JPH05323541A - ハロゲン化銀カラー写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀カラー写真感光材料

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JPH05323541A
JPH05323541A JP4153058A JP15305892A JPH05323541A JP H05323541 A JPH05323541 A JP H05323541A JP 4153058 A JP4153058 A JP 4153058A JP 15305892 A JP15305892 A JP 15305892A JP H05323541 A JPH05323541 A JP H05323541A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】シアン色素の発色性がよく、且つ分光特性に優
れ色再現性に優れ、また高温高湿下で保存したときでも
色濁りが少なく画像保存性に優れたカラー写真を与える
ハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供する。 【構成】支持体のシアン発色性ハロゲン化銀乳剤層にピ
ロロアゾール系シアンカプラーがフェノール系またはア
ミド系高沸点有機溶媒と共存して分散されているハロゲ
ン化銀カラー写真感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はハロゲン化銀カラー写真
感光材料に関し、更に詳しくは発色性が良好であり、か
つ色再現性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料に
関する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化銀カラー写真感光材料におい
て、シアン色画像を形成させるためには、フェノール系
またはナフトール系のシアンカプラーが一般的に使用さ
れている。しかしながら、これらのカプラーは緑色光領
域及び青色光領域に好ましくない吸収を持っているた
め、特に青や緑の色再現性を著しく低下させてしまうと
いう大きな問題点を持っており、これを解決する事が強
く望まれている。
【0003】この問題を解決するための手段として、欧
州特許第249,453A2号に記載の2,4−ジフェ
ニルイミダゾール系シアンカプラーが提案されている。
これらのカプラーから形成される色素は、緑色及び青色
領域の好ましくない吸収が前記のフェノール系またはナ
フトール系のシアンカプラーから誘導される色素に比べ
て低減されており、確かに色再現上は好ましくなってい
る。しかしながら、これらのカプラーでも色再現性が十
分であるとはいい難く、更なる改良が望まれている。ま
た、これらのカプラーは現像主薬酸化体との反応性(す
なわちカップリング活性)が低く、かつ生成した色素の
熱および光に対する堅牢性が著しく低いという重大な問
題があり、このままでは実用に供せるものではない。
【0004】また米国特許第4,873,183号、特
開昭64−552号、同64−553号、同64−55
4号、同64−555号、同64−556号、同64−
557号に記載されているピラゾロアゾール系シアンカ
プラーは緑色及び青色領域の好ましくない吸収が従来の
色素に比べて低減されてはいるが、やはり色再現性は十
分ではなく、かつ発色性が著しく低いという問題があ
る。さらに、欧州特許第456,226A1号には、色
相の優れた色素を与えるカプラーとしてピロロピラゾー
ル系のシアンカプラーが開示されている。このカプラー
は色再現の点では上記のシアンカプラーに比べ改良され
ているが、未だ十分とは言えず、未露光領域での色カブ
リが大きいという欠点を有していた。また、発色性も十
分満足のいくレベルには達していなかった。
【0005】ハロゲン化銀カラー写真感光材料において
もう一つの大事なことは画像保存性である。一般的に使
用されているフェノール系またはナフトール系のシアン
カプラーから生成する色素は、高温高湿下で長期に保存
したときに、色素の退色に伴い黄変し、色濁りを生じる
という問題があった。
【0006】以上のようにハロゲン化銀カラー写真感光
材料に良好なシアン色画像の色再現系と画像保存性を与
える技術の開発が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の第一の
目的は形成されるシアン色素の発色性が良好で、かつ分
光特性に優れ色再現性のよいハロゲン化銀カラー写真感
光材料を提供することである。また第二の目的は形成さ
れるシアン色素が第一の目的に加えて高温高湿下で保存
したときにも色濁りが少なく画像保存性に優れたハロゲ
ン化銀カラー写真感光材料を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は以下の方
法により達成されることを見出した。支持体上に少なく
とも、シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀
乳剤層、マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン
化銀乳剤層及びイエロー色素形成カプラーを含有するハ
ロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀カラー感光材料
において、該シアン色素形成カプラーを含有するハロゲ
ン化銀乳剤層に下記一般式(Ia)で表されるシアン色
素形成カプラーの少なくとも一種が下記一般式(II) 、
または(III) で表される高沸点有機溶媒の少なくとも一
種と共存して分散されていることを特徴とするハロゲン
化銀カラー写真感光材料。
【0009】
【化5】
【0010】(一般式(Ia)中、Zaは、−NH−又
は−CH(R3 )−を表わし、Zb及びZcは、それぞ
れ−C(R4 )=又は−N=を表わす。R1 、R2 及び
3 は、それぞれハメットの置換基定数σp 値が0.2
0以上の電子吸引性基を表わす。ただし、R1 とR2
σp 値の和は、0.65以上である。R4 は、水素原子
又は置換基を表わす。ただし、式中に2つのR4 が存在
する場合には、それらは同じであってもよいし、異なっ
ていてもよい。Xは、水素原子または芳香族第一級アミ
ンカラー現像主薬の酸化体とのカップリング反応により
離脱する基を表わす。)
【0011】
【化6】
【0012】(式中、R5 及びR6 は、それぞれアルキ
ル基、シクロアルキル基、アルコキシ基またはハロゲン
原子を表し、nは0から4の整数を表し、nが2以上の
時、この2以上のR6 は同じ基であっても異なる基であ
ってもよく、またR5 及びR6 はお互いに結合して5員
または6員の環を形成してもよい。)
【0013】
【化7】
【0014】(式中、R7 及びR8 、R9 はそれぞれ水
素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル
基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、
複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基または複素
環オキシ基を表す。R7 としては(R10)(R11)N−
でもよい。ここでR10、R11はそれぞれ水素原子、アル
キル基、シクロアルキル基、アニケニル基、シクロアル
ケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アル
コキシ基、アリールオキシ基または複素環オキシ基を表
す。またR7 とR8 、R8 とR9 、R9 とR10はお互い
に結合して環を形成してもよい。Yはカルボニル基、ス
ルホニル基または−(R12)P(O)−基を表す。R12
は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニ
ル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール
基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基または
複素環オキシ基を表す。)
【0015】以下に本発明の化合物について詳しく述べ
る。一般式(Ia)において、Zaは−NH−又は−C
H(R3 ) −を表わし、Zb及びZcは、それぞれ−C
(R4 )=又は−N=を表わす。従って、本発明の一般
式(Ia)で表わされるシアンカプラーは、具体的には
下記一般式(Ic)〜(Ii)で表される。
【0016】
【化8】
【0017】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 及びX
は、一般式(Ia)におけるそれぞれと同義である。)
本発明において一般式(Ic)、(Id)又は(Ie)
で表されるシアンカプラーが好ましく、特に一般式(I
d)で表されるシアンカプラーが好ましい。
【0018】本発明のシアンカプラーは、R1 、R2
びR3 がいずれも0.20以上の電子吸引性基であり、
且つR1 とR2 のσp 値の和が0.65以上である。R
1 とR2 のσp 値の和としては、好ましくは0.70以
上であり、上限としては1.8程度である。
【0019】R1 、R2 及びR3 はそれぞれ、ハメット
の置換基定数σp 値が0.20以上の電子吸引性基であ
る。好ましくは、σp 値が0.35以上の電子吸引性基
であり、更に好ましくは、σp 値が0.60以上の電子
吸引性基である。上限としては1.0以下の電子吸引性
基である。ハメット則はベンゼン誘導体の反応又は平衡
に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935
年に L. P. Hammettにより提唱された経験則であるが、
これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に
よりもとめられた置換基定数にはσp 値とσm 値があ
り、これらの値は多くの一般的な成書に記載があるが、
例えば、J. A. Dean編「 Lange's Hand book of Chemis
try 」第12版、1979年( Mc Graw-Hill )や「化
学の領域増刊」、122号、96〜103頁、1979
年(南江堂)に詳しい。本発明においてR1 、R2 及び
3 はハメットの置換基定数σp 値により規定される
が、これらの成書に記載の文献既知の値がある置換基に
のみ限定されるという意味ではなくその値が文献未知で
あってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲
内に含まれる限り包含されることは勿論である。
【0020】σp 値が0.20以上の電子吸引性基であ
るR1 、R2 及びR3 の具体例としては、アシル基、ア
シルオキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル
基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ
基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジ
アリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル基、ア
リールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリー
ルスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、
スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル
基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、
ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミ
ノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、σp 0.20以上の
他の電子吸引性基で置換されたアリール基、複素環基、
ハロゲン原子、アゾ基、又はセレノシアネート基があげ
られる。これらの置換基のうち更に置換基を有すること
が可能な基は、後述するR4 で挙げるような置換基を更
に有してもよい。
【0021】R1 、R2 及びR3 を更に詳しく述べる
と、σp 値が0.20以上の電子吸引性基としては、ア
