JP2004182945A - 難燃性樹脂組成物とそれを用いた電線、ケーブル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂と水酸化マグネシウムを主成分とする天然鉱物の粉砕物を少なくとも含む樹脂組成物の含水量を600ppm以下に制御した難燃性樹脂組成物であって、高度の難燃性、機械的強度を付与するとともに電線・ケーブルなどの成形品の発泡を防止した難燃性樹脂組成物、及び該難燃性樹脂組成物を用いた電線、ケーブル。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は吸湿しやすい難燃性樹脂組成物の含水量を制御し、電線・ケーブル等の成形品の製造時における発泡を防止し、成形品の品質のばらつきや製品外観の悪化を解消した難燃性樹脂組成物、及び該難燃性組成物を用いて製造した電線、ケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
難燃性樹脂組成物を用いた電線、ケーブルの燃焼時の煙の発生、その毒性、あるいはそれによる腐食等の二次災害を防止する目的から、燃焼時において、毒性のあるハロゲン化水素を発生しない無公害型難燃性樹脂組成物として水酸化マグネシウムなどの無機難燃剤を配合した難燃性樹脂組成物が提案されている(特開昭61−231040号公報、特開昭61−254646号公報、特開平61−255950号公報、特開平1−141929号公報等)。
また、昨今ではより安価な天然鉱石を粉砕した水酸化マグネシウムを使用したエコ−ケーブルが開発されている。しかし、該天然鉱石を粉砕した水酸化マグネシウムは吸水性が著しく、成形品のばらつきや製品外観の悪化が生じるので、その対策が求められている。
例えば特開平5−17692号公報、特開平7−161230号公報等においてはポリオレフィン系樹脂にシランカップリング剤で表面処理を施して、天然水酸化マグネシウムからなる樹脂組成物の吸湿性を抑え、発泡を防止した難燃性樹脂組成物が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
難燃剤として、天然の水酸化マグネシウムを用いた難燃性樹脂組成物は、吸湿性に富み、保管、運搬用の、アルミニウム箔または金属酸化物が蒸着されたフィルムを内袋とした所謂樹脂袋を開封した後は速やかに成形処理を行う必要性がある。特に夏場や、水分の多い環境下(高温多湿)では表面処理を施したものの場合においても、吸湿して、電線・ケーブル等の被覆成形時に押出機内で吸湿した水分が発泡し、外観不良になるという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の問題点を解消し、吸湿性を制御した難燃性樹脂組成物及びそれを用いた電線、ケーブルを提供するもので、その特徴はポリオレフィン系樹脂に天然の水酸化マグネシウムを含む樹脂組成物の含水量を600ppm以下に制御することにより、樹脂袋の開封後、一定時間放置しても、成形時に発泡せず、成形品のばらつきのない難燃性樹脂組成物を提供するものである。
すなわち、本発明の難燃性樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂100質量部と水酸化マグネシウムを主成分とする天然鉱物の粉砕物30〜200質量部を少なくとも含みその含水率を600ppm以下としたことを特徴とする。
また、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部と水酸化マグネシウムを主成分とする天然鉱物の粉砕物30〜200質量部に、更に酸無水物基を含有するオレフィン系ランダム共重合体および/または変性ポリオレフィン系樹脂からなる改質用樹脂0.1〜20質量部を配合したことを特徴とする。
また、前記変性ポリオレフィン系樹脂が密度0.87〜0.97g/cm3の無水マレイン酸変性ポリエチレンであることを特徴とする。
さらに、前記ポリオレフィン系樹脂が、密度0.88〜0.94g/cm3のエチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体から選択される少なくとも1種を主成分とすることを特徴とする。
また、前記エチレン・ビニルエステル共重合体がエチレン・酢酸ビニル共重合体であり、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体がエチレン・アクリル酸エチル共重合体であることを特徴とする。
また、前記いずれかに記載の難燃性樹脂組成物を用いた電線・ケーブルであることを特徴とする。
また、本発明の品質の維持管理方法は、ポリオレフィン系樹脂と水酸化マグネシウムを主成分とする天然鉱物の粉砕物を少なくとも含む難燃性樹脂組成物において、下記▲1▼〜▲6▼の少なくともいずれか1つの方法で難燃性樹脂組成物の含水量を600ppm以下に維持管理することを特徴とする。
▲1▼難燃性樹脂組成物のコンパウンド製造用原料および/またはそのブレンド物を加熱、乾燥し水分を除去する方法。
▲2▼押出機のホッパー部および/またはベント部より脱気し、水分を排出除去する方法。
▲3▼押出機のサイドから気体を吹き込み、水分を除去する方法。
