JPH0151398B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は特に押行程のストロークの増大ととも
にその発生減衰力が連続的に増大すると同時に所
謂アンチダイブ機能をも兼ね備える位置依存型フ
ロントフオークに関する。

この種位置依存型フロントフオークとしては、
外筒内底部に植設されたシートパイプ内に内筒内
に植設されたパイプを摺動自在に嵌合し、押行程
のストロークが進むに併つて前記パイプがシート
パイプ側壁に穿設した油孔を順次閉塞することに
よつて内部に封入した油の流動抵抗を高め、以つ
て発生減衰力を増大せしめる式のものが知られて
いる。

しかしながら、斯かる式のフロントフオークに
おいては、前記パイプがシートパイプ側壁に穿設
した前記油孔を閉塞する毎に段階的に減衰力が高
くなるため、良好なフイーリング特性が得られな
いという問題があつた。

又二輪車用フロントフオーク等にあつては、制
動時慣性による車体重心の前方への移動によつて
圧縮せしめられ、これにより車体が前方へ沈み込
み、操縦安定性が害されるという不都合がある。

本発明は斯かる問題を有効に解決すべく成され
たもので、その目的とする処は、押行程のストロ
ークが増大するに伴つて減衰力が連続的に増大す
ると同時にアンチダイブ機能を兼ね備えるフイー
リング特性の良好な位置依存型フロントフオーク
を提供するにある。

斯かる目的を達成すべく本発明は内筒と外筒を
摺動自在に嵌合し、外筒内底部にシートパイプを
植設して成るフロントフオークにおいて、前記外
筒側部にケース部材を固設し、該ケース部材内に
油孔を穿設して成る中空ピストン体を摺動自在に
嵌装してこれの上方に油圧室を形成するととも
に、該ピストン体を下方からスプリングにより上
記油圧室側に弾発付勢してこれの下方と弁座との
間に所定隙間を形成し、且つ該ピストン体を受圧
面積差により下動させるべく当該ピストン体の上
面の受圧面積を上記スプリングのシート面積分だ
け下面の受圧面積より大きく形成し、シートパイ
プ内室とシートパイプ外室とを前記隙間及びピス
トン体に穿設した前記油孔を介して相連通すると
ともに、前記油圧室をシートパイプ内室に連通
し、ピストン体内部にロツド部材を摺動自在に嵌
合し、該ロツド部材を押圧することによりピスト
ン体に穿設した油孔を閉塞すべく構成したことを
その要旨とする。

以下に本発明の好適一実施例を添付図面に基づ
いて詳述する。

図面は本発明に係るフロントフオークの一部破
断側面図であり、図中１は外筒であつて、該外筒
１の内部には上方より内筒２が上下摺動自在に嵌
合しており、外筒１の上部内周部には内筒２の外
周に摺接するオイルシール３が嵌装され、更に外
筒１の上端には同じく内筒２の外周に摺接するダ
ストシール４が被冠されている。

又外筒１内底部にはシートパイプ５がオイルロ
ツクピース６及びボルト７にて植設されており、
該シートパイプ５の上端拡径部５ａは図示の如く
内筒２の内周に摺接している。そして、上記オイ
ルロツクピース６の内部にはシートパイプ５にて
区画される油路８が形成され、該油路８にはシー
トパイプ５の下部側壁に穿設した油孔９…が開口
しており、更にこのオイルロツクピース６には油
路６ａが穿設されている。

一方、前記内筒２の上端はフオークボルト１０
にて閉塞されており、又これの下部内周にはシー
トパイプ５の外周に摺接するフリーバルブ１１が
嵌装されている。そして、内筒２のフオークボル
ト１０とシートパイプ５の上端との間には図示の
如くコイルスプリング１２が張架されている。

而してフロントフオーク内部はシートパイプ
内・外室S₁，S₂及び上部室S₃に区画され、夫々の
室S₁，S₂，S₃内には作動油が封入され、特に上部
室S₃の上部は気体で占められている。

