JP2012144613A - シラン架橋樹脂成形体の製造方法及びそれを用いた成形体 - Google Patents

シラン架橋樹脂成形体の製造方法及びそれを用いた成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】架橋阻害を抑えつつ一工程でシラン架橋を行い、耐熱性、外観及び長期保管性に優れたシラン架橋樹脂成形体の製造方法及びそれを用いた外観の良好な成形体を得ることを課題とする。
【解決手段】 特定構造の有機不飽和シラン化合物を含有するキャリア樹脂成分(B)の混合物と、
有機パーオキサイドを含有するキャリア樹脂成分(C)の混合物と、
(D−1)シラノール縮合触媒及び酸化防止剤を含有するキャリア樹脂成分(D)の混合物とを、
前記キャリア樹脂成分(B)の溶融温度以上で溶融混合して反応させ、次いで水分と接触させて架橋させるシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、シラン架橋樹脂成形体の製造方法及びその方法により製造された成形体に関する。
従来、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂を架橋する方法として、電子線を用いることにより架橋させる電子線架橋法や、成形後に熱を加えることにより有機パーオキサイド等を分解させて架橋させる化学架橋法がある。これらの架橋方法のほかに、シラン架橋法が知られている。シラン架橋法とは、有機パーオキサイドの存在下で有機不飽和シラン化合物を反応させてシラングラフトポリマーを得た後に、シラノール縮合触媒の存在下で水分と接触させることにより架橋成形体を得る方法である。これらの架橋法の中でも特にシラン架橋法は特殊な設備を要しないことが多いため、幅広い分野で使用されている。
シラン架橋法は、一般的に、有機パーオキサイドの存在下で有機不飽和シラン化合物を反応させてシラングラフトポリマーを得る第一工程と、シラノール縮合触媒の存在下で水分と接触させることにより架橋させる第二工程の2つの工程を具備する。この方法では2工程を必要とするため、廉価で、シラン架橋樹脂成形体を成形できなかった。さらに、第一工程で製造したシラングラフトポリマーを長期に保管した後に、第二工程でシラン架橋を行うと、成形体の表面や内部にゲル化物を生じ、架橋成形体の外観に問題が発生する。
そこで、有機不飽和シラン化合物をキャリアポリマーに導入したものを用いて、1工程で反応を行う方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、この方法の場合、架橋工程やシラングラフト工程での副産物等によるゲル化物やポリマー間の架橋により、成形体の外観が悪くなるという問題があった。また、1工程で架橋成形体を得る場合、各成分を直接配合して、最終工程の成形まで行ってもよいが、予め各配合成分を分けて樹脂混合物などとし、この樹脂混合物を必要に応じて混合・溶融し、成形が行われることがある。この樹脂混合物が余り、長期保管した場合、樹脂混合物中の成分が反応するなどして、製造に支障が生じ、成形体の外観が悪くなるという問題があった。
特開平03−167229号公報
本発明は、耐熱性、外観及び長期保管性に優れたシラン架橋樹脂成形体の製造方法及びそれを用いた成形体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を行った結果、有機パーオキサイドと有機不飽和シラン化合物を、それぞれ、別々のキャリア樹脂に混合したものを用いることで、一段階で、耐熱性と外観に優れたシラン架橋樹脂成形体を得ることができることを見出した。本発明はこの知見に基づきなされたものである。
すなわち本発明は、
<1>下記一般式(1)で表される有機不飽和シラン化合物を含有するキャリア樹脂成分(B)の混合物と、
有機パーオキサイドを含有するキャリア樹脂成分(C)の混合物と、
(D−11)シラノール縮合触媒及び(D−12)酸化防止剤を含有するキャリア樹脂成分(D1)の混合物とを、
前記キャリア樹脂成分(B)の溶融温度以上で溶融混合して反応させ、次いで水分と接触させて架橋させることを特徴とするシラン架橋樹脂成形体の製造方法、
Figure 2012144613
(式中、Rは不飽和炭化水素基、Rは脂肪族炭化水素基もしくは水素原子あるいはYである。Y、Y及びYは加水分解する有機基である。Y、Y及びYは互いに同じでも異なっていてもよい。)
<2>下記一般式(1)で表される有機不飽和シラン化合物を含有するキャリア樹脂成分(B)の混合物と、
有機パーオキサイドを含有するキャリア樹脂成分(C)の混合物と、
(D−21)シラノール縮合触媒を含有するキャリア樹脂成分(D2a)の混合物と、
(D−22)酸化防止剤を含有するキャリア樹脂成分(D2b)の混合物とを、
前記キャリア樹脂成分(B)の溶融温度以上で溶融混合して反応させ、次いで水分と接触させて架橋させることを特徴とするシラン架橋樹脂成形体の製造方法、
Figure 2012144613
(式中、Rは不飽和炭化水素基、Rは脂肪族炭化水素基もしくは水素原子あるいはYである。Y、Y及びYは加水分解する有機基である。Y、Y及びYは互いに同じでも異なっていてもよい。)
<3>(A−1)ポリオレフィン樹脂100〜40質量%及び(A−2)スチレン系エラストマー0〜60質量%を含有する樹脂成分(A)をさらに溶融混合させることを特徴とする<1>又は<2>に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法、
