JPH0238755B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、広くはシールドトンネル掘進装置に
関し、特に管推進工法での使用に適したシールド
掘進装置に関する。

管推進工法は、一般に、米国特許第4311411号
に示されているように、推進されるべき管の最前
部にシールドが設置され、該シールドに設けられ
た掘削機の作動により地盤が穿孔され、これに引
続く管後方の液圧推進ジヤツキの作動によりシー
ルド及び管に推力が及ぼされ、両者は穿孔された
地盤中に推進される。前記掘削機はシールドの前
部に回転可能に配置されておりかつ該シールドの
内部を横切る隔壁の後方に配置された駆動装置に
より駆動され、その作動中、地盤の切削面は加工
泥水等により加圧されて安定状態を維持する。

前記掘削機による予めの穿孔によつて、後続の
管の推進抵抗は軽減されるが、管の周囲に作用す
る土圧を受けるので、管の推進に伴う管の継ぎ足
しによつて推進されるべき管群の全長が大きくな
るに従つて推進抵抗は増大する。従つて、前記推
進ジヤツキは、大きな推力を発揮し得る大型のも
のでなけらばならないことは言うまでもない。前
記土圧は、このように管の推進に妨げとなるばか
りでなく、地中に埋設された管の周りに作用し続
け、その安定維持を妨げる。

他方、シールド前面の地盤を掘削する掘削機
は、その回転カツターヘツドの駆動のために大き
な駆動トルクを発生させる大型の駆動装置を必要
とする。しかし、この駆動装置はシールド内に設
置されねばならないところ、たとえば、外径が
300mm内外といつた小径のシールド内には、大型
の駆動装置を配置する余地はない。

従つて、本発明の基本的目的は、土圧によるシ
ールド及び後続の管（又は管群）の推進抵抗を減
じて推力を軽減すると共に、埋設された管の恒久
的安定を図ることにある。

本発明の他の目的は、シールドに備えられる穿
孔ロータリーヘツドのための駆動装置の小型化を
図ることによつて、シールドの一層の小型化を実
現し、これによりさらに小径の管の推進を可能に
することにある。

本発明は、偏心運動するロータリーヘツドによ
りシールド前面の土砂の一部又は全部をシールド
の径方向へ押しやつてシールドを取り囲む地盤の
一部に体積変化を生じさせること、すなわち、前
記地盤に圧密された自己支持ゾーンを形成する基
本的構想に立脚する。

本発明に係るシールド掘進装置は、シールド本
体を横切つて設けられた隔壁に回転可能に支承さ
れかつ該隔壁の後方で駆動機構に連結された一端
及び前記隔壁の前方に伸びる他端を有するクラン
ク軸と、該クランク軸の前記他端に回転可能に支
承されたロータリーヘツドと、前記隔壁の前方域
からその後方域へ土砂を排出する手段と、前記シ
ールド本体の後方にあつて該シールド本体に推力
を与える液圧手段とを含む。

さらに、本発明に係るシールド掘進装置は、シ
ールド本体を横切つて設けられた隔壁に回転可能
に支承されかつ第１の駆動機構に連結された偏心
カラーと、第２の駆動機構に連結された一端及び
前記隔壁の前方に伸びる他端を有し、前記シール
ド本体の軸線から偏つて配置されたクランク軸
と、該クランク軸の前記他端に支承されたロータ
リーヘツドと、前記隔壁の前方域からその後方域
へ土砂を排出する手段と、前記シールド本体の後
方にあつて該シールド本体に推力を与える液圧手
段とを含み、前記偏心カラーは、該偏心カラー中
に配置されかつ揺動手段を介して前記シールド本
体に連結されたスリーブを備え、前記クランク軸
はその軸部分が前記スリーブ中に受入れられてお
り、前記第１の駆動機構の作動によつて、前記ク
ランク軸自体にシールド本体に関しての偏心運動
を生じさせ、該偏心運動の断続により前記シール
ドの全周にわたる余掘域又は一定の角度範囲にわ
たる片掘域を形成し、これにより容易なシールド
掘進方向制御を可能にする。

