JP2007031623A - 金属接触部材用ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐燃料油性、耐油性及び耐熱老化性に優れ、特に長期間の使用においても金属表面への固着現象を起こさない金属接触部材用ゴム組成物を提供する
【解決手段】 エピハロヒドリンゴム100重量部、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)0.5〜4重量部及びジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)0.5〜2重量部を含有してなる金属接触部材用ゴム組成物。エピハロヒドリンゴム100重量部、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)0.5〜4重量部、ジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)0.5〜2重量部及び加硫剤0.1〜5重量部を含有してなる金属接触部材用加硫性ゴム組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】 エピハロヒドリンゴム100重量部、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)0.5〜4重量部及びジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)0.5〜2重量部を含有してなる金属接触部材用ゴム組成物。エピハロヒドリンゴム100重量部、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)0.5〜4重量部、ジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)0.5〜2重量部及び加硫剤0.1〜5重量部を含有してなる金属接触部材用加硫性ゴム組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、金属接触部材用ゴム組成物に関する。更に詳しくは、耐燃料油性、耐油性及び耐熱老化性に優れ、特に長期間の使用においても金属表面への固着現象を起こさない金属接触部材用ゴム組成物に関する。
自動車の燃料油及び潤滑油等用に使用されるホースやガスケットにおいては、ゴム部材は金属と接触した状態で、且つ、長時間、高温に曝された状態で使用される。この場合、金属表面にゴムが固着する現象が起きることがある。このようなゴムの固着現象については、その防止方法について、種々の研究がなされており、不飽和カルボン酸エステル系ゴム組成物については、ハイドロタルサイトを配合すると剥離強度が低く、特に長期間に亘り金属表面へのゴムの固着がほとんどないものが得られることが報告されている(特許文献1)。
しかしながら、本発明者らが検討したところ、エピクロルヒドリン重合ゴム(CO)、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム(ECO)、エピクロルヒドリン−エチレンオキシドアリルグリシジルエーテル共重合ゴム(GECO)等を主成分とするゴム組成物においてハイドロタルサイトを使用した場合、加硫速度の低下、圧縮永久歪の悪化等が生じることが明らかになった。
しかしながら、本発明者らが検討したところ、エピクロルヒドリン重合ゴム(CO)、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム(ECO)、エピクロルヒドリン−エチレンオキシドアリルグリシジルエーテル共重合ゴム(GECO)等を主成分とするゴム組成物においてハイドロタルサイトを使用した場合、加硫速度の低下、圧縮永久歪の悪化等が生じることが明らかになった。
従って、本発明の目的は、耐燃料油性、耐油性及び耐熱老化性に優れ、特に長期間の使用においても金属表面への固着現象を起こさない金属接触部材用ゴム組成物を提供することにある。
本発明者らは、金属接触部材用ゴム組成物の組成について鋭意検討を進めた結果、エピハロヒドリンゴムに特定の老化防止剤を特定量配合すれば、長期間に亘り金属表面へのゴムの固着がほとんどないという予期せぬ効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、エピハロヒドリンゴム100重量部、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)0.5〜4重量部及びジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)0.5〜2重量部を含有してなる金属接触部材用ゴム組成物が提供される。
本発明の金属接触部材用ゴム組成物において、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)とジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)との重量比〔(a)/(b)〕が0.5〜4であることが好ましい。
また、本発明によれば、エピハロヒドリンゴム100重量部、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)0.5〜4重量部、ジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)0.5〜2重量部及び加硫剤0.1〜5重量部を含有してなる金属接触部材用ゴム組成物が提供される。
更に、本発明によれば、上記金属接触部材用ゴム組成物を加硫してなるゴム加硫物が提供される。
