JPH0517760A - 蓄熱式ヒーター - Google Patents

蓄熱式ヒーター

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JPH0517760A
JPH0517760A JP3197086A JP19708691A JPH0517760A JP H0517760 A JPH0517760 A JP H0517760A JP 3197086 A JP3197086 A JP 3197086A JP 19708691 A JP19708691 A JP 19708691A JP H0517760 A JPH0517760 A JP H0517760A
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heater
weight
storage material
parts
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JP3197086A
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Yuichi Hayashi
裕一 林
Chiaki Momose
千秋 百瀬
Kiyoshi Nakakawara
清 中河原
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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Abstract

(57)【要約】 【目的】蓄熱材とヒーターとを分離せずに、一体となし
た蓄熱式ヒーターを開発すること。 【構成】ヒーターの周囲に、蓄熱材を成形すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は蓄熱式ヒーターに関し、
更に詳しくは蓄熱材とヒーターとを一体的に組み合わせ
た構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来蓄熱材とヒーターとを組み合わせた
構造としては蓄熱材とヒーターとは分離した構造とする
必要があった。
【0003】従来蓄熱材はその原理から物質の顕熱を利
用するもの、物質の相変化潜熱を利用するもの、物質の
化学反応熱を利用するもの等がある。現在実用的な面よ
り物質の相変化潜熱を利用する蓄熱材が注目を集めてい
る。
【0004】この相変化潜熱を利用する蓄熱材として、
塩化カルシウム水和物、硫酸ナトリウム水和物等の無機
蓄熱材、ペンタエリスリトール、ポリエチレン、架橋ポ
リエチレン、パラフィン等の有機物質を用いた所謂有機
蓄熱材があり、中でも100℃以下の熱エネルギー貯蔵
用としてはパラフィン類が有望視されている。
【0005】パラフィン類を蓄熱材とした蓄熱装置にお
いては、パラフィン類の蓄熱による液化のため、たとえ
ばパイプ内に蓄熱材を収納する等、密閉容器が必要であ
り、蓄熱装置としては自ずと間接熱交換方式にする必要
がある。
【0006】またこのために蓄熱材とヒーターとを組み
合わせようとすれば自ずと蓄熱材とヒーターとは分離し
た構造とする必要があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、蓄熱材とヒーターとを分離した構造とせ
ず、一体となした構造となすことである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この課題はヒーターの周
囲に蓄熱材を成形して蓄熱式ヒーターを作製することに
よって解決される。更に詳しくは本発明者が既に開発し
た下記の新しい蓄熱材をヒーターの周囲に成形して蓄熱
材とヒーターとが組み合ったヒーター構造を製作するこ
とができる。
【0009】即ち本発明者の新しく開発した蓄熱材は蓄
熱時に液状にならず固体状態を維持できるため固体のま
まで蓄熱できると共に、その成形時の形状も各種形状に
成形できるため、ヒーターの周囲に成形して蓄熱材とヒ
ーターとが組合わされた構造とすることができるもので
ある。尚本発明者が新しく開発した蓄熱材の基本は以下
の通りである。
【0010】蓄熱成分としてのパラフィン類と、該パラ
