JP7444063B2 - 樹脂含有ゴム組成物 - Google Patents

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Description

本発明はポリエーテル重合物を含有する樹脂含有ゴム組成物、及び樹脂含有ゴム組成物より作製されるゴム材料に関する。
一般に、エピクロロヒドリン系重合物等のポリエーテル重合物は、架橋されることにより、諸物性に優れた材料として広汎に用いられ、自動車用途では燃料ホースやエアー系ホース、チューブ材料として使用されている。
一方で、エピクロロヒドリン系重合物等のポリエーテル重合物は、その半導電性特性を活かして、接触帯電方式に用いられる帯電ロール、転写ロール、現像ロールに用いられている。近年、コピー機、プリンター等に使用される電子写真用プロセスの帯電、現像、転写において、コロナ放電に代表される非接触帯電方式、非接触転写方式から、ゴムローラーを用いた接触帯電法式の採用が拡大されつつある。
また、ポリエーテル重合物に樹脂をブレンドして用いられることも提案されている(特許文献1参照)。
WO2015/133610号公報
しかし、ポリエーテル重合物と樹脂との混練のような高分子同士の混練において、一定量以上の樹脂を含有させると、引張応力が優れず、ゴム材料に必要な物性を得ることができなかった。
電線の被覆チューブ等においては、常態物性、及び熱間物性における引張応力に優れた材料が求められており、本発明は、その課題を解決することを目的とする。
本発明者らは、(a)ポリエーテル系重合物及び(b)熱可塑性樹脂パウダーを含有する樹脂含有ゴム組成物、並びに樹脂含有ゴム組成物を用いて作製されるゴム材料により、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に関する。
項1 (a)ポリエーテル系重合物、及び(b)熱可塑性樹脂パウダーを含有する樹脂含有ゴム組成物。
項2 前記(b)熱可塑性樹脂パウダーの平均粒径が500μm未満である項1に記載の樹脂含有ゴム組成物。
項3 前記(b)熱可塑性樹脂パウダーは、300μm以上の粒子が20質量%以下である項1又は2に記載の樹脂含有ゴム組成物。
項4 更に、(c)架橋剤を含有する項1~3のいずれかに記載の樹脂含有ゴム組成物。
項5 前記(a)ポリエーテル系重合物が、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エピクロロヒドリン、及びアリルグリシジルエーテルから選択される少なくとも二つに基づくユニットを構成単位として含む項1~4のいずれかに記載の樹脂含有ゴム組成物。
項6 前記(b)熱可塑性樹脂パウダーの融点が120℃以上である項1~5のいずれかに記載の樹脂含有ゴム組成物。
項7 前記(c)架橋剤がポリアミン系架橋剤、チオウレア系架橋剤、チアジアゾール系架橋剤、メルカプトトリアジン系架橋剤、ピラジン系架橋剤、キノキサリン系架橋剤、ビスフェノール系架橋剤、パーオキシド系架橋剤、及び硫黄系架橋剤から選択される少なくとも1種である項4~6のいずれかに記載の樹脂含有ゴム組成物。
項8 項1~7のいずれかに記載の樹脂含有ゴム組成物より作製されるゴム材料。
項9 項1~7のいずれかに記載の樹脂含有ゴム組成物の製造方法であって、(b)熱可塑性樹脂パウダーの融点以下の温度で、(a)ポリエーテル系重合物及び(b)熱可塑性樹脂パウダーを混練する製造方法。
本発明の樹脂含有ゴム組成物を用いてなるゴム材料は、常態物性、及び熱間物性における引張応力に優れた材料であり、自動車用途の燃料ホースやエアー系ホース、チューブ材料、OA用途のコピー機プリンター等における電子写真プロセスの現像、帯電、転写などの半導電性ローラー又はベルト用材料だけではなく、電線の被覆チューブに特に好適に用いられる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明のゴム組成物は、(a)ポリエーテル系重合物、及び(b)熱可塑性樹脂パウダーを含有する樹脂含有ゴム組成物である。
本発明に使用される、ポリエーテル系重合物(ゴム)としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、n-ブチレンオキシドなどのアルキレンオキシド類、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、n-グリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどのグリシジル類、エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリンなどのエピハロヒドリン類、スチレンオキシドなどから選択される化合物の単独重合体又は共重合体であることが好ましく、これらの単独重合体又は共重合体を一種又は二種以上併用して使用することができる。
ポリエーテル系重合物としては、エピクロロヒドリンのユニットを含む態様1が好ましい。なお、エピクロロヒドリンのユニットとは、エピクロロヒドリンに基づく構成単位を表す。
また、エピクロロヒドリン、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、アリルグリシジルエーテルから選択される少なくとも二つのユニットを含む態様2も好ましい。態様1及び態様2のいずれの場合でも、エチレンオキシド及びエピクロロヒドリンのユニットを少なくとも含むことがより好ましく、エピクロロヒドリン、エチレンオキシド及びアリルグリシジルエーテルのユニットを少なくとも含むことが特に好ましい。
