JPH0216439B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は地中に比較的小口径の横坑を築造する
のに好適な方法およびその装置に関する。

従来、地中に小口径の横坑を築造するにあたり
種々の工法や掘削装置が提供されているが、掘削
装置自体としては比較的機構が簡単な割には種々
の土質に適応可能なものは仲々存在せず、また従
来の装置を用いると、地中の地盤が地下水を多く
含んでいる砂や砂礫地盤のような場合、切羽が不
安定であるため、掘削作業を行うにあたり一般に
切羽を安定させるための圧気工法や地盤改良工法
等の補助工法をも必要とし、その分工法、掘削装
置、設備等が煩雑となり、かつそに伴つてコスト
高を招来するという問題がある。

本発明は上記の点に鑑み提案されたもので、
種々の土質に対し適用し得、かつ切羽の崩壊を確
実に防止しながら掘削作業を行うことができ、し
かも装置自体の機構が簡単な地中に横坑を築造す
る方法およびその装置を提供することを目的とす
るものである。

以下、図面に沿つて本発明を説明する。

第１図ないし第３図は本発明に適用される装置
の実施例を示すもので、図中１は複数の支保工を
組み込み、かつ継ぎ足してなる円筒状の外筒で、
この外筒１の開口部先端には掘削兼練混具２が設
けられている。この練混兼掘削具２は先端にビツ
ト３を有し、かつ粘性付与剤の噴射口４ａが設け
られていると共に外筒１に対し同軸的に配設され
た中空状の回転軸４の先端部に一体的に設けられ
ており、かつ掘削兼練混具２は前記回転軸４の先
端部外周に取付けられ放射状に伸びるカツターウ
イング５と、このカツターウイング５の前面に設
けられた掘削刃６および背面側に設けられた練混
翼７とを備えている。しかして、回転軸４の後端
は歯車機構および油圧モータ８等からなる駆動装
置と適宜連結され、油圧モータ８を作動させるこ
とにより正転または逆転すなわち右または左の任
意の回転方向に回転自在に構成されており、かつ
回転軸４の前方部分、すなわち連混翼７の後方側
には一部に切欠きを有すると共に外筒１の内周面
近傍まで延びる切欠スクリユー羽根９が一体的に
設けられ、この切欠スクリユー羽根９の後方には
切欠スクリユー羽根９に比べ径が若干小さ目に形
成された排土用のスクリユー羽根１０が回転軸４
上に連続して設けられている。

１１は外筒１に対し径が小さく、かつ外筒１１
の内部に外筒１と同心円状に固定・配設された中
空円筒状の排土筒で、この排土筒１１は立坑Ｐ内
側に位置され、かつ排土筒１１の前端外周縁と外
筒１の内周面との間には水密を保つ環状シール１
２が設けられている。また、１３は外筒１の後端
に設けられた押輪、１４は外筒１を推進させるた
めの推進ジヤツキ、１５は回転軸４の後端に連結
され、かつ粘性付与剤貯蔵槽（図示せず）と連結
されたホースと接続されたスイベルジヨイントで
ある。

次に本発明の工法および装置の動作を説明す
る。

地山Ｓの地盤を掘削して横坑を築造するにあた
り、正転および逆転可能な油圧モータ８を作動せ
しめてビツト３を有する回転軸４および掘削兼練
混具２等を回動させれば切羽が掘削される。この
場合、外筒１の内部１ａには掘削に伴う泥土が充
満されている。したがつて、回転軸４は外筒内の
泥土が外部へ排出されないように逆転（泥土が排
出されない回転方向）して回動させる。しかして
掘削兼練混具２を回動させつつ特に図示されない
油圧ジヤツキにより周知のように回転軸４および
各スクリユー羽根９，１０等を有してなるスクリ
ユー本体を一点鎖線で示す如く適当な距離掘進さ
せて形成させた新たな泥土孔ｍに塑性流動性と不
透水性を持つ泥土を充満せしめて切羽を押えるよ
うになつている。すなわち、スクリユー本体を回
動させて地山Ｓを掘削する際、掘削土砂が生じる
が、その地山Ｓの地盤が例えば地下水を比較的多
く含む砂や砂礫地盤である場合には中空状の回転
軸４の内部に土砂に塑性流動性と不透水性とを与
える粘土溶液やベントナイト溶液等の如き粘性付
与剤を通し、かつ回転軸４の先端の噴出口４ａか
ら外部へ粘性付与剤を適量噴出せしめ、掘削土砂
を掘削練混具後部に設けた練混翼７によつて練り
混ぜることにより地山Ｓと略同じ比重で塑性流動
性、不透水性、高粘度の泥土と化し、この泥土に
よつて切羽を押えるものである。なお、地山Ｓの
地盤が軟弱シルトや粘土層等のシルトないし粘土
粒子を多く含む地層の場合、特に粘性付与剤を添
加する必要はなく土質の性状に応じ粘性付与剤を
添加するか否かを適宜選択すれば良い。

