JPH11181188A - 難燃シラン架橋ポリオレフィンの製造方法 - Google Patents

難燃シラン架橋ポリオレフィンの製造方法

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JPH11181188A
JPH11181188A JP35692197A JP35692197A JPH11181188A JP H11181188 A JPH11181188 A JP H11181188A JP 35692197 A JP35692197 A JP 35692197A JP 35692197 A JP35692197 A JP 35692197A JP H11181188 A JPH11181188 A JP H11181188A
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retardant
silane
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water
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JP35692197A
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Yutaka Matsuda
豊 松田
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
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  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 押出加工性に優れ、架橋特性、機械的特性、
難燃性、耐熱性 及び銅変色性に優れた難燃シラン架橋
ポリオレフィンを得ること。 【解決手段】 (i)密度が0.92g/cm3以下のα−
オレフィンの単独重合体又は共重合体100重量部に対
して、難燃剤50〜200重量部、吸水材0.5〜10
重量部、重金属不活性材0.01〜5重量部 及びシラ
ノール縮合触媒を添加してなる難燃ポリオレフィンと、
(ii)一般式RR’SiY2で表される有機不飽和シラン
及び遊離ラジカル発生剤を含有させた実質的に水の存在
しないキャリヤーポリマーとを難燃ポリオレフィンのベ
ースポリマーの結晶融点より高い温度において溶融混合
して反応させ、次いで水分と接触させて架橋させる難燃
シラン架橋ポリオレフィンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シラノール縮合触
媒及び難燃剤を含有した難燃ポリオレフィンのシラン架
橋において、有機不飽和シラン等を高濃度に含有したキ
ャリヤーポリマーにより一工程で難燃シラン架橋ポリオ
レフィンを製造するシラン架橋方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、電線、ケーブル等の被覆、ホース
類、シートおよび射出製品等に多用されているポリオレ
フィン組成物に難燃性を付与するためには、ポリオレフ
ィンにハロゲン化合物と三酸化アンチモンを添加するこ
とにより達成されていた。しかるに、これらの組成物は
ハロゲン組成物であり、燃焼時にハロゲン系ガスを発生
し、かつ金属が腐蝕されるため好ましくなかった。また
発煙量が多く、視界が悪くなり、火災時の人の避難およ
び消火活動が著しく制限されていた。特に、最近は安全
面からこのようなハロゲン系ガスを発生しないことが強
く要望されるようになってきた。このような情勢を踏ま
え、発煙性、有害性の非常に少ない水和金属化合物を用
いる無機系難燃剤が注目されるようになってきた。近
年、難燃性を付与するために、水酸化マグネシウム、水
酸化アルミニウム等を含む樹脂複合物が実用化されてい
るが、これらの難燃性樹脂組成物においては、ハロゲン
系ガスの発生を防止しうるも、燃焼時に該樹脂組成物が
溶融して落下するという所謂ドリップ現象を発生する或
いは高温時形状保持性に劣るという問題があった。
【0003】これを改良するため難燃性の他に併せて耐
熱性も向上するためには架橋させる方法があり、例えば
特公昭57−24373号公報、特公昭57−2662
0号公報等に開示されている。しかし、ここで述べられ
ている方法は化学架橋、電子線架橋等の大掛かりな架橋
装置を必要とし、設備自体のコスト、その後の運用保守
管理費等が嵩み、しいては組成物のコスト上昇を招いて
いた。又、特開昭60−101129号公報、特開昭6
0−147463号公報に見られるように、予めシラン
をグラフト化させたシラングラフト化ポリオレフィン樹
脂に難燃剤を添加して最終的に架橋したことを特徴とす
る難燃性架橋組成物の場合、シラングラフト化ポリオレ
