JP7373614B1 - 車両用スライドドア構造 - Google Patents
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Abstract
Description
このように配策されたケーブルに急角度で屈曲する部分が存在すると操作の際のケーブルの動きが悪化する。このため、従来の車両用スライドドア構造では、複数のクリップを用いて、ある程度弛みを持たせた状態でケーブルを固定している。
したがって、ケーブルを所望の形状となるように配策しつつ、クリップ等の位置規制部品が増大しないようにするためには、更なる改良の余地があった。
この発明は、クリップ等、位置規制部品を減少させることができる、車両用スライドドア構造を提供することを目的とする。
図1は、本発明が適用される実施形態の車両で、右側後部に位置するスライドドア1の内部の構成を外装部材が取り外されている状態で見た右側面図である。
インナパネル2は、鋼板等で形成され、モジュールパネル5は、樹脂材等で形成されている。インナパネル2の車幅方向外側(車外側)には、アウタパネル10(図3参照)が取付けられている。また、インナパネル2の車幅方向内側(車内側)には、モジュールパネル5を覆うように図示しない内装パネルが取付けられる。
取付開口部3は、インナパネル2の側面視で前後方向略中央に、車両前方かつ上方から後方かつ下方に斜め方向に延びるように開口形成されている。
また、取付開口部3の周縁部は、これらの上縁3aおよび下縁3bの各前端部間を接続する前縁3cと、上縁3aおよび下縁3bの各後端部間を接続する後縁3dと、を有している。
さらに、後縁3dは、スライドドア1の後縁部1bの形状に沿うように上下方向へ向けて延設されている。後縁3dの下端部と、下縁3bの後端部は、下側コーナ部3fで接続されている。
そして、モジュールパネル5は、取付開口部3の周縁部に取付られる際、各ねじ孔および挿通孔の位置を合わせた状態で車幅方向へそれぞれねじが挿通される。各ねじは、車幅方向反対側に位置するナットにそれぞれ螺合される。これにより取付開口部3の周縁部に車幅方向内側から当接されたモジュールパネル5の外周縁が固定される。
実施形態の上スティフナ7の下方に設けられた下スティフナ7bは、車両前後方向へ延設されるサイドバーの前端部を接続して側面視略L字状の高剛性部を形成している。
そして、スライドドア1の開閉の際、ドアハンドル6にて内側ドアハンドル6bまたは外側ドアハンドル6aが操作される。これにより、ケーブル8,9を介してドアラッチ装置7aおよびドアローラ嵌合装置におけるドア開口周縁への係合状態を係合または係合解除とすることができる。
ドア開閉装置4は、モジュールパネル5の後部5bかつ下部に配置して、モータ等のスライド機構(図示せず)を有している。そして、スライド機構は、駆動によりスライドドア1をスライドさせて車両の側面に開口形成されている開口部を開閉する。
実施形態の膨出部15は、図1に示す車両側面視で取付開口部3を構成する後縁3dの下端部と、下縁3bの後端部とが接続される下側コーナ部3f近傍に設けられている。膨出部15は、略長円形形状を呈していて車両後方に向かうに従って上方へ傾斜する仮想線L2(図2参照)に長手方向を沿わせている。さらに、図1に示す側面視で取付開口部3の周縁で外方へ膨らむ凸部に膨出部15の下部が合わせられる。
このうち、後面21は、膨出部15の車両後方側面15aの湾曲形状に沿って円弧状に形成されている。
また、各側面22は、後面21とほぼ同じ高さ寸法で(図4参照)、後面21の両端とほぼ直交して車両前方へ向けて一体となるように配置されている。そして、突出部20は、図2に示すように側面視で略C字状に形成されている。
本実施形態の合わせ部19は、取付開口部3の上縁3aおよび下縁3bの接続部分近傍に車幅方向へ所定寸法で離間形成される隙間を有している。隙間は、取付開口部3の周縁とモジュールパネル5の周縁との間に設けられて、ケーブル8,9を挿通可能としている。
