JPH07130238A - 耐摩耗性電線、ケーブルの製造方法 - Google Patents

耐摩耗性電線、ケーブルの製造方法

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JPH07130238A
JPH07130238A JP5301260A JP30126093A JPH07130238A JP H07130238 A JPH07130238 A JP H07130238A JP 5301260 A JP5301260 A JP 5301260A JP 30126093 A JP30126093 A JP 30126093A JP H07130238 A JPH07130238 A JP H07130238A
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恒典 森岡
Toshiharu Honda
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特に耐摩耗性にすぐれた電線、ケーブルの製
造方法を提供する。 【構成】 平均粒径が0.02〜2.0mm のグラニュー状であ
る直鎖状低密度ポリエチレン10〜100 重量部と、平均粒
径が2.0 〜 7.0mmのペレット状である直鎖状低密度ポリ
エチレン0〜90重量部と、トリメトキシビニルシラン、
有機過酸化物、シラノール縮合触媒を、スクリューの長
さLとスクリュー径Dの比L/Dが20/1以上である単
独押出機に供給して加熱反応させながら押出成形し、し
かる後直鎖状低密度ポリエチレンの融点以下の温度で水
分と接触させて架橋する耐摩耗性電線、ケーブルの製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は特に耐摩耗にすぐれた電
線、ケーブルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】直鎖状
低密度ポリエチレンは高圧法で重合させた低密度ポリエ
チレンに比べて融点が高く、耐摩耗性等の機械的物性に
すぐれている。一方、耐摩耗性を向上させる方法とし
て、高圧法で重合させた低密度ポリエチレンに有機過酸
化物を用いて加熱することによって分子間架橋を生ぜし
めて架橋する方法は既に知られている。この有機過酸化
物を用いた架橋方法は、高圧法で製造された低密度ポリ
エチレンを架橋することはできるが、高圧法で製造され
た低密度ポリエチレンより融点が高く、溶融粘度の大き
い直鎖状低密度ポリエチレンでは、成形時に押出機内で
発熱して早期架橋を生じ成形できない。
【0003】ポリエチレンをシランと有機過酸化物の存
在下で反応させることによって変性し、このシラン変性
ポリエチレンをシラノール縮合触媒下で水分と接触さ
せ、架橋ポリエチレンを製造する方法は、例えば特公昭
48-1711号公報により公知である。この方法であれば直
鎖状低密度ポリエチレンを架橋することは可能である。
しかし、シラン変性させる反応押出工程やシラノール縮
合触媒を混練してペレット化させる工程等の工程が増え
るばかりでなく、シラン変性したポリマーは空気中の水
分で架橋が進行するため、長期保存する場合には防湿袋
に保存しなければならない等の問題点がある。
【0004】又シラン化合物による一工程方式として、
例えば特開昭51-82361号公報に、シラン変性と成形押出
を同時に行う製造方法が提唱されている。この方法は防
湿保存の必要がなく、工程が簡略化されるが、押出機の
L/Dの大きな特殊な押出機が必要になってくる。又高
圧法で製造された低密度ポリエチレンはこの特殊な押出
機で加工できるが、直鎖状低密度ポリエチレンは樹脂の
融点が高いので、樹脂がペレット状であると、L/Dが
30/1の押出機でもなお安定した加工ができないのであ
る。
【0005】通常のプラスチック用押出機のL/Dは24
/1程度であり、この汎用のプラスチック押出機で架橋
できる方法が、例えば特公昭 60-6363号公報、特公昭54
-37016号公報に提案されている。しかし、これらの方法
は高圧法による低密度ポリエチレンには適用できてもペ
レット状の直鎖状低密度ポリエチレンには適用できな
い。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の問題点を
解消し、特に耐摩耗性にすぐれた電線、ケーブルの製造
方法を提供するもので、その特徴は、平均粒径が0.02〜
2.0mm のグラニュー状である直鎖状低密度ポリエチレン
10〜100 重量部と、平均粒径が2.0 〜 7.0mmのペレット
状である直鎖状低密度ポリエチレン0〜90重量部と、ト
リメトキシビニルシラン、有機過酸化物、シラノール縮
合触媒を、スクリュー長さLとスクリュー径Dの比L/
Dが20/1以上である単軸押出機に供給して加熱反応さ
