JPH10245424A - シラン架橋ポリオレフィンの製造方法 - Google Patents

シラン架橋ポリオレフィンの製造方法

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JPH10245424A
JPH10245424A JP4876297A JP4876297A JPH10245424A JP H10245424 A JPH10245424 A JP H10245424A JP 4876297 A JP4876297 A JP 4876297A JP 4876297 A JP4876297 A JP 4876297A JP H10245424 A JPH10245424 A JP H10245424A
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silane
carrier polymer
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polymer
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シラン含浸性に優れたシラン架橋剤マスター
バッチ、及び押出加工性に優れ、また架橋特性、機械的
特性、耐熱性に優れたシラン架橋ポリオレフィンを提供
する。 【解決手段】 (i)ポリオレフィン系ベースポリマー
と、(ii)遊離ラジカル発生剤を含む液状の有機不飽和シ
ランであるシラン架橋剤をエチレン−不飽和エステル共
重合体からなるキャリヤーポリマーに、キャリヤーポリ
マーの融点以下の高温及び加圧下の条件で含浸させたシ
ラン架橋剤マスターバッチ、及び(iii)シラノール縮合
触媒及び酸化防止剤を含有させた触媒マスターバッチと
を該全ポリマーの結晶融点より高い温度において溶融混
合して反応させ、次いで水分と接触させて架橋させるこ
とを特徴とするシラン架橋ポリオレフィンの製造方法で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィンの
シラン架橋において、有機不飽和シラン等を高濃度に含
浸したシラン架橋剤マスターバッチの製造方法、及びそ
れとシラノール縮合触媒等を含有した触媒マスターバッ
チにより一工程でシラン架橋ポリオレフィンを製造する
シラン架橋方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来ポリオレフィンを架橋させる簡便な
方法としては、該ポリオレフィンに遊離ラジカル発生剤
の存在下で有機不飽和シランをグラフト反応させてシラ
ングラフト化した後、このシラングラフトマーをシラノ
ール縮合触媒の存在下で水分と接触させて架橋させる所
謂シラン架橋法が一般に知られている。例えば特公昭48
-1711号公報、特開昭57-49109号公報等に開示されてい
る。
【0003】しかし、この方法は少なくとも二工程を伴
う。即ちシラングラフト化反応工程及びシラノール縮合
反応工程である。従って少なくとも二回の押出工程を経
る事となり、最終製品としての経済的な問題が避けられ
ない。また一工程プロセスとしてはモノシール法があ
る。しかし、この方法は有機不飽和シランを液状で押出
機に注入する液添装置が必要であるが、滑りや計量不良
の問題がある。また押出機も少量添加物を均一分散する
為に、L/Dの大きな高価で特殊なタイプが必要であり
経済的な問題が避けられない。更に押出においても非常
に高度な技術が必要である。
【0004】更に一工程プロセスとしては、シランを固
体キャリヤーポリマーに導入したシラン架橋方法が特開
平3-167229号公報に開示されている。この方法では固体
キャリヤーポリマーとしては多孔質ポリマー、膨潤性ポ
リマー及びカプセルを挙げており、多孔質ポリマーの好
ましい材料としてエチレン−ビニルアセテート共重合体
(以下EVAという)、高密度ポリエチレン、低密度ポ
リエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレン等を挙げてい
る。
【0005】しかし、これらの多孔質ポリマーは多孔質
にする為の工程が必要であり、生産性、経済性の問題が
ある。また、膨潤性ポリマーの好ましい材料としてEV
Aを挙げているが、EVAはシランの含浸量が十分でな