本発明が特徴とするところは、図示の実施例に
ついての以下の説明により、さらに明らかとなろ
う。

本発明に係るシールド掘進装置１０は、第１図
に示すように、シールド本体１２の前部に支承さ
れた円錐形のロータリーヘツド１４と、シールド
本体とその後方に連なるコンクリート管１６に推
力を及ぼす、それ自体公知の液圧推進ジヤツキ
（図示せず）とを含む。シールド本体にはこれを
横切る隔壁１８が設けられており、該隔壁にはロ
ータリーヘツド１４のための駆動機構２０が支承
されている。

駆動機構２０は、クランク軸２２と該クランク
軸に減速機２４を介して接続されたモータ２６と
を含む。クランク軸２２の一端側の軸部分２２ａ
は隔壁１８に取付けられた軸受２８に支承されか
つ減速機２４の出力軸２４ａにキー止めされてい
る。他方、クランク軸２２の他端側の軸部分２２
ｂはロータリーヘツド１４に撹はん板２９と共に
設けられた軸受３０を介して前記ロータリーヘツ
ドを回転可能に支承している。クランク軸２２
は、その軸部分２２ａと軸部分２２ｂとの間にｅ
（第１図）の偏心量を有する。

隔壁１８には、その下方部分に一対の管３２，
３４が取り付けられており、これらの管はいずれ
も隔壁前方へ向けて開放されている。管３２は清
水、泥水のような液体を隔壁１８の前方へ供給す
るための液体供給管であり、また、管３４は地盤
中の余剰水や土砂を供給した液体と共に排出する
ための液体排出管である。

モータ２６の作動によりクランク軸２２が回転
されると、ロータリーヘツド１４に偏心運動が生
じ、該ロータリーヘツドは地山と間欠的に接触す
る。その際に、ロータリーヘツド１４は地山に押
圧力を及ぼすと共に該地山から反力を受けてそれ
自体の回転を生じる。このロータリーヘツド１４
の作動により押圧力を受けた地盤は、ロータリー
ヘツドの形状及び後方から受ける推力に起因し
て、全体にシールドの直径方向へ圧せられ、該地
盤にシールドを取り囲む圧密ゾーン３３を形成す
る。この圧密ゾーンが形成されることにより、シ
ールドの推進抵抗は減ぜられ、埋設された管に対
する土圧が軽減され、その安定化が達成される。

地盤が軟弱又は軟質である場合、土砂はほとん
ど排出されないが、土粒子間に存在した間隙水
は、地盤の圧密に伴つて分離され、排出管３４を
経て排出される。また、地盤が硬質であるか又は
岩盤のように非圧縮性の地質であるときは、ロー
タリーヘツド１４の圧潰又は圧砕作用によつてず
りを生じ、該ずりは液体排出管３４を経て排出さ
れる。

被駆動のクランク軸に支承されたロータリーヘ
ツド１４の前記した作用は、内歯車式遊星減速機
を想起し、内歯車の作用を地山に又遊星歯車の作
用を前記ロータリーヘツドにそれぞれ例えること
により、容易に理解されよう。ここで、遊星歯車
に相当するロータリーヘツドは、この伝達トルク
をこれと地山との間に作用する摩擦力により発生
させ、トルク反力はシールド本体１２により担わ
せる。従つて、クランク軸２２とモータ２６との
間に配置される減速機２４を小型にし、クランク
軸を高回転数、小トルクで回転させても、地山の
性質に応じて巨大トルクを発生させることができ
る。これにより、多くのスペースを有しない小径
シールド内に、小型の駆動機構を配置することが
可能となり、小径シールドの推進上極めて有利で
ある。

ロータリーヘツド１４の偏心運動中に生じる該
ロータリーヘツドと地山との前記間欠接触は、該
ロータリーヘツドの尖端１４ａからその面上を後
端に至る線状部分の地山との接触である。この接
触時のロータリーヘツドの圧潰又は圧砕作用を高
めるために、ロータリーヘツド１４の前面板１４
ｂ上に多数のチツプ又はビツト（図示せず）を設
けることが有利である。この例に代えて、ロータ
リーヘツド１４の尖端１４ａから放射状に伸びる
凸部と凹部とを歯車歯状に交互に連続させて設け
てもよい。