本発明の金属接触部材用ゴム組成物において、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)とジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)との重量比〔(a)/(b)〕が0.5〜4であることが好ましい。
また、本発明によれば、エピハロヒドリンゴム100重量部、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)0.5〜4重量部、ジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)0.5〜2重量部及び加硫剤0.1〜5重量部を含有してなる金属接触部材用ゴム組成物が提供される。
更に、本発明によれば、上記金属接触部材用ゴム組成物を加硫してなるゴム加硫物が提供される。
本発明によれば、耐燃料油性、耐油性及び耐熱性に優れ、特に長期間の使用においても金属表面への固着現象を起こさない金属接触部材用ゴム組成物が得られる。このゴム組成物は、例えば、燃料系ホース、潤滑油系ホース等のホースの製造に好適に使用される。
本発明の金属接触部材用ゴム組成物は、エピハロヒドリンゴム100重量部、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)0.5〜4重量部及びジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)0.5〜2重量部を含有してなる。
エピハロヒドリンゴムは、エピハロヒドリンをその一成分とするゴムである。具体的には、エピハロヒドリンの単独重合体もしくは共重合体又はエピハロヒドリンとこれと共重合可能な単量体との共重合体である。
エピハロヒドリンゴムにおけるエピハロヒドリン単量体単位の割合は、特に限定されないが、ゴム加硫物の耐熱老化性及び耐燃料油性を向上させる観点から、好ましくは40〜90モル%、より好ましくは50〜70モル%である。
エピハロヒドリンゴムは、エピハロヒドリンをその一成分とするゴムである。具体的には、エピハロヒドリンの単独重合体もしくは共重合体又はエピハロヒドリンとこれと共重合可能な単量体との共重合体である。
エピハロヒドリンゴムにおけるエピハロヒドリン単量体単位の割合は、特に限定されないが、ゴム加硫物の耐熱老化性及び耐燃料油性を向上させる観点から、好ましくは40〜90モル%、より好ましくは50〜70モル%である。
エピハロヒドリンは、特に限定されず、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン等を例示することができるが、エピクロルヒドリンが好ましい。
エピハロヒドリンと共重合可能な単量体としては、アルキレンオキシド単量体及び官能基含有エポキシ化合物単量体を挙げることができる。
アルキレンオキシド単量体は、エチレンオキシド又はエチレンオキシドの水素をアルキル基、アルキレン基もしくはアリール基で置換した構造を有するエポキシ化合物である。
その具体例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシ−イソブタン、2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシエイコサン、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロドデカン、スチレンオキシド等が挙げられる。
アルキレンオキシド単量体としては、通常、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドが好適に用いられる。
エピハロヒドリンゴム中のアルキレンオキシド単量体単位の含有量は、特に限定されないが、好ましくは10〜60モル%、より好ましくは20〜48モル%である。
その具体例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシ−イソブタン、2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシエイコサン、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロドデカン、スチレンオキシド等が挙げられる。
アルキレンオキシド単量体としては、通常、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドが好適に用いられる。
エピハロヒドリンゴム中のアルキレンオキシド単量体単位の含有量は、特に限定されないが、好ましくは10〜60モル%、より好ましくは20〜48モル%である。
官能基含有エポキシ化合物単量体は、エチレンオキシド又はアルキレンオキシドの水素を官能基で置換した構造を有する化合物であって、エピハロヒドリン以外の化合物である。
官能基含有エポキシ化合物単量体の具体例としては、上記置換官能基が二重結合である不飽和エポキシド単量体、置換官能基がエーテル結合であるグリシジルエーテル単量体、置換官能基がエステル基であるグリシジルエステル単量体を挙げることができる。
エピハロヒドリンゴム中の官能基含有エポキシ化合物単量体単位の含有量は、特に限定されないが、ゴム加硫物の耐オゾン性等の向上の観点から、好ましくは0〜20モル%、より好ましくは2〜15モル%である。
官能基含有エポキシ化合物単量体の具体例としては、上記置換官能基が二重結合である不飽和エポキシド単量体、置換官能基がエーテル結合であるグリシジルエーテル単量体、置換官能基がエステル基であるグリシジルエステル単量体を挙げることができる。
