JP2002150859A - 電線の製造方法 - Google Patents

電線の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は中・低圧法ポリエチレン、特に直鎖状
低密度ポリエチレンとシラン化合物を同時に押出成形に
供して電線・ケーブルを製造する際、絶縁体層であるポ
リエチレンに発泡が生じないで、かつ良好な架橋度を得
ることができる電線の製造方法を提供する。 【解決手段】平均粒径が0.02mm以上2.0mm以
下の粉末状の中・低圧法ポリエチレンが1〜8重量部、
平均粒径が2.0mmより大きく7.0mm以下のペレ
ット状の中・低圧法ポリエチレンが92〜99重量部、
シラン化合物、有機過酸化物、シラノール縮合触媒を押
出機で加熱反応させながら導体周上に押出成形し、その
後水分と接触させて架橋することを特徴とする電線の製
造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は架橋したポリエチレン、
特に直鎖状低密度ポリエチレンを絶縁体層として導体周
上に被覆した電線の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、耐熱性が要求される電線被覆材料
として架橋したポリエチレンが使われてきた。最近では
融点が高く機械的特性が優れている中・低圧法ポリエチ
レン、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン
と呼称されているポリエチレンが適用されてきた。中で
も特に直鎖状低密度ポリエチレンが注目されている。ま
た架橋方法においても、従来の化学架橋や電子線を照射
して架橋させる架橋方法より、簡単に架橋できるシラン
架橋も使われてきた。
【0003】通常、電線被覆材として使われている中・
低圧法ポリエチレンはペレット状に造粒されたものを使
用している。このペレット状の中・低圧法ポリエチレン
とシラン化合物を同時に導体周上に押出成形して電線を
製造した場合、シラン化合物が充分に中・低圧法ポリエ
チレンに浸透、分散することができず、その結果架橋度
の低い、つまり耐熱性が良好でない電線ができるため、
製品歩留まりを低下させるといった問題があった。ま
た、未反応のシラン化合物が押出機内に残留するとこの
未反応シラン化合物が潤滑剤のように作用して、押出機
内のスクリューとポリエチレンとの間ですべり現象が発
生するため、安定な押出成形ができなくなくといった問
題が発生していた。
【0004】中・低圧法ポリエチレンの一つであるペレ
ット状の直鎖状低密度ポリエチレンにシラン化合物を充
分に浸透、分散させる方法として特許3024669号
がある。この方法ではペレット状の直鎖状低密度ポリエ
チレンと粉末状の直鎖状低密度ポリエチレンとを混合さ
せることで、シラン化合物を直鎖状低密度ポリエチレン
に充分に浸透、分散するので架橋度の良好な電線を製造
することができるというものである。
【0005】当該技術では、大量の粉末状の直鎖状低密
度ポリエチレンを使うことで、シラン化合物が直鎖状低
密度ポリエチレンに充分に浸透、分散して、安定した架
橋度が得られるという効果はあるが、導体周上に押出成
形して電線製造した場合には、押出機内には大量の粉末
状の直鎖状低密度ポリエチレンとともに空気が巻込まれ
やすく、その結果、押出機内に巻込まれた空気は押出機
より出た際の急激な圧力の開放によって絶縁体層である
ポリエチレンに発泡を生じさせるといった問題が生じ
た。
【0006】
【課題を解決させるための手段】本発明は中・低圧法ポ
リエチレン、特に直鎖状低密度ポリエチレンとシラン化
合物を同時に導体周上に押出成形で被覆して電線を製造
する際、絶縁体層となるポリエチレンに発泡が生じない
で、安定な架橋度を得ることができる電線の製造方法を
提供する。
【0007】すなわち、平均粒径が0.02以上2.0
mm以下の粉末状の中・低圧法ポリエチレンが1〜8重
量部、平均粒径が2.0mmより大きく7.0mm以下
のペレット状の中・低圧法ポリエチレンが92〜99重
量部、シラン化合物、有機過酸化物、シラノール縮合触
媒を押出機で加熱反応させながら導体周上に押出成形
し、その後水分と接触させて架橋することを特徴とする
電線の製造方法である。
【0008】上記ポリエチレンが高密度ポリエチレン、