▲4▼押出機で複数回混練押出して、水分を除去する方法。
▲5▼サイロ、パイプライン等で貯蔵、保管あるいは移送する過程で加熱または気体により水分を除去する方法。
▲6▼製品の成形ライン中に加熱、乾燥炉等を設け、成形時に水分を除去する方法。
【0005】
【発明の実施の形態】
[ポリオレフィン系樹脂]
本発明のポリオレフィン系樹脂としては、チーグラー系触媒、フィリップス系触媒、メタロセン系触媒等のイオン重合による高中低圧法によるエチレン単独重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、あるいは高圧ラジカル重合法によるエチレン(共)重合体、ポリプロピレン系重合体等があげられる。特に密度0.86〜0.94g/cm3の結晶性、低結晶性、非結晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、低密度ポリエチレン、エチレンとビニルエステル共重合体、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体等の軟質樹脂を主成分とするポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0006】
{イオン重合による高中低圧法によるエチレン系重合体}
イオン重合による高中低圧法によるエチレン系重合体としては高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンおよびエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムが挙げられる。
(高密度ポリエチレン)
チーグラー系触媒、フィリップス系触媒、メタロセン系触媒等(以下チーグラー型触媒等と称する)のイオン重合による中低圧法による高密度ポリエチレン(HDPE)としては、密度0.94〜0.98g/cm3の単独重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体が挙られる。α−オレフィンとしては、炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜12の範囲のものであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。HDPEのMFRは、0.05〜100g/10分、さらに好ましくは0.1〜50g/10分の範囲のものが使用される。
【0007】
(直鎖状低密度ポリエチレン)
上記チーグラー型触媒等による直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とは、密度が0.91〜0.94g/cm3、好ましくは0.91〜0.93g/cm3の範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体であり、α−オレフィンは、炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜12の範囲のものであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。LLDPEのMFRは0.05〜100g/10分、さらに好ましくは0.1〜50g/10分の範囲のものが使用される。
【0008】
(超低密度ポリエチレン)
チーグラー型触媒等による超低密度ポリエチレン(VLDPE)とは、密度が0.89〜0.91g/cm3未満、好ましくは0.90〜0.905g/cm3の範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体であり、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(EPR、EPDM)の中間の性状を示すポリエチレンである。VLDPEのMFRは0.05〜100g/10分、さらに好ましくは0.1〜50g/10分の範囲のものが使用される。
【0009】
(エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム)
エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムとは、密度が0.86〜0.91g/cm3未満のエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム等が挙げられ、エチレンおよびプロピレンを主成分とするランダム共重合体(EPM)、および第3成分としてジエンモノマー(ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等)を加えたものを主成分とするランダム共重合体(EPDM)が挙げられる。また、他の例としてエチレン・1−ブテン共重合体などの非結晶性、低結晶性エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム等が挙られる。
【0010】
{高圧ラジカル重合法によるエチレン(共)重合体}