フィン類100重量部当たり5〜30重量部の炭化水素
系有機高分子からなるバインダ成分とが機械的手段にて
混合されてなる蓄熱材。
【0011】
【発明の作用並びに構成】本発明のヒーター構造の基本
的な技術はヒーターの周囲に蓄熱材が成形されたもので
あり、そのヒーターの形状はなんら限定されず、ヒータ
ーの周囲に蓄熱材が成形されている構造であればよい。
たとえば図1、図4に示す通り、ヒーター線(1)の周
囲に蓄熱材層(2)が形成され、その外側にシース
(3)が形成された断面円弧状の構造や、図2に示すご
とく断面長方形の構造、また、図3に示すような、電極
(5)を設けた面状ヒーター(4)の周囲に蓄熱材層を
設けた構造等を例示できる。尚図2〜4の符号は図1と
同じことを表し、(6)はシール部を、(7)は布カバ
ーを示す。これら図1、2、3及び4に示す通り、ヒー
ター線(1)あるいは面状ヒーター(4)等のヒーター
の周囲に蓄熱材(2)を成形することにより極めて容易
に図1、2、3及び4に示す構造とすることができる。
これは蓄熱材(2)が蓄熱時でも固体状態を保持できる
と共に、押し出し、ラミネート、モールド、コーティン
グ等の成形が可能で各種の形状に成形できるからであ
る。
【0012】また図5の如く、外側にシースが無いもの
や、図6に示す如く星型のものも製作出来る。
【0013】本発明において使用するヒーター自体は従
来からヒーター線乃至ヒーター用材料として使用されて
きたものがいずれも使用でき、線状、テープ状、面状、
その他ヒーターとして使用できる形状であればよい。こ
こでヒーター線の材質としては、たとえば銅や銅ニッケ
ル合金、テープ状や面状ヒーターの材質としては、導電
性カーボンや黒鉛、あるいは金属粉、カーボン繊維や金
属繊維をゴム、プラスチックに分散させた、またはゴ
ム、プラスチックをバインダーとしたもの等を代表例と
して例示することができる。
【0014】本発明において使用される蓄熱材は既に述
べたように、本発明者が新たに開発した新しい蓄熱材で
あり、下記の組成を基本とする組成物である。
【0015】蓄熱成分としてのパラフィン類と、該パラ
フィン類100重量部当たり5〜30重量部の炭化水素
系有機高分子からなるバインダ成分とが機械的手段にて
混合されてなる蓄熱材。
【0016】好ましい蓄熱材は以下のものである。 上記基本蓄熱材において、夫々 (イ)炭化水素系有機高分子がポリオレフィン系ポリマ
ー類である蓄熱材。 (ロ)炭化水素系有機高分子が熱可塑性エラストマー類
である蓄熱材。 (ハ)炭化水素系有機高分子が炭化水素系ゴム類である
蓄熱材。 (ニ)蓄熱成分としてのパラフィン類と、該パラフィン
類100重量部当たり炭化水素系有機高分子からなるバ
インダ成分5〜30重量部とからなり、該バインダ成分
として、(1)熱可塑性エラストマー、(2)炭化水素
系ゴム類とポリオレフィン系ポリマー類との併用系から
なる群から選ばれた少なくとも1種を用いた蓄熱材。 (ホ)パラフィン類と炭化水素系有機高分子とが機械的
手段にて混合されてなる蓄熱材。 (ヘ)炭化水素系有機高分子が最終的に架橋されてなる
蓄熱材。 等である。
【0017】これら新しい蓄熱材について更に説明すれ
ば以下の通りである。炭化水素系有機高分子バインダ成
分とパラフィン類とを機械的手段にて混合して一様な組
成物とした場合、たとえ該パラフィン類の使用量が上記
のごとく大量(この量はバインダ成分100重量部当た
りのパラフィン類量に換算すると、333〜2000重
量部になる)であっても、驚くべきことに得られた組成
物は成形加工性に富み、しかもパラフィン類の成形体表
面への移行が殆ど無く、蓄熱時に固体状を保持する。機
械的手段による均一混合という一見常識的とも思われる
手段にて、本発明者が知る限り従来何人もなし得なかっ
た本発明の目的が達成されることは、まさに予想外のこ
とと言わざるを得ない。
【0018】本発明において機械的手段にての混合と
は、パラフィン類と炭化水素系有機高分子の双方中の少
なくとも1成分の溶融物に残余の成分が少なくとも膨
潤、好ましくは溶解することにより、或いは高温度によ
り、混合対象となるいずれも成分も外力にて流動変形し
うる状態において撹拌、混合、或いは混練する行為を意