シル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイ
ル、ベンゾイル、4−ドデシルオキシベンゾイル)、ア
シルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイル基
(例えば、カルバモイル、N−エチルカルバモイル、N
−フェニルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイ
ル、N−(2−ドデシルオキシエチル)カルバモイル、
N−(4−n−ペンタデカンアミド)フェニルカルバモ
イル、N−メチル−N−ドデシルカルバモイル、N−
{3−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)プロピ
ル}カルバモイル)、アルコキシカルボニル基(例え
ば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、iso −
プロピルオキシカルボニル、tert−ブチルオキシカルボ
ニル、iso −ブチルオキシカルボニル、ブチルオキシカ
ルボニル、ドデシルオキシカルボニル、オクタデシルオ
キシカルボニル、ジエチルカルバモイルエトキシカルボ
ニル、パーフルオロヘキシルエトキシカルボニル、2−
デシル−ヘキシロキシカルボニルメトキシカルボニ
ル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキ
シカルボニル、2,5−アミルフェノキシカルボニ
ル)、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基(例
えば、ジメチルホスホノ)、ジアリールホスホノ基(例
えば、ジフェニルホスホノ)、ジアリールホスフィニル
基(例えば、ジフェニルホスフィニル)、アルキルスル
フィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィ
ニル)、アリールスルフィニル基(例えば、3−ペンタ
デシルフェニルスルフィニル)、アルキルスルホニル基
(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル)、
アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル、
トルエンスルホニル)、スルホニルオキシ基(メタンス
ルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシ)、アシル
チオ基(例えば、アセチルチオ、ベンゾイルチオ)、ス
ルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、
N,N−ジプロピルスルファモイル、N−(2−ドデシ
ルオキシエチル)スルファモイル、N−エチル−N−ド
デシルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイ
ル)、チオシアネート基、チオカルボニル基(例えば、
メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニル)、ハ
ロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル、ヘプ
タフロロプロピル)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば
トリフロロメチルオキシ)、ハロゲン化アリールオキシ
基(例えばペンタフロロフェニルオキシ)、ハロゲン化
アルキルアミノ基(例えば、N,N−ジ−(トリフロロ
メチル)アミノ)、ハロゲン化アルキルチオ基(例え
ば、ジフロロメチルチオ、1,1,2,2−テトラフロ
ロエチルチオ)、σp 値が0.20以上の他の電子吸引
性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニト
ロフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、ペンタ
クロロフェニル)、複素環基(例えば、2−ベンゾオキ
サゾリル、2−ベンゾチアゾリル、1−フェニル−2−
ベンズイミダゾリル、5−クロロ−1−テトラゾリル、
1−ピロリル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭
素原子)、アゾ基(例えばフェニルアゾ)またはセレノ
シアネート基を表わす。
【0022】代表的な、電子吸引性基のσp 値を挙げる
と、シアノ基(0.66)、ニトロ基(0.78)、ト
リフルオロメチル基(0.54)、アセチル基(0.5
0)、トリフルオロメタンスルホニル(0.92)、メ
タンスルホニル基(0.72)、ベンゼンスルホニル基
(0.70)、メタンスルフィニル基(0.49)、カ
ルバモイル基(0.36)、メトキシカルボニル基
(0.45)、ピラゾリル基(0.37)、メタンスル
ホニルオキシ基(0.36)、ジメトキシホスホリル基
(0.60)、スルファモイル基(0.57)などであ
る。
【0023】R1 、R2 及びR3 として好ましいものと
しては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、
アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル
基、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルフィニル基、ア
リールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリー
ルスルホニル基、スルファモイル基、ハロゲン化アルキ
ル基、ハロゲン化アルキルオキシ基、ハロゲン化アルキ
ルチオ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化ア
リール基、2個以上のニトロ基で置換されたアリール基
及び複素環基を挙げることができる。更に好ましくは、
アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカ
ルボニル、ニトロ基、シアノ基、アリールスルホニル
基、カルバモイル基及びハロゲン化アルキル基である。
より好ましくは、シアノ基、アルコキシカルボニル基、
アリールオキシカルボニル、ハロゲン化アルキル基であ
る。特に好ましくは一般式(Ib)で表される化合物で
ある。
【0024】
【化9】
【0025】R13として好ましいものは炭素数2−24
の置換または無置換の分岐または直鎖のアルコキシ基、
置換または無置換のシクロアルコキシ基、置換または無
置換のアリールオキシ基、置換または無置換のアルキル
アミノ、アニリノまたはヘテロ環アミノ基であり、より
好ましくは炭素数4−18の無置換の分岐アルコキシ
基、シクロアルコキシ基、または弗素原子、アルコキシ
カルボニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基やスルホ
ニル基等の電子吸引基により置換されたアルコキシ基お
よび置換または無置換のアリールオキシ基があげられ
る。分岐アルコキシ基、弗素置換されたアルコキシ基、
アルキル又はハロゲン置換されたアリールオキシ基がさ
らに好ましい。
【0026】一般式(Ia)と一般式(Ib)における
4 とR14の置換基としてはハロゲン原子、脂肪族基、
アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ
基、複素環オキシ基、アルキル・アリール若しくは複素
環チオ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シ
リルオキシ基、スルホニルオキシ基、アシルアミノ基、
アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ウレイド基、ス
ルファモイルアミノ基、アルケニルオキシ基、ホルミル
基、アルキル・アリール若しくは複素環アシル基、アル
キル・アリール若しくは複素環スルホニル基、アルキル
・アリール若しくは複素環スルフィニル基、アルキル・
アリール若しくは複素環オキシカルボニル基、アルキル
・アリール若しくは複素環オキシカルボニルアミノ基、
スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル
基、ホスホニル基、スルファミド基、イミド基、アゾリ
ル基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、ニトロ
基、スルホ基、無置換のアミノ基等をあげることができ
る。これらの基に含まれるアルキル基、アリール基若し
くは複素環基は、R4 (R14)で例示したような置換基
で更に置換されていてもよい。
【0027】さらに詳しくは、R4 (R14)は水素原
子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、脂
肪族基(例えば、炭素数1〜36の直鎖、または分岐鎖
アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基で、詳しく
は例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t
−ブチル、トリデシル、2−メタンスルホニルエチル、
3−(3−ペンタデシルフェノキシ)プロピル、3−
{4−{2−〔4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニ
ル)フェノキシ〕ドデカンアミド}フェニル}プロピ
ル、2−エトキシトリデシル、トリフルオロメチル、シ
クロペンチル、3−(2,4−ジ−t−アミルフェノキ
シ)プロピル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜3
6、例えばフェニル、ナフチル、4−ヘキサデコキシフ
ェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−ア
ミルフェニル、4−テトラデカンアミドフェニル、3−
(2,4−tert−アミルフェノキシアセトアミド)フェ
ニル)、複素環基(例えば3−ピリジル、2−フリル、
2−チエニル、2−ピリジル、2−ピリミジニル、2−
ベンゾチアゾリル)、アルコキシ基(例えばメトキシ、
エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−ドデシルオキシ
エトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ)、アリール
オキシ基(例えばフェノキシ、2−メチルフェノキシ、
4−tert−ブチルフェノキシ、2,4−ジ−tert−アミ
ルフェノキシ、2−クロロフェノキシ、4−シアノフェ
ノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシ
カルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイルフ
ェノキシ)、複素環オキシ基(例えば2−ベンズイミダ
ゾリルオキシ、1−フェニルテトラゾール−5−オキ
シ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アルキル・ア
リール若しくは複素環チオ基(例えばメチルチオ、エチ
ルチオ、オクチルチオ、テトラドデシルチオ、2−フェ
【0028】キシエチルチオ、3−フェノキシプロピル
チオ、3−(4−tert−ブチルフェノキシ)プロピルチ
オ、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−tert−オクチル
フェニルチオ、3−ペンタデシルフェニルチオ、2−カ
ルボキシフェニルチオ、4−テトラデカンアミドフェニ
ルチオ、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェ
ノキシ−1,3,4−トリアゾール−6−チオ、2−ピ
リジルチオ)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ、ヘ
キサデカノイルオキシ)、カルバモイルオキシ基(例え
ばN−エチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバ
モイルオキシ)、シリルオキシ基(例えばトリメチルシ
リルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、スルホニ
ルオキシ基(例えばドデシルスルホニルオキシ)、アシ
