JP2016069643A - フルオレン骨格を有するポリエステル樹脂とその成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高屈折率、低複屈折、高い靱性も備えた新規なポリエステル樹脂及びその樹脂を含む成形体。【解決手段】ポリエステル樹脂が、下記式(1−1)で表されるジオール成分由来の単位及び、下記式(2−1)又は(2−2)で表されるジカルボン酸成分由来の単位を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、フルオレン骨格(詳細には、9,9−ビスアリールフルオレン骨格)を有する新規なポリエステル樹脂およびこのポリエステル樹脂で形成された成形体(例えば、光学フィルム、光学レンズなどの光学用成形体)に関する。
フルオレン骨格(9,9−ビスアリールフルオレン骨格など)を有する化合物は、高屈折率、高耐熱性などの優れた機能を有することが知られている。このようなフルオレン骨格の優れた機能を樹脂に発現し、成形可能とする方法としては、ヒドロキシル基を有するフルオレン化合物、例えば、ビスフェノールフルオレン(BPF)、ビスクレゾールフルオレン(BCF)、ビスフェノキシエタノールフルオレン(BPEF)などを構成成分として導入したポリエステル樹脂が知られている。
例えば、特開2011−168721号公報(特許文献1)及び特開2011−168722号公報(特許文献2)には、ジオール成分が、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ(縮合多環式)アリール)フルオレン骨格を有する化合物および脂肪族ジオールで構成され、ジカルボン酸成分が、脂環族ジカルボン酸成分及び/又は芳香族ジカルボン酸成分で構成されたポリエステル樹脂が開示されている。具体的には、9,9−ビス(6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル)フルオレン(BNEF)及びエチレングリコール(EG)を含むジオール成分と、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)又は2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(DMN)及び/又はイソフタル酸ジメチル(DMI)を含むジカルボン酸成分とを反応させたポリエステル樹脂が記載されている。
この文献のポリエステル樹脂では、高屈折率にもかかわらず、ある程度の低複屈折は実現できるものの、光学レンズ用途としては未だ複屈折が高く、使用には適していない。また、高耐熱でガラス転移温度(Tg)が非常に高く、成形性の面でも問題があった。このように、高い屈折率及び高いガラス転移温度(Tg)と、低い複屈折及び成形性とは、一方の特性を改善すると、他方の特性が低下するという相反する特性であるため、両立させることは困難である。
一方、特開2013−64119号公報(特許文献3)には、ジオール成分が、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン類及び9,9−ビス(アリール−ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン類で構成され、ジカルボン酸成分が、フルオレン骨格を有するジカルボン酸成分で構成されたポリエステル樹脂が記載されている。具体的には、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(BPEF)及び9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン(BOPPEF)を含むジオール成分と、9,9−ジ(t−ブトキシカルボニルエチル)フルオレン(FDPT)を含むジカルボン酸成分とを反応させたポリエステル樹脂が記載されている。
この文献のポリエステル樹脂は、高屈折率、低複屈折のバランスはよいものの、さらなる高屈折率化への要求は高く、まだ改善の余地が残されていた。
特開2011−168721号公報(特許請求の範囲、実施例) 特開2011−168722号公報(特許請求の範囲、実施例) 特開2013−64119号公報(特許請求の範囲、実施例)
従って、本発明の目的は、高屈折率と低複屈折とを両立できるポリエステル樹脂及びこのポリエステル樹脂で形成された成形体(例えば、光学フィルム、光学レンズなどの光学用成形体)を提供することにある。
本発明の他の目的は、高屈折率及び高いガラス転移温度と、低複屈折及び成形性とを両立できるとともに、高い靱性を有するポリエステル樹脂及びその成形体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、フルオレン骨格の9,9−位のそれぞれに同一又は異なる縮合多環構造を有するジオール成分(A1)を含むジオール成分(A)と、フルオレン骨格を有するジカルボン酸成分(B1)を含むジカルボン酸成分(B)とを重合成分として組み合わせることにより、高屈折率と低複屈折という相反する特性を両立でき、さらには、高い靱性も備えたポリエステル樹脂が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のポリエステル樹脂は、フルオレン骨格の9,9−位にそれぞれヒドロキシ(ポリ)アルコキシ縮合多環式芳香族基を有するジオール成分(A1)を含むジオール成分(A)と、フルオレン骨格を有するジカルボン酸成分(B1)を含むジカルボン酸成分(B)とを重合成分とするポリエステル樹脂である。
このようなポリエステル樹脂において、代表的には、ジオール成分(A1)は、下記式(1−1)で表される9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ縮合多環式アリール)フルオレンを含み、ジカルボン酸成分(B1)は、下記式(2−1)又は下記式(2−2)で表されるフルオレン骨格を有するジカルボン酸成分を含んでいてもよい。
(式中、Z及びZは縮合多環式芳香族炭化水素環、R1a及びR1bは反応に不活性な置換基、k1及びk2はそれぞれ0〜4の整数、R2a及びR2bはアルキレン基、m1及びm2はそれぞれ1以上の整数、R3a及びR3bは反応に不活性な置換基、p1及びp2はそれぞれ0以上の整数を示す。)
(式中、R4a及びR4bは反応に不活性な置換基、q1及びq2はそれぞれ0〜4の整数、X1a及びX1bは置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、rは0〜4の整数を示す。)
ジオール成分(A)は、下記式(1−2)
(式中、R1a及びR1bは反応に不活性な置換基、k1及びk2はそれぞれ0〜4の整数、R2a及びR2bはアルキレン基、m1及びm2はそれぞれ1以上の整数、R3a及びR3bはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアルコキシ基、p1及びp2はそれぞれ0以上の整数を示す。)
で表されるジオール成分(A2)を含んでいてもよく、前記ポリエステル樹脂において、ジオール成分(A1)由来の単位と、ジオール成分(A2)由来の単位との割合は、例えば、前者/後者(モル比)=30/70〜100/0程度であってもよい。さらに、ジオール成分(A)は、脂肪族ジオール成分(A3)を含んでいてもよく、このような脂肪族ジオール成分(A3)由来の単位の割合は、ジオール成分(A)由来の単位全体に対して、例えば、1〜30モル%であってもよい。
また、前記ポリエステル樹脂は、フルオレン骨格を有するジカルボン酸成分(B1)として、例えば、9,9−ビス(カルボキシアルキル)フルオレン由来の単位を含んでいてもよく、このようなジカルボン酸成分(B1)由来の単位の割合は、ジカルボン酸成分(B)由来の単位全体に対して、例えば、60〜100モル%であってもよい。
前記ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分(B1)由来の単位と、芳香族ジカルボン酸成分(B2−1)由来の単位とを、例えば、前者/後者(モル比)=65/35〜100/0の割合で含んでいてもよい。
代表的な本発明のポリエステル樹脂には、以下のポリエステル樹脂が含まれる。
ジオール成分(A1−1)としての9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシナフチル)フルオレン由来の単位と、ジオール成分(A2−1)としての9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシフェニル)フルオレン由来の単位及びジオール成分(A2−2)としての9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシ−C6−10アリール−フェニル)フルオレン由来の単位の総量との割合が、前者/後者(モル比)=50/50〜100/0程度であり、
ジオール成分(A3−1)としてのC2−6アルカンジオール由来の単位を、ジオール成分(A)由来の単位全体に対して5〜25モル%程度の割合で含んでいてもよい。
