JP2826767B2 - 蓄熱材 - Google Patents

蓄熱材

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JP2826767B2
JP2826767B2 JP2186681A JP18668190A JP2826767B2 JP 2826767 B2 JP2826767 B2 JP 2826767B2 JP 2186681 A JP2186681 A JP 2186681A JP 18668190 A JP18668190 A JP 18668190A JP 2826767 B2 JP2826767 B2 JP 2826767B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は蓄熱材に関し、更に詳しくはパラフィン類を
主成分として用いた蓄熱材に関する。
〔従来の技術〕
従来蓄熱材はその原理から物質の顕熱を利用するも
の、物質の相変化潜熱を利用するもの、物質の化学反応
熱を利用するもの等がある。現在実用的な面より物質の
相変化潜熱を利用する蓄熱材が注目を集めており、蓄熱
式空調機器、蓄熱式建材、各種保温器具や保温装置等に
利用されつつある。
この相変化潜熱を利用する蓄熱材の一つとしてパラフ
ィン等の有機物質を用いた所謂有機蓄熱材があり、この
有機蓄熱材は長期寿命に優れているので最近特に注目さ
れている。
元来、潜熱型蓄熱材は無機系、有機系を含め固体から
液体への相変化時に蓄熱し、液体から固体への相変化時
に放熱する。このためこれら潜熱型蓄熱材を利用するた
めには液化時に流動して漏れないような形態を保つよう
な配慮が要求される。このために開発された密閉容器や
袋に収納する方法に於いては、充分なる強度を有する容
器等を使用すればコストが高く実用的ではなく、また簡
易的なものにすれば容易に破損して液が漏れたり溢れた
りする恐れがあり、長期間使用する点では問題が生じ
る。
従って容器に収納する手段に代わって、(イ)多孔質
物質内に収納する方法、(ロ)マイクロカプセル化する
方法等が提案され、またこれらを組み合わせた方法が使
用されつつある。更にはまた、(ハ)ポリオレフィン、
通常は架橋ポリオレフィンに収納させてカプセル中に閉
じ込める方法も提案されている。
しかしながら上記各方法によってもパラフィン等の滲
み出しが完全には防止できずに大きな問題となってお
り、その他製造上の工程が複雑でコスト高となる問題が
生じる。またその他の従来方法として結晶性ポリエチレ
ン等の結晶状ポリオレフィンに練り込む方法も知られて
いるが、その成形品は高温ではパラフィン等が相分離し
て滲み出す問題が生じ、また低温では機械的強度が低く
て脆く容易に破損する問題等が生じる。例えば深夜電力
を利用する蓄熱式床暖房にこの種の蓄熱材を適用しよう
とする場合、機械的強度が低いと限られた空間内に能率
良くしかも所望の形状或いは配置状態で設置することが
困難であり、また蓄熱のための外部からのエネルギーの
供給が必要となり、蓄熱後の高温度に於ける初期形状の
維持等にも困難が生じて正常な長期運転が不可となりや
すい。
一方、蓄熱型蓄熱材は前記したように、相変化温度
(パラフィン等では結晶転移温度、即ち融点とも言う)
は、本質的に物質によってほぼ一定の値であり、したが
って所望の蓄熱温度、放熱温度はその都度相応する相変
化温度を有する蓄熱材物質を選ぶ必要がある。本来所望
の蓄熱温度を有する物質が存在することは極めて稀であ
り、簡単、容易には見つからないのが実情である。たと
え存在しても前記したような相変化による液化の問題等
があって、実際的には使いにくい面があり、これらの問
題が解決され、更に蓄熱温度、放熱温度を希望に応じ適
宜に調節できるようになれば極めて好都合である。例え
ば人体温度付近の温度で使用しうる蓄熱材等を製作する
場合等に於いて蓄熱材の蓄熱温度、放熱温度を適宜に調
節できれば極めて有利となる。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明が解決しようとする課題は、パラフィン類の従
