JP2826766B2 - 蓄熱材 - Google Patents

蓄熱材

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JP2826766B2
JP2826766B2 JP2186680A JP18668090A JP2826766B2 JP 2826766 B2 JP2826766 B2 JP 2826766B2 JP 2186680 A JP2186680 A JP 2186680A JP 18668090 A JP18668090 A JP 18668090A JP 2826766 B2 JP2826766 B2 JP 2826766B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は蓄熱材に関し、更に詳しくは熱エネルギーを
貯蔵し、利用するための蓄熱装置等に使用するパラフィ
ン類を主成分とした蓄熱材に関する。
〔従来の技術〕
従来蓄熱材はその原理から物質の顕熱を利用するも
の、物質の相変化潜熱を利用するもの、物質の化学反応
熱を利用するもの等がある。現在実用的な面より物質の
相変化潜熱を利用する蓄熱材が注目を集めており、熱回
収蓄熱装置、蓄熱式空調機器、蓄熱式建材、各種保温器
具や保湿装置等に利用されつつある。
この相変化潜熱を利用する蓄熱材として、ペンタエリ
スリトール、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、パラフ
ィン等の有機物質を用いた所謂有機蓄熱材があり、この
有機蓄熱材は無機蓄熱材のような過冷却、相分離現象が
少なく、長期寿命に優れているので最近特に注目されて
おり、中でも100℃以下の熱エネルギー貯蔵用としては
パラフィン類が有望視されている。
パラフィン類を蓄熱材とした蓄熱装置に於いては、パ
ラフィン類の蓄熱による液化のため、例えばパイプ内に
蓄熱材を収納する等、密閉容器が必要であり、蓄熱装置
としては自ずと間接熱交換方式にする必要があり、また
蓄熱過程、放熱過程での熱伝導を充分に利用できるよう
にしなければならない等、課題も多い。
従って容器に収納する手段に代わって、マイクロカプ
セル化する方法が提案され、ポリオレフィン、通常は架
橋ポリオレフィンに蓄熱材を収納させてカプセル中に閉
じ込める方法も提案されているが、製造上の工程が複雑
でコスト高となる問題が生じ、その成形品は高温でパラ
フィン等が相分離して滲み出す問題、蓄熱材相互の融着
により表面積が減少し、その結果熱変換率減少問題等が
ある。この種蓄熱装置に用いる蓄熱材としては、蓄熱材
の蓄熱や放熱性即ち熱変換性が大きく、効率を良くする
ため、直接熱変換型装置を適用できる蓄熱材であること
が望まれている。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明が解決しようとする課題は、パラフィン類を用
いた従来のこの種有機蓄熱材の上記難点を解消すること
であり、更に詳しくは蓄熱量が大きく、用いたパラフィ
ン類が液化することなく、直接熱交換型蓄熱装置に適用
でき、しかも熱交換性の優れた蓄熱材を開発することで
ある。
〔課題を解決するための手段〕
この課題はパラフィン類100重量部と、炭化水素系有
機高分子性バインダ成分5〜30重量部とを主成分として
なり、且つ比重調節材成分(但し発泡により調節される
ものを除く)を更に含有することを特徴とする蓄熱材を
提供することにより解決される。
本発明に於いて使用される有機高分子性バインダ成分
は、ゴム的特性を有し、パラフィン類と充分混合され、
パラフィンをうまく包み込んだ状態で担持するので、パ
ラフィン類成分量よりも圧倒的に少ない量ながら、常温
〜40℃以上の高温度に於いてもパラフィン類の液化や相
分離を生じ難く、形状保持能があってしかも成形加工性
に優れている。特にこの混合の際機械的手段により混合
