JP6200386B2 - 耐熱性シラン架橋樹脂成形体及びその製造方法、耐熱性シラン架橋性樹脂組成物及びその製造方法、並びに、耐熱性シラン架橋樹脂成形体を用いた耐熱性製品 - Google Patents
耐熱性シラン架橋樹脂成形体及びその製造方法、耐熱性シラン架橋性樹脂組成物及びその製造方法、並びに、耐熱性シラン架橋樹脂成形体を用いた耐熱性製品 Download PDFInfo
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Description
本発明は、特に、機械特性、難燃性及び外観に優れた耐熱性シラン架橋樹脂成形体及びその製造方法、この耐熱性シラン架橋樹脂成形体を形成可能な耐熱性シラン架橋性樹脂組成物及びその製造方法、並びに、耐熱性シラン架橋樹脂成形体を電線の絶縁体やシース等として用いた耐熱性製品に関する。
シラン架橋法とは、有機過酸化物の存在下で不飽和基を有する加水分解性シランカップリング剤をポリマーにグラフト反応させてシラングラフトポリマーを得た後に、シラノール縮合触媒の存在下で水分と接触させることにより架橋成形体を得る方法である。
これらの架橋法の中でも特にシラン架橋法は特殊な設備を要しないことが多いため、幅広い分野で使用することができる。
ところが、ニーダーやバンバリーミキサーでシラングラフトを行う場合には、不飽和基を有する加水分解性シランカップリング剤は一般に揮発性が高く、グラフト反応する前に揮発してしまうという問題がある。そのため所望のシラン架橋マスターバッチを作製することが、まず非常に困難であった。
また、特許文献2〜4に記載された方法であっても、まだ、樹脂が十分な網状構造になっていない。加えて、樹脂と無機フィラーの結合が高温で外れるため、高温下では溶融し、例えば電線をハンダ加工中に絶縁材が熔けてしまったり、また成形体を2次加工する際に変形した、発泡を生じたりすることがあった。さらに、200℃程度に短時間加熱されると、外観が著しく劣化したり、変形したりすることがあった。
また、本発明は、この耐熱性シラン架橋樹脂成形体を形成可能な耐熱性シラン架橋性樹脂組成物及びその製造方法を提供することを課題とする。
さらに、本発明は、耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法で得られた耐熱性シラン架橋樹脂成形体を用いた耐熱性製品を提供することを課題とする。
さらにまた、本発明は、耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法及び耐熱性シラン架橋性樹脂組成物の製造方法に好適に用いられるシランカップリング剤混合無機フィラーを提供することを課題とする。
<1>樹脂(R)100質量部と、有機過酸化物(P)0.01〜0.6質量部と、BET比表面積が14m2/g以下の無機フィラー(B)10〜400質量部と、該無機フィラー(B)100質量部に対して、前記無機フィラー(B)と化学結合しうる基及びラジカルの存在下で前記樹脂(R)にグラフト反応しうる基を有する加水分解性シランカップリング剤(S)0.5〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒(C)とを溶融混合して混合物を得る工程(a)と、
前記混合物を成形する工程(b)と、
前記成形体を水と接触させて耐熱性シラン架橋樹脂成形体を得る工程(c)とを有し、
前記工程(a)が、下記工程(1)及び工程(3)を有し、下記工程(1)で樹脂(R)の一部を溶融混合する場合にさらに下記工程(2)を有する、
工程(1):前記有機過酸化物(P)の分解温度未満の温度で、前記有機過酸化物(
P)と前記無機フィラー(B)と前記加水分解性シランカップリング剤(S)とを混
合し、次いで、得られた混合物と前記樹脂(R)の全部又は一部とを前記有機過酸化
物(P)の分解温度以上で溶融混合して、シランマスターバッチを調製する工程
工程(2):前記樹脂(R)の残部と前記シラノール縮合触媒(C)とを溶融混合し
て、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(3):前記シランマスターバッチと前記シラノール縮合触媒(C)又は前記触
媒マスターバッチとを混合する工程
ことを特徴とする耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<2>前記工程(1)が、前記有機過酸化物(P)の分解温度以下の温度で、前記無機フィラー(B)と前記加水分解性シランカップリング剤(S)と混合し、次いで、この混合物と前記有機過酸化物(P)を混合した後に、前記樹脂(R)の全部又は一部を有機過酸化物(P)の分解温度以上の温度で溶融混合する<1>に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<3>前記無機フィラー(B)が、5μm以下の体積平均径を有する<1>又は<2>に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<4>前記樹脂(R)が、前記工程(1)と前記工程(2)の両工程において混合される<1>〜<3>のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<5>前記無機フィラー(B)の少なくとも1種が、金属水和物である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<6>前記無機フィラー(B)の少なくとも1種が、水酸化マグネシウムである<1>〜<5>のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<7>前記無機フィラー(B)の少なくとも1種が、炭酸カルシウムである<1>〜<6>のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<8>前記工程(1)が、密閉型のミキサーで行われる請求項1〜7のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<9>樹脂(R)100質量部と、有機過酸化物(P)0.01〜0.6質量部と、BET比表面積が14m 