JP2826764B2 - 蓄熱材 - Google Patents

蓄熱材

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は蓄熱材に関し、更に詳しくはパラフィン類を
主成分として用いた蓄熱材に関する。
〔従来の技術〕
従来蓄熱材はその原理から物質の顕熱を利用するも
の、物質の相変化潜熱を利用するもの、物質の化学反応
熱を利用するもの等がある。現在実用的な面より物質の
相変化潜熱を利用する蓄熱材が注目を集めており、蓄熱
式空調機器、蓄熱式建材、各種保温器具や装置等に利用
されつつある。
この相変化潜熱を利用する蓄熱材の一つとしてパラフ
ィン等の有機物質を用いた所謂有機蓄熱材があり、この
有機蓄熱材は長期寿命に優れているので最近特に注目さ
れている。
元来、潜熱型蓄熱材は無機系、有機系を含め固体から
液体への相変化時に蓄熱し、液体から固体への相変化時
に放熱する。このためこれ等潜熱型蓄熱材を利用するた
めには液化時に流動して漏れないような形態を保つよう
に配慮が要求さる。このための密閉容器や袋に収納する
方法では、充分なる強度を有する容器等を使用すればコ
ストが高く実用的ではなく、また簡易的なものにすれば
容易に破損して液が漏れたり溢れたりする恐れがあり長
期間使用する点では問題が生じる。
従って容器に収納する手段に代わって(イ)多孔質物
質内に収納する、(ロ)マイクロカプセル化する等の方
法が提案され、またこれ等を組合わせた方法が使用され
つつある。更にはまた(ハ)ポリオレフィン、通常は架
橋ポリオレフィンに収納させてカプセル中に閉じ込める
方法も提案されている。
しかしながら上記各方法によってもパラフィン等の滲
み出しが完全には防止出来ずに大きな問題となってお
り、その他製造上の工程が複雑でコスト高となる問題が
生じる。またその他の従来方法として結晶性ポリエチレ
ン等の結晶状ポリオレフィンに練り込む方法も知られて
いるが、その成形品は高温でパラフィン等が相分離して
滲み出す問題、あるいは機械的強度が低くて自重で容易
に変形する問題等がある。たとえば深夜電力を利用する
蓄熱式床暖房にこの種の蓄熱材を適用しようとする場
合、機械的強度が低いと限られた空間内に能率良くしか
も所望の形状あるいは配置状態に設置することが困難で
あり、また蓄熱のための外部からのエネルギー供給、蓄
熱後の高温度における初期形状の維持等にも困難が生じ
て正常な長期運転が不可となり易い。また蓄熱材を建材
として使用する場合にも充分な機械的強度が要求され
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明が解決しようとする課題は、パラフィン練り込
みタイプの従来有機蓄熱材の上記難点を解消することで
あり、更に詳しくは用いたパラフィン類の相分離やブリ
ードが生じ難く、しかも機械的強度が改善された蓄熱材
を開発することである。
〔課題を解決するための手段〕
この課題は、蓄熱成分としてのパラフィン類と該パラ
フィン類100重量部あたり5〜30重量部のバインダー成
分としての炭化水素系有機高分子、及び補強材とからな
ることを特徴とする蓄熱材、就中該炭化水素系有機高分
子が、(a)熱可塑性エラストマー、(b)炭化水素ゴ
ム1〜20重量部と結晶性ポリオレフィン1〜20重量部の
混合物、(c)炭化水素ゴムと該ゴムの架橋剤からなる
架橋(但しシラン系化合物による架橋を除く)される組
成物、(d)炭化水素系ポリマー、加水分解しうるシラ
ン系化合物及び有機過酸化物を主成分としてなる水架橋
性組成物からなる(a)〜(d)の群から選ばれた少な
くとも1種類である。但し、上記(c)及び(d)の場
合にはこれ等バインダ成分は、パラフィン類と予め混合
された組成物とされ、この組成物が架橋されるものであ
る。
上記した炭化水素系有機高分子バインダ成分はパラフ
ィンをうまく包み込んだ状態で担持するのでパラフィン
類の相分離やブリードを生じ難く、後述するTmax以下の
