JPH07330914A - シラン架橋剤保持体およびそれを用いたシラン架橋樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

シラン架橋剤保持体およびそれを用いたシラン架橋樹脂成形体の製造方法

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JPH07330914A
JPH07330914A JP12110494A JP12110494A JPH07330914A JP H07330914 A JPH07330914 A JP H07330914A JP 12110494 A JP12110494 A JP 12110494A JP 12110494 A JP12110494 A JP 12110494A JP H07330914 A JPH07330914 A JP H07330914A
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foamed resin
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JP12110494A
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Fumiaki Mizuno
史章 水野
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 揮発性の高いシラン架橋剤を高濃度で長時間
安定して保持し得る架橋剤マスターバッチを提供する。 【構成】 熱可塑性ポリマーを架橋するために用いられ
るシラン架橋剤保持体。シラン架橋剤保持体は、カルボ
ニル基を有するコモノマー含量が30重量%以上でかつ
メルトフローレートが10以下であるエチレン共重合体
および上記エチレン共重合体とビニルポリマーとの混合
物でカルボニル基を有するコモノマー含量が30重量%
以上のもののいずれかからなる発泡樹脂と、一方端にメ
チレン基を有しかつ他方端に加水分解および縮合反応が
可能な三置換シール基を有する化合物からなるシラン架
橋剤の液体とを主成分として含む。シラン架橋剤の液体
は、30〜90重量%の含量で発泡樹脂に保持される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機ケイ素化合物の架
橋剤を用いて熱可塑性ポリマーを架橋するための技術に
関し、特に、架橋剤を高い濃度で保持した材料、および
その材料を用いて熱可塑性ポリマーを架橋する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】ダウ・コーニング社によって開発された
いわゆるシラン架橋法は、今日、電線被覆材の製造など
において幅広く応用されている。この方法は大きく次の
2つの工程に分けられる。
【0003】(1) 樹脂ポリマーに有機ケイ素化合物
をグラフトさせるか、または、有機ケイ素化合物と樹脂
モノマーとの共重合体を形成する。
【0004】(2) (1)で調製した樹脂と架橋触媒
を混練かつ押出した後押出された樹脂を高温水蒸気にさ
らすかまたは温水に浸漬する。これにより、有機ケイ素
分子のシラノール基またはアルコキシシラン基同士が縮
合し架橋が進行する。
【0005】この方法において、(1)の工程は特に重
要であり、種々の課題を有している。
【0006】(1)の工程で、有機ケイ素化合物の共重
合体を合成する場合、合成のための固有の大掛りな設備
が必要である。設備は、合成しようとする樹脂の種類に
よって変更しなければならない。また、樹脂を合成する
のに複雑な条件および長いプロセス時間を必要とする。
一方、樹脂ポリマーに有機ケイ素化合物をグラフトさせ
る方法は、共重合体を合成する方法よりも簡便に比較的
短時間で行なうことができる。
【0007】有機ケイ素化合物を樹脂ポリマーにグラフ
トする方法を用いた架橋に関し、スイスのノキア−マユ
ファー(Nokia-Maillefer )社は、モノシル(Monosil
)法という方法を開発している。この方法では、押出
機においてポリマー樹脂に有機ケイ素を含む液体が添加
され、混合物を混練押出して有機ケイ素がグラフトされ
た樹脂ポリマーを生成させる。押出機にシラン架橋剤の
液体を直接導入すると、滑りや濃度の不均一が生じやす
くなる。そこでモノシル法では、長い混練部を有し、か
つ押出し速度に合せて液体の供給量を制御できる特別の
押出機を用いてこの問題を改善しようとする。モノシル
法は、シンプルな工程によって架橋剤をグラフトしたポ
リオレフィンを製造することができる一方で、汎用の押
出機ではなく特殊な押出機を必要とする。
【0008】グラフトを用いる別の架橋方法として、ユ
ニオン・カーバイド・ケミカルズ・アンド・プラスチッ
ク・カンパニー・インコーポレーテッドが開発したドラ
イシランコンセートレート(DSC)法がある(特開平
3−167229号公報)。この方法では、熱可塑性ベ
ースポリマー、シラン架橋剤を含有させたキャリアポリ
マーをベースポリマーの結晶融点より高い温度において
ドライブレンドし、有機ケイ素がグラフトされた樹脂ポ
リマーを生成させる。液体であるシラン架橋剤は、固体
