JP2021134355A - ビナフチル骨格を有する熱可塑性樹脂ならびにその製造方法および用途 - Google Patents

ビナフチル骨格を有する熱可塑性樹脂ならびにその製造方法および用途 Download PDF

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Hisayoshi Watanabe
久芳 渡邉
将平 金田
Shohei Kaneda
将平 金田
梨香子 中田
Rikako Nakada
梨香子 中田
樹 日比野
Tatsuki Hibino
樹 日比野
信輔 宮内
Shinsuke Miyauchi
信輔 宮内
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Abstract

【課題】アッベ数が低く、耐熱性にも優れた熱可塑性樹脂、その製造方法および用途、ならびに前記熱可塑性樹脂を形成可能なモノマー化合物を提供する。【解決手段】本発明の熱可塑性樹脂は、ジカルボン酸単位(A)を含み、前記ジカルボン酸単位(A)が、少なくとも、下記式(1)で表される第1のジカルボン酸単位(A1)を含む。下記式(1)において、R1aおよびR1bはアルコキシ基であってもよい。(式中、R1aおよびR1bはそれぞれ独立して水素原子または置換基を示し、R2aおよびR2bはそれぞれ独立して置換基を示し、k1およびk2はそれぞれ独立して0〜5の整数を示す。)【選択図】なし

Description

本発明は、1,1’−ビナフチル骨格を有する特定のジカルボン酸成分を重合成分とする熱可塑性樹脂ならびにその製造方法および用途に関する。
近年、スマートフォンやタブレット型PCなどの小型機器またはモバイル機器の発展は目覚しく、より高性能(高機能)な機器の開発が進められている。また、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などの普及によって個人が簡単に情報発信できることもあり、これらの機器には画像表示機能だけでなくカメラ機能などの光学的機能が備えられていることも多い。そのため、機器の高性能化に伴って光学部材に対する要求特性もより一層高まっている。これらの機器の光学部材には、軽量性、耐衝撃性(柔軟性)、成形性(生産性)などの点で光学ガラスよりも有利な樹脂材料が多く利用されているが、既存の樹脂材料では高まる要求特性に対して十分に対応できない場合もあり、光学的特性や耐熱性などに優れた新たな樹脂の開発が求められている。
特に、カメラ機能を備えた小型機器またはモバイル機器に搭載される撮像レンズユニットには、機器自体の薄型化や多機能化に伴い小型化が求められる一方で、撮像素子の高画素化に伴って高解像度化も要求されている。そのため、撮像レンズユニットでは、レンズ構成、形状および材料の選択に様々な工夫がなされており、小型かつ高い結像性能で諸収差の補正に対応できるよう光学設計される。一般的に、撮像レンズユニッ卜はアッベ数や屈折率の異なる複数のレンズから構成されており、通常、高アッベ数のレンズと低アッベ数のレンズとを組み合わせて構成されることが多いが、光学レンズに使用できる樹脂材料は限られているため、有効性の高い多様なレンズユニットの設計には限界がある。そのため、様々なアッベ数の樹脂を調製できれば、材料選択の幅が広がって設計の自由度を向上でき、撮像レンズユニットの最適化が期待できる。このような観点からも新たな光学用樹脂材料の開発が求められている。
一方、1,1’−ビナフチル骨格を有するポリエステル樹脂が光学的特性や耐熱性に優れた樹脂材料として注目されている。
特開2001−72872号公報(特許文献1)には、内部回転異性性を付与しうる結合軸で結合し、この結合軸に対して少なくとも一方のアリール基のπ電子数が4n+6(nは自然数を示す)であるビアリール化合物をモノマー成分として含む樹脂が開示されている。このような樹脂を含む樹脂組成物は、透明性に優れ、光学的異方性(複屈折)が小さく、高屈折率を有し、低吸湿性を示すため、光学用レンズを形成するための樹脂として有用であることが記載されている。
また、特開2017−171885号公報(特許文献2)には、下記式(1)で表される構成単位および/または下記式(2)で表される構成単位と、下記式(3)で表される構成単位とを含むポリエステル樹脂が開示されている。
Figure 2021134355
(式中、Aは直接結合またはアルキレン基、Aはアルキレン基、Lはアルキレン基、RおよびRは置換基、hは0または1、nは0以上の整数、mは0〜2の整数、kは0〜4の整数である)
Figure 2021134355
(式中、Aはアルキレン基、Lはアルキレン基、RおよびRは置換基、jは0または1、pは0以上の整数、qは0〜2の整数、rは0〜4の整数である)
Figure 2021134355
(式中、環Zはアレーン環、Aはアルキレン基、RおよびRは置換基、sは0以上の整数、tは0〜4の整数、uは0以上の整数である)。
特開2001−72872号公報 特開2017−171885号公報
特許文献1の実施例では、1,1’−ビナフチル骨格などを有する種々のビアリール化合物、例えば、2,2’−ビス(クロロカルボニルメトキシ)−1,1’−ビナフチル[化合物(1−21)]、2,2’−ビス(メトキシカルボニルメトキシ)−1,1’−ビナフチル[化合物(1−23)]又は4,4’−ビス(メトキシカルボニルメトキシ)−1,1’−ビナフチル[化合物(1−24)]などのジカルボン酸成分などを重合成分(モノマー成分)として、ポリエステル系樹脂などを合成し、さらに、得られた樹脂を射出成形して光学レンズを作製している。
しかし、特許文献1の実施例には、屈折率、複屈折、アッベ数などの光学的特性や耐熱性について、具体的に記載されていない。
特許文献2には、トレードオフの関係にある高屈折率と低複屈折とを両立できること、さらには、アッベ数が低く、耐熱性、成形性および機械的特性にも優れることが記載されている。また、前記式(1)に関して、反応性などの点からhが1であるのが好ましいこと、さらには、複屈折を低減できる点から基−[O−(AO)−L−CO−はナフタレン環の2位(または2’位)に位置するのが好ましいことなどが記載されている。
特許文献2の実施例では、2,2’−ビス(エトキシカルボニルメトキシ)−1,1’−ビナフチル(またはBNAC−E)を重合成分とする種々のポリエステル樹脂が調製されており、得られたポリエステル樹脂は、高い屈折率と、低い複屈折とを両立できるとともに、耐熱性、機械的特性および成形性にも優れることが記載されている。また、BNAC−Eを重合成分に含む実施例1〜9のポリエステル樹脂のアッベ数は18.4〜20.2、Tgは132.5〜161.1℃であったことが記載されている。
特許文献2では、低いアッベ数、高い耐熱性、高い屈折率、および低い複屈折という比較的良好な特性を示すポリエステル樹脂が得られるものの、これらの特性をさらに向上させることが求められている。
従って、本発明の目的は、アッベ数が低く、耐熱性にも優れた熱可塑性樹脂、その製造方法および用途、ならびに前記熱可塑性樹脂を形成可能なモノマー化合物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、1,1’−ビナフチル骨格の特定の置換位置にカルボキシル基を有するジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を重合成分として熱可塑性樹脂を調製すると、得られるポリエステル樹脂がより低いアッベ数および高い耐熱性を示すことを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の熱可塑性樹脂は、ジカルボン酸単位(A)を含む熱可塑性樹脂であって、前記ジカルボン酸単位(A)が、少なくとも、下記式(1)で表される第1のジカルボン酸単位(A1)を含んでいる。
Figure 2021134355
(式中、R1aおよびR1bはそれぞれ独立して水素原子または置換基を示し、
2aおよびR2bはそれぞれ独立して置換基を示し、k1およびk2はそれぞれ独立して0〜5の整数を示す)。
前記式(1)において、R1aおよびR1bはアルコキシ基であってもよい。また、前記式(1)で表される第1のジカルボン酸単位(A1)は、下記式(1a)で表されるジカルボン酸単位を含んでいてもよい。
Figure 2021134355
(式中、R1aおよびR1b、R2aおよびR2b、k1およびk2はそれぞれ式(1)に同じ)。
前記ジカルボン酸単位(A)は、下記式(2a)または(2b)で表される第2のジカルボン酸単位(A2)を含んでいてもよい。
Figure 2021134355
(式中、R4aは置換基を示し、m1は0〜8の整数を示し、
1aおよびA1bはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を示し、
4bは置換基を示し、m2は0〜8の整数を示し、
1cは置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を示し、
m3は0〜4の整数を示す)。
前記第1のジカルボン酸単位(A1)と前記第2のジカルボン酸単位(A2)との割合は、前者/後者(モル比)=30/70〜95/5程度であってもよい。
前記熱可塑性樹脂は、さらにジオール単位(B)を含むポリエステル系樹脂であってもよい。前記ジオール単位(B)は、下記式(3)で表される第1のジオール単位(B1)、下記式(4)で表される第2のジオール単位(B2)、および下記式(5)で表される第3のジオール単位(B3)から選択された少なくとも1種のジオール単位を含んでいてもよい。
Figure 2021134355
(式中、Aは直鎖状または分岐鎖状アルキレン基を示し、nは1以上の整数を示す)。
Figure 2021134355
(式中、ZおよびZはそれぞれ独立して芳香族炭化水素環を示し、
は置換基を示し、pは0〜8の整数を示し、
6aおよびR6bはそれぞれ独立して置換基を示し、q1およびq2はそれぞれ独立して0または1以上の整数を示し、
3aおよびA3bはそれぞれ独立して直鎖状または分岐鎖状アルキレン基を示し、r1およびr2はそれぞれ独立して0または1以上の整数を示す)。
Figure 2021134355
(式中、Aは直接結合またはアルキレン基を示し、
5aおよびA5bは直鎖状または分岐鎖状アルキレン基を示し、s1およびs2はそれぞれ独立して0または1以上の整数を示し、
7aおよびR7bはそれぞれ独立して置換基を示し、t1およびt2はそれぞれ独立して0〜6の整数を示す)。
前記式(3)において、Aが直鎖状または分岐鎖状C2−6アルキレン基であり、nが1〜5程度の整数であってもよく、
前記式(4)において、ZおよびZが単環式芳香族炭化水素環または縮合多環式芳香族炭化水素環であり、A3aおよびA3bが直鎖状または分岐鎖状C2−6アルキレン基であり、r1およびr2が0〜10程度の整数であってもよく、
前記式(5)において、Aが直接結合またはC1−2アルキレン基であり、A5aおよびA5bが直鎖状または分岐鎖状C2−6アルキレン基であり、s1およびs2が0〜10程度の整数であってもよい。
前記第1のジオール単位(B1)の割合は、ジオール単位(B)全体に対して1モル%程度以上であってもよい。前記第1のジオール単位(B1)と前記第2のジオール単位(B2)との割合は、前者/後者(モル比)=1/99〜50/50程度であってもよい。前記第1のジオール単位(B1)と前記第3のジオール単位(B3)との割合は、前者/後者(モル比)=5/95〜50/50程度であってもよい。
本発明は、前記第1のジカルボン酸単位(A1)に対応する第1のジカルボン酸成分を少なくとも含む重合成分を重合して、前記熱可塑性樹脂を製造する方法を包含する。
また、本発明は、下記式(1A)で表される化合物も包含する。
Figure 2021134355
(式中、R1aおよびR1bはそれぞれ独立してC1−5アルコキシ基を示し、
3aおよびR3bはそれぞれ独立してC1−5アルコキシ基を示し、
2aおよびR2b、k1およびk2はそれぞれ前記式(1)に同じ)。
さらに、本発明は、下記式(1B)で表されるアッベ数低減剤を含む。
Figure 2021134355
(式中、R3aおよびR3bはそれぞれ独立してヒドロキシル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示し、
1aおよびR1b、R2aおよびR2b、k1およびk2はそれぞれ前記式(1)に同じ。)
また、本発明は、熱可塑性樹脂と前記アッベ数低減剤とを含む樹脂組成物を包含する。
さらに、本発明は、前記熱可塑性樹脂または前記樹脂組成物を含む成形体を包含する。前記成形体は、光学部材であってもよい。また、前記成形体は、光学フィルムまたは光学レンズであってもよい。
本明細書および特許請求の範囲において、「ジオール単位」または「ジオール成分由来の構成単位」は、対応するジオール成分の2つのヒドロキシル基から、水素原子を除いた単位(または2価の基)を意味し、「ジオール成分」(ジオール成分として例示される化合物を含む)は、対応する「ジオール単位」と同義に用いる場合がある。また、同様に、「ジカルボン酸単位」または「ジカルボン酸成分由来の構成単位」は、対応するジカルボン酸の2つのカルボキシル基から、OH(ヒドロキシル基)を除いた単位(または2価の基)を意味し、「ジカルボン酸成分」(ジカルボン酸成分として例示される化合物を含む)は、対応する「ジカルボン酸単位」と同義に用いる場合がある。
また、本明細書および特許請求の範囲において、「ジカルボン酸成分」とは、ジカルボン酸に加えて、そのエステル形成性誘導体を含む意味に用いる。エステル形成性誘導体としては、例えば、アルキルエステル、酸ハライド、酸無水物などが挙げられる。前記アルキルエステルとしては、低級アルキルエステル、例えば、メチルエステル、エチルエステル、t−ブチルエステルなどのC1−4アルキルエステルなどが挙げられる。なお、エステル形成性誘導体は、モノエステル(ハーフエステル)またはジエステルであってもよい。
なお、本発明では、従たる目的として、以下の課題を解決してもよい。
すなわち、本発明の他の目的は、低いアッベ数、高い屈折率、低い複屈折および高い耐熱性という同時には達成し難い4つの特性を、より一層高いレベルでバランスよく充足できる熱可塑性樹脂、その製造方法および用途、ならびに前記熱可塑性樹脂を形成可能なモノマー化合物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、剛直で嵩高く、立体障害などの影響による重合反応性の低下が予想される1,1’−ビナフチル骨格を含むにもかかわらず、効率よく重合して比較的高い分子量で調製でき、成形性(生産性)も優れている熱可塑性樹脂、その製造方法および用途、ならびに前記熱可塑性樹脂を形成可能なモノマー化合物を提供することにある。
本発明の別の目的は、熱可塑性樹脂のアッベ数を低減できるアッベ数低減剤を提供することにある。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、置換基の炭素原子の数をC、C、C10などで示すことがある。例えば、炭素数が1のアルキル基は「Cアルキル」で示し、炭素数が6〜10のアリール基は「C6−10アリール」で示す。
また、本明細書および特許請求の範囲において、「低い複屈折」または「低複屈折」などの記載は、特に断りのない限り、複屈折の絶対値が低い(すなわち0に近い)ことを意味する。
本発明の熱可塑性樹脂は、1,1’−ビナフチル骨格の特定の置換位置にカルボキシル基を有するジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を重合成分とするため、アッベ数を大きく低減でき、耐熱性にも優れている。また、低いアッベ数、高い屈折率、低い複屈折および高い耐熱性という同時には達成し難い4つの特性を、より一層高いレベルでバランスよく充足できる。さらに、剛直で嵩高く、立体障害などの影響による重合反応性の低下が予想される1,1’−ビナフチル骨格を含むにもかかわらず、効率よく重合して比較的高い分子量で調製でき、成形性(生産性)も向上できる。特に、特定の組成比に調整することで、前記4つの特性に加えて高い成形性(生産性)も充足できる(または耐熱性と成形性とを両立できる)。また、前記ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体はアッベ数低減剤としても利用できる。
[熱可塑性樹脂]
熱可塑性樹脂は、ジカルボン酸単位(A)として、下記式(1)で表される第1のジカルボン酸単位(A1)を少なくとも含んでいればよい。このような熱可塑性樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられ、低吸水性で光学部材などとして利用し易い点からポリエステル系樹脂であるのが好ましい。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂などが挙げられ、ポリエステル樹脂が好ましい。
(ジカルボン酸単位(A))
第1のジカルボン酸単位(A1)
Figure 2021134355
(式中、R1aおよびR1bはそれぞれ独立して水素原子または置換基を示し、
2aおよびR2bはそれぞれ独立して置換基を示し、k1およびk2はそれぞれ独立して0〜5の整数を示す)。
ジカルボン酸単位(A)が第1のジカルボン酸単位(A1)を含むと、アッベ数を大きく低減できるとともに、耐熱性を大きく向上できる。また、第1のジカルボン酸単位(A1)により、通常、トレードオフの関係にある高い屈折率と低い複屈折とを両立できるため、前述した耐熱性や光学的特性(低アッベ数、高屈折率、低複屈折)をバランスよく充足できる。さらに、第1のジカルボン酸単位(A1)は、剛直で嵩高いビナフチル骨格を含んでいるにもかかわらず、意外にも重合反応性が高く、熱可塑性樹脂の成形性や取り扱い性(生産性)、機械的強度などを有効に向上できる。
前記式(1)において、R1aおよびR1bで表される置換基としては、重合反応に不活性な置換基であるのが好ましい。
本明細書および特許請求の範囲において、「重合反応に不活性な置換基」は、熱可塑性樹脂の主鎖上の結合、例えば、エステル結合やアミド結合などの形成に関与する重合性基を含まない非重合性基を意味する。すなわち、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロカルボニル基、酸無水物基、アミノ基などのエステルまたはアミド形成性置換基や、これらの基を化学構造中に含む置換基、例えば、ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ基、カルボキシ(ポリ)アルコキシ基などを除いた置換基(非反応性置換基)を意味する。
1aおよびR1bで表される置換基としては、1,1’−ビナフチル骨格を形成し易く生産性に優れる点などから、電子供与性基であるのが好ましい。
電子供与性基としては、例えば、アルキル基、アリール基などの炭化水素基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、モノまたはジ置換アミノ基などが挙げられ、ヒドロキシル基を含まない電子供与性基であってもよい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などのC1−6アルキル基などが挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基などのC6−12アリール基などが挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基などのC1−6アルコキシ基などが挙げられる。アシルオキシ基としては、例えば、アセトキシ基(メチルカルボニルオキシ基)などのC2−7アシルオキシ基などが挙げられる。