ルアミノ基(例えばアセトアミド、ベンズアミド、テト
ラデカンアミド、2−(2,4−tert−アミルフェノキ
シアセトアミド、2−〔4−(4−ヒドロキシフェニル
スルホニル)フェノキシ)〕デカンアミド、イソペンタ
デカンアミド、2−(2,4−ジ−t−アミルフェノキ
シ)ブタンアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基
(例えばメチルアミノ、ブチルアミノ、ドデシルアミ
ノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルア
ミノ)、アリールアミノ基(例えばフェニルアミノ、2
−クロロアニリノ、2−クロロ−5−テトラデカンアミ
ドアニリノ、N−アセチルアニリノ、2−クロロ−5−
〔α−2−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)
ドデカンアミド〕アニリノ、2−クロロ−5−ドデシル
オキシカルボニルアニリノ)、ウレイド基(例えばメチ
ルウレイド、フェニルウレイド、N,N−ジブチルウレ
イド、ジメチルウレイド)、スルファモイルアミノ基
(例えばN,N−ジプロピルスルファモイルアミノ、N
−メチル−N−デシルスルファモイルアミノ)、アルケ
ニルオキシ基(例えば2−プロペニルオキシ)、ホルミ
ル基、アルキル・アリール若しくは複素環アシル基(例
えばアセチル、ベンゾイル、2,4−ジ−tert−アミル
フェニルアセチル、3−フェニルプロパノイル、4−ド
デシルオキシベンゾイル)、アルキル・アリール若しく
は複素環スルホニル基(例えばメタンスルホニル、オク
タンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホ
ニル)、スルフィニル基(例えばオクタンスルフィニ
ル、ドデシルスルフィニル、ドデカンスルフィニル、ド
デカンスルフィニル、フェニルスルフィニル、3−ペン
タデシル
【0029】フェニルスルフィニル、3−フェノキシプ
ロピルスルフィニル)、アルキル・アリール若しくは複
素環オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニ
ル、ブトキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、
オクタデシルオキシカルボニル、フェニルオキシカルボ
ニル、2−ペンタデシルオキシカルボニル)、アルキル
・アリール若しくは複素環オキシカルボニルアミノ基
(例えばメトキシカルボニルアミノ、テトラデシルオキ
シカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、
2,4−ジ−tert−ブチルフェノキシカルボニルアミ
ノ)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミ
ド、ヘキサデカンスルホンアミド、ベンゼンスルホンア
ミド、p−トルエンスルホンアミド、オクタデカンスル
ホンアミド、2−メトキシ−5−tert−ブチルベンゼン
スルホンアミド)、カルバモイル基(例えばN−エチル
カルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル、N−
(2−ドデシルオキシエチル)カルバモイル、N−メチ
ル−N−ドデシルカルバモイル、N−〔3−(2,4−
ジ−tert−アミルフェノキシ)プロピル〕カルバモイ
ル)、スルファモイル基(例えばN−エチルスルファモ
イル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−(2−
ドデシルオキシエチル)スルファモイル、N−エチル−
N−ドデシルスルファモイル、N,N−ジエチルスルフ
ァモイル)、ホスホニル基(例えばフェノキシホスホニ
ル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニ
ル)、スルファミド基(例えばジプロピルスルファモイ
ルアミノ)、イミド基(例えばN−サクシンイミド、ヒ
ダントイニル、N−フタルイミド、3−オクタデセニル
スクシンイミド)、アゾリル基(例えばイミダゾリル、
ピラゾリル、3−クロロ−ピラゾール−1−イル、トリ
アゾリル)、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、
ニトロ基、スルホ基、無置換のアミノ基なとが挙げられ
る。
【0030】R4 (R14)として好ましくは、アルキル
基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、ア
シルアミノ基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルフ
ァモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、
アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カ
ルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アル
コキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘ
テロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ
基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘ
テロ環チオ基、スルフィニル基、ホスホニル基、アシル
基、アゾリル基を挙げることができる。更に好ましくは
アルキル基、アリール基であり、より好ましくは、少な
くとも一つのアルコキシ基、スルホニル基、スルファモ
イル基、カルバモイル基、アシルアミド基又はスルホン
アミド基を置換基として有するアルキル基若しくはアリ
ール基である。特に好ましくは、少なくとも一つのアシ
ルアミド基又はスルホンアミド基を置換基として有する
アルキル基若しくはアリール基である。
【0031】一般式(Ia)と一般式(Ib)における
Xは、水素原子若しくは該カプラーが芳香族第1級アミ
ンカラー現像主薬の酸化体と反応したとき、離脱する基
(以下、「離脱基」という)を表わし、Xが離脱基を表
わすとき、該離脱基は、ハロゲン原子、芳香族アゾ基
「酸素・窒素・イオウ若しくは炭素原子を介してカップ
リング位に結合するアルキル基、アリール基、複素環
基、アルキル若しくはアリールスルホニル基、アリール
スルフィニル基、アルコキシ・アリールオキシ若しくは
複素環オキシカルボニル基、アルキル・アリール若しく
は複素環カルボニル基」又は複素環中の窒素原子でカッ
プリング位に結合する複素環基であり、例えば、ハロゲ
ン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキ
シ基、アルキルもしくはアリールスルホニルオキシ基、
アシルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホンア
ミド基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキ
シカルボニルオキシ基、アルキル・アリールもしくはヘ
テロ環チオ基、カルバモイルアミノ基、アリールスルフ
ォニル基、アリールスルホニル基、5員もしくは6員の
含窒素ヘテロ環基、イミド基、アリールアゾ基などがあ
り、これらの離脱基に含まれるアルキル基、アリール基
もしくは複素環基は、R4 での置換基で更に置換されて
いてもよく、これらの置換基が2つ以上のときは同一で
も異なっていてもよく、これらの置換基がさらにR4
挙げた置換基を有していてもよい。
【0032】離脱基はさらに詳しくは、ハロゲン原子
(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、アルコ
キシ基(例えば、エトキシ、ドデシルオキシ、メトキシ
エチルカルバモイルメトキシ、カルボキシプロピルオキ
シ、メチルスルホニルエトキシ、エトキシカルボニルメ
トキシ)、アリールオキシ基(例えば、4−メチルフェ
ノキシ、4−クロロフェノキシ、4−メトキシフェノキ
シ、4−カルボキシフェノキシ、3−エトキシカルボキ
シフェノキシ、3−アセチルアミノフェノキシ、2−カ
ルボキシフェノキシ)、アシルオキシ基(例えば、アセ
トキシ、テトラデカノイルオキシ、ベンゾイルオキ
シ)、アルキルもしくはアリールスルホニルオキシ基
(例えば、メタンスルホニルオキシ、トルエンスルホニ
ルオキシ)、アシルアミノ基(例えば、ジクロルアセチ
ルアミノ、ヘプタフルオロブチリルアミノ)、アルキル
もしくはアリールスルホンアミド基(例えば、メタンス
ルホンアミノ、トリフルオロメタンスルホンアミノ、p
−トルエンスルホニルアミノ)、アルコキシカルボニル
オキシ基(例えば、エトキシカルボニルオキシ、ベンジ
ルオキシカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニ
ルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ)、
アルキル・アリールもしくはヘテロ環チオ基(例えば、
エチルチオ、2−カルボキシエチルチオ、ドデシルチ
オ、1−カルボキシドデシルチオ、フェニルチオ、2−
ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、テトラゾリ
ルチオ)、アリールスルホニル基(例えば、2−ブトキ
シ−5−tert−オクチルフェニルスルホニル)、アリー
ルスルフィニル基(例えば、2−ブトキシ−5−tert−
オクチルフェニルスルフィニル)、カルバモイルアミノ
基(例えば、N−メチルカルバモイルアミノ、N−フェ
ニルカルバモイルアミノ)、5員もしくは6員の含窒素
ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリ
アゾリル、テトラゾリル、1,2−ジヒドロ−2−オキ
ソ−1−ピリジル)、イミド基(例えば、スクシンイミ
ド、ヒダントイニル)、アリールアゾ基(例えば、フェ
ニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ)などである。も
ちろんこれらの基はさらにR4 の置換基で挙げた基で置
換されていてもよい。また、炭素原子を介して結合した
離脱基として、アルデヒド類又はケトン類で四当量カプ
ラーを縮合して得られるビス型カプラーがある。本発明
の離脱基は、現像抑制剤、現像促進剤など写真的有用基
を含んでいてもよい。好ましいXは、ハロゲン原子、ア
ルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルもしくはアリ
ールチオ基、アリールスルホニル基、アリールスルフィ
ニル基、カップリング活性位に窒素原子で結合する5員
もしくは6員の含窒素ヘテロ環基である。更に好ましく
はアリールチオ基である。
【0033】一般式(Ia)で表されるシアンカプラー
は、R1 、R2 、R3 、R4 又はXの基が一般式(I
a)で表されるシアンカプラー残基を含有していて二量
体以上の多量体を形成していたり、R1 、R2 、R3
4 又はXの基が高分子鎖を含有していて単重合体もし
くは共重合体を形成していてもよい。高分子鎖を含有し
ている単重合体若しくは共重合体とは一般式(Ia)で
表されるシアンカプラー残基を有する付加重合体エチレ
ン型不飽和化合物の単独もしくは共重合体が典型例であ
る。この場合、一般式(Ia)で表わされるシアンカプ
ラー残基を有するシアン発色繰り返し単位は重合体中に
1種類以上含有されていてもよく、共重合成分としてア
クリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸
エステル類の如き芳香族一級アミン現像薬の酸化生成物
とカップリングしない非発色性のエチレン型モノマーの
1種または1種以上を含む共重合体であってもよい。以
下に本発明のカプラーの具体例を示すが、本発明はこれ
らに限定されるものではない。
【0034】
【化10】
【0035】
【化11】
【0036】
【化12】
【0037】
【化13】
【0038】
【化14】
【0039】
【化15】
【0040】
【化16】
【0041】
【化17】
【0042】
【化18】
【0043】
【化19】
【0044】
【化20】
【0045】
【化21】
【0046】本発明の化合物及びその中間体の合成方法
は、公知の方法によって合成することができる。例え
ば、J.Am.Chem.Soc., 80,5332(1958)、J.
