JPH0413446Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、金属パネル等に他のパネルを重ね合
わせに止めたり、部品をとめたりする場合に用い
られるネジ止め用のネジ受け具に関するもので、
特にこの考案は止め付けるべき他のパネル、部品
類にネジ受け具自身を仮止めして固定すべき側の
パネルに設ける取付穴に対する装着の作業性を改
善したネジ受け具に関するものである。

［従来の技術］ 金属製パネル等直接ネジを螺着できないものに
ネジ止め付ける手段として従来から合成樹脂を材
料にしたネジ受け具が知られている。このネジ受
け具は鍔形をした頭部と、この頭部の下面から垂
設される係入脚と、頭部の上面からこの係入脚に
向けて穿たれるネジ受け孔を備えており、取付け
る母体のパネルに予じめ穿つておく取付穴に上記
係入脚を挿入して止め付け、その後頭部の上面に
取付けるべき他のパネルや部品類を添わせ、これ
らに穿つ穿孔を通してネジを前記ネジ受け孔に螺
入せしめ前記母体のパネルに対して他のパネル等
を止着できるものにしてある。

この従来のネジ受け具はネジ受け孔に対するネ
ジの揉み込みによつて係入脚を膨張させることか
らネジ自体の止め付けが強固になることに加えネ
ジ受け具のパネルに対する止め付けが強くなり安
定した取付けが果せるものとなつており、金属製
パネル等に対する部品類のネジ止め手段として広
く実用化されている。

［考案が解決しようとする問題点］ しかし、この従来のネジ受け具は部品類のネジ
止めに当つて、実際に取付ける部品類を頭部の上
面に添わせ、この部品類を通してネジをネジ受け
孔に通すものとなついるため、固定側の取付穴に
予じめ係入脚を差し入れて装着を完了してしまう
と取付ける部品類の影になつて位置が分らずネジ
の止め付けに手間どる問題があつた。ことにパネ
ルに対して長尺なパネルを複数個の受け具を用い
ていてネジ止めするような場合に受け具の位置が
パネルの裏に隠れて作業が煩わしくなることがあ
つた。

本考案は、上述した従来のネジ受け具における
問題点、即ち、固定側のパネルに対して予じめ係
入脚を挿入し装着しておくことによる位置の不案
内に伴う作業性の悪さに鑑み、これを改善すべく
考案されたもので、その目的とするところは固定
側パネルの取付穴に係入脚を装着するに先立つて
ネジ受け具を取付けるべき部品類、パネル側に予
らかじめ仮止めしておけるようにして、この受け
具に備えるネジ受け孔の位置を部品類の表面側か
ら確認可能な状態に保ち、次にこの受け具の係入
脚を固定側パネルの取付穴に装着し、その後ネジ
を螺締するときには直ちに上記ネジ受け孔に対し
てネジ付けられるようにしたネジ受け具を提供す
ることにある。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は上述の目的の下になされたもので、そ
の特徴とするところは、頭部下面から係止手段を
備えた係入脚を垂設し、頭部上面から係入脚に向
けてネジ受け孔を設けてなるネジ受け具にあつ
て、上記頭部の上面に上記ネジ受け孔の開口部を
囲んで嵌合係止部を立設し、該嵌合係止部の上端
部に仮止め用係止爪を設けてなることを特徴とし
てネジ受け具にある。

［作用］ 本考案ネジ受け具は使用に当つて先ず頭部上面
の嵌合係止部を取付ける部品類に穿つておくネジ
を通すための透孔に差し入れ、この透孔の縁に仮
止め用係止爪を掛止めることによつて取付ける部
品類の背面に仮止めする。次にこのネジ受け具の
係入脚を固定側のパネルに設ける取付穴に挿入し
装着したのち前記嵌合係止部を通してネジをネジ
受け孔に螺入し、上記取付ける部品類をパネルに
止め付けるものである。

以下、この考案を図示する実施例につき説明
し、その特徴を明らかにする。

［実施例］ 図面第１図は使用前における本考案に係るネジ
受け具の斜視図、第２図は正面図、第３図は側面
図、第４図は平面図、第５図は底面図であり、第
６図は第３図−線断面図である。

