JPH05186742A - 易溶性ゼラチンの製造方法 - Google Patents

易溶性ゼラチンの製造方法

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JPH05186742A
JPH05186742A JP596892A JP596892A JPH05186742A JP H05186742 A JPH05186742 A JP H05186742A JP 596892 A JP596892 A JP 596892A JP 596892 A JP596892 A JP 596892A JP H05186742 A JPH05186742 A JP H05186742A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ゼラチンの溶解性を大幅に改善できると同時
に、作業が簡単かつ経済的に行え、工業的生産に適した
易溶性ゼラチンの製造方法を提供する。 【構成】 ゲル化能を有するゼラチンと、このゼラチン
よりも分子量が小さくゲル化能を有しないゼラチン分解
物とが、高濃度で均一に混合された混合ゼラチン水溶液
を、乾燥し、微粉化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、易溶性ゼラチンの製
造方法に関し、詳しくは、水や温水に対する溶解性を向
上させたゼラチンを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ゼラチンは、動物の皮、骨、腱などの結
合組織に含まれるコラーゲンを原料として、このコラー
ゲン原料を部分加水分解して得られるものであり、通
常、粉末状あるいは粒状ゼラチンとして供給されてい
る。ゼラチンは、写真用、食品用、医薬用、化粧品用あ
るいは化成品用など、様々な分野で利用されている。
【0003】ゼラチンを使用する場合、一般的には、上
記したような粉末状のゼラチンを、常温水で十分に膨潤
させた後、60℃程度に加温してゼラチンを水に溶解さ
せ、ゼラチン溶液すなわちゾル状にしてから、他の材料
と混ぜたり、各種の処理を行う。また、粉末状のゼラチ
ンを、直接温水に溶解させる場合もある。加温により溶
解したゼラチンは、温度を常温以下に下げることによっ
て、ゼリー状に固まる、いわゆるゲル化を起こす。ゼラ
チンは、このように、溶解状態で容易に取り扱えること
と、ゼリー状に固まるゲル化能を有することによって、
それぞれの用途で好ましい機能を発揮できることにな
る。
【0004】上記説明から判るように、ゼラチンを何れ
の用途に用いる場合でも、粉末状のゼラチンを、一旦は
溶かしてゼチチン溶液にする必要がある。そのため、ゼ
ラチン粉末としては、溶解させる際の作業性が良く、溶
解速度が大きいことが望まれることになる。ゼラチンの
溶解は、水または温水中で、ゼラチン粒子が速やかに、
かつ、均一に濡れて分散することによって初めて起き
る。したがって、ゼラチンを水または温水に溶解させる
場合の溶解時間は、ゼラチンの粒度に大きく依存し、ゼ
ラチン粒子が微粉であるほど短時間で溶解することにな
るはずである。しかし、ゼラチン粒子が微粉になると、
水中で均一に濡れ難く、いわゆるママコを形成し易くな
るため、かえって溶解に時間がかかってしまう。また、
微粉のゼラチンは、製造工程あるいは取り扱い工程で、
粉塵公害を起こす心配もある。
【0005】そのため、ゼラチンの溶解性を改善する種
々の方法が提案されており、例えば、以下に示す方法が
ある。 ゼラチンに、砂糖などの糖類を混和して造粒する方
法。溶解性もしくは濡れ性に優れた糖類が含まれている
ため、ゼラチン粒子の溶解性が向上するものと考えられ
る。
【0006】 pH4.8以上で42メッシュの酸処
理ゼラチンを用いる方法。pHおよび粒度を調整するこ
とによって、溶解性を向上させているものと考えられ