2 /g以下の無機フィラー(B)10〜400質量部と、該無機フィラー(B)100質量部に対して、前記無機フィラー(B)と化学結合しうる基及びラジカルの存在下で前記樹脂(R)にグラフト反応しうる基を有する加水分解性シランカップリング剤(S)0.5〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒(C)とを溶融混合して、混合物を得る工程(a)と、
前記混合物を成形する工程(b)と、
前記成形体を水と接触させて、耐熱性シラン架橋樹脂成形体を得る工程(c)と
を有し、
前記工程(a)が、下記工程(1)及び工程(3)を有し、下記工程(1)で樹脂(R)の一部を溶融混合する場合にさらに下記工程(2)を有し、
工程(1):前記樹脂(R)の全部又は一部と前記有機過酸化物(P)と前記無機フ
ィラー(B)と前記加水分解性シランカップリング剤(S)とを前記有機過酸化物(
P)の分解温度以上で溶融混合して、シランマスターバッチを調製する工程
工程(2):前記樹脂(R)の残部と前記シラノール縮合触媒(C)とを溶融混合し
て、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(3):前記シランマスターバッチと前記シラノール縮合触媒(C)又は前記触
媒マスターバッチとを混合する工程
前記無機フィラー(B)の少なくとも1種が、炭酸カルシウムである
ことを特徴とする耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<10>前記炭酸カルシウムが、5μm以下の体積平均径を有する<9>に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<11>前記樹脂(R)が、前記工程(1)と前記工程(2)の両工程において混合される<9>又は<10>に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<12>前記無機フィラー(B)の少なくとも1種が、金属水和物である<9>〜<11>のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<13>前記無機フィラー(B)の少なくとも1種が、水酸化マグネシウムである<9>〜<12>のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<14>前記工程(a)が、密閉型のミキサーで行われる<9>〜<13>のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<15>樹脂(R)100質量部と、有機過酸化物(P)0.01〜0.6質量部とBET比表面積が14m2/g以下の無機フィラー(B)10〜400質量部と該無機フィラー(B)100質量部に対して、前記無機フィラー(B)と化学結合しうる基及びラジカルの存在下で前記樹脂(R)にグラフト反応しうる基を有する加水分解性シランカップリング剤(S)0.5〜15.0質量部とシラノール縮合触媒(C)とを溶融混合して混合物を得る工程(a)を有し、
前記工程(a)が、工程(1)及び工程(3)を有し、下記工程(1)で樹脂(R)の一部を溶融混合する場合にさらに下記工程(2)を有する、
工程(1):前記有機過酸化物(P)の分解温度未満の温度で、前記有機過酸化物(
P)と前記無機フィラー(B)と前記加水分解性シランカップリング剤(S)とを混
合し、次いで、得られた混合物と前記樹脂(R)の全部又は一部とを前記有機過酸化
物(P)の分解温度以上で溶融混合して、シランマスターバッチを調製する工程
工程(2):前記樹脂(R)の残部と前記シラノール縮合触媒(C)とを溶融混合し
て、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(3):前記シランマスターバッチと前記シラノール縮合触媒(C)又は前記触
媒マスターバッチとを混合する工程
ことを特徴とする耐熱性シラン架橋性樹脂組成物の製造方法。
<17>上記<1>〜<14>のいずれか1項に記載の製造方法により製造されてなる耐熱性シラン架橋樹脂成形体。
<18>上記<17>に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体を含む耐熱性製品。
<19>前記耐熱性シラン架橋樹脂成形体が、電線又は光ファイバケーブルの被覆として設けられている<18>に記載の耐熱性製品。
一方、無機フィラー(B)と弱く結合する(その理由は、例えば、水素結合による相互作用、イオン、部分電荷もしくは双極子間での相互作用、吸着による作用等が考えられる)加水分解性シランカップリング剤は、無機フィラー(B)から離脱し、有機過酸化物(P)が分解して発生するラジカルによってその架橋基が樹脂(R)の架橋部位にグラフト反応する。その後に加水分解性基が縮合反応する。これにより、樹脂(R)同士を架橋させることができる。したがって、本発明の耐熱性シラン架橋樹脂成形体は優れた耐熱性を発揮することが可能となる。
