JP3994757B2 - 加硫用ゴム組成物およびその加硫物 - Google Patents

加硫用ゴム組成物およびその加硫物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、エピハロヒドリン系ゴムをベ−スとする加硫特性と貯蔵安定性に優れた加硫用ゴム組成物、および同組成物を加硫してなる加硫ゴム材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
エピハロヒドリン系ゴム材料はその耐熱性、耐油性、耐オゾン性等を活かして、燃料ホースやエアー系ホース、チューブ材料として幅広く使用されている。また、近年ではその半導電特性を活かして、OA機器用の半導電性ロール、ベルト、ドラム材料としても広く使用されている。
【0003】
エピハロヒドリン系ゴムの加硫剤としては、例えばゴム中の不飽和結合を利用する硫黄系加硫剤、パーオキサイド系加硫剤や、ゴム中のハロゲン基の反応性を利用するポリアミン類、チアジアゾール類、チオウレア類、メルカプトトリアジン類、キノキサリン類などが知られている。
【0004】
また、エピハロヒドリン系ゴムが、2,3−ジメルカプトピラジン若しくは2,3−ジメルカプトキノキサリンまたはその誘導体によって、受酸剤となる金属化合物あるいはハイドロタルサイト類の存在下に有効に加硫されうることは既に本出願人により提案されている(特開昭59−227947号、 特開平7−157566号公報参照)。
【0005】
これら2,3−ジメルカプトピラジン若しくは2,3−ジメルカプトキノキサリンまたはその誘導体を用いてエピハロヒドリン系ゴムを加硫する場合には、通常、遅延剤としてN−シクロヘキシルチオフタルイミド等が使用されている。これらゴム組成物の貯蔵安定性は、短期保存では問題ないものの、長期保存においては、更なる貯蔵安定性の改良が望まれていた。
【0006】
一方、エピハロヒドリン系の老化防止剤としては、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(NBC)等のニッケル塩が優れた耐熱・耐オゾン老化防止剤として幅広く使用されている。
【0007】
近年、自動車産業においては鉛、カドミウムなど環境負荷物質の低減、全廃などの自主規制や法規制が行われている。また、重金属低減の観点からニッケル化合物の低減などの動きもある。欧州においては、ニッケル化合物に対するアレルギー問題も議論され、ゴム配合中に含まれるニッケル化合物についてもその低減や全廃が望まれている。
【0008】
ところが、2,3−ジメルカプトピラジン若しくは2,3−ジメルカプトキノキサリンまたはその誘導体を用いてエピハロヒドリン系ゴムを加硫する場合に、老化防止剤として使用されるジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のニッケル塩を除くあるいは低減すると、エピハロヒドリン系ゴム配合物の加硫が速くなり、かつ保存中に加硫が進行して粘度が上昇するなど貯蔵安定性に問題を生じることがわかった。
【0009】
【発明が開発しようとする課題】
本発明は、上記実状に鑑み、ことを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、種々研究を重ねた結果、エピハロヒドリン系ゴムに特定の有機亜鉛化合物を配合することにより、上述の目的を達成しうることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明による加硫用ゴム組成物は、
ニッケル塩を含まない加硫用ゴム組成物において、
(a)エピハロヒドリン系ゴム、
(b)2−メルカプトベンズイミダゾール、ジチオカルバミン酸類、キサントゲン酸類およびチオフェノール類の亜鉛塩からなる群より選択される少なくとも一種の有機亜鉛化合物、
(c)金属化合物および無機マイクロポーラス・クリスタルからなる群より選択される少なくとも一種の受酸剤、および
(d)2,3−ジメルカプトピラジン類、2,3−ジメルカプトキノキサリン類およびこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の加硫剤を含有するものである。
【0012】
【発明の実施形態】
本発明組成物において、エピハロヒドリン系ゴム(a)とは、エピハロヒドリン単独重合体またはエピハロヒドリンと共重合可能な他のエポキシド、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アリルグリシジルエーテル等との共重合体をいう。これらを例示すれば、エピクロルヒドリン単独重合体、エピブロムヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピブロムヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド共重合体、エピブロムヒドリン−プロピレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体、エピブロムヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル四元共重合体、エピブロムヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル四元共重合体等を挙げることができる。好ましくはエピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体であり、さらに好ましくはエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体である。