味する。たとえば100〜200℃に保持されたパラフ
ィン類の溶融物に炭化水素系有機高分子を溶解し、得ら
れる高温度の溶液を撹拌混合する態様、混合各成分が軟
化する温度、たとえば50〜250℃で2本ロール、バ
ンバリーミキサ、押出機、2軸混練押出機等の通常の混
練機をしようして混練混合する態様等が例示される。混
合の程度は可及的に充分であることが好ましいが、一般
には1〜150分程度の混合を行って目視にて一様に混
合されたと判断される程度である。
【0019】混合され溶液状となった上記組成物は、そ
のままで、或いは若干冷却して成形される。押出機を用
いればシート状、板状に押し出し成形することができ、
更に該押出機により棒状、パイプ状にも成形できる。
棒、パイプを細断すれば粒状、ペレット状ともなる。
【0020】本発明において蓄熱成分として使用される
パラフィン類としては、JIS K7121(プラスチ
ックの転移温度測定方法)に従って測定したTmaxが使
用温度、即ち室温〜100℃、好ましくは室温〜80℃
前後の温度域にある有機化合物が使用される。但しこの
際の室温とは、本発明の蓄熱材がその稼働中に遭遇する
最低温度を意味する。
【0021】パラフィン類の好ましい具体例としては、
各種パラフィン、ロウ、ワックスをはじめ、ステアリン
酸、パルミチン酸等の脂肪酸やポリエチレングリコール
等のアルコール類を例示することができ、これら1種が
単独で、または2種以上の混合物として使用される。
【0022】上記した使用温度において、パラフィン類
のあるものは唯一つの結晶転移温度を有し(この場合は
その温度がTmaxとなる。)、またあるものは2以上の
多数の結晶転移温度を有する。2種以上のパラフィン類
の混合物も2以上の多数の結晶転移温度を有する場合が
多い。それらの場合においては、最高の結晶転移温度が
maxに該当する。本発明で使用するパラフィン類は、
必ずしも明確な融点(全体が固体から液体に相変化する
温度)を示すものに限定しないが、多くのパラフィン類
については、一般にTmaxが融点に該当する。使用温度
において2以上の多数の結晶転移温度を有するパラフィ
ン類の場合、それら全ての結晶転移温度を蓄熱に利用す
ることができる。
【0023】本発明において炭化水素系有機高分子とし
ては、主鎖が基本的に炭化水素であり、主鎖中における
他の成分(たとえばO、N、Si、ハロゲン等)の含有
量は10重量%以下、好ましくは5重量%以下である炭
化水素系有機高分子の1種又は2種以上が用いられる。
かかる炭化水素系有機高分子例を以下に示す。 (1)ポリオレフィン系ポリマー類:
【0024】ポリメチレン、ポリエチレン、ポリプロピ
レンなどのα−オレフィンのホモポリマー、オレフィン
同志のコポリマー、α−オレフィンと他のモノマー、た
とえば酢酸ビニル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エ
チル等とのコポリマー及び、これらの軽度にハロゲン化
されたポリマー等が挙げられる。これらは非結晶性〜低
結晶性でもよいし、結晶性でもよい。 (2)熱可塑性エラストマー類:
【0025】ゴム並びにプラスチックスの分野で「熱可
塑性エラストマー」として知られている、或いは知られ
得るもののうち、少なくとも前記した室温以上で、且つ
使用したパラフィン類のTmax+10℃の温度域では、
好ましくは少なくとも室温以上で且つTmax+20℃の
温度域では、ゴム弾性を有するものが使用される。勿論
max+20℃より高温度でもゴム弾性を持続するもの
も使用できる。
【0026】具体的にはスチレン系、オレフィン系、ウ
レタン系、エステル系等の各種の従来公知の熱可塑性エ
ラストマーが例示でき、好ましい具体例としては、スチ
レン系ブロック共重合体エラストマー及びオレフィン系
エラストマーである。またオレフィン系熱可塑性エラス
トマーとしては、たとえばエチレン−プロピレン共重合
体やエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体にポリ
エチレン又はポリプロピレンが混合された混合物、エチ
レン−プロピレン共重合体やエチレン−プロピレン−ジ
エン三元共重合体にエチレン又はプロピレンがグラフト