来の有機蓄熱材の上記難点を解消することであり、更に
詳しくは蓄熱量が大きく、用いたパラフィン類が使用状
態で溶融・液化することなく、低温で容易に破損するこ
となく、適度の柔軟性を有し、しかもその蓄熱温度を適
宜に調節できる蓄熱材を開発することである。
〔課題を解決するための手段〕
この課題はパラフィン100重量部と、炭化水素系有機
高分子性バインダ成分5〜50重量部とを主成分としてな
り、該パラフィン類が最高結晶転移温度のことなる2種
以上のパラフィン類からなることを特徴とする蓄熱材を
提供することにより解決される。
本発明に於いて使用される有機高分子性バインダ成分
は、(a)熱可塑性エラストマー、(b)炭化水素ゴム
1〜20重量部と結晶性ポリオレフィン1〜20重量部の混
合物、(c)炭化水素ゴムと該ゴムの架橋剤からなる架
橋(但しシラン系化合物による架橋を除く)される組成
物、(d)炭化水素ポリマー、加水分解しうるシラン系
化合物及び有機過酸化物を主成分としてなる水架橋性組
成物からなる(a)〜(d)の群から選ばれた少なくと
も1種類である。但し、上記(c)及び(d)の場合に
はこれ等バインダ成分は、パラフィン類と予め混合され
た組成物とされ、この組成物が架橋されるものである。
本成分はゴム的性質を有し、パラフィン類と充分混合さ
れ、パラフィン類をうまく包み込んだ状態で担持するの
でパラフィン類成分量よりも圧倒的に少ない量ながら、
常温〜40℃以上の高温度に於いてもパラフィン類の液
化、相分離やブリードを生じ難く、形状保持能があって
しかも成形加工性に優れている。また最高結晶転移温度
の異なるパラフィン類を2種以上併用するので蓄熱温
度、放熱温度の選択範囲が広がると共に、パラフィン類
の選択とその比率を自由に選択することにより蓄熱温
度、放熱温度を適宜に調節することができる。
〔発明の作用並びに構成〕
本発明に於いて使用されるパラフィン類としては、融
点もしくは流動点が−20〜100℃のものであり、好まし
い具体例としては、各種パラフィン、ロウ、ワックスを
はじめ、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸やポリ
エチレングリコール等のアルコール類を例示することが
でき、これら2種以上の混合物として使用される。
JIS K 7121(プラスチックの転移温度測定方法)に従
って測定すると、パラフィン類のあるものは唯一つの結
晶転移温度を有し(この場合はその温度がTmaxとな
る)、またあるものは2以上の多数の結晶転移温度を有
する。
本発明で使用するパラフィン類は必ずしも明確な融点
(全体が固体から液体に相変化する温度)を示すものに
限定しないが、多くのパラフィン類については一般にT
maxが融点に該当する。このTmaxの異なる2種以上のパ
ラフィン類を併用して用いると、各々の結晶転移温度が
蓄熱に利用しうると想定されるが、本発明者らの検討に
よれば、用いた2種以上の各々の結晶転移温度とは全く
異なった新たな結晶転移温度が得られ、後述する有機高
分子性バインダ成分と充分均一に混合され、溶融・滴下
しない状態の組成物の状態に至っても新たな結晶転移温
度が蓄熱、放熱に利用できることを発見し、本発明に至
った経緯がある。
新たな結晶転移温度は唯一の転移温度(主としてメイ
ンの転移温度)を有する場合もあり、また2以上の多数
の転移温度の場合もあり、更に蓄熱時の転移温度(即ち
蓄熱温度)と放熱時の転移温度(即ち放熱温度)がほぼ
同じ場合もあり、またかなり異なる場合もある。これら
の転移温度は2種以上のパラフィン類の選択と混合比率
によって調節でき、望む蓄熱温度、放熱温度を得て、利
用することができる。
本発明に於いて併用される2種以上のパラフィン類の
選択は、特に制限はないが、基本的によく混合されるも
のが好ましい。2種以上のパラフィン類の混合比率も特
に制限はなく、任意の比率で使用しうるが、希望する蓄