工程(1):樹脂(R)の全部又は一部と有機過酸化物(P)と無機フィラー(B)
と加水分解性シランカップリング剤(S)とを有機過酸化物(P)の分解温度以上で
溶融混合して、シランマスターバッチを調製する工程
工程(2):樹脂(R)の残部とシラノール縮合触媒(C)とを溶融混合して、触媒
マスターバッチを調製する工程
工程(3):シランマスターバッチとシラノール縮合触媒(C)又は触媒マスターバ
ッチとを混合する工程
ここで、混合とは、均一な混合物を得ることをいう。
本発明の製造方法で用いる樹脂(R)としては、加水分解性シランカップリング剤(S)の架橋基と有機過酸化物(P)の存在下で架橋反応する架橋部位、例えば炭素鎖の不飽和結合部位や、水素原子を有する炭素原子を主鎖中又はその末端に有する樹脂であればよい。例えば、ポリオレフィン樹脂(PO)、ポリエステル樹脂(PE)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリオール樹脂等が挙げられる。その中でも、ポリオレフィン樹脂(PO)が好ましい。この樹脂(R)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ここで、「ランダムポリプロピレン」は、プロピレンとエチレンとの共重合体であって、エチレン成分含有量が1〜5質量%のものをいう。
また、「ブロックポリプロピレン」は、ホモポリプロピレンとエチレン−プロピレン共重合体とを含む組成物であって、エチレン成分含有量が5〜15質量%程度以下でエチレン成分とプロピレン成分が独立した成分として存在するものをいう。
ポリプロピレンは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
エチレン−α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィン構成成分の具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等の各構成成分が挙げられる。エチレン−α−オレフィン共重合体は、好ましくはエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体(ポリエチレン及びポリプロピレンに含まれるものを除く。)であり、具体的には、エチレン−プロピレン共重合体(EPR、ただし、ポリプロピレンに含まれるものを除く。)、エチレン−ブチレン共重合体(EBR)、及びシングルサイト触媒存在下に合成されたエチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。エチレン−α−オレフィン共重合体は1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
スチレン系エラストマーとして、具体的には、例えば、セプトン4077、セプトン4055、セプトン8105(いずれも商品名、クラレ社製)、ダイナロン1320P、ダイナロン4600P、6200P、8601P、9901P(いずれも商品名、JSR社製)等が挙げられる。
なお、樹脂(R)は、オイルに加えて他の成分、例えば、後述する各種添加剤、溶媒、有機過酸化物(P)等を含有していてもよい。
有機過酸化物(P)は、熱分解によりラジカルを発生して、加水分解性シランカップリング剤(S)の樹脂(R)へのグラフト化反応の促進させる働きをする。特に加水分解性シランカップリング剤(S)がエチレン性不飽和基を含む場合、エチレン性不飽和基と樹脂(R)とのラジカル反応(樹脂からの水素ラジカルの引き抜き反応を含む)によるグラフト化反応を促進させる働きをする。有機過酸化物(P)は、ラジカルを発生させるものであれば、特に制限はないが、例えば、一般式:R1−OO−R2、R1−OO−C(=O)R3、R4C(=O)−OO(C=O)R5で表される化合物が好ましく用いられる。ここで、R1、R2、R3、R4及びR5は各々独立にアルキル基、アリール基、アシル基を表す。このうち、本発明においては、R1、R2、R3、R4及びR5がいずれもアルキル基であるか、いずれかがアルキル基で残りがアシル基であるものが好ましい。
本発明において、有機過酸化物(P)の分解温度とは、単一組成の有機過酸化物(P)を加熱したとき、ある一定の温度又は温度域でそれ自身が2種類以上の化合物に分解反応を起こす温度を意味する。具体的には、DSC法等の熱分析により、窒素ガス雰囲気下で5℃/分の昇温速度で、室温から加熱したとき、吸熱又は発熱を開始する温度をいう。
本発明の製造方法の工程(a)で用いる無機フィラー(B)は、BET比表面積(JIS Z 8830:2013)が14m2/g以下の無機フィラーである。
無機フィラー(B)は、1種単独又は2種以上を使用することができる。また未処理無機フィラー及び表面処理無機フィラーそれぞれの少なくとも1種の混合物を使用することもできる。
無機フィラー(B)のBET比表面積は、特に限定されないが、1.0m2/g以上が好ましく、1.5m2/g以上がより好ましい。BET比表面積が1.0m2/g以上であると、無機フィラー(B)に強く結合する加水分解性シランカップリング剤(S)の割合が多くなって、無機フィラー(B)を包含したネットワークが形成され、機械特性が向上する。また、無機フィラー(B)と加水分解性シランカップリング剤(S)とを混合した状態が長期に及んでも、加水分解性シランカップリング剤(S)同士がシラノール縮合により凝集しにくく、また揮発もしにくくなる。これにより、耐熱性シラン架橋樹脂成形体の耐熱性及び外観の低下を防止できる。
