本発明のポリエステル樹脂は、前記ジカルボン酸成分(A)と前記ジオール成分(B)とを反応(重合又は縮合)させることにより製造できる。重合方法(製造方法)としては、慣用の方法、溶融重合法(ジカルボン酸成分とジオール成分とを溶融混合下で重合させる方法)、溶液重合法、界面重合法などが例示できる。好ましい方法は、溶融重合法である。
また、反応において、ジカルボン酸成分(A)及びジオール成分(B)の使用量(使用割合)は、前記構成単位と同様の範囲から選択できるが、必要に応じて各成分などを過剰に用いて反応させてもよい。例えば、反応系から留出可能なエチレングリコールなどのジオール成分(前記式(6)で表される構成単位の原料)は、ポリエステル樹脂中に導入される他のジオール成分由来骨格の割合よりも過剰に使用してもよい。また、反応は、重合方法に応じて、溶媒の存在下又は非存在下で行ってもよい。
反応は、触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、ポリエステル樹脂の製造に利用される種々の触媒、例えば、金属触媒などが使用できる。金属触媒としては、例えば、アルカリ金属(ナトリウムなど)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、バリウムなど)、遷移金属(マンガン、亜鉛、カドミウム、鉛、コバルト、チタンなど)、周期表第13族金属(アルミニウムなど)、周期表第14族金属(ゲルマニウムなど)、周期表第15族金属(アンチモンなど)などを含む金属化合物が用いられる。金属化合物としては、例えば、アルコキシド、有機酸塩(酢酸塩、プロピオン酸塩など)、無機酸塩(ホウ酸塩、炭酸塩など)、金属酸化物などが例示できる。これらの触媒は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。触媒の使用量は、例えば、ジカルボン酸成分1モルに対して0.01×10−4〜100×10−4モル、好ましくは0.1×10−4〜40×10−4モル程度であってもよい。
また、反応は、必要に応じて、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤など)などの添加剤の存在下で行ってもよい。
反応は、通常、不活性ガス(窒素、ヘリウムなど)雰囲気中で行うことができる。また、反応は、減圧下(例えば1×10〜1×10Pa程度)で行うこともできる。反応温度は、重合法に応じて選択でき、例えば、溶融重合法における反応温度は、150〜300℃、好ましくは180〜290℃、さらに好ましくは200〜280℃程度であってもよい。本発明のポリエステル樹脂は、フルオレン骨格を有するジカルボン酸成分を含む特定のジカルボン酸成分を原料とするためか、比較的低粘度であり、溶融重合により製造しやすい。
前記ジカルボン酸成分(A)のうち、前記式(1)で表される構成単位を形成するための代表的な原料(単量体又はモノマー)であるジカルボン酸としては、例えば、2,2’−ジカルボキシビナフチル、3,3’−ジカルボキシビナフチル、4,4’−ジカルボキシビナフチルなどのジカルボキシビナフチル;ビス(カルボキシアルコキシ)ビナフチル、例えば、2,2’−ビス(カルボキシメトキシ)−1,1’−ビナフチル、3,3’−ビス(カルボキシメトキシ)−1,1’−ビナフチル、4,4’−ビス(カルボキシメトキシ)−1,1’−ビナフチルなどのビス(カルボキシC1−4アルコキシ)ビナフチル(例えば、ビス(カルボキシメトキシ)ビナフチル);ビス(カルボキシアルコキシアルコキシ)ビナフチル、例えば、2,2’−ビス(カルボキシメトキシエトキシ)−1,1’−ビナフチル、3,3’−ビス(カルボキシメトキシエトキシ)−1,1’−ビナフチル、4,4’−ビス(カルボキシメトキシエトキシ)−1,1’−ビナフチルなどのビス(カルボキシC1−3アルコキシC2−4アルコキシ)ビナフチル(例えば、ビス(カルボキシメトキシC2−4アルコキシ)ビナフチル)などが例示できる。
前記(2)で表される構成単位を形成するための代表的なジカルボン酸としては、例えば、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,4−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸;ビス(カルボキシアルコキシ)ナフタレン、例えば、1,2−ビス(カルボキシメトキシ)ナフタレン、1,3−ビス(カルボキシメトキシ)ナフタレン、1,4−ビス(カルボキシメトキシ)ナフタレン、2,3−ビス(カルボキシメトキシ)ナフタレン、2,4−ビス(カルボキシメトキシ)ナフタレンなどのビス(カルボキシC1−4アルコキシ)ナフタレン(例えば、ビス(カルボキシメトキシ)ナフタレン);ビス(カルボキシアルコキシアルコキシ)ナフタレン、例えば、1,2−ビス(カルボキシメトキシエトキシ)ナフタレン、1,3−ビス(カルボキシメトキシエトキシ)ナフタレン、1,4−ビス(カルボキシメトキシエトキシ)ナフタレン、2,3−ビス(カルボキシメトキシエトキシ)ナフタレン、2,4−ビス(カルボキシメトキシエトキシ)ナフタレンなどのビス(カルボキシC1−3アルコキシC2−4アルコキシ)ナフタレン(例えば、ビス(カルボキシメトキシC2−4アルコキシ)ナフタレン)などが例示できる。