中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低
密度ポリエチレンの中の少なくとも一種類であることを
特徴とする電線の製造方法である。
【0009】
【発明の実態】本発明のベースポリマーである中・低圧
法ポリエチレンはチーグラー系触媒、フィリップス系触
媒、メタロセン系触媒等を使って、低圧(数atm〜数
十atm)または中圧(30atm〜70atm)下に
おいて気相法、液相法等の重合法で生成されるエチレン
とαオレフィンとの共重合体またはエチレンと微量のα
オレフィンとの共重合体であり、粉末状である。その平
均粒径は0.02mm以上2.0mm以下である。 こ
こでいう「粉末状」とは鱗片状、球状、疑似球状、塊
状、ウイスカー状等が挙げられるが、本発明では粉末の
形状は特定する必要はなく任意の形状であれば良い。平
均粒径が0.02mmより小さくなると取扱いが難しく
なるため、作業効率が低下する。平均粒径が2.0mm
より大きくなるとシラン化合物が充分にベースポリマー
である中・低圧法ポリエチレンに浸透、分散せず、その
結果充分な架橋度が得られない。
【0010】平均粒径が0.02mm以上2.0mm以
下の粉末状の中・低圧法ポリエチレンが1重量部より少
ないと充分な架橋度が得られず、 中・低圧法ポリエチ
レンで平均粒径が0.02mm以上2.0mm以下の中
・低圧法ポリエチレンが8重量部より多いと中・低圧法
ポリエチレンとシラン化合物を同時に導体周上に押出成
形で被覆して電線を製造した場合、絶縁体層であるポリ
エチレンに発泡を生じさせる。
【0011】中・低圧法ポリエチレンで平均粒径2.0
mmより大きく7.0mmのペレット状の中・低圧法ポ
リエチレンは、粉末状の中・低圧法ポリエチレンを造粒
したものであれば良く、「ペレット状」とは円板状、球
状、疑似球状、塊状等が含まれるが特に形状を指定をす
る必要はなく任意の形状であれば良い。 平均粒径2.
0mmより大きく7.0mmのペレット状の中・低圧法
ポリエチレンが92重量部より少ないと該ポリエチレン
とシラン化合物を同時に導体周上に押出成形で被覆して
電線を製造した場合、絶縁体層であるポリエチレンに発
泡を生じさせ、中・低圧法ポリエチレンが99重量部よ
り多いと、良好な架橋度が得られない。
【0012】シラン化合物としては、架橋が可能であれ
ば特に制限はなく、押出成形性を良好に保つため、最小
の添加量で最良な架橋度を得るためにトリメトシキビニ
ルシランにすることが好ましい。トリメトキシビニルシ
ランの添加量は中・低圧法ポリエチレン100重量部に
対して0.1〜5重量部が望ましい。
【0013】有機過酸化物としては、ラジカルを発生さ
せることのできる化合物であれば特に制限はないが、具
体的な有機過酸化物を挙げると、ジクミルパーオキサイ
ド、ジ−ターシャリーブチルパーオキサイド、2,5−
ジメチル−2,5−ジ−(ターシャリーブチルパーオキ
シ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ−
(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアル
キルパーオキサイド類、ターシャリーブチルパーオキシ
アセテート、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエー
ト等のアルキルパーエステル類、クメンハイドロパーオ
キサイド、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド
等のハイドロパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサ
イド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等の
ジアシルパーオキサイド類が挙げられる。有機過酸化物
の添加量は中・低圧法ポリエチレン100重量部に対し
て0.01〜0.05重量部が好ましい。
【0014】シラノール縮合触媒としては触媒作用をす
るものであれば特に限定しないが、具体的に挙げるとジ
ブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ナ