また、ジカルボン酸成分(B1)としての9,9−ビス(カルボキシアルキル)フルオレン由来の単位と、ジカルボン酸成分(B2−1)としての縮合多環式芳香族ジカルボン酸成分由来の単位との割合は、前者/後者(モル比)=70/30〜100/0程度であってもよい。
本発明のポリエステル樹脂は、高屈折率、低複屈折、及び靱性を有しており、例えば、本発明のポリエステル樹脂において、20℃、波長589nmでの屈折率が1.650〜1.700(例えば、1.653〜1.690)であり、20℃でのアッベ数が15.0〜22.5(例えば、18〜21.8)であり、20℃、波長600nmでの3倍複屈折の絶対値が0.01×10−4〜31×10−4(例えば、0.01×10−4〜15×10−4)であってもよい。
本発明には、前記ポリエステル樹脂で形成された成形体[例えば、光学用部材(例えば、光学フィルム、光学レンズ、光学シートなど)など]も含まれる。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ縮合多環式アリール)フルオレン」とは、特に断りのない限り、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシ縮合多環式アリール)フルオレン及び9,9−ビス(ヒドロキシポリアルコキシ縮合多環式アリール)フルオレンを含む意味に用いる。また、本明細書及び特許請求の範囲において「ジカルボン酸成分」とは、特に断りのない限り、ジカルボン酸のみならず、ジカルボン酸のエステル形成性誘導体(例えば、低級アルキルエステル、酸ハライド、酸無水物など)を含む意味に用いる。
本発明では、フルオレン骨格の9,9−位にそれぞれヒドロキシ(ポリ)アルコキシ縮合多環式芳香族基を有するジオール成分(A1)を含むジオール成分(A)と、フルオレン骨格を有するジカルボン酸成分(B1)を含むジカルボン酸成分(B)とを重合するため、高屈折率と低複屈折とを両立できるとともに、高い靱性及び耐熱性も有している。そのため、本発明のポリエステル樹脂は、光学用部材(例えば、光学フィルム、光学レンズ、光学シートなど)などに好適に利用することができる。
図1は、EG導入モル比=0.2の条件下、BNEF及びFDPMの導入割合に対する屈折率及び3倍複屈折の値を示すグラフである。
<ポリエステル樹脂>
本発明のポリエステル樹脂は、特定のジオール成分(A)と、特定のジカルボン酸成分(B)とを重合成分とするポリエステル樹脂[又は、特定のジオール成分(A)由来の単位と、特定のジカルボン酸成分(B)由来の単位とを構成単位に含むポリエステル樹脂(例えば、線状ポリエステル樹脂など)]である。なお、以降の記載において、「ジオール成分」及び「ジカルボン酸成分」という記載は、それぞれ重合成分(又はモノマー)を表す他に、それぞれの重合成分に由来する単位(又はポリエステル樹脂の構成単位)を表す場合がある。
[ジオール成分(A)]
ジオール成分(A)(又は、ジオール成分(A)由来の単位)は少なくとも、9,9−位にそれぞれヒドロキシ(ポリ)アルコキシ縮合多環式芳香族基を有するジオール成分(A1)(又は、ジオール成分(A1)由来の単位)を含んでいる。ジオール成分(A1)(又は、ジオール成分(A1)由来の単位)と、フルオレン骨格を有するジカルボン酸成分(B1)(又は、ジカルボン酸成分(B1)由来の単位)とを組み合わせることによって、高屈折率、低複屈折の両立しがたい特性を併せ持つことが可能となる。さらに、理由は定かではないが、柔軟性に欠けることが予想される縮合多環式芳香族骨格を有しているにもかかわらず、得られるポリエステル樹脂は、(脆くなることなく、逆に)高い靱性を備えている。
(ジオール成分(A1))
本発明に使用されるジオール成分(A1)は、代表的には、下記式(1−1)で示される化合物であってもよい。
(式中、Z及びZは縮合多環式芳香族炭化水素環、R1a及びR1bは反応に不活性な置換基、k1及びk2はそれぞれ0〜4の整数、R2a及びR2bはアルキレン基、m1及びm2はそれぞれ1以上の整数、R3a及びR3bは反応に不活性な置換基、p1及びp2はそれぞれ0以上の整数を示す。)
上記式(1−1)において、環Z及びZで表される縮合多環式芳香族炭化水素環としては、例えば、縮合二環式芳香族炭化水素環(例えば、ナフタレン環、アズレン環などのC8−12縮合二環式芳香族炭化水素環、好ましくはC9−12縮合二環式芳香族炭化水素環、さらに好ましくはC10−12縮合二環式芳香族炭化水素環)、縮合三環式炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環などのC12−14縮合三環式芳香族炭化水素環)などが挙げられる。なお、環Z及びZはそれぞれ同一又は異なっていてもよく、通常、同一であってもよい。好ましい環Z及びZには、ナフタレン環、アントラセン環が含まれ、特にナフタレン環であってもよい。
前記式(1−1)において、基R1a及びR1bとしては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)など]などの非反応性置換基が挙げられ、特に、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基(特にアルキル基)である場合が多い。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−12アルキル基(例えば、C1−8アルキル基、特にメチル基などのC1−4アルキル基)などが例示できる。なお、k1及びk2が複数(2以上)である場合、フルオレン骨格中の同一ベンゼン環内の基R1a同士及び同一ベンゼン環内の基R1b同士は、それぞれのベンゼン環内において、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレン骨格を構成する2つのベンゼン環に置換する基R1a及びR1bは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレン骨格を構成する2つのベンゼン環に対する基R1a及びR1bの結合位置(置換位置)は、特に限定されず、例えば、フルオレン骨格の2−位、7−位、2−位及び7−位などが挙げられる。好ましい置換数k1及びk2は、例えば、0〜1、特に0である。なお、フルオレン骨格を構成する2つのベンゼン環において、置換数k1及びk2は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、前記式(1−1)において、基R2a及びR2bで表されるアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基(1,2−プロパンジイル基)、トリメチレン基、1,2−ブタンジイル基、テトラメチレン基などの直鎖状又は分岐鎖状C2−6アルキレン基、好ましくはC2−4アルキレン基、さらに好ましくはC2−3アルキレン基が挙げられる。なお、m1及びm2が2以上であるとき、基R2a及びR2bのアルキレン基の繰り返し単位は、異なるアルキレン基で構成されていてもよく、通常、同一のアルキレン基で構成されていてもよい。また、基R2a及びR2bは互いに同一であっても、異なっていてもよく、通常、同一であってもよい。
オキシアルキレン基(OR2a及びOR2b)の繰り返し数(付加モル数)m1及びm2は、1以上であればよく、例えば、1〜12(例えば、1〜8)、好ましくは1〜4(例えば、1〜3)、さらに好ましくは1〜2、特に1であってもよい。なお、繰り返し数m1及びm2は、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。m1及びm2が大きすぎると、屈折率が低下するおそれがある。
前記式(1−1)において、ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ基[−O−(R2aO)m1−H]及び[−O−(R2bO)m2−H]の置換位置は、特に限定されず、環Z及びZの適当な置換位置にそれぞれ置換していればよい。ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ基の置換位置は、環Z及びZがナフタレン環であるとき、例えば、1−ナフチル基又は2−ナフチル基の4−位乃至8−位(例えば、5−位又は6−位)などである場合が多い。なかでも、1,5−位又は2,6−位の位置関係で置換されることが多く、特に、2,6−位の位置関係であるのが好ましい。
