JPH0123644B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、クランク軸に相対回転しないように
結合された外ば歯車と、この外ば歯車とかみ合
い、前端面および後端面を持ちクランク軸により
貫通される固定ケーシング内で回転する内ば歯車
と、吸入管路と、吐出管路とから成る内燃機関用
潤滑油ポンプに関する。

〔従来の技術〕

この種の潤滑油ポンプはドイツ連邦共和国特許
出願公開第1576345号明細書および特開昭54−
155329号公報から公知である。そこに示された潤
滑油ポンプはクランク軸上に設けられており、ク
ランクがポンプケーシングを貫通している。さら
にケーシングの前端面は密封環を持ち、この密封
環は流出空間を外部に対して区画している。流出
空間から、この流出空間の最低位置にある孔が油
受けへ通じている。この孔は、歯車とケーシング
の前部壁との間の吐出側で、製造技術上回避でき
ない公差のある部分と間隙とを介して押し入る油
を油受けへ戻すために設けられ、したがつて絞ら
れない自由流通断面を持つている。

この種の装置において、製造技術上回避できな
い公差と間隙が同様に潤滑油ポンプの吸入側にも
あるので、これらの公差のある部分と間隙とを通
つて空気が一緒に吸い込まれ、潤滑油ポンプによ
り発生された圧油流が空気を含んでしまうという
欠点がある。

〔発明が解決しようとする課題〕

本発明の課題は、実際上空気を含まない圧油流
を供給する、最初にあげた種類の内燃機関用潤滑
油ポンプを提供することである。

〔課題を解決するための手段〕

この課題を解決するため本発明によれば、ケー
シングの前端面に集合空間が設けられ、この集合
空間が一方では間隙を介してポンプの吐出側およ
び吸入側とつながり、他方では少なくとも１つの
絞られた流出口を持ち、さらに集合空間が、上部
範囲にあふれ口として構成された開口を持つてい
る。

〔発明の効果〕

本発明によれば、潤滑油ポンプの前面に、集合
空間により潤滑油だめが形成され、この潤滑油だ
めがポンプの吐出側の漏れ潤滑油により満たさ
れ、したがつてポンプの吸入側にも油だめが存在
することになるので、製造技術上の公差のため存
在する間隙を介して、ポンプが吸入側から空気を
吸い込むのを防止される。それによつて潤滑油ポ
ンプは、実際上空気を含まない潤滑油流を供給す
ることができる。この種の潤滑油流は、潤滑油ポ
ンプを駆動する内燃機関が油圧弁制御装置を備え
ている場合に特に必要とされる。しかも本発明に
よれば、集合空間の上部範囲にあふれ出し口とし
ての開口が設けられているので、集合空間に過圧
が生じてポンプ前面から歯車に作用するのも防止
される。

特許請求の範囲第２項による別の構成により、
本発明による集合空間を構成し得る簡単でかつ小
さい軸線方向全長を留意した可能性が示されてい
る。内燃機関では、クランク軸に取付け可能な装
置は、駆動装置がクランクケース内に設けられて
いる場合、クランク軸および（あるいは）噴射ポ
ンプおよび（あるいは）配電器を駆動するための
歯車であり、他の場合にはクランク軸上に取付け
可能でかつ集合空間の前端面を形成する環が考え
られる。

特許請求の範囲第３項による別の構成によれ
ば、ポンプが背面においても空気を吸い込むこと
ができないという付加的利点が得られる。それに
よつて同時に、隣接するクランク軸受のために一
種の応急潤滑が第２の集合空間から得られるとい
う利点も得られる。

特許請求の範囲第４項および第５項による別の
構成によれば、潤滑油ポンプが作動中に空気を吸
い込むかも知れない個所も一種の油だめにより密
封されるという利点が得られる。それによつて、
簡単な手段を用いて実際上圧力のない油の中で回
転する潤滑油ポンプが得られ、この潤滑油ポンプ
は、内燃機関の油の中にある油受けの内部に設け
られていなくても、全く空気を含まない潤滑油流
を供給することができる。