熱温度、放熱温度を得る目的から、通常各々5〜95重量
%の範囲で使用する。好ましい併用例、その割合は後述
する実施例で示される。
本発明に於いて用いられる有機高分子性バインダ成分
は以下に示される(a)〜(e)の群から選ばれる少な
くとも1種である。
(a)熱可塑性エラストマー: ゴム並びにプラスチックスの分野で「熱可塑性エラス
トマー」として知られているものが例示できる。特に少
なくとも前記した意味での室温以上で且つ使用したパラ
フィン類のTmax+10℃の温度域では、好ましくは少なく
とも室温以上で且つTmax+20℃の温度域では、ゴム弾性
を有するものが使用される。勿論、Tmax+20℃より高温
度でもゴム弾性を持続するものも好ましい。具体的には
スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、エステル系等
の各種の従来公知の熱可塑性エラストマーの中から上記
条件に適合したものが適宜に選択して使用される。
好ましい具体例としては、スチレン系ブロック共重合
体エラストマー及びオレフィン系エラストマーである。
この際のスチレン系ブロック共重合体エラストマーとし
ては、例えばA−B−A(但しAはポリスチレン、Bは
ポリブタジエン、ポリイソプレン、又はこれらに水素を
付加したエチレン・ブチレン等を示す)を例示できる。
またオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例え
ばエチレン−プロピレン共重合体やエチレン−プロピレ
ン−ジエン三元共重合体にポリエチレン又はポリプロピ
レンが混合された混合物、エチレン−プロピレン共重合
体やエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体にエチ
レン又はプロピレンがグラフト重合されたもの等を例示
することができる。かかる熱可塑性エラストマー類は、
Tmax以下の温度ではゴム弾性を有するが故に、パラフィ
ン類をうまく包み込むことができる。更に上記エラスト
マーはTmaxより高温度に於いてもゴム弾性を持続するた
めに、そのような高温度に於いても溶融したり滴下する
こともなく、またパラフィン類の相分離もなくブリード
を生じることもない蓄熱材を得ることができる。
(c)炭化水素ゴムと結晶性ポリオレフィンとの混合
物: 炭化水素ゴム1〜20重量部と結晶性ポリオレフィン1
〜20重量部の混合物である。
結晶性ポリオレフィンとしては、その成分としてポリ
メチレン、ポリエチレン、ポリスチレン等のホモポリマ
ー、メチレンを主体としてエチレン、プロピレン等が共
重合したもの、エチレンを主体としてメチレン、プロピ
レン、ブテン等が共重合したもの、プロピレンを主体と
して他のオレフィンが共重合したもの等オレフィン同士
のコポリマー、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレ
フィンと他のモノマー、例えば酢酸ビニル、アクリル
酸、メタクリル酸等とのコポリマー等であるが、就中JI
S K 7121によって測定される最高結晶転移温度が使用し
たパラフィン類のTmaxより少なくとも10℃高いもの、好
ましくはTmaxより少なくとも20℃高いものが使用され
る。特にこれら結晶性ポリオレフィンの転移温度は、蓄
熱材を床暖房装置等の如く熱源を有する蓄熱装置や器具
等に調温装置を取り付けて使用する場合には、用いるパ
ラフィン類のTmaxよりも充分に高いことが好ましい。例
えばパラフィン類のTmaxが46℃の場合には結晶性ポリオ
レフィンの当該転移温度は60℃以上、好ましくは80℃以
上、より好ましくは100℃以上である。
炭化水素ゴムとしては天然ゴム、SBR、BR、IR、IIR、
EPM、EPDM及びエチレン−酢酸ビニル共重合体ゴム等が
例示される。これら各炭化水素ゴムはそれ自体は夫々良
く知られたものであり、夫々のゴムとしては従来から知
られたものがいずれも使用される。この炭化水素ゴムの
