JP2004059847A - 加硫ゴム用組成物およびその加硫ゴム材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加硫用ゴム組成物は、(a)ハロゲン含有エラストマー、(b)一般式〔Al2Li(OH)6〕nX・mH2O (式中、Xは無機または有機のアニオンであり、nはアニオンXの価数であり、mは3以下の数である)で表されるLi−Al系複合水酸化物塩からなる受酸剤、および(c)加硫剤を含有する。ハロゲン含有エラストマー(a)は、好ましくは、エピクロルヒドリン系重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリクロロプレン、クロルスルホン化ポリエチレン、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、フッ素ゴム、および、含塩素モノマーを共重合したアクリルゴムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体である。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する分野】
本発明は、ハロゲン含有エラストマー組成物およびその組成物を加硫してなる加硫ゴム材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ハロゲン含有エラストマーは、その優れた耐熱性、耐油性、耐候性、耐オゾン性、耐磨耗性により、ゴム製品や樹脂製品の材料として或いは接着剤原料や塗料原料として幅広く用いられている。特に、エピクロルヒドリン系ゴム材料は、その耐熱性、耐油性、耐オゾン性等を活かして、各種産業分野における有用材料として幅広く用いられている。例えば、自動車用途では、同ゴム材料は、燃料系ホースやエアー系ホース、チューブ材料として使用されており、また、近年では、そのイオン導電性を活かして、OA機器用の半導電性ローラー、ベルト、ドラム等の帯電部材としても使用されている。
【0003】
通常、ハロゲン含有エラストマーを加硫する際、加硫時に発生するハロゲン類を吸収するために、種々の受酸剤が用いられている。例えば、受酸剤として鉛化合物が一般的に使用されている。
【0004】
しかしながら、近年、省エネルギー対策、生産性の向上、環境問題対策等の観点から、鉛化合物のような有害化学物質を含まず、速やかな加硫速度と長期保存性に優れ、かつ、耐熱性、耐油性、耐オゾン性、圧縮永久歪性等の諸物性のさらに改良されたゴム材料が要求されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実状に鑑み、有害な鉛化合物を含まない、ハロゲン含有エラストマー組成物およびその組成物を加硫してなる加硫ゴム材料を提供することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、種々研究を重ねた結果、ハロゲン含有エラストマーに特定のLi−Al系複合水酸化物塩からなる受酸剤を配合することにより、上述の目的を達成しうることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明による加硫用ゴム組成物は、
(a)ハロゲン含有エラストマー、
(b)下記一般式(I)で表されるLi−Al系複合水酸化物塩からなる受酸剤、
〔Al2Li(OH)6〕nX・mH2O …… (I)
(式中、Xは無機または有機のアニオンであり、nはアニオンXの価数であり、mは3以下の数である)、および
(c)加硫剤
を含有するものである。
【0008】
ハロゲン含有エラストマー(a)は、好ましくは、エピクロルヒドリン系重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリクロロプレン、クロルスルホン化ポリエチレン、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、フッ素ゴム、および、含塩素モノマーを共重合したアクリルゴムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体である。
【0009】
一般式(I)においてXは好ましくは炭酸アニオンである。
【0010】
加硫剤(c)は、好ましくは、ポリアミン類、チオウレア類、チアジアゾール類、メルカプトトリアジン類、ピラジン類、キノキサリン類、有機過酸化物、硫黄、モルホリンポリスルフィド類およびチオラムポリスルフィド類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0011】
上記加硫用ゴム組成物を加硫することにより加硫ゴム材料が得られる。これは、コピー機または電子写真式プリンター用の半導電ゴム部材や、自動車用の押し出し加硫製品および型加硫製品を作製する材料として好適に使用される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明組成物の主体を成すハロゲン含有エラストマー(a)の例としては、i)ハロゲン含有モノマーを主たる構成要素とする重合体、ii)重合体主鎖にハロゲンが直接または間接に結合している重合体、iii)架橋点に少量のハロゲンを含有している重合体が挙げられる。i)の重合体としてはエピクロルヒドリン系ゴム、ポリクロロプレン、フッ素ゴムが例示され、ii)の重合体としては、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、クロルスルホン化ポリエチレンが例示され、iii) の重合体としては、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、含塩素モノマーを共重合したアクリルゴムが例示される。