<4>前記有機不飽和シラン化合物が、全樹脂成分の合計100質量部に対して、0.2〜4.0質量部含有されることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法、
<5>前記有機パーオキサイドが、全樹脂成分の合計100質量部に対して、0.03〜0.8質量部含有されることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法、
<6>前記キャリア樹脂(D)中の樹脂成分が、他の樹脂成分よりも高い溶融温度のものを含むことを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1項に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法、
<7>前記キャリア樹脂(C)中の樹脂成分の溶融温度が、他の樹脂成分よりも高い溶融温度のものを含むことを特徴とする<6>に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法、及び
<8><1>〜<7>のいずれか1項に記載の製造方法により得られることを特徴とするシラン架橋樹脂成形体、
を提供するものである。
本発明のシラン架橋樹脂成形体の製造方法によれば、一工程で効率よくシラン架橋を行うことができる。また、本発明の方法により、耐熱性、外観及び長期保管性に優れたシラン架橋樹脂成形体を得ることができる。
本発明のシラン架橋樹脂成形体は、下記一般式(1)で表される有機不飽和シラン化合物を含有するキャリア樹脂成分(B)の混合物と、
有機パーオキサイドを含有するキャリア樹脂成分(C)の混合物と、
(D−1)シラノール縮合触媒及び(D−2)酸化防止剤を含有するキャリア樹脂成分(D)の混合物とを、
前記キャリア樹脂成分(B)の溶融温度以上で溶融混合して反応させ、次いで水分と接触させて架橋させて得ることができる。
Figure 2012144613
(式中、Rは不飽和炭化水素基、Rは脂肪族炭化水素基もしくは水素原子あるいはYである。Y、Y及びYは加水分解する有機基である。Y、Y及びYは互いに同じでも異なっていてもよい。)
本発明において、(B)、(C)、(D1)のキャリア樹脂を含む混合物を、前記キャリア樹脂(B)中の樹脂成分の溶融温度以上で溶融混合することにより、(B)成分中の有機不飽和シラン化合物は、(C)成分中の有機パーオキサイドと反応を開始する。これにより、有機不飽和シラン化合物は、(B)、(C)、(D1)中の樹脂成分にグラフト化される(このことを、シラングラフトともいう。)。ここで、有機パーオキサイドが予め有機不飽和シラン化合物に溶解及び混合されていると、有機不飽和シラン化合物同士の反応が多く生じてしまい、ゲル化物等を生成し、得られる樹脂成形体の外観が悪化する。さらに、有機不飽和シラン化合物が多量に消費されるため、ポリマーへの有機不飽和シラングラフトが進まず、ポリマー同士の架橋反応が進み、得られる樹脂成形体の外観を著しく低下させる。本発明では(B)成分に有機不飽和シラン化合物、(C)成分に有機パーオキサイドをそれぞれ別々に添加することにより、長期間にわたりキャリア樹脂混合物を保管しても、有機不飽和シラン化合物同士が反応してしまうことなく、優れた外観を有する樹脂成形体を得ることができる。
また、本発明において、(D1)のキャリア樹脂を含む混合物を用いる代わりに、(D2a)のキャリア樹脂を含む混合物と、(D2b)のキャリア樹脂を含む混合物を用いて、前記キャリア樹脂(B)中の樹脂成分の溶融温度以上で溶融混合することができる。これにより、(B)成分中の有機不飽和シラン化合物は、(C)成分中の有機パーオキサイドと反応を開始する。これにより、有機不飽和シラン化合物は、(B)、(C)、(D2a)、(D2b)中の樹脂成分にグラフト化される。
(B)、(C)、(D1)、(D2a)、(D2b)中の混合物におけるキャリア樹脂は特に制限されないが、後述のポリオレフィン樹脂、及び必要に応じてスチレン系エラストマーとを含有する樹脂成分が挙げられる。(B)、(C)、(D1)、(D2a)、(D2b)の混合物におけるキャリア樹脂のほかに、任意樹脂成分として、(B)、(C)、(D1)、(D2a)、(D2b)と同様のもの、すなわち、(A−1)ポリオレフィン樹脂100〜40質量%及び(A−2)スチレン系エラストマー0〜60質量%を含有する樹脂成分(A)をさらに溶融混合させてもよい。樹脂成分(A)をさらに溶融混合させた場合には、(B)、(C)、(D1)、(D2a)、(D2b)中の樹脂成分だけでなく、樹脂成分(A)にもシラングラフトされる。
キャリア樹脂成分(D1)、(D2a)、(D2b)中の樹脂成分が、他の樹脂成分よりも高い溶融温度のものを含むことが好ましい。これにより、シラングラフトの終了を早めることができ、シラン架橋が進行した後に酸化防止剤を分散させることができる。このため、架橋阻害が低減されるとともに、酸化防止剤の消耗を最小限に抑えることができる。したがって、外観及び耐熱性に優れたシラン架橋樹脂成形体を得ることができる。
さらにまた、キャリア樹脂(C)中の樹脂成分の溶融温度が、他の樹脂成分よりも高い溶融温度のものを含むことが好ましい。これにより、シラングラフトが十分進行した後に、架橋が開始される。このため、副反応が生じにくい。その結果、優れた外観を有するシラン架橋樹脂成形体を得ることができる。