Ame.Chem.,81号,2452(1959)、J.Am.Chem.
Soc., 112,2465(1990)、Org.Synth., I
270(1941)、J.Chem.Soc.,5149(196
2)、Hetrocyclic., 27号,2301(1988)、
Rec.Trav.chim., 80,1075(1961)などに記
載の方法、それらに引用されている文献又は類似の方法
によって合成することができる。次に具体的に合成例を
示す。 (合成例1)例示化合物(C−9)の合成 下記ルートにより例示化合物(C−9)合成した。
【0047】
【化22】
【0048】2−アミノ−4−シアノ−3−メトキシカ
ルボニルピロール(1a)(66.0g、0.4mol )
のジメチルアセトアミド(300ml)溶液に、室温にて
3,5−ジクロロベンゾイルクロライド(2a)(8
3.2g、0.4mol )を加え、30分間攪拌する。水
を加え酢酸エチルで2回抽出する。有機層を集め、水お
よび飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥す
る。減圧下溶媒を留去し、アセトニトリル(300ml)
から再結晶すると、化合物(3a)(113g、84
%)を得た。
【0049】(3a)(101.1g、0.3mol )の
ジメチルホルムアミド(200ml)溶液に水酸化カリウ
ム(252g、4.5mol )の粉末を室温にて加えよく
攪拌する。水冷下、ヒドロキシルアミン−o−スルホン
酸(237g、2.1mol )を、温度が急激に上がらな
いように注意し、少しずつ添加し、添加後30分攪拌す
る。0.1N塩酸水溶液を滴下し、pH試験紙を見なが
ら中和する。酢酸エチルで3回抽出し、有機層を水およ
び飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。
減圧下、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(展
開溶媒、ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製すると
化合物(4a)(9.50g、9%)が得られた。
【0050】(4a)(7.04g、20mmol)のアセ
トニトリル(30ml)溶液に室温にて四塩化炭素(9c
c)を加え、続いてトリフェニルホスフィン(5.76
g、22mmol)を加え8時間加熱還流する。冷却後、水
を加え酢酸エチルで3回抽出する。有機層を水および飽
和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。減圧
下、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(展開溶媒、ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製
すると(5a)(1.13g、17%)が得られた。
【0051】得られた(5a)1.8gと12.4gの
(6a)をスルホラン2.0mlに溶解し、更に1.5g
のチタニウムイソプロポキシド1.5gを添加した。反
応温度を110℃に保ち、1.5時間反応させた後、酢
酸エチルを加え水洗浄した。酢酸エチル層を乾燥後、留
去し、残渣カラムクロマトグラフィーで精製することに
より目的の例示化合物(C−9)を1.6g得た。融点
は97〜98℃であった。
【0052】本発明において一般式(Ia)で表わされ
るシアンカプラーの使用量はハロゲン化銀乳剤層中で、
好ましくは1m2当たり0.05ミリモル〜2.0ミリモ
ルであり)、より好ましくは0.1ミリモル〜1.0ミ
リモルである。また該カプラーはハロゲン化銀1モルに
対して0.01〜1モル使用することが好ましく、0.
02〜0.4モル使用することがより好ましい。
【0053】一般式(II)と(III)で表される高沸点有
機溶媒について説明する。本発明において、一般式(I
I)または(III)で表される高沸点有機溶媒は常温にお
いて液体である(好ましくは沸点が170℃以上であ
る)か、または常温において固体であってもアモルファ
スであっても、結晶であってもよい(好ましくは融点が
100℃以下の化合物である)。
【0054】さらに本発明の高沸点有機溶媒には分子耐
拡散性を付与するための基を有するものが好ましい。
【0055】一般式(II)について詳しく説明する。式
中、R5 、R6 で表される基がアルキルの場合は、炭素
原子数が1から20までのものが好ましく、これらの例
としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ド
デシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−(p
−ヒドロキシフェニル)プロパン−2−イル基、8−ヘ
キサデセニル基等の置換または無置換の直鎖もしくは分
岐アルキル基が挙げられ、シクロアルキル基は例えばシ
クロペンチル基、シクロヘキシル基等の置換または無置
換のシクロアルキル基が挙げられ、アルコキシ基として
はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ
基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタドデ
シルオキシ基、メトキシエチルオキシ基、エトキシエチ
ルオキシ基、ブトキシエチルオキシ基、フェネチルオキ
シ基等の置換または無置換の直鎖または分岐アルコキシ
基、またはシクロペンタオキシ基、シクロヘキサオキシ
基等のシクロアルコキシ基等が挙げられる。ハロゲン原
子は好ましくは塩素原子を表す。以下に本発明のフェノ
ール系化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定
されるものではない。
【0056】
【化23】
【0057】
【化24】
【0058】
【化25】
【0059】
【化26】
【0060】これらのフェノール系高沸点有機溶媒は、
例えば米国特許第2,835,579号、英国特許第
1,801,947号、同第1,076,054号、米
国特許第4,124,396号、特開昭62−2473
64号に記載された方法によって容易に合成することが
出来る。
【0061】次に一般式(III)について説明する。前記
一般式(III)においてR7 、R8 またはR9 で表される
アルキル基の例としては炭素数1から32のもの、アル
ケニル基やアルキニル基としては炭素数2から32のも
の、シクロアルキル基やシクロアルケニル基としては炭
素数3から12のものが挙げられる。アルキル基、アル
ケニル基、アニキニル基、は直鎖でも分岐でもよい。ま
た、これらの基は置換基を有するものを含む。
【0062】R7 、R8 またはR9 で表されるアリール
基としては、置換もしくは無置換のフェニル基が好まし
い。R7 、R8 またはR9 で表される複素環基として
は、4から8員のものが好ましく、さらに好ましくは5
から7員のもので縮環していてもよく、またこれらの基
は置換基を有するものも含む。R7 、R8 またはR9
表されるアルコキシ基としては置換基を有するものを含
み、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ
基、t−ブトキシ基、エチルヘキシルオキシ基、ドデシ
ルオキシ基、オクタデシルオキシ基、エトキシエチルオ
キシ基、フェネチルオキシ基等が挙げられる。R7 、R
8 またはR9 で表されるアリールオキシ基としてはフェ
ノキシ基が好ましく、アリール核は置換されていてもよ
