JPH0317934B2 - - Google Patents
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- Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
Description
本発明は強撚糸様の繊細なシヤリ感、ドレープ
性、重量感及び弾力性のある風合等の強撚効果と
紡績糸様の斑を布帛表面に与える強撚糸調特殊加
工糸に関するものである。更に詳しくは、糸条の
長手方向にフイラメント相互は融着することなく
集束細化されたメートルオーダーにも及ぶ長さの
未解撚部と、メートルオーダーにも及ぶ長さの過
解撚部とを交互に形成した糸条であつて、未解撚
部と過解撚部との間の撚方向変換部に無撚部が実
質的に存在しない部分と存在する部分とを有する
糸条部分1と、未解撚部と過解撚部との間の撚方
向変換部に無撚部が存在する糸条部分2とが不規
則な間隔でしかも不規則な長さで存在しており、
かつ糸条部分1の未解撚部及び過解撚部はいずれ
も低い初期弾性率を有する強撚糸調特殊加工糸に
関するものである。 従来、仮撚加工において積極的な非定常仮撚操
作を施して未解撚部と過解撚部とを交互に形成せ
しめる技術としては、特公昭49−8414号公報、特
開昭49−108353号公報、特開昭51−49949号公報、
特開昭53−61745号公報等に提案されている。こ
れらの撚糸加工技術は撚の伝播の過度現象を利用
したものであり、糸速と仮撚施撚の間歇周期に応
じて未解撚部及び過解撚部の長さが1〜2m又は
それ以上にも及ぶ交互撚糸を形成することができ
るが、しかしこれらの従来技術によるものはいず
れも相当の長さの無撚部を有し、しかも未解撚部
及び過解撚部の撚密度が低くこのため高度の強撚
効果が得られないのみならず、意匠効果にも乏し
いものであつた。 一方、定常的な仮撚操作を施して未解撚部と過
解撚部を交互に形成させる技術も数多く紹介され
ている。 例えば、特開昭56−91018号公報には、仮撚熱
固定温度を融着温度付近の高温に設定するか、あ
るいはアクリル系合成繊維や部分未延伸糸など溶
融温度が広範囲なフイラメント糸条を用いて高温
で仮撚することにより、フイラメント間相互を融
着して解撚不良を発生させ、これによつて解撚不
良の撚数(未解撚の撚数)だけ過解撚部として残
存させることにより、S、Z交互撚糸となす方法
が記載されている。 また、特開昭52−70143号公報には、アクリル
ニトリル系合成繊維の溶融温度が不明確であるこ
とを利用して、高温で仮撚することによりフイラ
メント間相互の融着による解撚不良を発生させて
未解撚部と過解撚部を形成させ、S、Z交互撚糸
となす方法が開示されている。 これらの方法は、いずれも定常仮撚時にフイラ
メント相互の融接層などによる解撚不良によつて
S、Z交互撚を形成させるため、得られる交互撚
糸に残存する撚数は、仮撚加撚数がそのままフイ
ラメントの融接着により残存し、仮撚数と同等の
高い撚数であるが、糸条は一方向に連続して撚回
するため、撚回点の下流では、加撚された撚部は
逆方向に撚回して必然的に未解撚部は分断され、
したがつて、センチメーターオーダー以上の長さ
の撚部は決して得られず、この技術をいかに発展
させても撚部を長くするのは原理的に不可能であ
り、メーターオーダーの未解撚部や過解撚部を得
ることはできなかつた。 また、これらの加工糸には、短かい未解撚部と
短かい過解撚部の間に無撚嵩高部が無作為に存在
しているため、無撚嵩高部の出現頻度が高く、こ
の加工糸を布帛にすると、全面に一様な柄が形成
され、本発明が求めるスラブ糸様の柄効果は得ら
れず、また、強撚糸様の風合効果も得られない。 本発明者等はかかる従来の交互撚糸の欠点を解
消すべく積極的な非定常仮撚操作における交互撚
糸の形成の現象の把握と原理の究明を行い、その
結果従来の交互撚形成手段に特殊な加工操作を付
加複合することによつて、相乗的に撚糸効果を高
め、従来得られることのなかつた強撚糸様のシヤ
リ感、ドレープ性、重量感及び弾力性のある風合
等の強撚効果と紡績糸様の斑を布帛表面に与える
ことのできる交互撚糸を得ることに成功し本発明
に到達したものであつて、本発明の目的とすると
ころは、強撚効果と紡績糸様の斑を布帛表面に与
えることができる強撚糸調特殊加工糸を提供する
にある。 すなわち、本発明は、仮撚加撚方向の撚を有し
たメートルオーダーを含む長さの未解撚部と、仮
撚解撚方向の撚を有したメートルオーダーを含む
長さの過解撚部とを交互に形成せしめたフイラメ
ント糸条であつて、これらの撚部のフイラメント
相互は融着することなく長手方向に撚数分布を有
し、その平均撚数は8000/√(T/M)以上で
あり、未解撚部から過解撚部への撚方向変換部に
は無撚部が実質的に存在せず、過解撚部から未解
撚部への撚方向転換部に嵩高な無撚部が存在する
糸条部分1と、未解撚部から過解撚部への撚方向
転換部になま糸状の無撚部が存在し、過解撚部か
ら未解撚部への撚方向転換部に嵩高な無撚部が存
在する糸条部分2とが不規則な間隔でしかも不規
則な長さで存在しており、かつ前記糸条部分1の
未解撚部及び過解撚部は40g/d以下の初期弾性
率であることを特微とする強撚糸調特殊加工糸を
要旨とするものである。 以下、本発明を詳細に説明する。 先ず、本発明加工糸は後述する方法によつて製
造することができるが、後述する方法において糸
条の撚回停止状態で未解撚部が形成され、糸条の
撚回状態で過解撚部が形成される。本発明加工糸
は、糸条の撚回停止状態から糸条の撚回状態への
変化時に形成される撚方向変換部、即ち未解撚部
から過解撚部への撚方向変換部には無撚部が実質
的に存在せず、糸条の撚回状態から糸条の撚回停
止状態への変化時に形成される撚方向変換部、即
ち過解撚部から未解撚部への撚方向転換部に嵩高
な無撚部が存在する糸条部分1と、未解撚部から
過解撚部への撚方向転換部になま糸状の無撚部が
存在し、過解撚部から未解撚部への撚方向転換部
に嵩高な無撚前が存在する糸条部分2を有し、か
つ糸条部分1と糸条部分2とが糸条の長手方向に
不規則な間隔でしかも不規則な長さで存在するも
のである。 ここに無撚部が実質的に存在しないとは、撚方
向変換部において無撚状態もしくは低撚状態にな
つた無撚部が、本発明の目的とする高度の強撚効
果を減殺することなくかつ他の無撚部の紡績糸様
斑効果を効果的に発揮させるように目立たない状
態になつていることを指し、具体的には撚数
100T/M以下の部分が1cm未満で該部分が糸条
の繰返し長さの1%未満の場合をいう。 高度の強撚効果と紡績糸様の自然な斑を布帛表
面に表現するために重要なことは糸条の大部分は
高度の撚密度を有し、しかも自然な斑を表現する
ための無撚部の存在はランダムな間隔、ランダム
な長さで存在することであり、撚方向変換部の全
てに無撚部が存在した場合は無撚部が多すぎて布
帛に有効な斑効果を与えることができない。ま
た、無撚部または低撚密度の撚糸部が多過ぎると
高度の強撚効果が得られず、布帛にシヤリ感がな
く嵩高な布帛に近ずく。また逆に撚方向変換部の
全てに無撚部が存在しない場合は紡績糸様の自然
な斑を表現することはできない。 本発明加工糸は未解撚部及び過解撚部の何れに
も高度の撚密度を有しているので、無撚部と未解
撚部及び過解撚部、即ち強撚糸部との境界は明瞭
であり、従つて高度の強撚効果と紡績糸様の自然
な斑を布帛表面に表現することができる。また、
強撚効果を充分に達成するためには糸条部分1が
糸条中大部分を占めるように設計し、あるいは表
面効果をより多く表現する場合には適宜糸条部分
2を増すことができる。しかしながら、本発明の
目的である強撚調効果をより効果的に発揮するた
めには前記糸条部分1が糸条中に50%以上存在す
ることが好ましい。 第1図はかかる本発明加工糸の一例の概略側面
図であり、仮撚加撚方向の撚を有する未解撚部
A1と仮撚解撚方向の撚を有する過解撚部C1によ
つて構成され、かつ未解撚部A1と過解撚部C1の
間の無撚部B1は実質的に存在せず、過解撚部C1
と続く未解撚部A2の間の嵩高な無撚部D1が存在