重合されたもの等を例示することができる。
【0027】(3)炭化水素系ゴム類:天然ゴム、スチ
レン−ブタジエン−共重合ゴム、ブチルゴム、イソプレ
ンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン
−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム、エチレン−酢
酸ビニル共重合体ゴム、エチレン−エチルアクリレート
共重合体ゴム等が例示される。
【0028】バインダ成分としての炭化水素系有機高分
子は架橋性、非架橋性のいずれであってもよいが、夫々
プラスチックス性であるよりもゴム的性質を有するもの
のほうが好ましい。
【0029】本発明においては、炭化水素系有機高分子
の使用量は、パラフィン類100重量部に対して5〜3
0重量部である。5重量部未満では得られる組成物の柔
軟性が低下して脆くなる傾向があると共に、Tmax以上
においてパラフィン類が滲み出し、或いは溶融し易くな
る傾向があり、一方30重量部を超える過大量ではパラ
フィン類の使用量が少なくなって蓄熱量もそれに比例し
て少なくなる。しかして炭化水素系有機高分子の好まし
い使用量は、パラフィン類100重量部に対して10〜
30重量部である。
【0030】炭化水素系有機高分子の架橋や加硫(以下
それらをまとめて架橋という)を所望する場合は、それ
らはパラフィン類との混合中、或いは混合の後に行われ
る。
【0031】架橋の方法としては一般に用いられている
化学架橋、シラン架橋(水架橋)、及び照射架橋等いず
れも採用できる。
【0032】上記組成物を化学架橋するためには、用い
た炭化水素系有機高分子を架橋させうる化学架橋剤を使
用する。
【0033】該化学架橋剤としては前記(3)の炭化水
素系ゴム類では硫黄系架橋剤が好ましく用いられる。ま
た天然ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチ
レン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム、エチレン
酢酸ビニル共重合体ゴム等や(1)のポリオレフィン系
ポリマー類ではジクミルパーオキサイド等の有機過酸化
架橋剤も用いることができる。該化学架橋剤の使用量は
炭化水素系有機高分子100重量部に対し、0.5〜2
0重量部程度が好ましい。
【0034】また上記の化学架橋において硫黄系架橋剤
を用いる場合には必要に応じ通常の架橋促進剤を使用す
ることもできる。オキシム類を架橋剤として使用した場
合には、硫黄、上記加硫促進剤の他に酸化鉛を助剤とし
て使用することが好ましい。
【0035】有機過酸化物を架橋剤として用いた場合に
は、硫黄、オキシム類、上記加硫促進剤、シラン系カッ
プリング剤、アクリルエステル系化合物等を架橋助剤と
して使用することもできる。
【0036】これらの架橋促進剤、架橋助剤等の使用量
は、所望の架橋度を得るに適した量で使用されればよ
く、炭化水素系有機高分子100重量部に対し、通常0
〜30重量部程度である。
【0037】化学架橋の方法はいずれの架橋剤を用いた
場合でも通常のゴム、プラスチックスの架橋の場合と同
様の温度並びに時間の加熱で、従って通常100〜25
0℃、数分〜数時間の加熱でよい。
【0038】シラン架橋するためには、加水分解しうる
シラン系化合物、及び有機過酸化物を用いる。
【0039】シラン系化合物としては、一般式RR′S
iY2(但しRは1価のオレフィン性不飽和を含む炭化
水素基又はハイドロカーボンオキシ基、Yは加水分解し
うる有機基、R′は基R又は基Yを表す)で表される化
合物が使用される。シラン系化合物は、炭化水素系有機
高分子100重量部に対して一般に0.05〜10重量
部、特に0.5〜5重量部で使用される。該シラン系化
合物は後記する有機過酸化物の作用により、炭化水素系
有機高分子にグラフトされ、且つ水により該高分子間に
架橋点を形成する作用をなす。
【0040】有機過酸化物としてはその分解温度以上、
特に100℃以上の温度において前記高分子に遊離ラジ
カルを発生させ得る化合物が使用され、前記高分子10
0重量部に対して一般に0.005〜2重量部、特に0.