無機フィラー(B)の体積平均径(MV)は、無機フィラー(B)をアルコールや水に分散させて、例えば、レーザ回折散乱式粒度測定機器「マイクロトラック」(日機装社製)を用いて、レーザ回折散乱式粒度分布測定により、測定される値である。
加水分解性シランカップリング剤は、ラジカルの存在下で樹脂(R)にグラフト反応しうる基と、無機フィラー(B)と化学結合しうる基とを有するものであればよい。末端に、アミノ基、グリシジル基又はエチレン性不飽和基と加水分解性とを含有する基を有しているものが好ましく、さらに好ましくは末端にエチレン性不飽和基と加水分解性を含有する基とを有している加水分解性シランカップリング剤が好ましい。エチレン性不飽和基を含有する基としては、特に限定されないが、例えば、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキレン基、p−スチリル基等が挙げられる。また、これらの加水分解性シランカップリング剤と、その他の末端基を有する加水分解性シランカップリング剤を併用してもよい。
末端にグリシジル基を有するものは、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
本発明のシランカップリング剤混合無機フィラー(SF)は、上述の、BET比表面積が14m2/g以下である無機フィラー(B)100質量部と、上述のシランカップリング剤(S)0.5〜15.0質量部とを混合してなり、加水分解性シランカップリング剤(S)で無機フィラー(B)が表面処理されている。
本発明者らは、上述の範囲のBET比表面積を有する無機フィラー(B)とシランカップリング剤(S)とを特定の割合で混合すると、無機フィラー(B)と強く結合する加水分解性シランカップリング剤と、弱く結合する加水分解性シランカップリング剤との割合がバランス良くなり、混合後に長期間経過しても、本発明の目的とする耐熱性シラン架橋樹脂成形体を効果的に製造できることを見出した。
このシランカップリング剤混合無機フィラー(SF)は、例えば、本発明の製造方法の工程(1)で調製される。無機フィラー(B)と加水分解性シランカップリング剤(S)との混合方法は後述する。
シラノール縮合触媒(C)は、樹脂(R)にグラフト化された加水分解性シランカップリング剤(S)を水分の存在下で縮合反応させる働きがある。このシラノール縮合触媒(C)の働きに基づき、加水分解性シランカップリング剤(S)を介して、樹脂(R)同士が架橋されると、耐熱性に優れた耐熱性シラン架橋樹脂成形体が得られる。
耐熱性シラン架橋樹脂成形体及び耐熱性シラン架橋性樹脂組成物は、電線、電気ケーブル、電気コード、シート、発泡体、チューブ、パイプにおいて、一般的に使用されている各種の添加剤、例えば、架橋助剤、酸化防止剤、滑剤、金属不活性剤、充填剤、他の樹脂等が本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合されていてもよい。これらの添加剤、特に酸化防止剤や金属不活性剤は、いずれの成分に含有されてもよいが、キャリア樹脂に加えた方がよい。架橋助剤は実質的に含有していないことが好ましい。特に架橋助剤はシランマスターバッチを調製する工程(1)において実質的に混合されないのが好ましい。架橋助剤が実質的に混合されないと、混練り中に樹脂(R)同士の架橋が生じにくく、耐熱性シラン架橋樹脂成形体の外観及び耐熱性に優れる。ここで、実質的に含有しない又は混合されないとは、架橋助剤を積極的に添加又は混合しないことを意味し、不可避的に含有又は混合されることを除外するものではない。
本発明の製造方法において、工程(a)は、樹脂(R)100質量部と、有機過酸化物(P)0.01〜0.6質量部と、BET比表面積が14m2/g以下の無機フィラー(B)10〜400質量部と、この無機フィラー(B)100質量部に対して加水分解性シランカップリング剤(S)0.5〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒(C)とを溶融混合して、混合物を得る工程である。
工程(1):樹脂(R)の全部又は一部と有機過酸化物(P)と無機フィラー(B)
と加水分解性シランカップリング剤(S)とを有機過酸化物(P)の分解温度以上で
溶融混合してシランマスターバッチを調製する工程
工程(2):樹脂(R)の残部とシラノール縮合触媒(C)とを溶融混合して、触媒
マスターバッチを調製する工程
工程(3):シランマスターバッチとシラノール縮合触媒(C)又は触媒マスターバ
ッチとを混合する工程
また、通常、このような無機フィラー(B)が樹脂(R)100質量部に対して100質量部を超えて混合される場合、連続混練機、加圧式ニーダー、バンバリーミキサーでの混練りが一般的である。
湿式処理は、例えば、無機フィラー(B)を水等の溶媒に均一に分散させ、この中に加水分解性シランカップリング剤(S)を添加し、十分混合した後にスラリー状の混合物を乾燥する。また、乾式処理は、例えば、無機フィラー(B)を例えばリボンブレンダーに投入し、そこに加水分解性シランカップリング剤(S)を加えて撹拌する。これら湿式処理及び乾式処理における条件は特に限定されず、適宜選択される。このようにして、無機フィラー(B)と加水分解性シランカップリング剤(S)とを混合すると、加水分解性シランカップリング剤(S)と強く結合してなる無機フィラー(B)と、加水分解性シランカップリング剤(S)と弱く結合してなる無機フィラー(B)とを含むシランカップリング剤混合無機フィラー(SF)が得られる。