する糸条部分1と、仮撚加撚方向の撚を有する未
解撚部A2と仮撚解撚方向の撚を有する過解撚部
C2によつて構成され、かつ未解撚部A2と過解撚
部C2の間の嵩高ななま糸状の無撚部B2と過解撚
部C2と続く未解撚部A1の間の嵩高な無撚部D2が
存在する糸条部分2とがランダムな長さで交互に
存在している。 第1図には糸条部分1と糸条部分2が交互に存
在する部分を示したが、糸条部分1と糸条部分2
が交互に存在したり、連続して存在するように任
意に形成することができる。糸条部分1が連続す
る場合には過解撚部C1に続く未解撚部はA1とな
り、また糸条部分2が連続する場合には過解撚部
C2に続く未解撚部はA2となり、続く糸条部分が
糸条部分1であるか糸条部分2であるかによつ
て、無撚部に続く未解撚部がA1またはA2となる
ものである。 次に前記加工糸における糸条部分1の未解撚部
A4及び過解撚部C1はいずれも初期弾性率が40
g/d以下である。 編織物布帛のドレープ性は使用する糸条の初期
弾性率に関係し、布帛のドレープ性を向上させる
には低い初期弾性率の糸条であることが必要であ
り、糸条の初期弾性率が約40g/d以下の場合に
布帛にドレープ性を付与することができる。 従来の交互撚糸ではその初期弾性率を低減せし
めて布帛のドレープ性の向上を図つたものはなか
つたが、本発明加工糸の強撚糸部である未解撚部
A1と過解撚部C1はその初期弾性率が40g/d以
下である。この初期弾性率は供給原糸の50%以
下、例えばポリエステルフイラメント糸の場合は
30g/d以下、ナイロンフイラメントの場合は20
g/d以下とすることが可能である。かくして該
強撚糸部が糸条中好ましくは50%以上存在する本
発明加工糸によると、編織物布帛により優れたド
レープ性を付与することができる。 第2図はかかる本発明加工糸の未解撚部A1及
び過解撚部C1と供給原糸の初期応力と伸度との
関係を示すグラフである。初期弾性率は、下記式
()で表されるもので、JIS L−1013に記載の
初期引張抵抗度(g/d)に相当するものであ
る。 初期弾性率(g/d)=P/(l′/l)×d……(
) ただし、P:試料を引張つた際の伸びl′の時の
荷重(g) d:糸条の繊度(デニール) l:試料長 l′:試料を引張つた際の伸び量 前記()式は、応力−伸度曲線における初期
傾きの直線を延長し、この直線の伸度100%時の
応力値を繊度で除した値となる。 第2図に示す供給原糸イの初期弾性率は95g/
d[伸度3.16%の時、応力3g/dであり、()
式より3/(3.16/100)=95g/d]であるのに
対して本発明の加工糸の未解撚部ロの初期弾性率
は20g/d[伸度14.9%の時、応力3g/dであ
り、()式より3/(14.9/100)=20g/d]、
過解撚部ハの初期弾性率は19g/d[伸度15.0%
の時、応力2.85g/dであり、()式より
2.85/(15.0/100)=19g/d]であり、未解撚
部、過解撚部共に初期弾性率が低いことが判る。 次に、上記本発明の特殊加工糸の製造方法、原
理について説明する。 先ず、従来の交互撚糸の無撚部の形成に関し
て、液体の間歇施撚による仮撚加工の場合につい
て説明すると、糸条を圧縮流体施撚ノズル(以下
ノズルと言う)を用いた仮撚加工工程に通し、ノ
ズルに流体を間歇的に供給することによつて糸条
の旋回、停止を繰返し、糸条に仮撚の過渡現象を
利用した加工を施す。この場合、流体の停止時に
は未解撚部A2が、供給時には過解撚部C2が形成
され、そして未解撚部A2と過解撚部C2との間に
無撚部B2が、過解撚部C2と後続する未解撚部A2
との間に無撚部D2が形成される。 前記無撚部B2の形成について、第3図を用い
て説明する。第3図の1は、ノズルへの流体の供
給が停止され、未解撚部A2が形成されている状
態を示す。次いで、第3図の2に示すようにノズ
ルに流体の供給が開始されると、解撚ゾーンにあ
る糸条の未解撚部A2をノズル近傍から順次解撚
し始めるが、未解撚部A2は強撚されて強く固定
されており、この解撚作用では過解撚するまでに
至らず、未解撚部A2を解撚するのみに留まり、
その結果無撚部B2となるためである。第3図の
3は、この後の過解撚部C2の形成を示す図であ
る。 次に、無撚部D2の形成について、第4図を用
いて説明する。第4図の1は、ノズルに流体が供
給され、過解撚部C2が形成されている状態を示
す。次いで、第4図の2に示すようにノズルへの
流体の供給を停止すると、ノズル近傍にある撚変
換部を中心として解撚ゾーンにある糸条は過解撚
部C2、加撚ゾーンにある糸条は未解撚部A2とな
るが、これらの互いに方向の異なる撚部のトルク
よつて互いの撚を相殺するため無撚部D2となる
ものである。第4図の3は、この後の未解撚部
A2の形成を示す図である。 このように、形成される無撚部B2、無撚部D2
が糸条の長手方向に沿つて未解撚部A2と過解撚
部C2の間に、また、過解撚部C2と未解撚部A2と
の間に必ず存在することになり、これらの糸条を
編織布帛にした場合無撚部の出現頻度が高くしか
も付与される交互撚も強撚と称するにはほど遠い
集束効果をもたらすのみの軽度のもので、衣料布
帛として好ましくなく、従来の交互撚糸が伸びな
かつたゆえんでもある。 かかる交互撚糸に強撚効果と紡績糸様の自然な
斑を兼ね備えさせるには強撚効果と不必要な柄模
様を呈する無撚部の形成を防止し、紡績糸様の斑
を表現するのに必要な無撚部のみを強撚効果を減
殺しない範囲内で積極的に存在させるという従来
の交互撚糸の常識を越えた技術が要求されるもの
であつた。 本発明者等は上記仮撚加工における仮撚過渡現
象を克明に観察し、種々実験を重ねた結果、従来
の技術に特定の加工操作を施すことにより、糸条
部分1のなま糸状の無撚部B1の長さはデリベリ
ローラとノズルとの距離に関係し、その長さを変
化させることが製造条件的に困難なこと、及び無
撚部D1はその長さを規制し易いこと、嵩高性が
高いことから該糸条部分1と無撚部を積極的に存
在させた糸条部分2とが混在した本発明特殊加工
糸の得られることを知見したものである。 即ち、本発明加工糸の糸条部分1の形成は、例
えばノズルを用いた仮撚加工工程において供給ロ
ーラーとしてノズルへの流体の供給及び停止と連
動して可変速する機能を有するローラーを用い、
先ず所定の高オーバーフイード率で糸条を通し、
ノズルへの流体の供給と同時に可変速ローラの速
度を増大させると、糸条はより高いオーバーフイ
ード率で走行し、このため解撚ゾーンではバルー
ニングを伴つて撚回する。この場合解撚ゾーンに
おけるバルーニングはノズルとデリベリローラー
を弦振動のノード部(節部)として振動するから
解撚ゾーンにある未解撚部A1は撚の伝播によつ
てノズル近傍から順次デリペリローラー部へと解
きほぐされていくのではなく、弦振動によつてデ
リベリローラー近傍の未解撚部A1が解きほぐさ
れて解撚され易くなるので一気に糸条の撚回がデ
リベリローラーまで到達し、解撚ゾーンにある未
解撚部A1を過解撚部C1とすることができ、従つ
て未解撚部A1と後続する過解撚部C1との間の無
撚部B1の形成が防止される。この状態を第5図
を用いて説明する。第5図の1は、ノズルへの流
体の供給が停止され、未解撚部A1が形成されて
いる状態を示す。次いで、第5図の2に示すよう
にノズルに流体の供給が開始され、糸条がより以
上に過供給されると、撚回付与装置として機械式
の仮撚スピンドルとは異なり、高圧流体の噴射に
よるノズルを用いているため、可変速ローラー速
度を増大させても安定した仮撚加工が可能であ
り、しかもオーバーフイード率の増加によつて糸
条の撚回量が増大するため流体供給時の加撚中の
撚は2重撚または準2重撚となり、高密度に施撚
することができ、高密度の撚数を糸条に残存させ
ることができる。 この加撚中の撚状態が2重撚または準2重撚と
なることは通常の仮撚の場合に比して、撚戻し後
の糸条の長さが著しく長いので、撚回中の糸条の
バルーニングを増大させるという利点もある。 上記の如くしてノズルに流体を供給した後、次
いで流体の供給を停止するが、供給停止と同時に