フテン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、酢酸第一錫等がある。
シラノール触媒の添加量は架橋速度に応じて適宜変更し
ても良い。その他の添加剤として、酸化防止剤、カーボ
ン、難燃剤、充填剤、着色剤等を適宜添加しても良い。
【0015】押出機は温度制御ができるものであれば良
く、原料である中・低圧法ポリエチレン、添加剤である
シラン化合物、有機過酸化物、シラノール縮合触媒、酸
化防止剤等を入れて加熱反応させながら導体周上に単軸
押出し等で押出成形する。
【0016】架橋は押出成形後、ドラムに巻き取り室温
中に放置して空気中の水分と反応させる方法や押出成形
後、ドラムに巻き取り約80℃に保たれた飽和水蒸気中
に放置して水分と反応させる方法、押出成形後、引続き
80℃に保たれた水に浸漬させて水分と接触させて架橋
させた後にドラムに巻き取るといった方法等が挙げられ
る。
【0017】
【実施例】実施例1:平均粒径が0.5mmの粉末状の
直鎖状低密度ポリエチレン1重量部、平均粒径が4.0
mmのペレット状の直鎖状低密度ポリエチレン99重量
部を押出機のホッパーに供給し、シラン化合物としてト
リメトキシビニルシラン1.7重量部、有機過酸化物と
してジクミルバーオキサイド0.06重量部、シラノー
ル触媒としてジブチル錫ジラウレート0.05重量部、
酸化防止剤として3−(3,5−ジ−tert−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.5重
量部を溶解させた混合液を定量吐出器により押出機のホ
ッパーに供給し、押出機で押出温度230℃で断面積6
0mm2の銅導体に厚さ1.5mmに押出成形し、ドラ
ムに巻き取って80℃に保持された飽和水蒸気雰囲気中
に48時間放置して水架橋反応をさせて電線を製造し
た。
【0018】実施例2:平均粒径1.0mmの粉末状の
直鎖状低密度ポリエチレン8重量部、平均粒径が6.0
mmのペレット状の直鎖状低密度ポリエチレン92重量
部を押出機のホッパーに供給し、実施例1と同じシラン
化合物、有機過酸化物、シラノール触媒、酸化防止剤お
よび同じ量を溶解させた混合液を定量吐出器により押出
機のホッパーに供給し、実施例1と同様に電線を製造し
た。
【0019】実施例3:平均粒径が2.0mmの粉末状
の直鎖状低密度ポリエチレン8重量部、平均粒径が6.
0mmのペレット状の直鎖状低密度ポリエチレン92重
量部を押出機のホッパーに供給し、実施例1と同じシラ
ン化合物、有機過酸化物、シラノール触媒、酸化防止剤
および同じ量を溶解させた混合液を定量吐出器により押
出機のホッパーに供給し、実施例1と同様に電線を製造
した。
【0020】実施例4:平均粒径が0.5mmの粉末状
の高密度ポリエチレン5重量部、平均粒径が6.0mm
のペレット状の高密度ポリエチレン95重量部を押出機
のホッパーに供給し、実施例1と同じシラン化合物、有
機過酸化物、シラノール触媒、酸化防止剤および同じ量
を溶解させた混合液を定量吐出器により押出機のホッパ
ーに供給し、実施例1と同様に電線を製造した。
【0021】実施例5:平均粒径が1.5mmの粉末状
の中密度ポリエチレン3重量部、平均粒径が6.0mm
のペレット状の中密度ポリエチレン97重量部を押出機
のホッパーに供給し、実施例1と同じシラン化合物、有
機過酸化物、シラノール触媒、酸化防止剤および同じ量
を溶解させた混合液を定量吐出器により押出機のホッパ
ーに供給し、実施例1と同様に電線を製造した。
【0022】実施例6:平均粒径が2.0mmの粉末状
の超低密度ポリエチレン5重量部、平均粒径が5.0m
mのペレット状の超低密度ポリエチレン95重量部を押
出機のホッパーに供給し、実施例1と同じシラン化合
物、有機過酸化物、シラノール触媒、酸化防止剤および
同じ量を溶解させた混合液を定量吐出器により押出機の
ホッパーに供給し、実施例1と同様に電線を製造した。
【0023】比較例1:平均粒径が0.5mmの粉末状
の直鎖状低密度ポリエチレン10重量部、平均粒径が
4.0mmのペレット状の直鎖状低密度ポリエチレン9
0重量部を押出機のホッパーに供給し、実施例1と同じ
シラン化合物、有機過酸化物、シラノール触媒、酸化防
止剤および同じ量を溶解させた混合液を定量吐出器によ
り押出機のホッパーに供給し、実施例1と同様に電線を
製造した。