【0013】
これらは単独で用いても二種以上を併用してもよい。また上記共重合体においては、実用的な加硫速度を確保する見地からエピハロヒドリン成分が少なくとも10モル%含まれていることが好ましい。
【0014】
これら単独重合体または共重合体の分子量は、通常ムーニー粘度表示でML1+4 (100 ℃)=30〜150である。
【0015】
本発明でいう有機亜鉛化合物(b)は、2−メルカプトベンズイミダゾール、ジチオカルバミン酸類、キサントゲン酸類あるいはチオフェノール類の亜鉛塩である。
る。
【0016】
これら有機亜鉛化合物の例としては、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジアミルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、2−ベンズアミドチオフェノールの亜鉛塩などが挙げられる。これらは単独で用いても複数種を併用しても良い。
【0017】
本発明で用いられる有機亜鉛化合物の量は、エピハロヒドリン系ゴム100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部、より好ましくは0.2〜3重量部である。この範囲未満の添加量ではスコーチ防止および貯蔵安定性の改良効果が少なく、一方この範囲を越えると、加流物の強度特性が低下する恐れがある。
【0018】
本発明で用いられる、受酸剤(c)のうち金属化合物としては、周期律表第II族(2族および12族)金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期律表第IV 族(4族および14族)金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩、三塩基性硫酸塩等の金属化合物が挙げられる。
【0019】
受酸剤の具体的な例としては、マグネシア、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、生石灰、消石灰、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、亜鉛華、酸化錫、リサージ、鉛丹、鉛白、二塩基性フタル酸鉛、二塩基性炭酸鉛、ステアリン酸錫、塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜リン酸錫、塩基性亜硫酸鉛、三塩基性硫酸鉛等を挙げることができる。
【0020】
好ましい受酸剤として、無機マイクロポーラス・クリスタルが挙げられる。無機マイクロポーラス・クリスタルとは、結晶性の多孔体を言い、無定型の多孔体、例えばシリカゲル、アルミナ等とは明瞭に区別できるものである。このような無機マイクロポーラス・クリスタルの例としては、ゼオライト類、アルミノホスフェート型モレキュラーシーブ、層状ケイ酸塩、合成ハイドロタルサイト、チタン酸アルカリ金属塩等が挙げられる。特に好ましい受酸剤としては、合成ハイドロタルサイトが挙げられる。
【0021】
合成ハイドロタルサイトは下記一般式(4)
【化1】
Figure 0003994757
【0022】
[式中、xとy は0〜10の実数、但しx+yは1〜10、zは1〜5の実数、wは0〜10の実数をそれぞれ示す]
で表わされる。一般式(4)で表されるハイドロタルサイト類の例として、
Mg4.5 Al (OH)13CO ・3.5H
Mg4.5 Al (OH)13CO
Mg Al (OH)12CO ・3.5H
Mg Al (OH)16CO ・4H
Mg Al (OH)14CO ・4H
Mg Al (OH)10CO ・1.7H
Mg ZnAl2 (OH)12CO ・wH
Mg ZnAl2 (OH)12CO
等を挙げることができる。
【0023】
ゼオライト類は、天然ゼオライトの外、A型、X型、Y型の合成ゼオライト、ソーダライト類、天然ないしは合成モルデナイト、ZSM−5などの各種ゼオライトおよびこれらの金属置換体であり、これらは単独で用いても2種以上の組み合わせで用いても良い。また金属置換体の金属はナトリウムであることが多い。ゼオライト類としては酸受容能が大きいものが好ましく、A型ゼオライトが特に好ましい。
【0024】
受酸剤の配合量は、エピハロヒドリン系ゴム100重量部に対して0.2〜50重量部、例えば0.5〜50重量部、特に1〜20重量部である。この範囲未満の配合量では加硫が不十分となり、一方この範囲を超えると加硫物が剛直になりすぎてエピハロヒドリン系ゴム加硫物として通常期待される物性が得られなくなる。
【0025】