のポリマーペレットに保持された状態で樹脂と混合され
る。この方法では、ペレットとベース樹脂との混合比に
よって架橋剤の供給量を制御することができるため、架
橋剤液体の供給機構は不要である。また、架橋剤の供給
量は、押出し速度に実質的に影響を受けない。この方法
により、汎用の押出機を用いて架橋を行なえる可能性が
開けてきた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】トリメトキシビニルシ
ランのような典型的なシラン架橋剤は、揮発性の高い材
料である。架橋剤を含浸させた固体ペレットを用いる場
合、架橋剤が揮発し、その含有量が保存時間の経過に従
って減少していくという問題が存在する。
【0010】特開平3−167229号公報は、架橋剤
を保持するためのポリマーとして、多孔質ポリマー、膨
潤性ポリマーおよびカプセルを挙げている。同公報は、
多孔質ポリマーの好ましい材質として、エチレンビニル
アセテートコポリマー(EVA)、高密度ポリエチレ
ン、低密度ポリエチレンおよび線状低密度ポリエチレン
を挙げている。一方、同公報は、これらの多孔質材料の
うち、どれがどれぐらいの量の架橋剤をどれだけの時間
保持できるか具体的に記載していない。また、同公報
は、膨潤性ポリマーの好ましい材質として、約18〜4
5重量%の範囲の高ビニルアセテート含量を有するEV
Aを挙げている。同公報は、ビニルアセテートモノマー
26%から作ったEVAを用いて、ビニルメトキシシラ
ン約20重量%を含有する膨潤ペレットを製造できるこ
と開示する。しかし、この膨潤ペレットが、どれだけの
時間架橋剤を効果的に保持し得るのかは、明らかにされ
ていない。大量生産における実用性の点から、20重量
%の含有量は必ずしも好ましいとは言えない。架橋剤を
保持するポリマー(マスターバッチ)は、できるだけ小
さいスペースにおいて保管されることが、設備のコスト
や生産効率の点から望ましい。また、マスターバッチ
は、できるだけ長時間、特別でない環境、好ましくは大
気中において保管できることが望ましい。実際の架橋ポ
リマーの生産には、より高い濃度で長時間架橋剤を保持
できる固体ペレットが望まれる。このような課題に対し
て、同公報は解決策を何ら示唆するものではない。
【0011】本発明の1つの目的は、揮発性の高いシラ
ン架橋剤を高濃度で長時間安定して保持し得る架橋剤マ
スターバッチを提供することにある。
【0012】本発明のさらなる目的は、高濃度の架橋剤
を保持するマスターバッチを用いて、シラン架橋樹脂成
形体を製造する方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、マスターバ
ッチについて、高濃度のシラン架橋剤を長時間保持する
ための条件を鋭意検討した。その結果、次の条件が特に
重要であることを見出し、本発明のマスターバッチを創
出するに至った。
【0014】(1) より高濃度の架橋剤を長時間保持
するため、カルボニル基を有するコモノマーの含有量が
30重量%以上のエチレン共重合体からなる発泡樹脂を
用いること。
【0015】(2) 上記エチレン共重合体のメルトフ
ローレートは、架橋剤を保持するマスターバッチ粒子同
士の粘着性を防止するため、10以下であること。
【0016】本発明に従うシラン架橋剤保持体は、カル
ボニル基を有するコモノマー含量が30重量%以上でか
つメルトフローレートが10以下であるエチレン共重合
体、および上記エチレン共重合体とビニルポリマーとの
混合物でカルボニル基を有するコモノマー含量が30重
量%以上のものからなる群から選択される材料からなる
発泡樹脂と、一方端にメチレン基を有しかつ他方端に加
水分解および縮合反応が可能な三置換シリル基を有する
化合物からなるシラン架橋剤の液体とを主成分として含
み、そこにおいて、シラン架橋剤の液体が、30〜90
重量%の含量で発泡樹脂に保持されていることを特徴と
する。
【0017】また、本発明者は、本発明のシラン架橋剤
保持体を用いてシラン架橋樹脂の製造を行なった結果、
外観、架橋度(ゲル分率および加熱変形率)等に関し
て、モノシル法に従って製造した架橋樹脂と何ら遜色が
ないことを見出し、本発明の製造方法を完成するに至っ
た。
【0018】本発明に従うシラン架橋樹脂成形体の製造
方法は、下記の(a)〜(d)の材料を、混練かつ押出
しする工程と、 (a) 熱可塑性ポリマー (b) カルボニル基を有するコモノマー含量が30重
量%以上でかつメルトフローレートが10以下であるエ
チレン共重合体および上記エチレン共重合体とビニルポ
リマーとの混合物でカルボニル基を有するコモノマー含
量が30重量%以上のものからなる群から選択される材
料からなる発泡樹脂と、一方端にメチレン基を有しかつ
他方端に加水分解および縮合反応が可能な三置換シリル
基を有する化合物からなるシラン架橋剤の液体とを主成
分として含み、シラン架橋剤の液体が30〜90重量%
の含量で発泡樹脂に保持されているシラン架橋剤保持体 (c) ラジカル発生剤またはラジカル反応開始剤 (d) 加水分解および縮合反応のための触媒 上記熱可塑性ポリマーをシラン架橋剤により架橋するた
め、押出された材料を温水または水蒸気にさらす工程と
を備える。