温度では柔軟で取扱いが容易であり、また、Tmax以上の
高温度において形状保持能があってしかも成形加工性に
優れ、且つ補強材により補強されているので蓄熱前もみ
ならず蓄熱後の高温度においても充分な機械的強度を保
持する。
〔発明の作用並びに構成〕
本発明に於いて使用されるパラフィン類としては、JI
S K 7121(プラスチックの転移温度測定方法)に従って
測定したTmaxが使用温度、即ち室温以上使用する有機高
分子性バインダ成分の変形温度未満の温度域にある有機
化合物が使用される。たとえば室温〜100℃、好ましく
は室温〜80℃前後の温度域のものである。但しこの際の
室温とは本発明の蓄熱材がその稼働中に遭遇する最低温
度を意味する。
パラフィン類の好ましい具体例としては、各種パラフ
ィン、ロウ、ワックスをはじめ、ステアリン酸、パルミ
チン酸等の脂肪酸やポリエチレングリコール等のアルコ
ール類を例示することが出来、これ等1種が単独で、ま
たは2種以上の混合物として使用される。
上記した使用温度において、パラフィン類のあるもの
は唯1つの結晶転移温度を有し(この場合はその温度が
Tmaxとなる。)、またあるものは2以上の多数の結晶転
移温度を有する。2種以上のパラフィン類の混合物も2
以上の多数の結晶転移温度を有する場合が多い。それら
の場合においては、最高の結晶転移温度がTmaxに該当す
る。本発明で使用するパラフィン類は、必ずしも明確な
融点(全体が固体から液体に相変化する温度)を示すも
のに限定しないが、多くのパラフィン類については、一
般にTmaxが融点に該当する。使用温度において、2以上
の多数の結晶転移温度を有するパラフィン類の場合、そ
れら全ての結晶転移温度を蓄熱に利用することが出来
る。
本発明において用いられる炭化水素系有機高分子バイ
ンダ成分としては、主鎖が基本的に炭化水素であり、主
鎖中における他の成分(例えばO、N、Si、ハロゲン
等)の含有量は10重量%以下、好ましくは5重量%以下
である炭化水素系有機高分子の1種または2種以上が用
いられる。就中好ましくは以下に示すものである。
(a) 熱可塑性エラストマー類:ゴム並びにプラスチ
ックスの分野で「熱可塑性エラストマー」として知られ
ているものが例示できる。特に、少なくとも前記した意
味での室温以上で且つ使用したパラフィン類のTmax+10
℃の温度域では、好ましくは少なくとも室温以上で且つ
Tmax+20℃の温度域では、ゴム弾性を有するものが使用
される。勿論、Tmax+20℃より高温度でもゴム弾性を持
続するものも好ましい。具体的にはスチレン系、オレフ
ィン系、ウレタン系、エステル系等の各種の従来公知の
熱可塑性エラストマーのなかから上記条件に適合したも
のが適宜に選択して使用される。
好ましい具体例としては、スチレン系ブロック共重合
体エラストマー及びオレフィン系エラストマーである。
この際のスチレン系ブロック共重合体エラストマーとし
ては、たとえばA−B−A(但しAはポリスチレン、B
はポリブタジエン、ポリイソプレン、またはこれ等に水
素を付加したエチレン・ブチレン等を示す)を例示出来
る。またオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、
たとえばエチレン−プロピレン共重合体やエチレン−プ
ロピレン−ジエン三元共重合体にポリエチレンまたはポ
リプロピレンが混合された混合物、エチレン−プロピレ
0共重合体やエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合
体にエチレンまたはプロピレンがグラフト重合されたも
の等を例示することが出来る。かかる熱可塑性エラスト
マー類は、Tmax以下の温度ではゴム弾性を有するが故
に、パラフィン類をうまく包み込むことが出来る。更に
上記エラストマーは、Tmaxより高温度においてもゴム弾
性を持続するために、そのような高温度においても溶融
したり滴下することもなく、またパラフィン類の相分離