第２，３図に示すロータリーヘツド１４は、全
体に截頭円錐形状を有し、垂直面である前面に直
径方向へ対をなすスリツト３６，３８を備え、該
スリツトから支持部材４０，４２に取り付けられ
た多数のビツト４４が前方へ突出している。ま
た、前記前面に連なる円錐面には周方向へ交互に
伸びる鋸歯状の凹凸部４６が形成されている。ビ
ツト４４により掘削された土砂はスリツト３６，
３８を経て後方へ送られ、撹はん板２９の作用下
で隔壁１８の下方部分に集められ、排出管３４を
経てさらに後方へ搬送される。円錐周面の凹凸部
４６はロータリーヘツドの円錐運動時地山を圧縮
すると共にこれに有効な圧潰又は圧砕力を及ぼ
す。

第４，５図に示すロータリーヘツド１４は円錐
形の周面板１４ｂ上に尖端１４ａから縦横に形成
された４つのスリツト３８を有し、各スリツト内
にはこれを経て取り込まれるずりの大きさを制限
するための複数の制限子４８が間隔を置いて設け
られている。また、周面板１４ｂ上には尖端１４
ａから後方へ放射状に伸びる凹凸部４６が設けら
れている。図示の例の周面板に代え、全体に円錐
形のロータリーヘツドの円錐面上に間隔を置いて
複数のスポークを設け、該スポーク間に間隔を置
いて前記制限子を配置しかつ前記スポーク上に多
数のチツプ及び／又はビツトを配置してもよい。

第６，７図は、周方向に間隔を置いて配置され
たスポーク５０上に多数のビツト４４を設けると
共にロータリーヘツド１４を支承する軸２２（図
示の例ではクランク軸）自体を余掘域又は片掘域
の形成のためにシールド本体の中心軸線に関して
偏心位置に支承し、さらこれを偏心運動させる機
構５２を設けた例を示す。この偏心運動機構５２
は、隔壁１８に軸受５４を介して支承された偏心
カラー５６と該偏心カラー中に配置されたスリー
ブ５８とを含む。さらに、前記機構５２は、モー
タ６０及び減速機６２を備える駆動機構を含み、
偏心カラー５６はそのフランジ６４の外周に備え
る歯車６６と減速機６２の出力軸に取り付けられ
た歯車６８との噛合を介して、駆動、回転され
る。

スリーブ５８中には偏心軸の軸部分２２ａが回
転可能に受け入れられており、その端部はモータ
２６に接続された減速機２４の出力軸にキー止め
されている。スリーブ５８はそのフランジ７０と
一体をなすブラケツト７２を備え、該ブラケツト
にはシールド本体を横切る方向へ伸びる揺動アー
ム７４の一端がピン７６により枢着されており、
揺動アーム７４の他端はシールド本体１２に設け
られたブラケツト７８にピン８０により枢着され
ている。この揺動アーム７４の作用により、スリ
ーブ５８は偏心カラー５６の回転に従つて偏心運
動はするが、それ自体の軸線を中心とする回転運
動は阻止されている。

クランク軸２２の回転中に偏心カラー５６を一
回転又は角度的に回転させることにより、ロータ
リーヘツド１４を支承する被駆動軸自体がシール
ド本体１２の軸線の周りに偏心運動することとな
る。こうして、被駆動軸であるクランク軸の減速
機側の軸部分２２ａを偏心位置に支承し、シール
ド本体の直径に応じてロータリーヘツドの外径を
適宜に選択することにより、所望の直径と長さに
わたる余掘域又は片掘域をシールド本体の全周又
は一定の角度範囲に形成し、これによりシールド
本体の推進方向を適宜にかつ容易に制御すること
ができる。偏心カラー５６の回転数は、クランク
軸のそれの1/20程度に設定することができ、ま
た、偏心カラーの回転は、駆動機構５２による駆
動を制御することにより、所望のシールド推進の
ための方向制御に応じて連続的に又は断続的に行
うことができる。