ポリエーテル系重合物は、ポリエーテル系重合物の全重合単位に対して、エチレンオキシドとエピクロロヒドリンのユニットを合計で85モル%以上含有することが好ましく、90モル%以上含有することがより好ましい。
ポリエーテル系重合物としては、エチレンオキシドに基づく構成単位を全重合単位に対して、4~89モル%含有することが好ましく、24~79モル%含有することがより好ましく、34~74モル%含有することが特に好ましい。
ポリエーテル系重合物としては、アリルグリシジルエーテルに基づく構成単位を全重合単位に対して、1~15モル%含有することが好ましく、1~12モル%含有することがより好ましく、1~10モル%含有することが特に好ましい。
ポリエーテル系重合物としては、エピクロロヒドリンに基づく構成単位を全重合単位に対して、10~95モル%含有することが好ましく、20~75モル%含有することがより好ましく、25~65モル%含有することが特に好ましい。
エピクロロヒドリン単独重合体、エピクロロヒドリン-エチレンオキシド共重合体、エピクロロヒドリン-エチレンオキシド-アリルグリシジルエーテル三元共重合体の共重合組成については、塩素含有量、ヨウ素価により求められる。
塩素含有量はJIS K7229に記載の方法に従い、電位差滴定法によって測定する。得られた塩素含有量からエピクロロヒドリンに由来する構成単位のモル分率を算出する。
ヨウ素価はJIS K6235に準じた方法で測定する。得られたヨウ素価からアリルグリシジルエーテルに由来する構成単位のモル分率を算出する。
エチレンオキシドに由来する構成単位のモル分率は、エピクロロヒドリンに由来する構成単位のモル分率、アリルグリシジルエーテルに由来する構成単位のモル分率より算出する。
本発明の樹脂含有ゴム組成物においては、ゴム成分として、(a)ポリエーテル系重合物のみを含有してもよく、前記ポリエーテル系重合物以外のゴム種をさらに含有してもよい。ポリエーテル系重合物以外のゴムとしては、天然ゴム又は合成ゴムが挙げられ、合成ゴムとしては、イソプレンゴム(IR)、1,2-ポリブタジエン(VBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CPE)、アクリルゴム(ACM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリルブタジエンゴム(H-NBR)が挙げられ、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
本発明の樹脂含有ゴム組成物においては、ゴム成分の全量を100質量%としたとき、ポリエーテル系重合物を10質量%以上含有することが好ましく、30質量%以上含有することがより好ましく、70質量%以上含有することが特に好ましく、90質量%以上(特に90~100質量%)含有することが最も好ましい。
本発明の樹脂含有ゴム組成物のゴム成分として、前記ポリエーテル系重合物以外のゴム種を含有する場合には、ゴム成分中、前記ポリエーテル系重合物が10~90質量%、前記ポリエーテル系重合物以外のゴム種90~10質量%を含有することが好ましく、前記ポリエーテル系重合物30~90質量%、前記ポリエーテル系重合物以外のゴム種70~10質量%を含有することがより好ましく、前記ポリエーテル系重合物70~90質量%、前記ポリエーテル系重合物以外のゴム種30~10質量%を含有することが特に好ましい。
(b)熱可塑性樹脂パウダーとしては、アイオノマー、イソブチレン無水マレイン酸コポリマー、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン樹脂(ACS)、アクリロニトリル・エチレン-プロピレン-ジエン・スチレン樹脂(AES)、アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS)、アクリレート・スチレン・アクリロニトリル樹脂(ASA)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン樹脂(MBS)、エチレン-塩化ビニルコポリマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、変性エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレン・ビニルアルコールコポリマー、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、カルボキシビニルポリマー、ケトン樹脂、臭素化ポリスチレン、非結晶コポリエステル、ノルボルネン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロエチレンプロピレンコポリマー、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリアセタール、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、共重合ポリアミド、ポリアミドMXD6、ポリアミド46、メトキシメチル化ポリアミド、特殊耐熱ポリアミドガラス繊維強化プラスチック、ポリアミドイミド、ポリアリレート、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリエーテルサルホン、ポリパラビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリメチルメタクリレート、及び液晶ポリマーのパウダーが挙げられる。