エピハロヒドリンゴム中の官能基含有エポキシ化合物単量体単位の含有量は、特に限定されないが、ゴム加硫物の耐オゾン性等の向上の観点から、好ましくは0〜20モル%、より好ましくは2〜15モル%である。
不飽和エポキシド単量体の具体例としては、ブタジエンモノエポキシド、クロロプレンモノエポキシド、4,5−エポキシ−2−ペンテン、エポキシ−1−ビニルシクロヘキセン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン等が挙げられる。
グリシジルエーテル単量体の具体例としては、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキサングリシジルエーテル、o−アリルフェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
これらの中でも、α,β−エチレン性不飽和化合物のグリシジルエーテル類が好ましく、反応性が良好であり、入手が容易であることから、アリルグリシジルエーテルがより好ましい。
グリシジルエーテル単量体の具体例としては、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキサングリシジルエーテル、o−アリルフェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
これらの中でも、α,β−エチレン性不飽和化合物のグリシジルエーテル類が好ましく、反応性が良好であり、入手が容易であることから、アリルグリシジルエーテルがより好ましい。
グリシジルエステル単量体の具体例としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジル−4−ヘプテネート、グリシジルソルベート、グリシジルリノレート、3−シクロヘキセンカルボン酸グリシジルエステル、4−メチル−3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステル等が挙げられる。
本発明において使用するエピハロヒドリンゴムのムーニー粘度ML1+4(100℃)は、10〜130であることが好ましい。ゴム加硫物の良好な加工性を確保する観点から、より好ましくは50〜100、更に好ましくは60〜80である。ムーニー粘度は、JIS K6300に従って測定することができる。
本発明において使用するエピハロヒドリンゴムの製造方法は、特に限定されず、公知の重合方法に従って所定の単量体を共重合して製造すればよい。また、ムーニー粘度は単量体の配合を適宜調整する等の公知の手法により所望の値とすることができる。
なお、本発明の金属接触部材用ゴム組成物は、本発明の効果の発現を阻害しない範囲において、エピハロヒドリンゴム以外のゴム、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム等の不飽和型ゴム;ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−アクリルゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、水素化ニトリルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム等の高飽和型ゴムを含有してもよい。
本発明の金属接触部材用ゴム組成物に用いる2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)は、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンのオリゴマーの混合物である。その重合の程度は、平均重合度で2〜4程度である。
本発明の金属接触部材用ゴム組成物において、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)の量は、エピハロヒドリンゴム100重量部に対して、0.5〜4重量部の範囲内にあることが必要であり、1〜3重量部の範囲内にあることが好ましい。2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)の量が前記下限未満では、耐金属固着性が劣るという問題があり、前記上限を超えると、耐熱老化性が低下するという問題が生じる。
本発明の金属接触部材用ゴム組成物において、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)の量は、エピハロヒドリンゴム100重量部に対して、0.5〜4重量部の範囲内にあることが必要であり、1〜3重量部の範囲内にあることが好ましい。2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)の量が前記下限未満では、耐金属固着性が劣るという問題があり、前記上限を超えると、耐熱老化性が低下するという問題が生じる。
本発明の金属接触部材用ゴム組成物に用いるジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)は、ジアルキルジチオカルバミン酸の塩である。
ジアルキルジチオカルバミン酸のアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、1〜8が好ましい。ジアルキルジチオカルバミン酸の具体例としては、ジメチルジチオカルバミン酸、ジエチルジチオカルバミン酸、ジプロピルジチオカルバミン酸、ジブチルジチオカルバミン酸、エチルプロピルジチオカルバミン酸、メチルブチルジチオカルバミン酸、エチルブチルジチオカルバミン酸、メチルヘキシルジチオカルバミン酸等を挙げることができる。