【0013】
これらの重合体は、いずれも市販のものであってよく、また単独で用いても2以上の組み合わせで用いてもよい。
【0014】
上記ハロゲン含有エラストマー(a)のうちエピクロルヒドリン系ゴムとしては、エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル四元共重合体が例示される。特にエピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体が好ましい。
【0015】
エピクロルヒドリン系ゴムの成分組成については、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体では、エピクロルヒドリン成分が通常20〜70モル%、好ましくは30〜60モル%、エチレンオキサイド成分が通常30〜80モル%、好ましくは40〜70モル%であり、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体では、エピクロルヒドリン成分が通常85〜99モル%、好ましくは90〜98モル%、アリルグリシジルエーテル成分が通常1〜15モル%、好ましくは2〜10モル%であり、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体では、エピクロルヒドリン成分が通常5〜75モル%、好ましくは10〜65モル%、エチレンオキサイド成分が通常20〜90モル%、好ましくは30〜85モル%、アリルグリシジルエーテル成分が通常1〜10モル%、好ましくは2〜8モル%である。
【0016】
ハロゲン含有エラストマー(a)の好ましい分子量は、通常、ムーニー粘度表示でML1+4 (100℃)=10〜100程度である。
【0017】
上記一般式(I)で表されるLi−Al系複合水酸化物塩からなる受酸剤(b)を構成する無機または有機のアニオンxとしては、炭酸、硫酸、過塩素酸、リン酸のオキシ酸、酢酸、プロピオン酸、アジピン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、p− オキシ安息香酸、サリチル酸、ピクリン酸等の無機酸または有機酸のアニオンが例示され、特に炭酸アニオンが好ましい。これらのアニオンは単独でも2以上の組み合わせでもよい。
【0018】
上記一般式(I)で表されるLi−Al系複合水酸化物塩は公知物質であり、その製造法および化学構造はクレイズ・アンド・クレイミネラルズ(Clays and Clay Minerals) 25, 384−391 (1977)、および30, 180−184 (1982)に記載されている。
【0019】
Li−Al系複合水酸化物塩からなる受酸剤(b)は、公知の金属化合物からなる受酸剤との組み合わせで用いても良い。公知の受酸剤としては、周期表第II族(2族および12族)金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期表第IV族(4族および14族)金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩、三塩基性硫酸塩等の金属化合物が例示される。
【0020】
公知の受酸剤の具体的な例としては、マグネシア、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、生石灰、消石灰、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、亜鉛華、酸化錫、リサージ、鉛丹、鉛白、二塩基性フタル酸鉛、二塩基性炭酸鉛、ステアリン酸錫、塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜リン酸錫、塩基性亜硫酸鉛、三塩基性硫酸鉛、および下記一般式(II)で表される合成ハイドロタルサイト等が挙げられる。
【0021】
MgxZnyAlz(OH)2(x+y)+3z−2CO3・wH2O …… (II)
(式中、xとyは0〜10の実数、但しx+yは1〜10、zは1〜5の実数、wは正の実数、好ましくは0〜10をそれぞれ示す)。
【0022】
合成ハイドロタルサイトは、例えば、
MgxAly(OH)2x+3y−2CO3・wH2O
(式中、xとyは1〜10の実数、但しx+yは1〜10、wは正の実数、好ましくは0〜10をそれぞれ示す)で表わされるものであってよい。
【0023】
上記一般式(II)で表されるハイドロタルサイトを例示すれば、
Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O
Mg4.5Al2(OH)13CO3
Mg4Al2(OH)12CO3・3.5H2O
Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O
Mg5Al2(OH)14CO3・4H2O
Mg3Al2(OH)10CO3・1.7H2O
Mg3 ZnAl2(OH)12CO3・wH2 O
Mg3 ZnAl2(OH)12CO3
等を挙げることができる。
【0024】
受酸剤(b)、もしくはこれと公知の受酸剤との組み合わせの配合量は、ハロゲン含有エラストマー100重量部に対して、通常0.2〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部である。この配合量が上記範囲未満であると架橋が不十分となり、上記範囲を超えると加硫物が剛直になりすぎてハロゲン含有エラストマー加硫物として通常期待される物性が得られなくなる。
【0025】