可変速ローラーの速度を減少させる。このように
して糸条の撚回の停止により高オーバーフイード
率で走行していた糸条がたるみ、ローラーへの捲
付等のために走行不能となるのを防止する。そし
て流体供給時に過解撚部C1が形成されていた糸
条は流体停止時に未解撚部A1が形成されること
となり、この過解撚部C1の解撚トルクによつて
過解撚部C1と後続する未解撚部A1の撚を相殺す
る。この相殺作用によつて無撚部D1が形成され
る。この場合未解撚部A1の熱固定が充分すぎる
と過解撚トルクによつては過解撚部C1と未解撚
部A1の撚を相殺することができなくなるので、
熱固定温度は通常の仮撚加工の場合に設定される
温度と同等もしくはそれより低温に設定するのが
よい。このようにして形成される無撚部D1の長
さは加工条件、即ちノズルに流体を供給する時間
(ON時間という)、ノズルへの流体の供給を停止
する時間(OFF時間という)、周期(ON時間と
OFF時間の和)、ON時間のOFF時間に対する比
率、糸速、加撚ゾーンの長さ等により決まり、仮
撚の定常状態が出現しない範囲内でON時間の
OFF時間に対する比率が小さくなる程、また周
期が短かくなる程、または糸速が大きくなる程無
撚部D1の長さは長くなる。無撚部D1の長さと上
記加工条件との関係については、未だ不明な点も
多いが、加撚中の撚糸状態がON時間、OFF時
間、周期、ON時間のOFF時間に対する比率によ
つて変化するため過解撚部C1の解撚トルクの大
きさと、未解撚部A1の撚密度等、解撚され易さ
が変化し、このため過解撚部C1と未解撚部A1の
相殺される距離が変化するものと考えられる。次
の表は、本発明の加工糸を製造するためのノズル
に圧縮空気を供給するON時間とOFF時間の関係
の一例を示すものであり、ON時間とOFF時間の
組合せによる無撚部D1の出現範囲を×印、出現
しない範囲を〇印で示したものである。
性、重量感及び弾力性のある風合等の強撚効果と
紡績糸様の斑を布帛表面に与える強撚糸調特殊加
工糸に関するものである。更に詳しくは、糸条の
長手方向にフイラメント相互は融着することなく
集束細化されたメートルオーダーにも及ぶ長さの
未解撚部と、メートルオーダーにも及ぶ長さの過
解撚部とを交互に形成した糸条であつて、未解撚
部と過解撚部との間の撚方向変換部に無撚部が実
質的に存在しない部分と存在する部分とを有する
糸条部分1と、未解撚部と過解撚部との間の撚方
向変換部に無撚部が存在する糸条部分2とが不規
則な間隔でしかも不規則な長さで存在しており、
かつ糸条部分1の未解撚部及び過解撚部はいずれ
も低い初期弾性率を有する強撚糸調特殊加工糸に
関するものである。 従来、仮撚加工において積極的な非定常仮撚操
作を施して未解撚部と過解撚部とを交互に形成せ
しめる技術としては、特公昭49−8414号公報、特
開昭49−108353号公報、特開昭51−49949号公報、
特開昭53−61745号公報等に提案されている。こ
れらの撚糸加工技術は撚の伝播の過度現象を利用
したものであり、糸速と仮撚施撚の間歇周期に応
じて未解撚部及び過解撚部の長さが1〜2m又は
それ以上にも及ぶ交互撚糸を形成することができ
るが、しかしこれらの従来技術によるものはいず
れも相当の長さの無撚部を有し、しかも未解撚部
及び過解撚部の撚密度が低くこのため高度の強撚
効果が得られないのみならず、意匠効果にも乏し
いものであつた。 一方、定常的な仮撚操作を施して未解撚部と過
解撚部を交互に形成させる技術も数多く紹介され
ている。 例えば、特開昭56−91018号公報には、仮撚熱
固定温度を融着温度付近の高温に設定するか、あ
るいはアクリル系合成繊維や部分未延伸糸など溶
融温度が広範囲なフイラメント糸条を用いて高温
で仮撚することにより、フイラメント間相互を融
着して解撚不良を発生させ、これによつて解撚不
良の撚数(未解撚の撚数)だけ過解撚部として残
存させることにより、S、Z交互撚糸となす方法
が記載されている。 また、特開昭52−70143号公報には、アクリル
ニトリル系合成繊維の溶融温度が不明確であるこ
とを利用して、高温で仮撚することによりフイラ
メント間相互の融着による解撚不良を発生させて
未解撚部と過解撚部を形成させ、S、Z交互撚糸
となす方法が開示されている。 これらの方法は、いずれも定常仮撚時にフイラ
メント相互の融接層などによる解撚不良によつて
S、Z交互撚を形成させるため、得られる交互撚
糸に残存する撚数は、仮撚加撚数がそのままフイ
ラメントの融接着により残存し、仮撚数と同等の
高い撚数であるが、糸条は一方向に連続して撚回
するため、撚回点の下流では、加撚された撚部は
逆方向に撚回して必然的に未解撚部は分断され、
したがつて、センチメーターオーダー以上の長さ
の撚部は決して得られず、この技術をいかに発展
させても撚部を長くするのは原理的に不可能であ
り、メーターオーダーの未解撚部や過解撚部を得
ることはできなかつた。 また、これらの加工糸には、短かい未解撚部と
短かい過解撚部の間に無撚嵩高部が無作為に存在
しているため、無撚嵩高部の出現頻度が高く、こ
の加工糸を布帛にすると、全面に一様な柄が形成
され、本発明が求めるスラブ糸様の柄効果は得ら
れず、また、強撚糸様の風合効果も得られない。 本発明者等はかかる従来の交互撚糸の欠点を解
消すべく積極的な非定常仮撚操作における交互撚
糸の形成の現象の把握と原理の究明を行い、その
結果従来の交互撚形成手段に特殊な加工操作を付
加複合することによつて、相乗的に撚糸効果を高
め、従来得られることのなかつた強撚糸様のシヤ
リ感、ドレープ性、重量感及び弾力性のある風合
等の強撚効果と紡績糸様の斑を布帛表面に与える
ことのできる交互撚糸を得ることに成功し本発明
に到達したものであつて、本発明の目的とすると
ころは、強撚効果と紡績糸様の斑を布帛表面に与
えることができる強撚糸調特殊加工糸を提供する
にある。 すなわち、本発明は、仮撚加撚方向の撚を有し
たメートルオーダーを含む長さの未解撚部と、仮
撚解撚方向の撚を有したメートルオーダーを含む
長さの過解撚部とを交互に形成せしめたフイラメ
ント糸条であつて、これらの撚部のフイラメント
相互は融着することなく長手方向に撚数分布を有
し、その平均撚数は8000/√(T/M)以上で
あり、未解撚部から過解撚部への撚方向変換部に
は無撚部が実質的に存在せず、過解撚部から未解
撚部への撚方向転換部に嵩高な無撚部が存在する
糸条部分1と、未解撚部から過解撚部への撚方向
転換部になま糸状の無撚部が存在し、過解撚部か
ら未解撚部への撚方向転換部に嵩高な無撚部が存
在する糸条部分2とが不規則な間隔でしかも不規
則な長さで存在しており、かつ前記糸条部分1の
未解撚部及び過解撚部は40g/d以下の初期弾性
率であることを特微とする強撚糸調特殊加工糸を
要旨とするものである。 以下、本発明を詳細に説明する。 先ず、本発明加工糸は後述する方法によつて製
造することができるが、後述する方法において糸
条の撚回停止状態で未解撚部が形成され、糸条の
撚回状態で過解撚部が形成される。本発明加工糸
は、糸条の撚回停止状態から糸条の撚回状態への
変化時に形成される撚方向変換部、即ち未解撚部
から過解撚部への撚方向変換部には無撚部が実質
的に存在せず、糸条の撚回状態から糸条の撚回停
止状態への変化時に形成される撚方向変換部、即
ち過解撚部から未解撚部への撚方向転換部に嵩高
な無撚部が存在する糸条部分1と、未解撚部から
過解撚部への撚方向転換部になま糸状の無撚部が
存在し、過解撚部から未解撚部への撚方向転換部
に嵩高な無撚前が存在する糸条部分2を有し、か
つ糸条部分1と糸条部分2とが糸条の長手方向に
不規則な間隔でしかも不規則な長さで存在するも
のである。 ここに無撚部が実質的に存在しないとは、撚方
向変換部において無撚状態もしくは低撚状態にな
つた無撚部が、本発明の目的とする高度の強撚効
果を減殺することなくかつ他の無撚部の紡績糸様
斑効果を効果的に発揮させるように目立たない状
態になつていることを指し、具体的には撚数
100T/M以下の部分が1cm未満で該部分が糸条
の繰返し長さの1%未満の場合をいう。 高度の強撚効果と紡績糸様の自然な斑を布帛表
