以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る半田ペースト装置およびスクリーン印刷装置の構成および作用を具体的に開示した実施の形態について説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
図1は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1の斜視図である。図2は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1の側面図である。図3は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1の部分斜視図である。図4は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1の部分平面図である。
スクリーン印刷装置1は上流工程側から投入された基板2(回路基板の一例)を受け取ってその基板2の各電極2dにペーストPst(半田ペーストの一例)をスクリーン印刷し、下流工程側の装置(例えば図示しない部品実装装置)に受け渡すスクリーン印刷動作を繰り返し実行する。以下の実施の形態では説明の便宜上、作業者から見た左右方向をX軸方向とし、左方を上流工程側、右方を下流工程側とする。また、作業者OPを前、作業者OPから離反する方向を後とした前後方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。
図1および図2において、スクリーン印刷装置1は基台11上に基板保持移動機構12を備えており、基板保持移動機構12の上方にはスクリーンマスク13が設けられている。
図3および図4に示すように、基板保持移動機構12の左方には、スクリーン印刷装置1の上流工程側から投入された基板2を受け取って基板保持移動機構12に搬送する搬入コンベア14が設けられている。また、基板保持移動機構12の右方には、基板保持移動機構12から基板2を受け取って下流工程側に搬送する搬出コンベア15が設けられている。スクリーンマスク13の下方領域にはカメラ16が移動自在に設けられており、スクリーンマスク13の上方領域にはスキージヘッド17が移動自在に設けられている。
図2および図3において、基板保持移動機構12は、基板保持部21と移動テーブル部22(テーブルの一例)から成る。基板保持部21は位置決めコンベア31(図4参照)、下受け部32および前後一対のクランパ33(図4参照)を備えている。位置決めコンベア31は搬入コンベア14から受け取った基板2を所定のクランプ位置に位置決めする。下受け部32は位置決めコンベア31がクランプ位置に位置決めした基板2を下方から支持し、クランパ33はその基板2を側方(Y軸方向)からクランプして保持する。基板保持部21が有する2つのクランパ33のうち、作業者OPの側に位置するものを前方クランパ33Fと称し、作業者OPとは反対の側に位置するものを後方クランパ33Rと称する。移動テーブル部22は複数のテーブル機構が多段積みされて成るXYθテーブル機構から成り、基板保持部21を水平面内方向および上下方向に移動させる。
図1および図2において、スクリーンマスク13はXY平面に広がった矩形平板形状の金属部材から成る。図4において、スクリーンマスク13の中央の矩形領域は下面が基板2と接触する基板接触領域Rとなっている。基板接触領域Rにはパターン開口13hが基板2の電極2dの配置に対応して設けられている。スクリーンマスク13の外周は枠部材13Wによって支持されている。
図2において、カメラ16は、撮像視野を上方に向けた上方撮像部16aと、撮像視野を下方に向けた下方撮像部16bを有する。カメラ16はボール螺子機構をアクチュエータとするカメラ移動機構16K(図1参照)に駆動されてXY面内で移動する。
図1および図2において、スキージヘッド17は、移動ベース41と、2つのスキージ42と、2つのスキージ昇降シリンダ43から成る。移動ベース41はX軸方向に延びた部材であり、ボール螺子機構をアクチュエータとするスキージヘッド移動機構17Kに駆動されてY軸方向に移動する。2つのスキージ42は移動ベース41に前後に並んで対向配設されており、移動ベース41のY軸方向への移動によって2つ一体となってY軸方向に往復移動する。前後の2つのスキージ42のうち、前方(図2の紙面右側)に位置するものを前方スキージ42Fと称し、後方(図2の紙面左側)に位置するものを後方スキージ42Rと称する。2つのスキージ42はそれぞれX軸方向に延びた「へら」状の部材から成り、互いに下方に広がる姿勢で斜め下方に延びている。前方スキージ42Fについては後側の面がペースト掻寄せ面であり、後方スキージ42Rについては前側の面がペースト掻寄せ面である。
2つのスキージ昇降シリンダ43は2つのスキージ42に対応して移動ベース41に前後方向に並んで設けられている。2つのスキージ昇降シリンダ43は個別に作動して2つのスキージ42を移動ベース41に対して独立して昇降させる。各スキージ昇降シリンダ43は対応するスキージ42を、そのスキージ42の下端がスクリーンマスク13の上面から所定距離だけ離間した待機高さ位置(図2中に示すスキージ42参照)と、下端がスクリーンマスク13に当接する当接高さ位置との間で昇降させることができる。
図5は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1が有する半田ペースト回収装置71の側面図である。スクリーン印刷装置1は、半田ペースト回収装置71を有する。半田ペースト回収装置71は、第1のスクリーンマスク13F(図24参照)上のペーストPstを回収すると共に、第1のスクリーンマスク13Fと異なる第2のスクリーンマスク13R(図24参照)上にその回収したペーストPstを改めて供給する。
半田ペースト回収装置71は、第1のスクリーンマスク13Fまたは第2のスクリーンマスク13Rに当接する当接部73と、当接部73を介して、ペーストPstを回収するための第1の方向a、またはペーストPstを供給するための第2の方向bに搬送されるシート75と、シート75を第1の方向aまたは第2の方向bへ搬送する搬送部77とを有している。
搬送部77は、シート75が巻回された供給側ロール79と、供給側ロール79からシート75を巻き取る巻き取り側ロール81とを有する。供給側ロール79は、供給側ロールモータ83により正逆回転される。巻き取り側ロール81は、巻き取り側ロールモータ85により正逆回転される。これら供給側ロールモータ83および巻き取り側ロールモータ85は、制御装置60(図23参照)により同期して回転制御される。この他、搬送部77には、シート75が掛け渡されて、シート75の周回をガイドするための複数のガイドローラ87が設けられている。
当接部73は、スキージ42の長手方向に沿って延在する短冊状の薄板から成る。当接部73は、一方の長辺部側が、半田ペースト回収装置71の筐体89に固定され、他方の長辺部側が下向きに傾斜して取り付けられている。シート75は、この下向きに突出した当接部73の先端に掛け渡されて、当接部73の表裏に沿った周回路を形成している。従って、シート75は、供給側ロールモータ83と巻き取り側ロールモータ85とが同期して回転されると、当接部73の先端を通過しながら下面から上面(第1の方向a参照)、あるいは上面から下面(第2の方向b参照)へと移動する。
本実施の形態において、シート75には、ペーストPstとの摩擦が少ないシートとして、例えばPTFEシートが用いられている。シート75は、PTFEシートが用いられることにより、例えばペーストPstの供給時におけるシート75からのペーストPstの剥離性を良好にすることができる。また、シート75は、PTFEシートを用いることにより、装置洗浄時に使用される洗浄剤等に対する耐薬品性も高めることができる。なお、シート75の材質は、上述したペーストPstとの摩擦が少なくかつ耐薬品性があるシートであれば、PTFEシートに限定されない。
図6は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1が有するマスク自動位置決めユニット91の斜視図である。スキージヘッド17には、マスク自動位置決めユニット91(位置決め装置の一例)が取り付けられる。マスク自動位置決めユニット91は、半田回収取付けユニット93を有する。半田回収取付けユニット93には、半田ペースト回収装置71が着脱自在に取り付けられる。半田回収取付けユニット93は、スキージ42に沿う長尺のフレーム95と、フレーム95の両端に固定されてマスク位置決め用のロッド97を有する一対のシリンダ99と、フレーム95の中央に固定される回収ユニット昇降シリンダ101と、を有する。半田ペースト回収装置71は、回収ユニット昇降シリンダ101の昇降ロッド103に固定された回収ユニット支持杆105に取り付けられることで昇降自在となる。なお、半田ペースト回収装置71の取付構造については後述する。
図7(a),(b),(c)は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1が行う半田回収動作の説明図である。スクリーン印刷装置1では、回収動作時、シート75がペーストPstを回収するための第1の方向aに搬送されると同時に、当接部73がペーストPstに対して接近する方向nに移動する。この移動は、例えばスキージヘッド移動機構17Kを制御装置60により制御することで行われる。
図8(a),(b)は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1が行う半田供給動作の説明図である。スクリーン印刷装置1では、供給動作時、シート75がペーストPstを供給するための第2の方向bに搬送されると同時に、当接部73がペーストPstに対して離反する方向sに移動する。この移動は、例えばスキージヘッド移動機構17Kを制御装置60により制御することで行われる。