本発明で用いられる加硫剤(d)は、下記一般式( II) で示される2,3−ジメルカプトピラジン類(すなわち、環に置換基を有していてもよい2,3−ジメルカプトピラジン)、2,3−ジメルカプトキノキサリン類(すなわち、環に置換基を有していてもよい2,3−ジメルカプトキノキサリン)およびこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも一種である。
【0026】
【化2】
Figure 0003994757
【0027】
上記一般式(I)において、R とR は同一でも異なっていてもよく、水素原子もしくは炭素数好ましくは1〜8のアルキル基を表す。R1 とR2 は互いに結合して、置換基を有することもあるベンゼン環を形成していてもよい。該置換基はハロゲン、ニトロ基、カルボキシル基、低級アルキル基および低級アルコキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つであってよい。R とR は同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルカリ金属、
【化3】
Figure 0003994757
【0028】
を表す。R とR は互いに結合してカルボニル基(>C=O)を形成していてもよい。R とR は同一でも異なっていてもよく、水素原子またはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基よりなる群から選ばれる炭素数好ましくは1〜12の基を表す。R とR が互いに結合して環を形成していてもよい。またR はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基およびアラルキル基よりなる群から選ばれる炭素数好ましくは1〜18の基か、または
【化4】
Figure 0003994757
【0029】
を表し、R はアルキレン基およびアルケニレン基からなる群より選ばれる炭素数好ましくは1〜8の基、またはシクロアルキレン基およびアリーレン基からなる群より選ばれる炭素数好ましくは6〜12の基を表す。
2,3−ジメルカプトピラジン類および2,3−ジメルカプトキノキサリン類の誘導体としては、ジエステル類が好ましく、特にカーボネート(炭酸エステル)が好ましい。
【0030】
一般式(II )で示される化合物の具体例としては、2,3−ジメルカプトピラジン、ピラジン- 2,3−ジチオカーボネート、5−メチル−2,3−ジメルカプトピラジン、5−エチルピラジン−2,3−ジチオカーボネート、5,6−ジメチル−2,3−ジメルカプトピラジン、5,6−ジメチルピラジン−2,3−ジチオカーボネート、N−メチル−3−(2−メルカプトピラジル)スルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−3−(5−エチル−2−メルカプトピラジル)スルフェンアミド、5−イソプロピル−2−メルカプトピラジル−3−チオールベンゾエート、5,6−ジメチル−2−メルカプトピラジル−3−チオールセバケート、2,3−ジメルカプトキノキサリン、キノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、6−エチル−2,3−ジメルカプトキノキサリン、6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、6,7−ジ(n−ブチル)−2,3−ジメルカプトキノキサリン、N,N−ジシクロヘキシル−3(2−メルカプトキノキサリル)スルフェンアミド、N−(n−ブチル)−3−(6−メチル−2−2−メルカプトキノキサリル)スルフェンアミド、6−イソプロピル−2−メルカプトキノキサリル−3−チオールアセテート、5,8−ジメチル−2−メルカプトキノキサリル−3−チオールベンゾエート、6−イソブチル−2−メルカプトキノキサリル−3−チオールセバケート、6−ブロモ−2,3−ジメルカプトキノキサリン、6−メトキシキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、6−ニトロ−2,3−ジメルカプトキノキサリン、6−カルボキシキノキサリン−2,3−ジチオカーボネートなどが挙げられる。
【0031】
加硫剤の配合量は、エピハロヒドリン系ゴム100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜5重量部である。この範囲未満の配合量では加硫が不十分となり、一方この範囲を超えると加硫物が剛直になりすぎてエピハロヒドリン系ゴム加硫物として通常期待される物性が得られなくなる。
加硫剤は一種を単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いても良い。
【0032】