このシランマスターバッチは、加水分解性シランカップリング剤(S)が樹脂(R)にグラフト反応したシラン架橋性樹脂を含有している。
キャリア樹脂が樹脂(R)以外の樹脂である場合は、工程(b)においてシラン架橋を早く促進させることができるうえ、成形中にゲル化ブツが生じにくい点で、樹脂(R)100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは2〜50質量部、さらに好ましくは2〜40質量部である。
混合方法は、均一な混合物を得ることができれば、どのような混合方法でもよい。例えば、ドライブレンド等のペレット同士を常温又は高温で混ぜ合わせて成形機に導入してもよいし、混ぜ合わせた後に溶融混合、再度ペレット化をして成形機に導入してもよい。
いずれの混合においても、シラノール縮合反応を避けるため、シランマスターバッチとシラノール縮合触媒(C)又は触媒マスターバッチが混合された状態で高温状態に長時間保持されないことが好ましい。得られる混合物について、少なくとも工程(b)での成形における成形性が保持された混合物とする。
すなわち、樹脂(R)が、有機過酸化物(P)成分の存在下、無機フィラー(B)及び加水分解性シランカップリング剤(S)とともに、有機過酸化物(P)の分解温度以上で加熱混練されると、有機過酸化物(P)が分解してラジカルを発生し、樹脂(R)に対して、加水分解性シランカップリング剤(S)によりグラフト化が起こる。また、このとき、部分的には、加熱により、加水分解性シランカップリング剤(S)と無機フィラー(B)の表面での水酸基等の基との共有結合による化学結合の形成反応も促進される。
本発明では、工程(c)で、最終的な架橋反応を行うこともあり、樹脂(R)に加水分解性シランカップリング剤(S)を上述のように特定量配合すると、成形時の押し出し加工性を損なうことなく無機フィラー(B)を多量に配合することが可能になり、優れた難燃性を確保しながらも耐熱性及び機械特性等を併せ持つことができる。
なお、上記の無機フィラー(B)と強い結合を有する加水分解性シランカップリング剤(S)は、このシラノール縮合触媒(C)による水存在下での縮合反応で、無機フィラー(B)の表面の水酸基と共有結合により化学結合した加水分解性シランカップリング剤同士も縮合反応して、さらに架橋のネットワークが広がる。
このように、無機フィラー(B)に対して強い結合で結合した加水分解性シランカップリング剤(S)は高い機械特性に寄与し、また無機フィラー(B)に対して弱い結合で結合した加水分解性シランカップリング剤(S)は架橋度の向上、すなわち耐熱性の向上に寄与すると考えられる。
このように、本発明において、無機フィラー(B)と弱い結合を有する加水分解性シランカップリング剤を多く生じさせると高い架橋度の成形体を得ることができ、また弱い結合を有する加水分解性シランカップリング剤を少なく制御することにより、架橋度が下がり、柔軟性の高い成形体を得ることが可能となる。
絶縁体、シース等は、それらの形状に、押出し被覆装置内で溶融混練しながら被覆する等により成形することができる。このような絶縁体、シース等の成形品は、無機フィラーを大量に加えた高耐熱性の高温溶融しない架橋組成物を電子線架橋機等の特殊な機械を使用することなく汎用の押出被覆装置を用いて、導体の周囲に、又は抗張力繊維を縦添えもしくは撚り合わせた導体の周囲に押出被覆することにより、成形することができる。例えば、導体としては軟銅の単線又は撚線等の任意のものを用いることができる。また、導体としては裸線の他に、錫メッキしたものやエナメル被覆絶縁層を有するものを用いてもよい。導体の周りに形成される絶縁層(本発明の耐熱性樹脂組成物からなる被覆層)の肉厚は特に限定しないが通常0.15〜8mm程度である。
<樹脂(R)>
樹脂R1:「UE320」(日本ポリエチレン社製のノバテックPE(商品名)、直鎖低密度ポリエチレン(PE)、密度0.92g/cm3)
樹脂R2:「エボリューSP0540」(商品名、プライムポリマー社製の直鎖状メタロセンポリエチレン(LLDPE)、密度0.9g/cm3)
樹脂R3:「EV460」(商品名、三井・デュポンケミカル社製のエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(VA含有量14質量%)、密度0.93g/cm3)
樹脂R4:「EV170」(商品名、三井・デュポンケミカル社製のエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(VA含有量33質量%)、密度0.96g/cm3)
樹脂R5:「NUC6510」(商品名、日本ユニカー社製のエチレンエチルアクリレート樹脂(EA含有量23質量%)、密度0.93g/cm3)
「KBM1003」(商品名):信越化学工業社製のビニルトリメトキシシラン
<有機過酸化物(P)>
「Perkadox BC−FF」(商品名):化薬アクゾ社製のジ−α−クミルパーオキサイド(分解温度151℃)
<シラノール縮合触媒(C)>
「アデカスタブOT−1」(商品名):ADEKA社製のジオクチルスズラウリレート
<キャリア樹脂>
上述の「UE320」(商品名)