【0019】本発明において、架橋剤を保持する発泡樹
脂には、カルボニル基を有するコモノマー含量が30重
量%以上であるエチレン共重合体が用いられる。カルボ
ニル基を有するコモノマーとして、たとえば、酢酸ビニ
ル(VA)、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メ
タクリル酸メチル等を挙げることができる。これらの分
子に由来するカルボニル基が、シラン架橋剤との親和性
を向上させると考えられる。カルボニル基を有するコモ
ノマー含量が30重量%以上であるとき、シラン架橋剤
と発泡樹脂との親和性は飛躍的に向上する。一方、30
重量%未満では、シラン架橋剤に対して満足し得る保持
力が得られない。コモノマー含量の範囲は、たとえば3
0〜50重量%、好ましくは33〜45重量%、より好
ましくは35〜42重量%である。本発明に従うエチレ
ン共重合体は、たとえば、エチレン酢酸ビニル共重合
体、エチレンメチルアクリレート共重合体、エチレンエ
チルアクリレート共重合体およびエチレンメタクリル酸
メチル共重合体からなる群から選択することができる。
エチレン酢酸ビニル共重合体を使用する場合、VA含量
が38重量%以上のもの、たとえば38〜42重量%の
ものを好ましく用いることができ、さらに42重量%以
上のものたとえば42〜45重量%のものをより好まし
く用いることができる。
【0020】本発明に従う発泡樹脂は、エチレン共重合
体またはエチレン共重合体とビニルポリマーの混合物か
ら形成される。本明細書においてビニルポリマーの定義
は、化学大辞典,東京化学同人,1989年に従うもの
とし、ビニルポリマーは、ビニル基を有する化合物を重
合して得られる重合体の総称である。ビニルポリマーに
は、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、
ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリロ
ニトリルなど多くのものがある。好ましいビニルポリマ
ーとして、たとえば、高密度ポリエチレン(HDP
E)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポ
リエチレン(l−LDPE)、ポリプロピレン、ポリイ
ソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリス
チレン、ポリアクリロニトリルなどを用いることができ
る。ビニルポリマーは、架橋を施すべきベース樹脂と、
架橋剤マスターバッチとの相溶性を向上させ、かつ発泡
樹脂の形状を良好に制御することを目的として、使用す
ることができる。しかし、必ずしも本発明においてビニ
ルポリマーとエチレン共重合体の混合物を発泡樹脂に用
いる必要はない。エチレン共重合体単独でも、発泡樹脂
を形成することができる。混合物を用いる場合、ビニル
ポリマーの濃度は1〜10重量%、好ましくは1〜5重
量%とすることができる。したがって、エチレン共重合
体の濃度は、90〜99重量%、好ましくは95〜99
重量%とすることができる。混合物において、カルボニ
ル基を有するコモノマー含量は、30重量%以上であ
る。たとえば、VA含量が35重量%のエチレン酢酸ビ
ニル共重合体95重量部と、LDPE5重量部との混合
物を用いる場合、カルボニル基を有するコモノマー含量
は、35重量%×95/100=33.25重量%のよ
うに計算することができる。
【0021】本発明に使用されるエチレン共重合体のメ
ルトフローレート(MFR)(MI(メルトインデック
ス)とも呼ばれる)は、10以下である。MFR値は、
日本工業規格 K 7210に従い、温度190℃、試
験荷重2.16kgfで10分間に押出されたポリマー
の重量(g)として規定される。本発明において、MF
Rの範囲は、たとえば1〜10である。MFRが10を
越えたエチレン共重合体からなる発泡樹脂にシラン架橋
剤を含浸させると、発泡樹脂の溶解が始まり、表面のべ
とつきが顕著になる。たとえば、VA含量が40重量%
以上でMFRが10を越えるエチレン酢酸ビニル共重合
体は、シラン架橋剤液によって溶解し、表面に顕著なべ
とつきを生じさせる。この場合、架橋剤マスターバッチ
粒子は、互いにくっつき合い、ベース樹脂に均一に分散
させることができない。べとついた粒子は、架橋樹脂の
製造にあたって架橋度の高い部分と低い部分をもたら
し、いびつな加熱変形を生じさせる樹脂をもたらす。一
方、MFRが10以下になれば、マスターバッチの表面
のべとつきは抑制され、したがって、ベース樹脂へのマ
スターバッチの分散もスムーズに行なうことができる。
たとえば、VA含量が40重量%以上のEVAについて
は、現在のところMFRが60近傍かもしくはそれ以上
のもの、またはMFR5以下のものしか市販品として入
手することができない。したがって、高MFRのEVA
と低MFRのEVAをブレンドすることによって、両者
の中間的なMFR値を有するEVAを得てもよい。ま
た、一般的にポリマーのMFRはその分子量分布によっ
て決定され、平均分子量が大きくなるほどMFRは小さ
くなる。よって、EVA分子間に架橋処理を行なうこと
によって、MFRを低く抑えることも可能である。架橋