る。 10%以上の水分を有するゼラチンを、高周波誘導
加熱処理する方法。高周波誘導加熱で、ゼラチンが変性
することにより、溶解性が向上するものと考えられる。
【0007】 ゼラチン粉末を、熱風によって流動さ
せ、水を噴霧してから、粒状化させる方法。ゼラチン粒
子の表面が、熱風処理および噴霧水の付着により改質さ
れて、溶解性が向上するものと考えられる。 流動状態のゼラチン粉末に、溶解性に優れたゼラチ
ン溶液を噴霧して造粒する方法。表面に溶解性に優れた
ゼラチン層が形成されることにより、ゼラチン粒子の溶
解性が向上するものと考えられる。
【0008】 低濃度のゼラチンを、凍結乾燥する方
法。ゼラチン組織の間に隙間があいた状態で乾燥固化す
るために、溶解性が向上するものと考えられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記したよ
うな、従来における、ゼラチンの溶解性を改善するため
の方法では、何れも問題があり、工業的に採用するには
不満足であった。例えば、の方法では、糖類を使用す
るため、ゼラチンの使用用途が限定される。糖類の存在
を嫌う用途には使用できない。の方法は、pHおよび
粒度の調整だけで、ゼラチン自体の溶解性は向上してい
ないので、溶解性の大幅な向上は望めない。あるいは
の方法では、高周波誘導加熱処理や凍結乾燥処理のよ
うな複雑な処理工程が必要であるため、製造工程が複雑
になり、工業的生産を行うには不経済である。および
の方法は、一旦ゼラチン粉末を製造した後、このゼラ
チン粉末の表面に処理を加えるため、製造工程が複雑に
なり、やはり不経済である。
【0010】そこで、この発明の課題は、上記した従来
方法の欠点を解消し、ゼラチンの溶解性を大幅に改善で
きると同時に、作業が簡単かつ経済的に行え、工業的生
産に適した易溶性ゼラチンの製造方法を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する、こ
の発明にかかる易溶性ゼラチンの製造方法は、ゲル化能
の高いゼラチンと、このゼラチンよりも分子量が小さく
ゲル化能を有しないゼラチン分解物とが均一に混合され
た混合ゼラチン水溶液を、乾燥し、微粉化する。
【0012】ゲル化能の高いゼラチンには、従来一般的
に用いられていた通常のゼラチンが、そのまま使用でき
るが、その中で、比較的ゲル化能の高いゼラチンを用い
るのが好ましい。ゼラチンは、動物の結合組織を構成す
る骨や皮から、通常の手段で抽出して得られるものであ
る。より具体的には、ゼラチンを抽出する骨や皮原料
に、前処理として、石灰漬けによるアルカリ処理、ある
いは、塩酸や硫酸などの酸処理を行った後、50〜70
℃程度で熱水抽出することによって、ゼラチンが得られ
る。ゼラチンの原料や処理方法は、上記した方法に限定
されず、通常のゼラチン製造に採用されている条件が自
由に適用できる。ゼラチンのゲル化能には、様々な程度
のものがあり、最終的な用途や要求性能に応じて、適当
なゲル化能を有するゼラチンを用いればよい。この発明
では、ゼラチンのゲル化能が高いものとして、ゼリー強
度が、200ブルーム以上のものが好ましい。ゼリー強
度の低いものは、ゲル化能が低く、ゼラチンとしての機
能を十分に発揮できない。この発明では、ゼラチン分解
物を添加することによって、ゼリー強度などの物性がい
くぶん低下する傾向にあるので、これらの物性を要求さ
れる用途に用いる場合愛には、ゲル化能の高いゼラチン
として、出来るだけ各物性の高いものを用いるのが好ま
しい。
【0013】ゲル化能を有しないゼラチン分解物は、上
記したゲル化能の高いゼラチンと同様の原料、あるい
は、上記ゼラチンそのものを用いて製造される。その製
造方法には、次の方法が適用できる。 加熱分解法:100℃以上の温度で加熱分解する。 酸分解法:塩酸や硫酸などの鉱酸を用いて低pHに
し、ついで70℃以上で数時間かけて分解する。
