JPH051712Y2

JPH051712Y2 -

Info

Publication number: JPH051712Y2
Application number: JP12809786U
Authority: JP
Priority date: 1986-08-22
Filing date: 1986-08-22
Publication date: 1993-01-18
Anticipated expiration: 2001-08-22
Also published as: JPS6335836U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は車両用油圧緩衝器に設けるオイルロツ
ク機構に関する。

（従来の技術）車両等に用いる油圧緩衝器は車両の走行時に路
面の凹凸により生じる振動が直接車体に伝わらな
いように、緩衝器を作動させ外部入力を緩衝器で
吸収している。

この緩衝器は例えば、ボトムケースの底部に植
設したシートパイプの下部外周部にオイルロツク
ピースを固定し、シリンダの外周に上下摺動自在
に取付けたフオークパイプの下部内周面にオイル
ロツクカラーを固定し、ピストンの圧縮行程時に
フオークパイプが緩衝器内の作動油を圧縮しなが
ら下降して、フオークパイプの下部及びオイルロ
ツクカラーがオイルロツクピースの外周面とボト
ムケース内周面との間に嵌み込まれ、ボトムケー
ス下部の作動油がロツクされて、フオークパイプ
の下降が停止するように構成されている。

（考案が解決しようとする問題点）ところが、フオークパイプとオイルロツクカラ
ーがオイルロツクピースとボトムケースとの間に
嵌着することによりオイルロツクピースとボトム
ケースとの間の作動油が完全にロツクして急激に
フオークパイプの下降が停止すると、フオークパ
イプに対する作動油の抵抗が大きく底付き状態が
生じて乗り心地が悪い。

また、圧縮行程時にオイルロツクカラーを固定
したフオークパイプがオイルロツクピースとボト
ムケースとの間に完全に密着すると、伸び行程時
フオークパイプが上昇する際にロツクされた作動
油にかかる負圧により、緩衝器の応答性が悪くな
りスムーズに作動しないために乗り心地性が低下
する。

（問題点を解決するための手段）上記問題点を解決するために本考案は、ボトム
キヤツプに固定したオイルロツクピースにシリン
ダ内に臨む中空ロツドの端部を固定し、オイルロ
ツクピース内周部と中空ロツドの端部との間に中
空ロツド内の油路を開閉するチエツクバルブを設
けると共に、オイルロツクピースにチエツクバル
ブを介して中空ロツド内の油路に連通する油孔を
形成し、更に前記ボトムキヤツプとオイルロツク
ピースとの間に一定のクリアランスを保つてオイ
ルロツクケースが嵌め込まれた際に油溜め部上方
と中空ロツド内の油路を連通する油孔をオイルロ
ツクケースと中空ロツドに穿設したオイルロツク
機構を設けた。

（作用）緩衝器が圧縮し、オイルロツクケースがオイル
ロツクピースとボトムキヤツプとの間の油溜り部
に進入すると、油溜り室下部の潤滑油の油圧が増
し、チエツクバルブを閉状態としてオイルロツク
することにより底付きを防ぐと共に、この潤滑油
の一部がオイルロツクケース外周面とボトムキヤ
ツプとの間及びオイルロツクケースとオイルロツ
クピース外周面との間のクリアランスを経て上部
油溜め部に流出させて、完全にオイルロツクしな
いようにしてシリンダの下降をスムーズに停止さ
せる。

また、緩衝器の伸び行程時には油溜り室下部に
かかる負圧によりチエツクバルブを開状態とし、
油溜り室上部の潤滑油がオイルロツクケースと中
空ロツドに形成した油孔、中空ロツド内部の油
路、バルブ室、オイルロツクピースの油孔を順次
経て、油溜り室下部に流入させてオイルロツクを
スムーズに解除する。

（実施例）以下に本考案の実施例を添付図面に基づいて説
明する。

第１図は本考案にかかるオイルロツク構造を適
用した緩衝器の要部断面図、第２図は第１図の緩
衝器の伸び行程時のオイルロツク構造の作用を説
明する要部半断面図、第３図は第１図の緩衝器の
圧縮行程時のオイルロツク構造の作用を説明する
要部半断面図である。