図9(a),(b)は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1が有する当接部73の半田回収時の説明図である。図9(a),(b)に示すように、当接部73の先端には、第1のスクリーンマスク13Fおよび第2のスクリーンマスク13Rのそれぞれに対して、第1の角度αで対向する対向面107が設けられている。当接部73は、第1のスクリーンマスク13Fおよび第2のスクリーンマスク13Rのそれぞれに対して、第1の角度αよりも大きな第2の角度βで傾斜している。
本実施の形態において、第1の角度αは例えば0度である。従って、対向面107は、第1のスクリーンマスク13Fおよび第2のスクリーンマスク13Rのそれぞれに対して、平行に対向している。
スクリーン印刷装置1では、シート75が、対向面107に押圧されることにより第1のスクリーンマスク13Fおよび第2のスクリーンマスク13Rのそれぞれに対して、少なくとも対向面107と同等以上の面積で接触する。
図9(a)に示すように、当接部73の先端の形状が例えば直角状の場合、スクリーンマスク13とシート75との接地面積が小さく、回収動作時、ペーストPstを回収可能ではあるものの、スクリーンマスク13上にペーストPstの半田粒109が残る可能性がある。
これに対し、図9(b)に示すように、当接部73の先端の形状が例えば対向面107を平行にスクリーンマスク13に接触させる形状を有する場合、スクリーンマスク13とシート75との接地面積を大きく確保できるのでスクリーンマスク13とシート75との密着性が向上する。これにより、半田ペースト回収装置71は、回収動作時のスクリーンマスク13への半田粒109の付着を抑制することができる。
図10(a),(b)は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1が有する当接部73の半田供給時の説明図である。
図10(a)に示すように、当接部73の先端の形状が例えば直角状の場合、スクリーンマスク13とシート75との接地面積が小さく、供給動作時、シート75に、ペーストPstの半田粒109が残る可能性がある。シート75に半田粒109が残ると、他のスクリーンマスクにその半田粒109が供給される可能性があり、印刷不良となることが懸念される。
これに対し、図10(b)に示すように、当接部73の先端の形状が例えば対向面107を平行にスクリーンマスク13に接触させる形状を有する場合、スクリーンマスク13とシート75との接地面積を大きく確保できるのでスクリーンマスク13とシート75との密着性が向上する。これにより、半田ペースト回収装置71は、供給動作時のシート75への半田粒109の付着を抑制することができる。
図11(a),(b)は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1が行うペーストPst回収供給時の説明図である。なお、図11(b)は、図11(a)のA-A断面を表す。半田ペースト回収装置71では、回収動作時および供給動作時に、当接部73が所定の押し込み力Fでスクリーンマスク13に押圧される。この際、スクリーンマスク13が撓むと、スクリーンマスク13とシート75との間に、図11(b)に示すギャップGが発生する。ギャップGが発生すると、スクリーンマスク13とシート75の密着性が落ちることで、スクリーンマスク13上にペーストPstが残り、印刷不良が発生する可能性がある。
図12は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1が行うクランパ33によるマスク支持動作の説明図である。スクリーン印刷装置1は、所定の印刷位置に位置決めされた基板2を両側から把持する一対のクランパ33(上述参照)を備えている。また、スクリーン印刷装置1は、クランパ33が載置されると共に、クランパ33を上下方向に移動可能なテーブルである移動テーブル部22(上述参照)を備えている。スクリーン印刷装置1では、半田ペースト回収装置71がペーストPstの回収または供給を行う際、移動テーブル部22が、クランパ33を第1のスクリーンマスク13Fまたは第2のスクリーンマスク13Rの下面に当接させるよう動作させる。この動作は、例えば制御装置60が移動テーブル部22を動作制御することにより行われる。
スクリーン印刷装置1は、回収動作時および供給動作時、クランパ33を上昇させ、スクリーンマスク13を下面側で支えることで、スクリーンマスク13の撓みを抑制する。これにより、スクリーン印刷装置1は、スクリーンマスク13とシート75との密着性を向上でき、上述したギャップGの発生を抑制できて印刷不良の発生を低減できる。
図13(a),(b)は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1が行う半田そぎ落とし動作の説明図である。スクリーン印刷装置1は、シート75上に残留したペーストPstをそぎ落とすためのスクレーパ111を更に備えている。スクリーン印刷装置1は、半田ペースト回収装置71に、例えばヘラのような機構を取り付けることにより、ペーストPstの供給動作後、シート75上に残るペーストPstをそぎ落とすことが可能である。スクレーパ111は、シート75に対して接近離反するスクレーパスライド機構を有する。スクレーパスライド機構では、スライド動作のタイミングおよびスライド方向のストロークSTが、例えば制御装置60により制御される。
なお、スクリーン印刷装置1は、スクレーパ111を有する他、その他の構成によりシート75に対するペーストPstの残留を抑制してもよい。例えば、シート75は、使い捨て方式として使用することで、ペーストPstの残留を確実に防止することができる。また、シート75は、油紙や表面粗さ等の材質調整により、ペーストPstの残留を抑制してもよい。さらに、シート75は、当接部73の先端形状やスクリーンマスク13に対する押し込み力等の使用条件の調整により、ペーストPstの残留を抑制してもよい。
図14は、半田ペースト回収装置71が備えられていない比較例におけるスキージヘッド17の側面図である。スキージヘッド17は、スクリーンマスク13上を摺動し、かつ基板2にペーストPstを印刷するためのスキージ42を上下方向に移動させる。スキージヘッド17には、スキージヘッド17がスクリーンマスク13上を摺動するための移動機構を利用して、スクリーンマスク13の位置決めを行うためのマスク自動位置決めユニット91が搭載されている。スクリーンマスク13は、四角形の枠部材13Wにより枠取りされる。マスク自動位置決めユニット91は、スクリーンマスク13の枠部材13Wを利用してスクリーンマスク13を移動し、位置決めを行う。
この際、スキージヘッド17に搭載されたマスク自動位置決めユニット91は、枠部材13Wよりもさらに後方に移動する。スキージヘッド17は、この移動位置が最後端の移動位置となる。従って、スクリーン印刷装置1は、従来、この最後端に移動されたスキージヘッド17に干渉しない距離(隙間d)で、スキージヘッド17に近接させ(例えば8mm程度を空け)て、設備の骨組み113等を設け、コンパクト化を図っている。
図15は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1が有するスキージヘッド17の側面図である。スクリーン印刷装置1は、半田ペースト回収装置71を、新たに増設する場合、スクリーンマスク13上を移動するスキージヘッド17に搭載することが、移動機構を兼用できることから望ましい。ところが、スキージヘッド17は、既に搭載されているマスク自動位置決めユニット91と骨組み113との間が僅かな隙間d(図14参照)しかなく、新たに半田ペースト回収装置71を搭載する場合、設備の前後方向(奥行き方向)を長くする必要があった。
そこで、スクリーン印刷装置1は、スキージヘッド17と、スキージヘッド17に隣接して設けられると共に、スクリーンマスク13の位置決めを行う位置決め装置であるマスク自動位置決めユニット91との間に、半田ペースト回収装置71を設けている。この構成では、スキージヘッド17とマスク自動位置決めユニット91との間に半田ペースト回収装置71を組み込むことで、設備の奥行きを変更することなく半田ペースト回収装置71の搭載を可能にすることができる。
図16は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1が有するマスク自動位置決めユニット91の分解斜視図である。半田ペースト回収装置71は、第1のアタッチメントを有する。マスク自動位置決めユニット91は、第1のアタッチメントに対応する第2のアタッチメントを有する。半田ペースト回収装置71は、これら第1のアタッチメントおよび第2のアタッチメントを用いて、マスク自動位置決めユニット91の半田回収取付けユニット93に着脱自在に取り付けられる。
本実施の形態において、半田ペースト回収装置71に設けられる第1のアタッチメントは、筐体89に設けられる一対の穿孔部材115から成る。また、第2のアタッチメントは、回収ユニット支持杆105の長手方向両側に備えられる一対の凸部117から成る。
図17(a),(b),(c)は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1が有する半田ペースト回収装置71の脱着手順を表す側面図である。回収ユニット支持杆105は、凸部117と嵌合した穿孔部材115を解除可能に係止して弾接する板ばね部材119を有する。板ばね部材119は、基端が板厚方向に貫通する押さえボルト121により保持される。押さえボルト121は、圧縮されたコイルスプリング123を貫通する。これにより、板ばね部材119は、上下方向に揺動自在に保持されている。また、板ばね部材119の先端には、テーパー面125が形成されている。テーパー面125は、凸部117への穿孔部材115の挿入により、板ばね部材119を付勢方向に抗して退けるよう働く。これにより、半田ペースト回収装置71は、装着時に、穿孔部材115を、凸部117に押し込むワンタッチ動作で、装着を完了させることが可能となっている。
