JP2021011553A - 架橋剤マスターバッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】量産時の加工性に優れる架橋剤マスターバッチを提供すること。【解決手段】架橋剤マスターバッチは、エチレンとカルボニル基を有するコモノマーとの共重合体、およびシランカップリング剤を含み、上記共重合体中の上記コモノマー含量が、10質量%以上30質量%未満であり、上記共重合体は、融点が75℃以上であり、上記共重合体100質量部に対して、上記シランカップリング剤を5質量部以上40質量部以下の量で含む。架橋剤マスターバッチは、さらに、有機過酸化物およびシラノール縮合触媒から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、架橋剤マスターバッチに関する。
特許文献1には、熱可塑性ポリマーを架橋するために用いられるシラン架橋剤保持体が記載されている。このシラン架橋剤保持体は、カルボニル基を有するコモノマー含量が30質量%以上でかつメルトフローレートが10以下であるエチレン共重合体などの発泡樹脂と、シラン架橋剤の液体とを含む。発泡樹脂は、1.1〜1.8倍の体積比率で発泡させており、シラン架橋剤の液体は、30〜90質量%の含量で発泡樹脂に保持されている。
特開平7−330914号公報
しかしながら、特許文献1のシラン架橋剤保持体は、量産時の加工性に問題があった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、量産時の加工性に優れる架橋剤マスターバッチを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る架橋剤マスターバッチは、エチレンとカルボニル基を有するコモノマーとの共重合体、およびシランカップリング剤を含み、上記共重合体中の上記コモノマー含量が、10質量%以上30質量%未満であり、上記共重合体は、融点が75℃以上であり、上記共重合体100質量部に対して、上記シランカップリング剤を5質量部以上40質量部以下の量で含む。
本発明に係る架橋剤マスターバッチは、量産時の加工性に優れるという効果を奏する。
図1は、架橋剤マスターバッチの添加量に対する架橋ポリマーの成形体の架橋度および加熱変形率の変化を示す図である。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
<架橋剤マスターバッチ>
実施形態に係る架橋剤マスターバッチは、エチレンとカルボニル基を有するコモノマーとの共重合体、およびシランカップリング剤を含む。
実施形態に係る架橋剤マスターバッチは、具体的には、保持体としての共重合体中に、高温下でポリマーと反応させ架橋させる成分としてのシランカップリング剤(シラン架橋剤)を含む材料である。ポリマーに対して、この架橋剤マスターバッチを適量添加し、高温加工することにより、シラン架橋ポリマーを製造できる。
従来、ポリマーを架橋する方法として、電子線架橋法、化学架橋法とともに、シラン架橋法が知られている。シラン架橋法では、たとえば、有機過酸化物の存在下でメチレン基を有するシランカップリング剤を反応させてシラングラフトポリマーを得る。次いで、シラノール縮合触媒の存在下でシラングラフトポリマーと水分とを接触させて架橋ポリマーを得る。このようなシラン架橋法に用いられる架橋剤マスターバッチには、保持体およびシランカップリング剤が含まれる。さらに、上記架橋剤マスターバッチには、通常、有機過酸化物およびシラノール縮合触媒が含まれる。
保持体としての共重合体は、エチレンとカルボニル基を有するコモノマーとの共重合体である。上記カルボニル基を有するコモノマーとしては、たとえば、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルなどが挙げられる。上記コモノマーは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。したがって、上記共重合体としては、具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)などが好適に用いられる。上記共重合体は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このような共重合体を用いると、実施形態に係る架橋剤マスターバッチによりポリマーを架橋する際に、ポリマーと十分に混ざり合うことができる。特に、EVAおよびEEAでは、コモノマーが、シランカップリング剤の含浸に重要な役割を果たす。
上記共重合体中のコモノマー含量は、10質量%以上30質量%未満である。また、エチレン含量は、70質量%を超え90質量%以下である。いいかえると、上記共重合体において、全構成単位100質量%中、コモノマーに由来する構成単位は10質量%以上30質量%未満である。また、エチレンに由来する構成単位は70質量%を超え90質量%以下である。なお、上記共重合体を重合する際に用いるエチレンとコモノマーとの割合は、上記共重合体中においても保たれていると考えられる。上記コモノマー含量が上記範囲にあると、シランカップリング剤の含浸量を適度な範囲に保てる。さらに、共重合体の融点が、量産加工しやすい範囲となる。ところで、特許文献1のシラン架橋剤保持体では、コモノマー含量が30質量%以上であるため、エチレン共重合体の融点が低い。このため、量産時のシラン含浸加工での昇温によって、エチレン共重合体が溶融しやすく、量産時の加工性に問題がある。これに対して、実施形態に係る架橋剤マスターバッチでは、上記コモノマー含量が上記範囲にあるため、量産時のシラン含浸加工での昇温によっても、上記共重合体は溶融し難い。したがって、量産時の加工性に優れる。