もなくブリードを生じることもない蓄熱材のを得ること
が出来る。
(b) 炭化水素ゴムと結晶性ポリオレフィンとの混合
物:特に結晶性ポリオレフィン100重量部に対して炭化
水素ゴム5〜2000重量部、特に20〜500重量部から成る
組成物である。
結晶性ポリオレフィンとしては、その成分としてポリ
メチレン、ポリエチレン、ポリスチレンなどのホモポリ
マー、メチレンを主体としてエチレン、プロピレン等が
共重合したもの、エチレンを主体としてメチレン、プロ
ピレン、ブテン等が共重合したもの、プロピレンを主体
として他のオレフィンが共重合したものなどオレフィン
同志のコポリマー、エチレン、プロピレン、ブテンなど
のオレフィンと他のモノマー、たとえば酢酸ビニル、ア
クリル酸、メタクリル酸等とのコポリマー等であるが、
就中JIS K 7121(プラスチックの転移温度測定方法)に
よって測定される最高結晶転移温度(通常は融点に該当
する。)が使用したパラフィン類のTmaxより少なくとも
10℃高いもの、好ましくはTmaxより少なくとも20℃高い
ものが使用される。特にこれ等結晶性ポリオレフィンの
転移温度は、蓄熱材を床暖房装置等の熱源を設けてなる
蓄熱装置や器具等に温調装置を取付けて使用する場合に
は、用いるパラフィン類のTmaxよりも充分に高いことが
好ましい。たとえばパラフイン類のTmaxが46℃の場合に
は、結晶性ポリオレフィンの当該転移温度は60℃以上、
好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上であ
る。
炭化水素ゴムとしては天然ゴム、SBR、BR、IR、IIR、
EPM、EPDM、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体ゴム等
が例示される。これ等各炭化水素ゴムは、それ自体は夫
々良く知られたものであり、夫々のゴムとしては従来か
ら知られたものがいずれも使用される。この炭化水素ゴ
ムの使用により本例示組成物にゴム的特性が賦与され、
パラフィン類に対する相溶性が向上する。一方結晶性ポ
リオレフィンの使用により変形温度が高温度に保持され
る。
(c)炭化水素ゴムと炭化水素ゴムの架橋剤からなる架
橋(但しシラン系化合物による架橋を除く)される組成
物:該組成物は充分なゴム的特性を有し、また架橋する
ことにより変形温度が高温度に保持される。
ここで使用される炭化水素ゴムとしては、前記(c)
で記載したものと同種のものがあげられ、炭化水素ゴム
の架橋剤としては該ゴムを架橋させうるものであれば広
く使用出来る。天然ゴム、SBR、BR、IR、IIR、EPM、EPD
Mでは硫黄系加硫剤が好ましく、また天然ゴム、SBR、II
Rではp−キシレンジオキシム等のオキシム類も使用出
来る。また天然ゴム、EPM、EPDM、エチレン酢酸ビニル
共重合体ゴムではジクミルパーオキサイド等の有機過酸
化物架橋剤も用いることが出来る。架橋剤の使用量は、
炭化水素ゴム100重量部に対し0.5〜20重量部程度が好ま
しい。
またこの組成物には、必要に応じ硫黄系架橋剤を用い
る場合に加硫促進剤を使用することも出来る。この加硫
促進剤としては、たとえばジフェニルグアニジン等のグ
アニジン系促進剤、2−メルカプトベンゾチアゾール等
のチアゾール系促進剤、テトラメチルチウラムジスルフ
ィド等のチウラム系促進剤を例示出来、その他アルデヒ
ド−アミン系化合物、アルデヒド−アンモニア系化合
物、ジチオカルバメート系化合物等も使用することが出
来る。更には酸化亜鉛等の金属酸化物、トリエタノール
アミン等のアミン類も使用出来る。オキシム類を架橋剤
として使用した場合には、硫黄、上記加硫促進剤の他に
酸化鉛を助剤として使用することが好ましい。
有機過酸化物を架橋剤として用いた場合には、硫黄、
オキシム類、上記加硫促進剤の他にビニル−トリス(β
−メトキシエトキシ)シラン等のシラン系カップリング
剤、アクリルエステル系化合物等を架橋助剤として使用