上記した地山Ｓの掘削作業がある程度進行する
と外筒１を前方へ圧入し、かつそれに伴い排土を
行う必要がある。しかして、推進ジヤツキ１４を
作動してそのピストンロツドを延長せしめ、押輪
１３を介して外筒１を押圧して泥土孔ｍ内へ外筒
１の先端を圧入し、これと同時に押圧モータ８を
正転（掘削土砂がスクリユー本体の回転により排
土されるように作用する回転方向）させ、切羽に
作用する土圧を当該切羽を崩壊しない程度に維持
しながら外筒１の圧入に伴い過剰となる泥土化さ
れた掘削土砂、すなわち外筒１を圧入するとその
体積分の掘削土砂を排出する必要があり、その余
分となる掘削土砂、を単に円筒状に形成された排
土筒１１を介しその後端から立坑Ｐ内へ排土する
ように構成されている。

しかる後、外筒１を構成する支保工を適宜組み
込み外筒１、排土筒１１等を連設し、かつ回転軸
４も必要に応じて継ぎ足し、上述の動作を繰り返
せば、地中に切羽の安定を図りつつ比較的小口径
の横坑を容易に築造することができる。

以上の通り本発明によれば、円筒部の外筒と、
この外筒に対し同軸的に設けられ、先端部にビツ
トおよび掘削兼練混具が設けられかつ周囲に切欠
き、排土用スクリユー羽根が夫々設けられた回転
軸と、この排土用スクリユー羽根が貫通されかつ
前記外筒内に同軸的に配設された円筒状を呈する
排土筒とを備え、地山掘削時に前記外筒内の泥土
化した掘削土砂が外部へ排出されない方向に前記
回転軸を回転させると共に必要に応じベントナイ
ト溶液等の如き粘性付与剤を回転軸先端部の噴出
口を介し外部へ噴射し地山を掘削し、かつ形成さ
れた泥土孔に泥土を充満せしめ切羽を押え、つい
で前記外筒圧入時に前記回転軸を掘削時と異なる
方向に回転せしめ、前記外筒を圧入した際に切羽
を押えるのに対し過剰となる掘削土砂を排土筒を
介し外部に排出しつつ地中に横坑を築造するよう
に構成したから、地山の土質が例えば地下水を含
む砂や砂礫地盤である場合には粘性付与剤を使用
して泥土に変換できるので、土質に広く適応でき
る利点がある。

また地山の切羽を確実に押さえ安定させること
ができるので、圧気工法や地盤改良工法等を必要
とせず経済的である。

また、本発明装置の排土筒は単なる円筒である
ので、装置の機構が単純となる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の装置の縦断面図、第２図は同
上の正面図、第３図は第１図中Ａ−Ａ線断面図で
ある。 １……外筒、２……掘削兼練混具、３……ビツ
ト、４……回転軸、４ａ……噴射口、５……カツ
ターウイング、６……掘削刃、７……練り混ぜ
翼、８……油圧モータ、９……切欠きスクリユー
羽根、１０……排土用スクリユー、１１……排土
筒、１２……環状シール、１３……押輪、１４…
…推進ジヤツキ、１５……スイベルジヨイント、
Ｓ……地山、Ｐ……立坑。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 先端部にビツトおよび掘削練混具が設けら
   れ、かつ周囲にスクリユウー羽根が設けられ、駆
   動装置により任意の方向に回転可能であると共に
   前進可能な回転軸が円筒状の外筒内に同軸的に設
   けられ、地山掘削時に前記外筒内の泥土化した掘
   削土砂が外部へ排出されない方向に前記回転軸を
   回転・前進させると共に必要に応じベントナイト
   溶液等の如き粘性付与剤を回転軸先端部の噴出口
   を介し外部へ噴射し、この粘性付与剤と掘削土砂
   とを前記練混兼掘削具により練り混ぜ泥土と化
   し、形成された泥土孔に前記泥土を充満せしめ切
   羽を押さえ、ついで前記外筒圧入時に泥土化した
   掘削土砂を排出すべく前記回転軸を掘削時と異な
   る方向に回転せしめ、前記外筒を圧入した際に切
   羽を押さえるのに対し過剰となる掘削土砂を外部
   へ排出しつつ地中に横坑を築造する方法。 ２ 円筒状の外筒と、この外筒に対し同軸的に設
   けられ、先端部にビツトおよび掘削兼練混具が設
   けられかつ周囲に切欠きスクリユウー羽根および
   排土用スクリユウー羽根とが設けられていると共
   に内部に粘性付与剤が注入され得る回転可能であ
   ると共に前進可能な回転軸と、この回転軸の先端
   部に設けられ前記粘性付与剤を外部へ噴射する噴
   出口と、前記回転軸に設けられた前記排土用スク
   リユウー羽根が内部に貫通され、かつ前記外筒内
   に同軸的に配設された円筒状の排土筒とを備えて
   なる横坑掘削装置。