フィン樹脂に難燃剤を配合して混練する時の早期架橋を
抑えるため、シラングラフト化ポリオレフィン樹脂の架
橋度が上げられず耐熱性が不十分であった。又、この方
法は少なくとも二回の反応工程を伴う。即ちシラングラ
フト化反応工程及びシラノール縮合反応工程である。従
って少なくとも二回の押出工程を経る事となり、最終製
品としての経済的な問題が避けられない。
【0004】又、一工程プロセスとしてはモノシール法
がある。しかし、この方法は有機不飽和シランを液状で
押出機に注入する液添装置が必要であるが、滑りや計量
不良の問題がある。押出機も少量添加物を均一分散する
為にL/Dの大きな高価で特殊なタイプが必要であり、
経済的な問題が避けられない。更に押出においても非常
に高度な技術が必要であり、難燃タイプは実績化されて
いない。更に一工程プロセスとしては、シランを固体キ
ャリヤーポリマーに導入したシラン架橋方法が特開平3
−167229号公報に開示されている。しかし、この
方法は固体キャリヤーポリマーとしては多孔質ポリマー
或いはEVAであり、シラン及び遊離ラジカル発生剤の
他にシラノール縮合触媒、酸化防止剤等の添加剤も固体
キャリヤーポリマーに導入している。この為シランの縮
合によるオリゴマー化或いはラジカル捕捉による架橋阻
害により架橋効率や保存性が劣るという問題があった。
又、ここでは難燃タイプについては一言も記載されてい
ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの問
題を解決したもので、シラノール縮合触媒及び難燃剤を
含有した難燃ポリオレフィンのシラン架橋において、有
機不飽和シラン等を高濃度に含有したキャリヤーポリマ
ーにより一工程で難燃シラン架橋ポリオレフィンを製造
するシラン架橋方法の提供を目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、(i)密度が
0.92g/cm3以下のα−オレフィンの単独重合体
又は共重合体100重量部に対して、難燃剤50〜20
0重量部及び吸水材0.5〜10重量部 重金属不活性
材0.01〜5重量部 及びシラノール縮合触媒を添加
してなる難燃ポリオレフィンと、(ii)一般式RR’Si
2(Rは1価のオレフィン性不飽和炭化水素基、Yは加
水分解しうる有機基、R’は脂肪族不飽和炭化水素以外
の1価の炭化水素基あるいはYと同じもの)で表される
有機不飽和シラン及び遊離ラジカル発生剤を含有させた
実質的に水の存在しないキャリヤーポリマーとを難燃ポ
リオレフィンのベースポリマーの結晶融点より高い温度
において溶融混合して反応させ、次いで水分と接触させ
て架橋させる難燃シラン架橋ポリオレフィンの製造方法
であり、好ましくは、α−オレフィンの単独重合体又は
共重合体が、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン
の単独重合体、又はα−オレフィンと他のα−オレフィ
ンとの結晶性のブロック又はランダム共重合体、又はα
−オレフィンを主体とする、酢酸ビニル、無水マレイン
酸、アクリル酸等の極性モノマーとの共重合体並びにこ
れらの混合物で、その密度が0.92g/cm3以下の
ものであり、キャリヤーポリマーがエチレン−エチルア
クリレート共重合体(EEA)またはエチレン−メチル
メタクリレート共重合体(EMMA)であり、キャリヤ
ーポリマーの添加量が1〜5重量%であり、難燃剤が1
種以上のシランカップリング剤、又は脂肪酸で表面処理
した水酸化マグネシウムであり、吸水材が1種以上のシ
ランカップリング剤、シリコーン誘導体又は脂肪酸、脂
肪酸金属塩で表面処理した平均粒径が1〜5μmの生石
灰であり、重金属不活性材はサリチル酸ヒドラジドタイ
プである難燃シラン架橋ポリオレフィンの製造方法であ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明において用いられるα−オレフィンの単独重合体又
は共重合体は、エチレン、プロピレン等のα−オレフィ
ンの単独重合体、又はα−オレフィンと他のα−オレフ
ィンとの結晶性のブロック又はランダム共重合体、例え
ば、結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体、エ
チレン−ブテン−1ランダム共重合体、プロピレン−ブ
テン−1ランダム共重合体、又はα−オレフィンを主体
とする、酢酸ビニル、無水マレイン酸、アクリル酸等の
極性モノマーとの共重合体(グラフト共重合体を含む)
並びにこれらの混合物で、その密度が0.92g/cm
3以下のものである。
【0008】本発明において使用される難燃剤として
は、分解開始温度が150〜450℃の範囲にあって、一般式
MmOn・XH2O(ここに Mは金属、m,nは金属の原子価によ
って定まる1以上の整数、Xは含有結晶水を示す数)で