上記共重合体は、具体的には、融点が75℃以上である。融点は、JIS K 7121の熱分析法(DTA,DSC)に準拠して求めた値である。上記共重合体の融点が上記範囲にあると、上述のように、量産時の加工性に優れる。
また、実施形態に係る架橋剤マスターバッチにおいて、保持体は無発泡である。ところで、特許文献1のシラン架橋剤保持体では、ケーブル押出しの際に、添加したシラン架橋剤保持体中の発泡樹脂に由来する気泡が生じる懸念がある。これに対して、実施形態に係る架橋剤マスターバッチでは、保持体は無発泡であるため、上記懸念は生じない。
シランカップリング剤は、ラジカルの存在下でポリマーにグラフト化反応しうるメチレン基と、加水分解しうる基とを有していればよく、特に限定されない。たとえば、シランカップリング剤は、一端にメチレン基(CH2=)を有し、他端に加水分解および縮合反応可能な三置換シリル基を有する。シランカップリング剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。具体的には、下記式の構造を有するシランカップリング剤が好適に用いられる。
Figure 2021011553
式中、R1は水素またはアルキル基、XおよびYは0または1、ただしXが1のときはYも1、nは1〜12の整数、R2およびR3は、それぞれ独立して、アルコキシ、アルコキシアルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、脂肪族アシルオキシまたは炭素数1〜6のアルキル、R4は、アルキル、アリール、アラルキル、アルコキシアルキルまたは脂肪族アシルである。
シランカップリング剤としては、より具体的には、ビニルトリメトキシシラン(CH2=CHSi(OCH33)、ビニルトリエトキシシラン(CH2=CHSi(OC253)、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン(CH2=CHSi(OC24OCH33、およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(CH2=CCH3COOC36Si(OCH33)が好適に用いられる。なお、これらは室温で液状であり、通常、上記共重合体中に含浸される。
有機過酸化物は、熱分解によりラジカルを発生して、シランカップリング剤とポリマーとのラジカル反応によるグラフト化反応を促進できる。有機過酸化物は、ラジカルを発生できればよく、特に限定されない。有機過酸化物は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機過酸化物としては、具体的には、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイドなどが挙げられる。これらのうちで、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3が好ましい。これらを用いると、実施形態に係る架橋剤マスターバッチを製造する際に、有機過酸化物が分解しにくい利点もある。
シラノール縮合触媒は、水分の存在下で、縮合反応によるシラングラフトポリマー同士の結合を促進できる。これにより、シランカップリング剤を介してポリマー同士が架橋される。その結果、通常、架橋ポリマーの成形体が得られる。シラノール縮合触媒は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シラノール縮合触媒としては、有機スズ化合物、金属石けん、白金化合物が挙げられる。シラノール縮合触媒としては、具体的には、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクチエート、ジブチル錫ジアセテート、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ナフテン酸鉛、硫酸鉛、硫酸亜鉛、有機白金化合物などが挙げられる。これらのうちで、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクチエート、ジブチル錫ジアセテートが好ましい。
さらに、実施形態に係る架橋剤マスターバッチには、酸化防止剤、銅害防止剤、滑剤の他、紫外線安定剤、光安定剤、加工助剤などのその他の添加剤が含まれていてもよい。その他の添加剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤としては、たとえば、4,4’−ジオクチル・ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物等のアミン系酸化防止剤;ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のフェノール系酸化防止剤;ビス(2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル)スルフィド、2−メルカプトベンヅイミダゾールおよびその亜鉛塩、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリル−チオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤などが挙げられる。
銅害防止剤としては、たとえば、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、2’,3−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]プロピオノヒドラジド又はデカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジドなどが挙げられる。