(b)熱可塑性樹脂パウダーとしては、融点が120℃以上である熱可塑性樹脂から選択される少なくとも一種のパウダーであることが好ましい。(b)熱可塑性樹脂パウダーの融点が120℃以上であることにより、熱間物性をより改善することができる。融点の上限は特に限定されないが、280℃以下であってよい。なお、本明細書において、融点は、DSC法により、10℃/分で20℃から300℃まで昇温することにより、測定される融点のピーク温度を示す。融点が120℃以上である熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアミドイミドから選択される少なくとも一種であることがより好ましく、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネートから選択される少なくとも一種であることが特に好ましく、ポリカーボネートが最も好ましい。
本発明における(b)熱可塑性樹脂パウダーの平均粒径については、500μm未満であることが好ましく、450μm未満であることがより好ましく400μm未満であることが最も好ましい。下限は特に限定されないが、3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが特に好ましい。
上記の「平均粒径」はそれぞれ、個数平均粒径を示す。上記の平均粒径は、任意の熱可塑性樹脂50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
本発明における(b)熱可塑性樹脂パウダーは、300μm以上の粒子が20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以下である。また、30μm以上の粒子が95質量%以上であることが好ましい。上記割合は、JIS Z8815に基づいて測定することができる。
本発明における(b)熱可塑性樹脂パウダーの形状としては、特に限定されることはなく、粉砕粉末状(不特定形状)、球状、擬球状(楕円球体状等)、多面体状等を例示することができる。
本発明における(b)熱可塑性樹脂パウダーの製造方法としては特に限定されることはない。各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどで各成分を混練りして得たものをターボミル、ローラミル、ボールミル、ピンミル、ハンマーミル、遠心力粉砕機等の粉砕機によって粉末にすることができる。この時、液体窒素等を使用して冷凍粉砕してもよく、また常温で粉砕することもできる。必要に応じて、分級してもよい。また、重合で得られた熱可塑性樹脂を用いてもよく、特開2003-48972等を例示することができる。
前記(b)熱可塑性樹脂パウダーの配合量は、(a)ポリエーテル系重合物100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、10質量部以上であることが特に好ましく、また50質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、25質量部以下であることが特に好ましい。
本発明においては、更に(c)架橋剤を含有することが好ましく、(c)架橋剤としてはポリアミン系架橋剤、チオウレア系架橋剤、チアジアゾール系架橋剤、メルカプトトリアジン系架橋剤、ピラジン系架橋剤、キノキサリン系架橋剤、ビスフェノール系架橋剤、パーオキシド系架橋剤、及び硫黄系架橋剤を例示することができ、チオウレア系架橋剤、パーオキシド系架橋剤、硫黄系架橋剤から選択される少なくとも1種であることが好ましく、パーオキシド系架橋剤であることが特に好ましい。
ポリアミン系架橋剤としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンテトラミン、p-フェニレンジアミン、クメンジアミン、N,N’-ジシンナミリデン-1,6-ヘキサンジアミン、エチレンジアミンカーバメート、ヘキサメチレンジアミンカーバメート等が挙げられる。
チオウレア系架橋剤としては、エチレンチオウレア、1,3-ジエチルチオウレア、1,3-ジブチルチオウレア、トリメチルチオウレア等が挙げられる。
チアジアゾール系架橋剤としては、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール-5-チオベンゾエート等が挙げられる。
メルカプトトリアジン系架橋剤としては、2,4,6-トリメルカプト-1,3,5-トリアジン、2-メトキシ-4,6-ジメルカプトトリアジン、2-ヘキシルアミノ-4,6-ジメルカプトトリアジン、2-ジエチルアミノ-4,6-ジメルカプトトリアジン、2-シクロヘキサンアミノ-4,6-ジメルカプトトリアジン、2-ジブチルアミノ-4,6-ジメルカプトトリアジン、2-アニリノ-4,6-ジメルカプトトリアジン、2-フェニルアミノ-4,6-ジメルカプトトリアジン等が挙げられる。