本発明の方法により、シラングラフトと架橋を円滑に進行させることができ、ゲル分率が25〜95%程度の架橋成形体を効率よく製造することができる。
以下、本発明のシラン架橋樹脂成形体の製造方法に用いる各成分について説明する。本発明において、シラン架橋樹脂成形体を得るために必要な各成分(有機不飽和シラン化合物、有機パーオキサイド、シラノール縮合触媒又は酸化防止剤)を混合した樹脂をキャリア樹脂という。
(キャリア樹脂)
本発明のシラン架橋樹脂成形体の製造方法において、(D1)、(D2a)、(D2b)成分に用いられるキャリア樹脂としては、以下のポリオレフィン樹脂、及び必要に応じてスチレン系エラストマーが挙げられる。樹脂成分(A)も(D1)、(D2a)、(D2b)成分に用いられるキャリア樹脂と同様のものを使用することができる。
本発明に用いられるポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン樹脂や、エチレン−α−オレフィン共重合体のほか、エチレン−α−オレフィン共重合体以外のエチレン系共重合体などが挙げられる。
ポリプロピレン樹脂としては、プロピレンの単独重合体(ホモポリプロピレン)、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、プロピレンと他の少量のα−オレフィン(例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等)との共重合体、構成成分としてアタクチックのプロピレンを含むポリプロピレン、プロピレンとエチレン系共重合体ゴムとのブロック共重合体等が挙げられる。本明細書においては、ポリプロピレン樹脂としては、プロピレンの単独重合体のほかに、構成成分として、プロピレン成分とエチレン成分を有する共重合体のうち、プロピレン成分が85質量%以上のものをいう。
エチレン−α−オレフィン共重合体としては、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン、LDPE(低密度ポリエチレン)、VLDPE(超低密度ポリエチレン)、シングルサイト触媒存在下に合成されたエチレン−α−オレフィン共重合体などのほか、EPR(エチレン−プロピレン共重合体ゴム)、EPDM(エチレン−プロピレン三元共重合体ゴム)、EBR(エチレン−1−ブテン共重合体ゴム)、などの構成成分としてエチレン成分を20〜60%含むエチレン系共重合体ゴムを挙げることができる。エチレン−α−オレフィン共重合体は、例えば、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸などにより、変性されていてもよい。
エチレン−α−オレフィン共重合体以外のエチレン系共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリレートアルキル共重合体などが挙げられる。
本発明におけるポリオレフィン樹脂としては、LLDPE、LDPE、HDPE、VLDPE、シングルサイト触媒存在下に合成されたエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましく、その中でも特に、シングルサイト触媒存在下に合成されたエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。シングルサイト触媒の存在下に合成されたエチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えばDow Chemical社から、「AFFINITY」「ENGAGE」(商品名)が、日本ポリエチレン社から「カーネル」、三井化学社から「タフマー」が、またプライムポリマー社からは「エボリュー」が上市されている。
キャリア樹脂成分中のポリオレフィン樹脂の量は、100〜40質量%、好ましくは100〜60質量%、さらに好ましくは100〜70質量%である。ポリオレフィン樹脂の量が少なすぎると、架橋が進行せず耐熱性が向上しない。
本発明におけるスチレン系エラストマーとしては、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのブロック及びランダム構造を主体とする共重合体もしくはその水素添加物である。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどがあり、1種又は2種以上が選ばれ、中でもスチレンが好ましい。
また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどがあり、1種又は2種以上が選ばれ、中でもブタジエンが好ましい。
本発明におけるスチレン系エラストマーとしては、SEBS(スチレン・ブタジエンブロックコポリマー)、SIS(スチレン・イソプレンブロックコポリマー)、SEBS(水素化SBS)、SEEPS、SEPS(水素化SIS)、HSBR(水素化スチレン・ブタジエンゴム)等を挙げることができる。この中でも、SEBS(スチレン・ブタジエンブロックコポリマー)、HSBR(水素化スチレン・ブタジエンゴム)等が好ましい。
スチレン系エラストマーの量は0〜60質量%、好ましくは0〜40質量%、さらに好ましくは、0〜30質量%である。スチレン系エラストマーの量が多すぎると架橋が進行せず耐熱性が低下する。
上述の樹脂成分の他に、強度付与、難燃性付与、柔軟性付与等のため、各種のゴム、例えば、アクリルゴムや、ゴム用軟化剤を上述の樹脂成分の一部として使用しても良い。