い、熱安定性が劣るため分解生成物の酢酸による銅害の
危険性、電気特性が劣る等の問題がある。
【0006】またシランを発泡樹脂に導入したシラン架
橋方法が特開平7-330914号公報に開示されている。この
方法ではシラン架橋剤保持体がカルボニル基を有するコ
モノマー含量が30重量%以上のエチレン共重合体の発
泡樹脂を挙げている。しかし、これも発泡工程が必要で
あり、生産性、経済性の問題は避けられない。また同公
報ではシラン架橋剤液の発泡樹脂への含浸方法として室
温で密閉容器で1時間回転混合しているためかなり時間
がかかり生産性にも問題がある。更に上記の2つの公報
ではシラン及び遊離ラジカル発生剤の他にシラノール縮
合触媒、酸化防止剤等の添加剤も固体ポリマーに導入し
ている。この為シランの縮合によるオリゴマー化或いは
ラジカル捕捉による架橋阻害により架橋効率や保存性が
劣るという大きな問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの問
題を解決したもので、ポリオレフィンのシラン架橋にお
いて、有機不飽和シラン等を高濃度に含浸したシラン架
橋剤マスターバッチの効率的な生産方法及びこのシラン
架橋剤マスターバッチとシラノール縮合触媒等を含有し
た触媒マスターバッチにより一工程で架橋効率に優れた
シラン架橋ポリオレフィンを製造するシラン架橋方法の
提供を目的としたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、有機不飽和シ
ラン等を高濃度に含浸できるキャリヤーポリマーとその
時の含浸条件を検討して容易にシラン架橋剤マスターバ
ッチを生産できる方法を見出したものであり、更にシラ
ノール縮合触媒等を含有した触媒マスターバッチを採用
することにより架橋効率に優れたシラン架橋ポリオレフ
ィンを製造する方法を見出したものである。
【0009】即ち、本発明は、(i)ポリオレフィン系ベ
ースポリマーと、(ii)遊離ラジカル発生剤を含む液状の
有機不飽和シランであるシラン架橋剤をエチレン−不飽
和エステル共重合体からなるキャリヤーポリマーに、キ
ャリヤーポリマーの融点以下で融点に近い温度条件で含
浸させたシラン架橋剤マスターバッチ、及び(iii)シラ
ノール縮合触媒及び酸化防止剤を含有させた触媒マスタ
ーバッチとを全ポリマーの結晶融点より高い温度におい
て溶融混合して反応させ、次いで水分と接触させて架橋
させるシラン架橋ポリオレフィンの製造方法であり、更
に好ましい態様は、エチレン−不飽和エステル共重合体
のコモノマー含量が18〜41重量%であり、有機不飽
和シランの添加量がキャリヤーポリマーに対して10〜
40重量%であり、エチレン−不飽和エステル共重合体
がエチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−
メチルメタクリレート共重合体、またはこれらの混合物
からなり、有機不飽和シランがビニルトリメトキシシラ
ンまたはビニルトリエトキシシランからなり、遊離ラジ
カル発生剤がジクミルパーオキサイド、またはα,α′
−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼ
ンからなり、キャリヤーポリマーを予めその融点より5
〜30℃低い温度に予熱し、その融点より5〜30℃低
い温度に保持された密閉式混合機に投入攪拌しながらシ
ラン架橋剤を投入して密閉した後、加圧下の条件でキャ
リヤーポリマーにシラン架橋剤を含浸させ、加圧条件が
0.1〜10kg/cm2であり、窒素加圧下で前記キ
ャリヤーポリマーにシラン架橋剤を含浸させ、触媒マス
ターバッチのキャリヤーポリマーの融点がポリオレフィ
ン系ベースポリマーの融点より高いポリエチレン、ポリ
プロピレン、エチレンとα−オレフィンの共重合体及び
これらの混合物からなり、シラン架橋剤マスターバッチ
と触媒マスターバッチの合計量が3〜15重量%である
シラン架橋ポリオレフィンの製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明のポリオレフィン系ベースポリマーとしては特に限
定するものではないが、一般的なポリエチレン、ポリプ
ロピレン、エチレンとα−オレフィンの共重合体であ
り、α−オレフィンとしてはC3〜C12の例えばプロピ