することもできる。この架橋助剤の使用量は、適度の架
橋度を得るに適した量で適宜に使用されれば良く、通常
炭化水素ゴム100重量部に対し0〜30重量部程度であ
る。
(d) 炭化水素系ポリマー、加水分解しうるシラン系
化合物、及び有機過酸化物、を主成分として成る水架橋
性組成物:該組成物は水や湿気の存在下で架橋する性質
(水架橋性)を有し、水架橋した状態においてはゴム的
特性を示す。
ここで使用される炭化水素系ポリマーとしては天然ゴ
ム、SBR、BR、IR等の汎用ゴム類をはじめ、その他ポリ
メチレン、ポリエチレン、ポリスチレンンなどのホモポ
リマー、メチレンを主体としてエチレン、プロピレン等
が共重合したもの、エチレンを主体としてメチレン、プ
ロピレン、ブテン等が共重合したもの、プロピレンを主
体として他のオレフィンが共重合したもの、などのオレ
フィン同志のコポリマー、エチレン、プロピレン、ブテ
ンなどのオレフィンと他のモノマー、たとえば酢酸ビニ
ル、アクリル酸、メタクリル酸等とのコポリマー等が挙
げられる。
シラン系化合物としては、一般式RR′SiY2(但し、R
は1価のオレフィン性不飽和を含む炭化水素基又はハイ
ドロカーボンオキシ基、Yは加水分解しうる有機基、
R′は基Rまたは基Yを表す)で表される化合物が使用
され、更に具体例としてはこの種シラン化合物として既
知のもの、たとえばビニルトリメトキシシラン、ビニル
トリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランな
どがあげられる。シラン系化合物は、後記する有機過酸
化物の作用により炭化水素系ポリマーにグラフトされ、
且つ水により炭化水素系ポリマー間に架橋点を形成する
作用をなす。シラン系化合物は、炭化水素系ポリマー10
0重量部に対して一般に0.05〜10重量部、特に0.5〜5重
量部で使用される。
有機過酸化物としては、その分解温度以上、特に100
℃以上の温度に於いて前記炭化水素系ポリマーに遊離ラ
ジカルを発生させ得る化合物が使用され、具体例してた
とえばジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル2,5,−
ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3等があげら
れる。有機過酸化物は、前記炭化水素系ポリマー100重
量部に対して一般に0.005〜2重量部、特に0.05〜0.5重
量部で使用される。該有機過酸化物は、前記炭化水素系
ポリマーに遊離ラジカルを発生させ、前記シラン系化合
物を炭化水素系ポリマーにグラフトさせる作用をなす。
本組成物例においては、必要に応じシラン系化合物の
縮合触媒を使用することも出来る。この際の縮合触媒と
しては、通常シラノール縮合触媒として知られているも
のが使用され、たとえばジブチル錫ジラウレート、酢酸
第一錫、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛の如きカルボン
酸塩、チタン酸エステル、キレート化合物の如き有機金
属化合物等が挙げられる。この種縮合触媒の使用量は前
記炭化水素系ポリマー100重量部に対し、0.1重量部以下
程度であり、該縮合触媒は水による架橋反応を促進する
効果を有する。
本組成物は、パラフィン類と共に有機過酸化合物の分
解温度以上、通常140℃以上に設定された密閉混合機内
で少なくとも30秒以上充分に混合される。この工程で有
機過酸化物が炭化水素系ポリマーにラジカルを発生さ
せ、シラン系化合物が該炭化水素系ポリマーにグラフト
され、而して炭化水素系ポリマーが水架橋性となる。本
組成物とパラフィン類とからなる蓄熱材の水架橋後の架
橋度は、1重量%以上、特に2重量%以上とするのが好
ましい。
本発明に於いては、上記バインダ成分(c)及び
(d)の場合には、これ等バインダ成分は予めパラフィ
ン類と混合された組成物とされ、この組成物が架橋され