ここに示すネジ受け具１は熱可塑性の合成樹脂
を材料に一体成形されるものであり、鍔状の頭部
２と、この頭部の下面から垂設される係入脚３
と、頭部２の上面から縦に貫いて上記係入脚の中
心部に穿たれるネジ受け孔４を有する一方、上記
頭部２の上面に上記ネジ受け孔４の開口部を囲ん
で起立する筒形をなす嵌合係止部５を一体に備え
てなる。

係入脚３はパネルＡに設ける取付穴ａの形状に
合わせてここでは断面が略長方形状をなすよう形
成してあり、その長辺に当る正面と背面の２面に
は取付穴の縁に係止するための係止片６が設けて
ある。

この係止片６は係入脚の２面にそれぞれ縦方向
に設ける溝７，７の一側縁から延出する如く扉形
をなすよう形成してあり、常には自由端部を溝７
から浮き出るようにして上縁部の係止部６ａが係
止脚の面から突き出し頭部２の下面と対向するよ
うにしてある。なお、係入脚３は取付穴ａに対す
る挿入を容易にするため脚端に向けて縮径させる
と共に、両側の２面の中央には縦のスリツト８，
８を設けてある。併せて上記係止片６の自由端縁
を下半部において斜めに切欠きこれの挿入性を図
つている。

頭部２は係入脚３の取付穴ａに対する挿入深さ
を規制すると共に、取付ける部品、ここでは長尺
な板状をなすモールＢを受ける受け台となるもの
で、係入脚の断面形状に揃えて長方形の板状に形
成してある。

一方、嵌合係止部５はパネルＡに止め付ける部
品、ここでは帯板状をなすモールＢに開設する透
孔ｂに係入させこのモールの背面に止着するため
のもので、上端部には上記透孔ｂの縁に係止させ
るための仮止め用係止爪９を一体に備えている。

この実施例における嵌合係止部５は略円筒形に
形成して上端から縦に切込むスリツト１０によつ
て二分割し、この２つに分けられたそれぞれの殻
の上縁部から上記係止爪９が突出するように形成
してある。

図中１１は頭部１の上面に上記嵌合係止部５を
挟んで一対宛設けた係止突起である。この突起は
ここでは上面に設ける溝１２の底から立ち上るよ
うに設けてあり、常には上端を頭部の上面から突
出させ、上方からの押圧をうけたとき溝１２の内
部に沈み込めるようにしてある。

尚、前記モールＢに設ける透孔ｂはその長さ方
向に長さを揃える長楕円孔に形成してあり、長縁
方向に上記係止爪９の向きを揃えたときそのまま
挿通することが可能であつて、挿通後90度回転さ
せたとき係止爪９を長縁部分に係止させ透孔に嵌
合係止部５を止め付けられるようにしてある。ま
た一方、固定側のパネルＡに穿つ取付穴ａは同じ
く透孔ｂの長さ方向に揃えて長方形状に形成して
ある。

本考案ネジ受け具は上述の如く構成されるもの
で、モールＢをパネルＡに取付けるに当つては先
ずモールＢの背面側から透孔ｂに嵌合係止部５を
臨ませ、上述した如く係止爪９の向きをこの透孔
の長さ方向に揃えて挿入し、頭部２の上面がモー
ルに当接したところで90度回転させ係止爪９を透
孔の長縁部に係止しこれに仮止めする。この係止
爪９の係止に当つてはしつかりした係止状態を得
るため嵌合係止部５の外径を透孔の短径より幾分
大にしておくとよい。

ネジ受け具は上記90度の回転で係止爪９を透孔
ｂの縁に掛止めてモールＢの背面に起立した状態
で取付くことになる。そして、この90度の回転で
頭部２の上面に備えた係止突起１１が第８図に示
した様に透孔ｂの中に入り込み浮き上る結果任意
の回転が規制され仮止めが安定することになる。