ピラジン系架橋剤としては、2,3-ジメルカプトピラジン誘導体等があげられ、2,3-ジメルカプトピラジン誘導体を例示すると、ピラジン-2,3-ジチオカーボネート、5-メチル-2,3-ジメルカプトピラジン、5-エチルピラジン-2,3-ジチオカーボネート、5,6-ジメチル-2,3-ジメルカプトピラジン、5,6-ジメチルピラジン-2,3-ジチオカーボネート等が挙げられる。
キノキサリン系架橋剤としては、2,3-ジメルカプトキノキサリン誘導体等があげられ、2,3-ジメルカプトキノキサリン誘導体を例示すると、キノキサリン-2,3-ジチオカーボネート、6-メチルキノキサリン-2,3-ジチオカーボネート、6-エチル-2,3-ジメルカプトキノキサリン、6-イソプロピルキノキサリン-2,3-ジチオカーボネート、5,8-ジメチルキノキサリン-2,3-ジチオカーボネート等が挙げられる。
ビスフェノール系架橋剤としては、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノールS)、1,1-シクロヘキシリデン-ビス(4-ヒドロキシベンゼン)、2-クロロ-1,4-シクロヘキシレン-ビス (4-ヒドロキシベンゼン)、2,2-イソプロピリデン-ビス(4-ヒドロキシベンゼン)(ビスフェノールA)、ヘキサフルオロイソプロピリデン-ビス(4-ヒドロキシベンゼン)(ビスフェノールAF)、および2-フルオロ-1,4-フェニレン-ビス(4-ヒドロキシベンゼン)等が挙げられる。
パーオキシド系架橋剤としては、tert-ブチルヒドロパーオキシド、p-メンタンヒドロパーオキシド、ジクミルパーオキシド、tert-ブチルパーオキシド、1,3-ビス(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ベンゾイルパーオキシド、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、1,4-ビス{(t-ブチルパーオキシ)イソプロピル}ベンゼン等が挙げられる。
硫黄系架橋剤としては、硫黄、モルホリンジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’-ジメチル-N,N’-ジフェニルチウラムジスルフィド、ジペンタンメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィドが挙げられる。
前記(c)架橋剤の配合量は、(a)ポリエーテル系重合物100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましく、また10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましい。
本発明におけるゴム組成物においては、架橋剤と共に用いられる公知の架橋促進剤を用いることができる。架橋促進剤としては、硫黄、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、o,o’-ジベンズアミドジフェニルジスルフィド等の硫黄化合物、エチレンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレンジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、m‐フェニレンジマレイミド、トルイレンビスマレイミド等の多官能性単量体類、p-キノンオキシム、p,p’-ベンゾイルキノンオキシム、o,o’-ジベンゾイル-p-キノンジオキシム等のオキシム化合物などが例示できる。
架橋促進剤の含有量は、(a)ポリエーテル系重合物100質量部に対して、0.1~15質量部であることが好ましく、0.1~10質量部であることがより好ましく、0.1~5質量部であることが特に好ましい。
本発明の樹脂含有ゴム組成物に対しては、本発明の効果を損なわない限り、上記の他に当該技術分野で行われる各種の受酸剤、補強剤、充填剤、可塑剤、加工助剤、老化防止剤、滑剤、難燃剤、顔料等の配合剤を任意で配合することができる。さらに本発明の特性が失われない範囲で、当該技術分野で通常行われている、(b)熱可塑性樹脂パウダー以外の樹脂のブレンドを行うことも可能である。
本発明で用いられる受酸剤としては、公知の受酸剤を使用できるが、好ましくは金属化合物および/または無機マイクロポーラス・クリスタルである。金属化合物としては、周期表第II族(2族および12族)金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩;周期表III族(3族および13族)金属の酸化物、水酸化物、カルボン酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩;周期表第IV族(4族および14族)金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩、三塩基性硫酸塩等が挙げられる。
前記金属化合物の具体例としては、マグネシア(酸化マグネシウム)、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、生石灰、消石灰、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、亜鉛華、酸化錫、リサージ、鉛丹、鉛白、二塩基性フタル酸鉛、二塩基性炭酸鉛、ステアリン酸錫、塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜リン酸錫、塩基性亜硫酸鉛、三塩基性硫酸鉛等を挙げることができ、炭酸ナトリウム、マグネシア、水酸化マグネシウム、生石灰、消石灰、ケイ酸カルシウム、亜鉛華などが好ましい。