することが好ましく、この機械的手段による混合によっ
て、圧倒的に少ない上記バインダ成分をもってパラフィ
ン類をうまく包み込んだ状態で担持せしめうることがよ
り容易となる。加えて比重調節材成分の含有量を調節し
て熱媒体との比重とほぼ同一とすることができるため直
接熱交換型蓄熱装置に適用でき、熱交換性即ち蓄熱性や
放熱性が大きく向上する。
〔発明の作用並びに構成〕
本発明に於いて使用されるパラフィン類としては、JI
S K 7121(プラスチックの転移温度測定方法)に従って
測定したTmaxが使用温度、即ち室温以上であって、且つ
使用する有機高分子性バインダ成分の変形温度未満の温
度域にある有機化合物が使用される。例えば室温〜100
℃、好ましくは室温〜80℃前後の温度域のものが代表例
として挙げられる。但しこの際の室温とは、本発明の蓄
熱材がその稼働中に遭遇する最低温度を意味する。
パラフィン類の好ましい具体例としては、各種パラフ
ィン、ロウ、ワックスをはじめ、ステアリン酸、パルミ
チン酸等の脂肪酸やポリエチレングリコール等のアルコ
ール類を例示することができ、これら1種単独で、又は
2種以上の混合物として使用される。
上記した使用温度に於いて、パラフィン類のあるもの
は唯一つの結晶転移温度を有し(この場合はその温度が
Tmaxとなる)、またあるものは2以上の多数の結晶転移
温度を有する。2種以上のパラフィン類の混合物も2以
上の多数の結晶転移温度を有する場合が多い。それらの
場合に於いては、最高の結晶転移温度がTmaxに該当す
る。本発明で使用するパラフィン類は必ずしも明確な融
点(全体が固体からの液体に相変化する温度)を示すも
のに限定しないが、多くのパラフィン類については一般
にTmaxが融点に該当する。使用温度に於いて2以上の多
数の結晶転移温度を有するパラフィン類の場合、それら
全ての結晶転移温度を蓄熱に利用することができる。
本発明に於いて用いられる炭化水素系有機高分子性バ
インダ成分は以下に示される(a)〜(e)の群から選
ばれた少なくとも1種である。
(a)熱可塑性エラストマー類: ゴム並びにプラスチックスの分野で「熱可塑性エラス
トマー」として知られているものが例示できる。特に少
なくとも前記した意味での室温以上で且つ使用したパラ
フィン類のTmax+10℃の温度域では、好ましくは少なく
とも室温以上で且つTmax+20℃の温度域では、ゴム弾性
を有するものが使用される。勿論、Tmax+20℃より高温
度でもゴム弾性を持続するものも好ましい。具体的には
スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、エステル系等
の各種の従来公知の熱可塑性エラストマーの中から上記
条件に適合したものが適宜に選択して使用される。
好ましい具体例としては、スチレン系ブロック共重合
体エラストマー及びオレフィン系エラストマーである。
この際のスチレン系ブロック共重合体エラストマーとし
ては、例えばA−B−A(但しAはポリスチレン、Bは
ポリブタジエン、ポリイソプレン、又はこれらに水素を
付加したエチレン・ブチレン等を示す)を例示できる。
またオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例え
ばエチレン−プロピレン共重合体やエチレン−プロピレ
ン−ジエン三元共重合体にポリエチレン又はポリプロピ
レンが混合された混合物、エチレン−プロピレン共重合
体やエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体にエチ
レン又はプロピレンがグラフト重合されたもの等を例示
することができる。かかる熱可塑性エラストマー類は、
Tmax以下の温度ではゴム弾性を有するが故に、パラフィ
ン類をうまく包み込むことができる。更に上記エラスト
マーはTmaxより高温度に於いてもゴム弾性を持続するた