図18は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1が有する半田ペースト回収装置71の斜視図である。スキージヘッド17は、半田ペースト回収装置71へ電源を供給可能なコネクタ(図示略)を有している。一方、半田ペースト回収装置71は、このコネクタに着脱自在な電源ケーブル127を有する。この電源ケーブル127の末端には、上述したスキージヘッド17のコネクタに接続する相手コネクタ129が取り付けられている。更に、半田ペースト回収装置71の筐体89には、電源ケーブル127を係止可能な係止部131を有する。
図19は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1が有する半田ペースト回収装置71の電源ケーブル保持状態の斜視図である。係止部131は、相手コネクタ129のハウジングを保持することにより電源ケーブル127を係止する。電源ケーブル127は、ケーブル末端の相手コネクタ129が、半田ペースト回収装置71に設けられた係止部131に係止されることにより、他部材と接触することなく安全に保持される。
図20(a),(b)は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1のシート送り動作の説明図である。ところで、半田ペースト回収装置71においては、図20(a)に示すように、シート75の表面に、移動できずに残ったペーストPstが移し残りペースト133として僅かに付着する。ペーストPstの印刷(生産とも称する)される対象となる機種の切り替え後に、生産に使用されるペーストPstの種類が変わる場合、異なる種類のペーストPstが混ざり、印刷品質不良に繋がることが懸念される。
そこで、スクリーン印刷装置1は、半田ペースト回収装置71を搭載することにより、従来と異なるスクリーン印刷方法を採る。例えば、スクリーン印刷装置1は、第1のペーストPstおよび第2のペーストPstの照合を行うための照合部135(図23参照)を有する。また、スクリーン印刷装置1は、制御部の一例としての半田回収供給制御部70(図23参照)を有する。半田回収供給制御部70は、照合部135による照合の結果に基づいて、搬送部77が行うシート75の搬送(例えば搬送量)を制御する。
即ち、スクリーン印刷装置1は、第1のペーストPstおよび第2のペーストPstの照合を照合部135により行う照合工程と、その照合結果に基づいて、搬送部77が行うシート75の搬送を半田回収供給制御部70により制御する搬送判定工程と、を含むスクリーン印刷方法を採る。
具体的に、半田回収供給制御部70は、照合部135による照合の結果、第1のペーストPstと第2のペーストPstの種類が同じ場合、シート75の搬送を行わないよう、搬送部77の供給側ロールモータ83および巻き取り側ロールモータ85を駆動制御する。
一方、半田回収供給制御部70は、照合部135による照合の結果、第1のペーストPstと第2のペーストPstの種類が異なる場合、シート75を搬送するよう、搬送部77の供給側ロールモータ83および巻き取り側ロールモータ85を駆動制御する。その結果、シート75は、回収供給動作が、供給側ロール79から新たに送り出した図20(b)に示す新しい面137で行われる。
図21は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1の新しいシート面が使用される回収動作時の説明図である。回収動作時、シート75は、移し残りペースト133が、新しい面137よりも下流側に位置することになる。その結果、スクリーン印刷装置1では、機種切り替え後の回収動作時には、第1のペーストPstの移し残りペースト133が、第2のペーストPstに混ざらなくなるようになされている。
図22は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1の新しいシート面が使用される供給動作時の説明図である。同様に、供給動作時、シート75は、移し残り133ペーストが、新しい面137よりも下流側に位置することになる。その結果、スクリーン印刷装置1では、機種切り替え後の供給動作時には、第1のペーストPstの移し残り133ペーストが、第2のペーストPstに混ざらなくなるようになされている。
また、スクリーン印刷装置1は、前回の機種切り替えからの経過時間を計時するタイマー139を有する(図23参照)。半田回収供給制御部70は、このタイマー139が計時した経過時間が所定時間を超えた場合、シート75を搬送するよう搬送部77の供給側ロールモータ83および巻き取り側ロールモータ85を駆動制御する。
図23は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1の制御系統を示すブロック図である。スクリーン印刷装置1において、搬入コンベア14による基板2の搬送動作、基板保持移動機構12による基板2の保持および移動動作、搬出コンベア15による基板2の搬送動作の各制御は、スクリーン印刷装置1が有する制御装置60(図23参照)により実行される。また、カメラ移動機構16Kによるカメラ16の移動動作とカメラ16の撮像動作、スキージヘッド移動機構17Kによるスキージヘッド17の移動動作およびスキージ昇降シリンダ43による各スキージ42の昇降動作の各制御も、制御装置60により実行される。カメラ16の撮像によって得られた画像データは制御装置60に送られ、制御装置60の画像処理部60a(図23参照)において画像認識がなされる。
本実施の形態におけるスクリーン印刷装置1では、制御装置60に接続される入力装置61から必要な入力が行われる。これにより、前後一対のスキージ42のそれぞれの当接地点が任意に設定可能となる。また、入力装置61から必要な入力が行われることにより、スキージ42のスクリーンマスク13上での摺動速度と、スキージ42のスクリーンマスク13に対する印圧をそれぞれ任意に設定できるようになっている。
照合部135は、機種の切り替えがあると、制御装置60からの照合信号を受け、第1のペーストPstと第2のペーストPstとの情報を照合する。第1のペーストPstと第2のペーストPstとの情報は、例えばカメラ16がスクリーンマスク13に付されているバーコードを読み取り、そのスクリーンマスク13に関連してメモリ(図示略)に格納されている機種別生産データから抽出することができる。また、第1のペーストPstと第2のペーストPstとの情報は、入力装置61から直接入力されてもよい。照合部135は、第1のペーストPstと第2のペーストPstとの種類が同じか否かを照合し、その結果を半田回収供給制御部70へ送る。
タイマー139は、機種切り替えが発生すると、制御装置60からの計時信号を受け、機種切り替え後の経過時間を計時する。この機種切り替えからの経過時間は、随時、制御装置60からの経過時間取得信号により参照が可能となる。タイマー139は、機種切り替えが新たに発生すると、計時を終了するとともに、経過時間を初期値のゼロに設定し、再び新たな機種での経過時間の計時を開始する。
次に、上述したスクリーン印刷装置1によるペーストPstの回収供給動作を説明する。
図1~図4に示すように、上流工程側から基板2が投入されると、その基板2を搬入コンベア14が受け取り、基板保持部21に受け渡す。基板保持部21は、搬入コンベア14から受け取った基板2を位置決めコンベア31によって所定のクランプ位置に位置決めし、下受け部32により下方から支持した上でクランパ33によってクランプする。基板保持部21が基板2を保持したら、移動テーブル部22が基板保持部21を移動させ、基板2をスクリーンマスク13の基板接触領域Rの下方に位置させる。
基板2が基板接触領域Rの下方に位置したらカメラ16が移動し、上方撮像部16aによって基板接触領域R内に設けられたマスク側マーク13m(図4)を下方から撮像し、下方撮像部16bによって基板保持部に保持された基板2の基板側マーク2m(図3)を上方から撮像する。カメラ16による撮像が終了したら、基板保持移動機構12は、マスク側マーク13mと基板側マーク2mが平面視において一致するように基板2を移動させた上で上昇させ、基板接触領域Rに基板2を接触させる。これにより各電極2dは対応するパターン開口13hと合致してマスクプレートの上面側に露出する。
上述のように基板2が基板接触領域Rに接触すると、前方クランパ33Fは基板接触領域Rの前方領域でスクリーンマスク13の下面に接触し、後方クランパ33Rは基板接触領域Rの後方領域でスクリーンマスク13の下面に接触する。本実施の形態では、前方クランパ33Fがスクリーンマスク13と接触する部分の上面領域を前方待機領域TFと称し、後方クランパ33Rがスクリーンマスク13と接触する部分の上面領域を後方待機領域TRと称する(図4参照)。前方待機領域TFと後方待機領域TRはそれぞれ、印刷動作開始前にペーストPstを待機させる領域となる。本実施の形態では、ペーストPstは初め、前方待機領域TFに供給される(図4参照)。
スクリーン印刷装置1による印刷動作の概略は、先ず、供給されたペーストPstをスキージ42で掻き寄せてスクリーンマスク13のパターン開口13hにペーストPstを充填させる。次いで、スキージ42を当接高さ位置に下降させ、スキージ42のペースト掻寄せ面がペーストPstに接触するようにする。そして、移動ベース41を後方に移動させ、スキージ42をスクリーンマスク13上で摺動させることによって、ペーストPstを掻き寄せる。これにより、ペーストPstがパターン開口13hを通過して基板2の電極2dに印刷される。