〔実施例〕

本発明の実施例を図面により詳細に説明する。

第１図には、軸頚２を持つクランク軸１の自由
端が示されている。軸頚２はすべり軸受３に支持
されており、このすべり軸受は軸受蓋４によりク
ランクケース５に保持されている。

クランク軸の自由端の軸頚２は肩部６を持つて
おり、この肩部は自由端面に歯車７を保持してい
る。クランクケースの内部で歯車あるいは鎖を介
してクランク軸および（あるいは）噴射ポンプお
よび（あるいは）配電器が駆動される場合、歯車
７が周知のやり方でこれらを駆動するのに用いら
れる。

歯車７と軸頚２との間において肩部６に潤滑油
ポンプ８が周知のやり方で設けられている。

潤滑油ポンプ８はケーシング９を持つており、
このケーシングは、クランクケース５と固定的に
ねじ締めされ、同時にケーシングの前端面１０を
形成するＵ字状断面を持つケーシング部分９，１
と、ケーシング部分９，１内に取り付けられ、同
様にＵ字状断面を持つ蓋９，２とから成る。蓋
９，２はケーシング部分９，１とねじ締めされ、
内ば歯車１２の支持に役立つ。同時に蓋９，２は
ケーシングの後端面１３を形成する。内ば歯車１
２は軸肩部６に対して同心的に設けられている。
第２図には吐出通路８，２および吸入通路８，１
の位置が示されている。

軸肩部６には、この軸肩部に相対回転しないよ
うに結合された外ば歯車１４が取り付けられてお
り、この歯車は同時に内ば歯車１２とかみ合つて
いる。内ば歯車１２を外ば歯車１４に対し偏心的
に設けることによつていわゆる三日月形空間が形
成され、この三日月形空間の中へ蓋９，２により
形成された三日月形仕切片１５が突出している。

本発明によればケーシングの前端面１０に油集
合空間１６が設けられている。この油集合空間は
ケーシング部分９，１の筒状突出部１７により半
径方向に区画されている。集合空間１６は、ポン
プ８の吸入側の間隙１１が作動中常に、集合空間
１６内に生ずる油レベルの下方にあるような内の
り高さを持つている。軸線方向において集合空間
は、駆動歯車７に取り付けられた環状突出部１８
により区画され、この突出部の肉厚は集合空間１
６の高さと同じである。突出部１８とケーシング
部分９，１の筒状突出部１７との間に間隙１９が
設けられており、この間隙が集合空間１６から絞
られた流出口を可能にする。同時に集合空間１６
の上部範囲には、あふれ出し口として構成された
開口２０が存在する。

この集合空間１６は、外ば歯車１４とケーシン
グ部分９，１および軸肩部６との間の間隙１１ま
たは製造公差を介して潤滑油ポンプの吐出側から
押し通る潤滑油により満たされる（第２図）。こ
の場合流出口１９の絞り効果は、潤滑油ポンプの
作動中集合空間１６に多量の油が集合して、ポン
プの吸入側において間隙１１が集合空間１６内の
油レベルの下方にあるように、大きさを定められ
ている。

間隙または製造公差は潤滑油ポンプ８の吸入側
にもあるから、ポンプはさらに油集合空間１６か
ら、吐出側から供給された潤滑油を吸い出すこと
ができる。それによつて、空気が一緒に吸い込ま
れ、吐出通路８，２へ供給され、その結果潤滑油
ポンプ８から供給された圧力を受けている潤滑油
に空気が混ざることが防止される。

第１図にはさらに本発明の有利な構成が示され
ており、この構成により、ケーシングの後端面１
３を介して空気が吸い込まれることが防止され
る。しかしこの可能性は非常に小さい。なぜなら
ばケーシングの後端面１３はクランク軸受３に隣
接しており、このクランク軸受は、図示してない
別体の供給通路を介して常に潤滑油を供給される
ので、通常ケーシングの後端面に常に油霧が生ず
るからである。