表される化合物または該化合物を含む複塩であり、具体
的には、水酸化アルミニウム(Al2O3・3H2O;または Al
(OH)3)、水酸化マグネシウム(MgO・H2O;または Mg(O
H)2)、水酸化カルシウム(CaO・H2O;または Ca(O
H)2)、水酸化バリウム(BaO・H2O;または BaO・9H
2O)、酸化ジルコニウム水和物(ZrO・nH20)、酸化ス
ズ水和物(SnO・H20)、塩基性炭酸マグネシウム(3MgC
O3・Mg(OH)2・3H2O)、ハイドロタルサイト(6MgO・Al2
O3・H2O)、ドウソナイト(Na2CO3・Al2O3・nH2O)、硼
砂(Na2O・B2O5・5H2O)等であり、その他硼酸亜鉛、メ
タ硼酸亜鉛、メタ硼酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネ
シウム−カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、
酸化モリブデン、赤リン、リン酸トリエチル、リン酸ト
リクレジル、リン酸トリフェニル、リン酸クレジルフェ
ニル、リン酸オクチルジフェニル、ジエチレンリン酸エ
チルエステル、ジヒドロキシプロピレンリン酸ブチルエ
ステル、エチレンリン酸ジナトリウムエステル、ポリリ
ン酸アンモニウム、リン酸メラミン、リン酸グアニジ
ン、等が挙げられ、これらは1種または2種以上併用し
てもよく、好ましくは水酸化マグネシウム、である。ま
た、難燃剤はシランカップリング剤、脂肪酸等で表面処
理を施したものが好ましい。 (i)シランカップリング剤としては、分子内の一方の末
端に無機質と反応する反応基(メトキシ基、エトキシ
基、カルボキシル基、セロソルブ基等)を有するもので
あり、これは一般的に三官能基を有する場合が多いが、
二官能、一官能を有する場合でももちろん良い。又もう
一方の末端には、有機材料である樹脂側と化学結合する
反応基(ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ
基、メルカプト基等)を有するもので主鎖がアルコキシ
オリゴマーを骨格とするものである。
【0009】(ii)脂肪酸としては、飽和及び不飽和脂肪
酸があり、炭素数が6以上22までの脂肪酸を指すが特
にC18のステアリン酸、オレイン酸が挙げられる。 (i)・(ii)によって又はその混合体によって表面処理され
た水酸化マグネシウムを50重量部から200重量部配
合した場合、低密度の低結晶性ポリマーと相溶するか又
は反応し高充填した場合でも、容易に、低温特性、柔軟
性及び加工性の優れた組成物を形成できるものである
が、50重量部を下回るとその難燃効果は著しく低下し
てしまう。又200重量部を上回ると難燃性が著しく向
上するものの、柔軟性、低温特性等の機械特性が低下
し、加工性が極端に悪くなる。
【0010】本発明に使用される吸水材としては生石灰
(酸化カルシウム)、酸化マグネシウム、酸化バリウ
ム、酸化アルミニウム、マグネシウム・アルミニウム・
酸化物、マグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサ
イド・カーボネート、シリカゲル、無水硫酸カルシウ
ム、無水硫酸銅等である。好ましくは生石灰であり、上
記(i)・(ii)によって又はその混合体によって表面処理さ
れたものが好ましく、この吸水材は難燃ポリオレフィン
の付着水分量低減の為に添加される。これは難燃ポリオ
レフィンに付着水分があると、シラン架橋工程で早期架
橋を生じる為である。この早期架橋を引き起こす付着水
分量はおよそ100ppm以上であり、付着水分量を1
00ppm以下に抑える為には生石灰は0.5〜10重
量部添加しなければならない。0.5重量部を下回ると
付着水分量が100ppm以上となり早期架橋を引き起
こす。又10重量部を上回っても付着水分量の低減効果
はなく機械特性の低下を引き起こす場合がある為であ
る。又難燃ポリオレフィン中での分散性に優れ、より均
一な付着水分吸収効果を得る為には平均粒径が1〜5μ
mの吸水材が好ましい。しかしながら、吸水材の添加は
銅線の変色を引き起こす事もあり、これを防止するた
め、重金属不活性剤の添加が必要となる。
【0011】本発明の重金属不活性剤としては、3−
(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾー
ル・デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジ
ド等のサリチル酸ヒドラジドタイプ等が挙げられる。こ
れらの添加量は難燃シラン架橋ポリオレフィンの全重量
を基準として0.01〜5重量% 好ましくは0.05
〜3重量%である。0.01%を下回ると銅変色性を抑
制できず、又5重量%を上回ると機械特性を低下を引き