図24,図25,図26,図27は、それぞれ本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1が行うペーストPst回収動作の説明図である。
図24に示すように、スクリーン印刷装置1では、機種の切り替えが生じると、次機種である第2のスクリーンマスク13Rが後方から前方へ送られる。
図25に示すように、スキージヘッド17が上昇する。基板保持部21が下降する。スキージヘッド17が、第1のスクリーンマスク13Fの後端側の枠部材13Wの直前に移動する。シリンダ99のロッド97が下降する。
図26に示すように、スキージヘッド17および基板保持部21が後方へ移動する。これにより、第1のスクリーンマスク13Fの枠部材13Wが、第2のスクリーンマスク13Rの枠部材13Wに当接する。ロッド97が上昇する。スキージヘッド17が前方へ移動する。
図27に示すように、半田ペースト回収装置71が回収ユニット昇降シリンダ101により下降される。図9に示すように、スキージヘッド17がペーストPstに接近する方向nに移動させられながら、シート75が第1の方向aに移動され、ペーストPstが当接部73によって回収される。
図28,図29,図30,図31は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1が行うペーストPst供給動作の説明図である。
図28に示すように、スクリーン印刷装置1では、回収ユニット昇降シリンダ101が駆動されて、ペーストPstを回収した半田ペースト回収装置71が上昇する。同時に、基板保持部21が下降する。スキージヘッド17が、第2のスクリーンマスク13Rのさらに後方へ移動する。シリンダ99が駆動されてロッド97が第2のスクリーンマスク13Rにおける枠部材13Wの後方に下降する。
図29に示すように、スクリーン印刷装置1は、スキージヘッド17を前方へ移動して、第2のスクリーンマスク13Rおよび第1のスクリーンマスク13Fのそれぞれを移動する。これにより、第2のスクリーンマスク13Rが印刷位置に移動する。スクリーン印刷装置1は、ロッド97を上昇する。スクリーン印刷装置1は、スキージヘッド17を前方へ移動し、印刷位置に配置する。この時、スクリーン印刷装置1は、半田ペースト回収装置71を前方クランパ33Fの直上に配置する。
図30に示すように、スクリーン印刷装置1は、回収ユニット昇降シリンダ101を駆動して半田ペースト回収装置71を下降し、ペーストPstを前方クランパ33F上へ配置する。この際、同時に基板保持部21が上昇し、クランパ33が第2のスクリーンマスク13Rの下面に当てられる。図10に示すように、スキージヘッド17がペーストPstから離反する方向sに移動させられながら、シート75が第2の方向bに移動させられ、ペーストPstが第2のスクリーンマスク13R上に供給される。ペーストPstを供給した後の半田ペースト回収装置71は、ペーストPstと接触しない位置へ若干後退される。
図31に示すように、最後に、回収ユニット昇降シリンダ101が駆動されて半田ペースト回収装置71が上昇する。これにより、スクリーン印刷装置1では、半田ペースト回収装置71は、第1のスクリーンマスク13Fから第2のスクリーンマスク13RへのペーストPstの移載を完了する。
なお、本実施の形態では、ペーストPstを前側(F側)回収かつ前側(F側)供給する場合を例に動作説明したが、スクリーン印刷装置1の回収供給動作は、この他、前側(F側)回収かつ後側(R側)供給、後側(R側)回収かつ前側(F側)供給、または後側(R側)回収かつ後側(R側)供給とすることもできる。
次に、半田ペースト回収装置71が行うシート75の送り動作を説明する。
図32は、本開示の一実施の形態におけるスクリーン印刷装置1が行うシート送り動作のフローチャートである。
先ず、例えば前回の機種の切り替えから24時間以上経過後、同じペーストPstの機種に切り替える時の動作を説明する。なお、シート送りのための設定時間は例えば24時間とする。
この場合、機種の切り替え開始が行われると、半田回収供給制御部70は、経過時間が設定時間(上述参照)を経過しているか、または未経過であるかを判断する(St1)。経過時間が設定時間を経過している場合、半田回収供給制御部70は、搬送部77へシート送り信号を送る。シート送り信号を受けた搬送部77は、巻き取り側ロールモータ85、供給側ロールモータ83を駆動してシート75を送る(St2)。シート75が送られた後、半田ペースト回収装置71は、ペーストPstの回収動作を開始する(St3)。これにより、半田ペースト回収装置71は、回収動作前に、シート75を送り、新しい面137で回収動作を開始する。
次に、例えば前回の機種切り替えから3時間経過後、同じペーストPstの機種に切り替える時の動作を説明する。なお、シート送りのための設定時間は同様にして例えば24時間とする。
この場合、機種の切り替え開始が行われると、半田回収供給制御部70は、経過時間が設定時間を経過しているか、または未経過であるかを判断する(St1)。経過時間が設定時間を経過していない場合、半田回収供給制御部70は、搬送部77へシート送り信号を送らない。従って、搬送部77は、シート75を送らない(St4)。次いで、照合部135は、ペーストPstの種類の変更があるか否かを判断する(St5)。
前回の機種からペーストPstの種類の変更がない場合、半田回収供給制御部70は、搬送部77へシート送り信号を送らない。従って、搬送部77は、シート75を送らない(St6)。これにより、半田ペースト回収装置71は、前回の機種で使用した同じシート75の面を使用して回収動作を開始する(St7)。
次に、例えば前回の機種切り替えから3時間経過後、違うペーストPstの機種に切り替える時の動作を説明する。なお、シート送りのための設定時間は同様にして24時間とする。
この場合、機種の切り替え開始が行われると、半田回収供給制御部70は、経過時間が設定時間を経過しているか、または未経過であるかを判断する(St1)。経過時間が設定時間を経過していない場合、半田回収供給制御部70は、搬送部77へシート送り信号を送らない。従って、搬送部77は、シート75を送らない(St4)。次いで、照合部135は、ペーストPstの種類の変更があるか否かを判断する(St5)。前回の機種からペーストPstの種類の変更がある場合、半田回収供給制御部70は、搬送部77へシート送り信号を送る。従って、搬送部77は、巻き取り側ロールモータ85、供給側ロールモータ83を駆動してシート75を送る(St8)。シート75が送られた後、半田ペースト回収装置71は、ペーストPstの回収動作を開始する(St9)。これにより、半田ペースト回収装置71は、回収動作前に、シート75を送り、新しい面137で回収動作を開始する。
次に、上述した本実施の形態におけるスクリーン印刷装置1の作用を詳細に説明する。
半田ペースト回収装置71は、第1のスクリーンマスク13F上のペーストPstを回収すると共に、第1のスクリーンマスク13Fと異なる第2のスクリーンマスク13R上に回収したペーストPstを供給する。半田ペースト回収装置71は、第1のスクリーンマスク13Fまたは第2のスクリーンマスク13Rに当接する当接部73と、当接部73を介して、ペーストPstを回収するための第1の方向aまたはペーストPstを供給するための第2の方向bに搬送されるシート75と、シート75を第1の方向aまたは第2の方向bへ搬送する搬送部77とを備える。当接部73の先端には、第1のスクリーンマスク13Fおよび第2のスクリーンマスク13Rのそれぞれに対して、第1の角度αで対向する対向面107が設けられる。当接部73は、第1のスクリーンマスク13Fおよび第2のスクリーンマスク13Rに対して、第1の角度αよりも大きな第2の角度βで傾斜している。
この半田ペースト回収装置71によれば、ペーストPstが、当接部73により回収および供給される。当接部73は、スキージ42の印刷方向に直交する幅方向の寸法と略同一の幅寸法を有する薄板で形成される。この当接部73には、当接部73の幅方向の寸法と略同一の幅寸法を有して当接部73の先端縁を覆うシート75が当接部73の表裏面に渡って掛け渡される。シート75は、幅方向と直交する長尺方向の両端が、搬送部77を構成する供給側ロール79と、巻き取り側ロール81とにより巻回されて保持される。搬送部77は、供給側ロール79と巻き取り側ロール81と同期して回転することにより、シート75を当接部73の一方の面側から他方の面側の方向(第1の方向a参照)、あるいはその反対側の方向(第2の方向b参照)に移動を可能する。ここで、一方の面とは、当接部73の下面となる。他方の面とは、当接部73の上面となる。
当接部73の先端には、対向面107が形成される。当接部73は、スクリーンマスク13に対して上方よりスクリーンマスク13に当接する。従って、対向面107は、当接部73の先端における下面側の先端となる。シート75は、この対向面107を覆って移動される。対向面107は、第1のスクリーンマスク13F、第2のスクリーンマスク13Rに対して、第1の角度αで対向する。シート75は、この対向面107と、スクリーンマスク13とに挟まれる。つまり、当接部73は、スクリーンマスク13に直接は当接せず、シート75を介してスクリーンマスク13に当接する。
当接部73は、この対向面以外の基端側が、スクリーンマスク13に対して、第1の角度αよりも大きな第2の角度βで傾斜している。このため、当接部73は、基端側に向かうに従って、スクリーンマスク13から徐々に離反する。シート75は、当接部73の表裏面にほぼ密着して移動するため、同様に当接部73の基端側に向かうに従って、スクリーンマスク13から徐々に離反する。