ところで、外筒１の側部には図示の如くケース
部材２０が固設されており、該ケース部材２０内
部には中空ピストン２１が上下摺動自在に嵌装さ
れており、該ピストン２１の上面側には油圧室S₄
が形成されている。

上記ピストン２１の下端部は図示の如く下方へ
先細のテーパ状を成し、該下端部には中央に形成
される縦穴２１ａに連通する油孔２１ｂ，２１ｃ
が互いに直角を成して穿設されている。そして、
このピストン２１はスプリング２２にて上方へ弾
発付勢されており、フロントフオークの非作動時
においては該ピストン２１の下端部と該下端部に
係合すべきテーパ溝２３ａを備え、通常は図示の
如くその上限に位置する弁座２３との間には所定
の隙間が形成されている。尚この弁座２３の中央
には前記ピストン２１に穿設した油孔２１ｃに適
合すべき油孔２３ｂが穿設されており、該弁座２
３はスプリング２４にて通常は図示位置に弾発さ
れている。又前記スプリング２４のセツト長さは
ケース部材２０の下壁を貫通して螺合するボルト
２５を回わしてこれを上下動せしめることにより
調整され、これによりこのスプリング２４のセツ
ト荷重は任意に調整可能である。

且つ該ピストン２１を受圧面積により下動させ
るべく当該ピストン２１の上面の受圧面積を上記
スプリング２２のシート面積分だけ下面の受圧面
積より大きく形成し、ピストン２１上面に油圧が
かかり下動する場合には、スプリング２２が配設
されている空気室は、体積補償空間として用いら
れている。

而して前記シートパイプ外室S₂とシートパイプ
内室S₁とは油孔２６，２１ｂ，２１ｃ，２３ｂ，
２７、油路６ａ，８及び油孔９…を介して相連通
しており、前記油圧室S₄は油路２８、油孔２７、
油路６ａ，８及び油孔９…を介してシートパイプ
内室S₁に連通している。

一方、前記ピストン２１の縦穴２１ａにはロツ
ド２９が上下摺動自在に嵌合しており、該ロツド
２９はスプリング３０にて上方に弾発されてお
り、通常は図示の如くピストン２１に穿設された
油孔２１ｂ，２１ｃを開口せしめている。

ところで、ケース部材２０の上面には更に別の
ケース部材３１が固設されており、前記ロツド２
９の上端部は図示の如くケース部材２０の上方へ
突出しており、これの上面にはケース部材３１内
に上下摺動自在に嵌装されたピストン３２の下端
が当接している。そして、ケース部材３１内には
上記ピストン３２にて区画される油圧室S₅が形成
され、該油圧室S₅はプラグ３３に連結されるホー
ス（図示せず）を経て不図示のブレーキキヤパ等
の油圧発生源に連通している。尚図中３４，３
５，３６は何れも空気抜き孔である。

而してフロントフオークの押行程において、内
筒２が外筒１及びシートパイプ５に対して下動す
れば、シートパイプ外室S₂内の作動油は油孔２
６，２１ｂ，２１ｃ，２３ｂ及びピストン２１と
弁座２３との間の隙間、油孔２７、油路６ａ，
８、油孔９…を経てシートパイプ内室S₁内に流入
する。そして、この作動油の各流路を流れる際の
流動抵抗により、フロントフオークには所要の減
衰力が発生する。

ところで、押行程のストロークが進むに伴いシ
ートパイプ内室S₁の内圧は連続的に増大するが、
この内圧は同時にピストン２１の上面に作用して
これをスプリング２２の弾発力に抗して徐々に下
動せしめるため、ピストン２１と弁座２３との間
の隙間が次第に減少し、この結果ここを流れる作
動油の流動抵抗は増大し、従つてこの流動抵抗に
起因して発生する減衰力も連続的に増大する。

