JP7336446B2 - リフィールを備えた筆記具 - Google Patents
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Description
そして、インク収容管には、成形の容易性とインク量の視認性を確保するために、透明もしくは半透明の樹脂素材、例えばポリプロピレンが用いられている。
この例に示すインク収容管によると、比較的外径が小さく肉厚のあるタイプであるために、インク収容管内に貯留されるインク量には制限がある。その結果、十分な筆記距離を得ることができないという実用上の問題点を有している。
そこで、薄肉のインク収容管を備えたリフィールを利用した筆記具においては、リフィール先端の筆記チップを摘んで軸筒内からリフィールを引き抜くに際して、軸筒側からリフィールが分離せずに、筆記チップもしくは筆記チップを支持する中継部材が、インク収容管から外れる場合が発生し得る。これにより、インク収容管内のインクが飛散するなどの不具合を招くことになる。
なお、以下に示す各図においては、同一もしくは同一の機能を果たす部分を同一符号で示しており、したがってその詳細な説明は適宜省略する。
前軸21は、その先端部が円錐形状に縮径して、先端口23が開口されており、先端口23よりリフィールの筆記チップ(ボールペンチップ)2が択一的に繰り出されるように構成されている。
また、内筒部材27の後端部は細径に形成されて、前記後軸22の後端部よりも若干突出しており、この内筒部材27の突出部分を覆うようにして、クリップ28を取付けるキャップ部材29が嵌合されて装着されている。
この結果、第1のスライダー25は前記した戻しスプリング32の作用により後退し、第2のスライダー25の後端係止部25cが、内筒部材27に形成された係止面27aに係止され、先端口23から繰り出されるボールペンチップ2の交換を行うことができる。
そして、インク収容管1は、図2に示すように軸方向に沿って直線状にして円筒状に形成されており、その前端部側および後端部側には、それぞれ内周面に向かって肉厚状になされた接続部1a,1bが、インク収容管1と一体に形成されている。
また、接続部1bは、インク収容管1とは異なる部品を形成し、インク収容管1の後端部に装着する形態も採用することができる。
これにより、筆記チップ2もしくは筆記チップを支持する中継部材3とインク収容管1との接続部分における結合が外れて、不用意にインクが漏れ出る問題を回避することができ、リフィールの交換等に際して軸筒側のスライダー25からインク収容管1を確実に引き抜くことができる。
すなわち、この例に示す第1実施例のボールペンリフィールによると、インク収容管1の前後の各端部に形成された接続部1a,1bは、内周面に向かって肉厚状に形成されているので、中継部材3もしくは筆記チップ2の取付け部分の機械的な強度を十分に確保することができる。したがって、接続部1a,1bを除いたインク収容管1については、その管厚(肉厚)を相対的に薄くすることが可能となる。これにより、インク収容管1の外径寸法を拡張することなく、必要なインク貯留量を確保することが可能となる。
なお、このボールペンリフィールにおけるインク収容管1については、後端部側に形成された接続部1bについても、次に示す範囲においてそれぞれ同様に構成されている。
D(インク収容管外径):2.5~3.6mm、好ましくは2.9~3.2mm
t(収容管の肉厚) :0.25mm以上、好ましくは0.3~0.56mm未満
a(接続部の肉厚) :0.5~0.7mm、好ましくは0.55~0.65mm
b(接続部の長さ) :1~6mm、好ましくは2.5~4.5mm
c(接続接触長) :1~6mm、好ましくは2.5~4.5mm
a×b(D-a) :1~12、好ましくは3~8
この値が1未満は筆記チップとの十分な嵌合力(取付け強度)である10N以上が得られず、12以上は筆記チップの取付けに必要な圧入力が大きくなり嵌合できない虞がある。
また、インク収容管1の前記接続部1a,1bを除いた部分の肉厚(t)については、これが0.56mmより大きい場合には、前記したインク収容管1の外径寸法(D)の望ましい範囲において、必要なインク貯留量が確保できないこと、および筆記速度が早い場合に、筆記にカスレが発生するという問題が生ずることから、前記した数値の範囲とすることが好ましい。