半田ペースト回収装置71は、第1のスクリーンマスク13FからペーストPstを回収する際、第1のスクリーンマスク13Fとその上に載ったペーストPstとの境界部分に当接部73の先端を挿入する。その際、シート75は、同時に第1の方向aに移動する。シート75の移動量は、当接部73を挿入するときの移動量と同一となるように設定される。このため、スクリーンマスク13上のペーストPstをスクリーンマスク13から引き剥がしてシート上に移載する際のペーストPstに作用するせん断力は、当接部73の先端のみでペーストPstに生じることになる。従って、当接部73の先端でせん断されてシート上に載ったペーストPstは、その後に外力が作用せずに、安定した形状(つまり形状が均一)のまま当接部73の上面へ移載されることになる。
一方、半田ペースト回収装置71は、回収したペーストPstを第2のスクリーンマスク13Rに供給する際、シート75を第2の方向bに移動させる。当接部73は、このシート75の移動により、シート75上のペーストPstを、第2のスクリーンマスク13Rの供給位置に移す。その際、当接部73は、同時に移されたペーストPstから離反する方向に移動する。当接部73の移動量は、シート75の移動量と同一となるように設定される。このため、シート75上のペーストPstをシート75から引き剥がして第2のスクリーンマスク13R上に移す際のせん断力は、当接部73の先端のみでペーストPstに作用することになる。従って、シート75から離れたペーストPstは、安定した形状(つまり形状が均一)のまま第2のスクリーンマスク13Rの上面に移載が可能となる。
当接部73は、その対向面107がスクリーンマスク13と対向する第1の角度αよりも大きな角度である第2の角度βで傾斜して設けられている。このため、シート75が第1の方向aまたは第2の方向bに搬送されても、ペーストPstのせん断が当接部73の先端のみに限定される。このため、シート75の搬送に伴ってシート75に僅かに残存するペーストPstがスクリーンマスク13に付着することが抑制される。よって、印刷不良の発生を抑制しつつペーストPstの回収および供給を行うことができる。
また、ペーストPstの形状が均一となることにより、スキージ42による印刷時の圧力を均一にできる。これによっても、半田ペースト回収装置71は、印刷不良の発生を抑制することができる。
また、ペーストPstの形状が均一となることにより、ペーストPstのならし作業を不要にすることができる。その結果、半田ペースト回収装置71は、一枚の基板2にペーストPstを印刷する作業時間(いわゆるサイクルタイム)を短縮できて、生産性を向上させることができる。
更に、ペーストPstのせん断が大きな面積で発生しなくなるので、機構に付着するペーストPstの量を減少させることができ、清掃作業を容易にすることができる。
また、半田ペースト回収装置71では、第1の角度αは0度であり、対向面107は第1のスクリーンマスク13Fおよび第2のスクリーンマスク13Rのそれぞれに対して、平行に対向している。
この半田ペースト回収装置71によれば、第1のスクリーンマスク13Fおよび第2のスクリーンマスク13Rに対向する対向面107の第1の角度αが、0度となる。対向面107は、当接部73の先端における下面に形成される。当接部73は、この対向面以外の基端側が、スクリーンマスク13に対して、第1の角度αよりも大きな第2の角度βで傾斜する。当接部73は、先端以外が、この第2の角度βで同一の板厚で形成される。即ち、当接部73は、上面の全体が第2の角度βとなる。従って、当接部73の先端は、第1の角度αと第2の角度βとに挟まれて、先端に向かい徐々に薄厚となるテーパー形状となる。これにより、当接部73は、薄厚の先端を、スクリーンマスク13とペーストPstの境界に挿入することができる。その結果、半田ペースト回収装置71は、ペーストPstに生じるせん断箇所を極めて狭い範囲に限定でき、ペーストPstの形状崩れを抑制する効果をさらに高めることができる。
また、半田ペースト回収装置71では、シート75が、PTFEシートである。
この半田ペースト回収装置71によれば、シート75がPTFEシートであることにより、ビニールシート等に比べ、ペーストPstとの摩擦を小さくできる。摩擦の小さいシート75は、特にペーストPstの供給時に有利となる。即ち、半田ペースト回収装置71は、ペーストPstをスクリーンマスク13に供給する際、シート75を第2の方向bに移動し、シート上のペーストPstをスクリーンマスク13の供給位置に移す。同時に、当接部73は、ペーストPstから離反する方向に移動される。その際、ペーストPstは、シート75との摩擦が小さいほど、安定した形状(つまり形状が均一)のままスクリーンマスク13に移載が可能となる。これにより、半田ペースト回収装置71は、シート75にPTFEシートを使用することで、ビニールシートを使用する場合に比べスクリーンマスク13上に移載するペーストPstの形状を安定させることができる。
また、スクリーン印刷装置1は、第1のスクリーンマスク13Fまたは第1のスクリーンマスク13Fと異なる第2のスクリーンマスク13Rを介してペーストPstを基板2に印刷する。スクリーン印刷装置1は、第1のスクリーンマスク13F上のペーストPstを回収すると共に、第2のスクリーンマスク13R上に回収したペーストPstを供給する半田ペースト回収装置71を備える。半田ペースト回収装置71は、第1のスクリーンマスク13Fまたは第2のスクリーンマスク13Rに当接する当接部73と、当接部73を介して、ペーストPstを回収するための第1の方向aまたはペーストPstを供給するための第2の方向bに搬送されるシート75と、シート75を第1の方向aまたは第2の方向bへ搬送する搬送部77とを有する。当接部73の先端には、第1のスクリーンマスク13Fおよび第2のスクリーンマスク13Rのそれぞれに対して、第1の角度αで対向する対向面107が設けられており、当接部73は、第1のスクリーンマスク13Fおよび第2のスクリーンマスク13Rに対して、第1の角度αよりも大きな第2の角度βで傾斜している。
このスクリーン印刷装置1によれば、上述した当接部73を第1の角度αよりも大きな第2の角度βで傾斜させた半田ペースト回収装置71の作用と同様の作用により、印刷不良の発生を抑制しつつペーストPstの回収および供給を行うことができる。
また、ペーストPstの形状が均一となることにより、スキージ42による印刷時の圧力を均一にできる。これによっても、印刷不良の発生を抑制することができる。
また、ペーストPstの形状が均一となることにより、ペーストPstをならすための作業を不要にすることができる。その結果、一枚の基板2にペーストPstを印刷する作業時間(いわゆるサイクルタイム)を短縮して、生産性を向上させることができる。
さらに、ペーストPstのせん断が大きな面積で発生しなくなるので、機構に付着するペーストPstの量を減少させることができ、清掃作業を容易にすることができる。
また、スクリーン印刷装置1では、第1の角度αは0度であり、対向面107は第1のスクリーンマスク13Fおよび第2のスクリーンマスク13Rに対して、平行に対向している。
このスクリーン印刷装置1によれば、上述した第1の角度αを0度として、対向面107をスクリーンマスク13に対して平行に対向した半田ペースト回収装置71の作用と同様の作用により、ペーストPstに生じるせん断箇所を極めて狭い範囲に限定でき、ペーストPstの形状崩れを抑制する効果をさらに高めることができる。
また、スクリーン印刷装置1では、シート75は、PTFEシートである。
このスクリーン印刷装置1によれば、上述したシート75にPTFEシートを用いた半田ペースト回収装置71の作用と同様の作用により、ビニールシートを使用する場合に比べスクリーンマスク13上に移載するペーストPstの形状を安定させることができる。
また、スクリーン印刷装置1は、シート上に残留したペーストPstをそぎ落とすスクレーパ111を更に備える。
このスクリーン印刷装置1によれば、ペーストPstをスクリーンマスク13に供給する際、シート75が第2の方向bに移動する。当接部73は、このシート75の移動により、シート上のペーストPstをスクリーンマスク13に移す。移動されたシート75は、当接部73の下面側へ配置される。この際、下面側に移動されたシート75の表面には、ペーストPstが僅かに付着することがある。スクレーパ111は、下面側に移動したシート75の表面に接触して配置される。従って、シート75は、スクレーパ111を通過する際、表面に残留したペーストPstが、スクレーパ111によりそぎ落とされることになる。これにより、次のペーストPstの回収時に、残留したペーストPstの上に、回収されたペーストPstが積層されることを回避することができる。その結果、スクリーン印刷装置1は、シート上に回収するペーストPstの形状を安定させることができる。
また、スクリーン印刷装置1は、所定の印刷位置に位置決めされた基板2を両側から把持するクランパ33と、クランパ33が載置されると共に、クランパ33を上下方向に移動可能なテーブルと、を更に備える。半田ペースト回収装置71がペーストPstの回収または供給を行う際、テーブルはクランパ33を第1のスクリーンマスク13Fまたは第2のスクリーンマスク13Rの下面に当接させる。
このスクリーン印刷装置1によれば、半田ペースト回収装置71によりペーストPstが回収または供給される際、テーブル(例えば移動テーブル部22)により、スクリーンマスク13の下面にクランパ33が当接する。半田ペースト回収装置71は、スクリーンマスク13に対してペーストPstを回収または供給する際、当接部73の先端で、シート75を介してスクリーンマスク13を押圧する。スクリーンマスク13は、この押圧により撓む。スクリーンマスク13は、この撓みにより、当接部73の先端との間に隙間(言い換えるとギャップ)の生じることがある。半田ペースト回収装置71では、シート75とスクリーンマスク13との間に隙間が生じ、スクリーンマスク13とシート75の密着性が落ちることで、スクリーンマスク13上にはペーストPstが残る可能性ある。