起こす場合がある。
【0012】本発明のシラノール縮合触媒としては、ジ
ブチル錫ジラウレート、酢酸第一錫、ジブチル錫ジアセ
テート、ジブチル錫ジオクトエート、ナフテン酸鉛、カ
プリル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、チタン酸テトラブ
チルエステル、ステアリン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ス
テアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステア
リン酸カルシウム等の有機金属化合物が挙げられる。こ
れらの添加量としては、難燃シラン架橋ポリオレフィン
の全重量を基準として0.01〜0.1重量%、好まし
くは0.03〜0.07重量%である。0.01重量%
を下回ると十分な架橋反応が進まず、又0.1重量%を
上回ると押出時に押出機内で局部的に架橋が進行し外観
が著しく悪化する。又シラノール縮合触媒は難燃ポリオ
レフィンに加入しなければならない。これは有機不飽和
シラン及び遊離ラジカル発生剤を含浸させたキャリヤー
ポリマーに加入するとシランの縮合によるオリゴマー化
を促進し外観悪化を引き起こす為である。
【0013】本発明の有機不飽和シランは、ベースレジ
ン相互の架橋点となるべくベースレジンにグラフト化さ
れるものである。本発明において使用される有機不飽和
シランとしては、一般式RR’SiY2(Rは1価のオ
レフィン性不飽和炭化水素基、Yは加水分解しうる有機
基、R’は脂肪族不飽和炭化水素以外の1価の炭化水素
基あるいはYと同じもの)で表される化合物が使用され
る。R’がYと同一で一般式RSiY3で表される有機
不飽和シランを使用するのが望ましく、例えばビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル
トリブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリ
ルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの添加量
としては難燃シラン架橋ポリオレフィンの全重量を基準
にして0.1〜2重量%、好ましくは0.4〜1重量%
である。0.1重量%を下回ると充分なグラフト化が起
こらず、又2重量%を上回ると成形不良を起こすととも
に経済的でなくなる。
【0014】本発明の遊離ラジカル発生剤は、シラング
ラフト化反応の開始剤として働く。本発明において使用
される遊離ラジカル発生剤には、重合開始作用の強い種
々の有機過酸化物及びパーエステル、例えばジクミルパ
ーオキサイド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ
ジイソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサ
イド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−ベンゾイ
ルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオ
キシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサノエート等が挙げられる。これらの添加量としては
難燃シラン架橋ポリオレフィンの全重量を基準にして
0.01〜0.1重量%、好ましくは0.02〜0.0
5重量%である。0.01重量%を下回ると充分なシラ
ングラフト化反応が進行せず、又0.1重量%を上回る
と押出加工性が低下するとともに成形表面が悪くなる。
【0015】遊離ラジカル発生剤をシランに溶解した液
体混合物で本発明のキャリヤーポリマーを膨潤させるこ
とにより、遊離ラジカル発生剤とシランをキャリヤーポ
リマーに加入することができる。この時シランを高濃度
に加入させる為にはキャリヤーポリマーの予熱が必要で
あるが、ポリマーが溶融しないように結晶融点以下の温
度でなければならない。結晶融点以上の温度になるとペ
レットが溶融し作業性に支障をきたす為である。又キャ
リヤーポリマーは、粒状形であり且つ架橋する難燃ポリ
オレフィン及びシランと相溶性の個体でなければならな
い。相溶性とは、キャリヤーポリマーがシランと容易に
反応してはならず、且つ難燃ポリオレフィンに分散可能
或いは可溶性でなければならないことを意味する。適し
たキャリヤーポリマーは非吸湿性である。即ちシランの
早期加水分解及び縮合の可能性を最小にする為に水分の
吸収が比較的遅いのが好ましい。何れにしても、キャリ
ヤーポリマーは実質的に水が存在すべきでない。本発明
のキャリヤーポリマーはグラニュール、或いはペレット
の形の粒状物にするのが普通であり、好ましい形はペレ
