JP6486808B2 - フルオレン骨格を有するポリエステル樹脂及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フルオレン骨格を有するポリエステル樹脂及びその製造方法に関する。
フルオレン骨格(9,9−ビスフェニルフルオレン骨格等)を有する化合物は、高屈折率、高耐熱性等の優れた機能を有することが知られている。このようなフルオレン骨格の優れた機能を樹脂に発現し、成形可能とする方法としては、反応性基を有するフルオレン化合物、例えば、ビスフェノールフルオレン(BPF)、ビスクレゾールフルオレン(BCF)、ビスフェノキシエタノールフルオレン(BPEF)等を樹脂の構成成分として利用し、樹脂の骨格構造の一部にフルオレン骨格を導入する方法が用いられてきた。
例えば、特許文献1〜3では、特定のフルオレン骨格を有するジカルボン酸成分と、9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン骨格を有する化合物を含むジオール成分とを重合成分とするポリエステル樹脂が、高屈折率、高耐熱性、低複屈折性等の特性をバランス良く有していることが報告されている。
しかしながら、依然として、各種特性に優れた樹脂が求められている。
特開2013−64117号公報 特開2013−64118号公報 特開2013−64119号公報
本発明は、新規なフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、鋭意検討した結果、フルオレン−9,9−ジアルコールをジオール成分とし、9,9−ジアルキルフルオレン−2,7−ジカルボン酸をジカルボン酸成分としたポリエステルにおいて、9位のアルキル鎖の長さにより屈折率及び耐熱性を調整することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記に示す態様を包含する。
項1. フルオレン−9,9−ジアルコール成分を含むジオール成分と、9,9−ジアルキルフルオレン−2,7−ジカルボン酸成分を含むジカルボン酸成分とを重合成分とするポリエステル。
項2. 前記ジオール成分がフルオレン−9,9−ジアルコール成分からなり、かつ前記ジカルボン酸成分が9,9−ジアルキルフルオレン−2,7−ジカルボン酸成分からなる、前記項1に記載のポリエステル。
項3. 前記ジオール成分がフルオレン−9,9−ジメタノール成分からなり、かつ前記ジカルボン酸成分が9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジカルボン酸成分からなる、前記項2に記載のポリエステル。
項4. 下記一般式(3):
Figure 0006486808
(式中、mは1〜3の整数であり、nは1〜10の整数を示す。)
で表される繰り返し単位を含むポリエステル。
本願発明のポリエステルは9位のアルキル基の鎖の長さにより、耐熱性、屈折率を調整することができる。
1. ポリエステル
本発明は、フルオレン−9,9−ジアルコール成分を含むジオール成分と、9,9−ジアルキルフルオレン−2,7−ジカルボン酸成分を含むジカルボン酸成分とを重合成分とするポリエステルに関する。本発明のポリエステルにおいて、好ましくは、ジオール成分はフルオレン−9,9−ジアルコール成分からなり、ジカルボン酸成分は9,9−ジアルキルフルオレン−2,7−ジカルボン酸成分からなる。
前記フルオレン−9,9−ジアルコール成分は、下記一般式(1):
Figure 0006486808
(式中、mは1〜3の整数を示す。)
で表されるジアルコールであり、前記9,9−ジアルキルフルオレン−2,7−ジカルボン酸成分は、下記一般式(2):
Figure 0006486808
(式中、nは1〜10の整数を示す。)
で表されるジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体(メチルエステル、エチルエステル等の低級アルキルエステル;酸無水物;酸クロライド等の酸ハライド等)である。即ち、本発明のポリエステルは、下記一般式(3):
Figure 0006486808
(式中、mは1〜3の整数であり、nは1〜10の整数を示す。)
で表される繰り返し単位を含む(好ましくは、当該繰り返し単位のみからなる)。
前記フルオレン−9,9−ジアルコールの9位のアルコールは、炭素数1〜3のアルキルアルコール(即ち、ヒドロキシアルキル基)であり、メタノール(即ち、ヒドロキシメチル基)、エタノール(即ち、2−ヒドロキシエチル基)、プロピルアルコール(即ち、3−ヒドロキシプロピル基)等が好適である。特に、耐熱性に優れる(ガラス転移温度が高く、かつ5%熱重量減少温度が高い)点及び高屈折率で、9位のアルコールがメチルアルコールであることが好ましい。