そこで、スクリーン印刷装置1では、半田ペースト回収装置71によりペーストPstが回収または供給される際、スクリーンマスク13の下面にクランパ33が当接される。即ち、スクリーン印刷装置1は、ペーストPstの回収または供給時に、クランパ33を上昇させ、スクリーンマスク13の下面に当接することで、スクリーンマスク13が撓まないように受けをつくる。これにより、スクリーン印刷装置1は、スクリーンマスク13のたわみを抑制することで、スクリーンマスク13とシート75の密着性をあげて、シート上にペーストPstを残留しにくくできる。
また、スクリーン印刷装置1では、シート75が、対向面107に押圧されることにより第1のスクリーンマスク13Fおよび第2のスクリーンマスク13Rに対して、少なくとも対向面107と同等以上の面積で接触する。
このスクリーン印刷装置1によれば、シート75が、少なくとも対向面107と同等以上の面積でスクリーンマスク13に接触する。シート75は、当接部73の先端を覆って当接部73の上面から下面に渡って当接部73に掛け渡されている。従って、シート75は、当接部73を覆った状態で、スクリーンマスク13に接地する。
対向面107は、先端の形状が直角の場合、スクリーンマスク13とシート75の接地面が小さく、スクリーンマスク13上にペーストPstが残る可能性がある。
これに対し、スクリーン印刷装置1は、当接部73の先端に形成した対向面107の形状を、マスクと並行にしている。これにより、当接部73の対向面107は、先端の形状が直角の場合に比べ、スクリーンマスク13とシート75の接地面を大きくすることができる。当接部73の対向面107は、接地面を大きくすることにより、スクリーンマスク13とシート75との密着性を向上させ、回収または供給時のスクリーンマスク13およびシート75へのペーストPstの付着を抑制することができる。
また、スクリーン印刷装置1では、当接部73が、シート75がペーストPstを回収する第1の方向aに搬送されると同時にペーストPstに対して接近する方向に移動する。
このスクリーン印刷装置1によれば、当接部73は、スクリーンマスク13からペーストPstを回収する際、スクリーンマスク13とその上に載ったペーストPstとの境界部分に先端が挿入される。即ち、当接部73は、ペーストPstに対して接近する方向に移動される。その際、シート75は、同時に第1の方向aに移動される。シート75の移動量は、当接部73を挿入するときの移動量と同一となるように設定される。このため、スクリーンマスク13上のペーストPstをスクリーンマスク13から引き剥がしてシート上に移載する際のペーストPstに作用するせん断力は、当接部73の先端のみでペーストPstに生じることになる。従って、当接部73の先端でせん断されてシート上に載ったペーストPstは、その後に外力が作用せずに、安定した形状(つまり形状が均一)のまま当接部73の上面へ移載されることになる。
また、スクリーン印刷装置1では、当接部73が、シート75がペーストPstを供給する第2の方向bに搬送されると同時にペーストPstに対して離反する方向に移動する。
このスクリーン印刷装置1によれば、当接部73は、ペーストPstをスクリーンマスク13に供給する際、シート75を第2の方向bに移動する。当接部73は、このシート75の移動により、シート上のペーストPstを、スクリーンマスク13の供給位置に移す。その際、当接部73は、同時に移されたペーストPstから離反する方向に移動される。当接部73の移動量は、シート75の移動量と同一となるように設定される。このため、シート上のペーストPstをシート75から引き剥がしてスクリーンマスク13上に移す際のせん断力は、当接部73の先端のみでペーストPstに作用することになる。従って、シート75から離れたペーストPstは、安定した形状(形状が均一)のままスクリーンマスク13の上面に移載が可能となる。
また、スクリーン印刷装置1は、第1のスクリーンマスク13Fを用いて第1の基板2に第1のペーストPstを印刷すると共に第1のスクリーンマスク13Fと異なる第2のスクリーンマスク13Rを用いて第2の基板2に第2のペーストPstを印刷する。スクリーン印刷装置1は、第1のスクリーンマスク13F上の第1のペーストPstを回収すると共に、第2のスクリーンマスク13R上の第2のペーストPstを回収する半田ペースト回収装置71を備える。半田ペースト回収装置71は、第1のスクリーンマスク13Fまたは第2のスクリーンマスク13Rに当接する当接部73と、当接部73を介して搬送されるシート75と、シート75を搬送する搬送部77とを有する。スクリーン印刷装置1は、第1のペーストPstおよび第2のペーストPstの照合を行う照合部135と、照合の結果に基づいて、搬送部77が行うシート75の搬送を制御する半田回収供給制御部70(制御部の一例)を備える。
このスクリーン印刷装置1によれば、シート75の送り戻しを繰り返すことで、シート75の消費が抑えられる。スクリーン印刷装置1は、第1の基板2に第1のペーストPstを印刷し、次に印刷される第2の基板2に第2のペーストPstを印刷することができる。即ち、スクリーン印刷装置1では、基板2の印刷工程において、印刷の対象となる基板2が、現在印刷が行われている第1の基板2から異なる種類の第2の基板2へと変更(機種切り替え)されることがある。この際、第2の基板2で使用されるペーストPstは、第1の基板2で使用していたペーストPstと同一のもの(第1のペーストPst)でよい場合と、異なるもの(第2のペーストPst)を使用しなければならない場合とがある。
従来のスクリーン印刷装置は、スクリーンマスク13を交換する際、スキージ42を回収装置側へ摺動させることによりスクリーンマスク13上に残存するペーストPstを回収装置に設けられたビニールシート上にかき上げて回収を行う。この場合、スクリーンマスク13に対してペーストPstを回収や供給する際、一部のペーストPstがビニールシート上に残存してしまう。このような状態で、機種切り替えの前後で異なる種類のペーストPstを使用してスクリーン印刷を行うとビニールシートの同じ領域に残存した機種切り替え前のペーストPstと、機種切り替え後のペーストPstが混ざり合ってしまい、生産不良を発生させてしまう虞がある。
そこで、スクリーン印刷装置1は、機種切り替え時、照合部135によりペーストPstの変更の有無を判定する。スクリーン印刷装置1は、機種切り替え後の第2の基板2で使うペーストPstの種類を、予め記憶した機種別生産データ等のパラメータとして有している。半田回収供給制御部70は、前回の機種で使った第1のペーストPstと次の機種で使う第2のペーストPstの種類とが異なる場合、半田ペースト回収装置71による第2のペーストPstの回収動作前に、半田ペースト回収装置71の搬送部77を駆動してシート75を送る。これにより、半田ペースト回収装置71は、機種切り替え後は、シート75の新しい面137を使用することで、異なる種類のペーストPstがシート上で混ざることを防止することができる。
その結果、スクリーン印刷装置1は、照合部135と半田ペースト回収装置71を連動させることにより、機種切り替え時に異なる種類のペーストPstが混ざることを自動で防止し、生産不良の発生を抑制して、印刷品質を安定させることができる。
また、スクリーン印刷装置1は、照合の結果、第1のペーストPstと第2のペーストPstの種類が同じ場合、半田回収供給制御部70はシート75の搬送を行わない。
このスクリーン印刷装置1によれば、機種切り替えがあると、半田回収供給制御部70が、2つのペーストPst情報を照合部135により照合させる。照合部135は、第1のペーストPstと第2のペーストPstとの種類が同じか否かを照合し、その結果を半田回収供給制御部70へ送る。半田回収供給制御部70は、照合部135から送られた第1のペーストPstと第2のペーストPstとの照合結果が、同一種類であったなら、搬送部77へのシート75の搬送を行わない。
これにより、スクリーン印刷装置1では、シート75に前機種の第1のペーストPstが残存していても、次機種の第2のペーストPstも同一種類であるので、ペーストPstがシート上で混ざり合っても印刷に支障の生じることがない。また、スクリーン印刷装置1は、不必要にシート75が送られないので、シート75の消費を抑制することができる。
また、スクリーン印刷装置1は、照合の結果、第1のペーストPstと第2のペーストPstの種類が異なる場合、半田回収供給制御部70は、搬送部77にシート75を搬送させる。
このスクリーン印刷装置1によれば、機種切り替えがあると、半田回収供給制御部70が、2つのペーストPst情報を照合部135により照合させる。照合部135は、第1のペーストPstと第2のペーストPstとの種類が同じか否かを照合し、その結果を半田回収供給制御部70へ送る。半田回収供給制御部70は、照合部135から送られた第1のペーストPstと第2のペーストPstとの照合結果が、異なる種類であったなら、搬送部77へのシート75の搬送を行う。
これにより、スクリーン印刷装置1では、シート75に前機種の第1のペーストPstが残存していても、次機種の異なる種類の第2のペーストPstが、新しいシート面で回収供給される。その結果、スクリーン印刷装置1では、機種切り替え時に、異なる種類の第1のペーストPstと第2のペーストPstとが混ざり合うことがなく、印刷に支障の生じることがない。
また、スクリーン印刷装置1は、前回の機種切り替えからの経過時間を計時するタイマー139を更に有する。半田回収供給制御部70は、タイマー139が計時した経過時間が所定時間を超えた場合、搬送部77にシート75を搬送させる。
このスクリーン印刷装置1によれば、印刷の開始に伴い、ペーストPstが供給されると、半田回収供給制御部70は、タイマー139の計時を開始させる。半田回収供給制御部70は、同一のペーストPstを使用している経過時間が所定時間を超えた場合、搬送部77に対してシート75を搬送させる制御信号を送る。ペーストPstは、雰囲気中に晒された使用状態で、所定時間を超えた場合、劣化の進む場合がある。スクリーン印刷装置1では、所定時間を超えた場合、シート75を搬送することにより、同一種のペーストPstにおいても、新しいペーストPstに、シート75に残存している劣化したペーストPstが混ざり合うことを防止することができる。これにより、スクリーン印刷装置1は、常に最良の状態のペーストPstを用いることができ、良好な印刷品質を維持し続けることができる。