く、例えばフェノキシ基、p−t−ブチルフェノキシ
基、m−ペンタデシルフェノキシ基等が挙げられる。さ
らに、複素環オキシ基としては4から8員の複素環を有
するものが好ましく、さらに好ましくは5から7員の複
素環を有するもので、複素環はさらに置換基を有してい
てもよく、例えば3,4,5,6−テトラヒドロピラニ
ル−2−オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オ
キシ基が挙げられる。
【0063】R10またはR11としてはR7 、R8 または
9 と同様の置換基が挙げられる。一般式(III)で表さ
れる化合物において、Yはカルボニル基とスルホニル基
が特に好ましい。R12としてはR7 、R8 またはR9
同様の置換基が挙げられる。
【0064】一般式(III)で表される化合物において、
7 とR8 、R8 とR9 、R9 とR10はお互いに結合し
て環を形成してもよい。本発明で特に好ましい化合物は
9 が水素である化合物で、さらに好ましい化合物はR
7 、R8 、R10、R11がアリール基またはアルキル基で
あるものであり、これらの基は置換されていてもよい。
最も好ましくはR7 、R8 、R10、R11の少なくとも1
つがアリール基であるものである。以下に一般式(III)
で表される高沸点有機溶媒の具体例を示すが本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0065】
【化27】
【0066】
【化28】
【0067】
【化29】
【0068】
【化30】
【0069】
【化31】
【0070】本発明による一般式(III)で表される化合
物は、例えば欧州特許第0,309,158A1号、同
第0,309,159A1号、同第0,309,160
A1号、特開平2−171743号、同3−91742
号各明細書記載の方法など、従来公知の方法によって合
成することができる。
【0071】本発明の高沸点有機溶媒の使用量は一般式
(Ia)で表される本発明のシアンカプラーの種類およ
び量に応じて適宜調整しうるが、本発明の高沸点有機溶
媒を単独で用いるとき、本発明の高沸点有機溶媒の使用
量は本発明のシアンカプラー100重量部に対し50〜
800重量部であることが好ましく、さらに好ましくは
110〜700重量部であり、最も好ましくは160〜
500重量部である。本発明の高沸点有機溶媒は単独で
使用しても2種類以上混ぜて用いてもよく、本発明の効
果を妨げない範囲においてさらにリン酸エステル溶媒、
フタル酸エステル溶媒、脂肪族カルボン酸エステルなど
の他の種類の高沸点有機溶媒と併用することもできる。
他の種類の高沸点有機溶媒に対する本発明の高沸点有機
溶媒を使用する場合は、50重量%以上が好ましく、さ
らに好ましくは60重量%以上、最も好ましくは70重
量%以上である。他の種類の高沸点有機溶媒と混合して
用いるときには高沸点有機溶媒の全使用量は本発明のシ
アンカプラー100重量部に対し110〜800重量部
であることが好ましく、さらに好ましくは160〜70
0重量部であり、310〜500重量部が最も好まし
い。
【0072】本発明において前記カプラーを前記高沸点
有機溶媒を用いて感光層中に添加するためには、種々の
技術を適用することができる。通常、オイルプロテクト
法として公知の水中油滴分散法により添加することがで
き、溶媒に溶解した後、界面活性剤を含むゼラチン水溶
液に乳化分散させる。あるいは界面活性剤を含むカプラ
ー溶液中に水あるいはゼラチン水溶液を加え、転相を伴
って水中油滴分散物としてもよい。
【0073】これらの乳化分散物をつくるのに使用でき
る乳化装置としては、大きな剪断力を有する高速攪拌型
分散機、高強度の超音波エネルギーを与える分散機など
がある。具体的には、コロイドミル、ホモジナイザー、
毛細管式乳化装置、液体サイレン、電磁歪式超音波発生
機、ポールマン笛を有する乳化装置などがある。本発明
で使用するのに好ましい高速攪拌型分散機は、デイゾル
バー、ポリトロン、ホモミキサー、ホモブレンダー、ゲ
デイミル、ジェットアジターなど、分散作用する要部が
液中で高速回転(500〜15,000rpm 、好ましく
は2,000〜4,000rpm )するタイプの分散機で
ある。本発明で使用できる高速攪拌型分散機は、デイゾ
ルバーないしは高速インペラー分散機とも呼ばれ、特開
昭55−129136号にも記載されているように、高
速で回転する軸に鋸歯状のブレードを交互に上下方向に
折り曲げたインペラー装置を装着するのが好ましい。
【0074】また、カプラー分散物から、蒸留、ヌード
ル水洗あるいは限外濾過などの方法により、低沸点有機
溶媒を除去した後、写真乳剤と混合してもよい。乳化分
散物をつくる際に使用される低沸点有機溶媒としては、
沸点30から150℃の有機溶媒、例えば酢酸エチル、
酢酸ブチルのごとき低級アルキルアセテート、プロピオ
ン酸エチル、2級ブチルアルコール、メチルイソブチル
ケトン、β−エトキシエチルアセテート、メチルセロソ
ルブアセテート等が用いられる。
【0075】また、前記カプラーは前記の高沸点有機溶
媒の存在下でローダブルラテックスポリマー(例えば米
国特許第4,203,716号)に含浸させて、または
水不溶性且つ有機溶媒可溶性のポリマーを含む有機溶媒
に溶かして親水性コロイド水溶液に乳化分散させる事が
できる。好ましくは国際公開WO88/00723号明
細書の第12頁〜30頁に記載の単独重合体または共重
合体が用いられ、特にアクリルアミド系ポリマーの使用
が色像安定化等の上で好ましい。
【0076】一般的に上記カプラー分散物の粒径を小さ
くするためには、界面活性剤の種類の選択、界面活性剤
の使用量を増やす事、親水性コロイド溶液の粘度を上げ
る事、上記カプラーの溶解した有機層の粘度を上記低沸
点有機溶媒の併用などで低下させる事、あるいは乳化装
置の攪拌羽根の回転を上げる等の切断力を強くしたり、
乳化時間を長くすること等によって達成される。本発明
のカプラーを含有する親油性粒子は、その粒子径が大き
過ぎると、高温高湿下で乳化物やこれを塗布した感材を
保存した時に褐色の着色物が生成することによる色濁り
の発生が大きくなり、また小さ過ぎると十分な発色濃度
が得られないという問題が生じる。従って、本発明のカ
プラーを含有する親油性粒子の粒子径は、0.08〜
0.5μm が好ましく、0.1μm 〜0.4μm がより
好ましい。親油性微粒子の粒子径は、例えば英国コール
ター社製ナノサイザー等の測定装置にて測定できる。
【0077】本発明に用いられるハロゲン化銀として
は、塩化銀、臭化銀、(沃)塩臭化銀、沃臭化銀などを
用いることができるが、特に迅速処理の目的には沃化銀
を実質的に含まない塩化銀含有率が90モル%以上、更
には95%以上、特に98%以上の塩臭化銀または塩化
銀乳剤の使用が好ましい。
【0078】本発明に係わる感光材料には、画像のシャ
ープネス等を向上させる目的で親水性コロイド層に、欧
州特許EP0,337,490A2号の第27〜76頁
に記載の、処理により脱色可能な染料(なかでもオキソ
ノール系染料)を該感材の680nmに於ける光学反射
濃度が0.70以上になるように添加したり、支持体の
耐水性樹脂層中に2〜4価のアルコール類(例えばトリ
メチロールエタン)等で表面処理された酸化チタンを1
2重量%以上(より好ましくは14重量%以上)含有さ
せるのが好ましい。
【0079】本発明に用いうるマゼンタ、イエローカプ
ラー等の写真添加剤用高沸点有機溶媒は、融点が100
℃以下、融点が140℃以上の水と非混和性の化合物
で、カプラーの良溶媒であれば使用できる。高沸点有機
溶媒の融点は好ましくは80℃以下である。高沸点有機