前記9,9−ジアルキルフルオレン−2,7−ジカルボン酸の9位のアルキル基は炭素数1〜10のアルキル基であり、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の炭素数1〜10の直鎖アルキル基である。特に、耐熱性に優れる(ガラス転移温度が高く、かつ5%熱重量減少温度が高い)点及び高屈折率である点で、9位のアルキル基がメチル基であることが好ましい。
本発明において、ジオール成分及びジカルボン酸成分は、本発明の効果を奏する範囲で前記フルオレン−9,9−ジアルコール以外のジオール成分を含むことができ、また、前記9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分を含むこともできる。全ジオール成分における前記フルオレン−9,9−ジアルコールの割合がモル比で50〜100モル%であることが好ましく、全ジカルボン酸成分における前記9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジカルボン酸の割合がモル比で50〜100モル%であることが好ましい。
その他のジオール成分としては、脂肪族ジオール成分(例えば、アルカンジオール、ポリアルカンジオール等の鎖状脂肪族ジオール;シクロアルカンジオール、ジ(ヒドロキシアルキル)シクロアルカン、イソソルバイド等の脂環族ジオール)、芳香族ジオール成分(例えば、ジヒドロキシアレーン)、芳香脂肪族ジオール(ジ(ヒドロキシC1−4アルキル)C6−10アレーン等)、ビフェノール、ビスフェノール(例えば、ビス(ヒドロキシフェニル)C1−10アルカン等)等を挙げることができる。
その他のジカルボン酸成分としては、例えば、単環式芳香族ジカルボン酸成分(C6−10アレーンジカルボン酸等)、非単環式芳香族ジカルボン酸成分(縮合多環式芳香族ジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルアルカンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸)、脂肪族ジカルボン酸成分(アルカンジカルボン酸)、脂環族ジカルボン酸成分(シクロアルカンジカルボン酸、ジ又はトリシクロアルカンジカルボン酸等)等を挙げることができる。
本発明のポリエステルの数平均分子量は、例えば、5000〜500000程度の範囲から選択でき、例えば、7000〜300000、好ましくは8000〜200000、さらに好ましくは10000〜150000、特に好ましくは12000〜100000である。
2. ポリエステルの製造方法
本発明のポリエステルは、前記ジオール成分と前記ジカルボン酸成分とを重合成分とする(又はジオール成分とジカルボン酸成分とが重合した)ポリエステルであり、前記ジオール成分と前記ジカルボン酸成分とを反応(重合又は縮合)させることにより製造できる。重合反応又は縮合反応の方法(製造方法)としては、使用するジカルボン酸成分の種類等に応じて適宜選択でき、慣用の方法、例えば、溶融重合法(ジオール成分とジカルボン酸成分とを溶融混合下で重合させる方法)、溶液重合法、界面重合法等を例示することができる。
ジオール成分とジカルボン酸成分との反応は、触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、ポリエステル樹脂の製造に利用される種々の触媒、例えば、金属触媒等が使用できる。金属触媒としては、例えば、アルカリ金属(ナトリウム等)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、バリウム等)、遷移金属(マンガン、亜鉛、カドミウム、鉛、コバルト等)、周期表第13族金属(アルミニウム等)、周期表第14族金属(ゲルマニウム等)、周期表第15族金属(アンチモン等)等を含む金属化合物が用いられる。金属化合物としては、アルコキシド、有機酸塩(酢酸塩、プロピオン酸塩等)、無機酸塩(ホウ酸塩、炭酸塩等)、金属酸化物等が例示できる。これらの触媒は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。触媒の使用量は、例えば、ジカルボン酸成分1モルに対して、0.01×10−4〜100×10−4モル、好ましくは0.1×10−4〜40×10−4モル程度である。