しかしケーシングの後端面１３にも油だめを設
けるために、蓋９，２は環状突出部２１を持つて
おり、この突出部は軸頚２をすべり軸受３の方向
に包囲している。それによつて軸頚２、肩部６お
よび蓋９，２と突出部２１との間に別の油集合空
間２２が形成され、この油集合空間が同様に、あ
ふれ出し口として構成された開口２３を持つてい
る。この油集合空間２２は同様に間隙または製造
公差を介して潤滑油ポンプ８の吐出側から潤滑油
を供給される。

開口２３を通つて潤滑油はクランクケース５と
ケーシングの端面１３との間に達し、そこから潤
滑油は圧力なしで油だめへ流れ返ることができ
る。さらに油集合空間２２は、この油集合空間を
介してすべり軸受３との直接結合が行なわれるの
で、このすべり軸受３のために応急潤滑が行なわ
れるという別の利点を持つている。

さらに、潤滑油ポンプ８の吐出側からケーシン
グ隈２５へ至るみぞ２４を設けることができ、こ
のケーシング隈は、蓋９，２の対応する隈を合わ
せることによつてケーシング部分９，１の内側に
形成される。

すべての手段を合わせて潤滑油ポンプが得ら
れ、この潤滑油ポンプはクランク軸上に設けられ
てはいるが、しかしすべての危険な個所において
圧力のない潤滑油により包囲されているので、潤
滑油ポンプは実際上潤滑油の中で回転し、それに
よつて、潤滑油ポンプが空気の混ざつた潤滑油流
を供給することは不可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、内燃機関のクランク軸上にクランク
ケース内で設けられた潤滑油ポンプの縦断面図、
第２図は潤滑油ポンプの横断面図である。 １……クランク軸、８……ポンプ、９……ケー
シング、１０……前端面、１２……内ば歯車、１
４……外ば歯車、１６……集合空間、１９……流
出口、２０………あふれ出し口（開口）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ クランク軸に相対回転しないように結合され
   た外ば歯車と、この外ば歯車とかみ合い、前端面
   および後端面を持ちクランク軸により貫通される
   固定ケーシング内で回転する内ば車と、吸入管路
   と、吐出管路とから成る内燃機関用潤滑油ポンプ
   において、ケーシングの前端面１０に集合空間１
   ６が設けられ、この集合空間が一方では間隙１１
   を介してポンプ８の吐出側および吸入側とつなが
   り、他方では少なくとも１つの絞られた流出口１
   ９を持ち、さらに集合空間１６が、上部範囲にあ
   ふれ出し口として構成された開口２０を持つてい
   ることを特徴とする、内燃機関用潤滑油ポンプ。 ２ 集合空間１６が、クランク軸１に対して同心
   的に設けられ、かつこのクランク軸に対し半径方
   向に距離を持ち、ケーシングの前端部１０と固定
   的に結合された筒１７によつて半径方向に区画可
   能であり、軸線方向においてケーシングの前端面
   １０とクランク軸１上に取付け可能で半径方向の
   距離内へ突出する装置１８とによつて区画可能で
   あることを特徴とする、特許請求の範囲第１項に
   記載の潤滑油ポンプ。 ３ ケーシングが後端面１３に第２の集合空間２
   ２を持ち、この集合空間が一方ではポンプの吸入
   側および吐出側とつながり、他方では間隙を介し
   て隣接のクランク軸受３と結合されていることを
   特徴とする、特許請求の範囲第１項に記載の潤滑
   油ポンプ。 ４ 第２の集合空間２２が上部範囲にあふれ出し
   口２３を持ち、このあふれ出し口がケーシングの
   後端面１３とクランクケース５との間の間隙を介
   してクランクケース内部空間とつながつているこ
   とを特徴とする、特許請求の範囲第３項に記載の
   潤滑油ポンプ。 ５ ケーシング後端面の内側にみぞ２４を持ち、
   このみぞがポンプ８の吐出空間をケーシング部分
   ９の内隈とつないでいることを特徴とする、特許
   請求の範囲第１項に記載の潤滑油ポンプ。