05〜0.5重量部で使用される。
【0041】シラン架橋においては架橋に先立って前記
したシラン化合物を予め炭化水素系有機高分子にグラフ
トさせておく必要がある。このグラフト工程は次のよう
にして行う。
【0042】先ずパラフィン類と炭化水素系高分子、必
要に応じて使用される後述するような各種の添加剤、更
にシラン系化合物、及び有機過酸化物等の所定量を互い
に予備的に混合する。この混合は2本ロール等の通常の
混合機で混合してもよいが、掻き交ぜる程度でもよい。
【0043】予備混合された組成物は次いで有機酸化合
物の分解温度以上、好ましくは140℃以上に設定され
た密閉混合機内で少なくとも30秒以上充分に混合され
る。この工程で有機過酸化物が高分子にラジカルを発生
させ、シラン系化合物がグラフトされる。しかして炭化
水素系高分子が水架橋性となり、しかもパラフィン類と
も均一に混合されることによって水架橋性の均一組成物
が得られる。この際の密閉混合機としては、押し出し
機、2軸混練押し出し機等の通常のものが使用できる。
かくして得た均一組成物、或いはそれを所望の形状に成
形加工した物品の水架橋は、通常の水架橋性有機高分子
と同様に、含有水分や空気中の水分等のごく僅かな水分
によって進行するので特に架橋操作を施さなくてもよい
が、必要な場合は温水に浸漬する等の手段により促進架
橋させてもよい。
【0044】照射架橋においては必要に応じ照射架橋助
剤が用いられる。この場合の架橋助剤は一般的に用いら
れるものが全て用いられる。この架橋助剤の使用量は炭
化水素系有機高分子100重量部に対し、0.05〜1
0重量部、特に0.5〜5重量部で使用される。一般的
には本蓄熱材成形後に、或いは可能な場合は成形中〜前
に、放射線や電子線等にて約5〜30Mradの線量を照射
して架橋する。
【0045】本発明の蓄熱材を架橋するに際してはいず
れの架橋方法を採用するにしてもその架橋度はJIS
C 3005に従って測定してゲル分率にして1重量%
以上(組成物として)、好ましくは2重量%以上であ
る。架橋度が1%以上、好ましくは2%以上とすること
により、蓄熱材の温度が使用したパラフィン類のTmax
以上となっても溶融や滴下することなく形状保持を可能
とする。
【0046】本発明において炭化水素系有機高分子から
なるバインダ成分は下記A或いはその架橋物又はBの材
料が特に好ましい。かかる場合パラフィン類とバインダ
成分との親和性が特に良好であるので、前記した機械的
手段にて両者が混合されなくとも、本発明における必要
量(即ちパラフィン類100重量部当たり炭化水素系有
機高分子が5〜30重量部となる量)を炭化水素系有機
高分子粒子に含有させ得ることができ、そうして得た組
成物またはその成形品では含有パラフィン類の移行並び
にそれによる表面べた付きの問題が高度に解決される。
勿論それらの場合においても機械的手段による混合を施
すほうが好ましいことは当然である。
【0047】A.前記(3)の炭化水素系ゴム類と前記
(1)のポリオレフィン系ポリマー類との併用系:
【0048】この場合のポリオレフィン系ポリマー類と
しては特にその成分としてポリメチレン、ポリエチレ
ン、ポリスチレンなどのホモポリマー、オレフィン同志
のコポリマー、オレフィンと他のモノマー、たとえば酢
酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸等とのコポリマー
等であり、これらは1種又は2種以上で使用されるが、
就中JIS K 7121(プラスチックの転移温度測
定方法)によって測定される最高結晶転移温度(通常は
融点に該当する)が使用したパラフィン類のTmaxより
少なくとも10℃高い高結晶性のもの、好ましくはT