モノまたはジ置換アミノ基としては、例えば、モノまたはジアルキルアミノ基、具体的には、ジメチルアミノ基などのモノまたはジC1−6アルキルアミノ基;モノまたはジアシルアミノ基、具体的には、モノアセチルアミノ基(N−メチルカルボニルアミノ基)などのモノまたはジC2−7アシルアミノ基などが挙げられる。
好ましい基R1a、R1bとしては、水素原子またはアルコキシ基であり、重合反応性を向上できたり、吸水による成形体の屈折率および寸法の変動を抑制(または屈折率安定性および寸法安定性を向上)できる観点からは水素原子が好ましく、屈折率安定性および寸法安定性と、生産性とをバランスよく向上できる観点からは直鎖状または分岐鎖状C1−5アルコキシ基などのアルコキシ基が特に好ましい。アルコキシ基のなかでも、直鎖状または分岐鎖状C1−4アルコキシ基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状C1−3アルコキシ基がさらに好ましく、特に、メトキシ基などのC1−2アルコキシ基が好ましい。なお、R1aおよびR1bの種類は、互いに異なっていてもよいが、通常、同一であることが多い。
2aおよびR2bは、重合反応に不活性な置換基(非重合性基)であるのが好ましく、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などの炭化水素基(または基R);アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基などの前記炭化水素基に対応する基−OR(式中、Rは前記炭化水素基を示す);アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基などの前記炭化水素基に対応する基−SR(式中、Rは前記炭化水素基を示す);アシル基;ニトロ基;シアノ基;置換アミノ基などが挙げられる。
で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1−10アルキル基、好ましくは直鎖状または分岐鎖状C1−6アルキル基、さらに好ましくは直鎖状または分岐鎖状C1−4アルキル基などが挙げられる。
で表されるシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのC5−10シクロアルキル基などが挙げられる。
で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、アルキルフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基などのC6−12アリール基などが挙げられる。アルキルフェニル基としては、例えば、メチルフェニル基(トリル基)、ジメチルフェニル基(キシリル基)などが挙げられる。
で表されるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基などが挙げられる。
基−ORとしては、前記例示の炭化水素基Rに好ましい態様を含めて対応する基、例えば、メトキシ基などの直鎖状または分岐鎖状C1−10アルコキシ基、シクロヘキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基、フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基、ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基などが挙げられる。
基−SRとしては、前記例示の炭化水素基Rに好ましい態様を含めて対応する基、例えば、メチルチオ基などの直鎖状または分岐鎖状C1−10アルキルチオ基、シクロヘキシルチオ基などのC5−10シクロアルキルチオ基、チオフェノキシ基(フェニルチオ基)などのC6−10アリールチオ基、ベンジルチオ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルチオ基などが挙げられる。
アシル基としては、例えば、アセチル基などのC1−6アシル基などが挙げられる。
置換アミノ基としては、例えば、モノまたはジアルキルアミノ基、モノまたはビス(アルキルカルボニル)アミノ基などが挙げられる。モノまたはジアルキルアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基などのモノまたはジC1−4アルキルアミノ基などが挙げられ、モノまたはビス(アルキルカルボニル)アミノ基としては、例えば、ジアセチルアミノ基などのモノまたはビス(C1−4アルキル−カルボニル)アミノ基などが挙げられる。
これらの置換基のうち、臭素原子などのハロゲン原子が好ましい。
2a、R2bの置換数k1、k2は、例えば0〜4程度の整数であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、0〜3の整数、0〜2の整数であり、0または1であるのがさらに好ましく、特に0が好ましい。k1、k2は互いに異なっていてもよいが、同一であるのが好ましい。また、k1が2である場合、2つのR2aの種類は互いに同一または異なっていてもよく、k2が2である場合、2つのR2bの種類は、互いに同一または異なっていてもよい。また、R2a、R2bの種類は、互いに同一または異なっていてもよい。
2a、R2bの置換位置は、1,1’−ビナフチル骨格のR1a,R1bの結合位置(2,2’位)ならびに熱可塑性樹脂の主鎖を形成するカルボニル基[−C(=O)−]の結合位置以外の位置、すなわち、3〜8位および3’〜8’位から選択されるいずれかの位置であり、好ましくは3〜5位、7〜8位、3’〜5’位および7’〜8’位から選択されるいずれかの位置である。
式(1)において、熱可塑性樹脂の主鎖を形成する2つのカルボニル基[−C(=O)−]の結合位置は、それぞれ5〜8位および5’〜8’位(すなわち、1,1’−ビナフチル骨格中の1,1’位で直接結合されたベンゼン環とは反対側のベンゼン環)のいずれの位置であってもよいが、好ましくは5,5’位、6,6’位、7,7’位であり、さらに好ましくは下記式(1a)で表されるように6,6’位である。
Figure 2021134355
(式中、R1aおよびR1b、R2aおよびR2b、k1およびk2はそれぞれ好ましい態様を含めて式(1)に同じ)。
第1のジカルボン酸単位(A1)に対応する代表的な第1のジカルボン酸成分としては、R1aおよびR1bがアルコキシ基である単位に対応するジカルボン酸成分、例えば、6,6’−ジカルボキシ−2,2’−ジアルコキシ−1,1’−ビナフチル、具体的には、6,6’−ジカルボキシ−2,2’−ジメトキシ−1,1’−ビナフチル、6,6’−ジカルボキシ−2,2’−ジエトキシ−1,1’−ビナフチルなどの6,6’−ジカルボキシ−2,2’−ジC1−6アルコキシ−1,1’−ビナフチルおよびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
第1のジカルボン酸単位(A1)は、単独でまたは2種以上組み合わせて含んでいてもよい。第1のジカルボン酸単位(A1)のうち、生産性などの点から、6,6’−ジカルボキシ−2,2’−ジメトキシ−1,1’−ビナフチルなどの6,6’−ジカルボキシ−2,2’−ジC1−4アルコキシ−1,1’−ビナフチルに由来する構成単位が好ましい。
なお、前記式(1a)で表される構成単位の割合、特に、6,6’−ジカルボキシ−2,2’−ジアルコキシ−1,1’−ビナフチルに対応するジカルボン酸単位の割合は、第1のジカルボン酸単位(A1)全体に対して、例えば1モル%以上、具体的には10〜100モル%程度の範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、30モル%以上、50モル%以上、60モル%以上、70モル%以上、80モル%以上、90モル%以上、95モル%以上であり、さらに好ましくは100モル%である。すなわち、前記式(1a)で表される構成単位のみ、特に6,6’−ジカルボキシ−2,2’−ジアルコキシ−1,1’−ビナフチルに対応するジカルボン酸単位のみで第1のジカルボン酸単位(A1)を実質的に形成するのが好ましい。
第2のジカルボン酸単位(A2)
ジカルボン酸単位(A)は、必要に応じて、下記式(2a)または(2b)で表される第2のジカルボン酸単位(A2)を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
Figure 2021134355
(式中、R4aは置換基を示し、m1は0〜8の整数を示し、
1aおよびA1bはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を示し、
4bは置換基を示し、m2は0〜8の整数を示し、
1cは置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を示し、
m3は0〜4の整数を示す)。
第2のジカルボン酸単位(A2)を含んでいると、比較的高い屈折率を保持しつつ、複屈折を低減し易く、剛直なフルオレン骨格を有していても重合反応性を向上し易い傾向がある。
前記式(2a)または(2b)において、R4aおよびR4bで表される置換基としては、重合反応に不活性な置換基(非重合性基)であるのが好ましく、例えば、シアノ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;アルキル基、アリール基などの炭化水素基などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1−12アルキル基などが挙げられる。また、前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などのC6−10アリール基などが挙げられる。
これらの置換基R4aおよびR4bのうち、置換数m1、m2が1以上である場合、シアノ基、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基が好ましく、アルキル基またはアリール基がさらに好ましく、アリール基がより好ましい。好ましいアルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状C1−8アルキル基が挙げられ、さらに好ましくはメチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1−4アルキル基が挙げられる。好ましいアリール基としては、C6−10アリール基が挙げられ、さらに好ましくはナフチル基が挙げられる。
置換数m1、m2は、それぞれ、例えば0〜6程度の整数であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、0〜4の整数、0〜3の整数、0〜2の整数であり、さらに好ましくは0または1、特に0が好ましい。
なお、基R4a、R4bの置換数m1、m2が2以上である場合、2以上の基R4a、R4bの種類は、それぞれ互いに同一または異なっていてもよい。R4a、R4bの結合位置(置換位置)は、特に限定されず、例えば、フルオレン環の2位、7位、2,7位などが挙げられる。
特に、置換基R4aおよびR4bがナフチル基などのアリール基であると、アッベ数を低減できる。置換基R4aおよびR4bがナフチル基などのアリール基である場合、m1およびm2は、それぞれ、例えば1〜6、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3、より好ましくは2である。m1およびm2が2である場合、置換基R4aおよびR4bの置換位置は、2,7位が好ましい。
基A1aおよびA1bならびにA1cで表される炭化水素基としては、直鎖状または分岐鎖状アルキレン基、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、1,2−ブタンジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基などの直鎖状または分岐鎖状C1−8アルキレン基が挙げられる。好ましいアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基などの直鎖状または分岐鎖状C1−6アルキレン基が挙げられ、さらに好ましくは直鎖状または分岐鎖状C1−4アルキレン基である。
炭化水素基が有していてもよい置換基としては、重合反応に不活性な置換基(非重合性基)であるのが好ましく、例えば、フェニル基などのアリール基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基などが挙げられる。置換基を有する炭化水素基A1aおよびA1bならびにA1cとしては、例えば、1−フェニルエチレン基、1−フェニルプロパン−1,2−ジイル基などであってもよい。
基A1aおよびA1bは直鎖状または分岐鎖状C2−4アルキレン基であるのが好ましく、なかでも、エチレン基、プロピレン基などの直鎖状または分岐鎖状C2−3アルキレン基、特にエチレン基であるのが好ましい。基A1cはメチレン基、エチレン基などの直鎖状または分岐鎖状C1−3アルキレン基であるのが好ましい。なお、A1aおよびA1bの種類は、互いに異なっていてもよいが、同一であるのが好ましい。
前記式(2b)において、メチレン基の繰り返し数m3は、例えば、0〜3程度の整数、好ましくは0〜2の整数、さらに好ましくは0または1である。
前記式(2a)で表される構成単位に対応する代表的な第2のジカルボン酸成分としては、例えば、A1aおよびA1bが直鎖状または分岐鎖状C2−6アルキレン基に対応するジカルボン酸成分、9,9−ビス(2−カルボキシエチル)フルオレン、9,9−ビス(2−カルボキシプロピル)フルオレンなどの9,9−ビス(カルボキシC2−6アルキル)フルオレン、9,9−ビス(2−カルボキシエチル)−2,7−ジ(2−ナフチル)フルオレンなどの9,9−ビス(カルボキシC2−6アルキル)−ジC6−10アリールフルオレン、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
前記式(2b)で表される構成単位に対応する代表的な第2のジカルボン酸成分としては、例えば、9−(ジカルボキシC2−8アルキル)フルオレンおよびこれらのエステル形成性誘導体、具体的には、9−(1,2−ジカルボキシエチル)フルオレン、9−(1,2−ジカルボキシエチル)−2,7−ジ(2−ナフチル)フルオレンなどの、m3が0、A1cが直鎖状または分岐鎖状C1−6アルキレン基に対応するジカルボン酸成分;9−(2,3−ジカルボキシプロピル)フルオレン、9−(2,3−ジカルボキシプロピル)−2,7−ジ(2−ナフチル)フルオレンなどの、m3が1、A1cが直鎖状または分岐鎖状C1−6アルキレン基に対応するジカルボン酸成分などが挙げられる。
これらの第2のジカルボン酸成分(A2)に由来する第2のジカルボン酸単位(A2)は、単独でまたは2種以上組み合わせて含まれていてもよい。これらの第2のジカルボン酸単位(A2)のうち、複屈折を低減し易い点から、少なくとも前記式(2a)で表されるジカルボン酸単位を含むのが好ましく、9,9−ビス(カルボキシC2−6アルキル)フルオレンなどの9,9−ビス(カルボキシアルキル)フルオレンに由来する構成単位がさらに好ましい。なかでも好ましくは9,9−ビス(カルボキシC2−4アルキル)フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス(2−カルボキシエチル)フルオレン、9,9−ビス(2−カルボキシプロピル)フルオレンなどの9,9−ビス(カルボキシC2−3アルキル)フルオレン、特に、9,9−ビス(2−カルボキシエチル)フルオレンに由来する構成単位を含むのが好ましい。
なお、前記式(2a)で表される構成単位の割合、特に、9,9−ビス(カルボキシアルキル)フルオレンに対応するジカルボン酸単位の割合は、第2のジカルボン酸単位(A2)全体に対して、例えば1モル%以上、具体的には10〜100モル%程度の範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、30モル%以上、50モル%以上、60モル%以上、70モル%以上、80モル%以上、90モル%以上、95モル%以上であり、さらに好ましくは100モル%である。すなわち、前記式(2a)で表される構成単位のみ、特に9,9−ビス(カルボキシアルキル)フルオレンに対応するジカルボン酸単位のみで第2のジカルボン酸単位(A2)を実質的に形成するのが好ましい。
第3のジカルボン酸単位(A3)
なお、ジカルボン酸単位(A)は、必要に応じて、第1のジカルボン酸単位(A1)および第2のジカルボン酸単位(A2)とは異なる第3のジカルボン酸単位(A3)を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
第3のジカルボン酸単位(A3)としては、例えば、芳香族ジカルボン酸成分[ただし、第1のジカルボン酸単位(A1)および第2のジカルボン酸単位(A2)を除く]、脂環族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分などに由来する構成単位が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、単環式芳香族ジカルボン酸、多環式芳香族ジカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。単環式芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸などのベンゼンジカルボン酸;アルキルベンゼンジカルボン酸、具体的には、4−メチルイソフタル酸などのC1−4アルキル−ベンゼンジカルボン酸などが挙げられる。
多環式芳香族ジカルボン酸としては、例えば、縮合多環式芳香族ジカルボン酸、具体的には、ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸などの縮合多環式C10−24アレーン−ジカルボン酸、好ましくは縮合多環式C10−14アレーン−ジカルボン酸など;ビアリールジカルボン酸、具体的には、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ジカルボキシ−1,1’−ビナフチルなどのビC6−10アリール−ジカルボン酸など;ビス(カルボキシアルコキシ)ビC6−10アリール、具体的には、2,2’−ビス(カルボキシメトキシ)−1,1’−ビナフチルなどのビス(カルボキシC1−4アルコキシ)ビC6−10アリールなど;ビス[(カルボキシアルコキシ)−C6−10アリール]アルカン、具体的には、ビス[2−(カルボキシメトキシ)−1−ナフチル]メタンなどのビス[(カルボキシC1−4アルコキシ)−C6−10アリール)C1−6アルカンなど;ジアリールアルカンジカルボン酸、具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸などのジC6−10アリールC1−6アルカン−ジカルボン酸など;ジアリールケトンジカルボン酸、具体的には、4.4’−ジフェニルケトンジカルボン酸などのジ(C6−10アリール)ケトン−ジカルボン酸など;ジアリールエーテルジカルボン酸、具体的には、4.4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸などのジ(C6−10アリール)エーテル−ジカルボン酸など;ジアリールスルホンジカルボン酸、具体的には、4.4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸などのジ(C6−10アリール)スルホン−ジカルボン酸などが挙げられる。