無機フィラー(B)として、表1に示す「無機フィラーB1〜B8及び1」を、次のようにして、準備した。
まず、表面未処理の合成水酸化マグネシウムをボールミルにて粉砕し、ふるいにて分級を行い、BET比表面積及び体積平均径を調整し、無機フィラーB1〜B3及び1を得た。
同様に、シランカップリング剤にて表1に示す処理量だけ事前に湿式処理されている合成水酸化マグネシウムを粉砕、分級を行い、無機フィラーB4〜B6を得た。
さらに、脂肪酸「オレイン酸」にて表1に示す処理量だけ事前に湿式処理されている合成水酸化マグネシウムを粉砕、分級を行い、無機フィラーB7を得た。
また、脂肪酸「ステアリン酸」にて表1に示す処理量だけ事前に湿式処理されている天然水酸化マグネシウムを粉砕、分級を行い、無機フィラーB8を得た。
また、水酸化アルミニウム「ハイジライト42H」(商品名、昭和電工社製)とこの水酸化アルミニウムに対して1.0質量%のシランカップリング剤「KBM1003」とを混合して無機フィラーB10を合成した。
無機フィラーB11として、「ソフトン1200」(商品名、白石カルシウム社製、炭酸カルシウム)を用いた。
また、無機フィラーB12として、脂肪酸により2.0質量%の処理量で表面処理されている炭酸カルシウム「ホワイトンSB青」(商品名、白石カルシウム社製)を用いた。
無機フィラーB13として、「BF−300」(商品名、白石カルシウム社製、炭酸カルシウム)を用いた。
無機フィラー2として、「アエロジル50」(シリカ、商品名、エボニックデグザ社製)
無機フィラー3として、「D−1000」(タルク、商品名、日本タルク社製)
まず、表3及び表4に記載の無機フィラー(B1〜B13及び1〜3)と、この無機フィラー100質量部に対して表3及び表4の「シランカップリング剤」欄に示す質量割合(質量部)で加水分解性シランカップリング剤(S)「KBM1003」とを東洋精機製10Lリボンブレンダーに投入して混合し(これにより、シランカップリング剤混合無機フィラー(SF)が得られた)、次いで有機過酸化物(P)の分解温度以下の温度、具体的には室温(25℃)で、用いる樹脂(R)100質量部に対して表3及び表4の「有機過酸化物(P)」に示す質量割合(質量部)の有機過酸化物(P)を密閉型のリボンブレンダーに投入して、室温(25℃)で5分混合して混合物を得た。
この触媒マスターバッチは、キャリア樹脂(E)及びシラノール縮合触媒(C)の混合物である。
この耐熱性シラン架橋性樹脂組成物は、シランマスターバッチと触媒マスターバッチとの混合物であって、上述の少なくとも2種のシラン架橋性樹脂を含有している。
得られた電線を温度80℃湿度95%の雰囲気に24時間放置した(工程(c))。
このようにして、耐熱性シラン架橋樹脂成形体からなる被覆を有する電線を製造した。
表5に示す各成分を同表に示す質量割合(質量部)で用いた以外は上記実施例1等と同様にして、シランマスターバッチ及び触媒マスターバッチをそれぞれ調製した(工程(1)及び工程(2))。
次いで、得られたシランマスターバッチ及び触媒マスターバッチを密閉型のリボンブレンダーに投入して、室温(25℃)で5分ドライドブレンドしてドライドブレンド物を得た。このとき、シランマスターバッチと触媒マスターバッチとの混合割合は、シランマスターバッチ中の樹脂(R)が95質量部で、触媒マスターバッチのキャリア樹脂が5質量部となる割合(表5参照)とした。次いで、このドライドブレンド物を、L/D=24の40mm押出機(圧縮部スクリュー温度190℃、ヘッド温度200℃)に投入し、押出機スクリュー内にて溶融混合を行いながら1/0.8TA導体の外側に肉厚1mmで被覆し、外径2.8mmの電線を得た(工程(3)及び工程(b))。
得られた電線を温度80℃、湿度95%の雰囲気に24時間放置した(工程(c))。
このようにして、耐熱性シラン架橋樹脂成形体からなる被覆を有する電線を製造した。
表5に示す各成分を同表に示す質量割合(質量部)で用いた以外は上記実施例1等と同様にして、導体の外周を耐熱性シラン架橋性樹脂組成物で被覆した電線(外径2.8mm)を得た(工程(a)及び工程(b))。
得られた電線を温度23℃、湿度50%の雰囲気に72時間放置した(工程(c))。
このようにして、耐熱性シラン架橋樹脂成形体からなる被覆を有する電線を製造した。
表5に記載に示す各成分を同表に示す質量割合(質量部)で用いた以外は上記実施例1等と同様にして、シランマスターバッチを調製した(工程(1))。
一方、キャリア樹脂「UE320」5質量部と、シラノール縮合触媒(C)0.1質量部とを2軸押出機にて溶融混合し、触媒マスターバッチを得た(工程(2))。2軸押出機のスクリュー径は35mm、シリンダー温度を180〜190℃に設定した。得られた触媒マスターバッチは、キャリア樹脂(E)及びシラノール縮合触媒(C)の混合物である。
次いで、得られたシランマスターバッチ及び触媒マスターバッチをバンバリーミキサーによって180℃で溶融混合して混合物を得た(工程(3))。シランマスターバッチと触媒マスターバッチとの混合割合は、シランマスターバッチ中の樹脂(R)が95質量部で、触媒マスターバッチのキャリア樹脂が5質量部となる割合(表5参照)とした。このようにして工程(a)を行い、耐熱性シラン架橋性樹脂組成物を調製した。この耐熱性シラン架橋性樹脂組成物は、シランマスターバッチと触媒マスターバッチとの混合物であって、上述の少なくとも2種のシラン架橋性樹脂を含有している。