前記式(4)で表される構成単位を形成するための代表的なジカルボン酸としては、9,9−ビス(カルボキシアルキル)フルオレン、例えば、9,9−ビス(2−カルボキシエチル)フルオレン、9,9−ビス(2−カルボキシプロピル)フルオレンなどの9,9−ビス(カルボキシC2−6アルキル)フルオレンなどが例示できる。
前記式(5)で表される構成単位を形成するための代表的なジカルボン酸としては、9−(カルボキシ−カルボキシアルキル)フルオレン、例えば、9−(1−カルボキシ−2−カルボキシエチル)フルオレン、9−(2−カルボキシ−3−カルボキシプロピル)フルオレンなどの9−(カルボキシ−カルボキシC2−6アルキル)フルオレンなどが例示できる。
これらのジカルボン酸成分(A)は、エステル形成性誘導体であってもよい。エステル形成性誘導体としては、例えば、エステル[例えば、アルキルエステル[例えば、メチルエステル、エチルエステルなどの低級アルキルエステル(例えば、C1−4アルキルエステル、特にC1−2アルキルエステル)など]など]、酸ハライド(例えば、酸クロライドなど)、酸無水物などが例示できる。エステル形成性誘導体は、モノエステル(ハーフエステル)又はジエステルであってもよい。特に、前記式(1)及び(2)で表される構成単位を形成するためのジカルボン酸は、エチルエステルであってもよい。
前記ジオール成分(B)のうち、前記式(3)で表される構成単位を形成するための代表的なジオールとしては、例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシ−C6−10アリール−フェニル)フルオレンなど};9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[5−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシナフチル)フルオレンなどが例示できる。
前記式(6)で表される代表的なジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのC2−10アルカンジオールなどが例示できる。
[成形体]
本発明の成形体は、前記ポリエステルを含み、優れた光学的特性(高屈折率、低複屈折など)、機械的特性、高耐熱性を有しているため、光学フィルム、光学レンズ、光学シートなどの光学用部材として利用できる。形体の形状は、特に限定されず、例えば、二次元的構造(例えば、フィルム状、シート状、板状など)、三次元的構造(例えば、管状、棒状、チューブ状、中空状など)などが挙げられる。
本発明の成形体は、各種添加剤[例えば、充填剤又は補強剤、着色剤(例えば、染顔料など)、導電剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、安定剤(例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、加水分解抑制剤など)、離型剤、帯電防止剤、分散剤、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、表面改質剤、低応力化剤(例えば、シリコーンオイル、シリコーンゴム、各種プラスチック粉末、各種エンジニアリングプラスチック粉末など)、炭素材など]を含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
成形体は、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法、加圧成形法、キャスティング成形法などを利用して製造することができる。
特に、本発明のポリエステル樹脂は、種々の光学的特性に優れているため、フィルム(特に光学フィルム)を形成するのに有用である。そのため、本発明には、前記ポリエステル樹脂で形成されたフィルム(光学フィルム)も含まれる。
このようなフィルムの厚み(平均厚み)は1〜1000μm程度の範囲から用途に応じて選択でき、例えば1〜200μm、好ましくは5〜150μm、さらに好ましくは10〜120μm程度であってもよい。
このようなフィルム(光学フィルム)は、前記ポリエステル樹脂を、慣用の成膜方法、キャスティング法(溶剤キャスト法)、溶融押出法、カレンダー法などを用いて成膜(又は成形)することにより製造できる。
フィルムは、延伸フィルムであってもよい。本発明のフィルムは、延伸フィルムであっても、低複屈折を維持できる。なお、このような延伸フィルムは、一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムのいずれであってもよい。
延伸倍率は、一軸延伸又は二軸延伸において各方向にそれぞれ1.1〜10倍(好ましくは1.2〜8倍、さらに好ましくは1.5〜6倍)程度であってもよく、通常1.1〜2.5倍(好ましくは1.2〜2.3倍、さらに好ましくは1.5〜2.2倍)程度であってもよい。なお、二軸延伸の場合、等延伸(例えば、縦横両方向に1.5〜5倍延伸)であっても、偏延伸(例えば、縦方向に1.1〜4倍、横方向に2〜6倍延伸)であってもよい。また、一軸延伸の場合、縦延伸(例えば、縦方向に2.5〜8倍延伸)であっても横延伸(例えば、横方向に1.2〜5倍延伸)であってもよい。
延伸フィルムの厚み(平均厚み)は、例えば1〜150μm、好ましくは3〜120μm、さらに好ましくは5〜100μm程度であってもよい。