また、ジオール成分とジカルボン酸成分との反応は、必要に応じて、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤等)等の添加剤の存在下で行ってもよい。
ジオール成分とジカルボン酸成分との反応は、通常、不活性ガス(窒素、ヘリウム等)雰囲気中で行うことができる。また、当該反応は、減圧下(例えば、1×10〜1×10Pa程度)で行うこともできる。当該反応における反応温度は、150〜300℃、好ましくは180〜290℃、さらに好ましくは200〜280℃程度であってもよい。
本発明のポリエステルは、上述の通り、ジオール成分として、フルオレン−9,9−ジアルコール成分(一般式(1)で表されるジアルコール)を含む。フルオレン−9,9−ジアルコール成分は既知の化合物又は公知の方法により容易に得ることができる化合物である。より具体的には、例えば、Acta Chemica Scandinavica(1947−1973)(1967)、21(3)、718−20に記載の方法等を参照して製造することができる。
本発明のポリエステルは、上述の通り、ジカルボン酸成分として、9,9−ジアルキルフルオレン−2,7−ジカルボン酸成分(一般式(2)で表されるジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体)を含む。9,9−ジアルキルフルオレン−2,7−ジカルボン酸成分は、既知の化合物又は公知の方法により容易に製造することができる。より具体的には、例えば、有機合成化学協会誌Vol.17(1959)、No.9、p.553−556に記載の方法等を参照して製造することができる。
3. 成形体
本発明のポリエステルでは、適宜、長さを調整したアルキル基を有するポリエステルを用いることで、その耐熱性及び/又は屈折率を調整することができる。これらのポリエステルで構成された成形体(特に、光学フィルム、光学レンズ等の光学用成形体)も、同様に本発明のポリエステルに含まれる。成形体の形状は、特に限定されず、例えば、二次元的構造(フィルム状、シート状、板状等)、三次元的構造(管状、棒状、チューブ状、中空状等)等が挙げられる。
このような成形体は、前記ポリエステル樹脂で構成され、前記ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物で構成することもできる。このような樹脂組成物は、各種添加剤[例えば、充填剤又は補強剤、着色剤(染顔料)、導電剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等)、離型剤、帯電防止剤、分散剤、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、表面改質剤、低応力化剤(シリコーンオイル、シリコーンゴム、各種プラスチック粉末、各種エンジニアリングプラスチック粉末等)、耐熱性改良剤(硫黄化合物、ポリシラン等)、炭素材等]を含んでいてもよい。これらの添加剤は単独で又は2種以上組み合わせることもできる。
成形体は、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法、加圧成形法、キャスティング成形法等を利用して製造することができる。
本発明のポリエステルは、種々の光学特性を付与することができるため、フィルム(光学フィルム)を形成することができる。このようなフィルムの厚みは、1〜1000μm程度の範囲から用途に応じて選択でき、例えば、1〜200μm、好ましくは5〜150μm、さらに好ましくは10〜120μm程度であってもよい。
このようなフィルム(光学フィルム)は、前記ポリエステルを、慣用の成膜方法、キャスティング法(溶剤キャスト法)、溶融押出法、カレンダー法等を用いて成膜(又は成形)することにより製造できる。
当該フィルムは、延伸フィルムであってもよい。このような延伸フィルムは、一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムのいずれであってもよい。
延伸フィルムの延伸倍率は、一軸延伸又は二軸延伸において各方向にそれぞれ1.1〜10倍(好ましくは1.2〜8倍、さらに好ましくは1.5〜6倍)程度とすることができ、通常、1.1〜2.5倍(好ましくは1.2〜2.3倍、さらに好ましくは1.5〜2.2倍)程度である。なお、二軸延伸の場合、等延伸(例えば、縦横両方向に1.5〜5倍延伸)とすることも、偏延伸(例えば、縦方向に1.1〜4倍、横方向に2〜6倍延伸)とすることもできる。また、一軸延伸の場合、縦延伸(例えば、縦方向に2.5〜8倍延伸)であっても横延伸(例えば、横方向に1.2〜5倍延伸)であってもよい。