使用により本組成物にゴム的特性が賦与され、パラフィ
ン類に対する相溶性が向上する。一方結晶性ポリオレフ
ィンの使用により変形温度が高温度に保持される。
(d)炭化水素ゴムと炭化水素ゴムの架橋剤からなる架
橋(但しシラン系化合物による架橋を除く)される組成
物 該組成物は充分なゴム的特性を有し、また架橋するこ
とにより変形温度が高温度に保持される。
ここで使用される炭化水素ゴムとしては上記(c)で
記載したものと同種のものが挙げられ、炭化水素ゴムの
架橋剤としては該ゴムを架橋させうるものであれば広く
使用できる。天然ゴム、SBR、BR、IR、IIR、EPM、EPDM
では硫黄系加硫剤が好ましく、また天然ゴムSBR、IIRで
はp−キシレンジオキシム等のオキシム類も使用でき
る。また天然ゴム、EPM、EPDM、エチレン酢酸ビニル共
重合体ゴムではジクミルパーオキサイド等の有機過酸化
物系架橋剤も用いることができる。架橋剤の使用量は炭
化水素ゴム100重量部に対し、0.5〜20重量部程度が好ま
しい。
またこの組成物には必要に応じ硫黄系架橋剤を用いる
場合に加硫促進剤を併用することもできる。この加硫促
進剤としては、例えばジフェニルグアニジン等のグアニ
ジン系促進剤、2−メルカプトベンゾチアゾール等のチ
アゾール系促進剤、テトラメチルチウラムジスルフィド
等のチウラム系促進剤を例示でき、その他アルデヒド−
アミン系化合物、アルデヒド−アンモニア系化合物、ジ
チオカルバメート系化合物等も使用することができる。
更には酸化亜鉛等の金属酸化物、トリエタノールアミン
等のアミン類も使用できる。オキシム類を架橋剤として
使用した場合には、硫黄や上記加硫促進剤の他に酸化鉛
を助剤として使用することが好ましい。
有機過酸化物を架橋剤として用いた場合には、硫黄、
オキシム類、上記加硫促進剤の他にビニル−トリス(β
−メトキシエトキシ)シラン等のシラン系カップリング
剤、アクリルエステル系化合物等を架橋助剤として使用
することもできる。この架橋助剤の使用量は適度の架橋
度を得るに適した量で適宜に使用されれば良く、通常炭
化水素ゴム100重量部に対し、0〜30重量部程度であ
る。
本組成物とパラフィン類とを主としてなる蓄熱材はJI
S C 3005に従って測定した架橋度に対して1%以上、好
ましくは2%以上に架橋されることが好ましい。架橋度
が1%以上、好ましくは2%以上とすることにより、蓄
熱材の温度が使用したパラフィン類のTmax以上となって
も溶融や滴下することなく形状保持を可能とする。
(e) 炭化水素系ポリマー、加水分解しうるシラン系
化合物及び有機過酸化物を主成分としてなる水架橋性組
成物: 該組成物は水や湿気の存在下で架橋する性質(水架橋
性)を有し、水架橋した状態に於いてはゴム的特性を示
す。
ここで使用される炭化水素系ポリマーとしては、天然
ゴム、SBR、BR、IR等の汎用ゴム類をはじめ、その他ポ
リメチレン、ポリエチレン、ポリスチレン等のホモポリ
マー、メチレンを主体としてエチレン、プロピレン等が
共重合したもの、エチレンを主体としてメチレン、プロ
ピレン、ブテン等が共重合したもの、プロピレンを主体
として他のオレフィンが共重合したもの等のオレフィン
同士のコポリマー、エチレン、プロピレン、ブテン等の
オレフィンと他のモノマー例えば酢酸ビニル、アクリル
酸、メタクリル酸等とのコポリマー等が挙げられる。
シラン系化合物としては、一般式RR′SiY2(但し、R
は1価のオレフィン性不飽和を含む炭化水素基又はハイ
ドロカーボンオキシ基、Yは加水分解しうる有機基、
R′は基R又は基Yを表す)で表される化合物が使用さ
れ、更に具体例としてはこの種シラン化合物として既知
のもの、例えばビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ
メトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン等が挙
げられる。シラン系化合物は前記炭化水素系ポリマー10