面に表現するために重要なことは糸条の大部分は
高度の撚密度を有し、しかも自然な斑を表現する
ための無撚部の存在はランダムな間隔、ランダム
な長さで存在することであり、撚方向変換部の全
てに無撚部が存在した場合は無撚部が多すぎて布
帛に有効な斑効果を与えることができない。ま
た、無撚部または低撚密度の撚糸部が多過ぎると
高度の強撚効果が得られず、布帛にシヤリ感がな
く嵩高な布帛に近ずく。また逆に撚方向変換部の
全てに無撚部が存在しない場合は紡績糸様の自然
な斑を表現することはできない。 本発明加工糸は未解撚部及び過解撚部の何れに
も高度の撚密度を有しているので、無撚部と未解
撚部及び過解撚部、即ち強撚糸部との境界は明瞭
であり、従つて高度の強撚効果と紡績糸様の自然
な斑を布帛表面に表現することができる。また、
強撚効果を充分に達成するためには糸条部分1が
糸条中大部分を占めるように設計し、あるいは表
面効果をより多く表現する場合には適宜糸条部分
2を増すことができる。しかしながら、本発明の
目的である強撚調効果をより効果的に発揮するた
めには前記糸条部分1が糸条中に50%以上存在す
ることが好ましい。 第1図はかかる本発明加工糸の一例の概略側面
図であり、仮撚加撚方向の撚を有する未解撚部
A1と仮撚解撚方向の撚を有する過解撚部C1によ
つて構成され、かつ未解撚部A1と過解撚部C1の
間の無撚部B1は実質的に存在せず、過解撚部C1
と続く未解撚部A2の間の嵩高な無撚部D1が存在
する糸条部分1と、仮撚加撚方向の撚を有する未
解撚部A2と仮撚解撚方向の撚を有する過解撚部
C2によつて構成され、かつ未解撚部A2と過解撚
部C2の間の嵩高ななま糸状の無撚部B2と過解撚
部C2と続く未解撚部A1の間の嵩高な無撚部D2が
存在する糸条部分2とがランダムな長さで交互に
存在している。 第1図には糸条部分1と糸条部分2が交互に存
在する部分を示したが、糸条部分1と糸条部分2
が交互に存在したり、連続して存在するように任
意に形成することができる。糸条部分1が連続す
る場合には過解撚部C1に続く未解撚部はA1とな
り、また糸条部分2が連続する場合には過解撚部
C2に続く未解撚部はA2となり、続く糸条部分が
糸条部分1であるか糸条部分2であるかによつ
て、無撚部に続く未解撚部がA1またはA2となる
ものである。 次に前記加工糸における糸条部分1の未解撚部
A4及び過解撚部C1はいずれも初期弾性率が40
g/d以下である。 編織物布帛のドレープ性は使用する糸条の初期
弾性率に関係し、布帛のドレープ性を向上させる
には低い初期弾性率の糸条であることが必要であ
り、糸条の初期弾性率が約40g/d以下の場合に
布帛にドレープ性を付与することができる。 従来の交互撚糸ではその初期弾性率を低減せし
めて布帛のドレープ性の向上を図つたものはなか
つたが、本発明加工糸の強撚糸部である未解撚部
A1と過解撚部C1はその初期弾性率が40g/d以
下である。この初期弾性率は供給原糸の50%以
下、例えばポリエステルフイラメント糸の場合は
30g/d以下、ナイロンフイラメントの場合は20
g/d以下とすることが可能である。かくして該
強撚糸部が糸条中好ましくは50%以上存在する本
発明加工糸によると、編織物布帛により優れたド
レープ性を付与することができる。 第2図はかかる本発明加工糸の未解撚部A1及
び過解撚部C1と供給原糸の初期応力と伸度との
関係を示すグラフである。初期弾性率は、下記式
()で表されるもので、JIS L−1013に記載の
初期引張抵抗度(g/d)に相当するものであ
る。 初期弾性率(g/d)=P/(l′/l)×d……(
) ただし、P:試料を引張つた際の伸びl′の時の
荷重(g) d:糸条の繊度(デニール) l:試料長 l′:試料を引張つた際の伸び量 前記()式は、応力−伸度曲線における初期
傾きの直線を延長し、この直線の伸度100%時の
応力値を繊度で除した値となる。 第2図に示す供給原糸イの初期弾性率は95g/
d[伸度3.16%の時、応力3g/dであり、()
式より3/(3.16/100)=95g/d]であるのに
対して本発明の加工糸の未解撚部ロの初期弾性率
は20g/d[伸度14.9%の時、応力3g/dであ
り、()式より3/(14.9/100)=20g/d]、
過解撚部ハの初期弾性率は19g/d[伸度15.0%
の時、応力2.85g/dであり、()式より
2.85/(15.0/100)=19g/d]であり、未解撚
部、過解撚部共に初期弾性率が低いことが判る。 次に、上記本発明の特殊加工糸の製造方法、原
理について説明する。 先ず、従来の交互撚糸の無撚部の形成に関し
て、液体の間歇施撚による仮撚加工の場合につい
て説明すると、糸条を圧縮流体施撚ノズル(以下
ノズルと言う)を用いた仮撚加工工程に通し、ノ
ズルに流体を間歇的に供給することによつて糸条
の旋回、停止を繰返し、糸条に仮撚の過渡現象を
利用した加工を施す。この場合、流体の停止時に
は未解撚部A2が、供給時には過解撚部C2が形成
され、そして未解撚部A2と過解撚部C2との間に
無撚部B2が、過解撚部C2と後続する未解撚部A2
との間に無撚部D2が形成される。 前記無撚部B2の形成について、第3図を用い
て説明する。第3図の1は、ノズルへの流体の供
給が停止され、未解撚部A2が形成されている状
態を示す。次いで、第3図の2に示すようにノズ
ルに流体の供給が開始されると、解撚ゾーンにあ
る糸条の未解撚部A2をノズル近傍から順次解撚
し始めるが、未解撚部A2は強撚されて強く固定
されており、この解撚作用では過解撚するまでに
至らず、未解撚部A2を解撚するのみに留まり、
その結果無撚部B2となるためである。第3図の
3は、この後の過解撚部C2の形成を示す図であ
る。 次に、無撚部D2の形成について、第4図を用
いて説明する。第4図の1は、ノズルに流体が供
給され、過解撚部C2が形成されている状態を示
す。次いで、第4図の2に示すようにノズルへの
流体の供給を停止すると、ノズル近傍にある撚変
換部を中心として解撚ゾーンにある糸条は過解撚
部C2、加撚ゾーンにある糸条は未解撚部A2とな
るが、これらの互いに方向の異なる撚部のトルク
よつて互いの撚を相殺するため無撚部D2となる
ものである。第4図の3は、この後の未解撚部
A2の形成を示す図である。 このように、形成される無撚部B2、無撚部D2
が糸条の長手方向に沿つて未解撚部A2と過解撚
部C2の間に、また、過解撚部C2と未解撚部A2と
の間に必ず存在することになり、これらの糸条を
編織布帛にした場合無撚部の出現頻度が高くしか
も付与される交互撚も強撚と称するにはほど遠い
集束効果をもたらすのみの軽度のもので、衣料布
帛として好ましくなく、従来の交互撚糸が伸びな
かつたゆえんでもある。 かかる交互撚糸に強撚効果と紡績糸様の自然な
斑を兼ね備えさせるには強撚効果と不必要な柄模
様を呈する無撚部の形成を防止し、紡績糸様の斑
を表現するのに必要な無撚部のみを強撚効果を減
殺しない範囲内で積極的に存在させるという従来
の交互撚糸の常識を越えた技術が要求されるもの
であつた。 本発明者等は上記仮撚加工における仮撚過渡現
象を克明に観察し、種々実験を重ねた結果、従来
の技術に特定の加工操作を施すことにより、糸条
部分1のなま糸状の無撚部B1の長さはデリベリ
ローラとノズルとの距離に関係し、その長さを変
化させることが製造条件的に困難なこと、及び無
撚部D1はその長さを規制し易いこと、嵩高性が
高いことから該糸条部分1と無撚部を積極的に存
在させた糸条部分2とが混在した本発明特殊加工
糸の得られることを知見したものである。 即ち、本発明加工糸の糸条部分1の形成は、例
えばノズルを用いた仮撚加工工程において供給ロ
ーラーとしてノズルへの流体の供給及び停止と連
動して可変速する機能を有するローラーを用い、
先ず所定の高オーバーフイード率で糸条を通し、
ノズルへの流体の供給と同時に可変速ローラの速
度を増大させると、糸条はより高いオーバーフイ
ード率で走行し、このため解撚ゾーンではバルー
ニングを伴つて撚回する。この場合解撚ゾーンに
おけるバルーニングはノズルとデリベリローラー