延伸フィルムの厚みは、例えば、1〜150μm、好ましくは3〜120μm、さらに好ましくは5〜100μm程度とすることができる。
なお、このような延伸フィルムは、成膜後のフィルム(又は未延伸フィルム)に、延伸処理を施すことにより得ることができる。延伸方法は、特に制限がなく、一軸延伸の場合、湿式延伸法又は乾式延伸法のいずれもを用いることができ、二軸延伸の場合、テンター法(フラット法とも言われる)であってもチューブ法であってもよいが、延伸厚みの均一性に優れるテンター法が好ましい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、分子量(Mn)、分子量分布(PDI)、ガラス転移温度(Tg)、5%熱重量減少温度(Td5)、屈折率、透過率、溶液粘度はそれぞれ下記方法により測定した。
数平均分子量(Mn)及び分子量分布(PDI)
ゲル浸透クロマトグラフィー(HLC−8120GPC、東ソー株式会社製)を用い、試料をクロロホルムに溶解させ、ポリスチレン換算で数平均分子量及び重量平均分子量を測定し、分子量分布を算出した。
ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計(DSC 6220、セイコーインスツル株式会社製)を用い、アルミパンに試料を入れ、30℃から220℃の範囲でTgを測定した。
5%熱重量減少温度(T d5
「TG/DTA−6200」(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用いて、30℃から520℃の範囲で重量減少を測定し、5%熱重量減少温度を求めた。
屈折率
実施例1〜3では、多波長アッベ屈折計(DR−M2/1550、株式会社アタゴ製)を用い、光源波長589nm、測定温度20℃で屈折率を測定した。実施例4では、反射分光膜厚計(FE−3000、大塚電子株式会社製)を用い、波長589nm、測定温度20℃で屈折率を測定した。
透過率測定
ガラス基材上に、各試料を溶液キャストにて塗布し、乾燥させて、厚み約1μmの薄膜を作成した。分光光度計(U3010、日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、得られた薄膜被覆ガラス基材の各波長における透過率を測定した。なお、ガラス基材のみの各波長における透過率は、400nmで91%、550nmで91.8%、700nmで90.4%であった。
溶液粘度
テトラヒドロフラン(THF)に樹脂を溶かして10重量%のTHF溶液を作成した。25℃において、TV−22形粘度計(TVE−22L コーンプレートタイプ、東機産業株式会社製)を用い、オプションロータ(01:1° 34×R24)にて、1〜100rpm(粘度によって選択)で溶液粘度を測定した。
参考例1
フルオレン−9,9−ジメタノールの製造
フルオレン(6.00g、 32.0mmol)、パラホルムアルデヒド(8.66g、 288mmol)をMeOH(2.0mL)、DMSO(7.2mL)混合溶媒に溶解させた。凍結脱気後、Ar置換し、0℃下で5MのMeONaメタノール溶液(29.0mL、 144mmol)をゆっくり滴下した。60分撹拌した後に濃硫酸をゆっくり加えて反応を停止した。酢酸エチルで抽出した後、Brineで洗浄した。溶媒を留去した後、トルエンで再結晶し、フルオレン−9,9−ジメタノール(2.75g、 12.2mmol、 38%)を白色固体として得た。
参考例2
フルオレン−9,9−ジプロパノールの製造
水素化リチウムアルミニウム(LiAlH、 14.7g、 387mmol)を乾燥THF(200mL)に懸濁させ、0℃に冷却した。別途フルオレン−9,9−ジプロピオン酸メチル(20.0g、 59.1mmol)を乾燥THF(100mL)に溶解させた溶液を懸濁液に少しずつ加え、室温で1時間攪拌し、さらに還流条件下12時間攪拌した。得られた反応溶液を飽和硫酸ナトリウム水溶液及び水でクエンチした後、濾過した。濾液からTHFを減圧留去し、粗生成物を得た。粗生成物を酢酸エチルに溶解させ、食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した。濾液から溶媒を減圧留去し、フルオレン−9,9−ジプロパノール(15.7g、 55.6mmol、 94%)を白色固体として得た。
参考例3
9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジカルボニルクロライドの製造