ジアルキルジチオカルバミン酸の塩を構成する金属も特に限定されない。ジアルキルジチオカルバミン酸の塩の具体例としては、上記ジアルキルジチオカルバミン酸の亜鉛塩、ニッケル塩、銅塩、鉄塩、ナトリウム塩等を挙げることができる。
これらのジアルキルジチオカルバミン酸塩(b)のうち、好ましいものとしては、亜鉛塩及びニッケル塩を挙げることができ、中でも、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等が好ましい。
ジアルキルジチオカルバミン酸のアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、1〜8が好ましい。ジアルキルジチオカルバミン酸の具体例としては、ジメチルジチオカルバミン酸、ジエチルジチオカルバミン酸、ジプロピルジチオカルバミン酸、ジブチルジチオカルバミン酸、エチルプロピルジチオカルバミン酸、メチルブチルジチオカルバミン酸、エチルブチルジチオカルバミン酸、メチルヘキシルジチオカルバミン酸等を挙げることができる。
ジアルキルジチオカルバミン酸の塩を構成する金属も特に限定されない。ジアルキルジチオカルバミン酸の塩の具体例としては、上記ジアルキルジチオカルバミン酸の亜鉛塩、ニッケル塩、銅塩、鉄塩、ナトリウム塩等を挙げることができる。
これらのジアルキルジチオカルバミン酸塩(b)のうち、好ましいものとしては、亜鉛塩及びニッケル塩を挙げることができ、中でも、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等が好ましい。
本発明の金属接触部材用ゴム組成物において、ジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)の量は、エピハロヒドリンゴム100重量部に対して、0.5〜2重量部の範囲内にあることが必要であり、0.7〜1.5重量部の範囲内にあることが好ましい。ジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)の量が前記下限未満では、耐熱老化性及び耐金属固着性が劣るという問題があり、前記上限を超えると、ジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)のゴム組成物成形品表面へのブリードが生じるという問題が生じる。
本発明において、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)とジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)との重量比〔(a)/(b)〕が0.5〜4であることが好ましく、0.5〜3であることがより好ましく、1.5〜2.5であることが特に好ましい。
この比が上記範囲内にあるとき、加硫物の耐熱老化性及び耐金属固着性が優れたものになる。
この比が上記範囲内にあるとき、加硫物の耐熱老化性及び耐金属固着性が優れたものになる。
また、本発明の金属接触部材用ゴム組成物には、エピハロヒドリンゴム、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)及びジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)以外に、ゴム工業分野において通常使用される配合剤、例えば、カーボンブラックやシリカ等の補強性充填剤;炭酸カルシウムやクレイ等の非補強性充填剤;ソルビタンモノステアレート等の加工助剤;ジ−(ブトキシ−エトキシエチル)アジペート等の可塑剤;酸化マグネシウム等の受酸剤;前記(a)成分及び(b)成分以外の老化防止剤;着色剤等が含まれていてもよい。これらの成分の含有量は、加工条件や、ゴム組成物に要求される種々の性能を満足させるよう適宜選定すればよい。
本発明の金属接触部材用ゴム組成物の調製方法は、特に限定されないが、例えば、エピハロヒドリンゴム、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)、ジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)、及び任意のその他の成分を、オープンロール、バンバリーミキサー、インターナルミキサー等の混練機を用いて混合する方法を挙げることができる。混合温度は、例えば、40〜70℃程度が好適である。
本発明の金属接触部材用ゴム組成物は、加硫剤を含有させることにより、金属接触部材用加硫性ゴム組成物とすることができる。
加硫剤の量は、エピハロヒドリンゴム100重量部に対して、好ましくは0.1〜5重量部、更に好ましくは0.2〜3重量部である。加硫剤の量が上記範囲内にあるとき、適度な加硫速度や加硫密度を得ることができる。
なお、本明細書において、加硫とは、ゴム業界における通常の意味で用いられ、硫黄による架橋のみに限定されるものではない。
加硫剤の量は、エピハロヒドリンゴム100重量部に対して、好ましくは0.1〜5重量部、更に好ましくは0.2〜3重量部である。加硫剤の量が上記範囲内にあるとき、適度な加硫速度や加硫密度を得ることができる。
なお、本明細書において、加硫とは、ゴム業界における通常の意味で用いられ、硫黄による架橋のみに限定されるものではない。
本発明で使用しうる加硫剤に特に限定はなく、エピハロヒドリンゴムの加硫剤として通常使用される化合物を使用することができる。その具体例としては、チオウレア化合物、トリアジン化合物、キノキサリン化合物、多価アミン化合物が挙げられる。中でも、架橋特性を向上させる観点から、チオウレア化合物及びトリアジン化合物が好ましい。