レン、ブテン−1、ペンテン−1、オクテン−1、4−
メチルペンテン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4
−ジメチルペンテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウ
ンデセン−1、ドデセン−1等である。或いは、EE
A、EMMA、EVA、塩素化ポリエチレン(以下CP
Eという)及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0011】本発明の有機不飽和シランは、ベースレジ
ン相互の架橋点となるべくベースレジンにグラフト化さ
れるものである。本発明において使用される有機不飽和
シランとしては、一般式RR'SiY2(Rは1価のオレフィン
性不飽和炭化水素基、Yは加水分解しうる有機基、R'は
脂肪族不飽和炭化水素以外の1価の炭化水素基あるいは
Yと同じもの)で表される化合物が使用される。R'がYと
同一で一般式RSiY3で表される有機不飽和シランを使用
するのが望ましく、例えばビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラ
ン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシ
ラン等が挙げられる。
【0012】これらシランの添加量としてはシラン架橋
剤マスターバッチにおいてはキャリヤーポリマーの全重
量を基準にして10〜40重量%、好ましくは20〜3
0重量%である。10重量%を下回ると十分なグラフト
化が起こらず、また40重量%を上回ると含浸ペレット
に荷重がかかった場合にシランのブリードが発生する為
である。またシラン架橋ポリオレフィンにおいてはポリ
マーの全重量を基準にして、シランは0.1〜5重量
%、好ましくは0.7〜3重量%である。0.1重量%
を下回ると充分なグラフト化が起こらず、また5重量%
を上回ると成形不良を起こすとともに経済的でなくな
る。
【0013】本発明の遊離ラジカル発生剤は、シラング
ラフト化反応の開始剤として働く。本発明において使用
される遊離ラジカル発生剤には、重合開始作用の強い種
々の有機過酸化物及びパーエステル、例えばジクミルパ
ーオキサイド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ
ジイソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサ
イド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−ベンゾイ
ルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオ
キシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサノエート等が挙げられる。これらの添加量としては
シラン架橋ポリオレフィン中のポリマーの全重量を基準
にして0.01〜0.5重量%、好ましくは0.05〜
0.2重量%である。0.01重量%を下回ると充分な
シラングラフト化反応が進行せず、また0.5重量%を
上回ると押出加工性が低下するとともに成形表面が悪く
なる。
【0014】本発明のシラン架橋剤マスターバッチは、
遊離ラジカル発生剤を有機不飽和シランに溶解した液体
混合物でキャリヤーポリマーを膨潤させることにより、
遊離ラジカル発生剤と有機不飽和シランをキャリヤーポ
リマーに含浸させて製造することができる。この時有機
不飽和シランを高濃度に短時間で効率的に含浸させる為
には、前記キャリヤーポリマーを予めその融点より5〜
30℃低い温度に予熱し、その融点より5〜30℃低い
温度に保持された密閉式混合機に投入し、攪拌しながら
液体混合物を投入し、投入後混合機を密閉し、加圧化に
て混合して含浸させる必要があり、空気中の水分による
影響を防ぐためにも窒素の加圧下で行うのが好ましい。
キャリヤーポリマーが溶融しないようにキャリヤーポリ
マーの融点より低い温度でなければならないが、あまり
融点に近い温度ではポリマーのブロッキング、混合機へ
の付着の危険がある為、融点より5℃以内の低い温度で
は好ましくない。また融点より30℃以上低い温度では
液体混合物が含浸しない或いは含浸に長時間を要すると