置換基R3a及びR3bとしては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基などのC5−8シクロアルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのC6−10アリール基など)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基などのC1−6アルコキシ基など)、シクロアルキルオキシ基(例えば、シクロヘキシルオキシ基などのC5−8シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基など)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基など);アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基などのC1−8アルキルチオ基など);アシル基(例えば、アセチル基などのC1−6アルキル−カルボニル基など);ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など);ニトロ基;シアノ基;ジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジC1−4アルキル−アミノ基など);ジアルキルカルボニルアミノ基(例えば、ジアセチルアミノ基などのジC1−4アルキル−カルボニルアミノ基など)などが例示できる。
好ましい基R3a及びR3bは、例えば、C1−6アルキル基(好ましくはC1−4アルキル基(特にメチル基))、C5−8シクロアルキル基、C1−4アルコキシ基などが挙げられる。
置換数p1及びp2は、それぞれ、例えば、0〜4(例えば、0〜3)、好ましくは0〜2(例えば、0又は1)、さらに好ましくは0であってもよい。なお、置換数p1及びp2は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
なお、環Z及びZがナフタレン環であり、基R3a及びR3bが無置換(置換数p1及びp2が0)である化合物と、環Z及びZがベンゼン環であり、基R3a及びR3bがフェニル基(置換数p1及びp2が1)である化合物とを比較すると、ベンゼン環の数が同じであっても、前者は得られるポリエステル樹脂の靱性を大きく向上させる。
代表的な、ジオール成分(A1)(又は前記式(1−1)で表される化合物)には、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレン類(ジオール成分(A1−1))などが含まれる。
9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシナフチル)フルオレン(前記式(1−1)において、環Z及びZがナフタレン環、m1及びm2が1である化合物){例えば、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[5−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシナフチル)フルオレンなど};9,9−ビス(ヒドロキシポリアルコキシナフチル)フルオレン(前記式(1−1)において、環Z及びZがナフタレン環、m1及びm2が2〜5である化合物){例えば、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシアルコキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス[6−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[5−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)−1−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシC2−4アルコキシナフチル)フルオレンなど]など}などが含まれる。これらのジオール成分(A1)は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
これらのジオール成分(A1)のうち、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシナフチル)フルオレン類、例えば、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス[ヒドロキシC2−4アルコキシナフチル]フルオレンが好ましい。
前記ジオール成分(A)(又は、ジオール成分(A)由来の単位)は、ジオール成分(A1)(又は、ジオール成分(A1)由来の単位)のみで構成してもよいが、必要に応じて、さらに、フルオレン骨格の9,9−位にそれぞれヒドロキシ(ポリ)アルコキシ単環式芳香族基を有するジオール成分(A2)(又は、ジオール成分(A2)由来の単位)を含んでいてもよい。なお、ジオール成分(A)(又は、ジオール成分(A)由来の単位)がジオール成分(A1)(又は、ジオール成分(A1)由来の単位)と、ジオール成分(A2)(又は、ジオール成分(A2)由来の単位)との双方を有する構成である場合、比較的高屈折率(例えば、20℃、波長589nmでの屈折率が1.650以上、好ましくは1.653以上、さらに好ましくは1.655以上)を維持しつつ、低複屈折のポリエステル樹脂をより低コストで得ることができる。
(ジオール成分(A2))
ジオール成分(A2)は、代表的には、下記式(1−2)で表される化合物であってもよい。
(式中、R1a及びR1b、k1及びk2、R2a及びR2b、m1及びm2、R3a及びR3b、並びにp1及びp2は前記式(1−1)記載の記号と同じ。)
上記式(1−2)において、ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ基[−O−(R2aO)m1−H]及び[−O−(R2bO)m2−H]の置換位置は、特に限定されず、フルオレン骨格の9,9−位に結合している2つのフェニル基の適当な置換位置にそれぞれ置換していればよい。ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ基は、フェニル基の2−位乃至6−位のいずれかの位置に置換していればよく、好ましくは3−位又は4−位、特に4−位に置換していてもよい。
なお、上記式(1−2)において、R1a及びR1b、k1及びk2、R2a及びR2b、m1及びm2、並びにp1及びp2は、好ましい態様を含め、前記式(1−1)に関する記載内容と同じである。
上記式(1−2)において、R3a及びR3bとしては、例えば、前記式(1−1)に記載のR3a及びR3bの項で例示した反応に不活性な置換基などが挙げられる。好ましいR3a及びR3bとしては、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(例えば、C6−10シクロアルキル基など)、アリール基、アルコキシ基(例えば、C1−4アルコキシ基)などが挙げられ、なかでも、アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、好ましくはメチル基などのC1−4アルキル基など)、アリール基(例えば、C6−14アリール基など)がさらに好ましく、特に、アリール基(例えば、フェニル基などのC6−10アリール基など)が好ましい。
代表的なジオール成分(A2)(又は前記式(1−2)で表される化合物)には、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン類(前記式(1−2)において、m1及びm2が1である化合物){例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシ−(モノ又はジ)C1−4アルキル−フェニル)フルオレン:9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシ−C6−10アリール−フェニル)フルオレンなど};9,9−ビス(ヒドロキシポリアルコキシフェニル)フルオレン類(前記式(1−2)において、m1及びm2が2〜5である化合物){例えば、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシアルコキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス[4−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレンなど];9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシアルコキシ−アルキルフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス[4−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシC2−4アルコキシ−(モノ又はジ)C1−4アルキル−フェニル)フルオレンなど]:9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシアルコキシ−アリールフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス[4−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシC2−4アルコキシ−C6−10アリール−フェニル)フルオレンなど]など}などが含まれる。これらのジオール成分(A2)は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