方法としては、電子線照射によって分子間に架橋を施す
方法、ラジカル発生剤を添加して高温高圧下で分子間の
架橋を行なう方法、およびシラン架橋法などがある。以
上示してきた技術は、EVAと同様に、ポリアクリル酸
メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフ
タレート等にも適用することができる。
【0022】発泡樹脂は、化学的発泡または物理的発泡
によって形成することができる。化学的発泡の場合、発
泡樹脂には、発泡のための化合物が含まれる。化学発泡
剤として、たとえば、アゾジカルボンアミド(ADC
A)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ジニ
トロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、4,4′
オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBS
H)、パラトルエンスルホニルヒドラジド(TSH)等
を挙げることができる。適量の発泡剤は、エチレン共重
合体またはエチレン共重合体混合物に練り込まれ、加熱
によってガスを発生させる。樹脂成形体の内部から表面
に至るまで空孔が形成され、発泡樹脂が得られる。また
適宜、発泡助剤を添加することによって、発泡温度を制
御することも可能である。たとえば、ADCAの発泡開
始温度は210℃前後であるが、ステアリン酸亜鉛、亜
鉛華、ステアリン酸鉛、三塩基性硫酸鉛、尿素系化合物
等を添加することによって、発泡温度を120〜180
℃に下げることが可能である。このようにすることで、
200℃以上の高温では変性を起こすような樹脂でも発
泡させることが可能になる。また、発泡樹脂は、押出機
を用いて物理的発泡により調製することもできる。この
場合、押出機のシリンダ内に不活性ガスを注入し、ダイ
出口で樹脂を発泡させる。物理発泡、化学発泡のどちら
を選択するかについては、発泡樹脂製造装置の能力等に
合せて適宜選択すればよい。化学発泡の場合、発泡剤の
残渣が樹脂中に残存する。したがって、純度の高い樹脂
成形体が必要であるとき、物理発泡を選択した方が好ま
しい。
【0023】発泡倍率は、樹脂の最密充填時の体積を1
とした場合に、たとえば1.1〜2、好ましくは1.2
〜1.8の範囲である。発泡倍率が1.9を超えると、
発泡樹脂の比表面積が増大し、含浸したシラン液の揮発
速度を相対的に速めることになる。発泡倍率が1.1未
満の場合は、発泡樹脂内部への架橋剤液の含浸速度が遅
くなってくるとともに、発泡樹脂において最外層付近し
か架橋剤液の含浸に寄与しなくなってくる。また、発泡
倍率は発泡樹脂のカルボニル基を含むコモノマー含有率
を考慮して制御することが好ましい。発泡樹脂のカルボ
ニル基が多いほど、シラン架橋剤の吸着力は強くなる傾
向にある。発泡倍率を大きくすれば、より速くシラン架
橋剤を発泡樹脂に含浸させることができる一方、シラン
架橋剤の揮発を増大させる。たとえば、VAコンテント
34%で発泡倍率が1.5倍以上のEVAの場合、最大
90重量%のシラン架橋剤を含むマスターバッチを1時
間以内に作製することができる。しかしながら、得られ
たマスターバッチを大気中に2時間放置すると、シラン
架橋剤液の含有量は52重量%にまで減少する。一方、
VAコンテント42%で発泡倍率が1.5倍のEVAを
用いた場合、90重量%のシラン架橋剤液を含有するマ
スターバッチを1時間以内に製造することができ、得ら
れたマスターバッチを大気中に24時間放置した後も、
78重量%のシラン架橋剤液が保持される。したがっ
て、たとえば、カルボニル基を有するコモノマー含有量
が30〜40の場合、発泡倍率を1.2〜1.4とし、
コモノマー含有量が40〜45の場合、発泡倍率を1.
5〜1.8とすることができる。
【0024】形成された発泡樹脂は、たとえばストラン
ド状に形成したものをペレタイザーにてペレットにする
ことができる。本発明において発泡樹脂の形状は種々の
ものが可能であるが、ベース樹脂に混練するために、粉
末、粒子、ペレット等とすることが望ましい。ペレット
の大きさは、たとえば3mmφ×5mmとすることがで
きる。
【0025】発泡樹脂に含浸させるシラン架橋剤は、一
端にメチレン基(CH2 =)を有し、かつ他端に加水分
解および縮合反応可能な三置換シリル基を有する。熱可
塑性樹脂の架橋にあたって、架橋剤は、メチレン基を介
して樹脂に付加される。樹脂にそれぞれ結合された架橋
剤の三置換シリル基同士は、加水分解および縮合反応を
介して結合し、これにより樹脂の架橋がもたらされる。
架橋剤は架橋すべき樹脂の種類に応じて適宜選択され
る。シラン架橋剤として、たとえば、いわゆるシランカ
ップリング剤と呼ばれるものを用いることができる。ま
た、シラン架橋剤として、次式の構造を有するものが好
ましく用いられる。
【0026】
【化1】
【0027】(式中、R1 は水素またはアルキル基、X
およびYは0または1、ただしXが1のときYも1、n
は1〜12の整数、R2 およびR3 は、それぞれ独立し
て、アルコキシ、アルコキシアルコキシ、アリールオキ
シ、アラルコキシ、脂肪族アシルオキシまたは炭素数1