本発明で用いられる加硫剤(c)としては、塩素原子の反応性を利用する公知の加硫剤、例えばポリアミン類、チオウレア類、チアジアゾール類、メルカプトトリアジン類、キノキサリン類、ピラジン類等や、側鎖二重合結合の反応性を利用する公知の加硫剤、例えば、有機過酸化物、硫黄、モルホリンポリスルフィド類、チオラムポリスルフィド類等がある。
【0026】
これらの加硫剤をさらに例示すれば、ポリアミン類としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンテトラミン、p−フェニレンジアミン、クメンジアミン、N,N−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、エチレンジアミンカーバメート、ヘキサメチレンジアミンカーバメート等が挙げられる。
【0027】
チオウレア類としては、エチレンチオウレア、1,3−ジエチルチオウレア、1,3−ジブチルチオウレア、トリメチルチオウレア等が挙げられる。
【0028】
チアジアゾール類としては、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール―5―チオベンゾエート等が挙げられる。
【0029】
メルカプトトリアジン類としては、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、1−メトキシ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−ヘキシルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−ジエチルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−シクロヘキサンアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−ジブチルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、2−アニリノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、1−フェニルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン等が挙げられる。
【0030】
キノキサリン類としては、キノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、6−イソプロピルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、5,8−ジメチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート等の2,3−ジメルカプトキノキサリン誘導体等が挙げられる。
【0031】
ピラジン類としては、ピラジン−2,3−ジチオカーボネート、5−メチル−2,3−ジメルカプトピラジン、5−エチルピラジン−2,3−ジチオカーボネート、5,6−ジメチル−2,3−ジメルカプトピラジン、5,6−ジメチルピラジン−2,3−ジチオカーボネート等の2,3−ジメルカプトピラジン誘導体等が挙げられる。
【0032】
有機過酸化物としては、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。
【0033】
モルホリンポリスルフィド類としては、モルホリンジスルフィド等が挙げられる。
【0034】
チオラムポリスルフィド類としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N−ジメチル−N,N−ジフェニルチウラムジスルフィド、ジペンタンメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド等を挙げられる。
【0035】
加硫剤(c)として、2,3−ジメルカプトピラジン誘導体および2,3−ジメルカプトキノキサリン誘導体は、良好な圧縮永久歪率が得られるため、本発明に好適に用いられる。
【0036】
加硫剤(c)の配合量は、ハロゲン含有エラストマー100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。この配合量が上記範囲未満であると優れた圧縮永久歪性を得ることが困難になり、上記範囲を超えると得られた加硫物が剛直になりすぎて、ハロゲン含有エラストマー加硫物に通常期待される物性が得られなくなる。
【0037】
本発明による加硫ゴム用組成物には、公知の促進剤(加硫促進剤)および遅延剤を添加することもできる。加硫促進剤の例としては、塩基性シリカ、1級アミン、2級アミン、3級アミン、該アミンの有機酸塩もしくはその付加物、アルデヒドアンモニア系促進剤、アルデヒドアミン系促進剤、グアニジン系促進剤、チアゾール系促進剤、スルフェンアミド系促進剤、チウラム系促進剤およびジチオカルバミン酸系促進剤、1、8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7及びその弱酸塩、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5,6−ジブチルアミノ1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7及びその弱酸塩、第4級アンモニウム化合物等を挙げることができる。また、遅延剤としては酸性シリカ、N−シクロヘキサンチオフタルイミド等を挙げることができる。
【0038】