高圧ラジカル重合法によるエチレン(共)重合体とは、高圧ラジカル重合法によるエチレン単独重合体(低密度ポリエチレン)、エチレン・ビニルエステル共重合体およびエチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体等が挙げられる。
(低密度ポリエチレン)
低密度ポリエチレンは公知の高圧ラジカル重合法により製造される。高圧ラジカル重合法は、チューブラー法、オートクレーブ法のいずれでもよい。
高圧ラジカル重合法によって得られた低密度ポリエチレン(LDPE)は、MFRが0.05〜100g/10分、さらに好ましくは0.1〜50g/10分の範囲で使用される。また、密度は0.91〜0.94g/cm3、さらに好ましくは0.91〜0.935g/cm3の範囲である。メルトテンションは、1.5〜25g、好ましくは3〜20g、さらに好ましくは3〜15gである。また、分子量分布(Mw/Mn)は、3.0〜12、好ましくは4.0〜8.0の範囲のものが用いられる。
【0011】
(エチレン・ビニルエステル共重合体)
上記エチレン・ビニルエステル共重合体とは、高圧ラジカル重合法で製造されるものであり、エチレンと、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエステル単量体との共重合体である。これらの中でも特に好ましいものとしては、酢酸ビニルを挙げることができる。エチレン50〜99.5質量%、ビニルエステル0.5〜50質量%、他の共重合可能な不飽和単量体0〜49.5質量%からなる共重合体が好ましい。さらにビニルエステル含有量は3〜25質量%、特に好ましくは5〜20質量%の範囲で選択される。
【0012】
(エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体)
上記エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体の代表的な共重合体としては、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸エチル共重合体等のエチレン・(メタ)アクリル酸またはそのアルキルエステル共重合体;エチレン・無水マレイン酸・酢酸ビニル共重合体、エチレン・無水マレイン酸・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・無水マレイン酸・アクリル酸エチル共重合体等の二元共重合体又は多元共重合体、あるいはそれらの金属塩等が挙げられる。
これらのコモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等を挙げることができる。この中でも特に好ましいものとして(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等のアルキルエステルを挙げることができる。特に(メタ)アクリル酸エステル含有量は3〜30質量%、好ましくは5〜25質量%の範囲である。また酸無水物基を有するコモノマーとしては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水エンディック酸、無水シトラコン酸、1−ブテン−3,4−ジカルボン酸無水物、炭素数が多くとも18である末端に二重結合を有するアルカジエニル無水コハク酸等を挙げることができる。これらは2種類以上同時に併用しても差し支えない。このうち、無水マレイン酸、無水イタコン酸が特に好ましい。
【0013】
本発明の樹脂組成物においては、特に密度0.86〜0.94g/cm3の結晶性、低結晶性、非結晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、低密度ポリエチレン、エチレンとビニルエステル共重合体、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体等の軟質樹脂を主成分とするポリオレフィン系樹脂が好ましい。例えば好ましい態様としては、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のエチレン共重合体100〜50質量%、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等の結晶性ポリエチレン0〜50質量%の範囲で選択して用いることが望ましい。
【0014】
また本発明においては、ポリイソブチレン、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、エチレン・酢酸ビニル共重合体ゴム等の固形ゴムあるいは液状ポリブタジエンゴム等の液状ゴム等の合成ゴム、天然ゴム及びそれらの混合物を併用してもよい。
【0015】
[水酸化マグネシウムを主成分とする天然鉱物の粉砕物]
本発明において、水酸化マグネシウムを主成分とする天然鉱物の粉砕物は難燃剤として配合される。
これらを使用する場合、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、有機ボラン、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の脂肪酸または金属塩、パラフィン、ワックス、またはそれらの変性物等で表面処理を行なうことが望ましい。