【0014】 アルカリ分解法:水酸化カリウム、水
酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニアなどのア
ルカリ剤を用いて、pH10以上、80℃で数時間分解
処理する。 酵素分解法:蛋白質分解酵素を用いて、40〜70
℃で数時間分解処理する。
【0015】さらに、高い圧力をかけて分解する圧力分
解法も適用できる。以上の処理方法のうち、何れかひと
つの方法、または複数の方法を併用することにより、ゼ
ラチン分解物を得る。ゼラチン分解物は、前記ゲル化能
の高いゼラチンに比べて、分子量が小さなものであり、
重量平均分子量(Mw)1,000〜30,000の範
囲、好ましくは5,000〜20,000の範囲のもの
が好ましい。ゼラチン分解物の分子量が大きすぎると、
ゲル化能を示し、ゼラチンの溶解性を改善する効果が発
揮できない。ゼラチン分解物の分子量が小さすぎると、
製造されたゼラチンのゼリー強度やゲル化能に劣るもの
となる。ゼラチン分解物の分子量は、前記分解処理の処
理条件によって調整することができる。ゼラチン分解物
は、前記分解処理の後、濾過や精製処理を経た後、使用
される。得られたゼラチン分解物は、粘度15mp以下
(JIS−K6503)で常温水に膨潤することなく溶
解するものであり、そのまま放置しておいても、ゼリー
状に固まることはなく、ゲル化能を有しないものとな
る。
【0016】以上のようにして得られた、ゲル化能の高
いゼラチンと、ゲル化能を有しないゼラチン分解物を、
高濃度で均一に混合した混合ゼラチン水溶液を作る。ゼ
ラチンおよびゼラチン分解物は、前記した製造工程にお
いて、溶液状態で得られるので、このようなゼラチン溶
液およびゼラチン分解物溶液を、高濃度に濃縮した後、
均一に混合するか、混合した後に濃縮するかすれば、目
的とする混合ゼラチン水溶液が得られる。具体的には、
請求項1の方法において、ゲル化能の高いゼラチンの2
0〜40重量%水溶液に対して、ゼラチン分解物の20
〜50重量%水溶液を、ゲル化能の高いゼラチンに対す
るゼラチン分解物の乾燥重量割合が2〜40重量%にな
るように、均一に混合すればよい。ゲル化能の高いゼラ
チンと、ゲル化能を有しないゼラチン分解物との混合割
合は、ゼラチン分解物の割合が少なすぎると、溶解性の
改善効果が発揮できず、ゼラチン分解物の割合が多すぎ
ると、ゼリー強度などのゼラチンに必要な物性が低下す
るので、上記した程度の範囲が好ましい。混合ゼラチン
水溶液の濃度は、濃度が低すぎると、溶解性が悪くな
り、濃度が高すぎると、均一な混合や取り扱いが難しく
なる。
【0017】混合ゼラチン水溶液は、乾燥した後、通常
の粉砕装置などを用いて、微粉化することにより、この
発明の易溶性ゼラチンが得られる。このとき、混合ゼラ
チン水溶液を、含水量16.0%以下になるまで乾燥し
た後、微粉化処理を行うのが好ましい。乾燥は、含水量
が6.5〜16%程度になるまで行うのが、より好まし
い。粉砕などの微粉化処理を行う前の含水量が多すぎる
と、得られた易溶性ゼラチンの溶解性が良くない。乾燥
方法や装置、粉砕装置やその粉砕条件などは、通常のゼ
ラチン製造の場合と同様の条件が適用できる。微粉化
は、ゼラチン粒径が0.6mm以下、好ましくは0.2〜
0.35mmの範囲になる程度まで行うことが好ましい。
ゼラチン粒径が大きすぎると、溶解性に劣り、ゼラチン
粒径が小さすぎるものは、製造に手間がかかるととも
に、前記した粉塵公害などの問題も生じる。
【0018】得られた易溶性ゼラチンは、通常のゼラチ
ンと同様に、前記したような各種の用途に使用すること
ができる。
【0019】
【作用】この発明では、ゲル化能の高いゼラチンと、分
子量が小さくゲル化能を有しないゼラチン分解物とが、
高濃度で均一に混合した状態の混合ゼラチン水溶液を、
乾燥し、微粉化して易溶性ゼチランを製造するので、製