一般に、ゴム用軟化剤として用いられる鉱物油軟化剤は、芳香族環、ナフテン環及びパラフィン鎖の三者の組み合わさった混合物である。パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものをパラフィン系とよび、ナフテン環炭素数が30〜40%のものはナフテン系、芳香族炭素数が30%以上のものは芳香族系と呼ばれて区別されている。
本発明のゴム用軟化剤としては、液状もしくは低分子量の合成軟化剤又はパラフィン系及びナフテン系の鉱物油を用いることができる。
また、その他の樹脂として、ポリウレタン、ポリエステル、ナイロン樹脂や、これらのエラストマーのほか、シリコーン樹脂や種々のゴム系樹脂等を本発明の耐熱性を損なわない範囲で加えても良い。この中でも、本発明において用いられるキャリア樹脂としては、上記のポリオレフィン樹脂、及び必要に応じてスチレン系エラストマーを含有する樹脂成分が好ましい。なお、キャリア樹脂は1種類の樹脂でも良いし、2種類以上の樹脂を混ぜ合わせても良い。
本発明において用いられる(A−1)ポリオレフィン樹脂として、上述のポリオレフィン樹脂と同様のものを挙げることができる。また、本発明において用いられる(A−2)スチレン系エラストマーとして、上述のスチレン系エラストマーと同様のものを挙げることができる。樹脂成分(A)は、特には限定しないが全樹脂成分中、0〜95質量%、好ましくは、0〜90質量%、特に好ましくは、0〜85質量%である。
(B)成分
本発明における有機不飽和シラン化合物は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2012144613
一般式(1)において、Rは不飽和炭化水素基、Rは脂肪族炭化水素基、水素原子又はYである。Y、Y及びYは加水分解する有機基である。Y、Y及びYは互いに同じでも異なっていてもよい。
本発明におけるキャリア樹脂成分(B)の混合物中の有機不飽和シラン化合物は、有機パーオキサイドの働きにより各成分中の樹脂成分とグラフト化する。
上記一般式(1)で表される有機不飽和シラン化合物のRaは不飽和炭化水素基であり、例えば、ビニル基、メタクリロキシ基、イソシアネート基などを挙げることができる。本発明におけるRaとしては、ビニル基が好ましい。
は脂肪族炭化水素基、水素原子又は後述のYである。脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を挙げることができる。本発明におけるRbとしては、後述のYであることが好ましい。
、Y及びYは加水分解する有機基である。Y、Y及びYは互いに同じでも異なっていてもよい。これらの基としてはアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、アセチル等を挙げることができる。この中でも反応性の点からメトキシが好ましい。
好ましい有機不飽和シラン化合物としては、加水分解速度の速い有機不飽和シラン化合物が好ましい。特に、RbがYであり、かつY、Y及びYが互いに同じである有機不飽和シラン化合物であることが好ましい。
具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルジメトキシエトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルジエトキシブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
この有機不飽和シラン化合物は全樹脂成分の合計100質量部に対して0.2質量部〜4.0質量部含有することが好ましい。この量が少なすぎると、有機不飽和シラン化合物のグラフト化が十分に進まず、得られる樹脂組成物や成形体の耐熱性、架橋度が低下する。さらに、シラングラフト部分での架橋が進まず、通常のポリマー主鎖での架橋が生じ、得られた樹脂組成物や成形体の外観が著しく損なわれる。また、有機不飽和シラン化合物の量が多すぎると、有機不飽和シラン化合物同士の重合が進み、ゲル化物が多く生成する。その結果、得られた樹脂組成物や成形体の外観が損なわれる。
なお、有機不飽和シラン化合物を含有するキャリア樹脂としては、上記の樹脂を1種類又は2種類以上用いても良い。2種類以上のキャリア樹脂を用いる場合、ある樹脂に有機不飽和シラン化合物を加え、そのほかの樹脂を混合するなどの方法で混合させても良いし、2種類以上の樹脂を予め混合した後に有機不飽和シラン化合物を加えても良い。
(B)成分は、有機不飽和シラン化合物をキャリア樹脂成分(B)に含浸させることにより、製造することができる。成分(B)中の樹脂成分は、特には限定しないが全樹脂成分中、98〜3質量%、好ましくは、90〜5質量%、特に好ましくは、85〜10質量%である。
(C)成分
本発明で用いられる有機パーオキサイドとしては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert‐ブチルクミルパーオキサイドなどを挙げることができる。これらのうち、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3が最も好ましい。
この量は全樹脂成分の合計100質量部中、0.03質量部〜0.8質量部であることが好ましい。この含有量が少なすぎると、有機不飽和シラン化合物のグラフト反応が進まないことから、得られる樹脂組成物や成形体の耐熱性が著しく低下する。また、含有量が多すぎると、ポリマー同士の架橋が進み、得られる樹脂組成物や成形体の外観が著しく損なわれる。