滑剤としては、たとえば、高級脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸アマイドなどが挙げられる。高級脂肪酸としては、具体的には、炭素数12〜30の飽和または不飽和の高級脂肪酸が好適に用いられる。高級脂肪酸としては、より具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノレン酸、α−エレオステアリン酸、β−エレオステアリン酸、α−リノレン酸が挙げられる。また、脂肪酸金属塩としては、具体的には、上記高級脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩、鉄塩、リチウム塩などが挙げられる。脂肪酸アマイドとしては、具体的には、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどが挙げられる。
実施形態に係る架橋剤マスターバッチは、上記共重合体100質量部に対して、シランカップリング剤を5質量部以上40質量部以下の量で含む。シランカップリング剤が上記の量で含まれていると、グラフト化反応を好適に進ませることができる。
また、実施形態に係る架橋剤マスターバッチは、上記共重合体100質量部に対して、有機過酸化物を0.2質量部以上2質量部以下の量で含むことが好ましい。有機過酸化物が上記の量で含まれていると、グラフト化反応をより好適に進ませることができる。また、実施形態に係る架橋剤マスターバッチは、上記共重合体100質量部に対して、シラノール縮合触媒を0.3質量部以上3質量部以下の量で含むことが好ましい。シラノール縮合触媒が上記の量で含まれていると、縮合反応を好適に進ませることができる。
さらに、上述したその他の添加剤は、実施形態に係る架橋剤マスターバッチにおいて、本発明の目的を阻害しない範囲の量で含まれていてもよい。
実施形態に係る架橋剤マスターバッチの製造においては、たとえば、上記共重合体、シランカップリング剤、有機過酸化物およびシラノール縮合触媒を配合し、上記共重合体の融点以下の温度で、この配合物を攪拌する。これにより、上記共重合体に対して、シランカップリング剤、有機過酸化物およびシラノール縮合触媒を含む液体を含浸、吸収させる。このようにして、実施形態に係る架橋剤マスターバッチが得られる。なお、有機過酸化物およびシラノール縮合触媒は、必要に応じて用いればよい。また、その他の添加剤をさらに配合して上記配合物としてもよい。
また、実施形態に係る架橋剤マスターバッチによれば、ポリマー100質量部に対して、上記架橋剤マスターバッチを1質量部以上20質量部以下の量で配合した場合に、通常、架橋度が20%以上90%以下の架橋ポリマーが得られる。
<架橋ポリマー>
実施形態に係る架橋剤マスターバッチを用いて、架橋ポリマーを製造できる。架橋ポリマーを製造するために用いるポリマーとしては、熱可塑性ポリマーが好適に用いられる。熱可塑性ポリマーとしては、たとえば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、塩化ビニル樹脂(PVC)、塩素化ポリエチレン樹脂、塩化ビニリデン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体が挙げられる。
架橋ポリマーの製造においては、まず、このようなポリマーに対して、上述した架橋剤マスターバッチを配合し、実質的に水が存在しない状態で混練し押出す。混練および押出しは、通常ポリマーの軟化点以上の温度で行う。ここで、ポリマー100質量部に対して、架橋剤マスターバッチを1質量部以上20質量部以下の量で配合することが好ましい。さらに、必要に応じて、酸化防止剤などの添加物を配合して混練および押出しを行ってもよい。混練および押出しは、汎用押出機によって行うことができる。上記架橋剤マスターバッチは、ポリマーに対して、速やかにシランカップリング剤、有機過酸化物およびシラノール縮合触媒を拡散させることができる。このため、グラフト化反応速度も速い。また、絶縁被覆電線またはケーブルを提供するため、たとえば導体にポリマーを被覆させながら押出していくことも可能である。次いで、架橋反応のため水分(温水または水蒸気)に押出されたポリマーをさらす。これにより、加水分解および縮合反応が進み、ポリマーはシランカップリング剤を介して架橋され、架橋ポリマーが得られる。通常、架橋ポリマーの成形体が得られる。
得られた架橋ポリマーは、好適に架橋されており、たとえば、架橋度が20%以上90%以下である。架橋度、すなわちゲル分率は以下のようにして測定できる。まず、架橋ポリマーの重量を測定する。次に、架橋ポリマーを溶剤に浸漬して残存する重量を測定する。溶剤としては加熱したキシレンが好適に用いられる。次いで、下記式より、ゲル分率を求めることができる。
ゲル分率(%)=(熱キシレン浸漬後の残存重量(g))/(熱キシレン浸漬前の重量(g))×100
このように、実施形態に係る架橋剤マスターバッチによれば、様々な電線・ケーブル押出工程にて、汎用ポリオレフィンに対して、架橋剤マスターバッチを適量添加するだけで、架橋成形物が生産できる。そして、架橋剤マスターバッチの添加量を増減させることで、同一のベース樹脂から作製される架橋成形物の架橋度とこれに伴う物性とを容易に制御し得る。さらに、従来、シラン含浸が困難であった低融点材料(たとえば電線の半導電材料)に対しても、実施形態に係る架橋剤マスターバッチを用いれば、架橋成形物が好適に生産できる。
[実施例]
[実施例1]