いう問題があり好ましくない。
【0015】高温化で有機不飽和シランを含浸する為混
合機としては有機不飽和シランの揮発防止のため密閉式
のものが好ましい。また有機不飽和シランの早期加水分
解及び縮合の可能性を最小にする、短時間で効率的に含
浸させる為窒素加圧化が好ましい。加圧条件としては
0.1〜10kg/cm2が好ましい。0.1kg/c
2を下回ると効率的な含浸性が得られず、10kg/
cm2を上回ると設備の仕様としてコストアップとなる
為である。これに適した混合機としてはダルトン混合
機、スーパーミキサー混合機、タンブラー混合機等を挙
げることができる。
【0016】前記キャリヤーポリマーは、粒状形であり
且つ架橋するベースポリマー及び有機不飽和シランと相
溶性の個体でなければならない。相溶性とは、キャリヤ
ーポリマーが有機不飽和シランと容易に反応してはなら
ず、且つベースポリマーに分散可能或いは可溶性でなけ
ればならないことを意味する。適したキャリヤーポリマ
ーは非吸湿性である。即ち有機不飽和シランの早期加水
分解及び縮合の可能性を最小にする為に水分の吸収が比
較的遅いのが好ましい。何れにしても、キャリヤーポリ
マーは実質的に水が存在すべきでない。本発明のキャリ
ヤーポリマーはグラニュール、或いはペレットの形の粒
状物にするのが普通であり、好ましい形はペレットであ
る。
【0017】本発明において使用されるシラン架橋剤マ
スターバッチのキャリヤーポリマーとしては、エチレン
−不飽和エステル共重合体であり、好ましくはコモノマ
ー含量が18〜41重量%のEEA、EMMA、または
これらの混合物を挙げることができる。コモノマー含量
が18重量%を下回ると所望のシラン含浸量が得られ
ず、また41重量%を上回るとシラン含浸時にブロッキ
ングし作業性が悪くなる。シラン含浸性、作業性、経済
性等を考慮するとEEAが好ましい。
【0018】本発明の触媒マスターバッチはキャリヤー
ポリマーとシラノール縮合触媒及び酸化防止剤等を混練
し造粒することにより製造することができる。また触媒
マスターバッチのキャリヤーポリマーの融点はポリオレ
フィン系ベースポリマーの融点以上でなければならな
い。これは押出時にシラングラフト化反応及びシラノー
ル縮合反応が起こるが、触媒マスターバッチ中のシラノ
ール縮合触媒及び酸化防止剤はシラングラフト化反応で
の架橋阻害により架橋効率を低下させる。従って融点に
差を持たせることによってまずシラングラフト化反応が
進み、続いてシラノール縮合反応が進むことにより架橋
阻害を防止できる。また触媒マスターバッチは粒状形で
あり且つ架橋するベースポリマーと相溶性の固体でなけ
ればならない。本発明の触媒マスターバッチはグラニュ
ール、あるいはペレットの形の粒状物にするのが普通で
あり、好ましい形はペレットである。
【0019】本発明において使用される触媒マスターバ
ッチのキャリヤーポリマーとしては、例えばポレエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレンとα−オレフィンの共重
合体であり、α−オレフィンとしては、C3〜C12の例
えばプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、オクテン
−1、4−メチルペンテン−1、4−メチルヘキセン−
1、4,4−ジメチルペンテン−1、ノネン−1、デセ
ン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1等であり、及び
これらの混合物を挙げることができる。
【0020】本発明のシラノール縮合触媒としては、例
えばジブチル錫ジラウレート、酢酸第一錫、ジブチル錫
ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ナフテン酸
鉛、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、チタン酸テ
トラブチルエステル、ステアリン酸鉛、ステアリン酸亜
鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、
ステアリン酸カルシウム等の有機金属化合物等が挙げら
れる。これらの添加量としては、シラン架橋ポリオレフ
ィン中のポリマーの全重量を基準として0.01〜0.
