JPH027759Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、自動二輪車等に使用されるフロン
トフオークにおけるオイルロツク装置に関する。

フロントフオークは、通常、自動二輪車の前輪
等を緩衝方式で支持する緩衝器であり、内筒と外
筒を摺動自在に嵌合し、その内部に作動油を封入
するとともに減衰力発生機構を備え、車輪の受け
る上下方向の衝撃を吸収するものである。この減
衰力を発生させる手段として円形オリフイスに作
動油を流通させるのが一般的である。しかしなが
ら円形オリフイスに作動油が流通する際に発生す
るオリフイス前後の圧力差は流速の２乗に比例す
るものであり、低速時において良好な減衰力を設
定すると高速時においては減衰力が若干高めにな
つたり、またその逆になる場合もある。従つて運
転状況に応じた適正な減衰力値を得るためにその
改善が望まれており、フロントフオークが圧縮さ
れるに従つて減衰力が増加するようにした機構、
いわゆる押側減衰力位置依存型のフロントフオー
クが開発提案されている。この種の減衰力位置依
存型のフロントフオークでは押側の減衰力がフロ
ントフオークのストローク位置に応じて高くなる
ので、その分ばね定数の低い車体懸架ばねを使用
でき、従つて圧縮行程から伸長行程に移る際に反
力が小さく、操安性、特に制動時とコーナーリン
グの立ち上がりに優れたものであるが、構造が複
雑であつたり、コストが高価であるとか形状が大
きく重量である等の問題があつた。

この考案は上記問題の解消を目的とするフロン
トフオークのオイルロツク装置を提案するもの
で、外筒の底部より植設されたシートパイプの下
部周壁に複数個のオリフイスを軸方向に配設し、
該シートパイプにコイルばねにより上向きに付勢
され、かつシートパイプ外周に固設されたストツ
パーリングにより上動を規制された円筒バルブを
摺動自在に外嵌し、フロントフオークの圧縮行程
時に前記内筒の下端部が円筒バルブ上端に係合し
て内筒下部にオイルロツク室を形成するとともに
円筒バルブが下動して上記シートパイプのオリフ
イスを順次閉塞する構成となしたことを要旨とす
る。

以下、この考案の一実施態様を添付図面に基づ
いて説明する。

１はその上方の内筒２下部を摺動自在に内嵌し
た外筒であり、その内部に作動油を充填し、該外
筒１上端内周にオイルシール３を設けている。外
筒１の底部よりシートパイプ４が植設され、該シ
ートパイプ４の上端を内筒２内に摺動自在に嵌合
するとともにシートパイプ４の上端と内筒２の上
部との間に車体懸架ばねを張架している。一方、
シートパイプ４の下部に円筒バルブ５が摺動自在
に外嵌され、その上動規制用のストツパーリング
６をシートパイプ４外周に固設している。また円
筒バルブ５を上向きに付勢するコイルばね７が、
該円筒バルブ５の鍔部と外筒１内底面との間に張
架されおり、円筒バルブ５が最上地点にある状態
において、シートパイプ４の円筒バルブ５より上
方位置に油孔８を、下方位置にオリフイス９，１
０，１１をその軸方向に離間して穿設してある。
内筒２の下端内周にはオイルロツクカラー１２が
嵌装され、その下端部内周は上記円筒バルブ５の
上端に係合するための段部が設けられている。な
お、１３はスライダブツシユ、１４は逆止弁、１
５は前輪の軸を嵌合する取付孔を示す。

上記構成よりなるフロントフオークにおいて、
圧縮行程時に内筒２が外筒１内に侵入するため、
内筒２下部の作動油がオイルロツクカラー１２内
周とシートパイプ４外周との間に形成された管状
油路を通つて上方へ流動し、逆止弁１４を開動作
せしめてその上方の油室内へ流入する。また同時
に上記内筒２下部の作動油が油孔８およびオリフ
イス９，１０，１１を通つてシートパイプ４内に
流入して比較的小さな減衰力を発生する。更に圧
縮されて内筒２が外筒１内を下降し第１図中心線
左側に示す如く、オイルロツクカラー１２の下端
部内周が円筒バルブ５の上端に当接すれば、内筒
２下部にオイルロツク室１６が形成される。この
ときの減衰力はオイルロツク室１６内の作動油が
オリフイス９，１０，１１内を通つてシートパイ
プ４内に流入することにより発生するため比較的
大きい。更に圧縮されると内筒２が下降して円筒
バルブ５をコイルばね７の反力に抗して下動せし
め、オリフイス９，１０，１１を順次閉塞する。
従つて減衰力は徐々に増加し、第１図中心線右側
に示す如くオリフイス１１を閉塞した後は完全に
オイルロツクされた状態となる。また、押側の減
衰力がフロントフオークのストローク位置に応じ
て高くなるため、ばね定数の低い車体懸架用コイ
ルばね７の使用が可能となり、従つて圧縮行程か
ら伸長行程に移る際にばね反力が小さく、かつ減
衰力も大きいためフロントフオークの急激な伸び
上がりを生じることはない。なお、伸張行程時は
作動油が圧縮行程時とは逆方向に流動して圧縮行
程時と同様に良好な減衰力を発生せしめる。

この考案によれば上記の如く、シートパイプに
複数個のオリフイスを穿設し、かつ該シートパイ
プに円筒バルブを外嵌する等の簡単な構造のオイ
ルロツク装置であるため、既設のフロントフオー
クにも適用可能である。また従来のフロントフオ
ークに比較してオイルロツクピースを省略した構
造でもあり、フロントフオークの小型化および軽
量化が図られ、コストも安価となり経済的であ
る。なお、前述した如く押側減衰力位置依存型の
フロントフオークとなり、操安性を非常に優れて
おり有用である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施態様を示す縦断正面
図である。 １……外筒、２……内筒、４……シートパイ
プ、５……円筒バルブ、６……ストツパーリン
グ、７……コイルばね、８……油孔、９，１０，
１１……オリフイス、１２……オイルロツクカラ
ー、１６……オイルロツク室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内筒と外筒を摺動自在に嵌合し、該外筒の底部
   よりシートパイプを植設してなるフロントフオー
   クにおいて、該シートパイプの下部周壁に複数個
   のオリフイスを軸方向に配設し、該シートパイプ
   にコイルばねにより上向きに付勢され、かつシー
   トパイプ外周に固設されたストツパーリングによ
   り上動を規制された円筒バルブを摺動自在に外嵌
   し、フロントフオークの圧縮行程時に上記内筒の
   下端部と円筒バルブ上端との係合により円筒バル
   ブが下動して上記シートパイプのオリフイスを順
   次閉塞するとともに円筒バルブにより内筒下部に
   オイルロツク室を形成する構成となしたことを特
   徴とするフロントフオークのオイルロツク装置。