めに、そのような高温度に於いても溶融したり滴下する
こともなく、またパラフィン類の相分離もなくブリード
を生じることもない蓄熱材を得ることができる。
(b)低結晶性のポリオレフィン系熱可塑性プラスチッ
ク類: αオレフィン、例えばエチレン、プロピレン、ブテン
のコポリマー類、ハロゲン、カルボン酸又はその誘導体
を化学的に含むαオレフィンのホモポリマー類、コポリ
マー類、或いはカルボン酸又はその誘導体とαオレフィ
ンとのコポリマー類であり、一般的にオレフィン含有量
40〜100%、好ましくは60〜100%、且つX線解析法で測
定した結晶化度が50%以下、好ましくは5〜40%の低結
晶性ポリオレフィンである。例えばエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、
エチレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン共重
合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−ヘキ
セン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、塩素化ポ
リエチレン等であり、JIS K 6760で測定されるMFR(190
-6)が0.01〜20g/10分、好ましくは0.1〜5g/10分である
ものである。これらは1種又は2種以上で使用される
が、就中JIS K 7121(プラスチックの転移温度測定方
法)によって測定される最高結晶転移温度(通常は融点
に該当する)が使用したパラフィン類のTmaxより少なく
とも10℃高いもの、より好ましくはTmaxより少なくとも
20℃高いものが好ましく使用される。
かかるポリオレフィン類は、その低結晶性の故に一般
に熱変形温度が高くなく、従って本発明蓄熱材は使用温
度に限界はあるものの、パラフィン類との混合性が良好
であって前記した種々の長所を有する。
(c)炭化水素ゴムと結晶性ポリオレフィンとの混合
物: この混合物は特に結晶性ポリオレフィン100重量部に
対して炭化水素ゴム5〜2000重量部、特に50〜500重量
部からなる組成物が好ましい。
結晶性ポリオレフィンとしては、その成分としてポリ
メチレン、ポリエチレン、ポリスチレン等のホモポリマ
ー、メチレンを主体としてエチレン、プロピレン等が共
重合したもの、エチレンを主体としてメチレン、プロピ
レン、ブテン等が共重合したもの、プロピレンを主体と
して他のオレフィンが共重合したもの等オレフィン同士
のコポリマー、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレ
フィンと他のモノマー、例えば酢酸ビニル、アクリル
酸、メタクリル酸等とのコポリマー等であるが、就中JI
S K 7121によって測定される最高結晶転移温度が使用し
たパラフィン類のTmaxより少なくとも10℃高いもの、好
ましくはTmaxより少なくとも20℃高いものが使用され
る。特にこれら結晶性ポリオレフィンの転移温度は、蓄
熱材を床暖房装置等の如く熱源を有する蓄熱装置や器具
等に調温装置を取り付けて使用する場合には、用いるパ
ラフィン類のTmaxよりも充分に高いことが好ましい。例
えばパラフィン類のTmaxが46℃の場合には結晶性ポリオ
レフィンの当該転移温度は60℃以上、好ましくは80℃以
上、より好ましくは100℃以上である。
炭化水素ゴムとしては天然ゴム、SBR、BR、IR、IIR、
EPM、EPDM及びエチレン−酢酸ビニル共重合体ゴム等が
例示される。これら各炭化水素ゴムはそれ自体は夫々良
く知られたものであり、夫々のゴムとしては従来から知
られたものがいずれも使用される。この炭化水素ゴムの
使用により本発明蓄熱材にゴム的特性が賦与され、パラ
フィン類に対する相溶性が向上する。一方結晶性ポリオ