溶媒の沸点は、好ましくは160℃以上であり、より好
ましくは170℃以上である。これらの高沸点有機溶媒
の詳細については、特開昭62−215272号公開明
細書の第137頁右下欄〜144頁右上欄に記載されて
いる。また、シアン、マゼンタまたはイエローカプラー
は前記の高沸点有機溶媒の存在下で(または不存在下
で)ローダブルラテックスポリマー(例えば米国特許第
4,203,716号)に含浸させて、または水不溶性
且つ有機溶媒可溶性のポリマーに溶かして親水性コロイ
ド水溶液に乳化分散させる事ができる。好ましくは米国
特許第4,857,449号明細書の第7欄〜15欄及
び国際公開WO88/00723号明細書の第12頁〜
30頁に記載の単独重合体または共重合体が用いられ、
より好ましくはメタクリレート系あるいはアクリルアミ
ド系ポリマー、特にアクリルアミド系ポリマーの使用が
色像安定化等の上で好ましい。
【0080】また、本発明に係わる感光材料には、カプ
ラーと共に欧州特許EP0,277,589A2号に記
載のような色像保存性改良化合物を使用するのが好まし
い。特にピラゾロアゾールカプラーや本発明のピロロト
リアゾールカプラーとの併用が好ましい。即ち、発色現
像処理後に残存する芳香族アミン系現像主薬と化学結合
して、科学的に不活性でかつ実質的に無色の化合物を生
成する化合物(F)および/または発色現像処理後に残
存する芳香族アミン系発色現像主薬の酸化体と化学結合
して、化学的に不活性でかつ実質的に無色の化合物を生
成する化合物(G)を同時または単独に用いることが、
例えば処理後の保存における膜中残存発色現像主薬ない
しその酸化体とカプラーの反応による発色色素生成によ
るステイン発生その他の副作用を防止する上で好まし
い。
【0081】また、本発明に係わる感光材料には、親水
性コロイド層中に繁殖して画像を劣化させる各種の黴や
細菌を防ぐために、特開昭63−271247号に記載
のような防黴剤を添加するのが好ましい。
【0082】また、本発明に係わる感光材料に用いられ
る支持体としては、ディスプレイ用に白色ポリエステル
系支持体または白色顔料を含む層がハロゲン化銀乳剤層
を有する側の支持体上に設けられた支持体を用いてもよ
い。更に鮮鋭性を改良するために、アンチハレーション
層を支持体のハロゲン化銀乳剤層塗布側または裏面に塗
設するのが好ましい。特に反射光でも透過光でもディス
プレイが鑑賞できるように、支持体の透過濃度を0.3
5〜0.8の範囲に設定するのが好ましい。
【0083】本発明に係わる感光材料は可視光で露光さ
れても赤外光で露光されてもよい。露光方法としては低
照度露光でも高照度短時間露光でもよいが、特に本発明
にとっては一画素当りの露光時間が10-3秒より短い露
光方式が好ましく、10-4秒より短いレーザー走査露光
方式が更に好ましい。
【0084】また、露光に際して、米国特許第4,88
0,726号に記載のバンド・ストップフィルターを用
いるのが好ましい。これによって光混色が取り除かれ、
色再現性が著しく向上する。
【0085】露光済みの感光材料は慣用のカラー現像処
理が施されうるが、迅速処理の目的からカラー現像の
後、漂白定着処理するのが好ましい。特に前記高塩化銀
乳剤が用いられる場合には、漂白定着液のpHは脱銀促
進等の目的から約6.5以下が好ましく、更に約6以下
が好ましい。
【0086】本発明に係わる感光材料に適用されるハロ
ゲン化銀乳剤やその他の素材(添加剤など)および写真
構成層(層配置など)、並びにこの感材を処理するため
に適用される処理法や処理用添加剤としては、下記の特
許公報、特に欧州特許EP0,355,660A2号
(特開平2−139544号)に記載されているものが
好ましく用いられる。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【0091】
【表5】
【0092】また、シアンカプラーとして、本発明のシ
アンカプラーと特開平2−33144号に記載のジフェ
ニルイミダゾール系シアンカプラーの他に、欧州特許E
P0,333,185A2号に記載の3−ヒドロキシシ
ピリジン系シアンカプラー(なかでも具体例として列挙
されたカプラー(42)の4当量カプラーに塩素離脱基を
もたせて2当量化したものや、カプラー(6) や(9) が特
に好ましい)や特開昭64−32260号に記載された
環状活性メチレン系シアンカプラー(なかでも具体例と
して列挙されたカプラー例3、8、34が特に好まし
い)とを併用してもよい。
【0093】また、塩化銀含有率が90モル%以上の高
塩化銀乳剤を使用するハロゲン化銀カラー感光材料の処
理方法としては、特開平2−207250号の第27頁
左上欄〜34頁右上欄に記載の方法が好ましく適用され
る。
【0094】
【実施例】
実施例1 (試料1の作製)ポリエチレンで両面ラミネートした紙
支持体表面にコロナ放電処理を施した後、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設
け、さらに種々の写真構成層を塗布して以下に示す層構
成の多層カラー印画紙を作製した。塗布液は下記のよう
にして調製した。
【0095】第5層塗布液調製 シアンカプラー(ExC)18g、紫外線吸収剤(UV
−2)10g、色像安定剤(Cpd−9)0.6g、色
像安定剤(Cpd−10)0.6g、色像安定剤(Cp
d−11)0.6g、色像安定剤(Cpd−8)0.6
g、色像安定剤(Cpd−6)0.6g、色像安定剤
(Cpd−1)18g、高沸点有機溶媒(Solv−
2)28mlに酢酸エチル33ccを加えて溶解し、この溶
液をドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム7.0gを
含む20%ゼラチン水溶液270ccに添加した後、高速
攪拌機にて乳化分散物させて乳化分散物を調製した。一
方塩臭化銀乳剤(立方体、平均粒子サイズ0.50μm
の大サイズ乳剤Cと、0.41μm の小サイズ乳剤Cと
の1:4混合物(Agモル比)。粒子サイズ分布の変動
係数はそれぞれ0.09と0.11、各サイズ乳剤とも
AgBr0.8モル%を粒子表面の一部に局在させ、残
りは塩化銀であるハロゲン化銀粒子からなる)が調製さ
れた。この乳剤には下記に示す、赤感性増感色素Eがハ
ロゲン化銀1モル当たり大サイズ乳剤に対しては0.9
×10-4モル、また小サイズ乳剤に対しては1.1×1
-4モル添加されている。さらに下記に示す化合物Fが
ハロゲン化銀1モル当たり2.6×10-3モル添加され
ている。またこの乳剤の化学熟成は硫黄増感剤と金増感
剤を添加して行なわれた。前記の乳化分散物とこの赤感
性塩臭化銀乳剤とを混合溶解し、下記に示す組成となる
ように第5層塗布液を調製した。
【0096】第一層から第四層、第六層、第七層用の塗
布液も第五層塗布液と同様の方法で調製した。各層のゼ
ラチン硬化剤としては、1−オキシ−3,5−ジクロロ
−s−トリアジンナトリウム塩を用いた。また、各層に
Cpd−14とCpd−15をそれぞれ全量が25.0
mg/m2と50.0mg/m2となるように添加した。各感光
性乳剤層の塩臭化銀乳剤には下記の分光増感色素をそれ
ぞれ用いた。
【0097】
【表6】
【0098】
【表7】
【0099】
【表8】
【0100】また、青感性乳剤層、緑感性乳剤層、赤感
性乳剤層に対し、1−(5−メチルウレイドフェニル)
−5−メルカプトテトラゾールをそれぞれハロゲン化銀
1モル当たり8.5×10-5モル、7.7×10-4
2.5×10-4モル添加した。また、青感性乳剤層と緑