前記ナフタレンジカルボン酸としては、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、2,3−ナフタレンジカルボン酸であることが多い。
脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロアルカンジカルボン酸、具体的には、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などのC5−10シクロアルカン−ジカルボン酸など;架橋環式シクロアルカンジカルボン酸、具体的には、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸などのビまたはトリシクロアルカンジカルボン酸など;シクロアルケンジカルボン酸、具体的には、シクロヘキセンジカルボン酸などのC5−10シクロアルケン−ジカルボン酸など;架橋環式シクロアルケンジカルボン酸、具体的には、ノルボルネンジカルボン酸などのビまたはトリシクロアルケンジカルボン酸;およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アルカンジカルボン酸、具体的には、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸などのC2−18アルカン−ジカルボン酸など;不飽和脂肪族ジカルボン酸、具体的には、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのC2−10アルケン−ジカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
これらのジカルボン酸成分は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、第3のジカルボン酸単位(A3)として、成形性を向上できる点などから、テレフタル酸などのベンゼンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸などのC2−12アルカン−ジカルボン酸が好ましい。
第1のジカルボン酸単位(A1)および第2のジカルボン酸単位(A2)の総量の割合は、ジカルボン酸単位(A)全体に対して、例えば、1モル%以上、具体的には10〜100モル%程度の範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、30モル%以上、50モル%以上、60モル%以上、70モル%以上、80モル%以上、90モル%以上、95モル%以上であり、特に、100モル%、実質的に第3のジカルボン酸単位(A3)を含まないのが好ましい。
第1のジカルボン酸単位(A1)の割合は、ジカルボン酸単位(A)全体に対して、例えば、1モル%以上、具体的には10〜100モル%程度の範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、20〜100モル%、30〜100モル%、40〜95モル%、45〜92モル%以上であり、優れた光学的特性(低アッベ数、高屈折率および低複屈折)および耐熱性をよりバランスよく向上する観点からは40〜80モル%、好ましくは45〜75モル%である。第1のジカルボン酸単位(A1)の割合が少なすぎると、アッベ数を十分に低減できなかったり、耐熱性を十分に向上できなかったりするため、耐熱性および光学的特性(低いアッベ数、高い屈折率および低い複屈折)をバランスよく充足し難くなるおそれがある。
第1のジカルボン酸単位(A1)と第2のジカルボン酸単位(A2)との割合(以下、単にA1/A2ともいう)は、例えば、A1/A2(モル比)=1/99〜100/0程度の範囲から選択してもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、10/90〜99/1、30/70〜95/5、40/60〜93/7、45/55〜92/8、50/50〜90/10である。低複屈折が重要な用途では、A1/A2(モル比)=40/60〜80/20、好ましくは45/55〜70/30であってもよい。第1のジカルボン酸単位(A1)の割合が少なすぎると、ガラス転移温度が低下して耐熱性が低下したり、アッベ数を十分に低減できなかったり、屈折率が低下するおそれがある。一方、第2のジカルボン酸単位(A2)の割合が少なすぎると、複屈折を十分に低減できないおそれがある。
また、ジカルボン酸単位(A)を後述する第1のジオール単位(B1)と組み合わせる場合、A1/A2(モル比)=40/60〜100/0程度の範囲から選択してもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、50/50〜99/1、60/40〜98/2、70/30〜97/3、80/20〜96/4、85/15〜95/5である。このような割合で第1のジオール単位(B1)と組み合わせると、アッベ数をより低減でき、耐熱性も大きく向上できるようである。
ジカルボン酸単位(A)を後述する第2のジオール単位(B2)と組み合わせる場合、A1/A2(モル比)=10/90〜100/0程度の範囲から選択してもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、20/90〜95/5、30/70〜90/10、35/65〜85/15、40/60〜80/20、45/55〜75/25である。このような割合で第2のジオール単位(B2)と組み合わせると、優れた光学的特性(低アッベ数、高屈折率および低複屈折)を示しつつ、耐熱性をより大きく向上できるようであり、車載用レンズなどの高温環境下での耐久性が求められる用途などに適している。なかでも、式(4)におけるZおよびZがナフタレン環などの縮合多環式芳香族炭化水素環である第2のジオール単位(B2)と組み合わせる場合、A1/A2(モル比)=30/70〜70/30程度の範囲から選択してもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、35/65〜65/35、40/60〜60/40、45/55〜55/45である。このような割合で上述の第2のジオール単位(B2)と組み合わせると、高い耐熱性および光学的特性(低アッベ数、高屈折率および低複屈折)をバランスよく充足しつつ、特に屈折率および耐熱性をより一層大きく向上できるようである。一方、式(4)におけるZおよびZがベンゼン環(単環式芳香族炭化水素環)である第2のジオール単位(B2)と組み合わせる場合、A1/A2(モル比)=50/50〜90/10程度の範囲から選択してもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、55/45〜85/15、60/40〜80/20、65/35〜75/25である。このような割合で上述の第2のジオール単位(B2)と組み合わせると、高い耐熱性および光学的特性(低アッベ数、高屈折率および低複屈折)をバランスよく充足しつつ、特に複屈折をより有効に低減でき、耐熱性も大きく向上できるようである。
ジカルボン酸単位(A)を後述する第3のジオール単位(B3)と組み合わせる場合、A1/A2(モル比)=50/50〜90/10程度の範囲から選択してもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、55/45〜85/15、60/40〜80/20、65/35〜75/25である。このような割合で第3のジオール単位(B3)と組み合わせると、高い耐熱性および光学的特性(低アッベ数、高屈折率および低複屈折)のバランスが特に優れており、なおかつ成形性も良好であり、最も好ましい。
[ジオール単位(B)]
熱可塑性樹脂は、ジカルボン酸単位(A)に加えて、さらにジオール単位(B)を含むポリエステル系樹脂であるのが好ましい。ジオール単位(B)は特に制限されないが、下記式(3)で表される第1のジオール単位(B1)、下記式(4)で表される第2のジオール単位(B2)、および下記式(5)で表される第3のジオール単位(B3)から選択された少なくとも1種のジオール単位を含むのが好ましく、第1のジオール単位(B1)を少なくとも含むのがさらに好ましい。
第1のジオール単位(B1)
Figure 2021134355
(式中、Aは直鎖状または分岐鎖状アルキレン基を示し、nは1以上の整数を示す)。
第1のジオール単位(B1)を含むと、重合反応性を高めて分子量を増大し易いとともに、熱可塑性樹脂に柔軟性または靱性などを付与して成形性や取り扱い性も大きく向上できる。
前記式(3)において、Aで表されるアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、1,2−ブタンジイル基、1,3−ブタンジイル基、テトラメチレン基、1,5−ペンタンジイル基、1,6−ヘキサンジイル基、1,8−オクタンジイル基、1,10−デカンジイル基などの直鎖状または分岐鎖状C2−12アルキレン基などが挙げられる。好ましいアルキレン基Aとしては、以下段階的に、直鎖状または分岐鎖状C2−10アルキレン基、直鎖状または分岐鎖状C2−8アルキレン基、直鎖状または分岐鎖状C2−6アルキレン基、直鎖状または分岐鎖状C2−4アルキレン基であり、さらに好ましくはエチレン基、プロピレン基などの直鎖状または分岐鎖状C2−3アルキレン基であり、特に、エチレン基が好ましい。
アルキレンオキシ基[−(AO)−]の繰り返し数nは、例えば1〜10程度の範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、1〜8、1〜6、1〜4、1〜3、1〜2であり、特に1が好ましい。なお、繰り返し数nは、平均値(算術平均値または相加平均値)であってもよく、好ましい態様は前記整数の範囲と同様であってもよい。nが2以上である場合、2以上のアルキレンオキシ基(−AO−)の種類は、互いに異なっていてもよいが、通常、同一であることが多い。
前記式(3)で表される第1のジオール単位(B1)に対応する第1のジオール成分としては、例えば、アルカンジオール(またはアルキレングリコール)、ポリアルカンジオール(またはポリアルキレングリコール)などが挙げられる。
アルキレングリコールとしては、例えば、前記式(3)においてnが1、Aが前記例示のアルキレン基に対応する化合物、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、テトラメチレングリコール(または1,4−ブタンジオール)、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオールなどの直鎖状または分岐鎖状C2−12アルキレングリコールなどが挙げられ、好ましい態様は前記アルキレン基Aに対応して同様である。
ポリアルキレングリコールとしては、例えば、前記式(3)においてnが2以上、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4であり、Aが前記例示のアルキレン基に対応する化合物、具体的には、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコールなどのジないしデカ直鎖状または分岐鎖状C2−12アルキレングリコールなどが挙げられ、好ましくはジないしヘキサ直鎖状または分岐鎖状C2−6アルキレングリコール、さらに好ましくはジないしテトラ直鎖状または分岐鎖状C2−4アルキレングリコールが挙げられる。
これらの第1のジオール成分で形成された第1のジオール単位(B1)は、単独でまたは2種以上組み合わせて含まれていてもよい。好ましい第1のジオール単位(B1)としては、耐熱性を高く維持し易い点から、アルキレングリコールであり、より好ましくは直鎖状または分岐鎖状C2−6アルキレングリコール、さらに好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの直鎖状または分岐鎖状C2−4アルキレングリコール、なかでも、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの直鎖状または分岐鎖状C2−3アルキレングリコール、特にエチレングリコールに由来する構成単位を含むのが好ましい。
第2のジオール単位(B2)
ジオール単位(B)は、必要に応じて、下記式(4)で表される第2のジオール単位(B2)を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。第2のジオール単位(B2)を含むと、光学的特性(低アッベ数、高屈折率および低複屈折)をバランスよく向上しつつ、耐熱性をより大きく向上でき、車載用レンズなどの高温環境下での耐久性などが求められる用途などに有効に利用できる。
Figure 2021134355
(式中、ZおよびZはそれぞれ独立して芳香族炭化水素環を示し、
は置換基を示し、pは0〜8の整数を示し、
6aおよびR6bはそれぞれ独立して置換基を示し、q1およびq2はそれぞれ独立して0または1以上の整数を示し、
3aおよびA3bはそれぞれ独立して直鎖状または分岐鎖状アルキレン基を示し、r1およびr2はそれぞれ独立して0または1以上の整数を示す)。
優れた光学的特性(低アッベ数、高屈折率および低複屈折)を示しつつ、耐熱性をより大きく向上できるようであり、車載用レンズなどの高温環境下での耐久性が求められる用途などに適している。
前記式(4)において、ZおよびZで表される芳香族炭化水素環(アレーン環)としては、例えば、ベンゼン環などの単環式アレーン環、多環式アレーン環などが挙げられ、多環式アレーン環には、縮合多環式芳香族炭化水素環(縮合多環式アレーン環)、環集合芳香族炭化水素環(環集合アレーン環)などが含まれる。
縮合多環式アレーン環としては、例えば、縮合二環式アレーン環、縮合三環式アレーン環などの縮合二ないし四環式アレーン環などが挙げられる。縮合二環式アレーン環としては、例えば、ナフタレン環、インデン環などの縮合二環式C10−16アレーン環などが挙げられ、縮合三環式アレーン環としては、例えば、アントラセン環、フェナントレン環などが挙げられる。好ましい縮合多環式アレーン環としては、ナフタレン環、アントラセン環などの縮合多環式C10−16アレーン環が挙げられ、さらに好ましくは縮合多環式C10−14アレーン環が挙げられ、特にナフタレン環が好ましい。
環集合アレーン環としては、例えば、ビアレーン環(またはビアリール環)、テルアレーン環(またはテルアリール環)などが挙げられる。ビアレーン環としては、例えば、ビフェニル環、ビナフチル環、フェニルナフタレン環などのビC6−12アレーン環などが挙げられる。フェニルナフタレン環としては、1−フェニルナフタレン環、2−フェニルナフタレン環などが挙げられる。テルアレーン環としては、例えば、テルフェニレン環などのテルC6−12アレーン環などが挙げられる。好ましい環集合アレーン環としては、ビC6−10アレーン環が挙げられ、特にビフェニル環が好ましい。
およびZの種類は、互いに同一または異なっていてもよく、同一であるのが好ましい。ZおよびZのうち、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環などのC6−12アレーン環が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環などのC6−10アレーン環がより好ましい。また、高い耐熱性および光学的特性(低アッベ数、高屈折率および低複屈折)をバランスよく充足しつつ、特に屈折率および耐熱性をより一層大きく向上できる点からは、ZおよびZがナフタレン環などの縮合多環式アレーン環であるのがさらに好ましく、一方、高い耐熱性および光学的特性(低アッベ数、高屈折率および低複屈折)をバランスよく充足しつつ、特に複屈折をより有効に低減でき、耐熱性も大きく向上できる点からは、ZおよびZがベンゼン環であるのがさらに好ましい。
なお、フルオレン環の9位に結合するZおよびZの置換位置は、特に限定されず、例えば、Z、Zがベンゼン環の場合はいずれの位置であってもよく、Z、Zがナフタレン環の場合、1位または2位のいずれかの位置、好ましくは2位であり、Z、Zがビフェニル環の場合、2位、3位、4位のいずれかの位置、好ましくは3位である。
で表される置換基としては、重合反応に不活性な置換基(非重合性基)であるのが好ましく、例えば、前記式(2a)、(2b)の項に記載の基R4aおよびR4bと好ましい態様を含めて同様の置換基などが挙げられる。
また、Rの置換数pとしては、前記式(2a)、(2b)の項に記載のm1、m2と好ましい態様を含めて同様であり、特に0が好ましい。
なお、置換数pが2以上である場合、2以上の基Rの種類は互いに同一または異なっていてもよい。フルオレン環を構成する2つのベンゼン環に対する基Rの結合位置(置換位置)は、特に限定されず、例えば、フルオレン環の2位、7位、2,7位などが挙げられる。
6aおよびR6bで表される置換基としては、重合反応に不活性な置換基(非重合性基)であるのが好ましく、例えば、前記式(1)の項に記載のR2aおよびR2bとして例示した置換基と同様の基が挙げられる。代表的なR6aおよびR6bとしては、例えば、ハロゲン原子;アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などの炭化水素基;アルコキシ基;アシル基;ニトロ基;シアノ基;置換アミノ基などが挙げられる。置換数q1、q2が1以上である場合、好ましいR6aおよびR6bとしては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基が挙げられ、さらに好ましくはメチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1−6アルキル基、シクロヘキシル基などのC5−8シクロアルキル基、フェニル基などのC6−14アリール基、メトキシ基などの直鎖状または分岐鎖状C1−4アルコキシ基が挙げられる。これらのなかでも、アルキル基、アリール基が好ましく、特に、メチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1−4アルキル基、フェニル基などのC6−10アリール基が好ましい。なお、基R6a、R6bがアリール基であるとき、R6a、R6bは、それぞれ環Z、Zとともに前記環集合アレーン環を形成してもよい。