なお、有機パーオキサイドを含有するキャリア樹脂としては、上記の樹脂を1種類又は2種類以上用いても良い。2種類以上のキャリア樹脂を用いる場合、ある樹脂に有機パーオキサイドを加え、そのほかの樹脂を混合するなどの方法で混合させても良いし、2種類以上の樹脂を予め混合した後に有機パーオキサイドを加えても良い。
(C)成分は、有機パーオキサイドをキャリア樹脂成分(C)に混合することにより、製造することができる。また、溶剤を使用し溶解させた後に含浸させてもよい。また、有機パーオキサイドが分解しない温度で通常用いられる混練装置で混練して得ることもできる。
さらに、(C)成分のキャリア樹脂としては、(A)成分を含有する場合、(A)成分及び(B)成分の樹脂成分の溶融温度より高い溶融温度を有するキャリア樹脂を用いることが好ましい。(A)成分を含有しない場合、(B)成分の樹脂成分の溶融温度より高い溶融温度を有するキャリア樹脂を使用することが好ましい。(C)成分に(B)成分もしくは(A)及び(B)成分の溶融温度以上の樹脂を使用することにより、(A)成分や(B)成分が十分溶融する。したがって、有機不飽和シラン化合物が分散した後に、(C)成分が溶融しつつ有機パーオキサイドが反応を開始する。したがって、有機不飽和シラン化合物が効率よくベース樹脂成分(A)にグラフト化される。その結果、外観が良好な樹脂組成物を得ることができる。成分(C)中の樹脂成分は、特には限定しないが、全樹脂成分中、1〜80質量%、好ましくは、1〜75質量%、特に好ましくは、2〜50質量%である。
(D1)、(D2a)、(D2b)成分
本発明のシラン架橋樹脂成形体の製造方法において、(D1)成分は、(D−11)シラノール縮合触媒及び(D−12)酸化防止剤を含有するキャリア樹脂成分の混合物である。また、(D2a)成分は、シラノール縮合触媒を含有するキャリア樹脂成分の混合物であり、(D2b)成分は、酸化防止剤を含有するキャリア樹脂成分の混合物である。
シラノール縮合触媒(D−11)と、シラノール縮合触媒(D−21)は同様のものを使用することができる。
(D−11)、(D−21)シラノール縮合触媒
本発明におけるシラノール縮合触媒としては、有機スズ化合物、金属石けん、白金化合物等が用いられる。一般的なシラノール縮合触媒としては、具体的に、ジブチルスズジラウリレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチルスズジアセテート、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ナフテン酸鉛、硫酸鉛、硫酸亜鉛、有機白金化合物などが用いられる。
本発明におけるシラノール縮合触媒は、グラフト化された有機不飽和シラン化合物を縮合反応により水分の存在下で結合させる働きがある。このシラノール縮合触媒の働きに基づき、有機不飽和シラン化合物を介してポリマー同士が架橋される。その結果、耐熱性に優れた樹脂組成物、成形体を得ることができる。
シラノール縮合触媒の量は全樹脂成分の合計100質量部に対し0.005質量部〜0.2質量部が好ましい。含有量が少なすぎると、十分な架橋反応が進まず得られる樹脂組成物及び成形体の耐熱性が得られない。また、含有量が多すぎると、架橋反応が速く進んだり、部分的に反応が進むため、得られる樹脂組成物及び成形体の外観が著しく低下する。
(D−12)、(D−22)酸化防止剤
酸化防止剤(D−12)と、酸化防止剤(D−22)は同様のものを使用することができる。
本発明における酸化防止剤としては、4,4’−ジオクチル・ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物などのアミン系酸化防止剤、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等、2‘、3―ビス((3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル))プロピオノヒドライド等のフェノール系酸化防止剤、ビス(2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル)スルフィド、2−メルカプトベンゾイミダゾール及びその亜鉛塩、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリル−チオプロピオネート)などのイオウ系酸化防止剤などがあげられる。この中でも、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2‘、3−ビス((3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル))プロピオノヒドライドなどのフェノール系酸化防止剤が好ましい。
熱老化特性の点から、全樹脂成分の合計100質量部中酸化防止剤の含有量は0.3〜7質量部であることが好ましい。さらに好ましくは0.4〜5質量部であり、特に好ましいのは0.5〜3質量部である。
なお、シラノール縮合触媒及び酸化防止剤を含有するキャリア樹脂としては、上記の樹脂を1種類又は2種類以上用いても良い。2種類以上のキャリア樹脂を用いる場合、ある樹脂にシラノール縮合触媒(D−11)及び酸化防止剤(D−12)を加え、そのほかの樹脂を混合するなどの方法で混合させても良いし、2種類以上の樹脂を予め混合した後にシラノール縮合触媒(D−11)及び酸化防止剤(D−12)を加えても良い。