レフィンの使用により変形温度が高温度に保持される。
(d)炭化水素ゴムと炭化水素ゴムの架橋剤からなる架
橋される組成物: 該組成物は充分なゴム的特性を有し、また架橋するこ
とにより変形温度が高温度に保持される。
ここで使用される炭化水素ゴムとしては上記(c)で
記載したものと同種のものが挙げられ、炭化水素ゴムの
架橋剤としては該ゴムを架橋させうるものであれば広く
使用できる。天然ゴム、SBR、BR、IR、IIR、EPM、EPDM
では硫黄系加硫剤が好ましく、また天然ゴム、SBR、IIR
ではp−キシレンジオキシム等のオキシム類も使用でき
る。また天然ゴム、EPM、EPDM、エチレン酢酸ビニル共
重合体ゴムではジクミルパーオキサイド等の有機過酸化
物系架橋剤も用いることができる。架橋剤の使用量は炭
化水素ゴム100重量部に対し、0.5〜20重量部程度が好ま
しい。
またこの組成物には必要に応じ硫黄系架橋剤を用いる
場合に加硫促進剤を併用することもできる。この加硫促
進剤としては、例えばジフェニルグアニジン等のグアニ
ジン系促進剤、2−メルカプトベンゾチアゾール等のチ
アゾール系促進剤、テトラメチルチウラムジスルフィド
等のチウラム系促進剤を例示でき、その他アルデヒド−
アミン系化合物、アルデヒド−アンモニア系化合物、ジ
チオカルバメート系化合物等も使用することができる。
更には酸化亜鉛等の金属酸化物、トリエタノールアミン
等のアミン類も使用できる。オキシム類を架橋剤として
使用した場合には、硫黄や上記加硫促進剤の他に酸化鉛
を助剤として使用することが好ましい。
有機過酸化物を架橋剤として用いた場合には、硫黄、
オキシム類、上記加硫促進剤の他にビニル−トリス(β
−メトキシエトキシ)シラン等のシラン系カップリング
剤、アクリルエステル系化合物等を架橋助剤として使用
することもできる。この架橋助剤の使用量は適度の架橋
度を得るに適した量で適宜に使用されれば良く、通常炭
化水素ゴム100重量部に対し、0〜30重量部程度であ
る。
(e)炭化水素系ポリマー、加水分解しうるシラン系化
合物及び有機過酸化物、更に必要に応じてシラン系化合
物の縮合触媒を主成分としてなる水架橋性組成物: 該組成物は水や湿気の存在下で架橋する性質(水架橋
性)を有し、水架橋した状態に於いてはゴム的特性を示
す。
ここで使用される炭化水素系ポリマーとしては、天然
ゴム、SBR、BR、IR等の汎用ゴム類をはじめ、その他ポ
リメチレン、ポリエチレン、ポリスチレン等のホモポリ
マー、メチレンを主体としてエチレン、プロピレン等が
共重合したもの、エチレンを主体としてメチレン、プロ
ピレン、ブテン等が共重合したもの、プロピレンを主体
として他のオレフィンが共重合したもの等のオレフィン
同士のコポリマー、エチレン、プロピレン、ブテン等の
オレフィンと他のモノマー例えば酢酸ビニル、アクリル
酸、メタクリル酸等とのコポリマー等が挙げられる。
シラン系化合物としては、一般式RR′SiY2(但し、R
は1価のオレフィン性不飽和を含む炭化水素基又はハイ
ドロカーボンオキシ基、Yは加水分解しうる有機基、
R′は基R又は基Yを表す)で表される化合物が使用さ
れ、更に具体例としてはこの種シラン化合物として公知
のもの、例えばビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ
メトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン等が挙
げられる。シラン系化合物は前記炭化水素系ポリマー10
0重量部に対して一般に0.05〜10重量部、特に0.5〜5重
量部で使用される。該シラン系化合物は後記する有機過
酸化物の作用により炭化水素系ポリマーにグラフトさ
れ、且つ水により炭化水素系ポリマー間に架橋点を形成
する作用をなす。
有機過酸化物としては、その分解温度以上、特に100
℃以上の温度に於いて前記炭化水素系ポリマーに遊離ラ