せながら押出成形し、しかる後直鎖状低密度ポリエチレ
ンの融点以下の温度で水分と接触させて架橋することに
ある。
【0007】本発明のベースポリマーの直鎖状低密度ポ
リエチレンはチグラー系触媒、クロム系触媒等の各種の
触媒を用い、中圧下又は低圧下において、気相法、液相
法、懸濁重合法等の重合法、もしくは、高圧イオン重合
法によるエチレンとαオレフィンとの共重合体であり、
かつ、その平均粒径は0.02〜2.0mm のグラニュー状のも
のが10〜100 重量部と平均粒径が2.0 〜 7.0mmのペレッ
ト状のものが0〜90重量部の混合物である。
【0008】平均粒径が 2.0mmを越えるペレット状の成
分が90重量部を越えると、直鎖状低密度ポリエチレンの
溶融均一化する温度がトリメトキシビニルシランの沸点
を越え、トリメトキシビニルシランが充分に分散され
ず、安定した加工ができなくなる。又平均粒径が0.02mm
未満であると微粉成分が増え、取扱いが難しくなる。平
均粒径が0.02〜2.0mm のグラニュー状の成分が樹脂中に
10重量%以上含まれると、トリメトキシビニルシランの
樹脂中への分散が促進され、安定した加工が可能とな
る。
【0009】高圧法による低密度ポリエチレンはトリメ
トキシビニルシラン以外のシラン化合物でも架橋可能で
あるが、直鎖状低密度ポリエチレンの架橋効率が高圧法
による低密度ポリエチレンに比べてやや劣ることもあ
り、本発明の製造方法においては、添加する液量を最小
限にして加工を安定させ、かつ、最大限の架橋速度を得
るために、シラン化合物はトリメトキシビニルシランに
限定される。トリメトキシビニルシランの添加量は直鎖
状低密度ポリエチレン 100重量部に対し、0.5 〜2.5 重
量部が望ましい。
【0010】有機過酸化物としては、例えばジクミルパ
ーオキサイド、ジ−ターシャリーブチルパーオキサイ
ド、 2,5−ジメチル− 2,5−ジ−(ターシャリーブチル
パーオキシ)ヘキシン−3、2,5 −ジメチル− 2,5−ジ−
(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアル
キルパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、ビ
ス( 2,4ジクロロベンゾイル)パーオキサイド等のジア
シルパーオキサイド類、ターシャリーブチルパーオキシ
アセテート、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエー
ト等のアルキルパーエステル類、クメンハイドロパーオ
キサイド、ターシャリーブチルパーオキサイド等のパー
アシッド類のラジカルを発生させることのできる化合物
であれば何でもよいが、強いて挙げればジクミルパーオ
キサイドが最も好ましい。有機過酸化物はシラン化合物
100重量部に対して5〜15重量部使用するのが好まし
い。
【0011】シラノール縮合触媒としては、ジブチル錫
ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、酢酸第一
錫、ナフテン酸鉛、ステアリン酸亜鉛等触媒作用を示す
ものであれば、有機酸、有機酸金属塩、アミン、アミ
ド、金属錯体、有機金属化合物、酸、塩基等何でもよい
が、ジブチル錫ジラウレートがよく用いられる。添加量
は要求される架橋速度に応じて任意に変えることができ
る。又以上の配合剤の他に、酸化防止剤、安定剤、滑
剤、加工助剤、充填剤、着色剤、難燃剤、発泡剤、紫外
線吸収剤等を必要により添加してもかまわない。
【0012】押出機は汎用のプラスチック押出機(L/
D=20/1〜24/1)で加工可能であるが、L/Dが20
/1より小さいと分散が不均一になり、トリメトキシビ
ニルシランが樹脂に分散されずに押出機出口から液状の
まま噴出したり、安定した加工ができない。
【0013】架橋温度は直鎖状低密度ポリエチレンの融
点以下で行うことが肝要であり、融点を越えた温度で架
橋処理するとシラン化合物で架橋した利点が損われてし
まう。即ち融点を越えた温度で架橋すると、ポリマーは
部分的に溶融状態を保持したまま架橋が進行し、結晶化
度が低下して耐摩耗性を低下させる。一方融点以下で架
橋した場合にはポリマーの非晶部を中心に架橋が進行
し、機械的に弱い部分を集中的に架橋によって固定する
ので、耐摩耗性を向上させる。
【0014】
【実施例】
実施例1:日本ユニカー製のグラニュー状である直鎖状
低密度ポリエチレンMG-913(平均粒径 0.5mm) 100重量
部と、カーボンバッチ(カーボン濃度40重量%) 1.3重
量部の樹脂混合物を押出機のホッパーから供給し、トリ
メトキシビニルシラン 2.0重量部にジクミルパーオキサ
イド 0.1重量部、ジブチル錫ジラウレート0.05重量部、
酸化防止剤ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(