0重量部に対して一般に0.05〜10重量部、特に0.5〜5重
量部で使用される。該シラン系化合物は後記する有機過
酸化物の作用により炭化水素系ポリマーにグラフトさ
れ、且つ水により炭化水素系ポリマー間に架橋点を形成
する作用をなす。
有機過酸化物としては、その分解温度以上、特に100
℃以上の温度に於いて前記炭化水素系ポリマーに遊離ラ
ジカルを発生させ得る化合物が使用され、具体例として
例えばジクミルパーオキサイド、2,5−ジ−(t−ブチ
ルパーオキシ)−ヘキシン−3等が挙げられる。有機過
酸化物は前記炭化水素ポリマー100重量部に対して一般
に0.005〜2重量部、特に0.05〜0.5重量部で使用され
る。該有機過酸化物は前記炭化水素系ポリマーに遊離ラ
ジカルを発生させ、前記シラン系化合物を炭化水素系ポ
リマーにグラフトさせる作用をなす。
本組成物に於いては必要に応じシラン系化合物の縮合
触媒を使用することもできる。この際の縮合触媒として
は、通常シラノール縮合触媒として知られているものが
使用され、例えばジブチル錫ジラウレート、酢酸第一
錫、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛の如きカルボン酸
塩、チタン酸エステル、キレート化合物の如き有機金属
化合物等が挙げられる。この種縮合触媒の使用量は前記
炭化水素系ポリマー100重量部に対し、0.1重量部以下程
度であり、該縮合触媒は水による架橋反応を促進する効
果を有する。
本組成物はパラフィン類と共に有機過酸化物の分解温
度以上、通常140℃以上に設定された密閉混合機内で少
なくとも30秒以上充分混合される。この工程で有機過酸
化物が炭化水素系ポリマーにラジカルを発生させ、シラ
ン系化合物が該炭化水素系ポリマーにグラフトされ、こ
の結果、本組成物は水架橋性となる。
本組成物とパラフィン類と混合してなる蓄熱材の水架
橋後の架橋度は1%以上、好ましくは2%以上である。
本発明に於いては、上記バインダ成分(c)及び
(d)の場合には、これ等バインダ成分は予めパラフィ
ン類と混合された組成物とされ、この組成物が架橋され
る。
本発明に於いてはパラフィン類100重量部に対して有
機高分子性バインダ成分は5〜50重量部である。特に5
〜30重量部程度とするのが好ましい。5重量部未満では
パラフィン類のTmax以下の温度において柔軟性がなく、
取扱性に難があり、またTmax以上の高温度に於いて蓄熱
材を所望の形状に保持し難くなり、一方50重量部を超え
る過大量ではパラフィン類の配合量が少なくなって蓄熱
量もそれに比例して少なくなる。
本発明に於いては、パラフィン類と有機高分子性バイ
ンダ成分の他に必要に応じて各種の添加剤を配合するこ
とができる。例えば老化防止剤、酸化防止剤、着色剤、
顔料、帯電防止剤の他、用途に応じて防黴剤、難燃剤、
防鼡剤等である。
本発明蓄熱材はその使用に際しては、原則的には従来
のこの種蓄熱材の使用態様が全て採用できるが、特にシ
ート状の本発明蓄熱材を防護フィルム、例えばポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリエステル等のフィルムで被
覆し、この上から更にアルミニウムの如き金属箔を用い
て均熱化層を設けるのが好ましい。また前記フィルムと
アルミニウム等の金属箔を貼り合わせたラミネートフィ
ルムで被覆しても良い。
尚本発明に置いては、パラフィン類と炭化水素系有機
高分子性バインダ成分を混合することが必要であるが、
この際機械的手段によって混合されることが好ましい。
特に上記高分子性バインダ成分として炭化水素系ゴム
とポリオレフィン類を併用する場合、又は熱可塑性エラ
ストマーを使用する場合、上記2つの場合を併用する場
合にはあえて機械的手段に依らなくてもパラフィン類と
バインダ成分とを混合できるが、その他の場合にはこの
機械的手段による混合が極めて好ましい。該機械的手段
にてこの混合とは、パラフィン類と炭化水素系有機高分
子性バインダ成分の双方中の少なくとも1成分の溶融物