る。
上記した有機高分子性バインダ成分とパラフィン類と
から主として成る組成物はJIS C 3005に従って測定した
ゲル分率にして1重量%以上(有機高分子性バインダ成
分が架橋の対象となるが、パラフィン類あるいはその他
の成分を含む組成物についての値。)、好ましくは2重
量%以上に架橋されることが好ましい。架橋度が1%以
上、好ましくは2%以上とすることより、蓄熱材の温度
が使用したパラフィン類のTmax以上となっても溶融や滴
下することなく形状保持を可能とする。
本発明においては、パラフィン類100重量部に対して
有機高分子性バインダ成分は5〜30重量部である。5重
量部未満では、パラフィン類のTmax以下の温度に於いて
柔軟性がなく取扱い性に難があり、またTmax以上の高温
度において蓄熱材を所望の形状に保持し難くなり、一方
30重量部を超える過大量ではパラフィン類の配合量が少
なくなって蓄熱量もそれに比例して少なくなる。
本発明においては、上記したパラフィン類と有機高分
子性バインダ成分とからなる組成物は、補強材により補
強された状態で使用される。補強材としては、ガラス繊
維、セラミック繊維、ロックウール、カーボン繊維、金
属繊維、金属線等の無機繊維・線類、ポリアミド、ポリ
エステル、フェノール樹脂、麻、木綿、パルプ、ジュー
ト等の合成または天然の有機繊維等が例示される。それ
ら繊維は、たとえば外径1〜1000μm程度であり、アス
ペクト比(長さ:外径の比)にして10〜1000程度に細断
して組成物に混合してもよく、あるいは紐、ワイヤ、不
織布、織布、網等の状態で用いてもよい。一般に本発明
蓄熱材が板やシート状である場合、不織布、織布、網等
の補強材を1枚以上内蔵積層する状態で使用するのが好
ましく、本発明蓄熱材が細いあるいは太い長尺体である
場合は中心に紐、ワイヤ等の補強材を1本入れる状態で
使用するのが好ましい。またパラフィン類と有機高分子
性バインダ成分とからなる組成物の板の片面、好ましく
は両面に金網を配して補強するも好ましい。本発明蓄熱
材を構成する組成物は、成形加工性に優れているので、
シート状、棒状、管状等種々の形態に成形、あるいは成
形架橋することが出来る。而して上記の細断補強材の混
合は、本発明蓄熱材のあらゆる形態に対して有効、且つ
好ましく、必要により紐、ワイヤ、不織布、織布、網等
による補強と併用するもよい。
本発明に於いては、パラフィン類と有機高分子性バイ
ンダ成分の他に必要に応じて各種の添加剤を配合するこ
とができる。たとえば、老化防止剤、酸化防止剤、着色
剤、顔料、帯電防止剤の他、用途に応じて防黴剤、難燃
剤、防鼡剤等である。本発明蓄熱材はその使用に際して
は、原則的には従来のこの種蓄熱材の使用態様がすべて
採用出来るが、特にシート状の本発明蓄熱材を防護フィ
ルム、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエ
ステル等のフィルムで被覆し、この上から更にアルミニ
ウムの如き金属箔を用いて均熱化層を設けるのが好まし
い。また前記フィルムとアルミニウム等の金属箔をはり
合わせたラミネートフィルムで被覆しても良い。
本発明蓄熱材は、必要成分を適当な方法、たとえばパ
ラフィン類を炭化水素系有機高分子バインダ成分に浸透
含浸する方法、パラフィン類と炭化水素系有機高分子バ
インダ成分とを機械的手段にて混合する方法等により製
造することができるが後者の機械的混合による方法が特
に好ましい。その理由は、浸透含浸する方法で製造した
蓄熱材は含浸パラフィンが徐々に移行して蓄熱材の表面
が比較的短期間内にべと付くという問題が生じる場合が
ある。これに対して炭化水素系有機高分子バインダ成分
とパラフィン類とを機械的手段にて混合して一様な組成
物とした場合、たとえ該パラフィン類の使用量が上記の
如く大量(この量はバインダ成分100重量部あたりのパ
ラフィン類量に換算すると、333〜2000重量部にな
る。)であっても、驚くべきことに得られた組成物は成