ットである。
【0016】本発明において使用されるキャリヤーポリ
マーとしては、例えばエチレン−エチルアクリレート共
重合体(EEA)、エチレン−メチルメタクリレート共
重合体(EMMA)、エチレン−ビニルアセテート共重
合体(EVA)、エチレン−プロピレン共重合体(EP
R)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPD
M)、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とす
る重合体ブロックと、少なくとも1個の共役ジエン化合
物を主体とする重合体ブロックよりなるブロック共重合
体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体、例え
ば水添スチレン−イソプレンブロック共重合体(SEP
S)、水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体(S
EBS)等であり、及びこれらの混合物を挙げることが
できる。好ましくは、エチレン−エチルアクリレート共
重合体(EEA)、エチレン−メチルメタクリレート共
重合体(EMMA)である。キャリヤーポリマーの添加
量は難燃シラン架橋ポリオレフィンの全重量を基準にし
て1〜5重量%の範囲で添加される。1重量%を下回る
と充分なグラフト化が起こらず、又5重量%を上回ると
成形不良を起こすとともに経済的でなくなる。難燃ポリ
オレフィンのその他の添加剤としては所望により通常に
使用される添加剤、例えば酸化防止剤、中和剤、紫外線
吸収剤、帯電防止剤、顔料、分散剤、増粘剤、防カビ
剤、流動調整剤等、または他の合成樹脂を含有させるこ
ともできる。尚 本発明においては、シラノール縮合触
媒をベースポリマーに添加したが、シラノール縮合触媒
の分散程度を良くするために、前述の有機不飽和シラン
及び遊離ラジカル発生剤を含浸させたキャリヤーポリマ
ー以外の別のキャリヤーポリマー、例えばポリオレフィ
ン系樹脂にシラノール縮合触媒を予め溶融混合させたも
のを用いても良い。この場合は、ベースポリマーと2種
類のキャリヤーポリマーを適度の配合割合で押出機等の
成形機に投入することになる。
【0017】
【実施例】以下に実施例を挙げて説明する。 《難燃ポリオレフィンの製造》表1に示すような配合割
合に従って、各成分を混合しバンバリーを用いて温度1
60〜180℃で混練し造粒した。 《キャリヤーポリマーの製造》表2に示すような配合割
合に従って、まずキャリヤーポリマーをスーパーミキサ
ーに投入し攪拌混合し80℃に予熱する。次に不飽和シ
ランに遊離ラジカル発生剤を溶かした液体混合物をスー
パーミキサーに投入し攪拌しながらキャリヤーポリマー
に10分間で含浸させた。
【0017】使用した原材料は次のとおりである。 (1)D9052:エチレンとα−オレフィンの共重合体
/ソフトレックスD9052(日本石油化学 製)密
度;0.905g/cm3 (2)P−0480:エチレンとα−オレフィンの共重合
体/タフマーP−0480(三井石油化学 製)密度;
0.87g/cm3 (3)水酸化マグネシウム:キスマ5B(協和化学(株)
製)、オレイン酸処理品 (4)生石灰(1):平均粒径3μm、ステアリン酸処理品 (5)生石灰(2):平均粒径10μm、ステアリン酸処理品 (6)重金属不活性材:アデカスタブCDA−1(旭電化
工業(株)製) (7)DBTDL:ジブチルスズジラウレート (8)酸化防止剤:フェノール系酸化防止剤/イルガノッ
クス1010(チバガイギー(株)製) (9)滑剤:低分子量ポリエチレン/サンワックス171
P(三洋化成工業(株)製) (10)EEA:エチレン−エチルアクリレート共重合体
(EA含量;23重量%、結晶融点93℃) (11)EMMA:エチレン−メチルメタクリレート共重合
体(MMA含量;15重量%、結晶融点90℃) (12)L−LDPE:直鎖状低密度ポリエチレン(密度;
0.924g/cm3、MI;3.0g/10min) (13)VTMOS:ビニルトリメトキシシラン (14)DCP:ジクミルパーオキサイド
【0019】評価方法は次のとおりである。 (15)付着水分量(ppm):カールフィッシャー法(150
゜C、30分) (16)シラン含浸性:スーパーミキサーでVTMOS/DCP液体
混合物を加熱攪拌した時の含浸性を評価した。 ○:含浸性良好、×:含浸不可 (17)テープ押出外観: 50mmφの押出機 120-150-170-180-170℃ L/D:20 圧縮比 3.5 テープダイ:巾 100mm リップ間
隔 1mmt 評価:○>△>×の順とし、○のレベルを合格とした。 (18)酸素指数:JIS K 7201 による。 (19)ゲル分率(%):120℃、20時間、キシレン浸漬法 (20)引張強さ(MPa)及び伸び(%):JIS K 6760