〜6のアルキル、R4 は、アルキル、アリール、アラル
キル、アルコキシアルキル、または脂肪族アシルであ
る)。
【0028】より具体的には、シラン架橋剤としてビニ
ルトリメトキシシラン(CH2 =CHSi(OCH3
3 )、ビニルトリエトキシシラン(CH2 =CHSi
(OC 253 )、ビニルトリス(2−メトキシエト
キシ)シラン(CH2 =CHSi(OC24 OCH
33 、およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン(CH2 =CCH3 COOC36 Si(OC
33 )からなる群から選択される化合物を好ましく
用いることができる。これらの架橋剤は液体として発泡
樹脂に保持される。シラン架橋剤は、マスターバッチの
重量に対して30〜90重量%、好ましくは40〜78
重量%、より好ましくは50〜70重量%の濃度で発泡
樹脂内に保持される。本発明のマスターバッチにおい
て、発泡樹脂は、湿度40〜60%でかつ温度25℃の
大気中において、好ましくは40重量%以上、より好ま
しくは40〜78重量%、さらに好ましくは50〜70
重量%のシラン架橋剤の液体を少なくとも24時間の
間、保持することができる。本発明において、シラン架
橋剤は種々の方法により発泡樹脂に含浸させることがで
きるが、たとえば、シラン架橋剤と発泡ペレットを同一
容器に入れ、高速で回転させることにより発泡樹脂に保
持させることができる。
【0029】本発明のシラン架橋剤保持体には、必要に
応じて、ジクミルペルオキシドおよびアゾビスイソブチ
ロニトリルのようなラジカル発生剤またはラジカル反応
開始剤、錫化合物などの架橋触媒、酸化防止剤、または
それらの組合わせ等を含有させることができる。これら
の材料は、シラン架橋剤の液体中に含有させ発泡樹脂に
保持させることができる。
【0030】本発明の製造方法では、たとえば熱可塑性
ポリマー、シラン架橋剤保持体、ラジカル発生剤または
ラジカル反応開始剤、ならびに加水分解および縮合のた
めの触媒が、実質的に水が存在しない状態で混練かつ押
出しされる。混練、押出しは、熱可塑性ポリマーの軟化
点以上の温度において行うことができる。必要に応じ
て、これらの混合物に酸化防止剤等の他の添加物を混合
することができる。混練および押出しは、汎用押出機に
よって行うことができる。熱可塑性ポリマーとしては、
高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン
(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(l−LDP
E)、塩化ビニル樹脂(PVC)、塩素化ポリエチレン
樹脂、塩化ビニリデン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合
体、エチレンエチルアクリレート共重合体等を挙げるこ
とができるが、これらに限定されるものではない。ラジ
カル発生剤またはラジカル反応開始剤としては、上述し
たものを用いることができ、加水分解および縮合のため
の触媒としては、上述した錫化合物などの架橋触媒を用
いることができる。そのほか、フェノール系抗酸化剤な
どの酸化防止剤、着色のためのカーボンブラック等を添
加することができる。シラン架橋樹脂の製造において、
熱可塑性ポリマー100重量部に対し、シラン架橋保持
体をたとえば2重量部混合することができる。本発明に
おいて架橋反応はモノシル法と同等の効率で起こすこと
ができるので、架橋剤の添加量は従来と同等である。一
方、本発明では汎用の押出機を用いて架橋された熱可塑
性樹脂を製造することができる。押出条件に関して言え
ば、本発明の方が、モノシル法よりも低い混練温度で押
出しが可能である。これは、本発明の方がより効果的に
架橋剤液をベース樹脂に拡散することができるためであ
ると考えられる。また、架橋剤の拡散が良好であること
から、ベース樹脂への架橋剤のグラフト速度も速く、モ
ノシル法より速い速度での押出しが可能である。この製
造方法によって、絶縁被覆電線またはケーブルを提供す
るため、たとえば樹脂を導体に被覆させながら押出して
いくことができる。押出された樹脂は、架橋反応のため
水分(温水または水蒸気)にさらされる。上述したよう
に、加水分解および縮合により樹脂はシラン誘導体によ
って架橋される。
【0031】得られたシラン架橋樹脂の評価方法として
は、樹脂のゲル分率を測定する方法と、樹脂成形体の加
熱変形率を測定する方法とがある。
【0032】ゲル分率の測定では、樹脂を溶剤に浸漬し
て残存する重量を調査する。架橋ポリエチレンに対して
溶剤としては加熱したキシレンがよく用いられる。ゲル
分率は次の式で示され、たとえばポリエチレンに関して
架橋が十分進行していれば50%以上の数値が得られ
る。
【0033】
【式1】ゲル分率=(熱キシレン浸漬後の残存重量)/
(キシレン浸漬前の重量)×100% 加熱変形試験では加熱下で樹脂成形体に荷重をかけ、樹
脂成形体の変形率を調査する。架橋ポリエチレンケーブ
ルに関して、電気用品取締法 附表第十八に規定があ
る。この規定では、120±3℃で電線のサイズに応じ
た荷重をかけ試料厚みの減少率が40%以下であること
が標準として規定されている。本発明に係る電線または