を弦振動のノード部(節部)として振動するから
解撚ゾーンにある未解撚部A1は撚の伝播によつ
てノズル近傍から順次デリペリローラー部へと解
きほぐされていくのではなく、弦振動によつてデ
リベリローラー近傍の未解撚部A1が解きほぐさ
れて解撚され易くなるので一気に糸条の撚回がデ
リベリローラーまで到達し、解撚ゾーンにある未
解撚部A1を過解撚部C1とすることができ、従つ
て未解撚部A1と後続する過解撚部C1との間の無
撚部B1の形成が防止される。この状態を第5図
を用いて説明する。第5図の1は、ノズルへの流
体の供給が停止され、未解撚部A1が形成されて
いる状態を示す。次いで、第5図の2に示すよう
にノズルに流体の供給が開始され、糸条がより以
上に過供給されると、撚回付与装置として機械式
の仮撚スピンドルとは異なり、高圧流体の噴射に
よるノズルを用いているため、可変速ローラー速
度を増大させても安定した仮撚加工が可能であ
り、しかもオーバーフイード率の増加によつて糸
条の撚回量が増大するため流体供給時の加撚中の
撚は2重撚または準2重撚となり、高密度に施撚
することができ、高密度の撚数を糸条に残存させ
ることができる。 この加撚中の撚状態が2重撚または準2重撚と
なることは通常の仮撚の場合に比して、撚戻し後
の糸条の長さが著しく長いので、撚回中の糸条の
バルーニングを増大させるという利点もある。 上記の如くしてノズルに流体を供給した後、次
いで流体の供給を停止するが、供給停止と同時に
可変速ローラーの速度を減少させる。このように
して糸条の撚回の停止により高オーバーフイード
率で走行していた糸条がたるみ、ローラーへの捲
付等のために走行不能となるのを防止する。そし
て流体供給時に過解撚部C1が形成されていた糸
条は流体停止時に未解撚部A1が形成されること
となり、この過解撚部C1の解撚トルクによつて
過解撚部C1と後続する未解撚部A1の撚を相殺す
る。この相殺作用によつて無撚部D1が形成され
る。この場合未解撚部A1の熱固定が充分すぎる
と過解撚トルクによつては過解撚部C1と未解撚
部A1の撚を相殺することができなくなるので、
熱固定温度は通常の仮撚加工の場合に設定される
温度と同等もしくはそれより低温に設定するのが
よい。このようにして形成される無撚部D1の長
さは加工条件、即ちノズルに流体を供給する時間
(ON時間という)、ノズルへの流体の供給を停止
する時間(OFF時間という)、周期(ON時間と
OFF時間の和)、ON時間のOFF時間に対する比
率、糸速、加撚ゾーンの長さ等により決まり、仮
撚の定常状態が出現しない範囲内でON時間の
OFF時間に対する比率が小さくなる程、また周
期が短かくなる程、または糸速が大きくなる程無
撚部D1の長さは長くなる。無撚部D1の長さと上
記加工条件との関係については、未だ不明な点も
多いが、加撚中の撚糸状態がON時間、OFF時
間、周期、ON時間のOFF時間に対する比率によ
つて変化するため過解撚部C1の解撚トルクの大
きさと、未解撚部A1の撚密度等、解撚され易さ
が変化し、このため過解撚部C1と未解撚部A1の
相殺される距離が変化するものと考えられる。次
の表は、本発明の加工糸を製造するためのノズル
に圧縮空気を供給するON時間とOFF時間の関係
の一例を示すものであり、ON時間とOFF時間の
組合せによる無撚部D1の出現範囲を×印、出現
しない範囲を〇印で示したものである。
【表】
【表】
なお、上記の加工は、供給原糸としてポリエス
テル45d/48f×ポリエステル50d/24f(黒原着
糸)、可変速フイード装置として電磁式テンサー
を用い、デリベリローラ速度68.5m/分、ヒータ
ー温度190℃、捲取りオーバーフイード率2.6%、
空気圧力4Kg/cm2の条件で、かつ、圧縮空気を供
給するON時間とOFF時間を変更して行つた。 かくして、未解撚部A1から過解撚部C1への撚
方向変換部には無撚部B1が実質的に存在せず、
過解撚部C1から未解撚部A1への撚方向変換部に
は無撚部D1が存在する糸条部分1を形成するこ
とができる。 更にこのようにして得られる加工糸は高密度の
撚数を有するため伸長時に伸長応力成分が剪断す
べり応力に変化し初期応力に対して高伸度歪を呈
し、該加工糸の未解撚部A1及び過解撚部C1の初
期弾性率は供給原糸の50%以下と大巾に低減せし
めることができる。 次いで糸条部分2の形成について述べると、所
定の高オーバーフイード率で糸条の走行中にノズ
ルへの流体の供給と同時に可変速ローラーの速度
を減少させると糸条はより低いオーバーフイード
率で走行し、このため解撚ゾーンでは糸条はバル
ーニングすることなく緊張気味となり、解撚ゾー
ンにある未解撚部は撚の伝播によつてノズル近傍
から順次デリベリローラー部へと解きほぐされる
ため解撚ゾーンにある未解撚部を一気に過解撚す
ることはできず、このため未解撚を過解撚トルク
によつて撚を相殺するに留まり、未解撚部と後続
する過解撚部の間の無撚部B2が形成される。尚、
可変速ローラーの速度を減少させる程度は形成さ
れる過解撚部の強撚効果があまり減殺されない程
度にとどめるべきで、変化量は数パーセントの範
囲内とする。 上記の如くノズル流体を供給した後、次いで流
体の供給を停止するが、流体の供給停止と同時に
可変速ローラーの速度を増加して元の所定のオー
バーフイード率に復帰させる。この時糸条は撚回
停止しているためオーバーフイード率増加にかか
わらず張力は低下するのであるが、さらに糸条張
力を低下させることによつて解撚ゾーンにある過
解撚部の撚が撚変換点を超えて未解撚部の際まで
到達させないで無撚部を積極的に存在させる。 尚、オーバーフイード率の増加は所定のオーバ
ーフイード率に復帰するものであつて、その変化
量は数パーセントであり、ローラーに捲付くなど
の糸条走行不能となるものではない。このように
形成される糸条部分1および糸条部分2はノズル
への流体を供給する時間(ON時間という)、ノ
ズルへの流体の供給を停止する時間(OFF時間
という)に対応して可変速ローラー速度を増加あ
るいは減少させることによつて決まり、その長さ
はON時間、OFF時間に対応するものであるが、
糸条部分2の無撚部B2,D2は加工条件、即ちON
時間、OFF時間、周期(ON時間とOFF時間の
和)、ON時間のOFF時間に対する比率、糸速、
解撚ゾーンの長さ、解撚ゾーンの長さ等によつて
決まり、仮撚の定常状態が出現しない範囲内で
ON時間のOFF時間に対する比率が小さくなる
程、また周期が短かくなる程、または糸速が大き
くなる程無撚部B2,D2の長さは長くなる。無撚
部B2,D2の長さと上記加工条件との関係につい
てはまだ不明な点も多いが、無撚部B2について
は解撚ゾーンの未解撚部を一気に過解撚しないで
撚伝播速度に従つて解撚するため充分過解撚でき
ず、解撚するにとどまるため、その無撚部B2の
長さは解撚ゾーン、糸速、熱固定温度に関係し、
無撚部D2については加撚中の撚糸状態がON時
間、OFF時間、周期、ON時間のOFF時間に対す
る比率によつて変化するため過解撚部の解撚トル
クの大きさと、未解撚部の撚密度等解撚され易さ
が変化し、このため過解撚部と未解撚部の相殺さ
れる距離が変化するものと考えられる。上記の如
く糸条部分2の長さ及び無撚部B2,D2の長さは
加工条件と関係するから、例えばランダムパルス
発信装置を用い流体の供給及び停止を流体供給弁
により操作することによつて適宜間隔で、かつ適
宜長さの糸条部分2及び無撚部B2,D2を形成さ
せることができる。かくして無撚部の実質的に存
在しない強撚効果の高い糸条部分1が糸条中の大
部分を占めかつ紡績糸様の斑効果を有する無撚部
の存在する糸条部分2が糸条中に散在する糸条を
製造することができる。 なお、上記本発明加工糸の製造に使用されるノ
ズルとしては、糸条を高速旋回させて撚回を与え
る作用を有するものであればよく、円筒形の糸通
路の円周に流体の流れを指向するように位置した
1個または多数個の流体導管とを組合せたもの
で、該糸通路の内周に対して実質的に切線方向に
向けるような位置に設けたものであればいかなる
ものでもよい。また糸通路の長手軸に対して、流