これらのジオール成分(A2)のうち、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン類、例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレン(ジオール成分(A2−1))、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシ−C6−10アリール−フェニル)フルオレン(ジオール成分(A2−2))などが好ましい。なかでも、基R3a及びR3bと環Z及びZとが環集合構造を形成しない化合物[すなわち、基R3a及びR3bがアリール基でない化合物]であると、ポリエステル樹脂の靱性が向上するため、前記ジオール成分(A2−1)が特に好ましい。
ジオール成分(A1)及び(A2)[例えば、(A2−1)及び/又は(A2−2)など]の総量は、全ジオール成分(A)に対して、例えば、60〜100モル%(特に、70〜90モル%)程度の割合で含まれることが好ましい。なお、前記割合は、モノマーの仕込み割合であってもよいが、ポリエステル樹脂中に導入される構成単位の割合であるのが好ましい。
ジオール成分(A1)とジオール成分(A2)[例えば、ジオール成分(A2−1)及びジオール成分(A2−2)の総量など]との割合は、前者/後者(モル比)=1/99〜100/0(例えば、5/95〜95/5)の範囲から選択でき、例えば、25/75〜93/7(例えば、30/70〜90/10)、好ましくは35/65〜88/12(例えば、40/60〜85/15)、さらに好ましくは45/55〜83/17(例えば、50/50〜80/20)、特に55/45〜75/25(例えば、58/42〜75/25)程度であってもよく、例えば、30/70〜100/0(例えば、50/50〜100/0)、好ましくは60/40〜100/0(例えば、70/30〜100/0)、さらに好ましくは80/20〜100/0(例えば、90/10〜100/0)程度であってもよい。ジオール成分(A2)(又はジオール成分(A2)由来の単位)の割合が多すぎると、高屈折率のポリエステル樹脂を得難くなるおそれがある。特に、ジオール成分(A2)の中でも、前記式(1−2)において、R3a及びR3bがアリール基であるジオール成分(A2−2)(又はジオール成分(A2−2)由来の単位)の割合が多すぎると、ポリエステル樹脂の靱性が低下するおそれがある。しかし、本発明のポリエステル樹脂は、ジオール成分(A1)由来の単位及び後述するジカルボン酸成分(B1)由来の単位を含むためか、ジオール成分(A2−2)を含んでいても、比較的高い靱性を有する傾向がある。また、ジオール成分(A1)(又はジオール成分(A1)由来の単位)の割合が多い方が、より高屈折率かつ低複屈折のポリエステル樹脂が得易いようである。そのため、本発明のポリエステル樹脂は、ジオール成分(A2)(又はジオール成分(A2)由来の単位)を含んでいなくてもよい。なお、前記割合は、モノマーの仕込み割合であってもよいが、ポリエステル樹脂中に導入される構成単位の割合であるのが好ましい。
(ジオール成分(A3))
前記ジオール成分(A)(又は、ジオール成分(A)由来の単位)は、さらに、脂肪族ジオール成分(A3)(又は、ジオール成分(A3)由来の単位)を含んでいてもよい。ジオール成分(A3)(又は、ジオール成分(A3)由来の単位)を組み合わせることにより、重合を効率よく行うことができる(特に、前記割合(例えば、導入割合)のジオール成分(A1)や(A2)(又は、ジオール成分(A1)や(A2)由来の単位)などの9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有するジオール成分(又は、その成分に由来する単位)と組み合わせることにより、高屈折率、低複屈折、さらには、高い靱性及び耐熱性をバランス良く備えたポリエステル樹脂を得ることができる。)。
このようなジオール成分(A3)としては、例えば、鎖状脂肪族ジオール[例えば、アルカンジオール(エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのC2−10アルカンジオール、好ましくはC2−6アルカンジオール、さらに好ましくはC2−4アルカンジオール)、ポリアルカンジオール(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコールなどのジ又はトリC2−4アルカンジオールなど)など]、脂環族ジオール[例えば、シクロアルカンジオール(例えば、シクロヘキサンジオールなどのC5−8シクロアルカンジオール)、ジ(ヒドロキシアルキル)シクロアルカン(例えば、シクロヘキサンジメタノールなどのジ(ヒドロキシC1−4アルキル)C5−8シクロアルカンなど)、イソソルバイドなど]などが挙げられる。これらのジオール成分(A3)は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらのうち、耐熱性や屈折率の点から、ジオール成分(A3)として、特に、アルカンジオール(例えば、エチレングリコールなどのC2−4アルカンジオール(ジオール成分(A3−1)))などの低分子量の脂肪族ジオール成分(鎖状脂肪族ジオール成分)を好適に使用してもよい。
また、全ジオール成分(A)に対するジオール成分(A3)の割合は、1〜40モル%程度の範囲から選択でき、例えば、1〜30モル%、好ましくは5〜25モル%、さらに好ましくは10〜20モル%であってもよい。また、全ジオール成分(A)に対して、ジオール成分(A1)、(A2)[例えば、(A2−1)など]及び(A3)の総量は、例えば、80〜100モル%(特に、90〜100モル%)程度であることが好ましい。なお、これらの割合は、ポリエステル樹脂中に導入される構成単位の割合を示す。
全ジオール成分(A)(又は、ジオール成分(A)由来の単位全体)に対して、ジオール成分(A3)(又は、ジオール成分(A3)由来の単位)が多すぎると、屈折率、耐熱性、及び靱性が低下しやすくなり、少なすぎると、反応が円滑に進行しない場合がある。
なお、ジオール成分(A)(又は、ジオール成分(A)由来の単位)は、本発明の効果を害しない範囲であれば、他のジオール成分又はその成分に由来する単位(ジオール成分(A1)、(A2)及び(A3)の範疇に属さないジオール成分又は単位)と組み合わせてもよい。このような他のジオール成分としては、例えば、芳香族ジオール[例えば、ジヒドロキシアレーン(ハイドロキノン、レゾルシノールなど)、芳香脂肪族ジオール({例えば、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノールなどのジ(ヒドロキシC1−4アルキル)C6−10アレーンなど)、ビスフェノール類(例えば、ビフェノール、ビスフェノールAなどのビス(ヒドロキシフェニル)C1−10アルカンなど)、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加体など]などが挙げられる。他のジオール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
他のジオール成分の割合は、全ジオール成分(A)に対して、30モル%以下、(例えば、0.1〜25モル%)、好ましくは20モル%以下(例えば、0.2〜15モル%)、さらに好ましくは10モル%以下(0.3〜5モル%)程度であってもよい。なお、前記割合は、モノマーの仕込み割合であってもよいが、ポリエステル樹脂中に導入される構成単位の割合であるのが好ましい。
また、必要に応じて、3以上のヒドロキシル基を有するポリオール成分又はその成分に由来する単位[例えば、アルカンポリオール(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど)など]を少量[例えば、ジオール成分とポリオール成分との総量に対して10モル%以下(例えば、0.1〜8モル%、好ましくは0.2〜5モル%)程度]使用してもよい。なお、前記割合は、モノマーの仕込み割合であってもよいが、ポリエステル樹脂中に導入される構成単位の割合であるのが好ましい。
[ジカルボン酸成分(B)]
ジカルボン酸成分(B)(又は、ジカルボン酸成分(B)由来の単位)は、フルオレン骨格を有するジカルボン酸成分(B1)(又は、ジカルボン酸成分(B1)由来の単位)を少なくとも含んでいる。本発明では、このようなフルオレン骨格を有するジカルボン酸成分(B1)(又は、ジカルボン酸成分(B1)由来の単位)と、フルオレン骨格の9,9−位にそれぞれヒドロキシ(ポリ)アルコキシ縮合多環式芳香族基を有するジオール成分(A1)(又は、ジオール成分(A1)由来の単位)とを組み合わせることで、高屈折率及び低複屈折を両立し、さらに高い靱性を備えたポリエステル樹脂を容易に得ることができる。また、ガラス転移温度(Tg)を低下させることなく、さらに、成形性を損なうことなく、耐熱性を向上できる。
(ジカルボン酸成分(B1))