なお、このような延伸フィルムは、成膜後のフィルム(又は未延伸フィルム)に、延伸処理を施すことにより得ることができる。延伸方法は、特に制限が無く、一軸延伸の場合、湿式延伸法又は乾式延伸法のいずれであってもよく、二軸延伸の場合、テンター法(フラット法ともいわれる)であってもチューブ法であってもよいが、延伸厚みの均一性に優れるテンター法が好ましい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、樹脂又はフィルムの特性の測定や評価は以下の方法によって行った。
[ポリマー組成]
試料を、内部標準物質としてテトラメチルシランを含む重クロロホルムに溶解し、核磁気共鳴装置(BRUKER社製「AVANCE III HD」)を用いて、H−NMRのスペクトルを測定した。そのスペクトルについて、重合に用いた各々のモノマーに由来するピークの積分値を求め、ポリマー中に導入された各モノマー成分(構成単位)の割合を算出した。
[分子量]
試料をクロロホルムに溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製「HLC−8320GPC)を用いて、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を求めた。
[ガラス転移温度(Tg)]
示差走査熱量計(エスアイアイナノテクノロジー(株)製「EXSTAR6000 DSC6220 ASD−2」)を用いて、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定した。
[屈折率(nD)]
試料を200〜240℃で熱プレスすることによって、厚みが200〜300μmのフィルムを成形した。このフィルムを縦20〜30mm×横10mmの短冊状に切り出し、試験片を得た。得られた試験体について、多波長アッベ屈折計((株)アタゴ製「DR−M4(循環式恒温水槽60−C3)」)を用いて、測定温度20℃で、接触液にジヨードメタンを使用して、589nm(D線)の屈折率nDを測定した。
[アッベ数]
多波長アッベ屈折計((株)アタゴ製「DR−M4(循環式恒温水槽60−C3)」)を用いて、測定温度20℃で、接触液にジヨードメタンを使用して、測定波長486nm(F線)、589nm(D線)、656nm(C線)の屈折率nF、nD、nCを其々、測定し、以下の式によって算出した。
アッベ数=(nD−1)/(nF−nC)。
[複屈折]
<測定条件A>
試料を200〜240℃で熱プレスすることによって、厚みが200〜600μmのフィルムを成形した。このフィルムを縦10mm×横50mmの短冊状に切り出し、Tg+30℃の温度条件下、25mm/分で延伸倍率が1.7倍となるように一軸延伸して試験片を得た。延伸した試験片を、位相差フィルム・光学材料検査装置(大塚電子(株)製「RETS−100」)を用いて、測定温度20℃、測定波長600nmの条件下、平行ニコル回転法にてリタデーションを測定し、その値を測定部位の厚みで除することで算出した。
<測定条件B>
試料を200〜240℃で熱プレスすることによって、厚みが200〜600μmのフィルムを成形した。このフィルムを10mm×50mmの短冊状に切り出し、Tg+10℃の温度条件下、25mm/分で延伸倍率が3倍となるように一軸延伸して試験片を得た。延伸した試験片を、位相差フィルム・光学材料検査装置(RETS−100)を用いて、測定温度20℃、測定波長600nmの条件下、平行ニコル回転法にてリタデーションを測定し、その値を測定部位の厚みで除することで算出した。
[参考例1]
反応器に、ジカルボン酸成分として、2,2’−ビス(エトキシカルボニルメトキシ)−1,1’−ビナフチル(以下「BNAC−E」と称する)(91.69g(0.20mol))、ジオール成分として、エチレングリコール(以下、EG)(37.28g(0.60mol))、エステル交換反応、及び重縮合反応の触媒として、チタニウムテトラブトキシド(13.6mg(40μmol))、熱安定剤として、リン酸ジブチル(42.0mg(200μmol))を仕込み、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、徐々に270℃、300Paまで昇温しつつ減圧し、エチレングリコールを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。しかし、このポリエステル樹脂は脆く、赤黒く着色したものであったため、フィルム化は難しく、アッベ数、複屈折の測定は困難であった。
[参考例2]
特開2001−72872号公報の実施例1と同様にして、溶融重合を行った。即ち、反応器に、ジカルボン酸成分として、BNAC−E(55.04g(0.12mol))、ジオール成分として、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフチル(以下、BINOL−EOと称する)(26.97g(0.072mol))、EG(17.88g(0.288mol))、エステル交換反応の触媒として、酢酸カルシウム一水和物(33.8mg(192μmol))を仕込み、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、熱安定剤として、リン酸トリメチル(44.1mg(210μmol))、重縮合反応の触媒として酸化ゲルマニウム(15.0mg(144μmol))を加え、徐々に285℃、200Paまで昇温しつつ減圧し、エチレングリコールを除去しながら、重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。しかし、このポリエステル樹脂は脆く、赤黒く着色したものであったため、フィルム化は難しく、アッベ数、複屈折の測定は困難であった。