6a、R6bの置換数q1、q2は、0以上の整数であればよく、環Z、Zの種類に応じて適宜選択でき、例えば0〜8程度の整数であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、0〜6の整数、0〜4の整数、0〜3の整数、0〜2の整数であり、0または1がさらに好ましく、特に0が好ましい。q1、q2は、互いに異なっていてもよいが、同一であるのが好ましい。また、q1、q2が2以上である場合、2以上のR6a、R6bの種類は、それぞれ互いに同一または異なっていてもよい。また、R6a、R6bの種類は、互いに同一または異なっていてもよい。特に、q1、q2が1である場合、Z、Zがベンゼン環、ナフタレン環またはビフェニル環、R6a、R6bがメチル基であってもよい。また、R6a、R6bの置換位置は特に制限されず、Z、Zと、主鎖を形成するエーテル結合(−O−)およびフルオレン環の9位との結合位置以外の位置に置換していればよく、例えば、Z、Zにおける前記エーテル結合(−O−)に対してオルト位(エーテル結合の結合位置に隣接する炭素原子)に置換していてもよい。
アルキレン基A3aおよびA3bとしては、例えば、エチレン基、プロピレン基(1,2−プロパンジイル基)、トリメチレン基、1,2−ブタンジイル基、テトラメチレン基などの直鎖状または分岐鎖状C2−6アルキレン基などが挙げられ、好ましくは直鎖状または分岐鎖状C2−4アルキレン基、さらに好ましくはエチレン基、プロピレン基などの直鎖状または分岐鎖状C2−3アルキレン基、特にエチレン基が好ましい。
アルキレンオキシ基[−(A3aO)−]、[−(A3bO)−]の繰り返し数(付加モル数)r1、r2は、それぞれ0以上であればよく、例えば0〜15程度の範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、0〜10、0〜8、0〜6、0〜4、0〜2、0〜1である。また、繰り返し数r1、r2は、1以上であると重合反応性を向上し易く、例えば1〜15程度の範囲から選択してもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、1〜10、1〜8、1〜6、1〜4、1〜3、1〜2であり、特に1であるのが好ましい。なお、本明細書および特許請求の範囲において、「繰り返し数(付加モル数)」は、平均値(算術平均値、相加平均値)または平均付加モル数であってもよく、好ましい態様は、上述の好ましい整数の範囲と同様であってもよい。r1、r2が大きすぎると、耐熱性や屈折率が低下するおそれがある。また、r1、r2は、互いに同一または異なっていてもよい。r1、r2が2以上である場合、2以上のアルキレンオキシ基[−(A3aO)−]、[−(A3bO)−]の種類は、それぞれ、互いに異なっていてもよいが、同一であるのが好ましい。また、A3aおよびA3bの種類は、互いに同一または異なっていてもよい。
基[−O−(A3aO)r1−]、[−O−(A3bO)r2−](すなわち、前記主鎖を形成するエーテル結合)の環Z、Zに対する置換位置は、特に限定されず、Z、Zの適当な位置にそれぞれ置換していればよい。基[−O−(A3aO)r1−]、[−O−(A3bO)r2−]の環Z、Zに対する置換位置は、Z、Zがベンゼン環である場合、フルオレン環の9位に結合するフェニル基の2位、3位、4位のいずれかの位置、なかでも、3位または4位、特に4位に置換するのが好ましい。また、Z、Zがナフタレン環である場合、フルオレン環の9位に結合するナフチル基の5〜8位のいずれかの位置に置換している場合が多く、例えば、フルオレン環の9位に対してナフタレン環の1位または2位が置換し(1−ナフチルまたは2−ナフチルの関係で置換し)、この置換位置に対して、1,5位、2,6位の関係、特に2,6−位の関係で置換するのが好ましい。また、Z、Zが環集合アレーン環である場合、基[−O−(A3aO)r1−]、[−O−(A3bO)r2−]の置換位置は特に限定されず、例えば、フルオレンの9位に結合するアレーン環またはこのアレーン環に隣接するアレーン環に置換していてもよい。例えば、Z、Zがビフェニル環(またはZ、Zがベンゼン環、q1、q2が1、R6a、R6bがフェニル基)の場合、ビフェニル環の3位または4位、好ましくは3位がフルオレンの9位に結合していてもよく、ビフェニル環の3位がフルオレンの9位に結合する場合、基[−O−(A3aO)r1−]、[−O−(A3bO)r2−]の置換位置は、例えば、ビフェニル環の2位、4位、5位、6位、2’位、3’位、4’位のいずれの位置であってもよく、好ましくは6位または4’位、特に6位が好ましい。
第2のジオール単位(B2)に対応する第2のジオール成分としては、例えば、前記式(4)において、r1、r2が0である9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類;r1、r2が1以上、例えば1〜10程度である9,9−ビス[ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール]フルオレン類などが挙げられる。なお、本明細書および特許請求の範囲において、特に断りのない限り、「(ポリ)アルコキシ」とは、アルコキシ基およびポリアルコキシ基の双方を含む意味に用いる。
9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレンなどが挙げられる。
9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレンとしては、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどが挙げられる。
9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレンとしては、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス[(モノまたはジ)C1−4アルキル−ヒドロキシフェニル]フルオレンなどが挙げられる。
9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレンとしては、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−10アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどが挙げられる。
9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレンとしては、例えば、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(5−ヒドロキシ−1−ナフチル)フルオレンなどが挙げられる。
9,9−ビス[ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール]フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス[ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル]フルオレン、9,9−ビス[アルキル−ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル]フルオレン、9,9−ビス[アリール−ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル]フルオレン、9,9−ビス[ヒドロキシ(ポリ)アルコキシナフチル]フルオレンなどが挙げられる。
9,9−ビス[ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル]フルオレンとしては、例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ヒドロキシ(モノないしデカ)C2−4アルコキシ−フェニル]フルオレンなどが挙げられる。
9,9−ビス[アルキル−ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル]フルオレンとしては、例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−メチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[(モノまたはジ)C1−4アルキル−ヒドロキシ(モノないしデカ)C2−4アルコキシ−フェニル]フルオレンなどが挙げられる。
9,9−ビス[アリール−ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル]フルオレンとしては、例えば、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス[C6−10アリール−ヒドロキシ(モノないしデカ)C2−4アルコキシ−フェニル]フルオレンなどが挙げられる。
9,9−ビス[ヒドロキシ(ポリ)アルコキシナフチル]フルオレンとしては、例えば、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[5−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス[ヒドロキシ(モノないしデカ)C2−4アルコキシ−ナフチル]フルオレンなどが挙げられる。
これらの第2のジオール単位(B2)は、単独でまたは2種以上組み合わせて含んでいてもよい。好ましい第2のジオール単位(B2)としては、9,9−ビス[ヒドロキシ(モノないしペンタ)C2−4アルコキシC6−10アリール]フルオレンなどの9,9−ビス[ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール]フルオレン類、より好ましくは9,9−ビス[ヒドロキシC2−4アルコキシC6−10アリール]フルオレン由来の構成単位であり、なかでも、耐熱性および光学的特性(低アッベ数、高屈折率および低複屈折)をバランスよく充足しつつ、特に屈折率および耐熱性をより一層大きく向上できる点からは、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ヒドロキシC2−3アルコキシ−フェニル]フルオレン由来の構成単位がさらに好ましく、高い耐熱性および光学的特性(低アッベ数、高屈折率および低複屈折)をバランスよく充足しつつ、特に複屈折をより有効に低減でき、耐熱性も大きく向上できる点からは、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス[ヒドロキシC2−3アルコキシ−ナフチル]フルオレン由来の構成単位がさらに好ましい。
第3のジオール単位(B3)
ジオール単位(B)は、必要に応じて、下記式(5)で表される第3のジオール単位(B3)を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。第3のジオール単位(B3)を含むと、高い耐熱性および光学的特性(低アッベ数、高屈折率および低複屈折)のバランスが特に優れるだけでなく、ガラス転移温度の過度な上昇を抑えて耐熱性と成形性とを両立できる点で好ましい。
Figure 2021134355
(式中、Aは直接結合(単結合)またはアルキレン基を示し、
5aおよびA5bは直鎖状または分岐鎖状アルキレン基を示し、s1およびs2はそれぞれ独立して0または1以上の整数を示し、
7aおよびR7bはそれぞれ独立して置換基を示し、t1およびt2はそれぞれ独立して0〜6の整数を示す)。
前記式(5)において、Aで表されるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、1,2−ブタンジイル基、テトラメチレン基などの直鎖状または分岐鎖状C1−4アルキレン基などが挙げられる。好ましいAとしては、例えば、高屈折率、低アッベ数、低複屈折などの光学特性の観点から、直接結合またはメチレン基などのC1−2アルキレン基であり、特に直接結合(単結合)が好ましい。
5a、A5bで表されるアルキレン基としては、例えば、前記式(4)で例示したアルキレン基A3a、A3bと好ましい態様も含めて同様である。
アルキレンオキシ基[−(A5aO)−]、[−(A5bO)−]の繰り返し数s1、s2は、0以上であればよく、例えば0〜15程度の範囲から選択でき、好ましい範囲としては以下段階的に、0〜10、0〜8、0〜6、0〜4、0〜2、0〜1である。また、繰り返し数s1、s2は、重合反応性が高く、高屈折率、低アッベ数、低複屈折などの光学特性および耐熱性にも優れ、さらに、着色も抑制できる点から、1以上であるのが好ましく、好ましい範囲としては、以下段階的に、1〜15、1〜10、1〜8、1〜6、1〜4、1〜3、1〜2であり、特に1であるのが好ましい。なお、繰り返し数s1、s2は、平均付加モル数であってもよく、好ましい態様は、上述の好ましい整数の範囲と同様である。繰り返し数s1、s2が大きすぎると、耐熱性や屈折率が低下するおそれがある。また、s1、s2は、互いに同一または異なっていてもよい。s1、s2が2以上である場合、2以上のアルキレンオキシ基[−(A5aO)−]、[−(A5bO)−]の種類は、互いに同一または異なっていてもよい。また、A5aおよびA5bの種類は、互いに異なっていてもよいが、同一であるのが好ましい。
熱可塑性樹脂の主鎖を形成する(ポリ)オキシアルキレン基[−O−(A5aO)s1−]、[−O−(A5bO)s2−]の置換位置は、Aに結合する2つのナフタレン環骨格の1位に対して、2〜4位のいずれの位置であってもよく、複屈折を低減できる点で2位が好ましい。例えば、Aが直接結合(単結合)である場合、1,1’−ビナフチル骨格の2〜4位および2’〜4’位のいずれの位置であってもよく、複屈折を低減できる点で2,2’位が好ましい。
7aおよびR7bは、重合反応に不活性な置換基(非重合性基)であるのが好ましく、例えば、前記式(1)の項で基R2aおよびR2bとして例示した基と好ましい態様を含めて同様の基が挙げられる。
7a、R7bの置換数t1、t2は、例えば0〜5程度の整数であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、0〜4の整数、0〜3の整数、0〜2の整数、0〜1の整数であり、好ましくは0である。t1およびt2は、互いに同一または異なっていてもよい。また、R7aおよびR7bの種類は、互いに同一または異なっていてもよい。t1、t2が2以上である場合、2以上のR7a、R7bの種類は、それぞれ互いに同一または異なっていてもよい。
また、R7a、R7bの置換位置は、2つのナフタレン環骨格におけるAおよび(ポリ)オキシアルキレン基[−O−(OA5as1−]、[−O−(OA5bs2−]の置換位置以外の位置である限り特に制限されず、Aに結合する2つのナフタレン環骨格の1位に対して、3〜8位が好ましい。例えば、Aが直接結合(単結合)である場合、1,1’−ビナフチル骨格の3〜8位、3’〜8’位であるのが好ましい。
第3のジオール単位(B3)として、代表的には、Aが直接結合(単結合)であるジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル類などの第3のジオール成分に由来(または対応)する単位などが挙げられる。ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル類としては、例えば、2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチルなどのジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル;ビス[ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ]−1,1’−ビナフチルなどが挙げられる。
ビス[ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ]−1,1’−ビナフチルとしては、例えば、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(2−ヒドロキシプロポキシ)−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]−1,1’−ビナフチルなどの2,2’−ビス[ヒドロキシ(モノないしデカ)C2−4アルコキシ]−1,1’−ビナフチルなどが挙げられる。
これらの第3のジオール単位(B3)は、単独でまたは2種以上組み合わせて含んでいてもよい。これらの第3のジオール単位(B3)のうち、重合反応性のみならず、高屈折率、低アッベ数、低複屈折などの光学特性および耐熱性にも優れ、着色も抑制できる観点から、2,2’−ビス[ヒドロキシ(モノないしデカ)C2−4アルコキシ]−1,1’−ビナフチル、なかでも、2,2’−ビス[ヒドロキシ(モノないしヘキサ)C2−4アルコキシ]−1,1’−ビナフチルが好ましく、さらに好ましくは2,2’−ビス[ヒドロキシ(モノないしトリ)C2−3アルコキシ]−1,1’−ビナフチルであり、特に、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフチルなどの2,2’−ビス[ヒドロキシC2−3アルコキシ]−1,1’−ビナフチルに由来する構成単位が好ましい。
第4のジオール単位(B4)
なお、ジオール単位(B)は、必ずしも含んでいなくてもよいが、必要に応じて、第1のジオール単位(B1)、第2のジオール単位(B2)および第3のジオール単位(B3)とは異なる第4のジオール単位(B4)を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
第4のジオール単位(B4)としては、例えば、脂環族ジオール、芳香族ジオール[ただし、第2のジオール単位(B2)および第3のジオール単位(B3)を除く]、およびこれらのジオール成分のアルキレンオキシド(またはアルキレンカーボネート、ハロアルカノール)付加体に由来する構成単位などが挙げられる。
脂環族ジオールとしては、例えば、シクロヘキサンジオールなどのシクロアルカンジオール;シクロヘキサンジメタノールなどのビス(ヒドロキシアルキル)シクロアルカン;ビスフェノールAの水添物などの後に例示する芳香族ジオールの水添物などが挙げられる。
芳香族ジオールとしては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノールなどのジヒドロキシアレーン;ベンゼンジメタノールなどの芳香脂肪族ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールC、ビスフェノールG、ビスフェノールSなどのビスフェノール類;p,p’−ビフェノールなどのビフェノール類などが挙げられる。
これらのジオール成分のアルキレンオキシド(または対応するアルキレンカーボネート、ハロアルカノール)付加体としては、例えば、C2−4アルキレンオキシド付加体、好ましくはエチレンオキシド付加体、プロピレンオキシド付加体などのC2−3アルキレンオキシド付加体が挙げられ、付加モル数は特に制限されない。具体的には、ビスフェノールA 1モルに対して、2〜10モル程度のエチレンオキシドが付加した付加体などが挙げられる。
ジオール単位(B)は、これらの第4のジオール単位(B4)を、単独でまたは2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
第1のジオール単位(B1)、第2のジオール単位(B2)および第3のジオール単位(B3)の総量の割合は、ジオール単位(B)全体に対して、例えば1モル%以上、具体的には10〜100モル%程度の範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、30モル%以上、50モル%以上、60モル%以上、70モル%以上、80モル%以上、90モル%以上、95モル%以上であり、特に、100モル%、実質的に第4のジオール単位(B4)を含まないのが好ましい。