これら天然水酸化マグネシウムの粉砕物の粒径は、平均粒径が20μm以下、好ましくは10μm以下が好ましい。上記天然水酸化マグネシウムの粉砕物の配合量は、ポリオレフィン系樹脂成分100質量部に対して、30〜200質量部、好ましくは40〜150質量部、更に好ましくは、50〜120質量部の範囲で使用される。該配合量が30質量部未満では、難燃化が不充分であり、200質量部を超える量を配合した場合には、耐衝撃強度の低下等の機械的強度が低下し、可撓性がなくなり、かつ低温特性が悪化する。
【0016】
[難燃助剤]
難燃助剤として、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、リン酸カルシウム、酸化ジルコン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、二硫化モリブデン、粘土、赤リン、ケイソウ土、カオリナイト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイト、タルク、シリカ、ホワイトカーボン、ゼオライト、ハイドロマグネサイト等を併用しても良い。これら難燃助剤は上記水酸化マグネシウムを主成分とする天然鉱物の粉砕物に対して50質量%まで配合することが望ましい。
【0017】
[改質用樹脂]
本発明の改質用樹脂とは、ベース樹脂のポリオレフィン系樹脂と良好な相溶性を有し、かつ無機難燃剤とのカップリング効果が著しく、難燃性樹脂組成物の機械的強度、燃焼時の炭化層(チャー)の形成を促し、難燃性を向上させる役割として用いられる。
具体的なものとして、酸無水物基を含有するオレフィン系ランダム共重合体および/または変性ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。
【0018】
{酸無水物基を含有するオレフィン系ランダム共重合体}
酸無水物基を含有するオレフィンランダム共重合体は、エチレン、プロピレン等のオレフィンと無水マレイン酸等の酸無水物基含有モノマーとの共重合体であり、前述のように本発明の難燃性樹脂組成物のポリオレフィン系樹脂として使用することも可能であるが、変性ポリオレフィン系樹脂と同様に難燃性や機械的強度等を向上させる改質用樹脂として用いることができる。酸無水物基含有モノマーとしては前記エチレンとα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体との共重合体で挙げられたコモノマーが挙げられる。その好ましい共重合体としては、エチレン・無水マレイン酸共重合体、エチレン・無水マレイン酸・酢酸ビニル共重合体、エチレン・無水マレイン酸・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・無水マレイン酸・アクリル酸エチル共重合体等の二元又は三元共重合体が挙げられる。また、その配合量としてはポリオレフィン系樹脂100質量部、無機難燃剤30〜200質量部に酸無水物基含有オレフィン系ランダム共重合体0.1〜20質量部を配合することが好ましい。
【0019】
[変性ポリオレフィン系樹脂]
本発明の変性ポリオレフィン系樹脂とは、a:不飽和カルボン酸またはその誘導体、b:エポキシ基含有化合物、c:ヒドロキシル基含有化合物、d:アミノ基含有化合物、e:有機シラン化合物、f:有機チタネート化合物等の官能基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂である。
【0020】
(官能基含有化合物)
上記a:不飽和カルボン酸またはその誘導体を含有する化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、フラン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、ペンテン酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸または無水物、あるいはそれらの金属塩等が挙げられる。
【0021】
上記b:エポキシ基含有化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステルおよびα−クロロアリル、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸等のグリシジルエステル類またはビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルオキシエチルビニルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル類、p−グリシジルスチレンなどが挙げられるが、特に好ましいものとしてはメタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエ−テルを挙げることができる。
【0022】
上記c:ヒドロキシル基含有化合物としては、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0023】