前記無機マイクロポーラス・クリスタルとは、結晶性の多孔体を意味し、無定型の多孔体、例えばシリカゲル、アルミナ等とは明瞭に区別できるものである。このような無機マイクロポーラス・クリスタルの例としては、ゼオライト類、アルミノホスフェート型モレキュラーシーブ、層状ケイ酸塩、合成ハイドロタルサイト、チタン酸アルカリ金属塩等が挙げられる。特に好ましい無機マイクロポーラス・クリスタルとしては、合成ハイドロタルサイトが挙げられる。
前記ゼオライト類は、天然ゼオライトの外、A型、X型、Y型の合成ゼオライト、ソーダライト類、天然ないしは合成モルデナイト、ZSM-5などの各種ゼオライトおよびこれらの金属置換体であり、これらは単独で用いても2種以上の組み合わせで用いてもよい。また金属置換体の金属はナトリウムであることが多い。ゼオライト類としては酸受容能が大きいものが好ましく、A型ゼオライトが好ましい。
前記合成ハイドロタルサイトは下記一般式(1)で表される。
MgXZnYAlZ(OH)(2(X+Y)+3Z-2)CO3・wH2O (1)
[式中、XとYはそれぞれX+Y=1~10の関係を有する0~10の実数、Zは1~5の実数、wは0~10の実数をそれぞれ示す。]
前記一般式(1)で表されるハイドロタルサイト類の例として、Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O、Mg4.5Al2(OH)13CO3、Mg4Al2(OH)12CO3・3.5H2O、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O、Mg5Al2(OH)14CO3・4H2O、Mg3Al2(OH)10CO3・1.7H2O、Mg3ZnAl2(OH)12CO3・3.5H2O、Mg3ZnAl2(OH)12CO3等を挙げることができる。
受酸剤の配合量は、(a)ポリエーテル系重合物100質量部に対して、0.2~50質量部であることが好ましく、1~20質量部であることがより好ましい。
充填剤としては、公知の充填剤を使用することができ、具体的には炭酸カルシウム、タルク、シリカ、クレー、カーボンファイバー、グラスファイバー、カーボンブラック、酸化チタン、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛等が挙げられる。
充填剤の配合量は(a)ポリエーテル系重合物100質量部に対して10~100質量部であることが好ましく、20~80質量部であることがより好ましい。
充填剤としては酸化チタン、シリカなどを使用することが好ましく、シリカを使用することが特に好ましい。シリカの種類は、特に限定されず、例えば、湿式法シリカ(含水ケイ酸)、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等である。使用するシリカとしては、湿式法シリカが好ましい。湿式法シリカとは、ケイ酸ナトリウム水溶液をまたはアルカリ土類金属ケイ酸塩を、酸分解する等により製造される含水ケイ酸の微粒子で、二酸化ケイ素を主体としたゴム用充填材である。
シリカの配合量は(a)ポリエーテル系重合物100質量部に対して、10~100質量部であってよい。20~70質量部であることが好ましい。
本発明の樹脂含有ゴム組成物において、更に、シランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤は、1分子中に反応性の異なる2種類の官能基を有する有機珪素化合物である。シランカップリング剤は式(2)または(3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007444063000001
[式中、Xは、反応基であり、
X’は、1~10個の硫黄原子を含んでいてよい炭化水素基であり、
Ra及びRa’は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
Rb及びRb’は、それぞれ独立して、反応基であり、
nおよびmは、それぞれ独立して、0、1または2である。]
Xは、有機質材料と化学結合を形成可能な反応基である。Xの例は、ビニル基、ビニル基含有アルキル基、エポキシ基、エポキシ基含有アルキル基、グリシドキシ基含有アルキル基、メタクリル基、メタクリル基含有アルキル基、メタクリロキシ基、メタクリロキシ基含有アルキル基、アクリル基、アクリル基含有アルキル基、アクリロキシ基、アクリロキシ基含有アルキル基、アミノ基、アミノ基含有アルキル基、メルカプト基、メルカプト基含有アルキル基、及びクロロアルキル基であるが、これらに限定されるものではない。Xがアルキル基を有する場合、該アルキル基の炭素数は1~12であってよい。本発明のゴム材料中において、Xは、有機質材料(ゴム又は樹脂)の種類によっては、該有機質材料と必ずしも化学結合を形成しなくてもよい。
X’の例は、炭素数1~20のポリスルフィド含有炭化水素基、例えばポリスルフィド含有アルキレン基(-Rc-Sx-Rc-)であるが、これらに限定されるものではない。-Rc-は炭素数1~9のアルキレン基、xは2~6の整数であるが、これらに限定されるものではない。
Ra及びRa’の例は、炭素数1~12の炭化水素基、例えばアルキル基であるが、これらに限定されるものではない。