形加工性に富み、しかもパラフィン類の成形体表面への
移行問題が高度に改善される。尚、この際の機械的手段
にての混合とは、パラフィン類と炭化水素系有機高分子
の双方中の少なくとも1成分の溶融物に残余の成分が少
なくとも膨潤好ましくは溶解することにより、あるいは
高温度により、混合対象となる何れの成分も外力にて流
動変形し得る状態において撹拌、混合、あるいは混練す
る行為を意味する。たとえば100〜200℃に保持されたパ
ラフィン類の溶融物に炭化水素系有機高分子を溶解し、
得られる高温度の溶液を撹拌混合する態様、混合各成分
が軟化する温度、たとえば50〜100℃で2本ロール、バ
ンバリーミキサ、押出機、2軸混練押出機等の通常の混
練機を使用して混練混合する態様等が例示される。混合
の程度は、可及的に充分であることが好ましいが、一般
には1〜30分程度の混合を行って目視にて一様に混合さ
れたと判断される程度で目的は達成される。上記の2成
分以外の成分を配合する場合は、それらの成分も一緒に
機械的手段にて混合するとよい。蓄熱材が架橋される場
合は、機械的手段にて混合され、必要に応じて所望形状
に成形された後に行えばよい。
〔実施例〕
以下に実施例並びに比較例を示して本発明を詳しく説
明する。
実施例1〜5、比較例1〜2 第1表に示す組成(割合は全ての重量部)について、
まずパラフィン類と有機高分子性バインダ成分を混合
し、8枚のガラスクロス間に積層成型して厚さ15mmの板
状蓄熱材を得た。この際、実施例1〜3及び比較例1〜
2は、130℃〜180℃に加温した容器で充分撹拌混練して
型に流し込み積層成型し、実施例4は2本ロール混合機
にて混合して得た組成物シートとガラスクロスを積層さ
せて165℃×30分プレス成型し、実施例5はシリンダー
温度200℃の2軸混練押出機を用いて混合した後、型に
流し込み積層成型し、さらに温水中に浸漬させて水架橋
させた。
各実施例及び比較例につき、第1表に示す特性を以下
の方法で測定した。
最大蓄熱温度:本発明蓄熱材は、使用したパラフィン
類の示す結晶転移温度特性が反映した蓄熱特性を示す。
最大蓄熱温度とは、最も大きな蓄熱あるいは吸熱を示す
温度であって、多くの場合パラフィン類のTmaxまたは融
点おいて、あるいはその近傍温度で現れる。この温度を
JIS K 7121に準じてDSC装置で測定した。
蓄熱量:JIS K 7122に準じてDSC装置により融解熱(kJ
/kg)を測定し、kcal/kgに換算して表示した。
柔軟性:蓄熱材を20mm巾の短冊状に切り取り、両端を
把持して90度に曲げ、破損するかどうかを調べて破損の
ないものを良とした。
形状保持性:10cm×10cmの蓄熱材を金網の上に置き、
最大蓄熱温度よりも20℃高い雰囲気温度に昇温させ、目
視観察し、形状的に見て、大略、原形を保っているもの
を良とした。不良は溶融、滴下が見られたものである。
滲み出し:形状保持性が良であった蓄熱材についてポ
リエチレンフィルム袋中に封入し、所定温度に24時間放
置してパラフィン類が分離しているかどうかを目視観察
した。ほとんど異常のないものを良とした。明らかに分
離が認められるものが不良である。
測定結果を第1表に示すが、本発明の実施例1〜5の
蓄熱材はいずれも35kcal/kg以上の蓄熱量を有し、実用
的に必要な他の特性も満足するものであった。一方比較
例は柔軟性、形状保持性が実施例のそれらより劣ってい
るか、蓄熱量不足である。
実施例6〜7、比較例3 第1表に示す組成について、まずパラフィン類だけを
容器中に130℃〜180℃に加熱して溶融しておき、実施例
の場合は有機高分子性バインダ成分と細断補強材とを、
一方比較例場合は有機高分子性バインダ成分のみを加え
約60〜120分間撹拌し均一に溶融混合した溶融混合物を
型に流し込んで厚さ15mmの蓄熱材を得た。
各実施例及び比較例につき、第1表に示す特性を前記
の方法で測定し、結果を第1表に示した。ただし、形状
保持性は、巾20mm、長さ20cmの短冊状の蓄熱材を実用上
