JPS6243913Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は二輪車等の前輪と車体とを懸架するフ
ロントフオークに係り、特にストロークに応じて
減衰力が自動的に変化するようにしたストローク
依存型フロントフオークに関するものである。

例えば二輪車において制動をかけた場合は、慣
性によりフロントフオークが収縮し、車体が前傾
姿勢となり、特に急制動をかけた時はフロントフ
オークが全屈状態となつて所謂底付き現象を呈
し、操縦安定性が阻害される。

そこでストロークの進行とともにフロントフオ
ーク内での発生減衰力が増大するようにしておけ
ば、上記底付き現象の発生を有効に防止でき、二
輪車は急制動をかけたような場合でさえその姿勢
が安定したものとなることが期待される。

本考案者はフロントフオークにおける前記不都
合を有効に解消すべく本考案を成したもので、そ
の目的とする処は、シートパイプの上端内周部に
複数の油路を穿設して成る隔壁部材を固設し、該
隔壁部材の上側にこれの油路の一部を閉塞するよ
うスプリングで付勢される逆止弁を配設し、スプ
リングと内筒のフオークボルト間にカラーを介装
することにより、内筒の外筒内への侵入ストロー
クの進行に伴つて前記カラーがスプリングを圧縮
してこれのセツト荷重を高め、以つて発生減衰力
の増大を図り、所謂底付き現象の発生を有効に回
避して車両の操縦安定性の低下を防止し得るよう
にしたストローク依存型フロントフオークを提供
するにある。

以下に本考案の好適一実施例を添付図面に基づ
いて詳述する。

第１図は本考案に係るフロントフオークの縦断
側面図、第２図は同フロントフオーク要部の拡大
破断側面図である。

第１図に示すフロントフオーク１において２は
外筒であり、この外筒２の内部には上方より内筒
３が上下摺動自在に嵌合しており、内筒３の内周
部には外筒２の内底部に植設されたシートパイプ
４の拡径先部４ａが摺接している。

上記外筒２の上端内周部には内筒３外周に摺接
するガイドブツシユ５及びオイルシール６が嵌装
されており、上端開放部にはダストシール７が装
着されている。一方、外筒２の下端には取付ブラ
ケツト８が締結されている。

又前記内筒３の上端はフオークボルト９にて閉
塞されており、これ３の下方内周部にはシートパ
イプ４の外周に摺接するフリーバルブ１０が設け
られている。そして内筒３内のフオークボルト９
とシートパイプ４間にはクツシヨンスプリング１
１が張架されている。

更にシートパイプ４の上端内周部には隔壁部材
１３が固設され、該シートパイプ４の外周上下に
は油孔１４，１５……が夫々穿設されている。

上記隔壁部材１３には第２図に詳細に示す如く
大小の円周上に夫々複数の油路１６……，１７…
…が上下方向に穿設されている。そしてこの隔壁
部材１３の中心にはロツド１８が垂直に挿通固定
され、該ロツド１８の下端には図示の如くバルブ
ストツパ１９がナツト２０にて締結されている。

そして隔壁部材１３の下面にはロツド１８に摺
動自在に挿通する逆止弁２１が弾性体２２にて弾
接せしめられている。逆止弁２１には隔壁部材１
３の油路１６……，１７……に連通する油孔２３
……，２４……が夫々穿設されている。

一方、隔壁部材１３の上側には油路１７……を
閉塞すべくリング状の逆止弁２５がロツド１８に
摺動自在に挿通されており、該逆止弁２５の上面
には同じくロツド１８に摺動自在に挿通する上部
バネ受２６が接しており、該バネ受２６の上方に
はスプリング２７が載置され、更にスプリング２
７の上端はロツド１８に摺動自在に挿通する上部
バネ受２８が被冠されている。

上記上部バネ受２８とフオークボルト９間には
その下端がロツド１８に摺動自在に挿通された円
筒状カラー２９が図示の如く介装されている。

而してフロントフオーク１内部はシートパイプ
内、外室S₁，S₂、中間室S₃及び上部室S₄に区画さ
れ、夫々の室S₁，S₂，S₃，S₄には作動油が封入さ
れ、特に上部室S₄の上部はガスで占められてい
る。