また、これらの加硫剤と共に公知の促進剤(すなわち加硫促進剤)および遅延剤を用いることができる。加硫促進剤の例としては、硫黄、チウラムスルフィド類、モルホリンスルフィド類、アミン類、アミンの弱酸塩類、塩基性シリカ、四級アンモニウム塩類、四級ホスホニウム塩類、多官能ビニル化合物、メルカプトベンゾチアゾール類、スルフェンアミド類、ジチオカーバメート類等を挙げることができる。遅延剤の例としてはN- シクロヘキサンチオフタルイミド類等を挙げることができる。特に好ましい促進剤は1, 8−ジアザビシクロ(5, 4, 0)ウンデセン−7(以下DBUと略)塩、1, 5−ジアザビシクロ(4, 3, 0)ノネン−5(以下DBNと略)塩およびホワイトカーボンである。DBU塩は、DBU−炭酸塩、DBU−ステアリン酸塩、DBU−2−エチルヘキシル酸塩、DBU−安息香酸塩、DBU−サリチル酸塩、DBU−3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸塩、DBU−フェノール樹脂塩、DBU−2−メルカプトベンゾチアゾール塩、DBU−2−メルカプトベンズイミダゾール塩等であり、DBN塩は、DBN−炭酸塩、DBN−ステアリン酸塩、DBN−2−エチルヘキシル酸塩、DBN−安息香酸塩、DBN−サリチル酸塩、DBN−3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸塩、DBN−フェノール樹脂塩、DBN−2−メルカプトベンゾチアゾール塩、DBN−2−メルカプトベンズイミダゾール塩等である。
【0033】
DBU塩および/またはDBN塩の配合量は、エピハロヒドリン系ゴム100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜3重量部である。 この範囲未満の添加量では、優れた加硫速度を得ることが困難となり、一方この範囲を越えるとエピハロヒドリン系ゴムのスコーチが速くなり加工性等に問題をきたす恐れがある。
【0034】
加硫促進剤として必要に応じて使用されるホワイトカーボンの例としては、市販の無水ケイ酸、含水ケイ酸、含水ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。特に速やかな加硫速度を得るためには、塩基性ホワイトカーボンの使用が好ましい。
【0035】
ホワイトカーボンの配合量は、エピハロヒドリン系ゴム100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは5〜30重量部である。 この範囲未満の添加量では、優れた加硫速度を得ることが困難となり、一方この範囲を越えるとエピハロヒドリン系ゴムのスコーチが速くなり加工性等に問題をきたしたり、圧縮永久歪性の低下を招く恐れがある。
【0036】
本発明の組成物および加硫物には、本発明の効果を損なわない限り、上記以外の配合剤、例えば、滑剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填剤、補強剤、可塑剤、加工助剤、難燃剤、発泡助剤、導電剤、帯電防止剤等を任意に配合できる。さらに本発明の特性が失われない範囲で、当該技術分野で通常行われている、ゴム、樹脂等のブレンドを行うことも可能である。
【0037】
ただし、本発明の組成物および加硫物は、ニッケル化合物および鉛化合物を使用せずに構成することもできる。
【0038】
特に、老化防止剤としてジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のニッケル化合物を使用しない場合は、2−メルカプトベンズイミダゾールや、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体等の老化防止剤が好適に用いられる。
【0039】
本発明による加硫用ゴム組成物を製造するには、従来ポリマー加工の分野において用いられている任意の手段、例えばミキシングロール、バンバリーミキサー、各種ニーダー類等を用いることができる。本発明の加硫ゴム材料は、本発明の加硫用ゴム組成物を通常100〜200℃に加熱することで得られる。加硫時間は温度により異なるが、通常0.5〜300分の間である。加硫成型の方法としては、金型による圧縮成型、射出成型、スチーム缶、エアーバス、赤外線或いはマイクロウェーブによる加熱等任意の方法を用いることができる。
【0040】
本発明はまた、前記エピハロヒドリン系ゴム加硫用ゴム組成物からなる層と、未加硫フッ素ゴムまたはフッ素樹脂からなる層とが加硫接着されてなる加硫ゴム積層体を提供することも可能である。
【0041】
本発明の加硫物は、通常エピハロヒドリン系ゴムが使用される分野に広く応用することができる。例えば、自動車用途などの各種燃料系・エアー系積層ホース、チューブ、ベルト、ダイヤフラム、シール類等のゴム材料や、OA機器用の半導電性ロール、ベルト、ドラム等のゴム材料、その他 一般産業用機器、装置等のゴム材料として有用である。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例、比較例により具体的に説明する。但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0043】
[実施例]
実施例1〜13、比較例1〜3
下記表1、表3および表5に示す各材料をニーダーおよびオープンロールで混練し、未加硫ゴムシートを作製した。得られた未加硫ゴムシートを170℃で15分プレス加硫し、2mm厚の一次加硫物を得た。さらにこれをエア・オーブンで150℃で2時間加熱し、二次加硫物を得た。得られた二次加硫物を用い、引張試験(常態物性)および耐熱性の評価を行った。各評価試験は順にJIS K 6251およびJIS K 6257に記載の方法に準じて行った。
