JPH0314334Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は車両用等のステアリングホイールに係
り、詳しくはスポーク部とリング部の接合部の被
覆材が厚肉に形成され、ステアリング芯金と樹脂
インサートの周囲に内部被覆材とさらにその外周
に外部被覆材が射出成形されたステアリングホイ
ールに関するものである。

（従来の技術） 一般のステアリングホイールは、ステアリング
芯金の周囲にウレタン、PP（ポリプロピレン）等
の合成樹脂よりなる一層の被覆材が射出成形され
ているが、この被覆材には一層のため相当量の合
成樹脂を必要とし、多額の材料コストを費やして
いる。

また、スポーク部とリング部の接合部では、被
覆材が厚肉となり、合成樹脂の収縮により厚肉部
位の表面にヒケが生じ外観不良の原因となつてい
た。

そこで、最近は被覆材成形用の射出成形金型に
合成樹脂の廃材よりなる安価な樹脂インサートを
ステアリング芯金とともにセツトし、該ステアリ
ング芯金と樹脂インサートの周囲に被覆材を射出
成形することによつて、被覆材の厚肉部位の肉厚
を薄くしてヒケ防止を図るとともに、内部を安価
な樹脂インサートで構成したステアリングホイー
ルが検討されている。

このステアリングホイールによれば、被覆材に
要する合成樹脂が節減されて肉厚を薄くでき、ヒ
ケ防止が図れるとともに、インサートに廃材等を
利用した場合にはコストダウンを図ることができ
る。

（考案が解決しようとする課題） ところが、上記の樹脂インサートを有するステ
アリングホイールでは、被覆材成形時において樹
脂インサートの位置決めが難しく、射出成形の射
出圧で上記樹脂インサートが移動してしまい被覆
材の肉厚が部分的に薄くなりすぎるおそれがある
という課題があつた。

また、樹脂インサートには寸法誤差やひずみ等
が存在するため、細長い形状のものでは樹脂イン
サートの全体を射出成形金型内において正規の位
置にセツトすることは困難であつた。なお、被覆
材の肉厚が部分的に薄くなりすぎると、すなわち
樹脂インサートの表面と金型の成形面との距離が
部分的に接近しすぎると、同部分の被覆材の肉厚
が薄くなりすぎて触感の低下につながつたり、極
端な場合は樹脂インサートが被覆材の表面に露出
して、製品不良になるというおそれがあつた。

（課題を解決するための手段） そこで、本考案は前記課題を解決するために、
スポーク部とリング部の接合部の合成樹脂製被覆
材が厚肉に形成されるステアリングホイールにお
いて、ボスとスポーク部芯金とリング部芯金とか
らなるステアリング芯金と、樹脂インサートと、
前記ステアリング芯金と樹脂インサートとを一体
に鋳くるんで予備成形体を形成する内部被覆材
と、前記リング部芯金と内部被覆材の外周を覆う
外部被覆材とからなり、前記樹脂インサートの表
面には、予備成形時に予備成形用射出成形金型の
成形面に少なくとも一部が接触して位置決めを行
う位置決め用突起を設けるという手段を採つたも
のである。

（作用） 予備成形用射出成形金型にステアリング芯金と
別体に形成した樹脂インサートをセツトして型合
わせしたとき、前記樹脂インサートに設けられた
位置決め突部が金型の成形面に接触するため、樹
脂インサートは金型内の正規の位置に位置決めさ
れる。

続いて、キヤビテイに予備成形体用の内部被覆
材を射出成形すると、樹脂インサートの表面と金
型の成形面との間には少なくとも位置決め突部の
高さ分の間隔が確保されているため、内部被覆材
は少なくとも位置決め突部の高さ分の厚さに形成
される。

従つて、樹脂インサートが予備成形体の内部被
覆材の正規の位置に配設される。そして、この予
備成形体を外部被覆層用の射出成形金型にセツト
し、射出成形すれば、予備成形体が所定の内部被
覆材の肉厚で形成されているので、外部被覆材は
所定の肉厚が確保される。