斯くして押行程のストロークの増大に伴つて発
生減衰力が連続的に増大するフイーリング特性の
良好な位置依存型フロントフオークが得られる。

次に本フロントフオークを備える二輪車等に制
動をかければ、マスターシリンダ内に発生する油
圧はケース部材３１内部の油圧室S₅に導かれ、該
油圧はピストン３２上面に作用して該ピストン３
２及びロツド２９をスプリング３０の弾発力抗に
して一体に下動せしめ、この結果ロツド２９はピ
ストン２１に穿設した油孔２１ｂ，２１ｃを完全
に閉塞する。これにより押行程時のシートパイプ
外室S₂からシートパイプ内室S₁への作動油の流れ
は遮断され、フロントフオークはオイルロツクの
状態を呈して一種の剛体として機能し、ここに制
御時の車体前部の沈み込みは有効に防止される。

斯してフロントフオークは所謂アンチダイブ機
能を発揮することとなる。

このオイルロツク状態において、外部から強い
衝撃が加わつた場合、シートパイプ外室S₂に発生
する高い油圧は弁座２３の上面に作用してこれを
スプリング２４に抗して下動せしめ、該弁座２３
とピストン２１との間に隙間を強制的に設け、こ
の隙間を介して圧油を逃がし、ここにオイルロツ
ク状態が解除され、フロントフオークは再び緩衝
機能を回復して衝撃を吸収緩和し、衝撃によるフ
ロントフオークの損傷等を有効に防止する。

以上の説明で明らかな如く本発明によれば、内
筒と外筒を摺動自在に嵌合し、外筒内底部にシー
トパイプを植設して成るフロントフオークの外筒
側部にケース部材を固設し、該ケース部材内に油
孔を穿設して成る中空ピストン体を摺動自在に嵌
装してこれの一端側に油圧室を形成するととも
に、該ピストン体を上記油圧室側に弾発付勢して
これの他端と弁座との間に所定隙間を形成し、シ
ートパイプ内室とシートパイプ外室とを前記隙間
及びピストン体に穿設した前記油孔を介して相連
通するとともに、前記油圧室をシートパイプ内室
に連通し、ピストン体内部にロツド部材を摺動自
在に嵌合し、該ロツド部材を押圧することにより
ピストン体に穿設した油圧を閉塞すべく構成した
ため、押行程のストロークの増大に伴つて減衰力
が連続的に増大すると同時にアンチダイブ機能を
兼ね備える位置依存型フロントフオークを得るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係るフロントフオークの一部破
断側面図である。 尚図面中１は外筒、２は内筒、５はシートパイ
プ、２０，３１はケース部材、２１は中空ピスト
ン、２１ｂ，２１ｃは油孔、２３は弁座、３２は
ピストン、S₁，S₂は夫々シートパイプ内・外室、
S₄，S₅は油圧室である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 内筒と外筒を摺動自在に嵌合し、外筒内底部
   にシートパイプを植設して成るフロントフオーク
   において、前記外筒側部にケース部材を固設し、
   該ケース部材内に油孔を穿設して成る中空ピスト
   ン体を摺動自在に嵌装してこれの上方に油圧室を
   形成するとともに、該ピストン体を下方からスプ
   リングにより上記油圧室側に弾発付勢してこれの
   下方と弁座との間に所定隙間を形成し、且つ該ピ
   ストン体を受圧面積差により下動させるべく当該
   ピストン体の上面の受圧面積を上記スプリングの
   シート面積分だけ下面の受圧面積より大きく形成
   しシートパイプ内室とシートパイプ外室とを前記
   隙間及びピストン体に穿設した前記油孔を介して
   相連通するとともに、前記油圧室をシートパイプ
   内室に連通し、ピストン体内部にロツド部材を摺
   動自在に嵌合し、該ロツド部材を押圧することに
   よりピストン体に穿設した油孔を閉塞すべく構成
   したことを特徴とする位置依存型フロントフオー
   ク。