ジカルを発生させ得る化合物が使用され、具体例として
例えばジクミルパーオキサイド、2,5−ジ−(t−ブチ
ルパーオキシ)−ヘキシン−3等が挙げられる。有機過
酸化物は前記炭化水素ポリマー100重量部に対して一般
に0.005〜2重量部、特に0.05〜0.5重量部で使用され
る。該有機過酸化物は前記炭化水素系ポリマーに遊離ラ
ジカルを発生させ、前記シラン系化合物を炭化水素系ポ
リマーにグラフトさせる作用をなす。
本組成物に於いては必要に応じシラン系化合物の縮合
触媒を使用することもできる。この際の縮合触媒として
は、通常シラノール縮合触媒として知られているものが
使用され、例えばジブチル錫ジラウレート、酢酸第一
錫、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛の如きカルボン酸
塩、チタン酸エステル、キレート化合物の如き有機金属
化合物等が挙げられる。この種縮合触媒の使用量は前記
炭化水素系ポリマー100重量部に対し、0.1重量部以下程
度であり、該縮合触媒は水による架橋反応を促進する効
果を有する。
本組成物はパラフィン類と共に、有機、過酸化物の分
解温度以上、通常140℃以上に設定された密閉混合機内
で少なくとも30秒以上充分混合される。この工程で有機
過酸化物が炭化水素系ポリマーにラジカルを発生させ、
シラン系化合物が該炭化水素ポリマーにグラフトされ、
而して本組成物は水架橋性となる。
本組成物をパラフィン類と混合してなる蓄熱材の水架
橋後の架橋度は1%以上、好ましくは2%以上である。
本発明の蓄熱材は必要に応じ、適宜架橋される。架橋
の方法は、前記(d)で記載したような架橋剤を用いる
化学架橋法、前記(e)で記載するようなシラン架橋
法、及び照射架橋法等いずれも採用できる。
照射架橋法は、通常炭化水素系有機高分子はバインダ
成分100重量部に対し、架橋助剤として、トリアリルイ
ソシアネート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート等を0.5〜5重量部混合しておき、放射線や電子線
等を5〜30Mradの線量で照射して架橋させる方法であ
る。前記(a)〜(c)に対しても必要に応じ、化学架
橋法、シラン架橋法、照射架橋法のいずれでも適用して
もよい。
本発明の蓄熱材は、前記(d)及び(e)に於いては
JIS C 3005に従って測定した架橋度に対して1%以上、
好ましくは2%以上に架橋されることが好ましい。架橋
度が1%以上、好ましくは2%以上とすることにより、
蓄熱材の温度が使用したパラフィン類のTmax以上となっ
ても溶融することなく形状保持を可能とする。また
(a)〜(c)は必ずしも架橋する必要はないが、これ
らを架橋させた場合は尚一層長期性能に優れた蓄熱材を
得ることができる。
本発明に於いてはパラフィン類100重量部に対して有
機高分子性バインダ成分は5〜30重量部である。5重量
部未満ではTmaxで脆く、Tmax以上の高温度に於いて蓄熱
材が一部溶融・液化の傾向があって所望の形状に保持し
難くなり、一方30重量部を超える過大量ではパラフィン
類の配合量が少なくなって蓄熱量もそれに比例して少な
くなる。
本発明に於いては上記したパラフィン類と有機高分子
性バインダ成分とからなる組成物には、比重調節材成分
が含有される。この際の比重調節材成分とは、直接熱交
換型蓄熱装置に使用する熱媒体の比重と、本発明蓄熱材
の比重をほぼ同一にするためのものであり、熱媒体の比
重が本蓄熱材の比重より大きい場合には高比重成分が用
いられ、逆の場合には低比重成分が用いられる。いずれ
にしろ、この比重調節材成分としては、発泡により比重
を調節するものは使用しない。高比重成分としては、比
重1以上、好ましくは2〜15程度の成分であり、好まし
い具体例は、各種金属、金属酸化物、無機質フィラー等
を例示でき、更に詳しくは金属としてアルミニウム、鉄