チオウレア化合物は、チオウレアのアルキル誘導体又はアルキレン誘導体であり、その具体例としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア、ジブチルチオウレア、ジラウリルチオウレア、トリメチルチオウレア、ジフェニルチオウレアが挙げられ、これらのうち、エチレンチオウレアが好ましい。
トリアジン化合物は、トリアジンの少なくとも2つの水素がメルカプト基で置換された化合物である。トリアジン化合物は、炭素数1〜10の、アルキル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基等の置換基を有していてもよい。トリアジン化合物の具体例としては、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−エチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−ジエチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられ、これらのうち、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジンが好ましい。
キノキサリン化合物は、キノキサリンのジメルカプト誘導体又はジチオカーボネート誘導体である。キノキサリン化合物は、炭素数1〜4の置換基を有していてもよい。キノキサリン化合物の具体例としては、2,3−ジメルカプトキノキサリン、キノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、6−イソプロピルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、5,8−ジメチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート等が挙げられる。
多価アミン化合物は、好ましくは炭素数2〜20の多価アミン及びその誘導体である。多価アミン化合物の具体例としては、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)カーバメイト等が挙げられる。
また、本発明の金属接触部材用加硫性ゴム組成物には、受酸剤、加硫遅延剤、加硫促進剤等が含まれていてもよい。これらの成分は、公知のものから選定すればよく、また、その含有量は、ゴム加硫物の用途、加硫剤の種類等に応じて適宜選定すればよい。
金属接触部材用加硫性ゴム組成物の調製方法は、特に限定されないが、加硫剤及び加硫促進剤の効果を有効に発揮させるために、これらには熱を加えることなく、エピハロヒドリンゴムと配合することが好ましい。このため、例えば、エピハロヒドリンゴム、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)及びジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)を必須成分として含有する組成物に、加硫剤及び加硫促進剤を加えて、ロール等を用いて加硫開始温度より低温で混練することが好ましい。なお、熱で活性化しない加硫促進剤は、他の配合物等と共に加熱して混練しておいたものを使用することができる。
金属接触部材用加硫性ゴム組成物を加硫することにより、耐熱老化性及び耐金属固着性に優れたゴム加硫物とすることができる。
加硫性ゴム組成物を加硫する方法は、特に限定されず、成形した後で加熱して加硫しても、成形と加硫とを同時に行ってもよい。また、適宜、二次加硫を行ってもよい。
加硫性ゴム組成物を加硫する方法は、特に限定されず、成形した後で加熱して加硫しても、成形と加硫とを同時に行ってもよい。また、適宜、二次加硫を行ってもよい。
加硫時の温度は、特に限定はないが、下限は、好ましくは130℃、より好ましくは140℃であり、上限は、好ましくは250℃である。加硫温度が上記範囲内にあれば架橋時間と架橋密度とが適度であり、ゴム加硫物の成形を良好に行うことができる。加硫時間は、好ましくは1分間〜5時間程度である。
加硫するための加熱方法は、特に限定されず、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱等のゴムの加硫に通常用いられる方法から適宜選定すればよい。
加硫するための加熱方法は、特に限定されず、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱等のゴムの加硫に通常用いられる方法から適宜選定すればよい。
本発明のゴム加硫物は、優れた耐熱老化性及び耐金属固着性が要求される各種ゴム製品、例えば、O−リング、パッキン、ガスケット、オイルフィルターシール等の各種シール用ゴム製品;燃料系ホース、潤滑油系ホース等のホース用ゴム製品;その他ポンプや圧力計の部品で用いられるダイヤフラム;等にも好適に使用することができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、各例中の「部」及び「%」は特に断りのない限り、質量基準である。
なお、各特性は、以下の方法により評価した。
(1)ゴム加硫物の耐熱老化性
25℃において、JIS K6251に規定する引張試験に従ってゴム加硫物のシートの引張強度及び破断伸びを測定し、常態試料の測定値(常態物性)とする。次いで、150℃、200時間の条件下に前記シートを保持した後、再度、引張強度及び破断伸びを測定し、熱老化試料の測定値とする。熱老化試料についての測定値と常態試料についての測定値とを対比し、引張強度及び破断伸びのそれぞれについて、後者に対する前者の変化率(百分率)を求めた。これらの数値が0に近いほど耐熱老化性に優れている。