フルオレン骨格を有するジカルボン酸成分(B1)としては、フルオレン骨格を有するジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体が含まれる。なお、エステル形成性誘導体としては、例えば、エステル[例えば、アルキルエステル[例えば、メチルエステル、エチルエステルなどの低級アルキルエステル(例えば、C1−4アルキルエステル、特にC1−2アルキルエステル)など]など]、酸ハライド(例えば、酸クロライドなど)、酸無水物などが挙げられる。エステル形成性誘導体は、モノエステル(ハーフエステル)又はジエステルであってもよい。フルオレン骨格を有するジカルボン酸成分(B1)は、ポリエステル樹脂の製造方法に応じて選択できるが、溶融重合法では、ジカルボン酸、ジカルボン酸エステルなどを使用する場合が多い(以下「カルボン酸成分」について同じ)。
フルオレン骨格を有するジカルボン酸成分(B1)としては、フルオレン骨格を構成する2つのベンゼン環に2つのカルボキシル基含有基が置換した化合物[例えば、フルオレンジカルボン酸(例えば、2,7−ジカルボキシフルオレンなど)]であってもよいが、通常、フルオレンの9−位にカルボキシル基含有基が置換した化合物、例えば、下記式(2−1)又は(2−2)で表される化合物を好適に使用できる。このような化合物は、ジオール成分(A1)との組合せにおいて、屈折率及び耐熱性を低減させることなく複屈折の低減効果が高いようである。
(式中、R4a及びR4bは反応に不活性な置換基、q1及びq2はそれぞれ0〜4の整数、X1a及びX1bは置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、rは0〜4の整数を示す。)
上記式(2−1)、(2−2)において、基X1a、X1bで表される炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、2−エチルエチレン基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−8アルキレン基が例示できる。好ましいアルキレン基は直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキレン基)である。
アルキレン基の置換基としては、例えば、アリール基(例えば、フェニル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基など)などが例示できる。
1aは直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基(例えば、エチレン基、プロピレン基など)である場合が多く、X1bは直鎖状又は分岐鎖状C1−3アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基など)である場合が多い。置換基を有するアルキレン基X1aは、例えば、1−フェニルエチレン基、1−フェニルプロパン−1,2−ジイル基などであってもよい。
係数rは0〜4の整数から選択でき、通常、0〜2、好ましくは0又は1であってもよい。
前記式(2−1)、(2−2)において、基R4a及びR4b、q1及びq2は、好ましい態様を含め、前記式(1−1)記載のR1a及びR1b、k1及びk2とそれぞれ同じである。
前記式(2−1)で表される代表的な化合物は、X1aがC2−6アルキレン基である化合物、例えば、9,9−ビス(2−カルボキシエチル)フルオレン、9,9−ビス(2−カルボキシプロピル)フルオレンなどの9,9−ビス(カルボキシC2−6アルキル)フルオレン及びこれらのエステル形成性誘導体などを含む。前記式(2−2)で表される代表的な化合物は、r=0であり、かつX1bがC1−6アルキレン基である化合物、例えば、9−(1−カルボキシ−2−カルボキシエチル)フルオレン、r=1であり、かつX1bがC1−6アルキレン基である化合物、例えば、9−(2−カルボキシ−3−カルボキシプロピル)フルオレンなどの9−(カルボキシ−カルボキシC2−6アルキル)フルオレン及びこれらのエステル形成性誘導体などを含む。フルオレン骨格を有するジカルボン酸成分(B1)は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
好ましいジカルボン酸成分(B1)には、前記式(2−1)で表される化合物、例えば、9,9−ビス(カルボキシアルキル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(カルボキシC1−4アルキル)フルオレンなど]などが含まれる。
全ジカルボン酸成分(B)に対するフルオレン骨格を有するジカルボン酸成分(B1)の割合は、50モル%以上(例えば、60〜100モル%程度)の範囲から選択でき、例えば、少なくとも65モル%以上(例えば、70〜100モル%)、好ましくは75〜100モル%(例えば、80〜100モル%)、さらに好ましくは85〜100モル%(例えば、90〜100モル%)程度であってもよい。なお、前記割合は、モノマーの仕込み割合であってもよいが、ポリエステル樹脂中に導入される構成単位の割合であるのが好ましい。全ジカルボン酸成分(B)(又は、ジカルボン酸成分(B)由来の単位全体)に対して、フルオレン骨格を有するジカルボン酸成分(B1)(又は、ジカルボン酸成分(B1)由来の単位)の割合が少なすぎると、複屈折の低減効果が十分でなく、低複屈折のポリエステル樹脂が得難くなるおそれがある。
なお、ジカルボン酸成分(B)(又は、ジカルボン酸成分(B)由来の単位)は、本発明の効果を害しない範囲であれば、さらに他のジカルボン酸成分(B2)(又は、ジカルボン酸成分(B2)由来の単位)を含んでいてもよい。
(ジカルボン酸成分(B2))
他のジカルボン酸成分(B2)としては、芳香族ジカルボン酸成分(B2−1)、脂環族ジカルボン酸成分(B2−2)、脂肪族ジカルボン酸成分(B2−3)が含まれる。芳香族ジカルボン酸成分(B2−1)としては、例えば、多環式芳香族ジカルボン酸{例えば、縮合多環式芳香族ジカルボン酸[例えば、ナフタレンジカルボン酸(例えば、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの異なる環に2つのカルボキシル基を有するナフタレンジカルボン酸;1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸などの同一の環に2つのカルボキシル基を有するナフタレンジカルボン酸)、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸などの縮合多環式C10−24アレーン−ジカルボン酸、好ましくは縮合多環式C10−16アレーン−ジカルボン酸、さらに好ましくは縮合多環式C10−14アレーン−ジカルボン酸など];アリールアレーンジカルボン酸[例えば、ビフェニルジカルボン酸(例えば、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸など)などのC6−10アリール−C6−10アレーン−ジカルボン酸など];ジアリールアルカンジカルボン酸[例えば、ジフェニルアルカンジカルボン酸(例えば、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸など)などのジC6−10アリールC1−6アルカン−ジカルボン酸など];ジアリールケトンジカルボン酸[例えば、ジフェニルケトンジカルボン酸(例えば、4.4’−ジフェニルケトンジカルボン酸など)などのジC6−10アリールケトン−ジカルボン酸)など]など};単環式芳香族ジカルボン酸[例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アルキルイソフタル酸(例えば、4−メチルイソフタル酸などのC1−4アルキルイソフタル酸など)などのC6−10アレーン−ジカルボン酸など]などが挙げられる。また、芳香族ジカルボン酸成分(B2−1)としては、これらのエステル形成性誘導体も挙げられる。
脂環族ジカルボン酸成分(B2−2)としては、例えば、シクロアルカンジカルボン酸(例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などのC5−10シクロアルカン−ジカルボン酸など);ジ又はトリシクロアルカンジカルボン酸(例えば、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸など);シクロアルケンジカルボン酸(例えば、シクロヘキセンジカルボン酸などのC5−10シクロアルケン−ジカルボン酸);ジ又はトリシクロアルケンジカルボン酸(例えば、ノルボルネンジカルボン酸など)などが挙げられる。また、脂環族ジカルボン酸成分(B2−2)としては、これらのエステル形成性誘導体も挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸成分(B2−3)としては、例えば、アルカンジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などのC2−12アルカン−ジカルボン酸など)、不飽和脂肪族ジカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのC2−10アルケン−ジカルボン酸など)などが挙げられる。また、脂肪族ジカルボン酸成分(B2−3)としては、これらのエステル形成性誘導体も挙げられる。
