JPH0223880Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、押側ストロークに依存して減衰力が
変化するようにした二輪車等のフロントフオーク
に関する。

二輪車等の前輪を懸架するフロントフオーク
は、内部に封入した油の流動に伴つて発生する減
衰力によつて外部衝撃を有効に吸収緩和し、乗心
地性の向上を図るものである。

ところで、この種フロントフオークにあつて
は、そのストローク初期には発生減衰力を低く抑
えて車輪から伝えられる微振動を十分吸収し、ス
トロークが進むにつれて発生減衰力を高め、特に
最圧縮状態では減衰力を極大にして所謂底付き現
象の発生を防止することが望ましい。

本考案は斯る観点より成されたもので、その目
的とする処は、圧縮ストロークの増大とともに発
生減衰力が高く調整される二輪車等のフロントフ
オークを提供するにある。

斯かる目的を達成すべく本考案は、内・外筒を
摺動自在に嵌合し、外筒内底部に植設したシート
パイプの上端ピストン部を内筒内周に摺接して成
る二輪車等のフロントフオークにおいて、前記シ
ートパイプ内にその周壁に油孔を穿設して成るア
ジヤストパイプをガイド部材を介して摺動自在に
嵌装するとともに、アジヤストパイプが内筒と連
動してシートパイプに対して摺動した場合に前記
アジヤストパイプに形成した油孔が前記ガイド部
材で絞られるようにし、また該アジヤストパイプ
と前記シートパイプ間及び同アジヤストパイプと
内筒上端間に夫々スプリングを介設したことをそ
の要旨とする。

以下に本考案の好適一実施例を添付図面に基づ
いて詳述する。

第１図は本考案に係るフロントフオークの半截
断面図、第２図は同フロントフオーク下半部の拡
大半截断面図、第３図及び第４図は同フロントフ
オーク下端部の部分破断面図である。

第１図に示すフロントフオーク１において２は
外筒あであり、該外筒２の内部には内筒３が上下
摺動自在に挿入嵌合されている。又外筒２内底部
にはシートパイプ４がボルト５にて植設されてお
り、該シートパイプ４の上端ピストン部４ａは前
記内筒３内周に摺接している。

上記シートパイプ４の周壁には油孔４ｂ…，４
ｃ…，４ｄ…，４ｅ…が夫々穿設されており、該
シートパイプ４の下部外周にはこれとの間に隙間
ΔS₁を形成してオイルロツクピース６が設けられ
ており、該オイルロツクピース６の上端面には前
記隙間ΔS₁を閉塞すべき方向にスプリング７で付
勢されたチエツクバルブ８が当接している。

ところで、シートパイプ４の内部にはガイド部
材９，１０を介してアジヤストパイプ１１が上下
摺動自在に嵌装されており、該アジヤストパイプ
１１とシートパイプ４間には隙間ΔS₂が形成され
ている。そして、このアジヤストパイプ１１の周
壁には図示の如く油孔１１ａ…，１１ｂ…が穿設
されている。

又上記アジヤストパイプ１１の上部外周にはス
プリングシート１２が螺合しており、該スプリン
グシート１２はダブルロツクナツト１３，１４に
て位置決め固定されている。そして、スプリング
シート１２とガイド部材９の上面に着座するスプ
リングシート１５間にはスプリング１６が介設さ
れている。

一方、前記内筒３の上端部はフオークボルト１
７にて閉塞されており、又該内筒３の下部内周に
嵌装されるピストン１８は前記シートパイプ４外
周に摺接している。そして、内筒３内のフオーク
ボルト１７と前記スプリングシート１２間には図
示の如くスプリング１９が張架されている。

又外筒２の上部内周には内筒３外周に摺接する
オイルシール２０が嵌装されており、外筒２の上
部には同じくそのリツプ部が内筒３外周に摺接す
るダストシール２１が被冠されている。更に内筒
３の外周摺動部は該内筒３と外筒２間に架設され
る伸縮自在な蛇腹状ダストブーツ２２にて被われ
ている。

而してフロントフオーク１の内部はシートパイ
プ内・外室S₁，S₂，S₄及び上部室S₃に区画されて
おり、各室S₁，S₂，S₃，S₄内には作動油が封入さ
れ、特に上部室S₃の上部はガスで占められてい
る。