(D2a)のキャリア樹脂を含む混合物と、(D2b)のキャリア樹脂を含む混合物を用いる場合も、同様の方法で混合させることができる。
さらに、(D1)、(D2a)、(D2b)成分のキャリア樹脂としては、他のいずれの樹脂成分の溶融温度より高い溶融温度を有するキャリア樹脂を使用することが好ましい。(D1)、(D2a)、(D2b)成分にいずれの樹脂成分の溶融温度より高い溶融温度を有するキャリア樹脂を使用することにより、各成分の樹脂に十分に有機不飽和シラン化合物がグラフト化することができる。グラフト化が十分進行した後、(D1)、(D2a)、(D2b)成分の樹脂成分が溶融し、シラノール縮合触媒が働き始める。したがって、不完全な架橋反応や、グラフト化されないシラン縮合物の生成を抑えることができる。その結果、良好な耐熱性と外観とを有するシラン架橋難燃性樹脂成形体が得られる。
シラノール縮合触媒及び酸化防止剤を含有するキャリア樹脂は、通常用いる混練装置を用いてキャリア樹脂成分に混合することにより、製造することができる。
(D1)、(D2a)、(D2b)成分中の樹脂成分は、特には限定しないが全樹脂成分中、1〜80質量%、好ましくは、1〜75質量%、特に好ましくは、1〜50質量%である。
本発明において、上記各成分のほかに、金属不活性剤、耐候剤、難燃(助)剤、充填剤、滑剤やその他の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合することができる。これらの添加剤を加える手順は特に限定されないが、(D1)、(D2a)、(D2b)成分に加える、もしくは(D1)、(D2a)、(D2b)成分を成型機に加える前又は加えつつ混合して加えるのが好ましい。
金属不活性剤としては、N,N’−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、2,2’−オキサミドビス−(エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)などがあげられる。
耐候剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ヒンダートアミン光安定化剤などが挙げられる。
難燃(助)剤、充填剤としては、カーボン、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、石英、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ホワイトカーボンなどがあげられる。
滑剤としては、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系、金属石けん系、シリコーン系などがあげられ、なかでも、炭化水素系やシリコーン系が好ましい。
本発明のシラン架橋樹脂成形体は、特に限定されないが、例えば、以下の方法で製造することができる。
(B)、(C)、(D1)、(D2a)、(D2b)成分の混合物と、必要に応じて加えられる(A)成分とを、例えばブレンダーでブレンドし、一軸混練押出機、二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど通常用いられる混練装置で溶融混練することにより、樹脂組成物を得ることができる。溶融混練は、上記の(A)及び(B)成分の樹脂の溶融温度以上で行う。さらに(A)〜(C)成分の樹脂よりも高い溶融温度以上で混練することが好ましい。こうして得られた樹脂組成物を、常温で放置、もしくは、温水、水中或いは湿熱下で放置することにより、水分と接触させて架橋反応を進行させて、シラン架橋樹脂成形体を得ることができる。
(B)、(C)、(D1)、(D2a)、(D2b)成分の混合物、及び必要に応じて加えられる(A)成分は以下の方法で製造することができる。
(A)成分は、一軸混練押出機、二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど通常用いられる混練装置を用いてそれぞれの成分を溶融混練することにより製造することができる。混練温度は150℃〜240℃が好ましい。(A)成分は、1種類の材料をそのまま使用しても良いし、2種以上の材料をブレンダー等で混合したものを使用しても良い。
(B)成分の混合物は、キャリア樹脂に有機不飽和シラン化合物を含浸させて得ることができる。含浸の方法は特に限定されるものではないが、加温ができるミキサーであることが好ましく、例えばスーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。含浸温度は特には限定されないが、キャリア樹脂の融点より10〜40℃程度低い温度で含浸させることが好ましい。
(C)成分の混合物の製造方法としては、キャリア樹脂に有機パーオキサイドを含浸させて得ることができる。また、溶剤を使用し有機パーオキサイドを溶解させた後に含浸させても良い。含浸の方法は特に限定されるものではないが、加温ができるミキサーであることが好ましく、例えばスーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。含浸温度は特には限定されないが、キャリア樹脂の融点より10〜60℃程度低い温度で、かつ有機パーオキサイドが分解しない温度で含浸させることが好ましい。