9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジカルボン酸(26.3g、 55.0mmol)に塩化チオニル(50.0mL)及びジメチルホルムアミド(DMF)を数滴加え、70℃で6時間攪拌した。反応混合物から溶媒を減圧留去した後、トルエン/ヘキサンを用いた再結晶を行い、白色の9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジカルボニルクロライドを得た。
参考例4
9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジカルボニルクロライドの製造
9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジカルボン酸に代えて、9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジカルボン酸を用いた以外は、参考例2と同様にして、9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジカルボニルクロライドを得た。
参考例5
9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジカルボニルクロライドの製造
9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジカルボン酸に代えて、9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジカルボン酸を用いた以外は、参考例2と同様にして、9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジカルボニルクロライドを得た。
実施例1
ポリエステル1(PE1)の製造
参考例3で得た9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジカルボニルクロライド(2.0mmol)、フルオレン−9,9−ジメタノール(452mg、 2.0mmol)及びジフェニルエーテル(1.5mL)をシュレンク管に加えて、アルゴンガスを吹き込みながら、混合物を210℃で2.5時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却した後、クロロホルム(10mL)を加えて混合物を希釈し、希釈した混合物をメタノール:クロロホルム(容量比で5:1)の混合溶媒に加えることで、白色固体を得た。白色固体を濾過し、メタノール、エタノール及びアセトンでそれぞれ洗浄した後、50℃で一日減圧乾燥し、ポリエステル1を得た(収率87%)。
実施例2
ポリエステル2(PE2)の製造
参考例4で得た9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジカルボニルクロライド(2.0mmol)、フルオレン−9,9−ジメタノール(452mg、 2.0mmol)及びジフェニルエーテル(1.5mL)をシュレンク管に加えて、アルゴンガスを吹き込みながら、混合物を210℃で2.5時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却した後、クロロホルム(10mL)を加えて混合物を希釈し、希釈した混合物をメタノール:クロロホルム(容量比で5:1)の混合溶媒に加えることで、白色固体を得た。白色固体を濾過し、メタノール、エタノール及びアセトンでそれぞれ洗浄した後、50℃で一日減圧乾燥し、ポリエステル2を得た(収率88%)。
実施例3
ポリエステル3(PE3)の製造
参考例2で得た9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジカルボニルクロライド(2.0mmol)、フルオレン−9,9−ジメタノール(452mg、 2.0mmol)及びジフェニルエーテル(1.5mL)をシュレンク管に加えて、アルゴンガスを吹き込みながら、混合物を210℃で2.5時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却した後、クロロホルム(10mL)を加えて混合物を希釈し、希釈した混合物をメタノール:クロロホルム(容量比で5:1)の混合溶媒に加えることで、白色固体を得た。白色固体を濾過し、メタノール、エタノール及びアセトンでそれぞれ洗浄した後、50℃で一日減圧乾燥し、ポリエステル3を得た(収率92%)。
実施例4
ポリエステル4(PE4)の製造