や鉛の粉末、金属酸化物としては、ZnO、TiO2、PbO等、
また無機質フィラーとしては、タルク、クレー、シリ
カ、炭酸カルシウム、ガラス等が例示できる。低比重成
分としては、各種発泡体、例えば発泡ポリウレタン等が
用いられる。これ等発泡体は発泡により比重を調節する
ものではなく、発泡されたものであり、本発明の比重調
節剤に含まれるものである。一般的に上記したパラフィ
ン類と、有機高分子性バインダ成分とからなる組成物の
比重は0.8〜1.0程度であるので、高比重成分を含有させ
ることが多い。これら比重調節材成分は使用する熱媒体
の種類に応じて蓄熱材の比重がこの熱媒体の比重とほぼ
同一となるように適当な量で配合される。また表面を箔
等で覆うことも可能である。熱媒体の比重としては、蓄
熱装置に於いて蓄熱過程を重視する場合は蓄熱前の温度
に於ける比重を選び、放熱過程を重視する場合には、放
熱前の温度(即ち蓄熱した状態の温度)に於ける比重を
適宜選んで蓄熱材比重をこれに合わせる。このようにし
て熱媒体とほぼ同一の比重となった蓄熱材は比重がほぼ
同一のため熱媒体の熱交換が無駄なく、効率良く行わ
れ、惹いては蓄熱及び放熱性が大きく向上する。従って
本発明の蓄熱材を直接交換型蓄熱装置に使用すると極め
て蓄熱及び放熱性が良好で、100℃以下の低品位の熱回
収にも極めて有効となる。
本発明に於いて使用される熱媒体としては、各種のも
のが広く使用され、その好ましい具体例としてエチレン
グリコールや水を例示でき、特に水が好ましい。
本発明に於いては、パラフィン類と有機高分子性バイ
ンダ成分及び比重調節材成分の他に必要に応じて各種の
添加剤を配合することができる。例えば老化防止剤、酸
化防止剤、着色剤、顔料、帯電防止剤の他、用途に応じ
て防黴剤、難燃剤、防鼡剤等である。
尚本発明に於いては、パラフィン類と炭化水素系有機
高分子性バインダ成分を混合することが必要であるが、
この際機械的手段によって混合されることが好ましい。
特に上記高分子性バインダ成分として炭化水素系ゴム
とポリオレフィン類を併用する場合、又は熱可塑性エラ
ストマーを使用する場合、上記2つの場合を併用する場
合には、あえて機械的手段によらずその他の手段で混合
してもパラフィン類をうまく有機高分子性バインダ成分
と混合できるが、その他の場合にはこの機械的手段によ
る混合が極めて好ましい。該機械的手段にての混合と
は、パラフィン類と炭化水素系有機高分子性バインダ成
分の双方中の少なくとも1成分の溶融物に残余の成分が
少なくとも膨潤、好ましくは溶解することにより、或い
は高温度により、混合対象となる何れの成分も外力にて
流動変形しうる状態に於いて撹拌、混合、或いは混練す
る行為を意味する。例えば100〜200℃に保持されたパラ
フィン類の溶融物に炭化水素系有機高分子性バインダを
溶解し、得られる高温度の溶液を撹拌混合する態様、混
合各成分が軟化する温度、例えば50〜250℃で2本ロー
ル、バンバリーミキサ、押出機、2軸混練押出機等の通
常の混練機を使用して混練混合する態様等が例示され
る。混合の程度は、可及的に充分であることが好ましい
が、一般には1〜150分程度の混合を行って目視にて一
様に混合されたと判断される程度で本発明の目的は達成
される。
このように炭化水素系有機高分子バインダ成分とパラ
フィン類とを機械的手段にて混合して一様な組成物とし
た場合、例え該パラフィン類の使用量が上記の如く大量
(この量はバインダ成分100重量部当たりのパラフィン
類量に換算すると、333〜2000重量部になる)であって
も、驚くべきことに、得られた組成物は成形加工性に富
み、しかもパラフィン類の移行問題が高度に改善され
る。機械的手段による均一混合という一見常識的とも思
われる手段ではあるが、これにより上記両成分を上記の
如き割合で一様均一な組成物となしうることは正に予想
外のことといわざるを得ないことである。