（実施例） 以下、本考案を具体化した実施例を図面に従つ
て説明する。

本実施例のステアリングホイール１は、ステア
リング芯金２と、同ステアリング芯金２の上部に
配設された樹脂インサート３と、ステアリング芯
金２の一部及び樹脂インサート３とを鋳くるん
で、その周囲に射出成形された内部被覆材４と、
同内部被覆材４とともに射出成形されたロアカバ
ー部５とからなる予備成形体１０と、この予備成
形体１０及び前記ステアリング芯金２のリング部
芯金８の外周に射出成形された外部被覆材９と、
ロアカバー部５の上方に取付けられた図示しない
パツド部とから構成されている。

前記ステアリング芯金２は図示しないステアリ
ングシヤフトにナツトで固定される円筒状のボス
６と、基端において同ボス６に固定され、ほぼ八
字状に延びるパイプ状の２本のスポーク部芯金７
と、両スポーク部芯金７の先端に固定されたリン
グ部芯金８とからなり、いずれも鋼により形成さ
れている。

また、前記樹脂インサート３は、左右に延びて
その両端部が両スポーク部芯金７の先端部に載せ
られた横架インサート１１と、同横架インサート
１１の中央部から前方に延びるカバー部インサー
ト１２と、横架インサート１１の両端から両スポ
ーク部芯金７の上方へと延出し、スポーク部芯金
７とリング部芯金８とのコーナー部に配設された
正面逆三角形状の２つのスポーク部インサート１
３とからなり、該樹脂インサート３はPP等の合
成樹脂の廃材により一体的に射出成形されてい
る。

両スポーク部インサート１３の正面及び背面の
各々上部及び下部には、位置決め突部としての断
面半円状で左右に延びる突条１４が設けられ、同
突条１４は後述する予備成形体１０形成用の射出
成形金型の成形面に接触するようになつている。

予備成形体１０の内部被覆材４はスポーク部芯
金７及びスポーク部インサート１３の周囲に被覆
されたスポーク部被覆１５と、横架インサート１
１及びカバー部インサート１２の周囲に被覆され
たカバー部被覆１６と、リング部芯金８の左右部
分のみの周囲に被覆されたリング部被覆１７とか
らなり、ガラス繊維により強化されたPPにより
一体的に射出成形されている。

同内部被覆材４はその各部において所定の厚さ
が確保され、ステアリング芯金２及び樹脂インサ
ート３の突条１４以外の表面が露出しないように
なつている。特に、第３図に示すように、スポー
ク部被覆１５はスポーク部インサート１３に設け
られた突条１４の高さ分の厚さが最低限確保され
るとともに、前記ステアリング芯金２に対して前
記樹脂インサート３が所定の位置で一体的に固定
される。

また、予備成形体１０のロアカバー部５はボス
６の周囲からスポーク部被覆１５及びカバー部被
覆１６にかけて設けられ、前記内部被覆材４とと
もにガラス繊維入りのPPにより一体的に射出成
形されている。

また、最終形状を形成する外部被覆材９は第３
図に一部示すように予備成形体１０のロアカバー
部５、スポーク部被覆１５、リング部被覆１７及
びリング部芯金８の外側全周に設けられ、軟質
PVC（ポリ塩化ビニル）により一体的に射出成形
されている。

次に、以上のように構成されるステアリングホ
イールの製造方法を説明する。

まず、第１，２図に示すように、予備成形体１
０形成用の射出成形金型の下型２１にステアリン
グ芯金２をセツトするとともに、同ステアリング
芯金２の両スポーク部芯金７の上部に横架するよ
うに樹脂インサート３を載せる。次に、下型２１
を上昇させて上型２２に型合わせするが、このと
き、前記スポーク部インサート１３の正面及び背
面に設けられた突条１４の少なくとも一部が両型
２１，２２の成形面に接触するため、樹脂インサ
ート３の全体が両型２１、２２内における正規の
位置に位置決めされる。

続いて、両型２１，２２のキヤビテイにガラス
繊維入りのPPを射出成形すると、同PPは前記ス
テアリング芯金２の一部及び樹脂インサート３を
鋳くるんで、内部被覆材４とロアカバー部５とを
有する予備成形体１０が形成される。このとき、
第２図に示すように、スポーク部インサート１３
の表面と両型２１，２２の成形面との間には少な
くとも突条１４の高さ分の間隔が確保されている
ため、ガラス繊維入りのPPはこの間隔に回り込
んで充満する。従つて、スポーク部被覆１５につ
いては少なくとも突条１４の高さ分の厚さに形成
される。