上記d:アミノ基を含有化合物としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の3級アミノ基が挙げられる。
【0024】
上記e:有機シラン化合物としては、ビニルトリメトキシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセチルシラン、ビニルトリクロロシランなどが挙げられる。
【0025】
上記f:有機チタネート化合物としては、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタネート、チタンラクテートアンモニウムなどが挙げられる。
【0026】
上記官能基含有化合物の変性ポリオレフィン系樹脂中の含有量は0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5.0質量%の範囲で選択される。上記添加量が0.05質量%未満では、本発明の効果が充分でなく、樹脂と難燃剤とのカップリング効果が発揮されない虞が生じる。
また、10質量%を超える場合は、変性させる際に分解、架橋反応が併発する虞を生じる。
【0027】
本発明の変性ポリオレフィン系樹脂は官能基含有化合物0.05〜10質量%を有機過酸化物の存在下で変性させたもの、または該変性物を未変性ポリオレフィン系樹脂に混合して調整したものが用いられる。
上記変性に用いるポリオレフィン系樹脂としては、前記ポリオレフィン系樹脂及びこれらの混合物を用いることができる。
これらの中でも密度が0.87〜0.97g/cm3の無水マレイン酸変性ポリエチレン、中でも無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレンが該ポリオレフィン系樹脂と無機難燃剤との相溶性に優れ軟質樹脂の可撓性を損なわずに耐熱性を維持し、燃焼時の炭化層の形成を促し難燃性を向上し、機械的強度の向上が望めることから最も好ましい。
【0028】
また本発明においては、変性に用いるポリオレフィン系樹脂に、ポリイソブチレン、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、エチレン・酢酸ビニル共重合体ゴム等の固形ゴムあるいは液状ポリブタジエンゴム等の液状ゴム等の合成ゴム、天然ゴム及びそれらの混合物を併用してもよい。
【0029】
ポリオレフィン系樹脂を官能基含有化合物で変性させる方法としては、両者を有機過酸化物の存在下で加熱反応させる方法が好ましい。上記反応は、押出機内あるいはバンバリーミキサー等の混練機内などで、無溶媒下で溶融混合して反応させる方法、またはベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素等の溶媒中で加熱混合して反応させる方法等、特に限定されないが、操作が簡単であること、経済性に優れていること等から押出機内で行うことが望ましい。
【0030】
また上記有機酸化物としては、例えばベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、アゾビスイソブチロニトリル等が好適に用いられ、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.005〜2.0質量部、好ましくは0.01〜1.0質量部の範囲で使用される。有機過酸化物の量が0.005質量部未満においては実質上変性効果が発揮されず、また2.0質量部を超えて添加してもそれ以上の効果を得ることが困難であるとともに、過度の分解あるいは架橋反応を惹起させる虞を生じる。
【0031】
上記の反応は、通例の温度条件、すなわち樹脂の劣化、官能基含有化合物の分解、有機過酸化物の分解温度等を考慮し、適宜選定されるが、一般的には150〜300℃の範囲で行われる。上記の官能基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂は、更に未変性のポリオレフィン系樹脂および/または未変性ゴム等を適宜添加混合して使用することができる。該変性ポリオレフィン系樹脂と未変性ポリオレフィン系樹脂および/または未変性ゴムとの混合比率は、任意であるが質量比で1:99〜50:50、好ましくは10:90〜45:55である。
【0032】
[難燃性樹脂組成物の製造方法]
本発明の難燃性樹脂組成物の製造方法は、下記の▲1▼〜▲6▼の少なくともいずれか1つの方法で難燃性樹脂組成物の含水量を600ppm以下に維持管理することを特徴とする。
▲1▼難燃性樹脂組成物のコンパウンド製造用原料および/またはそのブレンド物を加熱、乾燥し水分を除去する方法。
▲2▼押出機のホッパー部および/またはベント部より脱気し、水分を排出除去する方法。
▲3▼押出機のサイドから気体を吹き込み、水分を除去する方法。
▲4▼押出機で複数回混練押出して、水分を除去する方法。
▲5▼サイロ、パイプライン等で貯蔵、保管あるいは移送する過程で加熱または気体により水分を除去する方法。
▲6▼製品の成形ライン中に加熱、乾燥炉等を設け、成形時に水分を除去する方法。
【0033】