maxより少なくとも20℃高いものが使用される。この
結晶性ポリオレフィンは炭化水素系ゴム類との併用下で
適度な柔軟性を有しつつ確実に形状保持性をも達成す
る。しかも脆くなく、成形しても割れを生ぜず充分なる
保持性を維持するものである。3成分の配合割合はパラ
フィン類100重量部に対し、炭化水素系ゴム類1〜2
0重量部、好ましくは5〜15重量部、ポリオレフィン
系ポリマー類1〜20重量部、好ましくは5〜15重量
部である。この混合系においては蓄熱材は非架橋状態で
もよいが、ゲル分率にして少なくとも1重量%、好まし
くは少なくとも2重量%に適当な方法、たとえば前記し
た化学架橋法、水架橋法、照射架橋法、就中水架橋法に
て架橋されていることが好ましい。
【0049】B.前記(2)の熱可塑性エラストマー
類:パラフィン類の少なくともTmax以下ではゴム弾性
を示すものが好ましい。この場合Tmax以下の温度では
ゴム弾性を有するが故にパラフィン類をうまく包み込ん
だ状態で該熱可塑性エラストマーで良好に担持できるの
で混合物の取り扱いが容易であり、割れ難くなり、成形
が容易である。更に上記エラストマーはTmaxより高温
度においてもゴム弾性を持続するために、本発明の蓄熱
材は溶融したり滴下することもない。
【0050】本発明においては更に上記成分の他に必要
に応じて各種の添加剤を配合することができる。たとえ
ば老化防止剤、酸化防止剤、着色剤、顔料、帯電防止剤
の他、用途に応じて防黴剤、難燃剤、防鼡剤を、更には
伝熱性向上のために金属粉、金属繊維、金属酸化物、カ
ーボン、カーボンファイバー等を使用することができ
る。
【0051】本発明の蓄熱式ヒーター構造を製作するに
際しては、原則としてヒーターの周囲に上記蓄熱材を成
形してヒーターの周囲に蓄熱材層を形成し、その外側に
シースを形成する。この際、ヒーターの周囲にゴム、プ
ラスチック、あるいはセラミック等の材質よりなる薄膜
を設けて、この上に上記蓄熱材を成形することもできる
し、ヒーター周囲に直接蓄熱材を成形することもでき
る。成形自体は押出成形、ラミネート、モールド、コー
ティング成形等、従来の技術がそのまま採用でき、たと
えば図1や図2の構造の場合には少なくとも蓄熱材の蓄
熱温度以上の温度条件で押出し成形すればよい。
【0052】ヒーターのヒーター線の太さや本数、面ヒ
ーターの発熱量、並びに蓄熱材の使用量等は使用目的に
合わせて適宜に決定すればよく、またその形状も使用目
的や場所に合わせて適宜な形状とする。シースとして
は、通常、電線、ケーブルで使用されている、PVC、
ゴム、プラスチック、金属等の材料がそのまま使用で
き、押出成形、テーピンブ加工等によって形成される。
また、場合によってはシースは簡易カバー程度でも良
い。
【0053】
【実施例1】素線径0.5μmの銅−ニッケル合金線を
7本撚り合わせた1.40mm2のヒーター線に次の組成
からなる蓄熱材を混練し、押出機で5mm厚に押出被覆
し、次いで厚さ1mmの耐熱ビニルシースを押出被覆し
て、図1に示す蓄熱式ヒーター(この場合は蓄熱式ヒー
ター線)を作製した。 115°Fパラフィン 100重量部 ポリエチレン 15重量部 EPゴム 15重量部 酸化防止剤 0.5重量部
【0054】この蓄熱材の熱温度は47℃、蓄熱量は3
7Kcal/Kgであり、蓄熱時も固形を保ち、100℃でも
流動することはなかった。
【0055】
【実施例2】実施例1のポリエチレンをシラン架橋性ポ
リエチレンに代え、さらに、蓄熱材押出被覆後に水架橋
させ、その後耐熱ビニルシースを押出被覆した点を除い
たほかは、実施例1と全く同様の方法で図1に示す構造
の蓄熱式ヒーターを作製した。このヒーターは47℃の
蓄熱時はもちろん、100℃でも蓄熱材が流動すること
はなかった。
【0056】