次いで、この耐熱性シラン架橋性樹脂組成物を、L/D=24の40mm押出機(圧縮部スクリュー温度190℃、ヘッド温度200℃)に導入し、1/0.8TA導体の外側に肉厚1mmで被覆し、外径2.8mmの電線を得た(工程(b))。
得られた電線を温度50℃の温水に10時間浸漬した状態に放置した(工程(c))。
このようにして、耐熱性シラン架橋樹脂成形体からなる被覆を有する電線を製造した。
電線の機械特性として引張試験を行った。この引張試験は、JIS C 3005に準じて行った。電線から導体を抜き取った電線管状片を用いて、標線間25mm、引張速度200mm/分で行い、引張強度(単位:MPa)及び引張伸び(%)を測定した。
引張強度の評価は、引張強度が10MPa以上のものを「A」、6.5MPa以上10MPa未満のものを「B」、6.5MPa未満のものを「C」とし、「A」及び「B」を合格とした。
また、引張伸びが200%以上のものを「A」、125%以上200%以下のものを「B」、125%未満のものを「C」とし、「A」及び「B」を合格とした。
耐熱性はJIS C 3005に規定の「加熱変形試験」に準じて行った。なお、荷重は5N、加熱温度は160℃とした。変形率が40%以下のものを「A」(合格)、40%より大きいものを「B」とした。
電線の押出外観特性として押出外観試験を行った。押出外観は、電線を製造する際に押出外観を観察した。なお、25mm押出機にて線速10mで作製した際に外観が良好だったものを「A」、外観がやや悪かったものを「B」、外観が著しく悪かったものを「C」とし、「A」及び「B」を製品レベルとして合格とした。
シランカップリング剤混合無機フィラー(SF)の長期保管性として、実施例及び比較例それぞれにおける工程(a)で調製した各シランカップリング剤混合無機フィラーを長期保管した後に、実施例及び比較例と同様にして、工程(a)、工程(b)及び工程(c)を行って電線を製造し、このときの電線の押出外観試験を行った。シランカップリング剤混合無機フィラーの保管は40℃で6ヶ月間とし、調製後にアルミニウム製の袋中に梱包した。また、上述の実施例及び比較例と同様にして、機械特性及び耐熱性を評価した。
評価基準は、25mm押出機にて線速10mで作製した際に外観が良好であり、かつ機械特性及び耐熱性の評価に変化がなかったものを「A」、外観が多少悪化したが、製品上問題がなかったものを「B」、外観が著しく悪かったもの、又は、機械特性及び耐熱性の少なくとも一方の評価が低下したものを「C」とし、「A」及び「B」を合格とした。
このように、本発明により、工程(1)において加水分解性シランカップリング剤をリボンブレンダーで溶融混合しても加水分解性シランカップリング剤の揮発を抑えることができ、優れた、機械特性、難燃性及び外観を有する耐熱性シラン架橋樹脂成形体を製造できることが分かった。
一方、比較例1〜9は、機械特性、耐熱性及び外観の少なくともいずれか1つが劣り、これらすべてを満足させることができなかった。特に、比較例5は押出外観特性及び長期保管性において発泡し、外観に劣っていた。
Claims (19)
- 樹脂(R)100質量部と、有機過酸化物(P)0.01〜0.6質量部と、BET比表面積が14m2/g以下の無機フィラー(B)10〜400質量部と、該無機フィラー(B)100質量部に対して、前記無機フィラー(B)と化学結合しうる基及びラジカルの存在下で前記樹脂(R)にグラフト反応しうる基を有する加水分解性シランカップリング剤(S)0.5〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒(C)とを溶融混合して、混合物を得る工程(a)と、
前記混合物を成形する工程(b)と、
前記成形体を水と接触させて、耐熱性シラン架橋樹脂成形体を得る工程(c)と
を有し、
前記工程(a)が、下記工程(1)及び工程(3)を有し、下記工程(1)で樹脂(R)の一部を溶融混合する場合にさらに下記工程(2)を有する、
工程(1):前記有機過酸化物(P)の分解温度未満の温度で、前記有機過酸化物(
P)と前記無機フィラー(B)と前記加水分解性シランカップリング剤(S)とを混
合し、次いで、得られた混合物と前記樹脂(R)の全部又は一部とを前記有機過酸化
物(P)の分解温度以上で溶融混合して、シランマスターバッチを調製する工程
工程(2):前記樹脂(R)の残部と前記シラノール縮合触媒(C)とを溶融混合し
て、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(3):前記シランマスターバッチと前記シラノール縮合触媒(C)又は前記触
媒マスターバッチとを混合する工程
ことを特徴とする耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。 - 前記工程(1)が、前記有機過酸化物(P)の分解温度以下の温度で、前記無機フィラー(B)と前記加水分解性シランカップリング剤(S)と混合し、次いで、この混合物と前記有機過酸化物(P)を混合した後に、前記樹脂(R)の全部又は一部を有機過酸化物(P)の分解温度以上の温度で溶融混合する請求項1に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記無機フィラー(B)が、5μm以下の体積平均径を有する請求項1又は2に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記樹脂(R)が、前記工程(1)と前記工程(2)の両工程において混合される請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記無機フィラー(B)の少なくとも1種が、金属水和物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記無機フィラー(B)の少なくとも1種が、水酸化マグネシウムである請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記無機フィラー(B)の少なくとも1種が、炭酸カルシウムである請求項1〜6のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記工程(1)が、密閉型のミキサーで行われる請求項1〜7のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 