体導管が実質的に垂直な平面内にあるかもしくは
それ以外のものでもよいが、糸条に前進作用を与
えるように垂直な平面内から傾斜させたものが好
ましい。 また、本発明加工糸はノズルを用いた仮撚加工
工程において、糸条供給装置として糸条の走行張
力によつて回転する消極糸条供給装置(以下フイ
ーダーという)を用い、糸条部分1はノズルへの
流体の供給と同時にフイーダーの荷重を軽荷重と
し、ノズルへの流体の供給停止と同時にフイーダ
ーの荷重を高荷重に変更することによつて形成さ
れ、また無撚部B2,D2を有する糸条部分2は糸
条部分1の形成時とは逆にノズルへの流体の供給
時には高荷重、また流体停止時には低荷重とする
ことによつて形成される。 本発明加工糸における未解撚部及び過解撚部の
撚密度としては、撚の効果が風合に顕著に作用す
るためには、その平均撚数が8000/√(D:糸
条の繊度)以上であることが好ましく、糸条部分
1の糸条に占める比率は、糸条部分2の無撚部
B2,D2の長さにもよるが50%以上が好ましく、
特に好ましくは70〜80%である。なお、ここにい
う平均撚数とは各撚部の分布している撚数を検撚
器または顕微鏡により実測して平均し、1m当り
の撚数に換算したものである。 上記本発明加工糸における熱可塑性合成繊維と
しては、ポリエステル、ポリアミド等のポリマー
及びこれらのコポリマー、ブレンドポリマ等から
得られる合成繊維等が包含される。以上述べた如
く本発明加工糸は上記構成をなすものであるから
以下の如き特有の効果を奏する。 即ち、本発明加工糸は上記のような構成を採用
したので、メートルオーダーにも及ぶ高撚密度の
未解撚部と過解撚部と過解撚部から未解撚部への
撚方向変換部に形成された嵩高な無撚部とを有し
た糸条部分1となま糸状の無撚部と嵩高な無撚部
を有する糸条部分2が存在し、その無撚部は不規
則な間隔でかつ不規則な長さで存在するため、織
編物にすると紡績糸様の斑を有した表面効果が得
られ、強撚による高度のシヤリ感と優れた斑効果
を発揮することができる。本発明の加工糸は、未
解撚部及び過解撚部の長さがいずれもメートルオ
ーダーを含む長い撚部であることを必須の要件と
する。 すなわち、未解撚部や過解撚部に引張応力や曲
げ応力が加わると、この応力は撚線に沿つた剪断
応力となつて撚山間の滑りをもたらし、この結
果、布帛にドレープ性や重量感が付与される。し
かしながら、未解撚部および過解撚部の長さが数
ミリメーターオーダーから長くても数センチメー
ターオーダーでは、撚方向変換部が1m当り10個
以上と多くなり、このように撚方向変換部が多く
存在すると、引張応力や曲げ応力は撚山間が滑る
剪断応力に変換されないため、布帛にドレープ性
や重量感を付与することができない。布帛にドレ
ープ性や重量感を付与するためには、これらの撚
部をメートルオーダーにも及ぶ長さにしなければ
ならない。 本発明の加工糸は、前述したように従来の技術
とは全く異なる製造技術を採用して得られるもの
であり、本発明の加工糸を得るための加工原理
は、仮撚の加撚−解撚の撚相殺時に起きる過渡現
象を応用するものである。間歇的仮撚操作に同調
して加撚領域に供給される糸条の速度を可変速す
るため、未解撚部及び過解撚部が特異な撚数分布
をもち、強撚糸調風合を得るのに十分な8000/√
D(T/M)以上の高度な撚数を糸条に残存さ
せ、かつ未解撚部および過解撚部の初期弾性率を
40g/d以下となすことができるものである。ま
た、本発明加工糸の糸条部分1の未解撚部および
過解撚部はいずれも高度な撚密度を有し、このた
め見掛布帛の厚さが薄くなり重量感が得られる。
更に本発明加工糸の糸条部分1はその未解撚部お
よび過解撚部の初期弾性率が40g/d以下と低い
ものであるから、得られる織編物布帛にドレープ
性を付与することができる。また、この初期弾性
率が低いことは撚部が高密度を有することと相俟
つて良好な可撓性を有しかつ弾力性のある布帛を
得ることができる。 更にまた、強撚により織編物中の糸条は偏平に
ならず、織編物中の糸の交錯点における接触面積
は小さくなり、このため交錯点での糸間のスベリ
が容易で、ドレープ性を有する布帛が得られる等
の特長もあり、本発明加工糸を使用することによ
り従来の交互撚糸では得られなかつた強撚糸様の
強撚効果と紡績糸様の布帛表面の斑効果を有する
織編物布帛を得ることができる。 以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。 実施例 1 ポリエステルフイラメント150d/48f(円形断面
形状、ブライト糸、初期弾性率96g/d)を可変
速供給ローラー、ヒーター、ノズル、デリベリロ
ーラーによつて構成される加工工程に供給し、下
記の如き加工条件にて加工を行い、第1表の如き
交互撚糸を得た。
テル45d/48f×ポリエステル50d/24f(黒原着
糸)、可変速フイード装置として電磁式テンサー
を用い、デリベリローラ速度68.5m/分、ヒータ
ー温度190℃、捲取りオーバーフイード率2.6%、
空気圧力4Kg/cm2の条件で、かつ、圧縮空気を供
給するON時間とOFF時間を変更して行つた。 かくして、未解撚部A1から過解撚部C1への撚
方向変換部には無撚部B1が実質的に存在せず、
過解撚部C1から未解撚部A1への撚方向変換部に
は無撚部D1が存在する糸条部分1を形成するこ
とができる。 更にこのようにして得られる加工糸は高密度の
撚数を有するため伸長時に伸長応力成分が剪断す
べり応力に変化し初期応力に対して高伸度歪を呈
し、該加工糸の未解撚部A1及び過解撚部C1の初
期弾性率は供給原糸の50%以下と大巾に低減せし
めることができる。 次いで糸条部分2の形成について述べると、所
定の高オーバーフイード率で糸条の走行中にノズ
ルへの流体の供給と同時に可変速ローラーの速度
を減少させると糸条はより低いオーバーフイード
率で走行し、このため解撚ゾーンでは糸条はバル
ーニングすることなく緊張気味となり、解撚ゾー
ンにある未解撚部は撚の伝播によつてノズル近傍
から順次デリベリローラー部へと解きほぐされる
ため解撚ゾーンにある未解撚部を一気に過解撚す
ることはできず、このため未解撚を過解撚トルク
によつて撚を相殺するに留まり、未解撚部と後続
する過解撚部の間の無撚部B2が形成される。尚、
可変速ローラーの速度を減少させる程度は形成さ
れる過解撚部の強撚効果があまり減殺されない程
度にとどめるべきで、変化量は数パーセントの範
囲内とする。 上記の如くノズル流体を供給した後、次いで流
体の供給を停止するが、流体の供給停止と同時に
可変速ローラーの速度を増加して元の所定のオー
バーフイード率に復帰させる。この時糸条は撚回
停止しているためオーバーフイード率増加にかか
わらず張力は低下するのであるが、さらに糸条張
力を低下させることによつて解撚ゾーンにある過
解撚部の撚が撚変換点を超えて未解撚部の際まで
到達させないで無撚部を積極的に存在させる。 尚、オーバーフイード率の増加は所定のオーバ
ーフイード率に復帰するものであつて、その変化
量は数パーセントであり、ローラーに捲付くなど
の糸条走行不能となるものではない。このように
形成される糸条部分1および糸条部分2はノズル
への流体を供給する時間(ON時間という)、ノ
ズルへの流体の供給を停止する時間(OFF時間
という)に対応して可変速ローラー速度を増加あ
るいは減少させることによつて決まり、その長さ
はON時間、OFF時間に対応するものであるが、
糸条部分2の無撚部B2,D2は加工条件、即ちON
時間、OFF時間、周期(ON時間とOFF時間の
和)、ON時間のOFF時間に対する比率、糸速、
解撚ゾーンの長さ、解撚ゾーンの長さ等によつて
決まり、仮撚の定常状態が出現しない範囲内で
ON時間のOFF時間に対する比率が小さくなる
程、また周期が短かくなる程、または糸速が大き
くなる程無撚部B2,D2の長さは長くなる。無撚
部B2,D2の長さと上記加工条件との関係につい
てはまだ不明な点も多いが、無撚部B2について
は解撚ゾーンの未解撚部を一気に過解撚しないで
撚伝播速度に従つて解撚するため充分過解撚でき