この様にして仮止めしたのち、モールＢをパネ
ルの表面に添わせネジ受け具の係入脚３を取付穴
ａに押入れると、係止片６がこの取付穴ａの縁に
係合するためモールＢはこのネジ受け具によつて
パネルＡに止め付けられることになる。次に、モ
ールＢの前面に突き出た嵌合係止部５を通してネ
ジ受け孔４に止めネジ１３を揉み込めば、嵌合係
止部５の拡張と共に取付穴ａに係入した係入脚３
が拡張し取付穴に対する係合を強めてモールＢを
パネルＡに堅固に止め付けることになる。

［考案の効果］ 本考案は上述実施例につき説明した如く構成さ
れ、使用されるもので、このネジ受け具によれ
ば、止め付けるべき部品類の背面にネジ受け具を
嵌合係止部を介して予じめ止め付けておくことが
できることから、この止め付け後部品類をパネル
に対面するように添わせて係入脚を取付穴に臨ま
せれば、後は部品類を押付けるだけで係入脚を取
付穴に簡単に挿入することができることになる。
このため本考案ネジ受け具によれば部品類が大型
であつてパネルの取付穴に先付けしたネジ受け具
の位置が発見し苦い場合や、一つの部品類を複数
個のネジ受け具で止め付けるような場合等におい
て従来型ネジ受け具における煩わしさがなく迅速
に作業できる利点がある。しかも、本考案におけ
るネジ受け具はネジ受け孔が嵌合係合部５を通し
て取付ける部品類の表面に臨むことから止めネジ
の螺入作業が一段と容易であり自動車の組立等ラ
インで使用する場合等において極めて有利であ
る。

尚、一つの部品を複数個のネジ受け具を使用し
て止め付ける場合、前記実施例で説明した如く取
付穴並びに透孔を長孔に形成し、この孔の長手方
向をネジ受け具の配列方向に揃えると、装着位置
の誤差を孔の長さで吸収できるので便利であり、
また常に正常な状態でネジ受け具を使用できるこ
とから堅固な止付けを期待することができる。

また嵌合係止部５について実施例では特に円筒
形にして縦のスリツト１０で分割するものとした
が、角筒形であつてもよく、更にはネジ受け孔の
開口部を囲んで複数本の突起を起立せしめ、この
突起の上端に係止爪を外に向けて突き出すように
しても本考案のネジ受け具を実施することは可能
であり、考案の趣旨を防げるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係るネジ受け具の一実施例を示
したもので、第１図は使用直前における斜視図、
第２図は正面図、第３図は側面図、第４図は平面
図、第５図は底面図、第６図は第３図−線断
面図、第７図は取付けるべき部品類の透孔に嵌合
係止部を臨ませた状態の平面図、第８図は嵌合係
止部を透孔内で回転させることにより係止爪を透
孔に係止させた状態の平面図、第９図は嵌合係止
部を部品類の透孔に係止し、係入脚をパネルの取
付穴に係入させてパネルと部品類を本考案ネジ受
け具を以て仮止めした状態の中央縦断側面図であ
る。 １……ネジ受け具、２……頭部、３……係入
脚、４……ネジ受け孔、５……嵌合係止部、６…
…係止片、９……係止爪、１０……スリツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鍔形をなす頭部２の下面から垂設する係止脚３
   をパネルＡに開設する取付孔ａに挿入し係止手段
   によつて掛け止める一方、上記頭部２の上面に重
   ねる板状の部品Ｂに開設する透孔ｂを通して頭部
   ２の上面から係止脚３に向けて設けるネジ受け孔
   ４にネジ１３を揉み込むことによつて前記パネル
   の一面に部品をネジ止めするようにしてなるネジ
   受け具にあつて、前記頭部２の上面には前記ネジ
   受け孔４の開口部を囲んで筒形の嵌合係止部５を
   立設し、該嵌合係止部上端部に背向状に張り出す
   一対の仮止め用係止爪９，９を延設し、他方前記
   部品Ｂに開設する透孔ｂは短辺が前記嵌合係止部
   ５を通すことが可能で、長辺が前記係止爪９，９
   を通すことが可能な長孔にして該透孔ｂに部品の
   裏側から前記嵌合係止部５を臨ませ、且つ長辺方
   向に前記係止爪９，９の張出し方向を揃えて挿通
   し、次に90°回転させることにより該係止爪９，
   ９を透孔ｂの縁に係止させ仮止め可能にしてなる
   ネジ受け具。