本発明によれば、土圧によるシールド及び後続
の管（又は管群）の推進抵抗を減じ、推力を軽減
すると共に、埋設された管に対する土圧を減じ、
その恒久的安定を図ることができる。さらに、シ
ールドの周囲に余掘域又は片掘域を形成すること
によつて、シールド掘進方向の修正を容易に行う
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例に係る装置の縦断面
図、第２，３図はロータリーヘツドの変形例を示
す部分縦断面図及び正面図、第４，５図はロータ
リーヘツドのさらに他の例を示す部分縦断面図及
び平面図、第６図は本発明の他の実施例に係る装
置の縦断面図、第７図は第６図の線７−７に沿つ
て得た横断面図である。 １０：シールド掘進装置、１２：シールド本
体、１４：ロータリーヘツド、１４ａ：尖端、１
４ｂ：周面板、１６：コンクリート管、１８：隔
壁、２０，５２：駆動機構、２２：クランク軸、
２２ａ，２２ｂ：軸部分、２６，６０：モータ、
２４，６２：減速機、２８，３０，５４：軸受、
３２，３４：管、３３：圧密ゾーン、３６，３
８：スリツト、４４：ビツト、４６：凹凸部、４
８：制限子、５０：スポーク、５２：偏心運動機
構、５６：偏心カラー、５８：スリーブ、６４，
７０：フランジ、６６，６８：歯車、７２，７
８：ブラケツト、７４：揺動アーム、７６，８
０：枢軸ピン。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ シールド本体を横切つて設けられた隔壁に回
   転可能に支承されかつ該隔壁の後方で駆動機構に
   連結された一端及び前記隔壁の前方に伸びる他端
   を有するクランク軸と、該クランク軸の前記他端
   に回転可能に支承されたロータリーヘツドと、前
   記隔壁の前方域からその後方域へ土砂を排出する
   手段と、前記シールド本体の後方にあつて該シー
   ルド本体に推力を与える液圧手段とを含む、シー
   ルド掘進装置。 ２ 前記排出手段は、前記隔壁に支承されかつそ
   の前方へ向けられた開口を有する液体供給管及び
   液体排出管を含む、特許請求の範囲第１項に記載
   の掘進装置。 ３ 前記ロータリーヘツドは円錐形又は截頭円錐
   形である、特許請求の範囲第１項に記載の掘進装
   置。 ４ 前記円錐形のロータリーヘツドはその前面が
   閉じられている、特許請求の範囲第３項に記載の
   掘進装置。 ５ 前記円錐形のロータリーヘツドはその前面に
   破砕チツプ又はビツトを備える、特許請求の範囲
   第３項に記載の掘進装置。 ６ 前記円錐形のロータリーヘツドは、その尖端
   から放射状に伸びる複数の凹凸とその周面に設け
   られた少なくとも１つのスリツトとを有し、該ス
   リツトにこれを経てシールド本体内に受け入れら
   れるずりの大きさを制限する制限子を備える、特
   許請求の範囲第３項に記載の掘進装置。 ７ 前記円錐形のロータリーヘツドは、その尖端
   から放射状に配置された複数のスポークと、各ス
   ポーク上に設けられた複数のビツトとを備える、
   特許請求の範囲第３項に記載の掘進装置。 ８ 前記截頭円錐形のロータリーヘツドは、その
   前面に少なくとも１つのスリツトと、支持部材に
   取り付けられかつ前記スリツトから突出する複数
   のビツトとを備え、また、その周面に前後方向へ
   伸びる凹凸を備える、特許請求の範囲第３項に記
   載の掘進装置。 ９ シールド本体を横切つて設けられた隔壁に回
   転可能に支承されかつ第１の駆動機構に連結され
   た偏心カラーと、前記シールド本体の軸線から偏
   つて配置されかつ第２の駆動機構に連結された一
   端及び前記隔壁の前方に伸びる他端を有するクラ
   ンク軸と、該クランク軸の前記他端に回転可能に
   支承されたロータリーヘツドと、前記隔壁の前方
   域からその後方域へ土砂を排出する手段と、前記
   シールド本体の後方にあつて該シールド本体に推
   力を与える液圧手段とを含み、前記偏心カラー
   は、該偏心カラー中に配置されかつ揺動手段を介
   して前記シールド本体に連結されたスリーブを備
   え、前記クランク軸は前記スリーブ中に受入れら
   れている、シールド掘進装置。 １０ 前記偏心カラーは外歯車を有するフランジ
   を備え、前記第１の駆動機構は減速機と該減速機
   に連結されたモータとを含み、前記減速機はその
   出力軸に前記偏心カラーの外歯車に噛合する歯車
   を有する、特許請求の範囲第９項に記載の掘進装
   置。