に残余の成分が少なくとも膨潤、好ましくは溶解するこ
とにより、或いは高温度により、混合対象となる何れの
成分も外力にて流動変形しうる状態に於いて撹拌、混
合、或いは混練する行為を意味する。例えば100〜200℃
に保持されたパラフィン類の溶融物に炭化水素系有機高
分子性バインダを溶解し、得られる高温度の溶液を撹拌
混合する態様、混合各成分が軟化する温度、例えば50〜
250℃で2本ロール、バンバリーミキサ、押出機、2軸
混練押出機等の通常の混練機を使用して混練混合する態
様等が例示される。混合の程度は、可及的に充分である
ことが好ましいが、一般には1〜150分程度の混合を行
って目視にて一様に混合されたと判断される程度で本発
明の目的は達成される。
このように炭化水素系有機高分子性バインダ成分とパ
ラフィン類とを機械的手段にて混合して一様な組成物と
した場合、たとえ該パラフィン類の使用量が上記の如く
大量(この量はバインダ成分100重量部当たりのパラフ
ィン類量に換算すると、333〜2000重量部になる)であ
っても、驚くべきことに、得られた組成物は成形加工性
に富み、しかもパラフィン類の移行問題が高度に改善さ
れる。機械的手段による均一混合という一見常識的とも
思われる手段ではあるが、これにより上記両成分を上記
の如き割合で一様均一な組成物となしうることは正に予
想外のことといわざるを得ないことである。
〔実 施 例〕
以下に実施例を示して本発明を詳しく説明する。
実施例1〜14、比較例1〜7 第1表に示す組成(割合は全て重量部)配合で各成分
を充分均一に混合した後、成形して厚さ5mmの蓄熱材を
得た。この際、実施例1、実施例3、実施例7〜11、実
施例14及び比較例1〜7は、130〜180℃に加熱した容器
中で充分撹拌、混合し、溶融混合物を型に流し込んで成
形したものであり、実施例2は予めプレブレンドし、シ
リンダー温度200℃の2軸混練押出機で混合した後、型
に流し込んで成型した上、温水で架橋させたものであ
る。また実施例4〜6及び実施例12〜13は室温でロール
混合した後、165℃で30分プレス成型した。
各実施例及び比較例につき、第1表に示す特性を以下
の方法で測定した。
*1:商品名「135゜Fパラフィン」日本精蝋社製、融点57
℃ *2:商品名「125゜Fパラフィン」日本精蝋社製、融点52
℃ *3:商品名「115゜Fパラフィン」日本精蝋社製、融点47
℃ *4:流動パラフィン、融点なし *5:ゴム用ステアリン酸 *6:日本油脂社製、商品名「PEG 1540」ポリエチレング
リコール *7:スチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共
重合体 *8:エチレン−酢酸ビニル共重合体(VA 25%、MFR 3g/
10分,結晶化度18%) *9:EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エ
チレン比率65%) *10:ポリエチレン(密度0.95g/cm3、MFR 0.4g/10分) *11:ジクミルパーオキサイド *12:ビニルトリメトキシシラン *13:ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリ
ン) *14:チバガイギー社製、商品名「イルガノックス 101
0」、 テトラキス−[メチレン−3−(3′−5′−ジ第3
−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]メタン 最大蓄熱温度放熱温度範囲: JIS K 7121に準じてDSC装置で測定。これらの特性は
使用したパラフィン類の示す結晶転移温度特性が反映し
た本蓄熱材の蓄熱、放熱特性を表すもので、最大蓄熱温
度とは、最も大きな蓄熱或いは吸熱を示す温度であり、
この最大蓄熱温度以外に目立った蓄熱を示す温度がある
場合にはかかる温度を、またある温度範囲で蓄熱が認め
られた場合にはその温度範囲を、「蓄熱温度範囲」とし