緩衝器はアウターチユーブ１内にインナーチユ
ーブ２を下方から挿入した倒立型を示し、インナ
ーチユーブ２の上端外周面にはアウターチユーブ
１の内周面に摺接するスライドブツシユ３を嵌着
し、アウターチユーブ１の下端内周面にはインナ
ーチユーブ２の外周面に摺接するブツシユ４を嵌
着し、アウターチユーブ１とインナーチユーブ２
との間のスライドブツシユ３及びブツシユ４にて
区画される環状空間を潤滑室S₁としている。また
ブツシユ４よりも下方のアウターチユーブ１下端
にはオイルシール５及びダストシール６を取付け
ている。

また、アウターチユーブ１上端部は図示してい
ないがアツパーキヤツプにて閉塞され、インナー
チユーブ２の下端外周には車軸支持部材８が螺着
され、この車両軸支持部材８の内周面にボトムキ
ヤツプ９を螺着し、このボトムキヤツプ９の内周
面は緩衝器の軸方向に傾斜したテーパ面９ａを形
成している。

そして、前記アツパーキヤツプにはシリンダ１
０の上端部を固着し、前記ボトムキヤツプ９にパ
ツキン１１を介してナツト１２によりオイルロツ
クピース１３を植設し、このオイルロツクピース
１３の内周面に形成したネジ部１４に中空ロツド
１５の端部を螺着し、中空ロツド１５はオイルロ
ツクケース１６により端部を閉塞したシリンダ１
０内に下方から挿入し、中空ロツド１５の上端に
固着したピストン１８によつてシリンダ１０内を
上下の油室に区画している。シリンダ１０内には
減衰力発生用の作動油１９が満たされ、ピストン
１８には減衰力発生機構が設けられており、シリ
ンダ１０内の作動油１９の一部はシリンダ１０上
部に設けた図示しないチエツクバルブ、アツパー
キヤツプ内に形成した油路及びチユーブを介して
リザーバタンク内に流入する。

また、シリンダ１０の外周部には上下に離間し
てスプリングシート２０，２１を取付け、上方の
スプリングシート２０にてリバウンドスプリング
２２の下端を支持し、下方のスプリングシート２
１とボトムキヤツプ９上面との間に懸架スプリン
グ２３を介設している。

オイルロツクケース１６の上部内周面には中空
ロツド１５の外周面に圧接するオイルシート２
５、ガイドブツシユ２６、オイルシート２７が装
着され、更にオイルロツクケース１６の周面には
複数の油孔２８が穿設されている。また、インナ
ーチユーブ２の下部及びボトムキヤツプ９の内部
は潤滑油を封入して油溜り部３０としている。

更にオイルロツクピース１３の内周面と中空ロ
ツド１５の端部との間にバルブ室３１が形成され
ている。このバルブ室３１には中空ロツド１５の
油路３２の開口部が臨み、更にバルブ室３１の内
部には油路３２の開口部を開閉するスチールボー
ル３３が端部をオイルロツクピース１３の底部に
固定したスプリング３４により付勢されて設けら
れ、バルブ室３１と油溜り部３０を連通する複数
個の油孔３５がオイルロツクピース１３下部に穿
設されている。また、中空ロツド１５にはシリン
ダ１０が下降した際にオイルロツクケース１６の
油孔２８と対向する位置に複数個の油孔３６が穿
設され、この油孔３６を介して油溜り部３０と中
空ロツド１５内の油路３２とを連通している。

以上の構成からなる油圧緩衝器のオイルロツク
構造の作用を以下に述べる。

まず、緩衝器の圧縮行程時にインナーチユーブ
２が相対的に上昇し、シリンダ１０が相対的に下
降すると、第３図に示すようにオイルロツクケー
ス１６がボトムキヤツプ９内周面及びオイルロツ
クピース１８外周面との間に一定のクリアランス
を保ちながらボトムキヤツプ９内に進入し、オイ
ルロツクケース１６の下部に形成した膨出部１６
ａにより油溜り部３０が下部油溜り部S₂と上部油
溜り部S₃とに画成される。その際バルブ室３１内
のスプリング３４に付勢されたスチールボール３
３により中空ロツド１５内の油路３２の開口部は
閉塞され、油溜り部S₂内の潤滑油はロツクされて
底付きが防止されるが、オイルロツクケース１６
の膨出部１６ａの外周面とボトムキヤツプ９のテ
ーパー面９ａとの間に形成されたクリアランス３
７及びオイルロツクケース１６の内周面とオイル
ロツクピース１３の外周面との間に形成されたク
リアランス３８を経てオイルロツクケース１６の
油孔２８を通り下部油溜り部S₂内の潤滑油が上部
油溜り部S₃に流出するので、完全にオイルロツク
されない。従つて、オイルシールケース１６は最
後まで下降してスムーズに停止されるので底付き
感は緩和される。また、このシリンダ１０の下降
停止時に飛散して中空ロツド１５に付着した下部
油溜り部S₂内の潤滑油はオイルシール２７により
完全に掻き落されて油路２８を介して上部油溜り
部S₃へ排出されるので、中空ロツド１５に付着し
てシリンダ１０内の減衰力調整用の作動油に混入
しない。