3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)]プロピオネート(日本チバガイギー社製商品名イ
ルガノックス1010)を 0.5重量部を溶解させた混合液を
定量吐出ポンプにより押出機のホッパー口から供給し、
組成が記載の重量部になるように調整して50mmφ押出機
(L/D=20)で押出温度 215℃、スクリュー回転数15
rpm で押出して、導体径 1.2mmφ、肉厚 2.0mmの電線を
成形した。成形した電線は80℃の温水中に48時間浸漬す
ることにより架橋処理を行った。
【0015】実施例2:樹脂混合物として、日本ユニカ
ー製のグラニュー状である直鎖状低密度ポリエチレンMG
-913(平均粒径 0.5mm)10重量部、日本ユニカー製のペ
レット状である直鎖状低密度ポリエチレン NUCG-9301
(平均粒径3mm)90重量部、カーボンバッチ(カーボン
濃度40重量%) 1.3重量部の樹脂混合物を用い、実施例
1と同様に電線を成形し、架橋処理を行った。
【0016】比較例1:樹脂混合物として、日本ユニカ
ー製のペレット状である直鎖状低密度ポリエチレン NUC
G-9301(平均粒径3mm) 100重量部、カーボンバッチ
(カーボン濃度40重量%) 1.3重量部の樹脂混合物を用
い、実施例1と同様に電線を成形し、架橋処理を行っ
た。
【0017】比較例2:実施例1と同様に押出成形した
電線を 160℃の高圧水蒸気中に30分曝すことによって架
橋処理を行った。
【0018】比較例3:直鎖状低密度ポリエチレンMG-9
13の 100重量部に対し、酸化防止剤イルガノックス1010
を 0.5重量部、カーボンバッチ 1.3重量部を添加して溶
融混練してペレットにしたものを50mmφ押出機で押出
し、非架橋の電線を成形した。
【0019】比較例4:高圧法で製造した住友化学製低
密度ポリエチレンC-215 の 100重量部、ジクミルパーオ
キサイド 2.0重量部、酸化防止剤イルガノックス1010を
0.5重量部、カーボンバッチ 1.3重量部を添加して溶融
混練したものを、50mmφ押出機で押出温度 115℃、スク
リュー回転数10rpm で押出して電線を成形した。成形し
た電線を 160℃の高圧水蒸気に30分曝すことにより架橋
処理を行った。
【0020】得られた電線を図1のように先端C0.15の
金属片を荷重714 gで2000往復させることでそのときの
摩耗量を測定した。結果は表1の通りである。直鎖状低
密度ポリエチレンとトリメトキシビニルシランを用いて
架橋すると耐摩耗が向上するが、低温で架橋しないと充
分な耐摩耗性は得られない。又パーオキサイドで架橋し
た電線は樹脂が高圧法による低密度ポリエチレンでなけ
ればならないことと、高温で架橋しなければならないこ
とで、耐摩耗性は余り向上しない。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の製造方法
により得られた電線、ケーブルは、特に耐摩耗性にすぐ
れ、架空電線、移動用ケーブル等に利用するとき効果的
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】摩耗量測定方法の説明図である。
【符号の説明】
1 電線 2 金属片

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が0.02〜2.0mm のグラニュー状
    である直鎖状低密度ポリエチレン10〜100 重量部と平均
    粒径が 2.0〜7.0mm のペレット状である直鎖状低密度ポ
    リエチレン0〜90重量部と、トリメトキシビニルシラ
    ン、有機過酸化物、シラノール縮合触媒を、スクリュー
    の長さLとスクリュー径Dの比L/Dが20/1以上であ
    る単軸押出機に供給して加熱反応させながら押出成形
    し、しかる後直鎖状低密度ポリエチレンの融点以下の温
    度で水分と接触させて架橋することを特徴とする耐摩耗
    性電線、ケーブルの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002150859A (ja) * 2000-11-08 2002-05-24 Mitsubishi Cable Ind Ltd 電線の製造方法
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US10889666B2 (en) * 2016-05-26 2021-01-12 Borealis Ag Molecular modification of polyethylene resin

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