上記第1の方法の▲1▼難燃性樹脂組成物のコンパウンド製造用原料および/またはそのブレンド物を加熱、乾燥し水分を除去する方法は、難燃性樹脂組成物の原材料および/またはそのブレンド物を各々乾燥させ、あるいはあらかじめ天然水酸化マグネシウムを乾燥して該難燃性樹脂組成物のペレット化工程に供して、水分を600ppm以下に品質を維持管理する方法である。該方法においては、ブレンダー等の調合器にヒーター等を設けても良い。
【0034】
上記第2の方法の▲2▼押出機のホッパー部および/またはベント部より脱気し、水分を排出除去する方法は、あらかじめ所望により押出機のホッパー部に加熱装置を設け、あるいは供給された原材料を押出機内で加熱して水蒸気化された水分を押出機後方のベント部等より脱気し、蒸散させて水分を除去する方法であり、好ましくは真空ポンプ等で吸引して排出除去する方法等も適用される。
【0035】
上記第3の方法の▲3▼押出機のサイドから気体を吹き込み、水分を除去する方法は、押出機のサイドから、空気、窒素等の気体あるいはそれらの加熱気体を吹き込み、ベント部等から排出する方法である。
【0036】
上記第4の方法の▲4▼押出機で複数回混練押出して、水分を除去する方法は、原料を押し出してあらかじめ水分を除去した難燃性樹脂組成物ペレットを、再度、押出機により押出し、水分を除去する方法である。この方法は、ペレットの乾燥工程を経ずに行っても良く、また、組成物が劣化しない範囲で複数回繰り返しても良い。
【0037】
上記第5の方法の▲5▼サイロ、パイプライン等で貯蔵、保管あるいは移送する過程で加熱または気体により水分を除去する方法とは、上記混練された組成物をサイロ等に大量に貯蔵、保管する際に、サイロを加熱するか、窒素、乾燥空気等の気体等でパージし、600ppm以下に乾燥維持管理する方法である。またパイプラインで移送中に加熱乾燥させても良い。
このように貯蔵、保管された樹脂組成物ペレット、あるいはパイプラインで乾燥されたペレットは、成形時に直接ホッパーに空送されて成形に供される。また空気等で、バルクコンテナー等に直接空送され、顧客に搬送され、成形に供される。
【0038】
上記第6の方法の▲6▼製品の成形ライン中に加熱、乾燥炉等を設け、成形時に水分を除去する方法は、所謂樹脂袋等のペレットの保管運搬用の袋を開封して電線・ケーブル等を成形する際に、成形ライン中に、加熱、乾燥炉、ヒーター等を設けて成形時に水分除去を行う方法である。
【0039】
[難燃性樹脂組成物の含水量]
難燃性樹脂組成物の含水量の調節は上記いずれの方法またはそれらの方法を組み合わせて行ってもよいが、本発明の難燃性樹脂組成物の含水量を600ppm以下にすることが肝要であり、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下とすることが望ましい。このような水分濃度とすることにより、樹脂袋等を開封した後、成形するまでタイムラグがあっても、成形品の発泡がなく、外観がよく、ばらつきがない製品が得られる。
【0040】
[その他添加剤等]
本発明の難燃性樹脂組成物は、機械的強度、耐熱性、加工性、難燃性、耐酸性に優れ、特に組成物中の含水量を制御した難燃性樹脂組成物を提供するものであり、この組成物からなる製品は、電線、ケーブル、ホース類、フィルム、射出製品等に利用可能である。特に電線・ケーブルに好適である。
また、本発明の難燃性樹脂組成物は、本発明の特性を損なわない範囲で、その使用目的に応じて、各種添加剤や補助資材を配合することができる。それら各種添加剤や補助資材としては、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、加工性改良剤、充填剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、発泡剤、気泡防止剤、着色剤、カーボンブラック等を挙げることができる。また、架橋剤、例えば有機過酸化物、硫黄またはシラン系架橋剤や架橋助剤を添加することにより架橋させたり、電離性放射線を照射する等として架橋させることもできる。
【0041】
[作用]
本発明の難燃性樹脂組成物は、吸湿性の激しい水酸化マグネシウムを主成分とする天然鉱物の粉砕物を含有する樹脂組成物中の含水量を600ppm以下と制御することにより、樹脂袋等の開封後から成形時までのタイムラグがあっても、成形品の発泡がなく、外観がよく、製品のばらつきがない良好な製品を提供することができる。
【0042】
【実施例】
以下本発明を実施例にて詳述する。
(使用樹脂)
1)エチレン・アクリル酸エチル共重合体:(EEAと称す)
MFR=0.8g/10分、EA含量=20質量%
銘柄名:A1200 日本ポリオレフィン(株)製
2)エチレン・酢酸ビニル共重合体:(EVAと称す)
MFR=1.5g/10分、VA含量=15質量%
銘柄名:VE330N 日本ポリオレフィン(株)製
3)エチレン・無水マレイン酸・アクリル酸メチル共重合体(ET183Bと称す)
銘柄名:ET183B 日本ポリオレフィン(株)製
4)直鎖状低密度ポリエチレン:(L−LDPEと称す)
密度=0.935g/cm3、MFR=0.8g/10分
銘柄名:AE278L 日本ポリオレフィン(株)製
5)無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン(MAH−LLDPEと称す)