ケーブルの評価は上述したゲル分率および加熱変形試験
にて行なった。
【0034】
【発明の作用効果】発泡樹脂に以下の実施例に具体的に
示すとおりカルボニル基を多く含む材料を用いると、架
橋剤の保持性が向上する。その原因の詳細についてはま
だ明らかではないが、本発明者は次のように推論を行な
っている。架橋剤の主成分であるシリコン化合物におい
て、三置換シリル基のシリコン原子は、正に分極してい
ると考えられる。一方、発泡樹脂中のカルボニル酸素原
子は、負に分極していると考えられる。カルボニル基の
含有量が30重量%以上になると、この正に分極したシ
リコン原子を有する架橋剤と負に分極したカルボニル基
を有する樹脂との間の引力が顕著になり、樹脂の架橋剤
に対する吸着力が顕著に向上すると考えられる。
【0035】加えて、吸着表面積の大きい発泡樹脂を用
いることによって、架橋剤の浸透速度を高め、より多量
の架橋剤を安定して保持できるようになった。発泡樹脂
の代わりに従来の膨潤ポリマーを用いた場合、本発明の
ように高濃度の架橋剤を保持することはできない。ただ
し、発泡倍率は高ければ高いほど良いというものではな
く、発泡倍率がある程度高くなってくると、架橋剤は揮
発しやすくなってくる。したがって、樹脂の吸着力に応
じて発泡倍率を設定することが好ましい。この観点か
ら、発泡倍率はたとえば1.8倍ぐらいまでが望まし
い。
【0036】本発明に従って、より高い濃度のシラン架
橋剤を安定に長時間保持できるマスターバッチを提供す
ることができる。このマスターバッチを用いれば、従来
よりも少ない量のマスターバッチを用いて架橋ポリマー
を製造することができる。本発明のマスターバッチのた
めに必要な収容スペースは従来よりも小さい。さらに保
存条件も緩和される。本発明に従えば、より安定したマ
スターバッチを用いて品質の安定した架橋ポリマーを汎
用の押出機を用いることにより簡便に製造することがで
きる。
【0037】
【実施例】発泡樹脂のメルトフローレート(MFR)の
条件について以下のとおり検討を行なった。
【0038】表1に示す材料にADCA系発泡剤を配合
し、加熱発泡させて得られる樹脂について、2mmφ×
3mmのサイズのペレットを各200gずつ用意した。
各ペレット40重量部に、表2に示すような配合の架橋
剤液60重量部を混合し、架橋剤含浸の際の作業性を調
査した。樹脂には、日本石油化学、三井−デュポン、住
友化学または日本ユニカーから手配したものおよび手配
した樹脂を混合して表1に示すコモノマー含量およびM
FR値にしたものを用いた。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】シラン架橋剤液の発泡樹脂への含浸は、4
0gの樹脂と60gの架橋剤液をナイロン製円筒容器に
入れ密閉し、100rpmで1時間回転混合することに
よって行なった。回転混合の終ったものの状態を調査し
た。表1のNo.1〜3の材料を用いた場合には、ペレ
ットは膨潤しているものの、ペレット同士の粘着度合は
小さく、バイブレータ等の使用によって簡単に1粒1粒
に分割できた。これに対し、No.4〜14は、そのM
FR値が大きくなるほどペレット同士の粘着が顕著にな
った。MFRが40を超えた場合、ペレット同士が粘着
して餅状になり、ペレット1つ1つを分割できない状態
になっていた。またMFR40未満の場合でも、ペレッ
ト同士の粘着度合が大きく、バイブレータにより1粒1
粒を容易に分割できなかった。また、発泡させていない
EVAペレット(表1のNo.5の材料を使用)を用い
て同様の含浸を行ったが、1時間の回転混合では、32
重量%までしか液を含ませることができなかった。
【0042】例1 架橋すべきベース樹脂として低密度ポリエチレン(MF
R=1.4、密度0.92g/cc、ペレット状)を準
備した。架橋剤液として表2の配合のものを用意した。
発泡樹脂を調製するため、低密度ポリエチレン(MFR
=1.4、密度0.92g/cc、ペレット状)5重量
部と表3に示すNo.1〜6の樹脂のいずれか1つ95
重量部を混合し、これにADCA系化学発泡剤を加え
た。混合物を加熱発泡させて得れらる樹脂について、2
mmφ×3mmの大きさのペレットを押出成形で得られ
るストランドをペレタイズすることにより調製した。発
泡剤の配合量は、得られる発泡倍率が1.2〜1.4と
なるよう、0.1〜20重量部の範囲で適宜配合量を調
整した。No.1〜6の共重合体とポリエチレンの混合
物から得られた発泡樹脂のVA含量は、次に示すとおり
である。No.1:9.5%、No.2:約27%、N
o.3:約33%、No.4:約33%、No.5:約
40%、No.6:約40%。
【0043】
【表3】
【0044】発泡樹脂への架橋剤液の含浸は、円筒容器
に樹脂と架橋剤液を重量比4:6で投入し、100rp
mで1時間回転させて行なった。これにより、架橋剤マ
スターバッチが作製された。なお、No.5のサンプル
は架橋剤液含浸後、粥状となって原形をとどめておら
ず、このサンプルに限りその後の評価を中止した。含浸
後、マスターバッチの架橋剤液保持性を調べるため、湿
度45%、気温25℃の大気中に24時間放置し、重量
の変化を調査した(図1)。図1に示すとおり、No.