Rb及びRb’は、ガラスや金属などの無機質材料と化学結合を形成可能な反応基である。Rb及びRb’の例は、炭素数1~6のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、及びブトキシ基であるが、これらに限定されるものではない。
シランカップリング剤としては、ビニル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メタクリル系シランカップリング剤、アクリル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、クロロアルキル系シランカップリング剤、及びポリスルフィド系シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤は一種を単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ビニル系シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン等が例示される。
エポキシ系シランカップリング剤としては、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
メタクリル系シランカップリング剤としては、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン等が例示される。
アクリル系シランカップリング剤としては、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン等が例示される。
アミノ系シランカップリング剤としては、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-(N-フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
メルカプト系シランカップリング剤としては、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
クロロアルキル系シランカップリング剤としてはトリメトキシシリルプロピルクロライド、トリエトキシシリルプロピルクロライド等が例示される。
ポリスルフィド系シランカップリング剤としては、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(略称TESPD)、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(略称TESPT)が好ましい。具体的には、「カブラス2A」、「カブラス2B」、「カブラス4」(以上、大阪ソーダ社製)、「Si75」、「Si69」(デグサ社製)、「A-1289」(GEシリコーン社製)、「KBE-846」(信越化学社製)等が挙げられる。
本発明の樹脂含有ゴム組成物において、シランカップリング剤は充填剤としてのシリカと組み合わせることが好ましい。シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、例えば0.5~25質量部であってよく、1~20質量部であることが好ましい。
本発明の樹脂含有ゴム組成物において、シリカを上記のシランカップリング剤で表面処理した表面処理シリカを用いてもよい。
表面処理シリカの製造方法としては、シリカ100重量部に対して、シランカップリング剤を3~15重量部を反応させることが好ましく、5~13重量部を反応させることがより好ましい。
表面処理シリカの製造方法において、シリカとシランカップリング剤との反応を促進するために、酸等を用いることができる。
表面処理シリカの製造方法としては、シリカとシランカップリング剤の反応をより促進するために加熱処理を施してもよく、加熱方法や時間、温度など特に制限はない。具体的には、ナウターミキサーやリボンブレンダー、ヘンシェルミキサーなどを用いて加熱攪拌し、その後、加熱オーブンなどで加熱する等を例示することができる。撹拌温度及び時間は、一般的には20~200℃で、1分~24時間である。
表面処理シリカの配合量は、(a)ポリエーテル系重合物100質量部に対して、10~100質量部であってよい。20~70質量部であることが好ましい。
本発明の樹脂含有ゴム組成物には、公知の老化防止剤を用いることができる。公知の老化防止剤として、アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、ベンズイミダゾール系老化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤、チオ尿素系老化防止剤、有機チオ酸系老化防止剤、亜リン酸系老化防止剤が例示され、ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤であることが好ましい。
ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤を具体的に例示すると、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジイソブチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅、N-エチル-N-フェニルジチオカルバミン酸銅、N-ペンタメチレンジチオカルバミン酸銅、ジベンジルジチオカルバミン酸銅が挙げられる。