これらのうち、屈折率向上の観点からは、芳香族ジカルボン酸成分(B2−1)、例えば、ナフタレンジカルボン酸などの縮合多環式芳香族ジカルボン酸成分、イソフタル酸、テレフタル酸などの単環式芳香族ジカルボン酸成分などが好ましく、特に縮合多環式芳香族ジカルボン酸成分が好ましい。また、低複屈折の観点からは、脂環族ジカルボン酸成分(B2−2)が好ましい。なお、脂肪族ジカルボン酸成分(B2−3)は必ずしも必要ではない。これらのジカルボン酸成分(B2)は用途に応じて選択でき、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのジカルボン酸成分(B2)(又は、ジカルボン酸成分(B2)由来の単位)と、フルオレン骨格を有するジカルボン酸成分(B1)(又は、ジカルボン酸成分(B1)由来の単位)とを組み合わせることにより、得られるポリエステル樹脂の屈折率、複屈折、靱性及び耐熱性のバランスを調整することができる。
ジカルボン酸成分(B1)と、他のジカルボン酸成分(B2)(例えば、縮合多環式芳香族ジカルボン酸成分など)との割合は、前者/後者(モル比)=50/50〜100/0(例えば、60/40〜100/0)の範囲から選択でき、好ましくは65/35〜100/0(例えば、70/30〜100/0)、さらに好ましくは75/25〜98/2(例えば、80/20〜98/2)、特に85/15〜95/5(例えば、90/10〜95/5)程度であってもよく、75/25〜100/0(例えば、80/20〜100/0)、好ましくは90/10〜100/0(例えば、95/5〜100/0)程度であってもよい。なお、前記割合は、モノマーの仕込み割合であってもよいが、ポリエステル樹脂中に導入される構成単位の割合であるのが好ましい。他のジカルボン酸成分(B2)(又は、ジカルボン酸成分(B2)由来の単位)の割合が多すぎると、低複屈折かつ高耐熱性のポリエステル樹脂が得られないおそれがある。
また、必要に応じて、3以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸成分又はその成分由来の単位(例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸などの芳香族ポリカルボン酸など、またこれらのエステル形成性誘導体)を少量[例えば、ジカルボン酸成分とポリカルボン酸成分との総量に対して10モル%以下(例えば、0.1〜8モル%、好ましくは0.2〜5モル%)程度]使用してもよい。なお、前記割合は、モノマーの仕込み割合であってもよいが、ポリエステル樹脂中に導入される構成単位の割合であるのが好ましい。
[樹脂特性及び製造方法]
本発明のポリエステル樹脂は、前記ジオール成分(A)と前記ジカルボン酸成分(B)とを重合成分とする樹脂であり、種々の特性(例えば、光学的特性、機械的特性、熱的特性など、特に光学的特性、機械的特性)において優れている。例えば、本発明のポリエステル樹脂は、特定のジオール成分(由来の骨格)と特定のジカルボン酸成分(由来の骨格)とを組み合わせて有し、高屈折率と低複屈折とを両立している。さらに、本発明のポリエステル樹脂は、高い靱性をも有している。
本発明のポリエステル樹脂の20℃、波長589nmでの屈折率は、例えば、1.644以上(例えば、1.645〜1.750程度)の範囲から選択でき、例えば、1.646以上(例えば、1.650〜1.700程度)、好ましくは1.652以上(例えば、1.653〜1.690程度)、さらに好ましくは1.654以上(例えば、1.655〜1.680程度)、特に高屈折率が要求される用途では、1.659以上(例えば、1.660〜1.670程度)であってもよい。
また、本発明のポリエステル樹脂の20℃でのアッベ数は、例えば、23.0以下(例えば、15.0〜22.5程度)の範囲から選択でき、例えば、22.3以下(例えば、17.0〜22.1程度)、好ましくは22.0以下(例えば、18.0〜21.8程度)、さらに好ましくは21.5以下(例えば、19.0〜21.3程度)、特に21.2以下(例えば、19.4〜21.0程度)であってもよい。
さらに、本発明のポリエステル樹脂の20℃、波長600nmでの3倍複屈折(測定方法は後に記載)の絶対値は、例えば、70×10−4以下(例えば、0.001×10−4〜65×10−4程度)の範囲から選択でき、例えば、60×10−4以下(例えば、0.005×10−4〜55×10−4程度)、好ましくは50×10−4以下(例えば、0.01×10−4〜40×10−4程度)であってもよく、より低い複屈折が求められる場合には、例えば、35×10−4以下(例えば、0.01×10−4〜31×10−4程度)の範囲から選択でき、例えば、30×10−4以下(例えば、0.01×10−4〜25×10−4程度)、好ましくは21×10−4以下(例えば、0.01×10−4〜20×10−4程度)、さらに好ましくは16×10−4以下(例えば、0.05×10−4〜15×10−4程度)、特に12×10−4以下(例えば、0.1×10−4〜11×10−4程度)であってもよい。
なお、本発明のポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は比較的高く、例えば、120〜170℃程度の範囲から選択でき、例えば、123℃以上(例えば、125〜165℃程度)、好ましくは128℃以上(例えば、130〜160℃程度)、さらに好ましくは133℃以上(例えば、135〜155℃程度)、特に138℃以上(例えば、140〜150℃程度)であってもよい。
また、本発明のポリエステル樹脂の重量平均分子量は、例えば、20000〜70000程度の範囲から選択でき、例えば、30000〜60000程度、好ましくは34000〜56000程度、さらに好ましくは37000〜53000程度、特に40000〜50000程度であってもよい。
本発明のポリエステル樹脂は、前記ジオール成分(A)と前記ジカルボン酸成分(B)とを反応(重合又は縮合)させることにより製造できる。重合方法(製造方法)としては、慣用の方法、溶融重合法(ジオール成分とジカルボン酸成分とを溶融混合下で重合させる方法)、溶液重合法、界面重合法などが例示できる。好ましい方法は、溶融重合法である。
また、反応において、ジオール成分(A)及びジカルボン酸成分(B)の使用量(使用割合)は、前記と同様の範囲から選択できるが、必要に応じて各成分などを過剰に用いて反応させてもよい。例えば、反応系から留出可能なエチレングリコールなどのジオール成分(A3)は、ポリエステル樹脂中に導入されるジオール成分(A3)由来骨格の割合よりも過剰に使用してもよい。また、反応は、重合方法に応じて、溶媒の存在下又は非存在下で行ってもよい。
反応は、触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、ポリエステル樹脂の製造に利用される種々の触媒、例えば、金属触媒などが使用できる。金属触媒としては、例えば、アルカリ金属(ナトリウムなど)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、バリウムなど)、遷移金属(マンガン、亜鉛、カドミウム、鉛、コバルト、チタンなど)、周期表第13族金属(アルミニウムなど)、周期表第14族金属(ゲルマニウムなど)、周期表第15族金属(アンチモンなど)などを含む金属化合物が用いられる。金属化合物としては、例えば、アルコキシド、有機酸塩(酢酸塩、プロピオン酸塩など)、無機酸塩(ホウ酸塩、炭酸塩など)、金属酸化物などが例示できる。これらの触媒は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。触媒の使用量は、例えば、ジカルボン酸成分1モルに対して、0.01×10−4〜100×10−4モル、好ましくは0.1×10−4〜40×10−4モル程度であってもよい。
また、反応は、必要に応じて、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤など)などの添加剤の存在下で行ってもよい。
反応は、通常、不活性ガス(窒素、ヘリウムなど)雰囲気中で行うことができる。また、反応は、減圧下(例えば、1×10〜1×10Pa程度)で行うこともできる。反応温度は、重合法に応じて選択でき、例えば、溶融重合法における反応温度は、150〜300℃、好ましくは180〜290℃、さらに好ましくは200〜280℃程度であってもよい。本発明のポリエステル樹脂は、フルオレン骨格を有するジカルボン酸成分(B1)を含む特定のジカルボン酸成分を原料とするためか、比較的低粘度であり、溶融重合により製造しやすい。
[成形体]