1およびNo.2の樹脂を用いた場合、十分な保持力を
得ることができなかった。VAコンテント28%以下の
樹脂を用いた場合、50%以上の含有率を得ることも不
可能であった。また、No.1および2では、1時間の
大気中放置で初期含浸量のほとんどが揮発することも判
明した。しかし、No.3、4および6のサンプルで
は、1時間の放置でも架橋剤液の含有率はほとんど変化
しなかった。特にNo.6のサンプルにおいては、放置
時間24時間経過後もほとんど含浸直後と変わらない含
有率を示した。
【0045】ベース樹脂である低密度ポリエチレン10
0PHRに対して、大気中に24時間放置したNo.6
の架橋剤マスターバッチ(架橋剤液を53重量%含有)
4PHRを添加しながら、単軸フルフライトスクリュー
押出機にて電線の製造を行なった。押出条件を表4に示
す。
【0046】
【表4】
【0047】5時間の連続押出しでトラブルは全くな
く、製造された電線の外観も全く問題はなかった。押出
された電線は飽和水蒸気に70℃で15時間さらして架
橋処理された。架橋処理の終った24kmのケーブルか
ら1km間隔で25点サンプリングし、各箇所でのゲル
分率を、120℃のキシレンに24時間浸漬して測定し
た。結果を図2に示す。ゲル分率はすべて61±2%の
範囲内であり、架橋が押出品の全長にわたって均一に進
んだものと判断できた。また、製造したケーブルの加熱
変形試験を、電気用品取締法 附表第十八に従い評価し
たところ、全サンプリング箇所で3〜8%の加熱変形率
を得た。これは40%以下の加熱変形率を要求する電気
用品取締法を十分満足する値である。
【0048】比較のため、架橋剤液を含浸後24時間経
過したNO.1のサンプルを用いて、同条件で1kmの
電線を製造した。得られた電線について両端部と中央部
の3点のゲル分率を測定したが、ゲル分率はいずれの点
においても10%を下回っていた。
【0049】例2 表5に示す材料を用いて架橋剤マスターバッチを作製
し、電線の押出製造を行なった。発泡樹脂の調製にあた
っては、表5の樹脂のいずれか95重量部に、例1で用
いた低密度ポリエチレン5重量部を混合した。その他の
条件は、すべて例1と同様であった。得られた発泡樹脂
のコモノマー含量は、それぞれ次のとおりである。N
o.1:約14%、No.2:約36%、No.3:約
13%、No.4:約36%。
【0050】
【表5】
【0051】得られたマスターバッチの架橋剤液に対す
る保持性を図3に示す。No.2と4は、保持性が良好
であることがわかる。No.2および4のマスターバッ
チを用いて、例1と同様の方法で5時間連続して押出し
を行なった。その結果、トラブルなく押出しをすること
ができ、得られた電線の外観も全く問題がなかった。得
られたケーブルのゲル分率を調査した結果を図4に示
す。60±2%の範囲内にすべてのサンプリング箇所の
ゲル分率が入る結果となり、十分架橋が進んでいること
が判明した。また製造したケーブルの加熱変形試験を、
電気用品取締法附表第十八に従い評価したところ、全サ
ンプリング箇所で4〜9%の加熱変形率を得た。これは
40%以下の加熱変形率を要求する電気用品取締法を十
分満足する値である。
【0052】比較のため、架橋剤液を浸漬後24時間経
過したNo.1および3のサンプルを用いて、同じ条件
で1kmの電線を製造した。得られた電線について、両
端部と中央部の3点においてゲル分率を測定したが、ゲ
ル分率はいずれの点においても10%を下回っていた。
【0053】例3 表6に示す樹脂と表2に示す架橋剤液を用いてマスター
バッチを作製し、架橋剤液の保持性を調査した。発泡樹
脂の調製にあたり、表6の樹脂のいずれか95重量部と
例1で用いた低密度ポリエチレン5重量部を混合した。
その他の条件については例1と同様であった。
【0054】
【表6】
【0055】得られたマスターバッチの架橋剤液含有率
を50重量%〜90重量%の範囲で変化させ、架橋剤液
の保持性を調査した。発泡樹脂と架橋剤液の混合比率を
重量比で5:5、4:6、3:7、2:8、1:9の5
通りとしたサンプルを調製した。ナイロン製容器に樹脂
と架橋剤液とを入れ、密封し、100rpm×1時間で
回転して、それぞれ50、60、70、80、90重量
%のシラン架橋剤液を含有する5種類のマスターバッチ
を作製した。得られたマスターバッチを湿度51%、気
温25℃の大気中に24時間放置した。その結果を図5
〜図9に示す。いずれの初期含有量の場合でも、No.