なお、各特性は、以下の方法により評価した。
(1)ゴム加硫物の耐熱老化性
25℃において、JIS K6251に規定する引張試験に従ってゴム加硫物のシートの引張強度及び破断伸びを測定し、常態試料の測定値(常態物性)とする。次いで、150℃、200時間の条件下に前記シートを保持した後、再度、引張強度及び破断伸びを測定し、熱老化試料の測定値とする。熱老化試料についての測定値と常態試料についての測定値とを対比し、引張強度及び破断伸びのそれぞれについて、後者に対する前者の変化率(百分率)を求めた。これらの数値が0に近いほど耐熱老化性に優れている。
(2)耐金属固着性
加硫性ゴム組成物を、熱盤プレス機を用いて160℃で30分間加硫処理し、厚さ2mmのゴム加硫物からなるシート(15mm×15mm)を作製したのち、試験片(3mm×2mm)を採取する。この試験片を、それより表面積の大きいアルミニウム板に挟み、重さ2kgの重しをアルミニウム板上に載せて、試験片とアルミニウム板とを圧着させた状態で、150℃×360時間での熱老化条件で処理する。この熱老化処理後、重りをはずし、アルミニウム板と試験片の圧着されていた場所において、アルミニウム板側にゴムの固着による汚れやゴム片の有無を調べる。汚れやゴム片が目視により確認された場合を×(耐金属固着性に劣る)、確認されなかった場合を○(耐金属固着性に優れる)と判定する。
更に、アルミニウム板に代えて、クロムメッキ板及びSUS板を用いて、それぞれ、上記と同様の試験を行う。
加硫性ゴム組成物を、熱盤プレス機を用いて160℃で30分間加硫処理し、厚さ2mmのゴム加硫物からなるシート(15mm×15mm)を作製したのち、試験片(3mm×2mm)を採取する。この試験片を、それより表面積の大きいアルミニウム板に挟み、重さ2kgの重しをアルミニウム板上に載せて、試験片とアルミニウム板とを圧着させた状態で、150℃×360時間での熱老化条件で処理する。この熱老化処理後、重りをはずし、アルミニウム板と試験片の圧着されていた場所において、アルミニウム板側にゴムの固着による汚れやゴム片の有無を調べる。汚れやゴム片が目視により確認された場合を×(耐金属固着性に劣る)、確認されなかった場合を○(耐金属固着性に優れる)と判定する。
更に、アルミニウム板に代えて、クロムメッキ板及びSUS板を用いて、それぞれ、上記と同様の試験を行う。
(ジアルキルジチオカルバミン酸塩のブリードの有無)
加硫性ゴム組成物を熱盤プレス機を用いて160℃で30分間加硫処理して得たシートの表面を目視観察する。
加硫性ゴム組成物を熱盤プレス機を用いて160℃で30分間加硫処理して得たシートの表面を目視観察する。
(実施例1)
エピクロルヒドリン共重合体ゴム(単量体組成:エピクロルヒドリン/エチレンオキシド/アリルグリシジルエーテル=56/41/3)100部、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体2部(大内新興化学工業社製、商品名「ノクラック224」)及びジブチルジチオカルバミン酸ニッケル化合物1部(大内新興化学工業社製、商品名「ノクラックNBC」)を、バンバリーミキサーを用いて混練して、金属接触部材用ゴム組成物を調製した。
エピクロルヒドリン共重合体ゴム(単量体組成:エピクロルヒドリン/エチレンオキシド/アリルグリシジルエーテル=56/41/3)100部、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体2部(大内新興化学工業社製、商品名「ノクラック224」)及びジブチルジチオカルバミン酸ニッケル化合物1部(大内新興化学工業社製、商品名「ノクラックNBC」)を、バンバリーミキサーを用いて混練して、金属接触部材用ゴム組成物を調製した。
得られた金属接触部材用ゴム組成物に、加硫剤として前記エピクロルヒドリン共重合体ゴム100部に対し0.9部の2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン(三協化成社製、商品名「ジスネットF」)と、加硫遅延剤として前記エピクロルヒドリン共重合体ゴム100部に対し1部のN−(シクロヘキシルチオ)−フタルイミド(三菱化学MKV社製、商品名「サントガードPVI」)とをオープンロールを用いて混合し、金属接触部材用加硫性ゴム組成物を調製した。
得られた金属接触部材用加硫性ゴム組成物を、熱盤プレス機を用いて160℃で30分間加硫処理し、厚さ2mmのゴム加硫物からなるシート(縦15mm×横15mm)を作製した。
得られたゴム加硫物からなるシートにつき、耐熱老化性及び耐金属固着性の評価を行った。それらの結果を表1に併せて示す。
得られたゴム加硫物からなるシートにつき、耐熱老化性及び耐金属固着性の評価を行った。それらの結果を表1に併せて示す。
(比較例1〜5)
2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)及びジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)の配合量を表1に示すように変えたほかは、実施例1と同様にして金属接触部材用ゴム組成物及び金属接触部材用加硫性ゴム組成物を調製し、その特性を評価した。それらの結果を表1に併せて示す。
2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)及びジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)の配合量を表1に示すように変えたほかは、実施例1と同様にして金属接触部材用ゴム組成物及び金属接触部材用加硫性ゴム組成物を調製し、その特性を評価した。それらの結果を表1に併せて示す。