【0044】
圧縮永久歪試験は次のように行った。得られた上記未加硫ゴムシートを試験片作製用金型を用いて直径約29mm、高さ約12.5mmの円柱状試験片を得た。さらにこれをエア・オーブンで150℃で2時間加熱することにより二次加硫物を得た。同二次加硫物を用い、JIS K 6262記載の方法に準じて試験を行った。
【0045】
各試験方法より得られた実施例および比較例の試験結果を表2、表4および表6に示す。各表中、Vmは最低粘度、tはJIS K6300のムーニースコーチ試験に定めるムーニースコーチ時間を表す。初期および3湿熱保存後(35℃×75%相対湿度)においてVmおよびt5を測定することにより、未加硫ゴム組成物の初期安定性および貯蔵安定性について評価を行った。M100はJIS K6251の引張試験試験に定める100%伸び時の引張応力、M300はJIS K6251の引張試験に定める300%伸び時の引張応力、TはJIS K6251の引張試験試験に定める引張強さ、EはJIS K6251の引張試験試験に定める伸び、HはJIS K6253の硬さ試験に定める硬さをそれぞれ意味する。
【0047】
表3および表4の結果から、実施例11は老化防止剤としてジブチルジチオカルバミン酸ニッケルを配合しない配合例であるが、比較例1に比べて初期のスコーチタイム(t5)および貯蔵安定性が改良されていることがわかる。
表5は加硫促進剤として塩基性ホワイトカーボンを用いた配合例を示すものであるが、表6から実施例1,1では老化防止剤としてジブチルジチオカルバミン酸ニッケルも亜鉛塩も配合しない比較例3に比べて、初期のスコーチタイム(t5)および貯蔵安定性が改良されていることがわかる。
【0048】
表5は加硫促進剤として塩基性ホワイトカーボンを用いた配合例を示すものであるが、表6から実施例17,18では老化防止剤としてジブチルジチオカルバミン酸ニッケルも亜鉛塩も配合しない比較例3に比べて、初期のスコーチタイム(t5)および貯蔵安定性が改良されていることがわかる。
【0049】
【表1】
Figure 0003994757
【0050】
【表2】
Figure 0003994757
【0051】
【表3】
Figure 0003994757
【0052】
【表4】
Figure 0003994757
【0053】
【表5】
Figure 0003994757
【0054】
【表6】
Figure 0003994757

Claims (9)

  1. ニッケル塩を含まない加硫用ゴム組成物において、
    (a)エピハロヒドリン系ゴム、
    (b)2−メルカプトベンズイミダゾール、ジチオカルバミン酸類、キサントゲン酸類およびチオフェノール類の亜鉛塩からなる群より選択される少なくとも一種の有機亜鉛化合物、
    (c)金属化合物および無機マイクロポーラス・クリスタルからなる群より選択される少なくとも一種の受酸剤、および
    (d)2,3−ジメルカプトピラジン類、2,3−ジメルカプトキノキサリン類およびこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の加硫剤を含有することを特徴とする加硫用ゴム組成物。
  2. 有機亜鉛化合物が2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩であることを特徴とする請求項1に記載の加硫用ゴム組成物。
  3. 有機亜鉛化合物がジチオカルバミン酸類の亜鉛塩であることを特徴とする請求項1に記載の加硫用ゴム組成物。
  4. 加硫剤が2,3−ジメルカプトピラジン類のカーボネート化合物もしくは2,3−ジメルカプトキノキサリン類のカーボネート化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれカルに記載の加硫用ゴム組成物。
  5. 加硫剤が6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネートであることを特徴とする請求項4に記載の加硫用ゴム組成物。
  6. 加硫剤がピラジン-2,3−ジチオカーボネートであることを特徴とする請求項4に記載の加硫用ゴム組成物。
  7. 受酸剤が合成ハイドロタルサイトであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の加硫用ゴム組成物。
  8. さらに、(e)加硫促進剤として、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7の塩、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5の塩、およびホワイトカーボンからなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の加硫用ゴム組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の加硫用ゴム組成物を加硫してなる加硫ゴム材料。
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