次に、両型２１，２２を型開きして予備成形体
１０を取出し、この予備成形体１０を通常の横型
射出成形機に装着してある外部被覆材９成形用金
型（図示せず）にセツトして軟質PVCをインサ
ート射出成形すれば、第３図に示すように所定の
肉厚の外部被覆材９が被覆形成される。その後、
スポーク部芯金７及びロアカバー部５を覆うよう
にパツド部を取付ければステアリングホイール１
が完成する。

以上の通りの実施例によれば、樹脂インサート
３を予備成形体１０内の正規の位置に配設するこ
とができるばかりでなく、スポーク部被覆１５の
所定の肉厚を確保することができ、ひいては、そ
の部位における外部被覆材９の肉厚を一定にする
ことができるため、触感が低下したり、形状不良
となつたり、スポーク部インサート１３が露出し
て製品不良となつたりする、という種々の不具合
を未然に防止することができる。

なお、本考案は前記実施例の構成に限定される
ものではなく、例えば以下のように考案の趣旨か
ら逸脱しない範囲で任意に変更して具体化するこ
ともできる。

(1) 位置決め用突部は、予備成形体１０成形用の
射出成形金型２１，２２の成形面に少なくとも
一部が接触するものであればよく、位置決め用
突部を複数設けた場合、必ずしもそれらが全部
金型に接触する必要はない。

(2) 位置決め用突部として、断面三角形状の突
条、半球状突起、円錐状突起、その他の各種突
部を採用することができ、その数も限定されな
い。もつとも、位置決め用突部の先端面積は、
小さい方が射出された樹脂の回りの点で好まし
い。

(3) 樹脂インサート３の寸法形状は、ステアリン
グホイールの寸法形状に応じて変更される。ま
た、位置決め用突部は樹脂インサート３のいず
れの部位の表面に設けてもよい。

(4) 位置決め用突部は樹脂インサート３と別体に
形成した後に、同樹脂インサート３に接合した
ものであつてもよい。ただし、前記実施例のよ
うに一体的に射出成形した方が製造上もコスト
上も好ましい。

考案の効果 以上詳述したように、本考案によれば、樹脂イ
ンサートを予備成形体の内部の正規の位置に配設
することができ、ひいては、最終形状を形成する
外部被覆材の肉厚を一定にすることができるた
め、触感が低下したり、形状不良又は製品不良と
なつたりする不具合を未然に防止することができ
るという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を具体化した実施例の予備成形
体の正面図、第２図は同じくスポーク部の射出成
形時の状態を示す要部断面図、第３図は同じく完
成したスポーク部の要部断面図である。 １……ステアリングホイール、２……ステアリ
ング芯金、３……樹脂インサート、４……内部被
覆材、９……外部被覆材、１０……予備成形体、
１４……位置決め突部としての突条、２１……下
型、２２……上型。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ スポーク部とリング部の接合部の合成樹脂
   製被覆材が厚肉に形成されるステアリングホイ
   ールにおいて、ボス６とスポーク部芯金７とリ
   ング部芯金８とからなるステアリング芯金２
   と、樹脂インサート３と、前記ステアリング芯
   金２と樹脂インサート３とを一体に鋳くるんで
   予備成形体１０を形成する内部被覆材４と、前
   記リング部芯金８と内部被覆材４の外周を覆う
   外部被覆材９とからなり、前記樹脂インサート
   ３の表面には、予備成形時に予備成形用射出成
   形金型２１，２２の成形面に少なくとも一部が
   接触して位置決めを行う位置決め用突起１４が
   設けられていることを特徴とするステアリング
   ホイール。 ２ 前記位置決め突部１４は樹脂インサート３の
   正面及び背面の両面に設けられている実用新案
   登録請求の範囲第１項に記載のステアリングホ
   イール。 ３ 前記位置決め突部１４は樹脂インサート３と
   一体成形されたものである実用新案登録請求の
   範囲第１項に記載のステアリングホイール。 ４ 前記位置決め突部１４は突条である実用新案
   登録請求の範囲第１項に記載のステアリングホ
   イール。