本発明のポリエステル樹脂は、前記のように、優れた光学的特性(高屈折率、低複屈折など)、機械的特性、高耐熱性を有している。そのため、本発明には、前記ポリエステル樹脂(又はその樹脂組成物、以下、樹脂組成物を含めてポリエステル樹脂ということがある)で構成された成形体(特に、光学フィルム、光学レンズ、光学シートなどの光学用部材)も含まれる。成形体の形状は、特に限定されず、例えば、二次元的構造(例えば、フィルム状、シート状、板状など)、三次元的構造(例えば、管状、棒状、チューブ状、中空状など)などが挙げられる。
このような成形体は、前記ポリエステル樹脂で構成されていればよく、前記ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物で構成してもよい。このような樹脂組成物は、各種添加剤[例えば、充填剤又は補強剤、着色剤(例えば、染顔料など)、導電剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、安定剤(例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、離型剤、帯電防止剤、分散剤、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、表面改質剤、低応力化剤(例えば、シリコーンオイル、シリコーンゴム、各種プラスチック粉末、各種エンジニアリングプラスチック粉末など)、炭素材など]を含んでいてもよい。これらの添加剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
成形体は、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法、加圧成形法、キャスティング成形法などを利用して製造することができる。
特に、本発明のポリエステル樹脂は、種々の光学的特性に優れているため、フィルム(特に光学フィルム)を形成するのに有用である。そのため、本発明には、前記ポリエステル樹脂で形成されたフィルム(光学フィルム)も含まれる。
このようなフィルムの厚みは、1〜1000μm程度の範囲から用途に応じて選択でき、例えば、1〜200μm、好ましくは5〜150μm、さらに好ましくは10〜120μm程度であってもよい。
このようなフィルム(光学フィルム)は、前記ポリエステル樹脂を、慣用の成膜方法、キャスティング法(溶剤キャスト法)、溶融押出法、カレンダー法などを用いて成膜(又は成形)することにより製造できる。
フィルムは、延伸フィルムであってもよい。本発明のフィルムは、延伸フィルムであっても、低複屈折を維持できる。なお、このような延伸フィルムは、一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムのいずれであってもよい。
延伸倍率は、一軸延伸又は二軸延伸において各方向にそれぞれ1.1〜10倍(好ましくは1.2〜8倍、さらに好ましくは1.5〜6倍)程度であってもよく、通常1.1〜2.5倍(好ましくは1.2〜2.3倍、さらに好ましくは1.5〜2.2倍)程度であってもよい。なお、二軸延伸の場合、等延伸(例えば、縦横両方向に1.5〜5倍延伸)であっても、偏延伸(例えば、縦方向に1.1〜4倍、横方向に2〜6倍延伸)であってもよい。また、一軸延伸の場合、縦延伸(例えば、縦方向に2.5〜8倍延伸)であっても横延伸(例えば、横方向に1.2〜5倍延伸)であってもよい。
延伸フィルムの厚みは、例えば、1〜150μm、好ましくは3〜120μm、さらに好ましくは5〜100μm程度であってもよい。
なお、このような延伸フィルムは、成膜後のフィルム(又は未延伸フィルム)に、延伸処理を施すことにより得ることができる。延伸方法は、特に制限が無く、一軸延伸の場合、湿式延伸法又は乾式延伸法のいずれであってもよく、二軸延伸の場合、テンター法(フラット法ともいわれる)であってもチューブ法であってもよいが、延伸厚みの均一性に優れるテンター法が好ましい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、樹脂又はフィルムの特性の測定や評価は以下の方法によって行った。
H−NMR)
BRUKER社製「AVANCE III HD」を用い、標準物質TMS(テトラメチルシラン)、重クロロホルムを利用して、得られたスペクトルから、それぞれのモノマー由来のピークより、ポリエステル樹脂に導入された各モノマー成分(構成単位)の割合を算出した。
(分子量)
ゲル浸透クロマトグラフィ(東ソー(株)製、HLC−8120GPC)を用い、試料をクロロホルムに溶解させ、ポリスチレン換算で、分子量を測定した。
(ガラス転移温度(Tg))
示差走査熱量計(セイコーインスツル(株)製、DSC 6220)を用い、アルミパンに試料を入れ、30℃から200℃の範囲でTgを測定した。
(屈折率)
多波長アッベ屈折計((株)アタゴ製、DR−M2/1550)を用い、光源波長589nm、測定温度20℃で測定した。
(アッベ数)
多波長アッベ屈折計((株)アタゴ製、DR−M2/1550)を用い、測定温度20℃で、光源波長486nm(F線)、589nm(d線)及び656nm(C線)における屈折率n、n及びnを測定し、(n−1)/(n−n)より算出した。
(複屈折)
リタデーション測定装置(大塚電子(株)製、RETS-100)を用い、測定温度20℃で、測定方式は平行ニコル回転法にて、波長600nmでリタデーションを測定し、このリタデーション値を測定部位の厚みで除することで算出した。測定に用いた試験片は、以下の手順で作成した。樹脂を160〜240℃でプレス成形し、厚み100〜400μmのフィルムを得た。得られたフィルムを15mm×50mmの短冊状に切り出し、ガラス転移温度(Tg)+10℃の温度で延伸倍率3倍に25mm/分で一軸延伸し、測定用試験片を作成した。得られた試験片を上記方法で測定し、3倍複屈折を求めた。
(靱性)
押出成形により得られたストランド(長さ20cm、直径2mm)を試験片とした。20℃の雰囲気下で、得られた試験片の両端を把持して角度約90°に曲げ、湾曲部又は屈曲部を観察し、下記の基準で評価した。
◎:折れず、クラックの発生もない
○:容易に折れないが、3個未満のクラックの発生が見られる
△:折れないが、3個以上のクラックの発生が見られる。
(合成例1)
1Lのセパラブルフラスコに、9−フルオレノン45g(0.25モル、大阪ガスケミカル(株)製)、エチレングリコールモノ(2−ナフチル)エーテル188g(1モル)、3−メルカプトプロピオン酸1gを投入した後に、60℃まで加温して完全に溶解させた。その後、硫酸54gを徐々に投入して、60℃を維持しつつ5時間攪拌したところ、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)にて9−フルオレノンの転化率が99%以上であることを確認できた。得られた反応液に48%苛性ソーダ水を投入して中和した後、キシレン400gを添加して蒸留水にて数回洗浄し、冷却することで結晶を析出させた。さらに、ろ過して乾燥したところ、87g(収率67%)の結晶として、目的とする9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン(BNEF)を得た。得られた結晶のHPLC純度を測定したところ、純度が98.3%であった。また、アセトンに10重量%の割合で溶解させて、日本電色工業(株)製「COH 400」を用いて色相(APHA)を測定したところ、30であった。なお、得られたサンプルは、H−NMR及びマススペクトルにより、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン(BNEF)であることを確認した。
(実施例1〜41、参考例1〜3及び比較例1〜2)
反応器に、表1に記載の所定量のジオール成分及びジカルボン酸成分と、エステル交換触媒として酢酸マンガン・4水和物2×10−4モル及び酢酸カルシウム・1水和物8×10−4モルとを加え、撹拌しながら徐々に加熱溶融し、230℃まで昇温した後、トリメチルホスフェート14×10−4モル、酸化ゲルマニウム20×10-4モルを加え、270℃、0.13kPa以下に到達するまで徐々に昇温、減圧しながらエチレングリコールを除去した。所定の撹拌トルクに到達後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂のペレットを得た。
なお、合成例1で調製したBNEF以外のモノマー成分として、以下のものを使用した。
BPEF:9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製)
BOPPEF:9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製)
EG:エチレングリコール
FDPM:9,9−ジ(2−メトキシカルボニルエチル)フルオレン[9,9−ジ(2−カルボキシエチル)フルオレン又はフルオレン−9,9−ジプロピオン酸のジメチルエステル。特開2005−89422号公報の実施例1のアクリル酸t−ブチルをアクリル酸メチル(37.9g(0.44モル))に変更したこと以外は同様にして合成したもの)]
DMN:2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル
DMI:イソフタル酸ジメチル。