上記アミンとしては、特に炭素数5〜20の脂肪族または環式脂肪族の第1アミン、第2アミンもしくは第3アミンが好ましく、このようなアミンの代表例は、n−ヘキシルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジシクロヘキシルアミン、ヘキサメチレンジアミンなどである。
【0039】
上記アミンと塩を形成する有機酸としては、カルボン酸、カルバミン酸、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジチオ燐酸等が例示される。また上記アミンと付加物を形成する物質としては、アルコール類、オキシム類等が例示される。アミンの有機酸塩もしくは付加物の具体例としては、n−ブチルアミン・酢酸塩、ジブチルアミン・オレイン酸塩、ヘキサメチレンジアミン・カルバミン酸塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのジシクロヘキシルアミン塩等が挙げられる。
【0040】
アルデヒドアンモニア系促進剤の例としては、アセトアルデヒドとアンモニアの反応生成物等が挙げられる。アルデヒドアミン系促進剤の例としては、アミンと少なくとも1種の炭素数1〜7のアルデヒドとの縮合生成物であり、このようなアミンの例としては、アニリン、ブチルアミン等が挙げられる。これらのなかで、アニリンと少なくとも1種の炭素数1〜7のアルデヒドとの縮合生成物が好ましい。具体例としては、アニリンとブチルアルデヒドの縮合物、アニリンとヘプタアルデヒドの縮合物、アニリンとアセトアルデヒドおよびブチルアルデヒドの縮合物などがある。
【0041】
グアニジン系促進剤の例としては、ジフェニルグアニジン、ジトリルグアニジン等が挙げられる。
【0042】
チアゾール系促進剤の例としては、2―メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2―メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩等が挙げられる。
【0043】
スルフェンアミド系加硫促進剤の具体例としては、N−エチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジ−イソプロピル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジ−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−オキシ−ジ−エチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドなどが挙げられる。
【0044】
チウラム系加硫促進剤の具体例としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等が挙げられる。
【0045】
ジチオカルバミン酸系促進剤の例としては、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルカルバミン酸銅、等が挙げられる。
【0046】
上記加硫促進剤および遅延剤は、無機充填剤、オイル、ポリマー等に予備分散させた形を取っていても良い。
【0047】
これらの加硫促進剤および遅延剤は単独で用いてもよいし、2種類以上の組み合わせで用いてもよい。加硫促進剤または遅延剤の配合量は、ハロゲン含有エラストマー100重量部に対して通常0〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
【0048】
また、本発明の加硫用ゴム用組成物は、当該技術分野で通常使用される他の添加剤、例えば滑剤、老化防止剤、充填剤、補強剤、可塑剤、加工助剤、難燃剤、顔料等を適宜配合できる。
【0049】
更に、本発明の加硫用ゴム用組成物は、本発明の特性が失われない範囲で、当該技術分野で通常行われているゴム、樹脂等とブレンドすることも可能である。このブレンドに用いられるゴムとしては、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム等が例示され、このブレンドに用いられる樹脂としては、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂、PS(ポリスチレン)樹脂、PUR(ポリウレタン)樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)樹脂、EVA(エチレン/酢酸ビニル)樹脂、AS(スチレン/アクリロニトリル)樹脂、PE(ポリエチレン)樹脂等が例示される。
【0050】
本発明の加硫用ゴム組成物を調製するには、従来ポリマー加工の分野において使用されている任意の手段、例えばミキシングロール、バンバリーミキサー、各種ニーダー類等を使用することができる。
【0051】
本発明の加硫用ゴム組成物は、通常100〜250℃に加熱することで加硫物とすることができる。加硫時間は温度によって異なるが、通常0.5〜300分の間で選ばれる。加硫成型の方法としては、金型による圧縮成型、射出成型、スチーム缶、エアーバス、赤外線あるいはマイクロウェーブによる加熱成型等任意の方法を用いることができる。
【0052】
本発明の加硫ゴム材料は、通常ハロゲン含有エラストマーが使用される各種産業分野に広く応用することができる。例えば、自動車用途に用いられる押し出し加硫製品および型加硫製品として使用できる。また本発明の加硫ゴム材料は、OA機器用、特にコピー機や電子写真式プリンターを構成する帯電部材、現像部材、転写部材としても使用される。具体的には半導電性ローラー、ベルト、ドラム等が挙げられる。その他、同材料は、一般産業用機器、装置等の半導電性ゴム材料としても好適に用いることができる。