次に本フロントフオーク１の作用を説明する。

まず、圧縮工程において内筒３が外筒２に対し
て下動すれば、シートパイプ外室S₂内の作動油は
第２図に示す如くシートパイプ４に設けた油孔４
ｄ…、隙間ΔS₂及びアジヤストパイプ１１に設け
た油孔１１ｂ…を経てシートパイプ内室S₁内に流
入する。そして、この作動油が油孔４ｄ…，１１
ｂ…等を通過する際の流動抵抗で以つてフロント
フオーク１には所要の減衰力が発生する。

次に圧縮工程が進んで内筒３が更に下動する
と、スプリング１９のばね反力がスプリング１６
のそれに打ち勝ち、スプリング１６の圧縮変形す
るようになる。このスプリング１６の圧縮変形に
伴つてアジヤストパイプ１１は下動し、第３図に
示す如くアジヤストパイプ１１に穿設した油孔１
１ｂはガイド部材１０によつて閉塞され、その開
口面積が次第に減少する。この油孔１１ｂ…の開
口面積の減少によつてここを流れる作動油の流動
抵抗は高くなり、従つてこの流動抵抗によつて発
生する減衰力も圧縮ストロークの増大とともに
徐々に高くなる。

次に伸長行程に移つて内筒３が外筒２に対して
上動すれば、ピストン１８により室S₄は圧縮さ
れ、油孔４ｂ，４ｃを通過する油液抵抗によつて
伸長側の減衰力を発生させると同時に、シートパ
イプ外室S₂の容積が増大し、シートパイプ内室S₁
の作動油は第４図に示す如く油孔４ｅ…を通つて
隙間ΔS₁内に流入し、その圧力でチエツクバルブ
８をスプリング７の弾発力に抗して押し開き、該
チエツクバルブ８を通つてシートパイプ外室S₂に
流入し、チエツクバルブ８を押し開くときに減衰
力を発生する。

而してこの伸長行程においても、作動油が油孔
４ｅ…、チエツクバルブ８等を通過する際の流動
抵抗に基づき、フロントフオーク１内に所要の減
衰力が発生する。

以上の如く本フロントフオーク１においては、
その圧縮行程時にストロークに比例して発生減衰
力を高く調整することができるが、特にアジヤス
トパイプ１１をシートパイプ４内にこれとの間に
隙間ΔS₂を設けて嵌装したため、両油孔４ｄ…，
１１ｂ…が組立上の関係で丁度相対向して位置し
なくても、これら油孔４ｄ…，１１ｂ…の開口割
合が低下することがなく、従つて減衰力は安定し
て発生し、且つ適切に調整される。

以上の説明で明らかな如く本考案によれば、
内・外筒を摺動自在に嵌合し、外筒内底部に植設
したシートパイプの上端ピストン部を内筒内周に
摺接して成る二輪車等のフロントフオークにおい
て、前記シートパイプ内にその周壁に油孔を穿設
して成るアジヤストパイプをガイド部材を介して
摺動自在に嵌装するとともに、該アジヤストパイ
プと前記シートパイプ間及び同アジヤストパイプ
と内筒上端間に夫々スプリングを介設したため、
圧縮ストロークの増大とともに発生減衰力を高く
調整することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は本考案に係るフロントフオークの半截断面図、
第２図は同フロントフオーク下半部の拡大半截断
面図、第３図及び第４図は同フロントフオーク下
端部の部分破断面図である。 尚図面中１はフロントフオーク、２は外筒、３
は内筒、４はシートパイプ、４ａは上端ピストン
部、４ｂ，４ｃ，４ｄ，４ｅは油孔、９，１０は
ガイド部材、１１はアジヤストパイプ、１１ａ，
１１ｂは油孔、１６，１９はスプリング、S₁，S₂
はシートパイプ内・外室、S₃は上部室、ΔS₁，
ΔS₂は隙間である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内・外筒を摺動自在に嵌合し、外筒内底部に植
   設したシートパイプの上端ピストン部を内筒内周
   に摺接して成る二輪車等のフロントフオークにお
   いて、前記シートパイプ内に内筒と連動するアジ
   ヤストパイプをガイド部材を介して摺動自在に嵌
   装するとともに、該アジヤストパイプの周壁にア
   ジヤストパイプがシートパイプに対して移動した
   場合に前記ガイド部材によりその開口面積が絞ら
   れる油孔を形成し、また該アジヤストパイプと前
   記シートパイプ間に油溜室を設け、該アジヤスト
   パイプ上端とシートパイプ上端との間にスプリン
   グを介設したことを特徴とする二輪車等のフロン
   トフオーク。