このため、図1に示すようにケーブル8,9は、合わせ部19から導出されて、膨出部15の車両後方側面15aに沿うように湾曲しながら膨出部15の車両後方かつ下方を通って前方に折返される。
車両前後方向に所定寸法離間配置されたこれらの膨出部15と、他の膨出部17と、の間には、溝部18が凹状に形成される。溝部18は、アウタパネル10側が開放されていて溝部18に沿って車両上下方向へケーブル8,9が配策される。
詳しくは、図1に示すように膨出部15の車幅方向の外側面15bから突出する突出部20は、インナパネル2よりも車幅方向で外側に配置される(図4参照)。
合わせ部19の隙間から導出されたケーブル8,9は、インナパネル2の外側に配置されたドアラッチ装置7aに接続される。これにより膨出部15の車両後方側面15aに沿って前方へ折返されるケーブル8,9の一部が図4に示すようにインナパネル2の外側面から車幅方向外方へ離間していても、後面21に沿ってケーブル8,9の位置が規制される。
このため、ケーブル8,9は、インナパネル2の外方に離間する部分を有していても所望の湾曲形状の経路を通るように配策される。
窓ガラス昇降装置11は、膨出部15の車両前方かつ上方で開口部の上縁3aおよび下縁3b間の外側パネル面5aに配置されている。このため、窓ガラス昇降装置11は、開口周縁に配策されたケーブル8,9と干渉しない。
実施形態の車両用スライドドア構造は、クリップ等、位置規制部品の部品点数を減少させることができる。
詳しくは、図1に示すように、膨出部15の車両後方側面15aに沿わせて所望の湾曲形状となるように緩やかに撓ませながらケーブル8,9gを配策できる。このため、ケーブル8,9による操作性を損なうことなく、膨出部15によって車両前方方向へのケーブル8,9の移動を規制することができる。
したがって、車両用スライドドア構造では、クリップ等のケーブル位置を規制する位置規制部品の部品点数の増大を抑制して所望の経路にケーブル8,9を配策できる。
そして、クリップの数量が減少するため取付作業性が向上する。また、部品点数が減少するため製造コストを削減できる。
小型化により膨出部15を車外側に膨出させたモジュールパネル5は、ドア開閉装置4または窓ガラス昇降装置11を装着している。このためケーブル8,9を配策する空間スペースが限られる。実施形態のモジュールパネル5は小型化によりレイアウト上の制約が生じてもケーブル8,9を膨出部15の車両後方側面15aに迂回させて配策できる。
よって、クリップの個数を増やすことなく、モジュールパネル5の小型化を実現することができる。
モジュールパネル5の後部5bには、車幅方向外側に膨出する膨出部15が設けられ、膨出部15の車幅方向内側には、ドア開閉装置4が組付けられている。ケーブル8は、インナパネル2とモジュールパネル5との合わせ部19を通過して取付開口部3からモジュールパネル5の車幅方向外側に導出される。そして、ケーブル8は、膨出部15の車両後方側面15aに沿うように配策される。
詳しくは、膨出部15の車両後方側面15aに沿うようにケーブル8,9が配策される。このため、スライドドア1は、モジュールパネル5から膨出形成された膨出部15の車両後方側面15aの湾曲形状を用いてケーブル8,9を所望の経路で配策できる。
したがって、クリップ部材30の数量を減少させて取付作業性を良好なものとすることができる。また、部品点数が減少するため、製造コストを削減できるともにメンテナンス作業性を向上させることができる。
このため、ケーブル8,9の長さが配策経路に沿って一定の長さとなる。
詳しくは、ドアハンドル6に一端8a,9aを接続したケーブル8,9が取付開口部3の上縁3aに沿って車両前方かつ上方から後方かつ下方に斜め方向に配策されている。そして、ケーブル8,9は、スライドドア1の下方に位置する膨出部15の車両後方側面15aで折り返されて、再び上縁3aと平行に形成された下縁3bに沿って前部へ向けて直線状に配策される。