【実施例3】下記組成よりなる蓄熱材を150℃に昇温
して溶かし、撹拌混合して、図7のような形状に成型で
きる型に流し込み、実施例1のヒーター線を図7のよう
に配置し、冷却、固めて図7に示すように厚さ20m
m、巾270mm、長さ800mmに成形し、次いで、
耐熱ビニルシートを被せ、シールし、図2に示す断面を
有する蓄熱式ヒーターを作成した。 115°Fパラフィン 100重量部 熱可塑性エラストマー(シェル化学社製クレイトンG) 10重量部 ポリエチレンワックス 10重量部 酸化防止剤 0.5重量部
【0057】このヒーターに90℃の温度ヒューズを取
りつけ、通電し、蓄熱後もヒューズが切れるまで昇温を
続けたところ、約95℃に達しても蓄熱材は固形を保っ
ていた。
【0058】
【実施例4】実施例3のヒーター線の代わりに、実施例
1のヒーター線の上に、0.8mm厚のEPゴム絶縁体
および1mm厚の耐熱ビニルシースを被覆してあるヒー
ターケーブルを用いたほかは、実施例3と全く同様に処
理して蓄熱式ヒーターを作製した。
【0059】
【実施例5】図3に示すように、電極線(5)を埋めこ
んだ電極間200mm、厚さ0.5mm、長さ800m
mのヒーター素材(4)の周囲に厚さ10mmの蓄熱材
(2)を成形した。次いでこの蓄熱材の周囲に厚さ25
μmのアルミニウム/ポリエステルラミネートフィルム
のシース(保護層)を設けて蓄熱式ヒーターを作製し
た。
【0060】ここで、ヒーター素材は、エチレンエチル
アクリレートポリマー100重量部に、導電性カーボン
ブラック70重量部、酸化マグネシウム30重量部、ト
リアリルインシアヌレート1.5重量部、ステアリン酸
1重量部、酸化防止剤1重量部よりなる組成のコンパウ
ンドを、カレンダーロールでスズメッキ編組線を電極と
して挿入しつつシーティングし、これを、10Mrad
の電子線を照射して架橋させて得たもので、いわゆるP
TC面状発熱体である。
【0061】さらに、蓄熱材は、実施例3の組成のもの
を実施例3と同様に混合し、板状に成形し、ヒーター素
材の上面、下面に配置し、両端、前後端部を加熱融着さ
せて設け、成形した。
【0062】
【実施例6】実施例1のヒーター線を図8に示すように
U字形にしておき、この周囲に下記組成の蓄熱材を図8
のように成形し、次いで、この周囲に、実施例5のラミ
ネートフィルムでシース(保護層)を設け、さらにこの
周囲に綿布を巻いて図4に示す断面の直系15mm、長
さ60mmの棒状蓄熱ヒーターを得た。尚、ヒーター線
の両端には端子を取りつけた。 蓄熱材 パラフィン(融点70℃) 100重量部 EPゴム 25重量部 ジクミルパーオキシド 1.5重量部 硫黄 0.2重量部 亜鉛華 2重量部
【0063】蓄熱材の成形は、まず、組成をロール混合
し、160℃で30分間プレス成形した。
【0064】
【実施例7】実施例1のヒーター線の周囲に、次の組成
からなる蓄熱材を混練し、7mm厚に押出し成形し、次
いで、その周囲に実施例5のラミネートフィルムをタテ
沿え被覆し、合わせ目をシールしてシースを設け、図5
に示す断面の線状の蓄熱式ヒーターを作製した。
【0065】 130°Fパラフィン 100重量部 シラン架橋性ポリエチレン 15重量部 EPゴム 10重量部 酸化防止剤 1重量部
【0066】
【実施例8】実施例1のヒーター線の周囲に、実施例7
の組成の蓄熱材を混合し、図6の断面形状になるように
押出成形し、山径13mm、谷径10mmの線状の蓄熱
式ヒーターを得た。
【0067】
【実施例9】実施例1および実施例2の蓄熱式ヒーター
を図9に示すように駐車場路面下に施工し融雪システム
を設置した。このシステムは、いずれも電力使用ピーク
時の昼間に4時間通電を止めても路面が凍結することは
なかった。尚、外気温度は−5℃であった。