密度=0.923g/cm3、MFR=2g/10分の直鎖状低密度ポリエチレンに無水マレイン酸0.2質量部、有機過酸化物としてパーヘキシン25Bの0.02質量部を配合し、押出機にて変性直鎖状低密度ポリエチレンを製造したものを用いた。
6)天然鉱物を粉砕した水酸化マグネシウム
銘柄名:マグラックス 鋼管鉱業(株)製
【0043】
[試験法]
1)含水量(水分量):カールフィッシャー法水分計(190℃にて測定)
2)発泡の有無:キャピラリーレオメータによりストランドを押出し、そのストランドを観察し、発泡の有無を判定した。
○:発泡なし。 ×:発泡あり。
3)引張破壊強さ:JIS K6251に準拠(180℃でプレス成形したシートを使用)
4)引張破壊伸び:JIS K6251に準拠(180℃でプレス成形したシートを使用)
5)酸素指数:JIS K7201に準拠(数値が大きいものが難燃性の優れていることを示す)
【0044】
<実施例1〜3>
EEA100質量部、および天然水酸化マグネシウム80質量部、あるいはこれにさらにL−LDPEまたはMAH−LLDPE10質量部を押出機に投入して200℃で押出し、ベント部から水分を蒸発させて、ペレット化し、その水分量を測定した。該ペレットをキャピラリーレオメータにより、温度180℃および200℃において押出し、発泡の有無を確認した。また、その物性の測定を行った。その結果を表1に示した。
[評価結果]
実施例1〜3にみられるように難燃性樹脂組成物の含水量を600ppm以下に維持することにより発泡がおこらず、その外観も良好であった。また、MAH−LLDPEを配合した難燃性樹脂組成物は、機械的強度(引張破壊強さ、伸び)および難燃性も向上していた。
【0045】
【表1】
【0046】
<実施例4〜7>
実施例3と同じ配合比で、また同様の条件でペレット化した後、該ペレットを表1に記載した所定温度・所定時間加熱乾燥処理し、その水分量を測定した。乾燥後のペレットをキャピラリーレオメータにより、温度180℃および200℃において押し出し、発泡の有無を確認した。また、その物性の測定を行った。その結果を表1に示した。
[評価結果]
実施例4〜7はいずれも発泡がおこらず、その外観も良好で、かつ実施例3と同様に機械的強度および難燃性が向上していた。
【0047】
<実施例8〜10>
EEA100質量部、MAH−LLDPE10質量部および天然水酸化マグネシウム100質量部を押出機に投入し200℃で押出し、ベント部で水分を蒸発させてペレット化した。実施例8においては乾燥処理をせず実施例1と同様の評価を行った。実施例9および10については表2に記載した条件で乾燥処理し、実施例4と同様の評価を行った。これらの結果を表2に示した。
[評価結果]
実施例8〜10はいずれも発泡がおこらず、その外観も良好で、かつ実施例3と同様に機械的強度および難燃性が向上したものであった。
【0048】
【表2】
【0049】
<実施例11〜12>
EEA100質量部、エチレン・無水マレイン酸・アクリル酸メチル共重合体(銘柄名:ET−183B)10質量部および天然水酸化マグネシウム100質量部を実施例9と同様にしてペレット化し、乾燥処理して評価しその結果を表2に示した。また、上記組成物にさらに無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン5質量部を配合した組成物を同様に評価し、その結果を同じく表2に示した。
[評価結果]
実施例11〜12のエチレン・無水マレイン酸・アクリル酸メチル共重合体を改質用樹脂として用いた場合においても発泡がなく、機械的強度、難燃性に優れる良好な結果が得られた。
【0050】
<実施例13〜14>
実施例13はEVA100質量部、エチレン・無水マレイン酸・アクリル酸メチル共重合体(銘柄名:ET−183B)10質量部および天然水酸化マグネシウム100質量部を実施例9と同様にしてペレット化して、表2に記載の条件で乾燥処理し評価した結果を表2に示した。また、実施例14はEVA100質量部、無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン10質量部および天然水酸化マグネシウム100質量部を配合した組成物を同様に表2に記載の条件で乾燥処理し評価し、その結果を同じく表2に示した。
[評価結果]
実施例13〜14の難燃性樹脂組成物は、いずれも発泡がなく、機械的強度、難燃性に優れる良好な結果が得られた。
【0051】
<実施例15〜16>
EEA100質量部、MAH−LLDPE10質量部および天然水酸化マグネシウム80質量部あるいは100質量部を押出機に投入し200℃で押出してベント部から水分を蒸発させて、ペレット化した。このペレットを再度200℃で押出しベント部から水分を蒸発させて再びペレット化しその水分量を測定した。該ペレットをキャピラリーレオメータにより、温度180℃および200℃において押出し、発泡の有無を確認した。また、その物性の測定を行った。その結果を表3に示した。
[評価結果]
実施例15〜16の難燃性樹脂組成物は、水分量が400ppm以下と低く、発泡がなく、機械的強度、難燃性に優れる良好な結果が得られた。
【0052】
【表3】
【0053】
<実施例17>