第1のジオール単位(B1)の割合は、ジオール単位(B)全体に対して、例えば1モル%程度以上、好ましくは5〜100モル%であり、アッベ数をより低く、耐熱性をより大きく向上できる点からは、50〜100モル%程度であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、70〜100モル%、90〜100モル%、95〜100モル%であり、特に100モル%である。一方、第2のジオール単位(B2)および/または第3のジオール単位(B3)と組み合わせて高耐熱性および光学的特性(低アッベ数、高屈折率および低複屈折)をバランスよく保持しつつより一層向上する点から、第1のジオール単位(B1)の割合は、ジオール単位(B)全体に対して、例えば1〜50モル%であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、3〜45モル%、5〜40モル%、8〜35モル%、10〜30モル%である。
第1のジオール単位(B1)と第2のジオール単位(B2)との割合(以下、B1/B2ともいう)は、例えば、B1/B2(モル比)=1/99〜100/0程度の範囲から選択してもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、5/95〜50/50、8/92〜40/60、10/90〜35/65である。第1のジオール単位(B1)の割合が少なすぎると、重合反応性や成形性(生産性)が低下するおそれがあり、一方、第2のジオール単位(B2)の割合が少なすぎると、耐熱性を十分に向上できず、車載用レンズなどの高温環境下での耐久性が求められる用途などに利用できないおそれがある。なかでも、前記式(4)におけるZおよびZがナフタレン環などの縮合多環式芳香族炭化水素環である第2のジオール単位(B2)を含む場合、B1/B2(モル比)=1/99〜30/70程度の範囲から選択してもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、5/95〜25/75、8/92〜20/80、10/90〜15/85である。このような割合であると、高い耐熱性および光学的特性(低アッベ数、高屈折率および低複屈折)をバランスよく充足しつつ、特に屈折率および耐熱性をより一層大きく向上できるようである。一方、前記式(4)におけるZおよびZがベンゼン環(単環式芳香族炭化水素環)である第2のジオール単位(B2)を含む場合、B1/B2(モル比)=5/95〜50/50程度の範囲から選択してもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、10/90〜45/55、20/80〜40/60、25/75〜35/65であり、低複屈折が重要な用途では、好ましくは10/90〜40/60、さらに好ましくは15/85〜35/75である。このような割合であると、高い耐熱性および光学的特性(低アッベ数、高屈折率および低複屈折)をバランスよく充足しつつ、特に複屈折をより有効に低減でき、耐熱性も大きく向上できるようである。
第1のジオール単位(B1)と第3のジオール単位(B3)との割合(以下、B1/B3ともいう)は、例えば、B1/B3(モル比)=1/99〜100/0程度の範囲から選択してもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、5/95〜50/50、10/90〜40/60、15/85〜35/65、20/80〜30/70である。第1のジオール単位(B1)の割合が少なすぎると、重合反応性や成形性(生産性)が低下するおそれがあり、一方、第3のジオール単位(B3)の割合が少なすぎると、高い耐熱性および光学的特性(低アッベ数、高屈折率および低複屈折)をバランスよく向上し難いだけでなく、ガラス転移温度の過度な上昇を抑えて耐熱性と成形性とを両立するのも困難となるおそれがある。
なお、熱可塑性樹脂は、必要に応じて、本発明の効果を害しない範囲でジカルボン酸単位(A)およびジオール単位(B)とは異なる他の構成単位(C)を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。他の構成単位(C)としては、例えば、ヒドロキシアルカン酸やラクトン、3以上の重合性基(カルボキシル基および/またはヒドロキシル基)を有する多官能性重合成分、カーボネート結合形成成分などに由来する構成単位が挙げられる。
ヒドロキシアルカン酸としては、例えば、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、6−ヒドロキシヘキサン酸などのヒドロキシアルカン酸などが挙げられ、ラクトンとしては、例えば、ε−カプロラクトンなどのヒドロキシアルカン酸に対応するラクトンなどが挙げられる。
合計で3以上の重合性基(カルボキシル基および/またはヒドロキシル基)を有する多官能性重合成分としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸;グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールなどが挙げられる。
カーボネート結合形成成分としては、2つのジオール成分との反応により、カーボネート結合を形成可能な化合物であればよい。すなわち、カーボネート結合形成成分に由来する構成単位はカルボニル基[−C(=O)−]を意味し、このカルボニル基に隣接して結合する2つのジオール単位の末端酸素原子とともにカーボネート結合を形成する。代表的なカーボネート結合形成成分としては、例えば、ホスゲン、トリホスゲンなどのホスゲン類、ジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステル類などが挙げられる。
このような他の構成単位(C)の割合は、構成単位全体(ジカルボン酸単位(A)、ジオール単位(B)および他の構成単位(C)の総量)に対して、例えば、50モル%以下、好ましい範囲としては、以下段階的に、0〜30モル%、0〜15モル%、0〜10モル%、0.01〜1モル%であり、他の構成単位(C)を実質的に含まないのが好ましい。
[製造方法]
(第1のジカルボン酸成分の製造方法)
第1のジカルボン酸成分は、市販品を用いてもよいが、下記式(1A)で表される第1のジカルボン酸成分は新規な化合物であり、例えば、以下の反応工程式に従って調製してもよい。
Figure 2021134355
(式中、R1aおよびR1bはそれぞれ独立してC1−5アルコキシ基を示し、
3aおよびR3bはそれぞれ独立してC1−5アルコキシ基を示し、
2aおよびR2b、k1およびk2はそれぞれ好ましい態様を含めて前記式(1)と同じ)。
上記反応工程式では、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸類(または2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸類)を用いて、エステル化反応、カップリング反応(酸化カップリング反応)、エーテル化反応の順で反応させることにより式(1A)で表されるジカルボン酸成分を調製できる。
(i)6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸類のエステル化反応
エステル化反応では、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸類を、R3a、R3bで表されるアルコキシ基に対応するアルコール類と反応させて6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル類を合成する。
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸類としては、前記式(1)の項に記載のR2a、R2bで表される置換基を有していてもよい6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が挙げられ、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が好ましい。なお、R2aおよびR2bならびにk1およびk2は、それぞれ互いに同一、すなわち、一種類の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸類を用いるのが好ましい。
アルコキシ基R3a、R3bに対応するアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの直鎖状または分岐鎖状C1−5アルコールが挙げられ、好ましくは直鎖状または分岐鎖状C1−3アルコール、さらに好ましくはメタノールなどのC1−2アルコールである。なお、R3aおよびR3bは互いに同一、すなわち、一種類のアルコール類を用いるのが好ましい。
前記アルコール類の使用割合は、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸類100質量部に対して、例えば50〜500質量部、好ましくは100〜400質量部、さらに好ましくは200〜300質量部である。
エステル化反応は慣用のエステル化触媒の存在下で行ってもよい。エステル化触媒としては、例えば、酸触媒;塩基触媒;金属アルコキシドなどの金属触媒、具体的には、チタン(IV)テトライソプロポキシドなどのチタン(IV)アルコキシドなどが挙げられる。これらの触媒のうち、酸触媒を好適に使用できる。
酸触媒としては、特に限定されず、無機酸;有機酸;三フッ化ホウ素エーテラート、四塩化スズなどのルイス酸;陽イオン交換樹脂などの固体酸触媒などが挙げられる。これらの酸触媒は、単独でまたは2種以上組み合わせてもよい。また、これらの酸触媒は、水和物であってもよい。
前記無機酸としては、例えば、強酸、具体的には、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸など;ホモまたはヘテロポリ酸、具体的には、タングストリン酸、モリブドリン酸、タングストケイ酸、モリブドケイ酸などが挙げられる。
前記有機酸としては、例えば、スルホン酸、具体的には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸などのアルカンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのフッ化アルカンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのアレーンスルホン酸などが挙げられる。酸触媒としては、無機酸、例えば、濃硫酸などの硫酸などがよく利用される。
エステル化触媒の使用割合は、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸類100質量部に対して、例えば5〜50質量部、好ましくは10〜40質量部、さらに好ましくは20〜30質量部である。
反応温度は、例えば50〜150℃、好ましくは60〜100℃である。なお、反応は、還流温度で行ってもよい。反応時間は、例えば1〜24時間程度であってもよい。
反応は、空気中、または窒素ガス、希ガスなどの不活性雰囲気中、攪拌しながら行うことができ、常圧下、加圧下または減圧下で行ってもよい。
反応終了後、生成した6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル類は、慣用の方法、例えば、中和、洗浄、脱水、ろ過、吸着、濃縮、抽出、晶析、再沈殿、遠心分離、カラムクロマトグラフィーなどの分離精製手段や、これらを組み合わせた手段により分離精製してもよい。
(ii)6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル類の酸化カップリング反応
カップリング反応では、上述のエステル化反応で得られた6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル類を用いて、6,6’−ビス(アルコキシカルボニル)−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル類を合成する。
前述のように、R2aおよびR2b、k1およびk2ならびにR3aおよびR3bは、それぞれ互いに同一であるのが好ましく、カップリング反応に用いる6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル類は一種類の化合物(同一化合物)であるのが好ましい。
カップリング反応は触媒の存在下で行われることが多く、触媒としての銅塩などが挙げられる。銅塩としては、例えば、塩化銅(I)、塩化銅(II)、臭化銅(I)、臭化銅(II)、ヨウ化銅(I)などのハロゲン化銅;ギ酸銅(II)、酢酸銅(II)などのカルボン酸銅などが挙げられる。これらの触媒は単独でまたは2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの触媒のうち、ハロゲン化銅が好ましく、ハロゲン化銅(I)がさらに好ましく、特に塩化銅(I)が好ましい。
触媒の割合は、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル類1モルに対して、例えば0.005〜1モル程度であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、0.01〜0.8モル、0.05〜0.6モル、0.1〜0.5モル、0.2〜0.4モル、0.25〜0.35モル、0.27〜0.33モルである。
反応は溶媒の存在化で行ってもよい。溶媒としては、窒素原子を有する極性溶媒であるのが好ましく、例えば、アミド類、ウレア類、アニリン類、モルホリン類、ピリジン類などが挙げられる。
アミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオアミド、N−メチルアセトアニリド、N−メチル−2−ピロリドンなどのN,N−置換アミド類などが挙げられる。
ウレア類としては、例えば、テトラメチルウレアまたはテトラエチルウレアなどのテトラアルキルウレア類などが挙げられる。
アニリン類としては、例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−メトキシアニリンなどのN,N−置換アニリン類などが挙げられる。
モルホリン類としては、例えば、モルホリン、N−メチルモルホリンなどが挙げられる。
ピリジン類としては、例えば、ピリジン、2−メチルピリジンなどが挙げられる。
これらの溶媒は単独でまたは2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの溶媒のうち、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類が溶解性の点で好ましい。
溶媒の使用割合は特に制限されず、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸エステル類100質量部に対して、例えば10〜5000質量部程度であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、15〜3000質量部、20〜1000質量部、30〜500質量部、50〜150質量部、70〜130質量部、80〜120質量部、90〜110質量部である。
反応温度は、例えば40〜120℃、好ましくは60〜80℃である。反応時間は、例えば1〜48時間程度であってもよく、好ましくは12〜36時間である。
反応は、空気中、または窒素ガス、希ガスなどの不活性雰囲気中、攪拌しながら行うことができ、常圧下、加圧下または減圧下で行ってもよい。なお、触媒として塩化銅(I)を用いる場合、空気または酸素ガスを例えば1〜20L/分、好ましくは2〜10L/分でバブリングしながら反応させると、酸素によって触媒活性が再生され、触媒量を低減できる点で好ましい。
反応終了後、生成した6,6’−ビス(アルコキシカルボニル)−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル類は、慣用の方法、例えば、中和、洗浄、脱水、ろ過、吸着、濃縮、抽出、晶析、再沈殿、遠心分離、カラムクロマトグラフィーなどの分離精製手段や、これらを組み合わせた手段により分離精製してもよい。
(iii)6,6’−ビス(アルコキシカルボニル)−2,2’−ジヒドロキシ−1,1
’−ビナフチル類のエーテル化反応
エーテル化反応では、6,6’−ビス(アルコキシカルボニル)−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル類を、アルコキシ基R1a、R1bに対応するエーテル化剤と反応させて、1,1’−ビナフチル骨格の2,2’位のヒドロキシル基をエーテル化する。
前記アルコキシ基R1a、R1bに対応するエーテル化剤としては、ハロゲン化アルキル類、硫酸ジアルキルエステルなどが挙げられる。ハロゲン化アルキル類としては、例えば、ヨウ化アルキル、臭化アルキル、塩化アルキルなどが挙げられ、好ましくはヨウ化メチルなどのヨウ化C1−5アルキルである。硫酸ジアルキルエステルとしては、例えば、硫酸ジメチルなどの硫酸C1−5アルキルなどが挙げられる。
これらのエーテル化剤は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することもできる。これらのアルキル化剤のうち、ハロゲン化アルキルが好ましく、さらに好ましくはヨウ化メチルなどのヨウ化C1−5アルキルである。なお、アルコキシ基R1a、R1bは同一であるのが好ましいため、対応するエーテル化剤も一種類の化合物(同一化合物)であるのが好ましい。
エーテル化剤の使用割合は、6,6’−ビス(アルコキシカルボニル)−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル類1モルに対して、例えば2〜10モル程度であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、2.1〜8モル、2.2〜5モル、2.3〜4モル、2.5〜3.5モル、2.7〜3.3モル、2.8〜3.2モルである。
エーテル化反応は、塩基の存在下で反応させてもよく、塩基としては、例えば、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属炭酸水素塩などが挙げられる。金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物などが挙げられる。金属炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩などが挙げられる。金属炭酸水素塩としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩などが挙げられる。
これらの塩基は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの塩基のうち、金属炭酸塩が好ましく、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩がさらに好ましい。
塩基の割合は、6,6’−ビス(アルコキシカルボニル)−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル類1モルに対して、例えば2〜10モル程度であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、2.1〜8モル、2.2〜6モル、2.3〜5モル、2.5〜4モル、2.7〜3.8モル、3〜3.6モル、3.2〜3.4モルである。
反応は溶媒の存在下で行ってもよく、溶媒としては、例えば、アセトニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;炭化水素類、具体的には、ヘキサンなどの脂肪族または脂環族炭化水素類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられる。
これらの溶媒は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの溶媒のうち、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類が好ましい。溶媒の使用割合は特に制限されず、6,6’−ビス(アルコキシカルボニル)−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル類100質量部に対して、例えば10〜5000質量部程度であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、50〜3000質量部、80〜2000質量部、100〜1000質量部、200〜800質量部、300〜700質量部、400〜600質量部、450〜550質量部である。
反応温度は、例えば40〜120℃、好ましくは60〜80℃である。反応時間は、例えば1〜48時間程度であってもよく、好ましくは12〜36時間である。
反応は、空気中、または窒素ガス、希ガスなどの不活性雰囲気中、攪拌しながら行うことができ、常圧下、加圧下または減圧下で行ってもよい。なお、触媒として塩化銅(I)を用いる場合、空気または酸素ガスを例えば1〜20L/分、好ましくは2〜10L/分でバブリングしながら反応させると、酸素によって触媒活性が再生され、触媒量を低減できる点で好ましい。
反応終了後、生成した6,6’−ビス(アルコキシカルボニル)−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル類は、慣用の方法、例えば、中和、洗浄、脱水、ろ過、吸着、濃縮、抽出、晶析、再沈殿、遠心分離、カラムクロマトグラフィーなどの分離精製手段や、これらを組み合わせた手段により分離精製してもよい。
(熱可塑性樹脂の重縮合)
熱可塑性樹脂の製造方法は、前記第1のジカルボン酸成分(A1)を含むジカルボン酸成分(A)を重合成分として用いること以外は特に制限されず、樹脂の種類や他の重合成分(共重合成分)などに応じて、慣用の方法が利用できる。例えば、ポリエステル樹脂などのポリエステル系樹脂である場合、前述の各ジカルボン酸単位などに対応するジカルボン酸成分(A)と、前述のジオール単位などに対応するジオール成分(B)とを反応させて製造すればよく、慣用の方法、具体的には、エステル交換法、直接重合法などの溶融重合法、溶液重合法、界面重合法などで調製でき、溶融重合法が好ましい。なお、反応は、重合方法に応じて、溶媒の存在下または非存在下で行ってもよい。
ジカルボン酸成分(A)とジオール成分(B)との使用割合(または仕込み割合)は、通常、前者/後者(モル比)=例えば、1/1.2〜1/0.8、好ましくは1/1.1〜1/0.9であるが、必ずしもこの範囲である必要はなく、各ジカルボン酸成分(A)および各ジオール成分(B)から選択される少なくとも1種の成分を、予定する導入割合に対して過剰に用いて反応させてもよい。例えば、反応系から留出可能なエチレングリコールなどの第1のジオール成分(B1)は、ポリエステル系樹脂中に導入される割合(または導入割合)よりも過剰に使用してもよい。
反応は、触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、慣用のエステル化触媒、例えば、金属触媒などが利用できる。金属触媒としては、例えば、ナトリウムなどのアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属;チタン、マンガン、コバルトなどの遷移金属;亜鉛、カドミウムなどの周期表第12族金属;アルミニウムなどの周期表第13族金属;ゲルマニウム、鉛などの周期表第14族金属;アンチモンなどの周期表第15族金属などを含む金属化合物が用いられる。金属化合物としては、例えば、アルコキシド;酢酸塩、プロピオン酸塩などの有機酸塩;ホウ酸塩、炭酸塩などの無機酸塩;金属酸化物などであってもよく、これらの水和物であってもよい。代表的な金属化合物としては、例えば、二酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、シュウ酸ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウム−n−ブトキシドなどのゲルマニウム化合物;三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモンエチレングリコレートなどのアンチモン化合物;テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート(チタン(IV)テトラブトキシド)、シュウ酸チタン、シュウ酸チタンカリウムなどのチタン化合物;酢酸マンガン・4水和物などのマンガン化合物;酢酸カルシウム・1水和物などのカルシウム化合物などが挙げられる。
これらの触媒は単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。複数の触媒を用いる場合、反応の進行に応じて、各触媒を添加することもできる。これらの触媒のうち、酢酸マンガン・4水和物、酢酸カルシウム・1水和物、二酸化ゲルマニウム、チタン(IV)テトラブトキシドなどが好ましい。触媒の使用量は、例えば、ジカルボン酸成分(A)1モルに対して、0.01×10−4〜100×10−4モル、好ましくは0.1×10−4〜40×10−4モルである。
また、反応は、必要に応じて、熱安定剤や酸化防止剤などの安定剤の存在下で行ってもよい。通常、熱安定剤がよく利用され、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジブチルホスフェート(リン酸ジブチル)、亜リン酸、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイトなどのリン化合物などが挙げられる。これらのうち、リン酸ジブチルがよく利用される。熱安定剤の使用量は、例えば、ジカルボン酸成分(A)1モルに対して、0.01×10−4〜100×10−4モル、好ましくは0.1×10−4〜40×10−4モルである。
反応は、通常、不活性ガス、例えば、窒素ガス;ヘリウム、アルゴンなどの希ガスなどの雰囲気中で行われる。また、反応は、減圧下、例えば、1×10〜1×10Pa程度で行うこともできる。通常、エステル交換反応は、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが多く、重縮合反応は、減圧下で行うことが多い。反応温度は、重合方法に応じて選択でき、例えば、溶融重合法における反応温度は、150〜320℃、好ましくは250〜310℃、さらに好ましくは280〜300℃である。
[熱可塑性樹脂の特性および用途]
(特性)
熱可塑性樹脂は、前記第1のジカルボン酸単位(A1)を含むため、従来の1,1’−ビナフチル骨格を有するジカルボン酸成分、例えば、2,2’位にメトキシ基などを介してカルボキシル基を有するジカルボン酸成分などを用いて形成した熱可塑性樹脂に比べて、低い複屈折を過度に増加させることなく屈折率を向上できるとともに、特に、アッベ数を大きく低減でき、耐熱性にも優れている。すなわち、通常、トレードオフの関係にある高い屈折率と低い複屈折とを両立でき、光学的特性(低アッベ数、高屈折率、低複屈折)および耐熱性をバランスよく向上できる。
熱可塑性樹脂の屈折率nDは、温度20℃、波長589nmにおいて、例えば1.6〜1.75程度の範囲から選択でき、好ましくは以下段階的に、1.64〜1.72、1.66〜1.71、1.665〜1.7、1.67〜1.695、1.675〜1.69であり、さらに好ましくは1.68〜1.685である。
熱可塑性樹脂のアッベ数は、温度20℃において、例えば19以下、好ましい範囲としては、以下段階的に、18.5以下、18以下、17.5以下、17以下である。前述のように熱可塑性樹脂はアッベ数を有効に低減できるため、低アッベ数が求められる用途、例えば、凹レンズおよび凸レンズを組み合わせて用いるカメラ用レンズなどの各種カメラにおける光学部材などとして有効に利用できる。各種カメラの光学系では、凸レンズで生じる色収差(滲み)を低減する(または打ち消す)ために、低アッベ数の凹レンズが利用され、通常、複数枚の凹レンズおよび凸レンズの組合せで構成されており、熱可塑性樹脂は前記凹レンズに要求される低いアッベ数に十分に対応できる。なお、アッベ数の下限値としては、例えば15以上、15.5以上、16以上、16.5以上であってもよい。
熱可塑樹脂の複屈折は、熱可塑性樹脂単独で形成したフィルムを、延伸温度:ガラス転移温度Tg+10℃、延伸速度:25mm/分、延伸倍率:3倍で一軸延伸した延伸フィルムの複屈折(3倍複屈折)により評価してもよい。前記延伸フィルムの3倍複屈折の絶対値は、測定温度20℃、波長600nmにおいて、例えば75×10−4以下の範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、60×10−4以下、50×10−4以下、40×10−4以下、30×10−4以下、25×10−4以下、20×10−4以下、15×10−4以下、10×10−4以下である。なお、前記3倍複屈折の絶対値の下限値としては、例えば0以上、0.1×10−4以上であってもよい。
熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgは、例えば、120〜280℃程度の範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、150〜250℃、160〜240℃、170〜230℃、180〜220℃、185〜215℃、190〜210℃であり、さらに好ましくは195〜205℃である。ガラス転移温度Tgが低過ぎると、耐熱性が低下して、製造および/または使用に際して変色(または着色)し易くなったり、所定形状に成形後、高温環境下で変形するおそれがある。そのため、車載用光学レンズなどの高い耐熱性または熱安定性が要求される用途などで利用できなくなるおそれがある。また、ガラス転移温度Tgが高過ぎると、成形性が低下して、光学レンズなどの成形体を射出成形などの方法で成形する際に、成形体表面を平滑に形成し難くなるおそれがある。そのため、高い耐熱性とともに、高い成形性を高度に両立する観点では、ガラス転移温度Tgは150〜170℃であるのが好ましく、さらに好ましくは160〜170℃である。
熱可塑性樹脂は、剛直で嵩高いビナフチル骨格を有するにもかかわらず、意外にも重合反応性が高いため、成形性(生産性)に優れている。ポリエステル樹脂の重量平均分子量Mwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)などにより測定でき、ポリスチレン換算で、例えば、10000〜1000000程度の範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、15000〜150000、20000〜100000、好ましくは25000〜80000、30000〜70000、40000〜65000、50000〜60000である。重量平均分子量Mwが低すぎると、成形性(生産性)が低下し易くなるおそれがある。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、屈折率nD、アッベ数、3倍複屈折、ガラス転移温度Tg、重量平均分子量Mwは、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
(成形体)
成形体は、少なくとも前記熱可塑性樹脂を含み、優れた光学的特性(低アッベ数、高屈折率、低複屈折など)および耐熱性を有しているため、光学フィルム(光学シート)、光学レンズなどの光学部材として利用できる。このような成形体は、慣用の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、充填剤又は補強剤、染顔料などの着色剤、導電剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、分散剤、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、表面改質剤、加水分解抑制剤、炭素材、安定剤、低応力化剤などを含んでいてもよい。安定剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤などが挙げられる。低応力化剤としては、例えば、シリコーンオイル、シリコーンゴム、各種プラスチック粉末、各種エンジニアリングプラスチック粉末などが挙げられる。これらの添加剤は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用してもよい。
成形体は、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法、加圧成形法、キャスティング成形法などを利用して製造することができる。
また、成形体の形状は、特に限定されず、例えば、線状、繊維状、糸状などの一次元的構造、フィルム状、シート状、板状などの二次元的構造、凹または凸レンズ状、棒状、中空状(管状)などの三次元的構造などが挙げられる。
特に、熱可塑性樹脂は、種々の光学的特性に優れているため、光学フィルムを形成するのに有用である。そのため、本発明には、前記熱可塑性樹脂で形成されたフィルム(光学フィルムまたは光学シート)も含まれる。
このようなフィルムの平均厚みは、1〜1000μm程度の範囲から用途に応じて選択でき、例えば1〜200μm、好ましくは5〜150μm、さらに好ましくは10〜120μmである。
このようなフィルム(光学フィルム)は、前記熱可塑性樹脂を、慣用の成膜方法、例えば、キャスティング法(溶剤キャスト法)、溶融押出法、カレンダー法などを用いて成膜(または成形)することにより製造できる。
フィルムは、未延伸または延伸フィルムであってもよく、延伸フィルムであっても低い複屈折を維持できる。なお、このような延伸フィルムは、一軸延伸フィルムまたは二軸延伸フィルムのいずれであってもよい。
延伸倍率は、一軸延伸または二軸延伸において各方向にそれぞれ、例えば1.1〜10倍、好ましくは1.2〜8倍、さらに好ましくは1.5〜6倍である。なお、二軸延伸の場合、等延伸、例えば、縦横両方向に1.5〜5倍延伸であってもよく、偏延伸、例えば、縦方向に1.1〜4倍、横方向に2〜6倍延伸であってもよい。また、一軸延伸の場合、縦延伸、例えば、縦方向に2.5〜8倍延伸であってもよく、横延伸、例えば、横方向に1.2〜5倍延伸であってもよい。
延伸フィルムの平均厚みは、例えば、1〜150μm、好ましくは3〜120μm、さらに好ましくは5〜100μmである。
なお、このような延伸フィルムは、成膜後のフィルム(または未延伸フィルム)に、延伸処理を施すことにより得ることができる。延伸方法は、特に制限が無く、一軸延伸の場合、湿式延伸法または乾式延伸法のいずれであってもよく、二軸延伸の場合、テンター法(フラット法)であってもチューブ法であってもよいが、延伸厚みの均一性に優れるテンター法が好ましい。
[アッベ数低減剤]
アッベ数低減剤は、下記式(1B)で表される。
Figure 2021134355
(式中、R3aおよびR3bはそれぞれ独立してヒドロキシル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示し、
1aおよびR1b、R2aおよびR2b、k1およびk2はそれぞれ好ましい態様も含めて式(1)に同じ。)
3aおよびR3bのアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基などのC1―5アルコキシ基などが挙げられ、ハロゲン原子としては、塩素、臭素などが挙げられる。基[−C(=O)−R3a]および基基[−C(=O)−R3b]の結合位置は、好ましい態様も含めて、前記式(1)の2つのカルボニル基[−C(=O)−]の結合位置と同様である。
前記アッベ数低減剤は、樹脂、特に熱可塑性樹脂のアッベ数低減剤として好適であり、熱可塑性樹脂に配合すると、熱可塑性樹脂のアッベ数の低減に加えて、熱可塑性樹脂の屈折率および成形性も向上できる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、鎖状オレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂(またはシクロオレフィン系樹脂)などのポリオレフィン系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;スチレン系樹脂;ポリアルキレンアリレート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂などのポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂などが挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂は単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、環状オレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が好ましく、環状オレフィン系樹脂が特に好ましい。
アッベ数低減剤の割合は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば0.1〜100質量部、好ましくは1〜50質量部、さらに好ましくは3〜30質量部、より好ましくは5〜20質量部である。
前記アッベ数低減剤および前記熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物で形成された成形体は、成形体に含まれる慣用の添加剤、成形法および形状について、好ましい態様も含めて、前記ジカルボン酸単位(A)を含む熱可塑性樹脂で形成された成形体と同様である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下に、評価項目および原料の詳細について示す。
[評価方法]
(HPLC)
HPLC(高性能または高速液体クロマトグラフ)装置として(株)島津製作所製「LC−2010CHT」、カラムとして東ソー(株)製「ODS−80TM」を用いて、試料をアセトニトリルに溶解して測定し、HPLC純度[面積%]を算出した。なお、詳細な測定条件を表1に示す。
Figure 2021134355
H−NMR)