保持体としてエチルアクリレート含有量が15質量%であり、融点が100℃であるエチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)を100質量部と、シランカップリング剤としてビニルトリメトキシシランを20質量部と、有機過酸化物としてジクミルパーオキサイドを1質量部と、シラノール縮合触媒としてジブチル錫ジラウレートを1質量部とを用いた。
EEAの融点以下の温度で上記の材料をミキサー中で撹拌しながら、EEAに添加剤液体を含浸させ、架橋剤マスターバッチを得た。なお、ここで、添加剤液体は、ビニルトリメトキシシラン、ジクミルパーオキサイドおよびジブチル錫ジラウレートを含む。
[実施例2]
保持体としてエチルアクリレート含有量が20質量%であり、融点が96℃であるエチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)を用いたこと、およびシランカップリング剤を25質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして架橋剤マスターバッチを得た。
[実施例3]
保持体としてエチルアクリレート含有量が25質量%であり、融点が92℃であるエチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)を用いたこと、およびシランカップリング剤を30質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして架橋剤マスターバッチを得た。
[実施例4]
保持体として酢酸ビニル含有量が20質量%であり、融点が85℃であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を用いた以外は、実施例1と同様にして架橋剤マスターバッチを得た。
[比較例1]
保持体として酢酸ビニル含有量が32質量%であり、融点が62℃であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を用いたこと、およびシランカップリング剤を40質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして架橋剤マスターバッチを得た。
[比較例2]
保持体として酢酸ビニル含有量が41質量%であり、融点が40℃であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を用いたこと、およびシランカップリング剤を50質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして架橋剤マスターバッチを得た。
[評価]
評価方法および評価基準は、以下の通りである。
〔加工性〕
加工(槽内での撹拌)終了後、作製した架橋剤マスターバッチが凝集していたか否かにより判断した。凝集していない場合を合格(〇)、凝集している場合を不合格(×)とする。
評価結果を表1に示す。
Figure 2021011553
EA=エチルアクリレート、VAc=酢酸ビニル
[実施例5−1]
低密度ポリエチレン(LDPE)100質量部に、実施例3で得られた架橋剤マスターバッチを3.5質量部添加して、押出加工して、厚み1mm、幅20mmの成形体を得た。押出条件は、以下の通りである。
押出条件:スクリュー回転数90rpm、押出温度200℃
次いで、押出し後80℃の水に24時間入れ、シラン架橋を促進させ、架橋ポリマーの成形体を得た。
また、実施例3で得られた架橋剤マスターバッチを7質量部、10.5質量部および14質量部添加した以外は、それぞれ上記と同様にして、架橋ポリマーの成形体を得た。
[評価]
〔架橋度〕
架橋度(ゲル分率)は、架橋ポリマーの成形体について、JIS C 3005に準拠して測定した。
[実施例5−2]
低密度ポリエチレン(LDPE)100質量部に、実施例3で得られた架橋剤マスターバッチを3.5質量部添加し、押出加工して、押出した成形体をプレスして厚さ2mm、幅15mm、長さ30mmの試験片を得た。押出条件は、以下の通りである。
押出条件:スクリュー回転数90rpm、押出温度200℃
次いで、押出し後80℃の水に24時間入れ、シラン架橋を促進させ、架橋ポリマーの成形体(試験片)を得た。
また、実施例3で得られた架橋剤マスターバッチを7質量部、10.5質量部および14質量部添加した以外は、それぞれ上記と同様にして、試験片を得た。
[評価]
〔加熱変形率〕
得られた試験片について、試験温度120℃、荷重10Nとして、加熱加圧した際の変形量を測定した。
図1は、架橋剤マスターバッチの添加量に対する架橋ポリマーの成形体の架橋度および加熱変形率の変化を示す図である。

Claims (4)

  1. エチレンとカルボニル基を有するコモノマーとの共重合体、およびシランカップリング剤を含み、
    前記共重合体中の前記コモノマー含量が、10質量%以上30質量%未満であり、
    前記共重合体は、融点が75℃以上であり、
    前記共重合体100質量部に対して、前記シランカップリング剤を5質量部以上40質量部以下の量で含む、
    架橋剤マスターバッチ。
  2. さらに、有機過酸化物およびシラノール縮合触媒から選ばれる少なくとも1種を含む、
    請求項1に記載の架橋剤マスターバッチ。
  3. さらに、酸化防止剤、銅害防止剤および滑剤から選ばれる少なくとも1種を含む、
    請求項1または2に記載の架橋剤マスターバッチ。
  4. ポリマー100質量部に対して、前記架橋剤マスターバッチを1質量部以上20質量部以下の量で配合した場合に、架橋度が20%以上90%以下の架橋ポリマーが得られる、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の架橋剤マスターバッチ。
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