また、スクリーン印刷方法は、第1のスクリーンマスク13Fを用いて第1の基板2に第1のペーストPstを印刷すると共に第1のスクリーンマスク13Fと異なる第2のスクリーンマスク13Rを用いて第2の基板2に第2のペーストPstを印刷するスクリーン印刷方法である。スクリーン印刷方法は、第1のスクリーンマスク13F上の第1のペーストPstを回収すると共に、第2のスクリーンマスク13R上の第2のペーストPstを回収するに際し、第1のペーストPstおよび第2のペーストPstの照合を照合部135により行う照合工程を含む。スクリーン印刷方法は、照合工程の結果に基づいて、第1のスクリーンマスク13Fまたは第2のスクリーンマスク13Rに当接する当接部73を介して搬送されるシート75の搬送を半田回収供給制御部70により制御する搬送判定工程と、を含む。
このスクリーン印刷方法によれば、上述した照合部135と、半田回収供給制御部70とを有するスクリーン印刷装置1の作用と同様の作用により、照合部135と半田ペースト回収装置71を連動させることにより、機種切り替え時に異なる種類のペーストPstが混ざることを自動で防止し、生産不良の発生を抑制して、印刷品質を安定させることができる。
また、スクリーン印刷方法では、搬送判定工程において、照合工程の結果として第1のペーストPstと第2のペーストPstの種類が同じ場合、半田回収供給制御部70はシート75の搬送を行わないと判定し、実際にシート75の搬送を行わない。
このスクリーン印刷方法によれば、上述した第1のペーストPstと第2のペーストPstの種類が同じ場合、シート75の搬送を行わないスクリーン印刷装置1の作用と同様の作用により、シート75に前機種の第1のペーストPstが残存していても、次機種の第2のペーストPstも同一種類であるので、ペーストPstがシート上で混ざり合っても印刷に支障の生じることがない。また、スクリーン印刷方法は、不必要にシート75が送られないので、シート75の消費を抑制することができる。
また、スクリーン印刷方法では、搬送判定工程において、照合工程の結果として第1のペーストPstと第2のペーストPstの種類が異なる場合、半田回収供給制御部70は、搬送部77にシート75を搬送させると判定し、実際にシート75を搬送させる。
このスクリーン印刷方法によれば、上述した第1のペーストPstと第2のペーストPstの種類が異なる場合、シート75を搬送させるスクリーン印刷装置1の作用と同様の作用により、機種切り替え時に、異なる種類の第1のペーストPstと第2のペーストPstとが混ざり合うことがなく、印刷に支障の生じることがない。
また、スクリーン印刷方法は、前回の機種切り替えからの経過時間をタイマー139により計時する計時工程を更に含む。搬送判定工程において、半田回収供給制御部70は、タイマー139が計時した経過時間が所定時間を超えた場合、搬送部77にシート75を搬送させると判定し、実際にシート75を搬送させる。
このスクリーン印刷方法によれば、上述したタイマー139が計時した経過時間が所定時間を超えた場合、シート75を搬送させるスクリーン印刷装置1の作用と同様の作用により、常に最良の状態のペーストPstを用いることができ、良好な印刷品質を維持し続けることができる。
また、スクリーン印刷装置1は、スクリーンマスク13を用いて基板2にペーストPstを印刷する。スクリーン印刷装置1は、スクリーンマスク13上を摺動して基板2にペーストPstを印刷するためのスキージ42を上下方向に移動させるスキージヘッド17と、スキージヘッド17に隣接して設けられると共に、スクリーンマスク13の位置決めを行うマスク自動位置決めユニット91と、スクリーンマスク13上のペーストPstを回収すると共に、スキージヘッド17とマスク自動位置決めユニット91との間に設けられる半田ペースト回収装置71と、を備える。
このスクリーン印刷装置1によれば、スキージヘッド17に半田ペースト回収装置71が取付け可能となる。スキージヘッド17は、スクリーンマスク13上を摺動し、かつ基板2にペーストPstを印刷するスキージ42を上下方向に移動させる。スキージヘッド17には、スキージヘッド17がスクリーンマスク13上を摺動する機構を利用して、スクリーンマスク13の位置決めを行うためのマスク自動位置決めユニット91が搭載されている。スクリーンマスク13は、例えば四角形の枠部材13Wにより枠取りされる。マスク自動位置決めユニット91は、スクリーンマスク13の例えば後側の枠部材13Wを利用して生産終了後のスクリーンマスク13(例えば第1のスクリーンマスク13F)、次機種のスクリーンマスク13(例えば第2のスクリーンマスク13R)をそれぞれ個別に移動し、あるいは同時に移動して位置決めを行う。
例えば、第1のスクリーンマスク13Fおよび第2のスクリーンマスク13Rを同時に移動して位置決めする場合、スキージヘッド17に搭載されたマスク自動位置決めユニット91は、第2のスクリーンマスク13Rにおける後側の枠部材13Wよりもさらに後方に移動する。スキージヘッド17は、この移動位置が最後端の移動位置となる。従って、スクリーン印刷装置1は、従来、この最後端に移動させられたスキージヘッド17に干渉しない距離で、スキージヘッド17に近接させ(例えば8mm程度の空間を空け)て、設備の骨組み113等を設け、コンパクト化を図っている。
ここで、半田ペースト回収装置71を、新たに増設するには、スクリーンマスク13上を移動するスキージヘッド17に搭載することが、移動機構を兼用できることから望ましい。ところが、スキージヘッド17は、既に搭載されているマスク自動位置決めユニット91と骨組み113との間が僅かな隙間しかなく、新たに半田ペースト回収装置71を搭載する場合、設備の前後方向(言い換えると奥行き方向)を長くする必要がある。これは、近年、より小型化が求められるスクリーン印刷装置1の市場ニーズに反する可能性が少なくない。
そこで、スクリーン印刷装置1では、マスク自動位置決めユニット91と設備の骨組み113との隙間はそのままとして、マスク自動位置決めユニット91に半田ペースト回収装置71が取り付けられる構成とした。この構成では、スキージヘッド17とマスク自動位置決めユニット91の間に半田ペースト回収装置71を組み込むことで、設備の奥行きを変更することなく半田ペースト回収装置71の搭載を可能としている。つまり、スキージヘッド17と、半田ペースト回収装置71と、マスク自動位置決めユニット91とが、この順で前側から後側に並んで配置されたレイアウトとなっている。
このレイアウトでは、マスク自動位置決めユニット91に必要とされているシリンダ99と、半田ペースト回収装置71を昇降させるための回収ユニット昇降シリンダ101とが、スキージ42の長手方向と平行に並べて設けられるようになる。つまり、複数(例えば本実施の形態では3個)のシリンダを奥行き方向に直交する方向に沿って並べる。これにより、スクリーン印刷装置1は、設備の奥行き方向に大きな増設スペースを確保せずに、スキージ42とマスク自動位置決めユニット91との間隙に、半田ペースト回収装置71の組み込みを可能としている。
また、スクリーン印刷装置1では、半田ペースト回収装置71は、第1のアタッチメントを有する。マスク自動位置決めユニット91は、第1のアタッチメントに対応する第2のアタッチメントを有する。第1のアタッチメントおよび第2のアタッチメントを用いて、半田ペースト回収装置71はマスク自動位置決めユニット91に着脱自在に取り付けられる。
このスクリーン印刷装置1によれば、スキージヘッド17とマスク自動位置決めユニット91との間に配置される半田ペースト回収装置71が、第1のアタッチメントと第2のアタッチメントにより着脱自在となる。半田ペースト回収装置71は、搬送部77を有する。搬送部77は、シート75を繰り出す供給側ロール79と、シート75を巻き取る巻き取り側ロール81とを有する。搬送部77は、供給側ロール79から巻き取り側ロール81へシリンダ99の全てが巻き取られると、双方を交換する必要がある。このようなメンテナンス発生時、半田ペースト回収装置71は、第1のアタッチメントと第2のアタッチメントにより容易に脱着が可能となる。言い換えると、半田ペースト回収装置71は、着脱構造とすることにより、部品交換のための作業スペースを確保することなく、狭小のスペースを利用して増設を実現させている。
また、スクリーン印刷装置1では、マスク自動位置決めユニット91は、スキージ42の長手方向と平行なフレーム95と、フレーム95の両端にスクリーンマスク13と係止可能なロッド97を突き出すシリンダ99とを更に有する。
このスクリーン印刷装置1によれば、マスク自動位置決めユニット91が、フレーム95を有する。このフレーム95は、スキージ42の長手方向と平行な長尺部材となる。フレーム95の長手方向の両端には、スクリーンマスク13の枠部材13Wにロッド97を係合するシリンダ99が取り付けられる。このフレーム95は、これら一対のシリンダ99の間に、スキージ42と離間する空間が形成される。スクリーン印刷装置1では、この空間が、半田ペースト回収装置71の収容スペースに適用される。即ち、スクリーン印刷装置1は、機構的に部材が配置されず生じた空間を、半田ペースト回収装置71の設置用スペースとして有効利用している。その結果、スクリーン印刷装置1は、無駄スペースを削減し、部品配置密度を高め、新規機構を増設しながら、装置の大型化抑制を実現している。
また、スクリーン印刷装置1は、スキージヘッド17は、半田ペースト回収装置71へ電源を供給可能なコネクタを有し、半田ペースト回収装置71は、コネクタに着脱自在な電源ケーブル127と、電源ケーブル127を係止可能な係止部131と、を更に有する。