想定される最高温度域である80℃のオーブン中に吊し、
原形保持性を調べた。異常のないものを良、垂れ下がり
が著しいものを不良とした。各実施例は満足する特性で
あったのに対し、比較例は垂れ下がり約1時間後に落下
し、形状保持性が不足であった。
実施例8、比較例4 第1表に示す組成について、実施例5と同じ方法で混
合し、1mmφのSUSワイヤーを補強心材として5mmφの棒
状の実施例8の蓄熱材を得た。比較例は補強心材のない
同じサイズの棒状蓄熱材である。実施例、比較例の蓄熱
材共に温水浸漬して架橋させた後、実施例1と同じ方法
で特性を測定し、第1表に示した。
ただし、形状保持性は、最大蓄熱温度よりも20℃高温
のオーブン中で蓄熱材の両端を支持して、変形状況、垂
れ下がり状態を目視観察し、殆ど変形のない場合を良と
した。
実施例は形状保持性が良いので蓄熱槽等の蓄熱材とし
て有効であるのに対し、比較例は変形するため、かかる
用途には不充分である。
〔発明の効果〕
本発明の蓄熱材は、パラフィン類の相分離やブリード
を生じ難く、最大蓄熱温度以上の高温度においても充分
な機械的強度を有していて而して形状保持能がある。し
たがってたとえば深夜電力を利用する蓄熱式床暖房、蓄
熱槽等に適用して施工が容易であり、しかも長期安全運
転上に頗る有利である。また蓄熱用建材としても有用で
ある。
尚、第1表の(注1)〜(注7)は夫々下記のもので
ある。
(注1):日本精蝋社製、商品名「115゜Fパラフィン」
融点47℃ (注2):大内新興化学社製、商品名「サンノック
N」、融点60℃ (注3):シェル化学社製、商品名「クレイトンG165
0」、スチレン−エチレンブチレン−スチレン共重合体
(熱可塑性エラストマー)、スチレン含量29% (注4):エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル
25%、密度0.95g/cm3、MFR 3g/10分、結晶化度18% (注5):ポリエチレン、三井石油化学社製、商品名
「HZ5100」、 (注6):EPDM、エチレン−プロピレン−ジエン共重合
体、住友化学社製、商品名「エスプレン301」 (注7):エチレン−エチルアクリレート共重合体、 エチルアクリレート:15、密度0.93g/cm3、 MFR 1.5g/10分、融点100℃ 融点:100℃
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−187782(JP,A) 特開 昭62−250089(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09K 5/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】蓄熱成分としてのパラフィン類と、該パラ
    フィン類100重量部当たり5〜30重量部の炭化水素系有
    機高分子、及び補強材とから成り、上記炭化水素系有機
    高分子が、以下の少なくとも1種であり、且つ下記
    (c)及び(d)の場合はパラフィン類とこれ等炭化水
    素系有機高分子は、予め組成物とした後に架橋したもの
    であることを特徴とする蓄熱材。 (a)熱可塑性エラストマー (b)1〜20重量部の炭化水素系ゴム及び1〜20重量部
    の結晶性ポリオレフィンとの混合物、 (c)5〜30重量部の炭化水素系ゴム、及び該ゴム100
    重量部に対し、5〜20重量部の該ゴムの架橋剤から成る
    組成物を架橋(但しシラン系化合物による架橋を除く)
    したもの、 (d)パラフィン類100重量部、5〜30重量部の炭化水
    素系ポリマー、0.05〜10重量部の加水分解しうるシラン
    系化合物及び0.005〜2重量部の有機過酸化物から成る
    もの。
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