一方緩衝器の伸び行程にあつては、インナーチ
ユーブ２が相対的に下降し、シリンダ１０が相対
的に上昇して第２図に示すようにオイルロツクケ
ース１６が上昇により下方油溜り部S₂内の潤滑油
に負圧がかかり、上部油溜り部S₃の潤滑油がオイ
ルロツクケース１６の油孔２８、油孔３６及び中
空ロツド１５内の油路３２を順次経てスプリング
３４を圧縮しながらスチールボール３３を押し下
げてバルブ室３１を通りオイルロツクピース１３
の油孔３５を経て下部油溜り部S₂に流入してスム
ーズにオイルロツクを解除し、下部油溜り部S₂内
の負圧を緩和するので悪路走行時においても緩衝
器は応答性良く作動する。尚、この場合、上部油
溜り室内の潤滑油は上部流路のほか、オイルロツ
クケース部１６の膨出部１６ａの外周面とボトム
キヤツプ９のテーパ面９ａとの間に形成されたク
リアランス３７及びオイルロツクケース１６の油
孔２８を経てオイルロツクケース１６の内周面と
オイルロツクピース１３の外周面との間に形成さ
れたクリアランス３８を通り下部油溜り室内に流
入する。

（考案の効果）以上に説明した如く本考案によれば、緩衝器の
圧縮行程時にオイルロツクピース内部の油溜り部
底付きをオイルロツク機構で吸収し、底付き感を
緩和する。

また、緩衝器の伸び行程時にバルブ室内のチエ
ツクバルブが開状態となりオイルロツクがスムー
ズに解除し、悪路走行時においても緩衝器は応答
性良く作動する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかるオイルロツク構造を適
用した緩衝器の要部断面図、第２図は第１図の緩
衝器の伸び行程時のオイルロツク構造の作用を説
明する要部半断面図、第３図は第１図の緩衝器の
圧縮行程時のオイルロツク構造の作用を説明する
要部半断面図である。尚、図中１はアウターチユーブ、２はインナー
チユーブ、１０はシリンダ、１５は中空ロツド、
９はボトムキヤツプ、１３はオイルロツクピー
ス、１６はオイルロツクケース、３０は油溜り
部、３１はバルブ室、３２は油路、３３はスチー
ルボール、２８，３５，３６は油孔、S₂は下部油
溜り部、S₃は上部油溜り部である。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

アウターチユーブ内にインナーチユーブを摺動
自在に挿入し、内部に減衰力発生用の作動油を充
填して上端をアウターチユーブに取りつけたシリ
ンダー内に、下部をインナーチユーブに取りつけ
たピストンロツドを臨ませ、インナーチユーブ内
に潤滑油を充填した油溜り部を形成したフロント
フオークにおいて、前記シリンダーの下端部にオ
イルロツクケースを固定し、前記ピストンロツド
の下部外周にフロントフオークの最圧縮時に前記
オイルロツクケースに嵌合するオイルロツクピー
スを、インナーチユーブ底部内周に、前記オイル
ロツクケースに嵌合するボトムキヤツプを取りつ
け、前記ボトムキヤツプとオイルロツクピースと
の間に前記オイルロツクケースがクリアランスを
保つて嵌合した際に隔成される上部油溜り部と下
部油溜り部とを連通する流路を、前記オイルロツ
クピース、ピストンロツド、及び、オイルロツク
ケースに形成し、この流路に下部油溜り部から上
部油溜り部への作動油の流れを阻止する方向にチ
エツクバルブを設けたことを特徴とするフロント
フオークのオイルロツク機構。