原料の天然水酸化マグネシウム(含水量:3600ppm)を加熱オーブンで100℃、1時間の条件で加熱処理して水分量を1100ppmとした天然水酸化マグネシウムを用いて実施例3と同様にしてペレット化した。また、実施例3と同様にして評価しその結果を表3に示した。
[評価結果]
実施例17の難燃性樹脂組成物においても水分量が600ppm以下と低く、発泡がなく、機械的強度、難燃性に優れる良好な結果が得られた。
【0054】
<比較例1〜8>
表4、5に示した成分および配合量を、押出機に投入し200℃で押出し、ベント部から水分を蒸発させてペレット化した。このペレットを表4、5に示した条件下(23℃、60%−RH(相対湿度))で暴露放置して水分量を測定し、キャピラリーレオメータを用い押出温度180℃および200℃で発泡の有無を確認した。その結果を表4、5に示した。
[評価結果]
比較例1〜4および6においては、水分量が600ppmを超えるため、180℃におけるキャピラリーレオメータによる発泡はみられないものの、200℃においては発泡が生じて、外観が悪化している。また、比較例5、7および8にみられるように水分量が900ppmを超えるものはキャピラリーレオメータによる180℃、200℃のいずれにおいても発泡が生じ、かつ物性評価のためのシート作成時に発泡が生じてしまった。
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
<実施例18>
導体に低密度ポリエチレンからなる絶縁層を設け、さらにその外側に実施例3の難燃性樹脂組成物ペレットを用いてシース層を形成させたケ−ブルを作製した。このケーブルの表面は発泡もなく、その外観も良好なものが得られた。
【0058】
<比較例9>
導体に低密度ポリエチレンからなる絶縁層を設け、さらにその外側に比較例3の難燃性樹脂組成物ペレットを用いてシース層を形成させたケ−ブルを作製した。このケーブルの表面は発泡が生成し、その外観は悪化したものであった。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、吸水性の高い天然の水酸化マグネシウムを含有する難燃性組成物の含水量を特定の値以下に制御し、かつ品質を維持管理することにより、顧客の使用時までの経時や、高温多湿の環境下で作業を行った場合においても製品のばらつきがなく、発泡のない、外観良好な難燃性の電線、ケーブル等の成形品を作成することができる。
Claims (7)
- ポリオレフィン系樹脂100質量部と水酸化マグネシウムを主成分とする天然鉱物の粉砕物30〜200質量部を少なくとも含む樹脂組成物の含水率を600ppm以下としたことを特徴とする難燃性樹脂組成物。
- 前記ポリオレフィン系樹脂100質量部と水酸化マグネシウムを主成分とする天然鉱物の粉砕物30〜200質量部を少なくとも含む難燃性樹脂組成物に、更に酸無水物基を含有するオレフィン系ランダム共重合体および/または変性ポリオレフィン系樹脂からなる改質用樹脂0.1〜20質量部を配合したことを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記変性ポリオレフィン系樹脂が密度0.87〜0.97g/cm3の無水マレイン酸変性ポリエチレンである請求項2に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記ポリオレフィン系樹脂が、密度0.88〜0.94g/cm3のエチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体から選択される少なくとも1種を主成分とすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記エチレン・ビニルエステル共重合体がエチレン・酢酸ビニル共重合体であり、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体がエチレン・アクリル酸エチル共重合体であることを特徴とする請求項4のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記請求項1から5のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物を用いた電線・ケーブル。
- ポリオレフィン系樹脂と水酸化マグネシウムを主成分とする天然鉱物の粉砕物を少なくとも含む難燃性樹脂組成物において、下記▲1▼〜▲6▼の少なくともいずれか1つの方法で難燃性樹脂組成物の含水量を600ppm以下とすることを特徴とする難燃性樹脂組成物の品質維持管理方法。
▲1▼難燃性樹脂組成物のコンパウンド製造用原料および/またはそのブレンド物を加熱、乾燥し水分を除去する方法。
▲2▼押出機のホッパー部および/またはベント部より脱気し、水分を排出除去する方法。
▲3▼押出機のサイドから気体を吹き込み、水分を除去する方法。
▲4▼押出機で複数回混練押出して、水分を除去する方法。
▲5▼サイロ、パイプライン等で貯蔵、保管あるいは移送する過程で加熱または気体により水分を除去する方法。
▲6▼製品の成形ライン中に加熱、乾燥炉等を設け、成形時に水分を除去する方法。
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