参考例2で得た9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジカルボニルクロライド(6.18g、 12.0mmol)、フルオレン−9,9−ジプロパノール(3.38g、 12.0mmol)、ジフェニルエーテル(15mL)をシュレンク管に加えて、アルゴンガスを吹き込みながら、混合物を200℃で2時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却した後、クロロホルムを加えて希釈し、希釈した混合物をメタノールに加えることで、白色固体を得た。白色固体を濾過し、メタノール、エタノール及びアセトンでそれぞれ洗浄した後、50℃で一日減圧乾燥し、ポリエステル4を得た(7.74g、収率89%)。
得られたポリエステル1〜4について、数平均分子量(Mn)、分子量分布(PDI)、ガラス転移温度(Tg)、5%熱重量減少温度(Td5)、屈折率、透過率、溶液粘度を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 0006486808
本発明の新規なポリエステルは、置換基を適宜選択することにより、屈折率、耐熱性等を調整することができるため、高屈折率、高耐熱性、高透明性等の優れた光学特性を達成することができる。そのため、本発明のポリエステル(又はその樹脂組成物)は、光学レンズ、光学フィルム、光学シート、ピックアップレンズ、ホログラム、液晶用フィルム、有機EL用フィルム等に好適に利用できる。また、本発明のポリエステル(又はその樹脂組成物)は、塗料、帯電防止剤、インキ、接着剤、粘着剤、樹脂充填材、帯電トレイ、導電シート、保護膜(電子機器、液晶部材等の保護膜等)、電気・電子材料(キャリア輸送剤、発光体、有機感光体、感熱記録材料、ホログラム記録材料)、電気・電子部品又は機器(光ディスク、インクジェットプリンタ、デジタルペーパ、有機半導体レーザ、色素増感太陽電池、EMIシールドフィルム、フォトクロミック材料、有機EL素子、カラーフィルタ等)用樹脂、機械部品又は機器(自動車、航空材料、宇宙材料、センサ、摺動部材等)用の樹脂等に好適に利用できる。
特に、本発明のポリエステルは、光学的特性に優れているため、光学用途の成形体(光学用成形体)を構成(又は形成)するのに有用である。このような前記ポリエステルで形成(構成)された光学用成形体としては、例えば、光学フィルム、光学レンズ等が挙げられる。
光学フィルムとしては、偏光フィルム(及びそれを構成する偏光素子と偏光板保護フィルム)、位相差フィルム、配向膜(配向フィルム)、視野角拡大(補償)フィルム、拡散板(フィルム)、プリズムシート、導光板、輝度向上フィルム、近赤外吸収フィルム、反射フィルム、反射防止(AR)フィルム、反射低減(LR)フィルム、アンチグレア(AG)フィルム、透明導電(ITO)フィルム、異方導電性フィルム(ACF)、電磁波遮断(EMI)フィルム、電極基板用フィルム、カラーフィルタ基板用フィルム、バリアフィルム、カラーフィルタ層、ブラックマトリクス層、光学フィルム同士の接着層又は離型層等を挙げることができる。具体的に、機器のディスプレイ用部材(又はディスプレイ)に用いる光学フィルムでは、パーソナル・コンピュータのモニタ、テレビジョン、携帯電話、カー・ナビゲーションシステム、タッチパネル等のFPD装置(例えば、LCD、PDP等)等を挙げることができる。

Claims (4)

  1. フルオレン−9,9−ジアルコール成分を含むジオール成分と、9,9−ジアルキルフルオレン−2,7−ジカルボン酸成分を含むジカルボン酸成分とを重合成分とするポリエステル。
  2. 前記ジオール成分がフルオレン−9,9−ジアルコール成分からなり、かつ前記ジカルボン酸成分が9,9−ジアルキルフルオレン−2,7−ジカルボン酸成分からなる、請求項1に記載のポリエステル。
  3. 前記ジオール成分がフルオレン−9,9−ジメタノール成分からなり、かつ前記ジカルボン酸成分が9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジカルボン酸成分からなる、請求項2に記載のポリエステル。
  4. 下記一般式(3):
    Figure 0006486808
    (式中、mは1〜3の整数であり、nは1〜10の整数を示す。)
    で表される繰り返し単位を含むポリエステル。
JP2015199523A 2015-10-07 2015-10-07 フルオレン骨格を有するポリエステル樹脂及びその製造方法 Active JP6486808B2 (ja)

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