2重量%、好ましくは0.02〜0.1重量%である。
0.01重量%を下回ると十分な架橋反応が進まず、ま
た0.2重量%を上回ると押出時に押出機内で局部的に
架橋が進行し外観が著しく悪化する。またシラノール縮
合触媒は触媒マスターバッチに加入しなければならな
い。これはシラン架橋剤マスターバッチに加入するとシ
ランの縮合によるオリゴマー化を促進し外観悪化を引き
起こす為である。
【0021】本発明の酸化防止剤はポリオレフィンを加
工する際に通常用いられるもので特に限定するものでは
ないが、触媒マスターバッチに加入しなければならな
い。これはシラン架橋剤マスターバッチに加入するとラ
ジカル捕捉により架橋を阻害する為である。その他添加
剤を加入する場合においても架橋を阻害する可能性のあ
る添加剤は触媒マスターバッチに加入しなければならな
い。
【0022】マスターバッチの添加量はシラン架橋剤マ
スターバッチと触媒マスターバッチの合計量が組成物全
体の合計量の3〜15重量%の範囲で添加される。3重
量%を下回ると充分なグラフト化が起こらず、また15
重量%を上回ると成形不良を起こすとともに経済的でな
くなる。
【0023】その他の添加剤としては所望により通常に
使用される添加剤、例えば中和剤、紫外線吸収剤、帯電
防止剤、顔料、分散剤、増粘剤、金属劣化防止剤、防カ
ビ剤、流動調整剤、その他の無機質充填剤等、または他
の合成樹脂を含有させることもできる。
【0024】
【実施例】以下に実施例を挙げて説明する。 《シラン架橋剤マスターバッチの製造》表1に示すよう
な配合割合、製造条件に従って、まずキャリヤーポリマ
ー(EEA(1)、EEA(2)、EEA(3)、L−
LDPE)を80℃に保持された密閉式のスーパーミキ
サー混合機に投入し、攪拌混合し80℃に予熱する。次
に不飽和シランに遊離ラジカル発生剤を溶かした液体混
合物をスーパーミキサーに投入し、1kg/cm2の窒
素加圧下で攪拌しながらキャリヤーポリマーに含浸させ
た。又、予熱温度を変更した場合、窒素加圧条件を変更
した場合等のそれ以外の方法も上記と同様に実施した。
【0025】《触媒マスターバッチの製造》表2に示す
ような配合割合に従って、キャリヤーポリマー(HDP
E(1)、HDPE(2)、PP、LDPE)、シラノ
ール縮合触媒、酸化防止剤等を加圧ニーダーを用いて混
練、造粒した。
【0026】使用した原材料は次の通りである。 (1)EEA(1):エチレン−エチルアクリレート共重合
体(融点:90℃、EA含量;23重量%) (2)EEA(2):エチレン−エチルアクリレート共重合
体(融点:95℃、EA含量;10重量%) (3)EEA(3):エチレン−エチルアクリレート共重合
体(融点:85℃、EA含量;50重量%) (4)L−LDPE: 直鎖状低密度ポリエチレン(融点:
125℃、密度;0.924g/cm3、MI;3.0g/10min) (5)VTMOS:ビニルトリメトキシシラン (6)DCP:ジクミルパーオキサイド (7)HDPE(1):高密度ポリエチレン(融点:130
℃、密度;0.950g/cm3、MI;5g/10min) (8)HDPE(2):高密度ポリエチレン(融点:135
℃、密度;0.955g/cm3、MI;4g/10min) (9)PP:ポリプロピレン(ブロックポリマー、融点:1
50℃、MI(230゜C);2.0g/10min) (10)LDPE:低密度ポリエチレン(融点:105℃、密
度;0.925g/cm3、MI;1.5g/10min) (11)MDPE:中密度ポリエチレン(融点:110℃、密
度;0.930g/cm3、MI;1.0g/10min) (12)DBTDL:ジブチルスズジラウレート (13)酸化防止剤:フェノール系酸化防止剤/イルガノッ
クス1010(チバガイギー(株)製) (14)滑剤:低分子量ポリエチレン/サンワックス171
P(三洋化成工業(株)製)
【0027】評価方法は次の通りである。 (15)シラン含浸性:スーパーミキサーでVTMOS/DCP液体
混合物を加熱攪拌した時の含浸性を評価した。 ○:含浸性良好、×:含浸不可 又、シラン含浸時のシラン含浸時間(min)、シラン含浸
収率(%)、ペレットの潰れ性、ブロッキング性について
評価した。 (16)テープ押出外観: 50mmφの押出機 120-150-170-180-170℃ L/D:20 圧縮比 3.5 テープダイ:巾 100mm リップ間
隔 1mmt 評価:○>△>×の順とし、○のレベルを合格とした。 (17)ゲル分率(%):120℃、20時間、キシレン浸漬法 (18)引張強さ(MPa)及び伸び(%):JIS K 6760
による。 (19)加熱変形率(%):JIS K 6723 による。
【0028】ポリオレフィン系ベースポリマーと得られ
たシラン架橋剤マスターバッチ及び触媒マスターバッチ
を表3の比率で混合し、押出機を用いてテープを押出