【0068】但し図9中10は細粒式アスファルト層、
(11)はコンクリート層、(12)は路盤表面仕上げ
層、(13)は路盤でなり、(14)は蓄熱式ヒーター
である。
【0069】
【実施例10】実施例3,4,5の蓄熱式ヒーターを、
図10に示すように、床下に施工し、蓄熱式床暖房シス
テムを設置した。尚図10に於いて、(21)は断熱材
(120mm)、(22)は合板(15mm)、(2
3)は根太、(24)は蓄熱式ヒーター、(25)は床
材である。
【0070】この蓄熱式ヒーターの蓄熱材の蓄熱温度は
47℃、蓄熱量は40Kcal/Kgであった。
【0071】このシステムを安価な深夜電力により夜
間、10時間のみ運転し、昼間の12時間は電力をスト
ップしたが、いずれも、1日中を通して、室温19℃〜
24℃と安定して維持し、快適であった。尚、外気温度
は−13℃〜−3℃であった。
【0072】
【実施例11】実施例6の蓄熱式ヒーターに30分間通
電して蓄熱させ、ヘアカーラと共に髪に巻きつけ、約2
0分後に蓄熱式ヒーターを抜き取って放置すると、うま
くヘアーがカールできた。この蓄熱式ヒーターは20回
くり返し使用してもヒーターの変形や効果の低下はなか
った。この蓄熱材の蓄熱温度は70℃、蓄熱量は38Kc
al/Kgであった。
【0073】
【実施例12】実施例7および8の蓄熱式ヒーターを水
槽内に20mm間隔で張りめぐらし、通電して約60℃
の温水を得、これを給湯、暖房用として循環使用した。
昼間の電力使用ピーク時に2時間、通電をストップして
も約45〜50℃の温水が得られ、いずれも実用上支障
がなかった。またヒーターの変形等も見られなかった。
【0074】
【図面の詳細な説明】
【0075】
【図1】本発明の蓄熱式ヒーターの一例の断面図であ
る。
【0076】
【図2】本発明の蓄熱式ヒーターの一例の断面図であ
る。
【0077】
【図3】本発明の蓄熱式ヒーターの一例の断面図であ
る。
【0078】
【図4】本発明の蓄熱式ヒーターの一例の断面図であ
る。
【0079】
【図5】本発明の蓄熱式ヒーターの一例の断面図であ
る。
【0080】
【図6】本発明の蓄熱式ヒーターの一例の断面図であ
る。
【0081】
【図7】本発明の蓄熱式ヒーターを製作する場合の製作
方法を説明するための断面図である。
【0082】
【図8】本発明の蓄熱式ヒーターを製作する場合の製作
方法を説明するための断面図である。
【0083】
【図9】本発明蓄熱材を道路に応用した場合の構造の断
面図である。
【0084】
【図10】本発明蓄熱材を床暖房に応用した場合の床構
造の断面図である。
【0085】1………ヒーター線 2………蓄熱材層 3………シース 4………面状ヒーター 5………電極 6………シール部 7………布カバー 10……アスファルト層 11……コンクリート層 12……路盤表面仕上げ層 13……路盤 14……蓄熱式ヒーター 21……断熱材 22……合板 23……根太 24……蓄熱式ヒーター 25……床材 (以上)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒーターの周囲に蓄熱材を成形してなる蓄
    熱式ヒーター。
  2. 【請求項2】蓄熱材が、蓄熱成分としてのパラフィン類
    と、該パラフィン類100重量部当たり、5〜30重量
    部の炭化水素系有機高分子からなるバインダ成分とが機
    械的手段にて混合されてなる第1項に記載の蓄熱式ヒー
    ター。
  3. 【請求項3】蓄熱材がヒーター素材の周囲に直接成形さ
    れてなる第1又は2項に記載の蓄熱式ヒーター。
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