[実施例1]
反応器に、ジカルボン酸成分として、BNAC−E(68.75g(0.15mol))、ジオール成分として、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン(以下「BOPPEF」と称する)(35.44g(0.06mol))、EG(24.25g(0.39mol))、エステル交換反応の触媒として、酢酸マンガン・四水和物(24.5mg(100μmol))を仕込み、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、熱安定剤として、リン酸トリメチル(31.5mg(150μmol))、重縮合反応の触媒として、酸化ゲルマニウム(41.8mg(400μmol))を加え、徐々に280℃、200Paまで昇温しつつ減圧し、エチレングリコールを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例2]
反応器に、ジカルボン酸成分として、BNAC−E(45.86g(0.10mol))、ジオール成分として、BOPPEF(47.28g(0.08mol))、EG(11.17g(0.12mol))、エステル交換反応、及び重縮合反応の触媒として、チタニウムテトラブトキシド(4.3mg(12.5μmol))、熱安定剤として、リン酸ジブチル(31.5mg(150μmol))を仕込み、230℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、徐々に255℃、200Paまで昇温しつつ減圧し、エチレングリコールを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例3]
反応器に、ジカルボン酸成分として、BNAC−E(55.04g(0.12mol))、ジオール成分として、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(以下「BPEF」と称する)(26.29g(0.06mol))、BOPPEF(28.36g(0.048mol))、EG(11.95g(0.192mol))、エステル交換反応の触媒として、酢酸マンガン・四水和物(19.6mg(80μmol))を仕込み、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、熱安定剤として、リン酸トリメチル(25.2mg(120μmol))、重縮合反応の触媒として、酸化ゲルマニウム(33.5mg(320μmol))を加え、徐々に275℃、300Paまで昇温しつつ減圧し、エチレングリコールを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。なお、ポリマー組成は、H−NMRのスペクトルのピークの重複により算出できなかった。また、得られたポリエステル樹脂は脆く、複屈折の測定に用いるサイズのフィルムを作製するのが困難であった。
[実施例4]
反応器に、ジカルボン酸成分として、BNAC−E(45.88g(0.10mol))、ジオール成分として、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン(以下「BNEF」と称する)(40.4g(0.075mol))、EG(13.92g(0.225mol))、エステル交換反応、及び、重縮合反応の触媒として、チタニウムテトラブトキシド(8.5mg(25μmol))、熱安定剤として、リン酸ジブチル(31.5mg(150μmol))を仕込み、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、徐々に275℃、200Paまで昇温しつつ減圧し、エチレングリコールを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例5]
反応器に、ジカルボン酸成分として、BNAC−E(27.51g(0.06mol))、9,9−ビス(2−メトキシカルボニルエチル)フルオレン(以下「FDP−m」と称する)(20.29g(0.06mol))、ジオール成分として、BNEF(58.18g(0.108mol))、EG(15.62g(0.252mol))、エステル交換反応、及び、重縮合反応の触媒として、チタニウムテトラブトキシド(3.4mg(10μmol))、熱安定剤として、リン酸ジブチル(35.7mg(170μmol))を仕込み、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、徐々に280℃、200Paまで昇温しつつ減圧し、エチレングリコールを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例6]