斯くしてフロントフオーク１において、内筒３
の上端は車体側に連結され、外筒２の下端は取付
ブラケツト８にて車軸に連結され、これら内、外
筒２，３は相対伸縮動する。

次にフロントフオーク１の作用について説明す
る。

圧縮行程において内筒３が外筒２内に侵入する
とシートパイプ外室S₂の圧力は高まり、内筒３の
侵入体積に相当する圧油が室S₂から油孔１５……
を介してシートパイプ内室S₁に流入し、逆止弁２
１をその圧力で以つて閉じる。このシートパイプ
内室S₁に流入した圧油は逆止弁２１の油孔２３…
…、２４……を介して隔壁部材１３の油路１６…
…，１７……内に流入する。一方の油路１６……
に流入する圧油はそのまま上部室S₄内に流入する
が、他方の油路１７……に流入する圧油はその圧
力で逆止弁２５をスプリング２７に抗して上動せ
しめ、この逆止弁２５の上動で該逆止弁２５と隔
壁部材１３間に生ずる隙間を通り抜けて最終的に
上部室S₄に流入する。尚シートパイプ内室S₁に流
入する油の一部は油路１４を介して中間室S₃に流
入し、該中間室S₃の体積増加分を埋める。

斯くして作動油が油孔２３……，２４……、油
路１６……、１７……、逆止弁２５等を通過する
際の油の流動損失によつてフロントフオーク１内
には減衰力が発生する。

而して内筒３の侵入ストロークの増大とともに
カラー２９はスプリング２７を押圧して収縮変形
せしめ、これのセツト荷重を高める。このスプリ
ング２７のセツト荷重の増大とともに逆止弁２５
を通過する油の流動抵抗は増大し、その結果フロ
ントフオーク１内での発生減衰力は内筒３の圧縮
ストロークの進行とともに自動的に増大し、フロ
ントフオーク１の全屈状態は有効に避けられ、所
謂底付き現象の発生を防止して車体姿勢を安定な
ものとすることができる。これにより急制動をか
けたような場合であつても、車体姿勢を安定化す
ることができ、操縦安定性の低下を有効に防止す
ることができる。

一方、伸長行程時においては、内筒３の上動に
伴つて中間室S₃の油は油孔１４を介してシートパ
イプ内室S₁に流入するとともに、上部室S₄の油は
油路１６……、逆止弁２１を介してシートパイプ
内室S₁に流入し、これらS₁内に流入した油は油孔
１５……を介してシートパイプ外室S₂内に流入す
る。

斯くして作動油が油路１６……、逆止弁２１、
油孔１４，１５……等を通過する際の油の流動損
失によつてフロントフオーク１内には所要の減衰
力が発生する。

以上の説明で明らかな如く本考案によれば、シ
ートパイプの上端内周部に複数の油路を穿設して
成る隔壁部材を固設し、該隔壁部材の上側にこれ
の油路の一部を閉塞するようスプリングで付勢さ
れる逆止弁を配設し、スプリングと内筒のフオー
クボルト間にカラーを介装したため、ストローク
の進行に伴つて発生減衰力を自動的に高めること
ができ、底付き現象の発生を有効に防止して車体
姿勢を安定に保ち、操縦安定性の低下を防ぐこと
ができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は本考案に係るフロントフオークの縦断側面図、
第２図は同フロントフオーク要部の拡大破断側面
図である。 尚図面中２は外筒、３は内筒、４はシートパイ
プ、９はフオークボルト、１３は隔壁部材、１
６，１７は油路、１８はロツド、２１，２５は逆
止弁、２７はスプリング、２９はカラー、S₁，
S₂，S₃，S₄は作動油室である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内筒と外筒を摺動自在に嵌合し、外筒内底部に
   植設したシートパイプの拡径先部を内筒内周部に
   摺接して成るフロントフオークにおいて、前記シ
   ートパイプの上端内周部に複数の油路を穿設して
   成る隔壁部材を固設し、該隔壁部材の下側に前記
   油路に対向する油孔を備え、圧縮行程時に閉じ、
   伸長行程時に開く逆止弁を配設し、同隔壁部材の
   上側に前記油路の一部を閉塞するようスプリング
   で付勢される逆止弁を配設し、スプリングと内筒
   上部のフオークボルト間にカラーを介装したこと
   を特徴とするストローク依存型フロントフオー
   ク。