感性乳剤層に対し、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,
3,3a,7−テトラザインデンをそれぞれハロゲン化
銀1モル当たり、1×10-4モルと2×10-4モル添加
した。また、イラジエーション防止のために、乳剤層に
下記の染料(カッコ内は塗布量を表わす)を添加した。
【0101】
【化32】
【0102】層構成 以下に各層の組成を示す。数字は塗布量(g/m2)を表
す。ハロゲン化銀乳剤は銀換算塗布量を表す。
【0103】
【表9】
【0104】
【表10】
【0105】
【表11】
【0106】
【表12】
【0107】
【化33】
【0108】
【化34】
【0109】
【化35】
【0110】
【化36】
【0111】
【化37】
【0112】
【化38】
【0113】
【化39】
【0114】
【化40】
【0115】まず、各試料に、感光計(富士写真フイル
ム株式会社製、FWH型、光源の色温度3200°K)
を使用し、センシトメトリー用赤色フィルターの階調露
光を与えた。この時の露光は0.1秒の露光時間で25
0CMSの露光量になるように行った。露光の終了した
試料は、ペーパー処理機を用いて、下記工程および処理
液組成の液を使用し、カラー現像のタンク容量の2倍補
充するまで連続処理(ランニングテスト)を実施した。
【0116】 処理工程 温度 時間 補充量 タンク容量 カラー現像 35℃ 45秒 161ミリリットル 17リットル 漂白定着 35℃ 45秒 215ミリリットル 17リットル 安 定(1) 35℃ 20秒 − 10リットル 安 定(2) 35℃ 20秒 − 10リットル 安 定(3) 35℃ 20秒 − 10リットル 安 定(4) 35℃ 20秒 248ミリリットル 10リットル 乾 燥 80℃ 60秒 * 補充量は感光材料1m2あたり * リンスは(4) から(1) への4タンク向流方式
【0117】各処理液の組成は以下の通りである。 〔カラー現像液〕 〔タンク液〕 〔補充液〕 水 800 ミリリットル 800 ミリリットル 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホ ン酸(60%) 0.8 ミリリットル 0.8 ミリリットル 硫酸リチウム(無水) 2.7 g 2.7 g トリエタノールアミン 8.0 g 8.0 g 塩化ナトリウム 1.4 g − 臭化カリウム 0.03 g 0.025 g ジエチルヒドロキシアミン 4.6 g 7.2 g 炭酸カリウム 27 g 27 g 亜硫酸ナトリウム 0.1 g 0.2 g N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミド エチル)−3−メチル−4−アミノアリニン・ 3/2硫酸・1水塩 4.5 g 7.3 g 蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベン系) 2.0 g 3.0 g 水を加えて 1000 ミリリットル 1000 ミリリットル pH(水酸化カリウムを加えて) 10.25 10.80
【0118】 〔漂白定着液〕(タンク液と補充液は同じ) 水 400 ミリリットル チオ硫酸アンモニウム(700g/リットル) 100 ミリリットル 亜硫酸ナトリウム 17 g エチレンジアミン四酢酸鉄(III) アンモニウム 55 g エチレンジアミン四酢酸鉄二ナトリウム 5 g 氷酢酸 9 g 水を加えて 1000 ミリリットル pH(25℃) 5.40 〔安定液〕(タンク液と補充液は同じ) ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.02 g ポリビニルピロリドン 0.05 g 水を加えて 1000 ミリリットル pH(25℃) 7.40
【0119】(試料2〜9の作製)第5層塗布液の乳化
分散物を調製する際に、前記試料1において、カプラー
および高沸点有機溶媒を第1表に示したカプラーおよび
高沸点有機溶媒と置き換え、以下試料1と同様に塗布液
を調製し、塗布、露光、現像を行ない試料2〜9を作製
した。この時カプラーの使用量は試料1におけるExC
と等モル用いることとし、高沸点有機溶媒の使用量はカ
プラー100重量部に対し160重量部用いることとし
た。比較カプラーとしてはExCとE−1を用い、比較
高沸点有機溶媒としてSolv−2を用いた。
【0120】
【化41】
【0121】(試料の評価)処理後の各試料について最
大発色濃度部を赤色光、緑色光、青色光にて測定し、赤
色光による測定値に対する緑色光による測定値の割合
(DmG ) 、赤色光による測定値に対する青色光による測
定値の割合(DmB ) を算出した。DmG とDmB は色再現性
を表す尺度であり、値が小さいほどシアン色の色再現性
が良い事を表す。
【0122】
【表13】
【0123】第1表より明らかなように比較カプラーE
−1のような本発明外のピロロトリアゾールカプラーよ
り生成する色素はDmG の値が非常に大きく、従って、シ
アン色を呈していないことが分かる。本発明に係る高沸
点有機溶媒を併用してもシアン色を呈するに至らなかっ
た(試料4〜6)。またフェノール系カプラーから生成
する色素はいかなる高沸点有機溶媒と併用しても、DmB
が値が大きく、このことは青色光領域の吸収による色濁
りが大きい事を示しており、色再現性が好ましくない事
が分かる(試料1〜3)。一方、本発明のピロロトリア
ゾールカプラーより生成するシアン色素をSolv−2
のような本発明外の高沸点有機溶媒と併用した場合、Dm
B は小さい値を示しているが、いまだDmG の値が大きく
緑色光吸収による色濁りが大きいことが分かり、色相が
十分改良されているとは言えない(試料7)。これに対
し本発明のピロロトリアゾールカプラーにより生成する
シアン色素を本発明の高沸点有機溶媒と併用した場合に
は、DmG の値、DmB の値ともに小さく、良好な色相を示
し優れた色再現性が得られることが分かる(試料8と
9)。
【0124】実施例2 (試料10〜95の作製)第5層塗布液の乳化分散物を
調製する際に、実施例1で用いた試料1において、カプ
ラーExCおよび高沸点有機溶媒Solv−2を第2表
に示したカプラーおよび高沸点有機溶媒に置き換え、以
下試料と同様に塗布液を調製し、塗布、露光、現像を行
ない、試料10〜95を作製した。この時カプラーの使
用量は試料1におけるExCと等モル用いることとし、
高沸点有機溶媒の使用量は第2表に示した高沸点有機溶
媒:カプラーの重量比に見合う量を用いた。また、第4
等量カプラーを使用する場合には、ハロゲン化銀の使用
量が試料1の2倍となるように乳剤の塗布量を調整し
た。比較カプラーとしてはExCを、いま比較高沸点有
機溶媒としてはSolv−2と0−1を用いた。
【0125】
【化42】
【0126】(試料の評価)赤色光を用いて処理後の各
試料の最大発色濃度(DmaxR) を測定した。さらに赤色光
で測定した濃度が1.0を与える部分での緑色光による
測定濃度をDG とし、シアン色の色再現性を表す尺度と
した。DG の値が小さいほどシアン色の色再現性が良い
事を表す。
【0127】
【表14】
【0128】
【表15】
【0129】
【表16】
【0130】
【表17】
【0131】第2表の結果から下記のことがわかる。試
料1及び10〜19と試料21〜95の比較から明らか
なように本発明のカプラーより生成する色素はフェノー
ル系カプラーより生成する色素に比べ、Solv−2の
ような本発明外の高沸点有機溶媒と併用した場合には、
1.3〜1.6倍程度の発色濃度を持つのに対して、本
発明の高沸点有機溶媒と併用した場合には1.5〜1.