造された易溶性ゼラチンのゼラチン粒子は、ゲル化能の
高いゼラチンの大きな分子構造もしくは網目構造の間
に、ゼラチン分解物の小さな分子が、均一に分散して配
置された状態になる。このように、ゼラチン粒子の内部
全体にわたって、ゼラチン分解物が均一に分散して存在
していることによって、ゼラチン粒子全体の濡れを良く
し、溶解性を向上させることができる。その理由は、以
下のように考えられる。
【0020】ゼラチンの溶解性は、ゼラチン粒子の濡れ
と分散性の良否によって決まる。ここで、「濡れ」と
は、液体が固体表面から気体を押し退ける物理的現象の
ことであり、固体表面と液体の接触角により決まる。接
触角は、固体表面の凹凸などの表面性状によって左右さ
れ、接触角が小さいほど濡れ易くなる。具体的には、ゼ
ラチンの膨潤性、粉砕されたゼラチン粒子の形状などが
要因となって、濡れ性が変わる。また、膨潤性は、ゼラ
チンに含まれる低分子量成分、乾燥時の濃度が重要なフ
ァクターとなる。
【0021】そして、ゼラチン粒子中に、ゲル化能の高
いゼラチンとともに、分子量が小さくゲル化能を有しな
いゼラチン分解物を、均一に分散させておくことによっ
て、ゼラチン粒子は、濡れ易くなり、膨潤性は低下し、
分散性は向上するのである。これは、前記したように、
易溶性ゼラチンのゼラチン粒子中では、ゼラチン分解物
が、ゼラチン構造中に分散配置されているので、ゼラチ
ンの分子間距離がゼラチン分解物で広げられた状態にな
る。ここに水や温水が加えられると、ゼラチン分解物
は、水や温水に容易に溶解するので、水や温水はゼラチ
ンの分子構造間に容易に入り込み、ゼラチン粒子全体に
急速に分散することができ、各ゼラチン分子が濡れ易く
なるのである。その結果、ゼラチン粒子全体の溶解性が
高まることになる。
【0022】また、易溶性ゼラチンを製造する際に、混
合ゼラチン水溶液を、高濃度の状態で乾燥させると、溶
解性の優れた易溶性ゼラチンが得られるが、その理由は
次のように考えられる。混合ゼラチン水溶液を低濃度の
状態で乾燥させると、ゼラチンのゲル化によって形成さ
れる網目構造が粗くなるため、ゼラチン分子が伸び易く
なり、ゼラチン分子の間に水が入り易くなる。そのた
め、ゼラチンの膨潤性が大きくなる。しかし、この膨潤
状態では、ゼラチン分子の濡れが悪くなるため、ゼラチ
ンの溶解性が良くない。これに対し、高濃度の混合ゼラ
チン水溶液を乾燥させた場合には、ゲル化能の高い高分
子量のゼラチン分子の間に低分子量のゼラチン分解物が
均一に混合分散されているので、乾燥工程における、加
熱および通風で、ゼラチン分子間における水分の移動が
大きくなり、乾燥が迅速に行われる結果、溶解性が向上
するものと考えられる。
【0023】また、乾燥後の微粉化処理では、ゲル化能
の高い高分子量のゼラチンは、機械的に加熱され易い。
そのため、ゼラチン粒子の表面部分の分子が架橋されて
不溶化を起こす。これば、ゼラチンの溶解性を悪くする
原因となる。しかし、この発明のように、低分子量のゼ
ラチン分解物が加えられていれば、ゼラチン分解物は加
熱による不溶化を起こし難く、ゲル化能の高い高分子量
ゼラチンが熱で変性するのを防ぐことができる。その結
果、溶解性の改善を図ることができる。
【0024】
【実施例】アルカリ処理したオセインから、通常の抽出
方法で、ゲル化能の高いゼラチン溶液を得た。このゼラ
チン溶液を、濾過、精製した後、ゼラチン濃度30%ま
で濃縮した。上記と同じ方法で得られたゼラチンを、蛋
白質分解酵素を用いて分解処理し、濾過、精製して、ゲ
ル化能を有しないゼラチン分解物溶液を得た。このゼラ
チン分解物溶液も、濃度30%まで濃縮した。
【0025】何れも高濃度に濃縮されたゼラチン溶液と
ゼラチン分解物溶液を、様々な割合で混合して、混合ゼ
ラチン溶液を調製した。得られた混合ゼラチン溶液を、
温風乾燥した後、粉砕機で粉砕して、80メッシュ通過
の微粉末状をなす易溶性ゼラチンを得た。易溶性ゼラチ