本発明蓄熱材はその使用に際しては、原則的には、球
状、ペレット状、棒状、板状、粉末状、粒状、ブロック
状、シート状、フィルム状等従来のこの種蓄熱材の使用
態様が全て採用できるが、直接熱交換型蓄熱槽に於いて
は、熱交効率の点から、球状、ペレット状、円筒状の蓄
熱材形状が好ましい。
〔実 施 例〕
以下に実施例を示して本発明を詳しく説明する。
実施例1〜6、比較例1〜3 第1表に示す組成(割合は全て重量部)配合で各成分
を充分混合、混練し、厚さ約55mmの板状に成型した後、
細断して約5mm角のペレット状蓄熱材を得た。ここで実
施例1及び比較例1は130〜180℃の容器内で混合・混練
後、型に流し込んで成型し、実施例2、3、4及び比較
例2は、各々ロールミルで混合・混練した後、165℃で3
0分プレス成型し、また実施例5、6及び比較例3は、
シリンダー温度200℃の2軸混練押出機内で混合・混練
し、押出して型に流し込んで成型した後、ジブチル錫ジ
ラウレートを表面塗布し、温水中で架橋させた後、細断
した。
各実施例、比較例につき、第1表に示す特性を以下の
方法で測定した。
比重:水中置換法 最大蓄熱温度:JIS K 7121(DSC装置) 蓄 熱 量 :JIS K 7122(DSC装置) 但し、溶解熱(KJ/kg)をKcal/kgに換算して表示し
た。
架 橋 度 :JIS C 3005 測定結果を第1表に示すが、実施例1〜6、及び比較
例1、3は蓄熱量が満足できる値であったのに対し、比
較例2は蓄熱量が不足であった。次いで、比較例2を除
いた他の各実施例、比較例の蓄熱材を水を熱媒体とする
直接熱交換型蓄熱槽内に約1/2の容積を占める程度に充
填し、蓄熱及び放熱を繰り返して状況を観察した。尚蓄
熱槽には撹拌装置を取り付けてある。
実施例1〜6の蓄熱材は媒体中にほぼ均一に流動し
て、蓄熱放熱サイクルを繰り返したのに対し、比較例1
は高分子バインダ成分が過少のため、蓄熱材が溶融して
ブロッキングし、媒体表面に浮いた状態となり蓄熱、放
熱が不充分であった。一方比較例3はやはり媒体表面に
浮いた状態となり、蓄熱、放熱共に不充分であった。
尚、第1表中の(*1)〜(*6)は夫々下記のもの
である。
*1:スチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共
重合体 (熱可塑性エラストマー)、スチレン含量29%、シエ ル化学社製 *2:EPDM,エチレン−プロピレン−ジエン共重合体 エチレン比率65% *3:ポリエチレン(密度0.95g/cm3、MFR 0.4g/10分) *4:エチレン酢酸ビニル共重合体(VA 25%、密度0.95g
/cm3、MFR 3g/10分) *5:ジクミルパーオキサイド *6:ビニルトリメトキシシラン 〔発明の効果〕 本発明の蓄熱材は蓄熱量が大きく、パラフィン類が相
分離や溶融・液化することなく、また蓄熱及び放熱性に
優れている。従って例えば直接熱交換型蓄熱装置に適用
すると蓄熱及び放熱の極めて優れた蓄熱装置が得られ、
また100℃以下という熱回収の難しい場合にも有効に熱
回収ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−72381(JP,A) 特開 平4−72383(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09K 5/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パラフィン類100重量部と、炭化水素系有
    機高分子バインダ成分5〜30重量部とを主成分として成
    り、且比重調節材成分(但し発泡により調節するものを
    除く)を更に含有することを特徴とする蓄熱材。
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