【0024】比較例2:平均粒径が1.0mmの粉末状
の直鎖状低密度ポリエチレン100重量部を押出機のホ
ッパーに供給し、実施例1と同じシラン化合物、有機過
酸化物、シラノール触媒、酸化防止剤および同じ量を溶
解させた混合液を定量吐出器により押出機のホッパーに
供給し、実施例1と同様に電線を製造した。
【0025】比較例3:平均粒径が4.0mmのペレッ
ト状の直鎖状低密度ポリエチレン100重量部を押出機
のホッパーに供給し、実施例1と同じシラン化合物、有
機過酸化物、シラノール触媒、酸化防止剤および同じ量
を溶解させた混合液を定量吐出器により押出機のホッパ
ーに供給し、実施例1と同様に電線を製造した。
【0026】比較例4:平均粒径が4.0mmのペレッ
ト状の高低密度ポリエチレン100重量部を押出機のホ
ッパーに供給し、実施例1と同じシラン化合物、有機過
酸化物、シラノール触媒、酸化防止剤および同じ量を溶
解させた混合液を定量吐出器により押出機のホッパーに
供給し、実施例1と同様に電線を製造した。
【0027】比較例5:平均粒径が1.0mmの粉末状
の直鎖状低密度ポリエチレン100重量部を押出機のホ
ッパーに供給し、実施例1と同じシラン化合物、有機過
酸化物、シラノール触媒、酸化防止剤および同じ量を溶
解させた混合液を定量吐出器により押出機のホッパーに
供給し、実施例1と同様に電線を製造した。
【0028】比較例6:平均粒径が0.5mmの粉末状
の中低密度ポリエチレン45重量部、平均粒径が4.0
mmのペレット状の中密度ポリエチレン55重量部を押
出機のホッパーに供給し、実施例1と同じシラン化合
物、有機過酸化物、シラノール触媒、酸化防止剤および
同じ量を溶解させた混合液を定量吐出器により押出機の
ホッパーに供給し、実施例1と同様に電線を製造した。
【0029】発泡の発生状況は、押出成形された直鎖状
低密度ポリエチレンの表面を目視にて観察した。発泡あ
りを×、発泡なしを○として評価した。
【0030】架橋度の評価は、押出成形してドラムに巻
き取った後、80℃に保持された飽和水蒸気雰囲気中に
48時間放置して直鎖状低密度ポリエチレンを水架橋反
応をさせた後、該直鎖状低密度ポリエチレンのゲル分率
を測定してゲル分率が40%以上を○、ゲル分率が40
%未満を×と評価した。
【0031】総合評価として、発泡なしでかつゲル分率
が40%以上のものを○と評価し、発泡ありもしくはゲ
ル分率が40%未満の結果のものを×と評価した。
【0032】上記した電線について、以下の方法によ
り、発泡の発生状況および架橋度を評価した。その結果
を表1および表2に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電線の製
造方法では押出成形時に発泡が起こらず、かつ充分な架
橋が行われるので耐熱性の良好な電線が製造可能であ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23/08 C08K 5/54 Fターム(参考) 4F070 AA13 AC52 AC56 AC67 AE08 GA01 GA05 GB06 GC05 4J002 BB051 BB052 EG018 EG028 EG048 EK007 EX036 EZ018 GQ01 5G325 GA17 GA22 GC01 GC05

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒径が0.02mm以上2.0mm以
    下の粉末状の中・低圧法ポリエチレンが1〜8重量部、
    平均粒径が2.0mmより大きく7.0mm以下のペレ
    ット状の中・低圧法ポリエチレンが92〜99重量部、
    シラン化合物、有機過酸化物、シラノール縮合触媒を押
    出機で加熱反応させながら導体周上に押出成形し、その
    後水分と接触させて架橋することを特徴とする電線の製
    造方法。
  2. 【請求項2】上記ポリエチレンが高密度ポリエチレン、
    中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低
    密度ポリエチレンの中の少なくとも一種類であることを
    特徴とする請求項1記載の電線の製造方法。
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