反応器に、ジカルボン酸成分として、BNAC−E(48.15g(0.105mol))、FDP−m(11.85g(0.035mol))、ジオール成分として、BNEF(56.54g(0.105mol))、EG(19.64g(0.317mol))、エステル交換反応、及び、重縮合反応の触媒として、チタニウムテトラブトキシド(4.1mg(12μmol))、熱安定剤として、リン酸ジブチル(37.8mg(180μmol))を仕込み、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、徐々に275℃、200Paまで昇温しつつ減圧し、エチレングリコールを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例7]
BNAC−Eを0.070mol、FDP−mを0.070molに変更した以外は実施例6と同様の方法でポリエステル樹脂を得た。
[実施例8]
BNAC−Eを0.035mol、FDP−mを0.105mol、BNEFを0.119molとEGを0.300molに変更した以外は実施例6と同様にしてポリエステル樹脂を得た。
[実施例9]
反応器に、ジカルボン酸成分として、BNAC−E(27.50g(0.06mol))、FDP−m(20.31g(0.06mol))、ジオール成分として、BNEF(38.79g(0.072mol))、EG(17.92g(0.289mol))、エステル交換反応の触媒として、酢酸マンガン・四水和物(22.1mg(90μmol))を仕込み、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、熱安定剤として、リン酸トリメチル(47.3mg(225μmol))、重縮合反応の触媒として、酸化ゲルマニウム(37.7mg(360μmol))を加え、徐々に280℃、200Paまで昇温しつつ減圧し、エチレングリコールを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例10]
反応器に、ジカルボン酸成分として、2,3−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(以下「2,3−DMN」と称する)(24.43g(0.10mol))、ジオール成分として、BNEF(21.56g(0.04mol))、EG(16.15g(0.26mol))、エステル交換反応、及び、重縮合反応の触媒として、チタニウムテトラブトキシド(6.8mg(20μmol))を仕込み、245℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、徐々に280℃、200Paまで昇温しつつ減圧し、エチレングリコールを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例11]
反応器に、ジカルボン酸成分として、2,3−DMN(24.44g(0.10mol))、ジオール成分として、BNEF(40.42g(0.075mol))、EG(13.99g(0.225mol))、エステル交換反応、及び、重縮合反応の触媒として、チタニウムテトラブトキシド(6.8mg(20μmol))を仕込み、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、徐々に310℃、200Paまで昇温しつつ減圧し、エチレングリコールを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例12]
反応器に、ジカルボン酸成分として、2,3−DMN(17.11g(0.070mol))、FDP−m(23.69g(0.070mol))、ジオール成分として、BNEF(56.57g(0.105mol))、EG(19.58g(0.315mol))、エステル交換反応、及び、重縮合反応の触媒として、チタニウムテトラブトキシド(10.2mg(30μmol))を仕込み、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、徐々に295℃、200Paまで昇温しつつ減圧し、エチレングリコールを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例13]
反応器に、ジカルボン酸成分として、2,3−DMN(9.76g(0.040mol))、FDP−m(20.32g(0.060mol))、ジオール成分として、BNEF(40.42g(0.075mol))、EG(13.95g(0.225mol))、エステル交換反応、及び、重縮合反応の触媒として、チタニウムテトラブトキシド(6.1mg(18μmol))を仕込み、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、徐々に285℃、200Paまで昇温しつつ減圧し、エチレングリコールを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例14]