このスクリーン印刷装置1によれば、スキージヘッド17は、半田ペースト回収装置71に電源を供給するコネクタを有する。半田ペースト回収装置71は、このコネクタに、電源ケーブル127を接続して電源の供給を受ける。電源ケーブル127には、コネクタに結合する相手コネクタ129がケーブル末端に取り付けられている。半田ペースト回収装置71は、スキージヘッド17からの脱着に際し、コネクタから相手コネクタ129を結合解除する。この際、半田ペースト回収装置71は、ケーブル末端の接続が解除されるため電源ケーブル127がフリーな状態となって垂れ下がる。この電源ケーブル127は、ケーブル末端の相手コネクタ129が、半田ペースト回収装置71に設けられた係止部131に係止されることにより、他部材と接触することなく安全に保持される。これにより、スクリーン印刷装置1では、半田ペースト回収装置71の脱着作業性を良好とすることができる。
また、スクリーン印刷装置1は、フレーム95の中央に、ロッド97と同方向に昇降ロッド103を突き出す回収ユニット昇降シリンダ101と、昇降ロッド103の突き出し先端に、フレーム95と平行な回収ユニット支持杆105と、を更に有する。第2のアタチメントは、例えば回収ユニット支持杆105の長手方向両側に備えられる一対の凸部117により構成される。第1のアタッチメントは、例えば一対の凸部117のそれぞれに嵌合する一対の穿孔部材115により構成される。
このスクリーン印刷装置1によれば、フレーム95の中央に、回収ユニット昇降シリンダ101が設けられる。回収ユニット昇降シリンダ101は、ロッド97と同方向に突き出す昇降ロッド103を有する。昇降ロッド103の先端には、フレーム95と平行な回収ユニット支持杆105が備えられる。回収ユニット支持杆105には、スキージ42側に向かって突出する一対の凸部117が設けられる。この一対の凸部117が、第2のアタッチメントとなる。一方、半田ペースト回収装置71には、この凸部117に、スキージ42側から挿入されて嵌合する一対の穿孔部材115が設けられている。この一対の穿孔部材115が、第1のアタッチメントとなる。凸部117は、柱状に形成され、軸線が装置の前後方向となる。穿孔部材115は、スキージ42側からこの軸線に沿う方向で凸部117に挿入されてマスク自動位置決めユニット91に支持される。こりにより、半田ペースト回収装置71は、容易な脱着作業で、かつ大きい支持強度でマスク自動位置決めユニット91に取り付け可能となっている。
また、スクリーン印刷装置1は、回収ユニット支持杆105に、凸部117と嵌合した穿孔部材115を解除可能に係止して弾接する板ばね部材119を更に備える。
このスクリーン印刷装置1によれば、凸部117に嵌合した穿孔部材115は、凸部117の軸線に沿う方向で、スキージ42側に移動されることにより、凸部117からの嵌合が解除される。板ばね部材119は、凸部117に嵌合した穿孔部材115に弾接し、凸部117からの穿孔部材115の容易な離脱を規制する。即ち、板ばね部材119は、一定以上の解除力が加えられることにより、穿孔部材115に押圧されて離反し、凸部117に対する穿孔部材115の嵌合を解除可能としている。また、板ばね部材119には、凸部117への穿孔部材115の挿入により、付勢方向に抗して板ばね部材119を退けるテーパー面125が形成されている。これにより、半田ペースト回収装置71は、装着時に、半田ペースト回収装置71の穿孔部材115を、凸部117に押し込むワンタッチ動作で、装着を完了させることが可能となっている。
また、本開示は、以下に記載する構成も含む。
[A1]スクリーン印刷装置は、第1のスクリーンマスクを用いて第1の回路基板に第1の半田ペーストを印刷すると共に前記第1のスクリーンマスクと異なる第2のスクリーンマスクを用いて第2の回路基板に第2の半田ペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、前記第1のスクリーンマスク上の前記第1の半田ペーストを回収すると共に、前記第2のスクリーンマスク上の前記第2の半田ペーストを回収する半田ペースト回収装置を備え、前記半田ペースト回収装置は、前記第1のスクリーンマスクまたは前記第2のスクリーンマスクに当接する当接部と、前記当接部を介して搬送されるシートと、前記シートを搬送する搬送部と、を有し、前記スクリーン印刷装置は、前記第1の半田ペーストおよび前記第2の半田ペーストの照合を行う照合部と、前記照合の結果に基づいて、前記搬送部が行う前記シートの搬送を制御する制御部と、を備える。
[A2]スクリーン印刷装置は、上述した[A1]のスクリーン印刷装置であって、前記照合の結果、前記第1の半田ペーストと前記第2の半田ペーストの種類が同じ場合、前記制御部は前記シートの搬送を行わない。
[A3]スクリーン印刷装置は、上述した[A1]のスクリーン印刷装置であって、前記照合の結果、前記第1の半田ペーストと前記第2の半田ペーストの種類が異なる場合、前記制御部は、前記搬送部に前記シートを搬送させる。
[A4]スクリーン印刷装置は、上述した[A1]~[A3]のうちいずれかのスクリーン印刷装置であって、前回の機種切り替えからの経過時間を計時するタイマー、を更に備え、前記制御部は、前記タイマーが計時した前記経過時間が所定時間を超えた場合、前記搬送部に前記シートを搬送させる。
[A5]スクリーン印刷方法は、第1のスクリーンマスクを用いて第1の回路基板に第1の半田ペーストを印刷すると共に前記第1のスクリーンマスクと異なる第2のスクリーンマスクを用いて第2の回路基板に第2の半田ペーストを印刷するスクリーン印刷方法であって、前記第1のスクリーンマスク上の前記第1の半田ペーストを回収すると共に、前記第2のスクリーンマスク上の前記第2の半田ペーストを回収するに際し、前記第1の半田ペーストおよび前記第2の半田ペーストの照合を行う照合工程と、前記照合工程の結果に基づいて、前記第1のスクリーンマスクまたは前記第2のスクリーンマスクに当接する当接部を介して搬送されるシートの搬送を制御する搬送判定工程と、を含む。
[A6]スクリーン印刷方法は、上述した[A5]のスクリーン印刷方法であって、前記搬送判定工程において、前記照合工程の結果として前記第1の半田ペーストと前記第2の半田ペーストとの種類が同じ場合、前記シートの搬送を行わないと判定する。
[A7]スクリーン印刷方法は、上述した[A5]のスクリーン印刷方法であって、前記搬送判定工程において、前記照合工程の結果として前記第1の半田ペーストと前記第2の半田ペーストとの種類が異なる場合、前記シートを搬送させる。
[A8]スクリーン印刷方法は、上述した[A5]~[A7]のうちいずれかのスクリーン印刷方法であって、前回の機種切り替えからの経過時間をタイマーにより計時する計時工程、を更に含み、前記搬送判定工程において、前記計時工程により前記タイマーが計時した前記経過時間が所定時間を超えた場合、前記シートを搬送させる。
また、本開示は、以下に記載する構成もさらに含む。
[B1]スクリーン印刷装置は、スクリーンマスクを用いて回路基板に半田ペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、前記スクリーンマスク上を摺動して前記回路基板に前記半田ペーストを印刷するためのスキージを上下方向に移動させるスキージヘッドと、前記スキージヘッドに隣接して設けられると共に、前記スクリーンマスクの位置決めを行う位置決め装置と、前記スクリーンマスク上の前記半田ペーストを回収すると共に、前記スキージヘッドと前記位置決め装置との間に設けられる半田ペースト回収装置と、を備える。
[B2]スクリーン印刷装置は、上述した[B1]のスクリーン印刷装置であって、前記半田ペースト回収装置は、第1のアタッチメントを有し、前記位置決め装置は、前記第1のアタッチメントに対応する第2のアタッチメントを有し、前記第1のアタッチメントおよび前記第2のアタッチメントを用いて、前記半田ペースト回収装置は前記位置決め装置に着脱自在に取り付けられる。
[B3]スクリーン印刷装置は、上述した[B1]または[B2]のスクリーン印刷装置であって、前記位置決め装置は、前記スキージの長手方向と平行なフレームと、前記フレームの両端に、前記スクリーンマスクと係止可能なロッドを突き出すシリンダと、を更に有する。
[B4]スクリーン印刷装置は、上述した[B1]~[B3]のうちいずれかのスクリーン印刷装置であって、前記スキージヘッドは、前記半田ペースト回収装置へ電源を供給可能なコネクタを有し、前記半田ペースト回収装置は、前記コネクタに着脱自在な電源ケーブルと、前記電源ケーブルを係止可能な係止部と、を更に有する。
[B5]スクリーン印刷装置は、上述した[B3]のスクリーン印刷装置であって、前記フレームの中央に、前記ロッドと同方向に昇降ロッドを突き出す回収ユニット昇降シリンダと、前記昇降ロッドの突き出し先端に、前記フレームと平行な回収ユニット支持杆と、を更に備え、前記位置決め装置が有する第2のアタッチメントは、前記回収ユニット支持杆の長手方向両側に備えられる一対の凸部により構成され、前記半田ペースト回収装置が有する第1のアタッチメントは、前記一対の凸部のそれぞれに嵌合する一対の穿孔部材により構成される。
[B6]スクリーン印刷装置は、上述した[B5]のスクリーン印刷装置であって、前記回収ユニット支持杆に、前記凸部と嵌合した前記穿孔部材を解除可能に係止して弾接する板ばね部材、を更に備える。
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
なお、本出願は、2018年12月28日出願の日本特許出願(特願2018-248360、特願2018-248361および特願2018-248362)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。