9倍程度の発色濃度を持つ。即ち、予想以上に高い発色
性が得られる。
【0132】一方、色再現性についてみると、比較用高
沸点有機溶媒Solv−2やO−1のような本発明外の
高沸点有機溶媒を用いた場合には生成色素の色相は、本
発明のカプラーと比較用のフェノール系カプラーとでは
共にほぼ同様の比較的大きなDG の値を示しており、本
発明のカプラーにおいても色再現上十分に満足できるも
のではない。比較用フェノールカプラーの場合には本発
明の高沸点有機溶媒と併用すると色相が若干改良される
ものの、十分に良好な色相が得られないことがわかる。
それに対し、本発明のカプラーは本発明の高沸点有機溶
媒と併用した場合に、より改良された色相を呈すること
がわかる(試料25〜55、57〜61、63〜66、
70〜71、73〜74、76〜77、79〜80、8
2〜83、85〜56、88〜89、91〜92、94
〜95)。
【0133】R9 が水素原子であるアミド系高沸点有機
溶媒及び、R7 、R8 、R10、R11の少なくとも一つが
フェニル基であるアミド系高沸点有機溶媒を使用した本
発明の試料は、例えば、試料33、47〜50と51と
の比較ならびに試料33及び47と48との比較から分
かるように、本発明きの試料の中でも特に優れた色再現
性が得られることが分かる。
【0134】本発明の高沸点有機溶媒の使用量について
は、試料25〜30及び、31〜36の比較等から分か
るように、高沸点有機溶媒:カプラー比が大きい程DG
の値が小さくなり、色再現性が良好になることが分か
る。しかしながら高沸点有機溶媒:カプラーの重量比が
5以上では発色濃度の低下をもたらされることが分かっ
た。また試料の膜面が傷つき易くなるという弊害も生じ
た。本発明の高沸点有機溶媒を本発明外の高沸点有機溶
媒と併用する場合には、本発明の高沸点有機溶媒の割合
が高い程DG の値は小さく、色再現性は良好であること
が分かる(試料37〜40参照)。
【0135】一般式(Ib)のカプラーを使用する試料
22、27、33、55、58、60、62、63、6
5、69〜89と、本発明のその他のカプラーを使用す
る90〜95との比較から、一般式(Ib)で示される
カプラーから生成する色素が、本発明のカプラーから生
成する色素の中でも最もDG の値が小さく、特に色再現
性が良好であることが分かる。
【0136】実施例3 (試料96〜137の作製)第5層塗布液の乳化分散物
を調製する際に、実施例1において、カプラーExC、
高沸点有機溶媒Solv−2を第3表に示したカプラー
および高沸点有機溶媒と置き換え、以下試料と同様に塗
布液を調製し、塗布、露光、現像を行ない試料96〜1
37を作製した。この時カプラー、高沸点有機溶媒の使
用量は実施例1と同様とし、4等量カプラーを使用する
場合には、ハロゲン化銀の使用量が試料1の2倍となる
ように乳剤の塗布量を調整した。また乳化分散時の攪拌
速度を調節することによって乳化分散物の平均粒子径を
第3表に示されるように調整した。粒子径の測定は英国
コールター社製ナノサイザー(レーザー光散乱による粒
子径測定装置)を用いた。
【0137】(試料の評価)赤色光を用いて処理後の各
試料について最大発色濃度(DmaxR) を測定した。さらに
赤色光で測定した濃度が1.0を与える部分での青色光
による測定濃度DB を求めた。この試料を温度60℃、
相対湿度70%で3日間放置し、放置後、放置前に測定
した部分を赤色光および緑色光で再度測定し、赤色光に
よる測定濃度に対する青色光による測定濃度の割合
B ’を求めた。DB とDB ’との差(DB−DB ’)
を△DB とした。△DB は高温高湿下で放置したときの
褐色の色濁りの増加量を示す尺度であり、△DB の値が
小さい程、褐色の色濁りの増加が少ないことを表す。
【0138】
【表18】
【0139】
【表19】
【0140】カプラーを含有する親油性微粒子の粒子径
については、本発明のカプラーはいづれの粒子径でもフ
ェノール系カプラーよりも非常に高い発色濃度を示すも
のの、試料124〜127と128〜130との比較等
を見れば分かるように、粒子径が0.08μm 未満では
発色濃度の低下が見られた。従って、粒子径は0.08
μm 以上であるほうが好ましいことが分かる。一方、試
料96〜123と124〜137の同等の粒径を持った
乳化物での比較から、本発明の試料は比較用カプラーで
あるフェノール系カプラーを用いた比較試料、或いは本
発明のカプラーと本発明外の高沸点有機溶媒を用いた比
較試料に比べ、高温高湿下で放置したときの青色光吸収
の増加による褐色の色濁りの増加が少ないことが分か
る。また試料124と125〜130の比較等から、本
発明の試料は粒子径が0.5μm よりも小さいときには
青色光吸収の増加が極めて少なく、高温高湿下での褐色
の色濁りの増加は特に少ないことが分かる。本発明にお
いて、該カプラーを含有する親油性粒子の大きさを0.
08μm 以上かつ、0.5μm 以下とすると、より高い
発色濃度を得られ、また高温高湿下で保存したときに生
じる褐色の色濁りをより少なくでき、さらに好ましいこ
とが分かる。
【0141】
【発明の効果】本発明によって、シアン色素の発色性が
良好で、かつ分光特性に優れ色再現性のよいカラー写真
が得られる。更に、このようなカラー写真を高温高湿下
で保存したときでも色濁りが少なく画像保存性に優れた
カラー写真が得られる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年5月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正内容】
【0066】
【化28】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正内容】
【0067】
【化29】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0104
【補正方法】変更
【補正内容】
【0104】
【表10】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0118
【補正方法】変更
【補正内容】
【0118】 〔漂白定着液〕(タンク液と補充液は同じ) 水 400 ミリリットル チオ硫酸アンモニウム(700g/リットル) 100 ミリリットル 亜硫酸ナトリウム 17 g エチレンジアミン四酢酸鉄(III) アンモニウム 55 g エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 5 g 氷酢酸 9 g 水を加えて 1000 ミリリットル pH(25℃) 5.40 〔安定液〕(タンク液と補充液は同じ) ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.02 g ポリビニルピロリドン 0.05 g 水を加えて 1000 ミリリットル pH(25℃) 7.40
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0137
【補正方法】変更
【補正内容】
【0137】(試料の評価)赤色光を用いて処理後の各
試料について最大発色濃度(DmaxR) を測定した。さらに
赤色光で測定した濃度が1.0を与える部分での青色光
による測定濃度DB を求めた。この試料を温度60℃、
相対湿度70%で3日間放置し、放置後、放置前に測定
した部分を赤色光および青色光で再度測定し、赤色光に
よる測定濃度に対する青色光による測定濃度の割合
B ’を求めた。DB とDB ’との差(DB−DB ’)
を△DB とした。△DB は高温高湿下で放置したときの
褐色の色濁りの増加量を示す尺度であり、△DB の値が
小さい程、褐色の色濁りの増加が少ないことを表す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に少なくとも、シアン色素形成
    カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ色素
    形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層及びイエロ
    ー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層を有
    するハロゲン化銀カラー感光材料において、該シアン色
    素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層に下記一
    般式(Ia)で表されるシアン色素形成カプラーの少な
    くとも一種が下記一般式(II) 、または(III) で表され
    る高沸点有機溶媒の少なくとも一種と共存して分散され
    ていることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材
    料。 【化1】 (一般式(Ia)中、Zaは、−NH−又は−CH(R
    3 )−を表わし、Zb及びZcは、それぞれ−C
    (R4 )=又は−N=を表わす。R1 、R2 及びR
    3 は、それぞれハメットの置換基定数σp 値が0.20
    以上の電子吸引性基を表わす。ただし、R1 とR2 のσ
    p 値の和は、0.65以上である。R4 は、水素原子又
    は置換基を表わす。ただし、式中に2つのR4 が存在す
    る場合には、それらは同じであってもよいし、異なって
    いてもよい。Xは、水素原子または芳香族第一級アミン
    カラー現像主薬の酸化体とのカップリング反応により離
    脱する基を表わす。) 【化2】 (式中、R5 及びR6 は、それぞれアルキル基、シクロ
    アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表し、
    nは0から4の整数を表し、nが2以上の時、この2以
    上のR6 は同じ基であっても異なる基であってもよく、
    またR5 及びR6 はお互いに結合して5員または6員の
    環を形成してもよい。) 【化3】 (式中、R7 及びR8 、R9 はそれぞれ水素原子、アル
    キル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアル
    ケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アル
    コキシ基、アリールオキシ基または複素環オキシ基を表
    す。R7 としては(R10)(R11)N−でもよい。ここ
    でR10、R11はそれぞれ水素原子、アルキル基、シクロ
    アルキル基、アニケニル基、シクロアルケニル基、アル
    キニル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリ
    ールオキシ基または複素環オキシ基を表す。またR7
    8 、R8 とR9 、R9 とR10はお互いに結合して環を
    形成してもよい。Yはカルボニル基、スルホニル基また
    は−(R12)P(O)−基を表す。R12は水素原子、ア
    ルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロア
    ルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、ア
    ルコキシ基、アリールオキシ基または複素環オキシ基を
    表す。)
  2. 【請求項2】 該一般式(Ia)のシアン色素形成カプ
    ラーに対する該高沸点有機溶媒の重量比が0.5以上で
    あることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀カ
    ラー写真感光材料。
  3. 【請求項3】 該シアン色素形成カプラーが一般式(I
    b)で示されることを特徴とする請求項1に記載のハロ
    ゲン化銀写真感光材料。 【化4】 (式中、R13は直鎖、分岐もしくは環状アルキル基、直
    鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基、アリール基、アリ
    ールオキシ基、ヘテロ環基、アルキルアミノ基、アニリ
    ノ基、ヘテロ環オキシ基、またはヘテロ環アミノ基を表
    し、R14は置換基を表す。Xは水素原子または芳香族第
    一級アミンカラー現像主薬の酸化体とのカップリング反
    応により離脱する基を表す。尚、R13、R14、もしくは
    Xの基が二価になり、二量体以上の多量体や高分子鎖と
    結合して単重合体もしくは共重合体を形成してもよ
    い。)
  4. 【請求項4】 該シアンカプラーは該高沸点有機溶媒と
    ともに親油性微粒子を形成して分散されており、かつ該
    微粒子の粒径が0.08〜0.5μm であることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載のハロゲン化銀写
    真感光材料。
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