樹脂(R)100質量部と、有機過酸化物(P)0.01〜0.6質量部と、BET比表面積が14m 2 /g以下の無機フィラー(B)10〜400質量部と、該無機フィラー(B)100質量部に対して、前記無機フィラー(B)と化学結合しうる基及びラジカルの存在下で前記樹脂(R)にグラフト反応しうる基を有する加水分解性シランカップリング剤(S)0.5〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒(C)とを溶融混合して、混合物を得る工程(a)と、
前記混合物を成形する工程(b)と、
前記成形体を水と接触させて、耐熱性シラン架橋樹脂成形体を得る工程(c)と
を有し、
前記工程(a)が、下記工程(1)及び工程(3)を有し、下記工程(1)で樹脂(R)の一部を溶融混合する場合にさらに下記工程(2)を有し、
工程(1):前記樹脂(R)の全部又は一部と前記有機過酸化物(P)と前記無機フ
ィラー(B)と前記加水分解性シランカップリング剤(S)とを前記有機過酸化物(
P)の分解温度以上で溶融混合して、シランマスターバッチを調製する工程
工程(2):前記樹脂(R)の残部と前記シラノール縮合触媒(C)とを溶融混合し
て、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(3):前記シランマスターバッチと前記シラノール縮合触媒(C)又は前記触
媒マスターバッチとを混合する工程
前記無機フィラー(B)の少なくとも1種が、炭酸カルシウムである
ことを特徴とする耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。 - 前記炭酸カルシウムが、5μm以下の体積平均径を有する請求項9に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記樹脂(R)が、前記工程(1)と前記工程(2)の両工程において混合される請求項9又は10に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記無機フィラー(B)の少なくとも1種が、金属水和物である請求項9〜11のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記無機フィラー(B)の少なくとも1種が、水酸化マグネシウムである請求項9〜12のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記工程(1)が、密閉型のミキサーで行われる請求項9〜13のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 樹脂(R)100質量部と、有機過酸化物(P)0.01〜0.6質量部と、BET比表面積が14m 2 /g以下の無機フィラー(B)10〜400質量部と、該無機フィラー(B)100質量部に対して、前記無機フィラー(B)と化学結合しうる基及びラジカルの存在下で前記樹脂(R)にグラフト反応しうる基を有する加水分解性シランカップリング剤(S)0.5〜15.0質量部と、シラノール縮合触媒(C)とを溶融混合して、混合物を得る工程(a)を有し、
前記工程(a)が、下記工程(1)及び工程(3)を有し、下記工程(1)で樹脂(R)の一部を溶融混合する場合にさらに下記工程(2)を有する、
工程(1):前記有機過酸化物(P)の分解温度未満の温度で、前記有機過酸化物(
P)と前記無機フィラー(B)と前記加水分解性シランカップリング剤(S)とを混
合し、次いで、得られた混合物と前記樹脂(R)の全部又は一部とを前記有機過酸化
物(P)の分解温度以上で溶融混合して、シランマスターバッチを調製する工程
工程(2):前記樹脂(R)の残部と前記シラノール縮合触媒(C)とを溶融混合し
て、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(3):前記シランマスターバッチと前記シラノール縮合触媒(C)又は前記触
媒マスターバッチとを混合する工程
ことを特徴とする耐熱性シラン架橋性樹脂組成物の製造方法。 - 請求項15に記載の製造方法により製造されてなる耐熱性シラン架橋性樹脂組成物。
- 請求項1〜14のいずれか1項に記載の製造方法により製造されてなる耐熱性シラン架橋樹脂成形体。
- 請求項17に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体を含む耐熱性製品。
- 前記耐熱性シラン架橋樹脂成形体が、電線又は光ファイバケーブルの被覆として設けられている請求項18に記載の耐熱性製品。
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