本発明の樹脂含有ゴム組成物において、老化防止剤の配合量は、(a)ポリエーテル系重合物100質量部に対して、0.1~10質量部であることが好ましく、0.1~5質量部であることがより好ましく、0.3~3質量部であることが特に好ましい。
滑剤としては、具体的には、例えば、パラフィン・ワックス、炭化水素系ワックスなどのパラフィンおよび炭化水素樹脂;ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸;ステアロアミド、オレイル・アミドなどの脂肪酸アミド;n-ブチル・ステアレートなどの脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;脂肪アルコール;等が挙げられ、これらは一種を単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
滑剤の配合量は、(a)ポリエーテル系重合物100質量部に対して、0.1~20質量部であることが好ましく、0.1~10質量部であることがより好ましい。
可塑剤としては、フタル酸ジオクチル(フタル酸ビス(2-エチルヘキシル))やフタル酸ジアリルエステル等のフタル酸誘導体、ジブチルジグリコール-アジペートやジ(ブトキシエトキシ)エチルアジペート等のアジピン酸誘導体、セバシン酸ジオクチル等のセバシン酸誘導体、トリオクチルトリメリテート等のトリメリット酸誘導体などが挙げられ、これらは一種を単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。可塑剤として好ましくは、フタル酸誘導体である。
可塑剤の配合量は、(a)ポリエーテル系重合物100質量部に対して、0.1~50質量部であることが好ましく、0.1~20質量部であることがより好ましい。
本発明の樹脂含有ゴム組成物の配合方法としては、従来ポリマー加工の分野において利用されている任意の手段を用いることができ、例えばミキシングロール、バンバリーミキサー、各種ニーダー類等を用いて混練することができる。成型方法としては、金型による圧縮成型、押出成型、インジェクション成型等が例示できる。
混練温度は、(b)熱可塑性樹脂パウダーの融点以下であることが好ましい。混練温度を(b)熱可塑性樹脂パウダーの融点以下とすることにより、混練時に樹脂パウダーが溶融しづらく、樹脂パウダーの凝集を抑制できる。その結果、ゴム材料とした際の引張応力が向上する。混練温度は、(b)熱可塑性樹脂パウダーの融点-5℃以下であることがより好ましく、(b)熱可塑性樹脂パウダーの融点-10℃以下であることが更に好ましい。混練温度の下限は特に制限されないが、例えば30℃であり、好ましくは50℃である。さらに混練温度の下限は、樹脂含有ゴム組成物の配合段階に応じて変更してもよい。例えば、(a)ポリエーテル系重合物と(b)熱可塑性樹脂パウダーを混練し、次いで架橋剤を加えて混練する場合、好ましくは前記(a)ポリエーテル系重合物と(b)熱可塑性樹脂パウダーとの混練時にシリカ及びシランカップリング剤も混練する場合、(a)ポリエーテル系重合物、(b)熱可塑性樹脂パウダー、シリカ及びシランカップリング剤との混練温度の下限を、好ましくは60℃以上、より好ましくは90℃以上にしてもよい。
混練時間は特に制限されないが、例えば1分~3時間である。
本発明のゴム組成物を用いたゴム材料は、架橋して得られることが好ましい。具体的には通常100~200℃に加熱することで得られ、架橋時間は温度により異なるが、0.5~300分の間で行われるのが通常である。架橋成型の方法としては、金型による圧縮成型、射出成型、エアーバス、赤外線あるいはマイクロウェーブによる加熱等任意の方法を用いることができる。
本発明のゴム材料は、23℃環境下における100%モジュラス(M100)が6.0MPa以上であることが好ましく、より好ましくは6.5MPa以上、さらに好ましくは7.0MPa以上、特に好ましくは7.5MPa以上、最も好ましくは8.0MPa以上であり、上限は特に限定されないが例えば10MPa以下である。
本発明のゴム材料は、100℃環境下におけるM100が5.5MPa以上であることが好ましく、より好ましくは5.7MPa以上、さらに好ましくは6.0MPa以上、特に好ましくは6.5MPa以上であり、上限は特に限定されないが例えば10MPa以下である。なお、上記23℃環境下及び100℃環境下におけるM100は、JIS K6250及びJIS K6251に準拠して測定することができる。
本願は、2018年8月22日に出願された日本国特許出願第2018-155242号に基づく優先権の利益を主張するものである。2018年8月22日に出願された日本国特許出願第2018-155242号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
以下において実施例及び比較例により具体的に説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
まず、表1に示す各配合剤を120℃のバンバリーミキサーにて混練りし、A練りコンパウンドを作成した。このA練りコンパウンドにB練り配合剤を添加し、50℃のオープンロールにて約5分間混練りし、B練りコンパウンドを作成した。B練りコンパウンドを170℃に設定したプレス機にて15分間、加圧プレスを行い、テストピースを作製した。表中のAとはA練りコンパウンドの原料であり、Bとは、B練りコンパウンドを作成する際に、A練りコンパウンドに配合する原料を示すものである。表1の配合剤に関する単位は質量部とする。