試料を、内部標準物質としてテトラメチルシランを含む重クロロホルムに溶解し、核磁気共鳴装置(BRUKER社製「AVANCE III HD」)を用いて、H−NMRスペクトルを測定した。
なお、樹脂試料については、得られたスペクトルに基づいて、重合に用いた各々のモノマーに由来するピークの積分値を求め、ポリマー中に導入された各モノマー成分(構成単位)の割合(ポリマー組成比)を算出した。
(ガラス転移温度Tg)
示差走査熱量計(エスアイアイナノテクノロジー(株)製「EXSTAR6000 DSC6220 ASD−2」)を用いて、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定した。
(分子量)
試料をクロロホルムに溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製「HLC−8320GPC」)を用いて、ポリスチレン換算の重量平均分子量Mwを求めた。
(屈折率nD)
試料を200〜240℃で熱プレスすることによって、厚みが200〜300μmのフィルムを成形した。このフィルムを縦20〜30mm×横10mmの短冊状に切り出し、試験片を得た。得られた試験片について、多波長アッベ屈折計((株)アタゴ製「DR−M4(循環式恒温水槽60−C3)」)を用いて、測定温度20℃で、接触液にジヨードメタンを使用して、589nm(D線)の屈折率nDを測定した。
(アッベ数)
589nm(D線)の屈折率nDを測定した試験片を用いて、測定波長を486nm(F線)、656nm(C線)に変更する以外は屈折率nDと同様にして、屈折率nF、nCをそれぞれ測定した。得られた各波長における屈折率nF、nDおよびnCから、アッベ数を以下の式によって算出した。
(アッベ数)=(nD−1)/(nF−nC)。
(複屈折(3倍延伸))
試料を200〜240℃で熱プレスすることによって、厚みが200〜600μmのフィルムを成形した。このフィルムを10mm×50mmの短冊状に切り出し、ガラス転移温度Tg+10℃の温度条件下、25mm/分で延伸倍率が3倍となるように一軸延伸して試験片を得た。得られた試験片を、位相差フィルム・光学材料検査装置(大塚電子(株)製「RETS−100」)を用いて、測定温度20℃、測定波長600nmの条件下、平行ニコル回転法にてリタデーションを測定し、その値を測定部位の厚みで除して複屈折(または3倍複屈折)を算出した。
(メルトフローレート MFR)
JIS K7210に準拠し、比較例1では、温度280℃、荷重16kgの条件で測定した。比較例2、実施例17では、温度280℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
[原料]
(ジカルボン酸成分)
BNAC−E:2,2’−ビス(エトキシカルボニルメトキシ)−1,1’−ビナフチル、特開2018−59074号公報記載の合成例4に準じて合成したもの
2,3−BMN−m:3,3’−ビス(メトキシカルボニル)−2,2’−ジメトキシ−1,1’−ビナフチル、後述する合成例1に従って合成したもの
2,6−BMN−m:6,6’−ビス(メトキシカルボニル)−2,2’−ジメトキシ−1,1’−ビナフチル、後述する実施例1に従って合成したもの
FDP−m:9,9−ビス(2−メトキシカルボニルエチル)フルオレン[あるいは9,9−ビス(2−カルボキシエチル)フルオレンまたはフルオレン−9,9−ジプロピオン酸のジメチルエステル]、特開2005−89422号公報記載の実施例1において、アクリル酸t−ブチルに代えて、アクリル酸メチル[37.9g(0.44モル)]を用いること以外は同様にして合成したもの
2−DNFDP−m:9,9−ビス(2−メトキシカルボニルエチル)−2,7−ジ(2−ナフチル)フルオレン、WO2020−213470号パンフレット記載の実施例1Bに従って合成したもの
DDA−m:1,12−ドデカン二酸ジメチル
DMT:テレフタル酸ジメチル
(カーボネート結合形成成分)
DPC:炭酸ジフェニル
(ジオール成分)
BPEF:9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、大阪ガスケミカル(株)製
BNEF:9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、特開2018−59074号公報記載の合成例1に準じて合成したもの
BINOL−2EO:2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフチル、特開2018−59074号公報記載の合成例2に準じて合成したもの
EG:エチレングリコール
1,5−PDO:1,5−ペンタンジオール
[合成例1]2,3−BMN−mの調製
3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(14.0kg、74.4mol)と、メタノール(36.3kg)とを混合撹拌しながら、反応液(混合液)の温度が20℃以下となるように濃硫酸(3.65kg、36.5mol)を滴下し、21時間還流脱水しながら反応させた後、メタノールを減圧留去した。そこへメチルイソブチルケトン(以下、MIBKともいう;37.0kg)、およびイオン交換水(14.0kg)を投入(添加)して反応混合物を溶解し、分析操作を行った後、有機層をpHが7になるまで水洗した。得られた有機層を濃縮した後、反応液(濃縮した有機層)の温度が50℃以下となるようにメタノール(42.0kg)を添加し、冷却晶析を行った。45℃にて結晶を析出させた後、徐々に冷却し、10℃以下で1時間保持した後、析出した結晶をろ過した。ろ過した結晶にメタノールを注いでリンスした(すすいだ)後、減圧乾燥することで、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルを12.7kg(収率84%、HPLC純度99.6面積%)得た。
続いて、得られた3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル(12.5kg、61.8mol)、N,N−ジメチルホルムアミド(12.5kg)、および塩化銅(I)(1.32kg、13.3mol)を70℃で溶解(混合)し、空気を5L/minの速度でバブリングしながら、70℃にて20時間反応を行った。HPLCにて原料の消失を確認後、イオン交換水(25.0kg)を添加し、析出した結晶をろ過した。ろ過した結晶をイオン交換水、メタノールの順でリンスした(すすいだ)後、減圧乾燥することにより、3,3’−ビス(メトキシカルボニル)−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチルを12.4kg(収率99%、HPLC純度99.6面積%)得た。
続いて、得られた3,3’−ビス(メトキシカルボニル)−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル 12.4kgと、炭酸カリウム(14.1kg、102mol)と、N,N−ジメチルホルムアミド(26.0kg)とを混合して撹拌しながら、反応液の温度が20℃以下となるようにヨウ化メチル(13.2kg、93.0mol)を滴下した。その後、40℃にて12時間撹拌し、原料の消失をHPLCで確認した後、MIBK(25.8kg)、およびイオン交換水(12.9kg)を投入(添加)し、不要物(不溶物)を適宜ろ過しながら水洗を行った。有機層を1N塩酸(25.8kg)、イオン交換水(12.9kg)、0.5質量%水酸化ナトリウム水溶液(12.9kg)の順に洗浄した後、イオン交換水(12.9kg)で水層のpHが7になるまで水洗を2回繰り返した。得られた有機層を濃縮し、反応液(濃縮した有機層)の温度が80℃以下となるように2−プロパノール(19.0kg)を加えた後、冷却晶析を行った。45℃付近で結晶析出を確認した後、徐々に冷却し、10℃以下で1時間保持した。析出した結晶をろ過した後、10℃以下に冷却した2−プロパノールで2回リンスした(すすいだ)後、減圧乾燥を行うことで、下記式で表される2,3−BMN−mの結晶11.8kg(収率89%、HPLC純度99.7面積%)を得た。
Figure 2021134355
[実施例1]2,6−BMN−mの調製
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(10.0kg、53.1mol)と、脱水メタノール(26.0kg)とを混合撹拌しながら、反応液(混合液)の温度が25℃以下となるように98質量%濃硫酸(2.6kg)を滴下し、10.5時間還流脱水しながら反応させた後、メタノールを減圧留去した。そこへMIBK(42.0kg)を投入(添加)して反応混合物を溶解した後、有機層をpHが7になるまで水洗した。得られた有機層を濃縮した後、メタノール(30.0kg)を添加し、75℃で溶解させた後、冷却晶析を行った。45℃にて結晶を析出させた後、徐々に冷却し、10℃以下で1時間保持した後、析出した結晶をろ過した。ろ過した結晶に冷メタノールを注いでリンスした(すすいだ)後、60℃で減圧乾燥することで、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルを8.47kg(収率78.8%、HPLC純度98.5面積%)得た。
続いて、得られた6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル(4.0kg、19.8mol)、N,N−ジメチルホルムアミド(4.0kg)、および塩化銅(I)(588.0g、5.9mol、3回に分けて添加)を70℃で溶解(混合)し、空気を2〜10L/minの速度でバブリングしながら、70℃にて23.5時間反応を行った。HPLCにて原料の消失を確認後、イオン交換水(4.0kg)を添加し、析出した結晶をろ過した。ろ過した結晶をイオン交換水、メタノールの順に室温でリンスし(すすぎ)、一旦結晶を取り出した。その後、一連の操作、すなわち、取り出した結晶にメタノールを添加して50℃で加熱撹拌し、ろ過して50℃のメタノールでリンスする一連の操作を複数回実施した。その後、1N塩酸(12.0kg)を添加し、室温で撹拌し、ろ過し、得られた結晶をイオン交換水、メタノールの順でリンスした後、60℃で減圧乾燥することにより、6,6’−ビス(メトキシカルボニル)−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチルを2.83kg(収率71.1%、HPLC純度98.1面積%)得た。
続いて、得られた6,6’−ビス(メトキシカルボニル)−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル(1.4kg、3.5mol)と、炭酸カリウム(1.6kg、11.5mol)と、脱水N,N−ジメチルホルムアミド(7.0kg、2回に分けて添加)とを混合して撹拌しながら、ヨウ化メチル(1.5kg、10.4mol)を滴下した。その後、40℃にて6時間撹拌し、原料の消失をHPLCで確認した後、MIBK(25.8kg)およびイオン交換水(7.0kg)を投入(添加)し、析出した結晶をろ過し、イオン交換水でリンスした(すすいだ)。次に、一連の操作、すなわち、結晶を1N塩酸(4.9kg)およびイオン交換水(4.9kg)に50℃で分散させて洗浄し、ろ過して50℃のイオン交換水でリンスする一連の操作を2回実施した。さらに、結晶をイオン交換水(10.0kg)に50℃で分散させて洗浄し、ろ過した後、イオン交換水/メタノール混合液(体積比50/50)で複数回リンスし、さらにメタノールで複数回リンスした。得られた結晶を60℃で減圧乾燥を行うことで、粗生成物として6,6’−ビス(メトキシカルボニル)−2,2’−ジメトキシ−1,1’−ビナフチル(粗2,6−BMN−m)1.44kg(収率96%、HPLC純度99.0面積%)を得た。
続いて、得られた粗2,6−BMN−m(700g)をテトラヒドロフラン(THF、8.9kg)に65℃程度で加熱溶解し、シリカゲル(2.1kg)に濃縮吸着させ、下記表2に記載の添加順序、添加量および回数に従って、溶媒Aおよび溶媒Bを表2に記載の溶媒比率(体積比率)で混合した溶媒で展開してカラム精製した。
Figure 2021134355
その後、得られた溶液を濃縮し、室温でメタノール(2.1kg)に分散させて洗浄した後、60℃で減圧乾燥を行うことで、下記式で表される2,6−BMN−mの結晶650g(収率93%、HPLC純度99.8面積%)を得た。H−NMRの結果を以下に示す。
Figure 2021134355
H−NMR(CDCl、300MHz):δ(ppm)3.8(s,6H),3.9(s,6H),7.1(d,2H),7.5(d,2H),7.8(dd,2H),8.1(d,2H),8.6(s,2H)。
<熱可塑性樹脂の調製>
[比較例1]
特開2017−171885号公報(特許文献2)記載の実施例5に準じてポリエステル樹脂を調製した。
[参考例1]
反応器に、ジカルボン酸成分として2,3−BMN−m(10.76g(25mmol))、FDP−m(8.46g(25mmol))、ジオール成分としてBNEF(24.24g(45mmol))、EG(6.51g(105mmol))、エステル交換反応および重縮合反応の触媒として、チタン(IV)テトラブトキシド(5.1mg(15μmol))、酢酸カルシウム・一水和物(4.4mg(25μmol))を仕込み、窒素雰囲気下、250℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、熱安定剤として、ジブチルリン酸(15.8mg(75μmol))を加え、徐々に285℃、150Paまで昇温、減圧し、EGを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例2]
反応器に、ジカルボン酸成分として2,6−BMN−m(8.61g(20mmol))、FDP−m(6.77g(20mmol))、ジオール成分としてBNEF(19.38g(36mmol))、EG(5.22g(84mmol))、エステル交換反応および重縮合反応の触媒として、チタン(IV)テトラブトキシド(2.7mg(8μmol))を仕込み、窒素雰囲気下、250℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、熱安定剤として、ジブチルリン酸(12.6mg(60μmol))を加え、徐々に285℃、120Paまで昇温、減圧し、EGを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例3]
反応器に、ジカルボン酸成分として2,6−BMN−m(46.49g(108mmol))、FDP−m(4.07g(12mmol))、ジオール成分としてEG(22.36g(360mmol))、エステル交換反応および重縮合反応の触媒として、チタン(IV)テトラブトキシド(10.2mg(30μmol))を仕込み、窒素雰囲気下、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、徐々に295℃、170Paまで昇温、減圧し、EGを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例4]
反応器に、ジカルボン酸成分として2,6−BMN−m(36.16g(84mmol))、FDP−m(12.18g(36mmol))、ジオール成分としてEG(22.36g(360mmol))、エステル交換反応および重縮合反応の触媒として、チタン(IV)テトラブトキシド(6.8mg(20μmol))を仕込み、窒素雰囲気下、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、熱安定剤として、ジブチルリン酸(4.2mg(20μmol))を加え、徐々に290℃、170Paまで昇温、減圧し、EGを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例5]
反応器に、ジカルボン酸成分として2,6−BMN−m(25.83g(60mmol))、FDP−m(20.29g(60mmol))、ジオール成分としてEG(22.36g(360mmol))、エステル交換反応および重縮合反応の触媒として、チタン(IV)テトラブトキシド(4.1mg(12μmol))を仕込み、窒素雰囲気下、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、熱安定剤として、ジブチルリン酸(4.2mg(20μmol))を加え、徐々に284℃、140Paまで昇温、減圧し、EGを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例6]
反応器に、ジカルボン酸成分として2,6−BMN−m(24.11g(56mmol))、FDP−m(8.13g(24mmol))、ジオール成分としてBINOL−2EO(20.97g(56mmol))、EG(16.41g(264mmol))、エステル交換反応および重縮合反応の触媒として、チタン(IV)テトラブトキシド(6.8mg(20μmol))を仕込み、窒素雰囲気下、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、熱安定剤として、ジブチルリン酸(4.2mg(20μmol))を加え、徐々に290℃、130Paまで昇温、減圧し、EGを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例7]
反応器に、ジカルボン酸成分として2,6−BMN−m(24.11g(56mmol))、FDP−m(8.13g(24mmol))、ジオール成分としてBPEF(24.56g(56mmol))、EG(16.40g(264mmol))、エステル交換反応および重縮合反応の触媒として、チタン(IV)テトラブトキシド(3.4mg(10μmol))を仕込み、窒素雰囲気下、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、熱安定剤として、ジブチルリン酸(6.7mg(32μmol))を加え、徐々に286℃、170Paまで昇温、減圧し、EGを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例8]
反応器に、ジカルボン酸成分として2,6−BMN−m(21.52g(50mmol))、2−DNFDP−m(29.54g(50mmol))、ジオール成分としてEG(18.62g(300mmol))、エステル交換反応および重縮合反応の触媒として、チタン(IV)テトラブトキシド(6.8mg(20μmol))を仕込み、窒素雰囲気下、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、熱安定剤として、ジブチルリン酸(5.3mg(25μmol))を加え、徐々に279℃、130Paまで昇温、減圧し、EGを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例9]