上記各評価項目について、得られたペレットを分析・評価した。結果を表2及び表3に示す。なお、表1中のジオール成分及びジカルボン酸成分は、モノマー成分の仕込み量のモル数を表し、表2及び表3中のジオール成分及びジカルボン酸成分のモル比は、仕込み量ではなく、ポリエステル樹脂への導入モル比(又は構成単位比)を表している。
表2、表3及び図1から明らかなように、比較例に比べ、実施例では高い屈折率(例えば、1.645以上、特に1.650以上(例えば、1.655以上))と、低い複屈折(3倍複屈折の絶対値が、例えば、65.0×10−4以下、好ましくは25.0×10−4以下、特に、15.0×10−4以下)とを両立でき、靱性も高かった。例えば、ジオール成分にBNEFを含まない参考例1〜3及び比較例1では、複屈折はある程度低いものの、屈折率がそれほど高くない。一方、ジオール成分にBNEFを含むもののジカルボン酸成分にFDPMを含まない比較例2では、高屈折率を有するものの、複屈折を低減できない。これらの結果から、BNEFとFDPMという特定の組合せが、高屈折率と低複屈折との両立に非常に効果的であることが分かる。
さらに、意外にも、柔軟性が低下すると考えられるBNEF由来のナフチル構造を有しているにもかかわらず、ナフチル構造と同じく2つのベンゼン環を有し、かつ柔軟性が低下すると考えられるBOPPEF由来のビフェニル構造を含む参考例2〜3及び比較例1に比べて、実施例では良好な靱性を備えていることが分かる。
本発明のポリエステル樹脂は、高屈折率、低複屈折、高透明性などの優れた光学的特性を有しており、さらに、靱性、高耐熱性などの各種特性にも優れている。そのため、本発明のポリエステル樹脂(又はその樹脂組成物)は、光学レンズ、光学フィルム、光学シート、ピックアップレンズ、プリズム、ホログラム、液晶用フィルム、有機EL用フィルムなどに好適に利用できる。また、本発明のポリエステル樹脂(又はその樹脂組成物)は、塗料、帯電防止剤、インキ、接着剤、粘着剤、樹脂充填材、帯電トレイ、導電シート、保護膜(例えば、電子機器、液晶部材などの保護膜など)、電気・電子材料(例えば、キャリア輸送剤、発光体、有機感光体、感熱記録材料、ホログラム記録材料など)、電気・電子部品又は機器(例えば、光ディスク、インクジェットプリンタ、デジタルペーパ、有機半導体レーザ、色素増感型太陽電池、EMIシールドフィルム、フォトクロミック材料、有機EL素子、カラーフィルタなど)用樹脂、機械部品又は機器(例えば、自動車、航空・宇宙材料、センサ、摺動部材など)用の樹脂などに好適に利用できる。
特に、本発明のポリエステル樹脂は、光学的特性に優れているため、光学用途の成形体(光学用成形体)を構成するのに有用である。このような前記ポリエステル樹脂で構成された光学用成形体としては、例えば、光学フィルム、光学レンズ、光学シートなどが挙げられる。
光学フィルムとしては、偏光フィルム(及びそれを構成する偏光素子と偏光板保護フィルム)、位相差フィルム、配向膜(配向フィルム)、視野角拡大(補償)フィルム、拡散板(フィルム)、プリズムシート、導光板、輝度向上フィルム、近赤外吸収フィルム、反射フィルム、反射防止(AR)フィルム、反射低減(LR)フィルム、アンチグレア(AG)フィルム、透明導電(ITO)フィルム、異方導電性フィルム(ACF)、電磁波遮蔽(EMI)フィルム、電極基板用フィルム、カラーフィルタ基板用フィルム、バリアフィルム、カラーフィルタ層、ブラックマトリクス層、光学フィルム同士の接着層もしくは離型層などが挙げられる。とりわけ、本発明のフィルムは、機器のディスプレイに用いる光学フィルムとして有用である。このような本発明の光学フィルムを備えたディスプレイ用部材(又はディスプレイ)としては、具体的には、パーソナル・コンピュータのモニタ、テレビジョン、携帯電話、カー・ナビゲーションシステム、タッチパネルなどFPD装置(例えば、LCD、PDPなど)などが挙げられる。

Claims (12)

  1. フルオレン骨格の9,9−位にそれぞれヒドロキシ(ポリ)アルコキシ縮合多環式芳香族基を有するジオール成分(A1)を含むジオール成分(A)と、フルオレン骨格を有するジカルボン酸成分(B1)を含むジカルボン酸成分(B)とを重合成分とするポリエステル樹脂。
  2. ジオール成分(A1)が、下記式(1−1)で表される9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ縮合多環式アリール)フルオレンであり、フルオレン骨格を有するジカルボン酸成分(B1)が、下記式(2−1)又は下記式(2−2)で表されるフルオレン骨格を有するジカルボン酸成分である請求項1記載のポリエステル樹脂。
    (式中、Z及びZは縮合多環式芳香族炭化水素環、R1a及びR1bは反応に不活性な置換基、k1及びk2はそれぞれ0〜4の整数、R2a及びR2bはアルキレン基、m1及びm2はそれぞれ1以上の整数、R3a及びR3bは反応に不活性な置換基、p1及びp2はそれぞれ0以上の整数を示す。)
    (式中、R4a及びR4bは反応に不活性な置換基、q1及びq2はそれぞれ0〜4の整数、X1a及びX1bは置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、rは0〜4の整数を示す。)
  3. ジオール成分(A1)由来の単位と、下記式(1−2)
    (式中、R1a及びR1bは反応に不活性な置換基、k1及びk2はそれぞれ0〜4の整数、R2a及びR2bはアルキレン基、m1及びm2はそれぞれ1以上の整数、R3a及びR3bはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアルコキシ基、p1及びp2はそれぞれ0以上の整数を示す。)
    で表されるジオール成分(A2)に由来する単位との割合が、前者/後者(モル比)=30/70〜100/0である請求項1又は2記載のポリエステル樹脂。
  4. さらに、脂肪族ジオール成分(A3)由来の単位を、ジオール成分(A)由来の単位全体に対して1〜30モル%の割合で含んでいる請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
  5. フルオレン骨格を有するジカルボン酸成分(B1)として、9,9−ビス(カルボキシアルキル)フルオレン由来の単位を、ジカルボン酸成分(B)由来の単位全体に対して60〜100モル%の割合で含んでいる請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
  6. ジカルボン酸成分(B1)由来の単位と、芳香族ジカルボン酸成分(B2−1)由来の単位とを、前者/後者(モル比)=65/35〜100/0の割合で含む請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
  7. ジオール成分(A1−1)としての9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシナフチル)フルオレン由来の単位と、ジオール成分(A2−1)としての9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシフェニル)フルオレン由来の単位及びジオール成分(A2−2)としての9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシ−C6−10アリール−フェニル)フルオレン由来の単位の総量との割合が、前者/後者(モル比)=50/50〜100/0であり、
    ジオール成分(A3−1)としてのC2−6アルカンジオール由来の単位を、ジオール成分(A)由来の単位全体に対して5〜25モル%の割合で含んでおり、
    ジカルボン酸成分(B1)としての9,9−ビス(カルボキシアルキル)フルオレン由来の単位と、芳香族ジカルボン酸成分(B2−1)としての縮合多環式芳香族ジカルボン酸成分由来の単位との割合が、前者/後者(モル比)=70/30〜100/0である請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
  8. 20℃、波長589nmでの屈折率が1.650〜1.700であり、20℃でのアッベ数が15.0〜22.5であり、20℃、波長600nmでの3倍複屈折の絶対値が0.01×10−4〜31×10−4である請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
  9. 20℃、波長589nmでの屈折率が1.653〜1.690であり、20℃でのアッベ数が18〜21.8であり、20℃、波長600nmでの3倍複屈折の絶対値が0.01×10−4〜15×10−4である請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のポリエステル樹脂で形成された成形体。
  11. 光学用部材である請求項10記載の成形体。
  12. 光学フィルム、光学レンズ、光学シートである請求項10又は11記載の成形体。
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