以下に実施及び比較例で用いた配合剤を示す。
※1 株式会社大阪ソーダ製 エピクロロヒドリン-エチレンオキシド-アリルグリシジルエーテル三元共重合体「エピクロマーCG-105」
※2 帝人株式会社製「パンライトL-1250Y(融点144℃)」冷凍粉砕品、平均粒子径:30μm
※3 住友化学株式会社製「ノーブレンH501(融点159℃)」冷凍粉砕品、平均粒子径:330μm
※4 ポリプラスチック株式会社製「DURANEX2000(融点223℃)」冷凍粉砕品、平均粒子径:180μm
※5 東ソー・シリカ株式会社製「Nipsil VN3」
※6 石原産業株式会社製「R-820」
※7 株式会社大阪ソーダ製「カブラス C」
※8 大内新興化学工業株式会社製「ノクラック NBC」
※9 花王株式会社製「スプレンダーR-300V」
※10 協和化学工業株式会社製「キョーワマグ150」
※11 株式会社大阪ソーダ製「ダイソーダップモノマー」
※12 日油株式会社製「パーブチルP」
※13 大内新興化学工業株式会社製「バルノック PM」
※14 大内新興化学工業株式会社製「ノクタイザー SS」
※15 川口化学工業株式会社製「アクセル22S」
※16 帝人株式会社製「パンライトL-1250Y」ペレット形状3mm
Figure 0007444063000002
[樹脂パウダーの製造方法]
日本工業株式会社製の冷凍粉砕機JFC2000を使用し、各樹脂を液体窒素で予備冷却10分間後、10分間粉砕を行った。
[樹脂パウダーの融点の測定]
パーキンエルマー社のDSC8000を使用し10℃/分で20℃から300℃まで昇温することにより測定を行った。
[樹脂パウダーの平均粒子径測定方法]
KEYENCE株式会社製のデジタルマイクロスコープVHX-6000を使用して、任意の熱可塑性樹脂50個を観察し、平均値を算出することにより求められた。
[樹脂パウダーのふるい分け試験]
JIS Z8815に準拠し、実施例で用いた各樹脂パウダーのふるい分け試験を行った。100gのパウダーを採取し、株式会社タナカテックのロータップふるい振盪機を用いて、分取した。結果を表2に示す。なお、表2におけるふるい上百分率は、下記式より求めた。
R=m/T×100
R:ふるい上百分率(%)
m:ふるい上の質量(g)
T:試験試料の質量(g)
Figure 0007444063000003
[常態物性、熱間物性]
JIS K6250、JIS K6251に準じて23℃環境下、及び100℃環境下での引張試験を行った。各表中、100%モジュラス(M100)は100%伸ばした時の応力、TBはJIS K6251の引張試験に定める強度、EBはJIS K6251の引張試験に定める伸びをそれぞれ意味する。尚、23℃環境下における物性を常態物性、100℃環境下における物性を熱間物性と記載する。
各試験方法より得られた実施例、比較例の試験結果を表3に示す。尚、比較例2はバンバリーミキサーを用いたA練り時に分散不良となりB練り及び成形ができなかった。
Figure 0007444063000004
表3が示すように、実施例1~4は常態物性、及び熱間物性における引張応力(M100)に優れた材料であることが示され、特にパーオキシド系架橋剤を用いた実施例1は、常態物性、及び熱間物性における引張応力の両方で特に好ましい結果となった。
本発明のゴム組成物は常態物性、及び熱間物性における引張応力に優れ、自動車用途では燃料ホース、エアー系ホース、及びチューブ材料として、OA用途ではコピー機プリンター等における電子写真プロセスの現像、帯電、転写などの半導電性ローラー又はベルトとして、また電線の被覆チューブ等として幅広く応用可能である。

Claims (5)

  1. (a)ポリエーテル系重合物、(b)熱可塑性樹脂パウダー、及び(c)架橋剤を含有し、
    前記(a)ポリエーテル系重合物が、エピクロロヒドリンのユニットを含み、
    前記(b)熱可塑性樹脂パウダーの平均粒径が500μm未満であり、
    前記(b)熱可塑性樹脂パウダーの融点が120℃以上であり、
    前記(b)熱可塑性樹脂パウダーの含有量が、前記(a)ポリエーテル系重合物100質量部に対して、1~50質量部であり、
    前記(c)架橋剤が、ポリアミン系架橋剤、チオウレア系架橋剤、チアジアゾール系架橋剤、メルカプトトリアジン系架橋剤、ピラジン系架橋剤、キノキサリン系架橋剤、ビスフェノール系架橋剤、パーオキシド系架橋剤、及び硫黄系架橋剤から選択される少なくとも1種である樹脂含有ゴム組成物。
  2. 前記(b)熱可塑性樹脂パウダーは、300μm以上の粒子が20質量%以下である請求項1に記載の樹脂含有ゴム組成物。
  3. 前記(a)ポリエーテル系重合物が、さらにエチレンオキシドのユニットを含む請求項1又は2に記載の樹脂含有ゴム組成物。
  4. 請求項1~のいずれかに記載の樹脂含有ゴム組成物より作製されるゴム材料。
  5. 請求項1~のいずれかに記載の樹脂含有ゴム組成物の製造方法であって、(b)熱可塑性樹脂パウダーの融点以下の温度で、(a)ポリエーテル系重合物及び(b)熱可塑性樹脂パウダーを混練する製造方法。
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