ンの粘度、ゼリー強度、濡れ、分散性、溶解性を測定し
た。各測定項目は、以下の方法で測定した。
【0026】<溶解性>ゼラチン粉末を、42〜60メ
ッシュ(粒径0.355〜0.21mm)に調製したもの
3gを、60℃の温水97ml中に投入し、550rpm で
攪拌して、ゼラチン粒子が完全に溶解するまでの時間を
測定した。 <濡れ、分散性>ゼラチン粉末を、32〜42メッシュ
(粒径0.5〜0.355mm)に調製したもの1gを、
25℃の水中に投入し、100rpm で攪拌して、ゼラチ
ン粒子が濡れてしまうまでの時間を「濡れ」として測定
した。また、水に投入した後、ゼラチン粒子が分散して
しまうまでの時間を「分散性」として測定した。
【0027】<膨潤性>32〜42メッシュ(粒径0.
5〜0.355mm)のゼラチン粉末3gを、200mlシ
リンダーに秤量し、25℃の精製水170mlを投入し、
ゆるやかに攪拌して、浮遊粒子を沈ませた後、膨潤体積
を経時的に測定した。 <ゼリー強度>JIS−K6503に準拠して測定し
た。
【0028】以上の各試験を行った結果を、表1〜表3
に示している。各表は、原料のゼラチンとして、ゼリー
強度の異なるものを用いた。表中、ゼラチン分解物添加
量は、ゼラチン溶液とゼラチン分解物溶液の混合比か
ら、ゲル化能力を有するゼラチンに対するゼラチン分解
物の添加割合を、乾燥重量%で算出して表した。
【0029】
【表1】 ────────────────────────────────── ゼラチン分解物 粘 度 ゼリー強度 濡 れ 分散性 溶解性 添加量 % mp g sec sec sec ────────────────────────────────── 比較例1.1 0 63 213 12 66 135 実施例1.1 2 62 209 11 65 133 実施例1.2 5 57 195 7 58 127 実施例1.3 10 52 176 5 45 109 実施例1.4 15 46 158 4 38 96 実施例1.5 20 40 130 4 33 82 実施例1.6 30 31 121 4 25 55 実施例1.7 40 20 105 3 15 30 ──────────────────────────────────
【0030】
【表2】 ────────────────────────────────── ゼラチン分解物 粘 度 ゼリー強度 濡 れ 分散性 溶解性 添加量 % mp g sec sec sec ────────────────────────────────── 比較例2.1 0 32 307 8 68 70 実施例2.1 2 32 298 8 65 68 実施例2.2 5 30 277 7 63 58 実施例2.3 10 29 250 4 57 54 実施例2.4 15 27 225 4 51 52 実施例2.5 20 25 200 3 45 48 ──────────────────────────────────
【0031】
【表3】 ────────────────────────────────── ゼラチン分解物 粘 度 ゼリー強度 濡 れ 分散性 溶解性 添加量 % mp g sec sec sec ────────────────────────────────── 比較例3.1 0 31 336 5 112 82 実施例3.1 2 31 328 5 108 73 実施例3.2 5 30 309 4 101 66 実施例3.3 10 28 280 4 98 54 実施例3.4 15 27 255 3 85 48 実施例3.5 20 25 223 3 71 41 ────────────────────────────────── 以上の結果、この発明の各実施例は、ゼラチン分解物を
含まない各比較例に比べて、分散が速く、迅速に溶解す
ることが判る。また、分散性や溶解性の向上効果に比べ