ず、解撚するにとどまるため、その無撚部B2の
長さは解撚ゾーン、糸速、熱固定温度に関係し、
無撚部D2については加撚中の撚糸状態がON時
間、OFF時間、周期、ON時間のOFF時間に対す
る比率によつて変化するため過解撚部の解撚トル
クの大きさと、未解撚部の撚密度等解撚され易さ
が変化し、このため過解撚部と未解撚部の相殺さ
れる距離が変化するものと考えられる。上記の如
く糸条部分2の長さ及び無撚部B2,D2の長さは
加工条件と関係するから、例えばランダムパルス
発信装置を用い流体の供給及び停止を流体供給弁
により操作することによつて適宜間隔で、かつ適
宜長さの糸条部分2及び無撚部B2,D2を形成さ
せることができる。かくして無撚部の実質的に存
在しない強撚効果の高い糸条部分1が糸条中の大
部分を占めかつ紡績糸様の斑効果を有する無撚部
の存在する糸条部分2が糸条中に散在する糸条を
製造することができる。 なお、上記本発明加工糸の製造に使用されるノ
ズルとしては、糸条を高速旋回させて撚回を与え
る作用を有するものであればよく、円筒形の糸通
路の円周に流体の流れを指向するように位置した
1個または多数個の流体導管とを組合せたもの
で、該糸通路の内周に対して実質的に切線方向に
向けるような位置に設けたものであればいかなる
ものでもよい。また糸通路の長手軸に対して、流
体導管が実質的に垂直な平面内にあるかもしくは
それ以外のものでもよいが、糸条に前進作用を与
えるように垂直な平面内から傾斜させたものが好
ましい。 また、本発明加工糸はノズルを用いた仮撚加工
工程において、糸条供給装置として糸条の走行張
力によつて回転する消極糸条供給装置(以下フイ
ーダーという)を用い、糸条部分1はノズルへの
流体の供給と同時にフイーダーの荷重を軽荷重と
し、ノズルへの流体の供給停止と同時にフイーダ
ーの荷重を高荷重に変更することによつて形成さ
れ、また無撚部B2,D2を有する糸条部分2は糸
条部分1の形成時とは逆にノズルへの流体の供給
時には高荷重、また流体停止時には低荷重とする
ことによつて形成される。 本発明加工糸における未解撚部及び過解撚部の
撚密度としては、撚の効果が風合に顕著に作用す
るためには、その平均撚数が8000/√(D:糸
条の繊度)以上であることが好ましく、糸条部分
1の糸条に占める比率は、糸条部分2の無撚部
B2,D2の長さにもよるが50%以上が好ましく、
特に好ましくは70〜80%である。なお、ここにい
う平均撚数とは各撚部の分布している撚数を検撚
器または顕微鏡により実測して平均し、1m当り
の撚数に換算したものである。 上記本発明加工糸における熱可塑性合成繊維と
しては、ポリエステル、ポリアミド等のポリマー
及びこれらのコポリマー、ブレンドポリマ等から
得られる合成繊維等が包含される。以上述べた如
く本発明加工糸は上記構成をなすものであるから
以下の如き特有の効果を奏する。 即ち、本発明加工糸は上記のような構成を採用
したので、メートルオーダーにも及ぶ高撚密度の
未解撚部と過解撚部と過解撚部から未解撚部への
撚方向変換部に形成された嵩高な無撚部とを有し
た糸条部分1となま糸状の無撚部と嵩高な無撚部
を有する糸条部分2が存在し、その無撚部は不規
則な間隔でかつ不規則な長さで存在するため、織
編物にすると紡績糸様の斑を有した表面効果が得
られ、強撚による高度のシヤリ感と優れた斑効果
を発揮することができる。本発明の加工糸は、未
解撚部及び過解撚部の長さがいずれもメートルオ
ーダーを含む長い撚部であることを必須の要件と
する。 すなわち、未解撚部や過解撚部に引張応力や曲
げ応力が加わると、この応力は撚線に沿つた剪断
応力となつて撚山間の滑りをもたらし、この結
果、布帛にドレープ性や重量感が付与される。し
かしながら、未解撚部および過解撚部の長さが数
ミリメーターオーダーから長くても数センチメー
ターオーダーでは、撚方向変換部が1m当り10個
以上と多くなり、このように撚方向変換部が多く
存在すると、引張応力や曲げ応力は撚山間が滑る
剪断応力に変換されないため、布帛にドレープ性
や重量感を付与することができない。布帛にドレ
ープ性や重量感を付与するためには、これらの撚
部をメートルオーダーにも及ぶ長さにしなければ
ならない。 本発明の加工糸は、前述したように従来の技術
とは全く異なる製造技術を採用して得られるもの
であり、本発明の加工糸を得るための加工原理
は、仮撚の加撚−解撚の撚相殺時に起きる過渡現
象を応用するものである。間歇的仮撚操作に同調
して加撚領域に供給される糸条の速度を可変速す
るため、未解撚部及び過解撚部が特異な撚数分布
をもち、強撚糸調風合を得るのに十分な8000/√
D(T/M)以上の高度な撚数を糸条に残存さ
せ、かつ未解撚部および過解撚部の初期弾性率を
40g/d以下となすことができるものである。ま
た、本発明加工糸の糸条部分1の未解撚部および
過解撚部はいずれも高度な撚密度を有し、このた
め見掛布帛の厚さが薄くなり重量感が得られる。
更に本発明加工糸の糸条部分1はその未解撚部お
よび過解撚部の初期弾性率が40g/d以下と低い
ものであるから、得られる織編物布帛にドレープ
性を付与することができる。また、この初期弾性
率が低いことは撚部が高密度を有することと相俟
つて良好な可撓性を有しかつ弾力性のある布帛を
得ることができる。 更にまた、強撚により織編物中の糸条は偏平に
ならず、織編物中の糸の交錯点における接触面積
は小さくなり、このため交錯点での糸間のスベリ
が容易で、ドレープ性を有する布帛が得られる等
の特長もあり、本発明加工糸を使用することによ
り従来の交互撚糸では得られなかつた強撚糸様の
強撚効果と紡績糸様の布帛表面の斑効果を有する
織編物布帛を得ることができる。 以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。 実施例 1 ポリエステルフイラメント150d/48f(円形断面
形状、ブライト糸、初期弾性率96g/d)を可変
速供給ローラー、ヒーター、ノズル、デリベリロ
ーラーによつて構成される加工工程に供給し、下
記の如き加工条件にて加工を行い、第1表の如き
交互撚糸を得た。
【表】
【表】
糸条部分1及び2は不規則な出現、頻度、時間
となるようあらかじめマイクロコンピユーターに
プログラムし、糸条部分1の比率は80%となるよ
うにした。 流体の種類 常温空気 流体の圧力 4Kg/cm2 ヒーターの温度 180℃ 巻取ローラ速度 102m/min
となるようあらかじめマイクロコンピユーターに
プログラムし、糸条部分1の比率は80%となるよ
うにした。 流体の種類 常温空気 流体の圧力 4Kg/cm2 ヒーターの温度 180℃ 巻取ローラ速度 102m/min
【表】
得られた加工糸の無撚部は最大20cm、最小3cm
の種々の長さで不規則に存在しており、無撚部
B1は撚方向変換点としてのみ存在し、実質的な
長さはみられなかつた。この加工糸を経糸密度85
本/吋、緯糸密度60本/吋で経緯2本交互に用い
て製織し、この織物に通常のポリエステルアルカ
リ減量加工(15%減量)を施し、染色、仕上加工
を行つたところ、嵩高部が経緯に交叉し紡績糸様
の表面斑形態を呈すると共に、強撚糸様の繊細な
感覚のシヤリ感、ドレープ性、重量感及び弾力性
のある優れた風合の織物が得られた。
の種々の長さで不規則に存在しており、無撚部
B1は撚方向変換点としてのみ存在し、実質的な
長さはみられなかつた。この加工糸を経糸密度85
本/吋、緯糸密度60本/吋で経緯2本交互に用い
て製織し、この織物に通常のポリエステルアルカ
リ減量加工(15%減量)を施し、染色、仕上加工
を行つたところ、嵩高部が経緯に交叉し紡績糸様
の表面斑形態を呈すると共に、強撚糸様の繊細な
感覚のシヤリ感、ドレープ性、重量感及び弾力性
のある優れた風合の織物が得られた。
第1図は本発明加工糸の一例の概略側面図、第
2図は本発明加工糸の糸条部分1の未解撚部A1
過解撚部C1及び供給原糸の初期応力と伸長との
関係を示すグラフである。また、第3図及び第4
図は、糸条の供給速度を可変速しない場合の無撚
部B2及び無撚部D2の形成の説明図、第5図は、