(D)成分の混合物の製造方法としては、一軸混練押出機、二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど通常用いられる混練装置を用いてそれぞれの成分を溶融混練すればよい。混練温度は150℃〜240℃が好ましい。
上記(A)、(B)、(C)、(D1)、(D2a)、(D2b)成分の他にさらに成分を加える際は、予め一軸混練押出機、二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど通常用いられる混練装置を用いて溶融混練して得たものを併せてブレンダーでブレンドすることが好ましい。
なお、(A)、(B)、(C)、(D1)、(D2a)、(D2b)成分の保管の際には、(D1)、(D2a)、(D2b)成分を他の成分とは別に保管することが好ましい。また、(B)成分は有機不飽和シラン化合物の揮発を抑えるため、密封して保管することがよい。
次に本発明の製造方法により得られるシラン架橋樹脂成形体として、種々の成形物品を挙げることができる。例えば、本発明の製造方法により、絶縁電線、ケーブル、光コードなどを得ることができる。
絶縁電線やケーブルは、通常の押出成形機を用いて導体、光ファイバ、集合絶縁電線やその他成形体の周囲に上記の方法で押出被覆し、シラン架橋することにより製造することができる。
絶縁電線の肉厚には、特に制限はないが、好ましくは、0.15〜3mmのものを得ることができる。被覆層は多層構造であってもよい。
また、本発明の製造方法により、導体に押出被覆して被覆層を形成して、その後常温で放置するか、温水や水、湿熱下に放置することにより、耐熱性のシラン架橋被覆層を有する配線材を得ることができる。さらに耐熱性を向上させるために押出後の被覆層をさらに他の方法で架橋させることもできる。
さらに架橋を行う場合の方法として、常法による電子線照射架橋法が採用できる。
電子線架橋法の場合は、樹脂組成物を押出成形して被覆層とした後に常法により電子線を照射することにより架橋をおこなう。電子線の線量は1〜30Mradが適当であり、効率よく架橋をおこなうために、被覆層を構成する樹脂組成物に、トリメチロールプロパントリアクリレートなどのメタクリレート系化合物、トリアリルシアヌレートなどのアリル系化合物、マレイミド系化合物、ジビニル系化合物などの多官能性化合物を架橋助剤として含有してもよい。
本発明の成形物品としては、その大きさや形状については特に制限されるものではなく、例えば、上記の絶縁電線、ケーブル、光コードなどのほか、電源プラグ、コネクタ、スリーブ、ボックス、テープ基材、チューブ、シート等の各種成形体を製造することができる。本発明の製造方法により、従来の射出成形等の成形方法により、架橋されたものを得ることができる。また、シートやチューブ等についても電線被覆と同様な方式で製造することができ、必要であれば、配線材と同様、さらに架橋を行うこともできる。
(実施例)
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1〜13]
表1に実施例1〜13の樹脂組成物の各成分の含有量(表中の数値は質量部である)を示す。
(A)成分については、実施例3はブレンダーでドライブレンド、実施例5はバンバリーミキサー(BM)で混合し、その他の実施例は樹脂ペレットをそのまま用いることにより材料を得た。
また、(B)成分については、キャリア樹脂に有機不飽和シラン化合物を含浸させることにより、(B)成分を得た。
(C)成分については、表に示す方法で有機パーオキサイドをキャリア樹脂に含浸させることにより、(C)成分を得た。
(C)、(D1)、(D2a)、(D2b)成分については、バンバリーミキサーを用いて溶融混練して得た。
成分(A)、(B)、(C)、(D1)、(D2a)、(D2b)を表2に示す配合比で配合し、ブレンダーでブレンドして樹脂混合物を得た。
実施例11及び12については、上記の方法により得られた成分を8か月間アルミ袋にて別々に常温で保管したものを用いた。
次に、電線製造用の押出被覆装置を用いて、導体(導体径0.8mmφの錫メッキ軟銅単線)上に、上記の樹脂混合物を押し出し法により被覆して、各々絶縁電線を製造した。外径は2.4mm(被覆層の肉厚0.8mm)とし成形を行った。
押出温度はシリンダー温度が180℃、ヘッド温度を190℃に設定し、押出を行った。得られた電線は、60℃90%の湿熱恒温槽に24時間放置してから用いた。
[比較例1〜5]
表2に示す(A)、(E)及び(F)成分を以下の方法で作製した。表2の(A)成分については、樹脂ペレットをそのまま用いた。(E)成分については、バンバリーミキサーを用いて溶融混練して得た。(F)成分については、バンバリーミキサーを用いて溶融混練して得た。
次に樹脂成分(A)、(E)及び(F)成分を表2の如く配合し、ブレンダーでブレンドし樹脂組成物を得た。
比較例1及び比較例3については、上記の方法により得られた(A)、(E)及び(F)成分を8か月間アルミ袋にて別々に常温で保管したものを用いた。
次に、電線製造用の押出被覆装置を用いて、導体(導体径0.8mmφの錫メッキ軟銅単線)上に、上記の樹脂組成物樹脂組成物を押し出し法により被覆して、各々絶縁電線を製造した。外径は2.4mm(被覆層の肉厚0.8mm)とし成形を行った。
押出温度はシリンダー温度が180℃、ヘッド温度を190℃に設定し、押出を行った。得られた電線は、60℃90%の湿熱恒温槽に24時間放置してから用いた。
表1及び表2に示す各成分材料は以下の通りである。