て第1表に示した。一方、放熱についても蓄熱と同様に
最大放熱温度、及び放熱温度範囲を用いて第1表に示し
た。
蓄熱量:JIS K 7122に準じてDSC装置により解熱(kj/k
g)を測定し、kcal/kgに換算して表示した。
柔軟性:地熱材を10mm巾の短冊状に切り取り、両端を
把持して90゜に曲げ、破損するかどうかを調べて破損の
ないものを良とした。
形状保持性:最大蓄熱温度よりも20℃高い温度のオー
ブン中で充分加熱し、その状態を目視観察し、形状的に
見て略原形を保っているものを良とした。不良は溶融し
たものである。
滲み出し性:形状保持性が良であった蓄熱材について
ポリエチレンフィルム袋中に封入し、最大蓄熱温度より
も20℃高い温度に24時間放置してパラフィン類が分離し
ているかどうかを目視観察した。殆ど以上のないものを
良とした。不良は明らかに分離が認められるものであ
る。
測定結果を第1表に示すが、実用的な特性については
本発明の実施例1〜14の蓄熱材はいずれも30kcal/kg以
上の蓄熱量を有し、実用的に必要な他の特性も満足する
ものであった。一方比較例1〜4は形状保持性、柔軟
性、滲み出し性が劣っているか、蓄熱量が不足である。
更に蓄熱、放熱特性について見ると、1種類のパラフィ
ン類を用いた比較例1〜7は用いたパラフィン類の
Tmax、又は融点に於いて或いはその近傍温度に於いて蓄
熱、放熱特性を示すが、2種類以上のパラフィン類を用
いた実施例1〜14は、比較例と照合すると明らかなよう
に、異なった最大蓄熱温度、最大放熱温度を示し、大多
数は低温側にシフトしている。第1表の実施例1〜14で
は各種パラフィン類とその混合比を変えて測定した蓄
熱、放熱特性を示してあるが、これより所望の蓄熱、放
熱温度を微妙に調熱しうることが明白である。更に、最
大蓄熱温度、放熱温度以外の蓄熱温度範囲、放熱温度範
囲に示した温度ももちろん利用しうる。尚、本発明の蓄
熱材は実施例に限定されることなく、あらゆるパラフィ
ン類の選択と2種以上のパラフィン類の任意の混合比類
が必要に応じて採用しうる。
〔発明の効果〕
本発明の蓄熱材はパラフィン類の溶融、液化、相分離
やブリードを生じ難く、また蓄熱温度の選択範囲が広
く、この広い温度範囲から適宜に蓄熱温度を選択して決
定できる。従って例えば人体温度付近で使用する蓄熱
材、深夜電力利用の蓄熱式床暖房用蓄熱材、排熱回収装
置用蓄熱材、更に温室や各種蓄熱装置用の蓄熱材、機器
・器具用蓄熱材等の製造等に極めて有利である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−187782(JP,A) 特開 昭63−75083(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09K 5/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パラフィン100重量部と、炭化水素系有機
    高分子性バインダ成分5〜50重量部とを主成分としてな
    り、該パラフィン類が最高結晶転移温度のことなる2種
    以上のパラフィン類からなり、上記炭化水素系有機高分
    子性バインダ成分が(a)熱可塑性エラストマー、
    (b)炭化水素系ゴム1〜20重量部と結晶性ポリオレフ
    ィン1〜20重量部の混合物、(c)炭化水素系ゴムと該
    ゴムの架橋剤との混合物、(d)炭化水素系ポリマー、
    加水分解しうるシラン系化合物及び有機過酸化物を主成
    分としてなる混合物からなる(a)〜(d)群から選ば
    れた少なくとも1種類であり、更に、上記バインダ成分
    が上記(c)及び(d)の場合には、パラフィンとバイ
    ンダ成分とが予め混合された組成物が架橋(但し(c)
    の場合にはシラン系化合物による架橋を除く)されたも
    のであることを特徴とする蓄熱材。
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