1〜No.3の材料を用いたマスターバッチは良好な保
持性を有していることがわかる。これに対し、No.1
の樹脂は、大気中1時間放置でほとんどのシランが揮発
していることがわかる。
【0056】大気中に24時間放置したNo.1〜3の
サンプルを、低密度ポリエチレン(MFR=1.4、密
度0.92g/cc)に添加して、例1と同様に単軸フ
ルフライトスクリュー押出機にて電線の押出しを行なっ
た。押出し条件は表4と同様であった。マスターバッチ
は、低密度ポリエチレン100PHRに対してシラン架
橋剤液が3PHR混合されるよう、添加された。1時間
連続して電線の押出しを行なった。押出された電線の外
観はスムーズで全く問題がなかった。得られた電線につ
いて、500mおきにゲル分率と加熱変形率を測定し
た。図10〜11にそのデータを示す。ゲル分率はすべ
て60%を上回っており、加熱変形率も規格である40
%以下を十分クリアする値であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】例1で調製されたマスターバッチにおける架橋
剤液含有量の経時的変化を示す図である。
【図2】例1で製造された電線におけるゲル分率の分布
を示す図である。
【図3】例2で調製されたマスターバッチにおける架橋
剤液含有率の経時的変化を示す図である。
【図4】例2で製造された電線におけるゲル分率の分布
を示す図である。
【図5】例3において最初に90重量%の架橋剤液が含
浸されたマスターバッチにおける架橋剤液含有率の経時
的変化を示す図である。
【図6】架橋剤液の初期濃度が80重量%である例3の
マスターバッチにおいて、架橋剤液含有率の経時的変化
を示す図である。
【図7】架橋剤液の初期濃度が70重量%である例3の
マスターバッチにおいて、架橋剤液含有率の経時的変化
を示す図である。
【図8】架橋剤液の初期濃度が60重量%である例3の
マスターバッチにおいて、架橋剤液含有率の経時的変化
を示す図である。
【図9】架橋剤液の初期濃度が50重量%である例3の
マスターバッチにおいて、架橋剤液含有率の経時的変化
を示す図である。
【図10】例3において製造された電線におけるゲル分
率の分布を示す図である。
【図11】例3において製造された電線の加熱変形率の
分布を示す図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリマーを架橋するために用い
    られるシラン架橋剤保持体であって、 カルボニル基を有するコモノマー含量が30重量%以上
    でかつメルトフローレートが10以下であるエチレン共
    重合体、および前記エチレン共重合体とビニルポリマー
    との混合物でカルボニル基を有するコモノマー含量が3
    0重量%以上のものからなる群から選択される材料から
    なる発泡樹脂と、 一方端にメチレン基を有し、かつ他方端に加水分解およ
    び縮合反応が可能な三置換シリル基を有する化合物から
    なるシラン架橋剤の液体とを主成分として含み、 前記シラン架橋剤の液体が、30〜90重量%の含量で
    前記発泡樹脂に保持されていることを特徴とする、シラ
    ン架橋剤保持体。
  2. 【請求項2】 前記発泡樹脂は、前記材料の固形物を発
    泡により1.1〜1.8倍の体積比率で膨張させたもの
    であることを特徴とする、請求項1に記載のシラン架橋
    剤保持体。
  3. 【請求項3】 前記エチレン共重合体が、エチレン酢酸
    ビニル共重合体、エチレンメチルアクリレート共重合
    体、エチレンエチルアクリレート共重合体およびエチレ
    ンメタクリル酸メチル共重合体からなる群から選択され
    るものであり、前記シラン架橋剤が、ビニルトリメトキ
    シシランおよびビニルトリエトキシシランからなる群か
    ら選択されるものであることを特徴とする、請求項1ま
    たは2に記載のシラン架橋剤保持体。
  4. 【請求項4】 前記発泡樹脂が、湿度40〜60%でか
    つ温度25℃の大気中において少なくとも24時間の
    間、40重量%以上の前記シラン架橋剤を保持すること
    を特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシ
    ラン架橋剤保持体。
  5. 【請求項5】 下記の(a)〜(d)の材料を、混練か
    つ押出しする工程と、 (a) 熱可塑性ポリマー (b) カルボニル基を有するコモノマー含量が30重
    量%以上でかつメルトフローレートが10以下であるエ
    チレン共重合体および前記エチレン共重合体とビニルポ
    リマーとの混合物でカルボニル基を有するコモノマー含
    量が30重量%以上のものからなる群から選択される材
    料からなる発泡樹脂と、一方端にメチレン基を有しかつ
    他方端に加水分解および縮合反応が可能な三置換シリル
    基を有する化合物からなるシラン架橋剤の液体とを主成
    分として含み、前記シラン架橋剤の液体が30〜90重
    量%の含量で前記発泡樹脂に保持されているシラン架橋
    剤保持体 (c) ラジカル発生剤またはラジカル反応開始剤 (d) 加水分解および縮合反応のための触媒 前記熱可塑性ポリマーを前記シラン架橋剤により架橋す
    るため、押出された材料を温水または水蒸気にさらす工
    程とを備える、シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記発泡樹脂は、前記材料の固形物を発
    泡により1.1〜1.8倍の体積比率で膨張させたもの
    であることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記エチレン共重合体が、エチレン酢酸
    ビニル共重合体、エチレンメチルアクリレート共重合
    体、エチレンエチルアクリレート共重合体およびエチレ
    ンメタクリル酸メチル共重合体からなる群から選択され
    るものであり、前記シラン架橋剤が、ビニルトリメトキ
    シシランおよびビニルトリエトキシシランからなる群か
    ら選択されるものであることを特徴とする、請求項5ま
    たは6に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記発泡樹脂が、湿度40〜60%でか
    つ温度25℃の大気中において少なくとも24時間の
    間、40重量%以上の前記シラン架橋剤を保持すること
    を特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の製
    造方法。
JP12110494A 1994-06-02 1994-06-02 シラン架橋剤保持体およびそれを用いたシラン架橋樹脂成形体の製造方法 Withdrawn JPH07330914A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020100779A (ja) * 2018-12-25 2020-07-02 矢崎エナジーシステム株式会社 架橋剤マスターバッチ
JP2021011553A (ja) * 2019-07-09 2021-02-04 矢崎エナジーシステム株式会社 架橋剤マスターバッチ

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JP2020100779A (ja) * 2018-12-25 2020-07-02 矢崎エナジーシステム株式会社 架橋剤マスターバッチ
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