糸条の供給速度を可変速して本発明の加工糸を製
造するための説明図である。 A1:糸条部分1の未解撚部、B1:糸条部分1
の未解撚部から過解撚部への撚方向変換部におけ
る無撚部、C1:糸条部分1の過解撚部、D1:糸
条部分1の過解撚部から未解撚部への撚方向変換
部における無撚部、A2:糸条部分2の未解撚部、
B2:糸条部分2の未解撚部から過解撚部への撚
方向変換部における無撚部、C2:糸条部分2の
過解撚部、D2:糸条部分2の過解撚部から未解
撚部への撚方向変換部における無撚部。
2図は本発明加工糸の糸条部分1の未解撚部A1
過解撚部C1及び供給原糸の初期応力と伸長との
関係を示すグラフである。また、第3図及び第4
図は、糸条の供給速度を可変速しない場合の無撚
部B2及び無撚部D2の形成の説明図、第5図は、
糸条の供給速度を可変速して本発明の加工糸を製
造するための説明図である。 A1:糸条部分1の未解撚部、B1:糸条部分1
の未解撚部から過解撚部への撚方向変換部におけ
る無撚部、C1:糸条部分1の過解撚部、D1:糸
条部分1の過解撚部から未解撚部への撚方向変換
部における無撚部、A2:糸条部分2の未解撚部、
B2:糸条部分2の未解撚部から過解撚部への撚
方向変換部における無撚部、C2:糸条部分2の
過解撚部、D2:糸条部分2の過解撚部から未解
撚部への撚方向変換部における無撚部。
Claims (1)
- 1 仮撚加撚方向の撚を有したメートルオーダー
を含む長さの未解撚部と、仮撚解撚方向の撚を有
したメートルオーダーを含む長さの過解撚部とを
交互に形成せしめたフイラメント糸条であつて、
これらの撚部のフイラメント相互は融着すること
なく長手方向に撚数分布を有し、その平均撚数は
8000/√(T/M)以上であり、未解撚部から
過解撚部への撚方向転換部には無撚部が実質的に
存在せず、過解撚部から未解撚部への撚方向転換
部に嵩高な無撚部が存在する糸条部分1と、未解
撚部から過解撚部への撚方向転換部になま糸状の
無撚部が存在し、過解撚部から未解撚部への撚方
向転換部に嵩高な無撚部が存在する糸条部分2と
が不規則な間隔で、しかも不規則な長さで存在し
ており、かつ前記糸条部分1の未解撚部及び過解
撚部は40g/d以下の初期弾性率であることを特
徴とする強撚糸調特殊加工糸。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3449282A JPS58156046A (ja) | 1982-03-03 | 1982-03-03 | 強撚糸調特殊加工糸 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3449282A JPS58156046A (ja) | 1982-03-03 | 1982-03-03 | 強撚糸調特殊加工糸 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS58156046A JPS58156046A (ja) | 1983-09-16 |
JPH0317934B2 true JPH0317934B2 (ja) | 1991-03-11 |
Family
ID=12415739
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3449282A Granted JPS58156046A (ja) | 1982-03-03 | 1982-03-03 | 強撚糸調特殊加工糸 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS58156046A (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6063420U (ja) * | 1983-10-11 | 1985-05-04 | 日本鋼管株式会社 | バケツトコンベヤ式沈砂掻揚装置 |
JP2530596B2 (ja) * | 1985-05-20 | 1996-09-04 | ユニチカ株式会社 | フアンシ−ヤ−ンの製造方法 |
JP2533084B2 (ja) * | 1985-12-12 | 1996-09-11 | ユニチカ株式会社 | かすり調杢外観を有する織編物用加工糸 |
JPH0420687Y2 (ja) * | 1986-10-21 | 1992-05-12 | ||
JPS63152431A (ja) * | 1986-12-11 | 1988-06-24 | 三菱レイヨン株式会社 | 複合仮撚加工糸 |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5149949A (ja) * | 1974-10-22 | 1976-04-30 | Toyo Orimono Kk | Kazarinenshi |
JPS5398444A (en) * | 1977-02-01 | 1978-08-28 | Toray Industries | Falseetwisted yarn of special type |
JPS551332A (en) * | 1978-06-16 | 1980-01-08 | Teijin Ltd | Spun like two layer structure fluf yarn and method |
JPS55148231A (en) * | 1979-05-04 | 1980-11-18 | Toray Industries | Special processed yarn * production thereof and woven and knitted fabric using same |
JPS55152828A (en) * | 1979-05-16 | 1980-11-28 | Oda Gosen Kogyo Kk | Crimped yarn and production thereof |
JPS5881639A (ja) * | 1981-11-05 | 1983-05-17 | ユニチカ株式会社 | 強撚調特殊加工糸 |
-
1982
- 1982-03-03 JP JP3449282A patent/JPS58156046A/ja active Granted
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5149949A (ja) * | 1974-10-22 | 1976-04-30 | Toyo Orimono Kk | Kazarinenshi |
JPS5398444A (en) * | 1977-02-01 | 1978-08-28 | Toray Industries | Falseetwisted yarn of special type |
JPS551332A (en) * | 1978-06-16 | 1980-01-08 | Teijin Ltd | Spun like two layer structure fluf yarn and method |
JPS55148231A (en) * | 1979-05-04 | 1980-11-18 | Toray Industries | Special processed yarn * production thereof and woven and knitted fabric using same |
JPS55152828A (en) * | 1979-05-16 | 1980-11-28 | Oda Gosen Kogyo Kk | Crimped yarn and production thereof |
JPS5881639A (ja) * | 1981-11-05 | 1983-05-17 | ユニチカ株式会社 | 強撚調特殊加工糸 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS58156046A (ja) | 1983-09-16 |
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