【0053】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0054】
実施例1〜3、比較例1〜2(充填剤:FEFカーボン)
下記表1に示すゴム材料をニーダーおよびオープンロールで混練し、未加硫ゴムシートを作製した。得られた未加硫ゴムシートについて、JIS K6300に定めるムーニースコーチ試験を行った。
【0055】
次いで、該未加硫ゴムシートを170℃で15分プレス加硫し、2mm厚の一次加硫物を得た。さらにこれをエア・オーブンで150℃で2時間加熱し、二次加硫物を得た。この二次加硫物について、引張試験および硬さ試験を行い、常態物性の評価を行った。
【0056】
また、上記未加硫ゴムシートを試験片作製用金型を用いて170℃で20分プレス加硫し、直径約29mm、高さ約12.5mmの円柱状試験片一次加硫物を得た。さらにこれをエア・オーブンで150℃で2時間加熱し、二次加硫物を得た。この二次加硫物について、JIS K 6262記載の方法に準じて圧縮永久歪み試験を行った。
【0057】
各試験により得られた結果を表2に示す。同表中、Vmは最低粘度、△Vmは初期のVmと35℃/75%RH/3日静置後のVmとの差、t5 はJIS K6300のムーニースコーチ試験に定めるムーニースコーチ時間、M100はJIS K6251の引張試験に定める100%伸び時の引張応力、M300はJIS K6251の引張試験に定める300%伸び時の引張応力、TbはJIS K6251の引張試験に定める引張強さ、EbはJIS K6251の引張試験に定める伸び、HsはJIS K6253の硬さ試験に定める硬さをそれぞれ意味する。
【0058】
実施例3〜5、比較例3(充填剤:炭酸カルシウム)
ゴム材料として下記表3に示すものを用いて一次加硫物を得、これを試験体とした以外は、実施例1〜2および比較例1〜2と同様にしてムーニースコーチ試験、常態物性の評価、および圧縮永久歪み試験を行った。
【0059】
また、2mm厚の一次加硫物および絶縁抵抗計(三菱油化(株)製、「ハイレスタHP」)を10℃×15%RH、23℃×50%RH、30℃×80%RHのそれぞれの環境条件下に設定した恒温恒湿槽中に入れ、24時間以上放置した後、電圧を10V印加し、1分後の抵抗値を読みとり、体積固有抵抗率を測定した。
【0060】
また、10℃×15%RH(A)および30℃×80%RH(B)の両環境下での体積固有抵抗の対数の差[log10(A)−log10(B)]で体積固有抵抗の環境依存性を定義し、その値を求めた。
【0061】
各試験により得られた結果を表4に示す。同表中、Vm、△Vm、t5 、M100、M300、Tb、EbおよびHsは、それぞれ表2のものと同じ意味のものである。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
各実施例とこれに対応する比較例との比較例により明らかなように、実施例1〜5では、有害な鉛化合物を受酸剤として用いた比較例1〜3と遜色のない速やかな加硫速度、加硫物性が得られており、各実施例での圧縮永久歪性は比較例のそれより優れている。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、鉛化合物を含まず、速やかな加硫速度と長期保存性に優れたハロゲン含有エラストマー組成物およびその組成物を加硫してなる加硫ゴム材料を得ることができる。したがって、本発明の加硫ゴム材料は、コピー機や電子写真式プリンター用の現像、帯電、転写などの半導電ゴムロールおよび半導電性無端ベルト等の用途や、自動車用途に用いられる押し出し加硫製品および型加硫製品の用途に極めて有用である。
Claims (7)
- (a)ハロゲン含有エラストマー、
(b)下記一般式(I)で表されるLi−Al系複合水酸化物塩からなる受酸剤、
〔Al2Li(OH)6〕nX・mH2O …… (I)
(式中、Xは無機または有機のアニオンであり、nはアニオンXの価数であり、mは3以下の数である)、および
(c)加硫剤
を含有することを特徴とする加硫用ゴム組成物。 - ハロゲン含有エラストマー(a)が、エピクロルヒドリン系重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリクロロプレン、クロルスルホン化ポリエチレン、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、フッ素ゴム、および、含塩素モノマーを共重合したアクリルゴムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体であることを特徴とする請求項1に記載の加硫用ゴム組成物。
- 一般式(I)においてXが炭酸アニオンであることを特徴とする請求項1または2に記載の加硫用ゴム組成物。
- 加硫剤(c)が、ポリアミン類、チオウレア類、チアジアゾール類、メルカプトトリアジン類、ピラジン類、キノキサリン類、有機過酸化物、硫黄、モルホリンポリスルフィド類およびチオラムポリスルフィド類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加硫用ゴム組成物。
- 請求項1〜4に記載の加硫用ゴム組成物を加硫してなることを特徴とする加硫ゴム材料。
- 請求項5に記載の加硫ゴム材料を用いて作製してなることを特徴とする、コピー機または電子写真式プリンター用の半導電ゴム部材。
- 請求項5に記載の加硫ゴム材料を用いて作製してなることを特徴とする、自動車用の押し出し加硫製品および型加硫製品。
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