(ベース樹脂もしくはキャリア樹脂)
・ポリエチレン
商品名:エンゲージ7256、製造元:ダウケミカル、溶融温度:75℃
商品名:エンゲージ8842、製造元:ダウケミカル、溶融温度:56℃
商品名:カーネルKF360、製造元:ダウケミカル、溶融温度:91℃
・直鎖型低密度ポリエチレン
商品名:UE320、製造元:日本ポリエチレン、溶融温度:121℃
・エチレン−アクリル酸エチル共重合体
商品名:NUC6510、製造元:ダウケミカル、溶融温度:94℃
・ ブロックポリプロピレン
商品名:BC8A、製造元:日本ポリプロピレン、溶融温度:155℃
(有機不飽和シラン化合物)
・ビニルトリメトキシシラン
商品名:SZ6300、製造元:東レダウコーニングシリコーン
(有機パーオキサイド)
商品名:パーヘキサ25B、製造元:日本油脂
(シラノール縮合触媒)
・ジオクチルスズラウリレート
商品名:TN−12、製造元:堺化学工業
(酸化防止剤)
・フェノール系酸化防止剤
商品名:イルガノックス1010、製造元:BASFジャパン
商品名:イルガノックスMD1024、製造元:BASFジャパン
得られた各々の絶縁電線に対して、以下の評価を行い、得られた結果を表1及び表2に示した。
(1)加熱変形
UL1581の方法に従い、加熱変形を測定した。測定温度は160℃で測定し、荷重は3Nとした。50%以下が合格である。
(2)外観
電線の外観を目視で確認を行った。外観が問題ないサンプルを○、ブツがややあるが製品上問題がないサンプルを△、ブツが多くて外観が悪いものを×とした。△以上が合格である。
Figure 2012144613
Figure 2012144613
表1及び2の結果から、比較例1〜5は、いずれも加熱変形及び外観に劣る結果となった。これは、有機不飽和シラン化合物と有機パーオキサイドとを同じキャリア樹脂成分に加えて混合させているため、有機不飽和シラン化合物同士の反応や有機パーオキサイドによる樹脂成分同士の反応が起こったためと考えられる。
これに対して、本発明の実施例1〜13は、加熱変形がなく外観が優れていることが明らかとなった。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表される有機不飽和シラン化合物を含有するキャリア樹脂成分(B)の混合物と、
    有機パーオキサイドを含有するキャリア樹脂成分(C)の混合物と、
    (D−11)シラノール縮合触媒及び(D−12)酸化防止剤を含有するキャリア樹脂成分(D1)の混合物とを、
    前記キャリア樹脂成分(B)の溶融温度以上で溶融混合して反応させ、次いで水分と接触させて架橋させることを特徴とするシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
    Figure 2012144613
    (式中、Rは不飽和炭化水素基、Rは脂肪族炭化水素基もしくは水素原子あるいはYである。Y、Y及びYは加水分解する有機基である。Y、Y及びYは互いに同じでも異なっていてもよい。)
  2. 下記一般式(1)で表される有機不飽和シラン化合物を含有するキャリア樹脂成分(B)の混合物と、
    有機パーオキサイドを含有するキャリア樹脂成分(C)の混合物と、
    (D−21)シラノール縮合触媒を含有するキャリア樹脂成分(D2a)の混合物と、
    (D−22)酸化防止剤を含有するキャリア樹脂成分(D2b)の混合物とを、
    前記キャリア樹脂成分(B)の溶融温度以上で溶融混合して反応させ、次いで水分と接触させて架橋させることを特徴とするシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
    Figure 2012144613
    (式中、Rは不飽和炭化水素基、Rは脂肪族炭化水素基もしくは水素原子あるいはYである。Y、Y及びYは加水分解する有機基である。Y、Y及びYは互いに同じでも異なっていてもよい。)
  3. (A−1)ポリオレフィン樹脂100〜40質量%及び(A−2)スチレン系エラストマー0〜60質量%を含有する樹脂成分(A)をさらに溶融混合させることを特徴とする請求項1又は2に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
  4. 前記有機不飽和シラン化合物が、全樹脂成分の合計100質量部に対して、0.2〜4.0質量部含有されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
  5. 前記有機パーオキサイドが、全樹脂成分の合計100質量部に対して、0.03〜0.8質量部含有されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
  6. 前記キャリア樹脂(D)中の樹脂成分が、他の樹脂成分よりも高い溶融温度のものを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
  7. 前記キャリア樹脂(C)中の樹脂成分の溶融温度が、他の樹脂成分よりも高い溶融温度のものを含むことを特徴とする請求項6に記載のシラン架橋樹脂成形体の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法により得られることを特徴とするシラン架橋樹脂成形体。
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