従って、ケーブル8,9は、既定の配策経路に沿って屈曲変形する。よってドアハンドル6からドアラッチ装置7aまで所望の一定長さで配策することができる。
詳しくは、実施形態では、ケーブル8,9が突出部20の後面21に沿って所望の湾曲形状で配策される。ケーブル8,9は、車幅方向で外側面15bの位置まで外方に撓んで配策されていても、外側面15bから突設された突出部20の後面21により移動が規制される。
さらに実施形態の突出部20の後面21は、ケーブル8,9配策側とは、反対側から側面22,22により支持されて図2に示す側面視で略C字状に形成されている。このため、単板状のリブなど側面22,22がないものと比較して後面21の倒れ方向(車両前方方向)への変形が抑制される。
このため、スライドドア1では、ケーブル8,9が車両後方側面15aの湾曲形状に沿って円弧状に配策されて急角度で屈曲することなく緩やかに撓んで湾曲する。したがって、ケーブル8,9は、クリップ等、位置規制部品の部品点数を減少させつつ、操作時の動きを円滑とすることができ、さらに操作性を向上させることができる、といった実用上有益な作用効果を発揮する。
2 インナパネル
3 取付開口部
4 ドア開閉装置
5 モジュールパネル
6 ドアハンドル(6a 外側ドアハンドル、6b 内側ドアハンドル)
7a ドアラッチ装置
8,9 ケーブル
15 膨出部
15a 車両後方側面
19 合わせ部
Claims (6)
- 車幅方向に貫通する取付開口部を有するインナパネルと、
前記取付開口部に取付けられて、ドア開閉装置が組付けられるモジュールパネルと、
前記インナパネル若しくは前記モジュールパネルの車幅方向内側で車両前方かつ上部に配置されたドアハンドルと、
前記ドアハンドルに一端を接続するケーブルと、
を備える車両用スライドドア構造であって、
前記モジュールパネルの後部には、車幅方向外側に膨出する膨出部が設けられ、
前記膨出部の車幅方向内側には、前記ドア開閉装置が組付けられ、
前記ケーブルは、前記インナパネルと前記モジュールパネルとの合わせ部を通過して前記取付開口部から前記モジュールパネルの車幅方向外側に導出されて、前記膨出部の車両後方側面に沿うように配策される、ことを特徴とする車両用スライドドア構造。 - 前記インナパネルの車幅方向外側で前記ドアハンドルの下方に取付けられたドアラッチ装置を備え、
前記ケーブルは、湾曲しながら前記膨出部の車両後方かつ下方を通って前方に折返されて、前方へ延設された他端を、前記ドアラッチ装置に接続している、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用スライドドア構造。 - 前記取付開口部は、前記インナパネルの側面視で前記車両前方かつ上方から後方かつ下方に斜め方向に延びるように開口形成されるとともに、
前記ドア開閉装置は、前記モジュールパネルの後部かつ下部に組付けられ、
前記ケーブルは、前記膨出部の車両後方かつ下方を通って前方に折返した、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用スライドドア構造。 - 前記モジュールパネルは、前記膨出部の後方に、車幅方向外側に膨出する他の膨出部を備え、
前記ケーブルは、前記膨出部と前記他の膨出部との間に形成される凹状の溝部を通って配策されている、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用スライドドア構造。 - 前記モジュールパネルは、前記膨出部の車幅方向の外側面から突出する突出部を有し、
前記ケーブルは、前記突出部の後面に沿って配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用スライドドア構造。 - 前記膨出部の車両後方側面は、車両後方に向けて凸となるように湾曲して形成されている、ことを特徴とする請求項1~3または請求項5のうちいずれか一項に記載の車両用スライドドア構造。
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