て、粘度やゼリー強度の低下は少なく、ゼラチンとして
必要な機能や物性は、実用上充分に有していることも判
る。
【0032】なお、ゼラチン分割物の添加量が多くなる
と、常温水にも溶解させることが可能であり、しかも、
ゲル化能をも発揮することができる。そこで、前記実施
例1.1 〜1.7 の易溶性ゼラチンを用いて、以下の試験を
行った。 <ゼリー化力>42〜60メッシュ(粒径0.355〜
0.21mm)のゼラチン粉末を、JIS−K6503の
濃度条件(6.67%)で、25℃の水に投入し、55
0rpmで60分間攪拌した後、10℃に冷却した。この
状態でのゼリー強度を、ゼリー化力として測定した。
【0033】表4に試験結果を示している。
【0034】
【表4】 ────────────────────────── ゼラチン分解物 ゼリー化力 添加量 % g ────────────────────────── 実施例4.1 (実施例1.7 ) 40 66 実施例4.2 (実施例1.6 ) 30 80 実施例4.3 (実施例1.5 ) 20 − ────────────────────────── ( )内は使用した易溶性ゼラチン −:25℃の水には溶解しない。
【0035】上記試験の結果、ゼラチン分解物の添加量
が多くなると、常温水にも溶解するとともに、低温に冷
却すれば、ゲル化能を発揮することも可能であることが
判る。ゼラチン分解物の添加量が20%以下では、常温
水に溶解しないので、ゼリー化力試験は行わなかった。
また、ゼラチン分解物単独では、低温に冷却してもゲル
化を起こすことはない。
【0036】
【発明の効果】以上に説明した、この発明にかかる易溶
性ゼラチンの製造方法によれば、ゼラチン分割物が均一
に混合されたゼラチンの高濃度な水溶液を、乾燥させて
微粉化させることにより、従来のゼラチン粉末に比べ
て、はるかに溶解性に優れた易溶性ゼラチンを得ること
ができる。
【0037】この発明方法では、特殊な処理工程や処理
装置が不要で、ゼラチン以外の物質を使用しないので、
製造は容易で製造コストも安価であり、しかも、ゼラチ
ン以外の物質が存在するのを嫌う用途、例えば、各種食
品用、医薬用、写真用などにも、何ら問題なく利用する
ことができる。この発明方法で得られた易溶性ゼラチン
は、ゲル化能あるいはゼリー強度などの、ゼラチンとし
ての機能は、十分に発揮することができるので、従来の
ゼラチンが使用されていた各種の用途に、良好に使用す
ることができる。
【0038】溶解性の優れた易溶性ゼラチンは、溶解時
間が短くて済むため、各種製品の製造能率あるいは製造
作業性を高め、製品コストの低減にも貢献できることに
なる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゲル化能の高いゼラチンと、このゼラチ
    ンよりも分子量が小さくゲル化能を有しないゼラチン分
    解物とが、高濃度で均一に混合された混合ゼラチン水溶
    液を、乾燥し、微粉化することを特徴とする易溶性ゼラ
    チンの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の方法において、ゲル化能の高
    いゼラチンとして、ゼリー強度200ブルーム以上のも
    のを用いる易溶性ゼラチンの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1の方法において、ゲル化能の高
    いゼラチンの20〜40重量%水溶液に対して、ゼラチ
    ン分解物の20〜50重量%水溶液を、ゲル化能の高い
    ゼラチンに対するゼラチン分解物の乾燥重量割合が2〜
    40重量%になるように、均一に混合して混合ゼラチン
    水溶液を得る易溶性ゼラチンの製造方法。
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