による。 (21)ホットセット:IEC-540A による。 ○:合格、×:不合格 (22)銅変色性:作製したシート間に銅線を挟みプレスす
る。これを160℃1週間処理した後、銅線の変色を観
察する。 判定 変色無し:○ 変色あり:×
【0020】得られた難燃ポリオレフィンとキャリヤー
ポリマーを表3及び4の比率で混合し、押出機を用いて
テープを押出し、更に温水中に浸漬することによって架
橋処理を行った。この押出テープを用いて、ゲル分率、
引張強さ、伸び及びホットセットの評価を行った。又、
押出テープをプレスし酸素指数の評価を行った。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】表3及び4から明らかなように、実施例1
〜4は押出加工性が良好で、かつ非常に優れた架橋特
性、機械的特性、難燃性、耐熱性及び銅変色性を示して
いる。これに対し比較例は全て、押出加工性、架橋特
性、機械的特性、難燃性、耐熱性、銅変色性等のバラン
スが取れていない。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、押出加工性に優れ、架
橋特性、機械的特性、難燃性、耐熱性及び銅変色性に優
れた難燃シラン架橋ポリオレフィンを得ることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 9/04 C08K 9/04

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i)密度が0.92g/cm3以下のα−
    オレフィンの単独重合体又は共重合体100重量部に対
    して、難燃剤50〜200重量部、吸水材0.5〜10
    重量部、重金属不活性材0.01〜5重量部 及びシラ
    ノール縮合触媒を添加してなる難燃ポリオレフィンと、
    (ii)一般式RR’SiY2(Rは1価のオレフィン性不飽
    和炭化水素基、Yは加水分解しうる有機基、R’は脂肪
    族不飽和炭化水素以外の1価の炭化水素基あるいはYと
    同じもの)で表される有機不飽和シラン及び遊離ラジカ
    ル発生剤を含有させた実質的に水の存在しないキャリヤ
    ーポリマーとを難燃ポリオレフィンのベースポリマーの
    結晶融点より高い温度において溶融混合して反応させ、
    次いで水分と接触させて架橋させることを特徴とする難
    燃シラン架橋ポリオレフィンの製造方法。
  2. 【請求項2】 α−オレフィンの単独重合体又は共重合
    体が、エチレン、プロピレン等のα−オレフィンの単独
    重合体、又はα−オレフィンと他のα−オレフィンとの
    結晶性のブロック又はランダム共重合体、又はα−オレ
    フィンを主体とする酢酸ビニル、無水マレイン酸、アク
    リル酸等の極性モノマーとの共重合体並びにこれらの混
    合物で、その密度が0.92g/cm3以下のものであ
    る請求項1記載の難燃シラン架橋ポリオレフィンの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 キャリヤーポリマーがエチレン−エチル
    アクリレート共重合体(EEA)、又はエチレン−メチ
    ルメタクリレート共重合体(EMMA)である請求項1
    又は2記載の難燃シラン架橋ポリオレフィンの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 キャリヤーポリマーの添加量が1〜5重
    量%である請求項1、2又は3記載の難燃シラン架橋ポ
    リオレフィンの製造方法。
  5. 【請求項5】 難燃剤が1種以上のシランカップリング
    剤または脂肪酸で表面処理されている請求項1記載の難
    燃シラン架橋ポリオレフィンの製造方法。
  6. 【請求項6】 難燃剤が水酸化マグネシウムである請求
    項1または5記載の難燃シラン架橋ポリオレフィンの製
    造方法。
  7. 【請求項7】 吸水材が1種以上のシランカップリング
    剤、脂肪酸で表面処理されている請求項1記載の難燃シ
    ラン架橋ポリオレフィンの製造方法。
  8. 【請求項8】 吸水材が生石灰である請求項1または7
    記載の難燃シラン架橋ポリオレフィンの製造方法。
  9. 【請求項9】 吸水材の平均粒径が1〜5μmである請
    求項1、7または8記載の難燃シラン架橋ポリオレフィ
    ンの製造方法。
  10. 【請求項10】 重金属不活性剤は、サリチル酸ヒドラ
    ジドタイプである請求項1記載の難燃シラン架橋ポリオ
    レフィンの製造方法。
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