反応器に、ジカルボン酸成分として2,6−BMN−m(12.91g(30mmol))、2−DNFDP−m(41.35g(70mmol))、ジオール成分としてEG(18.62g(300mmol))、エステル交換反応および重縮合反応の触媒として、チタン(IV)テトラブトキシド(6.8mg(20μmol))を仕込み、窒素雰囲気下、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、熱安定剤として、ジブチルリン酸(5.3mg(25μmol))を加え、徐々に279℃、130Paまで昇温、減圧し、EGを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例10]
反応器に、ジカルボン酸成分として2,6−BMN−m(21.52g(50mmol))、FDP−m(10.15g(30mmol))、DDA−m(5.17g(20mmol))ジオール成分としてBPEF(30.7g(70mmol))、EG(14.28g(230mmol))、エステル交換反応および重縮合反応の触媒として、チタン(IV)テトラブトキシド(4.3mg(12.5μmol))を仕込み、窒素雰囲気下、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、熱安定剤として、ジブチルリン酸(12.6mg(60μmol))を加え、徐々に278℃、220Paまで昇温、減圧し、EGを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例11]
反応器に、ジカルボン酸成分として2,6−BMN−m(24.11g(56mmol))、FDP−m(8.12g(24mmol))、ジオール成分としてBPEF(10.52g(24mmol))、1,5−PDO(2.50g(24mmol))、EG(11.92g(192mmol))、エステル交換反応および重縮合反応の触媒として、チタン(IV)テトラブトキシド(2.7mg(8μmol))を仕込み、窒素雰囲気下、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、熱安定剤として、ジブチルリン酸(8.4mg(40μmol))を加え、徐々に282℃、150Paまで昇温、減圧し、EGを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例12]
反応器に、ジカルボン酸成分として2,6−BMN−m(25.83g(60mmol))、FDP−m(13.54g(40mmol))、ジオール成分としてBPEF(17.54g(40mmol))、EG(16.14g(260mmol))、エステル交換反応および重縮合反応の触媒として、チタン(IV)テトラブトキシド(3.4mg(10μmol))を仕込み、窒素雰囲気下、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、熱安定剤として、ジブチルリン酸(10.5mg(50μmol))を加え、徐々に282℃、170Paまで昇温、減圧し、EGを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例13]
反応器に、ジカルボン酸成分として2,6−BMN−m(19.37g(45mmol))、FDP−m(18.61g(55mmol))、ジオール成分としてBPEF(36.40g(83mmol))、EG(13.47g(217mmol))、エステル交換反応および重縮合反応の触媒として、チタン(IV)テトラブトキシド(3.4mg(10μmol))を仕込み、窒素雰囲気下、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、熱安定剤として、ジブチルリン酸(10.5mg(50μmol))を加え、徐々に278℃、140Paまで昇温、減圧し、EGを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例14]
反応器に、ジカルボン酸成分として2,6−BMN−m(10.76g(25mmol))、FDP−m(25.38g(75mmol))、ジオール成分としてBPEF(6.58g(15mmol))、BNEF(37.70g(70mmol))、EG(13.35g(215mmol))、エステル交換反応および重縮合反応の触媒として、チタン(IV)テトラブトキシド(3.4mg(10μmol))を仕込み、窒素雰囲気下、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、熱安定剤として、ジブチルリン酸(8.4mg(40μmol))を加え、徐々に276℃、120Paまで昇温、減圧し、EGを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例15]
反応器に、ジカルボン酸成分として2,6−BMN−m(8.61g(20mmol))、FDP−m(3.38g(10mmol))、DMT(13.59g(70mmol))、ジオール成分としてBPEF(39.47g(90mmol))、EG(13.03g(210mmol))、エステル交換反応および重縮合反応の触媒として、酢酸カルシウム2水和物(14.1mg(80μmol))チタン(IV)テトラブトキシド(5.1mg(15μmol))を仕込み、窒素雰囲気下、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分を除去した後、熱安定剤として、ジブチルリン酸(9.5mg(45μmol))を加え、徐々に269℃、130Paまで昇温、減圧し、EGを除去しながら、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂を得た。
[実施例16]ポリエステルカーボネート
反応器に、ジカルボン酸成分として2,6−BMN−m(15.5g(36mmol))カーボネート結合形成成分としてDPC(18.77g(87.6mmol))、ジオール成分としてBPEF(31.57g(72mmol))、BINOL−2EO(13.48g(36mmol))、1,5−PDO(1.25g(12mmol))、エステル交換反応および重縮合反応の触媒として、チタン(IV)テトラブトキシド(6.1mg(18μmol))を仕込み、窒素雰囲気下、240℃まで徐々に加熱、撹拌し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応により生成するアルコール成分、フェノール成分を除去した後、徐々に269℃、130Paまで昇温、減圧し、所定の撹拌トルクに達するまで重縮合反応を行った。反応終了後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステルカーボネート樹脂を得た。
比較例、参考例および実施例の仕込み比を表3に示し、得られた各ポリエステル樹脂の評価結果、すなわち、ポリマー組成比(調製に用いた各重合成分に由来する構成単位の割合)および各物性値を表4および5に示す。
Figure 2021134355
Figure 2021134355
Figure 2021134355
表3〜5から明らかなように、比較例に比べて、実施例で得られたポリエステル樹脂では、複屈折を過度に増加させることなく高い屈折率および低いアッベ数を示すとともに、比較的高いTgを示した。
比較例1、参考例1および実施例2は、ビナフチル骨格を有するジカルボン酸成分の種類をそれぞれ変化させて調製した例であるが、ビナフチル骨格の2,2’位または3,3’位で主鎖を形成する比較例1(BNAC−E)および参考例1(2,3−BMN−m)に比べて、6,6’位で主鎖を形成する実施例2(2,6−BMN−m)では低い複屈折を保持しつつ、高屈折率化、低アッベ数化および高Tg化できていることから、これらの4つの特性をバランスよく充足するのに2,6−BMN−mが特に有効なジカルボン酸成分であることが分かった。ビナフチル骨格に対する置換位置の違いによって各特性を大きく改善できたことは意外な結果であった。
実施例のポリエステル樹脂では前記4つの特性(高屈折率、低アッベ数、低複屈折および高Tg)を比較的バランスよく充足できるが、特にアッベ数が低い領域の樹脂を調製できるため、光学レンズとして有効に利用できる。すなわち、アッベ数が低い領域の光学レンズ材料の選択肢を広げることができ、複数のレンズで形成されるレンズユニットの設計自由度を向上できる。
これらの実施例のうち、実施例2、3および7が特に高Tgであり車載用の高耐熱レンズなどとして好ましく、なかでも、高屈折率かつ低複屈折な点では実施例2が、極めて低複屈折な点では実施例7がより好ましい。また、前記4つの特性のバランスが特に優れ、かつ成形性(または生産性)にも優れる点では実施例6がさらに好ましい。さらに、前記4つの特性のバランスが特に優れ、かつ低複屈折な点では実施例12〜14が好ましく、実施例13が特に好ましい。
[参考例2]
環状オレフィン系樹脂として、ARTON F4520(JSR株式会社製)の物性および光学特性を測定した。
[参考例3]
WO2016−147847号パンフレット記載の実施例13に準じて実施した。すなわち、ARTON F4520のペレット450gとフルオレン化合物として、BNEF 50gとを二軸押出装置を用いて混練し、樹脂組成物を得た。
[実施例17]
ARTON F4520のペレット90gと、2,6−BMN−m 10gとを二軸押出装置を用いて混練し、樹脂組成物を得た。
Figure 2021134355
表6の結果から明らかなように、実施例17の樹脂組成物は、参考例に比べて、流動性が高く、アッベ数も低減した。
本発明の熱可塑性樹脂および樹脂組成物は、高い耐熱性を示すため、耐熱部材などとして好適に利用できるのみならず、耐熱性が求められる様々な用途で利用できる。例えば、コーティング剤またはコーティング膜、具体的には、塗料、インキ、電子機器や液晶部材などの保護膜など;接着剤、粘着剤;樹脂充填剤;電気・電子材料または電気・電子部品(電気・電子機器)、具体的には、帯電防止剤、キャリア輸送剤、発光体、有機感光体、感熱記録材料、フォトクロミック材料、ホログラム記録材料、帯電トレイ、導電シート、光ディスク、インクジェットプリンタ、デジタルペーパ、カラーフィルタ、有機EL素子、有機半導体レーザ、色素増感型太陽電池、センサ、EMIシールドフィルムなど;機械材料または機械部品(機器)、具体的には、自動車用材料または部品、航空・宇宙関連材料または部品、摺動部材などに利用してもよい。
また、熱可塑性樹脂および樹脂組成物は、高い耐熱性とともに、高い屈折率、低いアッベ数、低い複屈折などの光学特性もバランスよく充足しているため、光学部材として有効に利用できる。
代表的な光学部材としては、液晶用フィルム、有機EL用フィルムなどの光学フィルム(光学シート);メガネ用レンズ、カメラ用レンズなどの光学レンズ;プリズム、ホログラム、光ファイバーなどが挙げられる。
光学フィルムとしては、例えば、偏光フィルム、偏光フィルムを構成する偏光素子と偏光板保護フィルム、位相差フィルム、配向膜(配向フィルム)、視野角拡大(補償)フィルム、拡散板(フィルム)、プリズムシート、導光板、輝度向上フィルム、近赤外吸収フィルム、反射フィルム、反射防止(AR)フィルム、反射低減(LR)フィルム、アンチグレア(AG)フィルム、透明導電(ITO)フィルム、異方導電性フィルム(ACF)、電磁波遮蔽(EMI)フィルム、電極基板用フィルム、カラーフィルタ基板用フィルム、バリアフィルム、カラーフィルタ層、ブラックマトリクス層、光学フィルム同士の接着層もしくは離型層などが挙げられる。これらの光学フィルムは、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OLED)、プラズマディスプレイ(PDP)、フィールド・エミッション・ディスプレイ(FED)、電子ペーパなどのディスプレイ用の光学フィルムとして有効に利用でき、具体的な機器または装置としては、テレビジョン;デスクトップ型PC、ノート型PCまたはタブレット型PCなどのパーソナル・コンピュータ(PC);スマートフォン、携帯電話;カー・ナビゲーションシステム;タッチパネルなどフラットパネルディスプレイ(FPD)を備えた機器または装置などが挙げられる。
光学レンズとしては、例えば、メガネ用レンズ、コンタクトレンズ、カメラ用レンズ、VTRズームレンズ、ピックアップレンズ、フレネルレンズ、太陽集光レンズ、対物レンズ、ロッドレンズアレイなどが挙げられ、熱可塑性樹脂は特にアッベ数を有効に低減できるため、これらのなかでもカメラ用レンズなどの低アッベ数が要求されるレンズに好適に利用できる。このような光学レンズが搭載される機器または装置として、代表的には、スマートフォン、携帯電話、デジタルカメラなどのカメラ機能を有する小型機器又はモバイル機器;ドライブレコーダー、バックカメラ(リアカメラ)などの車載用カメラなどが挙げられる。特に熱可塑性樹脂は高い耐熱性を有するため、車載用光学レンズなどの高温環境下における使用が想定される用途であっても好適に利用できる。

Claims (17)

  1. ジカルボン酸単位(A)を含む熱可塑性樹脂であって、前記ジカルボン酸単位(A)が、少なくとも、下記式(1)
    Figure 2021134355
    (式中、R1aおよびR1bはそれぞれ独立して水素原子または置換基を示し、
    2aおよびR2bはそれぞれ独立して置換基を示し、k1およびk2はそれぞれ独立して0〜5の整数を示す。)
    で表される第1のジカルボン酸単位(A1)を含む熱可塑性樹脂。
  2. 式(1)において、R1aおよびR1bがアルコキシ基である請求項1記載の熱可塑性樹脂。
  3. 式(1)で表される第1のジカルボン酸単位(A1)が下記式(1a)
    Figure 2021134355
    (式中、R1aおよびR1b、R2aおよびR2b、k1およびk2それぞれ式(1)に同じ。)
    で表されるジカルボン酸単位を含む請求項1または2記載の熱可塑性樹脂。
  4. ジカルボン酸単位(A)が、下記式(2a)または(2b)
    Figure 2021134355
    (式中、R4aは置換基を示し、m1は0〜8の整数を示し、
    1aおよびA1bはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を示し、
    4bは置換基を示し、m2は0〜8の整数を示し、
    1cは置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を示し、
    m3は0〜4の整数を示す。)
    で表される第2のジカルボン酸単位(A2)を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂。
  5. 第1のジカルボン酸単位(A1)と第2のジカルボン酸単位(A2)との割合が、前者/後者(モル比)=30/70〜95/5である請求項4記載の熱可塑性樹脂。
  6. 熱可塑性樹脂が、さらにジオール単位(B)を含むポリエステル系樹脂であり、
    前記ジオール単位(B)が、下記式(3)
    Figure 2021134355
    (式中、Aは直鎖状または分岐鎖状アルキレン基を示し、nは1以上の整数を示す。)で表される第1のジオール単位(B1)、下記式(4)
    Figure 2021134355
    (式中、ZおよびZはそれぞれ独立して芳香族炭化水素環を示し、
    は置換基を示し、pは0〜8の整数を示し、
    6aおよびR6bはそれぞれ独立して置換基を示し、q1およびq2はそれぞれ独立して0または1以上の整数を示し、
    3aおよびA3bはそれぞれ独立して直鎖状または分岐鎖状アルキレン基を示し、r1およびr2はそれぞれ独立して0または1以上の整数を示す。)
    で表される第2のジオール単位(B2)、および下記式(5)
    Figure 2021134355
    (式中、Aは直接結合またはアルキレン基を示し、
    5aおよびA5bは直鎖状または分岐鎖状アルキレン基を示し、s1およびs2はそれぞれ独立して0または1以上の整数を示し、
    7aおよびR7bはそれぞれ独立して置換基を示し、t1およびt2はそれぞれ独立して0〜6の整数を示す。)
    で表される第3のジオール単位(B3)から選択された少なくとも1種のジオール単位を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂。
  7. 式(3)において、Aが直鎖状または分岐鎖状C2−6アルキレン基であり、nが1〜5の整数であり、
    式(4)において、ZおよびZが単環式芳香族炭化水素環または縮合多環式芳香族炭化水素環であり、A3aおよびA3bが直鎖状または分岐鎖状C2−6アルキレン基であり、r1およびr2が0〜10の整数であり、
    式(5)において、Aが直接結合またはC1−2アルキレン基であり、A5aおよびA5bが直鎖状または分岐鎖状C2−6アルキレン基であり、s1およびs2が0〜10の整数である請求項6記載の熱可塑性樹脂。
  8. 第1のジオール単位(B1)の割合が、ジオール単位(B)全体に対して1モル%以上である請求項6または7記載の熱可塑性樹脂。
  9. 第1のジオール単位(B1)と第2のジオール単位(B2)との割合が、前者/後者(モル比)=1/99〜50/50である請求項6〜8のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂。
  10. 第1のジオール単位(B1)と第3のジオール単位(B3)との割合が、前者/後者(モル比)=5/95〜50/50である請求項6〜9のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂。
  11. 第1のジカルボン酸単位(A1)に対応する第1のジカルボン酸成分を少なくとも含む重合成分を重合して、請求項1〜10のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂を製造する方法。
  12. 下記式(1A)
    Figure 2021134355
    (式中、R1aおよびR1bはそれぞれ独立してC1−5アルコキシ基を示し、
    3aおよびR3bはそれぞれ独立してC1−5アルコキシ基を示し、
    2aおよびR2b、k1およびk2はそれぞれ請求項1記載の式(1)に同じ。)
    で表される化合物。
  13. 下記式(1B)
    Figure 2021134355
    (式中、R3aおよびR3bはそれぞれ独立してヒドロキシル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示し、
    1aおよびR1b、R2aおよびR2b、k1およびk2はそれぞれ請求項1記載の式(1)に同じ。)
    で表されるアッベ数低減剤。
  14. 熱可塑性樹脂と請求項13記載のアッベ数低減剤とを含む樹脂組成物。
  15. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂または請求項14記載の樹脂組成物を含む成形体。
  16. 光学部材である請求項15記載の成形体。
  17. 光学フィルムまたは光学レンズである請求項15または16記載の成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024171914A1 (ja) * 2023-02-15 2024-08-22 三菱瓦斯化学株式会社 熱可塑性樹脂の製造方法、該製造方法によって得られる熱可塑性樹脂、及びそれを含む光学レンズ

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