反応器に、ジカルボン酸成分として、2,3−DMN(21.99g(0.090mol))、ジオール成分として、BOPPEF(21.26g(0.036mol))、EG(14.55g(0.234mol))、エステル交換反応、及び、重縮合反応の触媒として、チタニウムテトラブトキシド(15.3mg(45μmol))を仕込み、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、徐々に290℃、200Paまで昇温しつつ減圧し、エチレングリコールを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例15]
反応器に、ジカルボン酸成分として、2,3−DMN(24.44g(0.100mol))、ジオール成分として、BPEF(30.69g(0.070mol))、EG(14.30g(0.230mol))、エステル交換反応、及び、重縮合反応の触媒として、チタニウムテトラブトキシド(17.0mg(50μmol))を仕込み、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、徐々に295℃、200Paまで昇温しつつ減圧し、エチレングリコールを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例16]
反応器に、ジカルボン酸成分として、ビス[2−(メトキシカルボニルメトキシ)−1−ナフチル]メタン(以下「MBNAC−M」と称する)(3.56g(0.008mol))、ジオール成分として、BNEF(3.23g(0.006mol))、EG(1.62g(0.026mol))、エステル交換反応、及び、重縮合反応の触媒として、チタニウムテトラブトキシド(0.7mg(2μmol))を仕込み、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、徐々に275℃、200Paまで昇温しつつ減圧し、エチレングリコールを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。また、得られたポリエステル樹脂は脆く、複屈折の測定に用いるサイズのフィルムを作製するのが困難であった。
[実施例17]
反応器に、ジカルボン酸成分として、MBNAC−M(26.67g(0.06mol))、FDP−m(20.32g(0.06mol))、ジオール成分として、BNEF(54.95g(0.102mol))、EG(16.05g(0.258mol))、エステル交換反応、及び、重縮合反応の触媒として、チタニウムテトラブトキシド(3.4mg(10μmol))、熱安定剤として、リン酸ジブチル(31.5mg(150μmol))を仕込み、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、徐々に270℃、200Paまで昇温しつつ減圧し、エチレングリコールを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[比較例1]
反応器に、ジエステル成分として、イソフタル酸ジメチル(DMI)(38.8g(0.20mol))、ジオール成分として、BNEF(86.2g(0.16mol))、EG(27.2g(0.44mol))、エステル交換反応の触媒として、酢酸カルシウム一水和物(28.2mg(160μmol))、酢酸マンガン四水和物(9.8mg(40μmol))を仕込み、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、熱安定剤として、リン酸トリメチル(39.2mg(280μmol))、重縮合反応の触媒として、酸化ゲルマニウム(41.8mg(400μmol))を加え、徐々に298℃、200Paまで昇温しつつ減圧し、エチレングリコールを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
実施例及び比較例において、ポリエステル樹脂を製造するための仕込み比をまとめて表1に示す。さらに、得られたポリエステル樹脂のポリマー組成及び各種特性を表2に示す。
Figure 2017171885
Figure 2017171885
表2から明らかなように、比較例に比べ、実施例では高い屈折率と、低い複屈折とを両立できた。特に、実施例では、耐熱性、機械的特性、成形性にも優れていた。
本発明のポリエステル樹脂は、高屈折率、低複屈折、高透明性などの優れた光学的特性を有しており、さらに、耐熱性や機械的特性などの各種特性にも優れている。そのため、本発明のポリエステル樹脂(又はその樹脂組成物)は、光学レンズ、光学フィルム、光学シート、ピックアップレンズ、プリズム、ホログラム、液晶用フィルム、有機EL用フィルムなどに好適に利用できる。また、本発明のポリエステル樹脂(又はその樹脂組成物)は、塗料、帯電防止剤、インキ、接着剤、粘着剤、樹脂充填材、帯電トレイ、導電シート、保護膜(例えば、電子機器、液晶部材などの保護膜など)、電気・電子材料(例えば、キャリア輸送剤、発光体、有機感光体、感熱記録材料、ホログラム記録材料など)、電気・電子部品又は機器(例えば、光ディスク、インクジェットプリンタ、デジタルペーパ、有機半導体レーザ、色素増感型太陽電池、EMIシールドフィルム、フォトクロミック材料、有機EL素子、カラーフィルタなど)用樹脂、機械部品又は機器(例えば、自動車、航空・宇宙材料、センサ、摺動部材など)用の樹脂などに好適に利用できる。