し、更に温水中に浸漬することによって架橋処理を行っ
た。この押出テープを用いて、ゲル分率、引張強さ、伸
び、及び加熱変形率の評価を行った。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】表から明らかなように、実施例1〜2に示
すシラン架橋剤マスターバッチはシラン含浸性に優れ、
又これを用いた実施例3〜7に示す材料は押出加工性が
良好で、かつ非常に優れた架橋特性、機械的特性、及び
耐熱性を示している。これに対し比較例は全て、シラン
含浸性、押出加工性、架橋特性、機械的特性、及び耐熱
性のバランスが取れていない。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、シラン含浸性に優れた
シラン架橋剤マスターバッチを効率的に得ることがで
き、又、これを用いることにより押出加工性に優れ、架
橋特性、機械的特性、耐熱性に優れたシラン架橋ポリオ
レフィンを得ることができる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i)ポリオレフィン系ベースポリマー
    と、(ii)遊離ラジカル発生剤を含む液状の有機不飽和シ
    ランであるシラン架橋剤をエチレン−不飽和エステル共
    重合体からなるキャリヤーポリマーに、キャリヤーポリ
    マーの融点以下で融点に近い温度条件で含浸させたシラ
    ン架橋剤マスターバッチ、及び(iii)シラノール縮合触
    媒及び酸化防止剤を含有させた触媒マスターバッチとを
    全ポリマーの結晶融点より高い温度において溶融混合し
    て反応させ、次いで水分と接触させて架橋させることを
    特徴とするシラン架橋ポリオレフィンの製造方法。
  2. 【請求項2】 該エチレン−不飽和エステル共重合体の
    コモノマー含量が18〜41重量%であり、有機不飽和
    シランの添加量がキャリヤーポリマーに対して10〜4
    0重量%であることを特徴とする請求項1記載のシラン
    架橋剤マスターバッチの製造方法。
  3. 【請求項3】 該エチレン−不飽和エステル共重合体が
    エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メ
    チルメタクリレート共重合体、またはこれらの混合物か
    らなることを特徴とする請求項1または2記載のシラン
    架橋剤マスターバッチの製造方法。
  4. 【請求項4】 該有機不飽和シランがビニルトリメトキ
    シシランまたはビニルトリエトキシシランからなり、該
    遊離ラジカル発生剤がジクミルパーオキサイド、または
    α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピ
    ル)ベンゼンからなることを特徴とする請求項1または
    2記載のシラン架橋ポリオレフィンの製造方法。
  5. 【請求項5】 該キャリヤーポリマーを予めその融点よ
    り5〜30℃低い温度に予熱し、その融点より5〜30
    ℃低い温度に保持された密閉式混合機に投入攪拌しなが
    らシラン架橋剤を投入して密閉した後、加圧下の条件で
    キャリヤーポリマーにシラン架橋剤を含浸させることを
    特徴とする請求項1、2、3または4記載のシラン架橋
    ポリオレフィンの製造方法。
  6. 【請求項6】 加圧下で該キャリヤーポリマーにシラン
    架橋剤を含浸させる際、加圧条件が0.1〜10kg/
    cm2であることを特徴とする請求項1、2、3、4ま
    たは5記載のシラン架橋ポリオレフィンの製造方法。
  7. 【請求項7】 窒素加圧下で前記キャリヤーポリマーに
    シラン架橋剤を含浸させることを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5または6記載のシラン架橋ポリオレフィ
    ンの製造方法。
  8. 【請求項8】 触媒マスターバッチのキャリヤーポリマ
    ーの融点がポリオレフィン系ベースポリマーの融点より
    高いポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとα−オ
    レフィンの共重合体及びこれらの混合物からなることを
    特徴とする請求項1記載のシラン架橋ポリオレフィンの
    製造方法。
  9. 【請求項9】 シラン架橋剤マスターバッチと触媒マス
    ターバッチの合計量が3〜15重量%であることを特徴
    とする請求項1記載のシラン架橋ポリオレフィンの製造
    方法。
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