表1に示す結果から、エピハロヒドリンゴム100重量部に対する2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)の割合が4重量部を超える場合(比較例1)は、耐熱老化性に劣る(引張強度の変化率が大きい)ことが分かる。
エピハロヒドリンゴム100重量部に対するジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)の割合が2重量部を超える場合(比較例2)は、耐熱老化性は維持されているが、プレス後のシート表面にジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物がブリードする現象がおき、外観が悪くなっている。
2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)を配合しなかった場合(比較例3)は、耐金属固着性に劣り、ジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)を配合しなかった場合(比較例4)は、耐熱老化性に劣る(引張強度の変化率が大きい)ことが分かる。
これに対して、本願発明のゴム組成物を加硫して得たゴム加硫物は耐熱老化性及び耐金属固着性においてバランス良く優れていることが分かる。
エピハロヒドリンゴム100重量部に対するジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)の割合が2重量部を超える場合(比較例2)は、耐熱老化性は維持されているが、プレス後のシート表面にジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物がブリードする現象がおき、外観が悪くなっている。
2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)を配合しなかった場合(比較例3)は、耐金属固着性に劣り、ジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)を配合しなかった場合(比較例4)は、耐熱老化性に劣る(引張強度の変化率が大きい)ことが分かる。
これに対して、本願発明のゴム組成物を加硫して得たゴム加硫物は耐熱老化性及び耐金属固着性においてバランス良く優れていることが分かる。
Claims (4)
- エピハロヒドリンゴム100重量部、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)0.5〜4重量部及びジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)0.5〜2重量部を含有してなる金属接触部材用ゴム組成物。
- 2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)とジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)との重量比〔(a)/(b)〕が0.5〜4である請求項1記載の金属接触部材用ゴム組成物。
- エピハロヒドリンゴム100重量部、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンオリゴマー(a)0.5〜4重量部、ジアルキルジチオカルバミン酸塩化合物(b)0.5〜2重量部及び加硫剤0.1〜5重量部を含有してなる金属接触部材用加硫性ゴム組成物。
- 請求項3に記載の金属接触部材用加硫性ゴム組成物を加硫してなるゴム加硫物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005219760A JP2007031623A (ja) | 2005-07-29 | 2005-07-29 | 金属接触部材用ゴム組成物 |
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JP2005219760A JP2007031623A (ja) | 2005-07-29 | 2005-07-29 | 金属接触部材用ゴム組成物 |
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JP2007031623A true JP2007031623A (ja) | 2007-02-08 |
Family
ID=37791252
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JP2005219760A Pending JP2007031623A (ja) | 2005-07-29 | 2005-07-29 | 金属接触部材用ゴム組成物 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2007031623A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008265273A (ja) * | 2007-03-27 | 2008-11-06 | Tokai Rubber Ind Ltd | 耐熱ホース |
JP2013147582A (ja) * | 2012-01-20 | 2013-08-01 | Daiso Co Ltd | 加硫用ゴム組成物及びその加硫物 |
-
2005
- 2005-07-29 JP JP2005219760A patent/JP2007031623A/ja active Pending
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