特に、本発明のポリエステル樹脂は、光学的特性に優れているため、光学用途の成形体(光学用成形体)を構成するのに有用である。このような前記ポリエステル樹脂で構成された光学用成形体としては、例えば、光学フィルム、光学レンズ、光学シートなどが挙げられる。
光学フィルムとしては、偏光フィルム(及びそれを構成する偏光素子と偏光板保護フィルム)、位相差フィルム、配向膜(配向フィルム)、視野角拡大(補償)フィルム、拡散板(フィルム)、プリズムシート、導光板、輝度向上フィルム、近赤外吸収フィルム、反射フィルム、反射防止(AR)フィルム、反射低減(LR)フィルム、アンチグレア(AG)フィルム、透明導電(ITO)フィルム、異方導電性フィルム(ACF)、電磁波遮蔽(EMI)フィルム、電極基板用フィルム、カラーフィルタ基板用フィルム、バリアフィルム、カラーフィルタ層、ブラックマトリクス層、光学フィルム同士の接着層もしくは離型層などが挙げられる。とりわけ、本発明のフィルムは、機器のディスプレイに用いる光学フィルムとして有用である。このような本発明の光学フィルムを備えたディスプレイ用部材(又はディスプレイ)としては、具体的には、パーソナル・コンピュータのモニタ、テレビジョン、携帯電話、カー・ナビゲーションシステム、タッチパネルなどFPD装置(例えば、LCD、PDPなど)などが挙げられる。

Claims (12)

  1. 下記式(1)で表される構成単位及び/又は下記式(2)で表される構成単位と、下記式(3)で表される構成単位とを含むポリエステル樹脂。
    Figure 2017171885
    (式中、Aは直接結合又はアルキレン基、Aはアルキレン基、Lはアルキレン基、R及びRは置換基、hは0又は1、nは0以上の整数、mは0〜2の整数、kは0〜4の整数である)
    Figure 2017171885
    (式中、Aはアルキレン基、Lはアルキレン基、R及びRは置換基、jは0又は1、pは0以上の整数、qは0〜2の整数、rは0〜4の整数である)
    Figure 2017171885
    (式中、環Zはアレーン環、Aはアルキレン基、R及びRは置換基、sは0以上の整数、tは0〜4の整数、uは0以上の整数である)
  2. 式(1)で表される構成単位が式(1a)で表される構成単位であり、式(2)で表される構成単位が式(2a)で表される構成単位である請求項1記載のポリエステル樹脂。
    Figure 2017171885
    (式中、Aは直接結合又はアルキレン基、Aはアルキレン基、Lはアルキレン基、R及びRは置換基、hは0又は1、nは0以上の整数、mは0〜2の整数、kは0〜4の整数である)
    Figure 2017171885
    (式中、Aはアルキレン基、Lはアルキレン基、R及びRは置換基、jは0又は1、pは0以上の整数、qは0〜2の整数、rは0〜4の整数である)
  3. 式(1)又は(1a)において、Aが直接結合又はメチレン基であり、Lがメチレン基であり、hが1であり、nが0である請求項1又は2記載のポリエステル樹脂。
  4. 式(2)又は(2a)において、Lがメチレン基であり、jが0である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
  5. 式(3)において、Zがナフタレン環である請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
  6. 下記式(4)で表される構成単位及び/又は下記式(5)で表される構成単位をさらに含む請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
    Figure 2017171885
    (式中、Aはアルキレン基、Rは置換基、vは0〜4の整数である)
    Figure 2017171885
    (式中、Aはアルキレン基、Rは置換基、w及びxは0〜4の整数である)
  7. 式(1)で表される構成単位及び/又は式(2)で表される構成単位と、式(4)で表される構成単位及び/又は式(5)で表される構成単位とのモル比が、前者/後者=100/0〜10/90である請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
  8. 下記式(6)で表される構成単位をさらに含み、かつ式(3)で表される構成単位と、式(6)で表される構成単位とのモル比が、前者/後者=100/0〜10/90である請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
    Figure 2017171885
    (式中、Aはアルキレン基である)
  9. 20℃、波長589nmでの屈折率が1.665〜1.700であり、20℃でのアッベ数が15〜25であり、ガラス転移点よりも10℃高い温度で3倍に延伸したフィルムにおける20℃、波長600nmでの複屈折の絶対値が0.01×10−4〜75×10−4である請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のポリエステル樹脂を含む成形体。
  11. 光学用部材である請求項10記載の成形体。
  12. 光学フィルム、光学シート又は光学レンズである請求項10又は11記載の成形体。
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