これに対して、筆記チップ2もしくは筆記チップを支持する中継部材3とインク収容管1との接続部分の取付け強度、すなわち筆記チップ2もしくは中継部材3とインク収容管1の接続部1aとの取付け強度Aは、9.8N以上になされ、A>Bの関係となるように設定される。
前記した接続部分の取付け強度は、市販のプッシュプルゲージ(例えばイマダ社製フォースゲージ)を用い、前記接続部分を引き抜くのに必要な力を測定することで、求めることができる。
このリフィールを構成するインク収容管1、筆記チップ2および中継部材3は、図2および図3に示した第1実施例のリフィールとほぼ同様に構成されている。
ただし、インク収容管1の前端部における肉厚状の接続部1aに対する中継部材3の圧入の度合いは、図1~図3に基づいて説明した筆記具に比較して小さくなされ、中継部材3と接続部1aとの間には、接着剤が介在されている。
また、インク収容管1の前端部と中継部材3との間には、若干大きな隙間の通気路3bが、前記接着剤受け部3aと連通して形成されており、この通気路3bにおいて接着剤受け部3aにおける余剰の接着剤を流し出すことができるように構成されている。
したがって、図4に示した第2実施例のリフィールにおいても、インク収容管1とボールペンチップ2側の接続部分の取付け強度をより大きく確保することができ、リフィールの交換時などにおいて生ずるインク漏れなどの不具合の発生を避けることができる。
この図5に示すリフィールは、インク収容管1の中央部に比較して前端部の外径および内径が若干細く形成されて接続部1aを構成しており、その前端部にボールペンチップ2が取付けられている。
そして、ボールペンチップ2のインク収容管1に内接する部分も、前半部に比較して外径が細く形成されており、インク収容管1とボールペンチップ2の接続部分におけるインク収容管1の外周に沿って、金属管4が装着されている。
なお、ボールペンチップ2の後端部の一部は内向きにかしめられており、このかしめ部2aにより前記スプリング6の後端部を係止している。
なお、前記金属管4は電磁誘導方式による発熱により、前記インク収容管1とボールペンチップ2の接続部に熱溶融を与える機能と、インク収容管1とボールペンチップ2の接続部の取付け強度を保持する機能も有している。
さらには、インク逆流防止体9は、充填長さが10mm以上であり、25℃における表面張力が32.0mN/m以上であることが望ましい。
またインク消費量が多くても確実にインクが追従できるため、筆記時には安定したインク吐出性が確保される。
したがって、図5に示した第3実施例のリフィールにおいても、インク収容管1とボールペンチップ2側の接続部分の取付け強度をより大きく確保することができ、リフィールの交換時などにおいて生ずるインク漏れなどの不具合の発生を避けることができる。
図6および図7に示すリフィールにおいては、ボールペンチップ2を支持する中継部材3内には、インクの逆流防止機構として機能する逆流防止ボール7が収容されている。この逆流防止ボール7は、ボールペンチップ2が上向きとなるように保管した場合に、中継部材3に形成された軸孔のテーパ面に密着することで、ボールペンチップ2の先端から空気が流入し、インク収容管1内のインクが、収容管1内において後退するのを防止するように作用するものとなる。
また、ボールペンチップ2を支持する中継部材側3には、前記係止凸部1cが係合する係止凹部3cが、周方向に沿って形成されており、これら周に沿って連続的に形成された係止凸部1cと係止凹部3cの組み合わせにより接続部分の取付け強度を確保する構成が採用されている。
また、ボールペンチップ2を支持する中継部材3側には、前記係止凸部1dが係合する係止凹部3dが、周方向に沿って間欠的に形成されており、これら周に沿って間欠的に形成された係止凸部1dと係止凹部3dの組み合わせにより、接続部分の取付け強度を確保する構成が採用されている。
この図6および図7に示したリフィールによると、インク収容管1に施された係止凸部1c,1dが、中継部材3の可撓性を有する樹脂素材側に食い込んだ状態で両者が結合される。
したがって、図6および図7に示した第4および第5実施例のリフィールにおいても、インク収容管1とボールペンチップ2側の接続部分の取付け強度をより大きく確保することができ、リフィールの交換時などにおいて生ずるインク漏れなどの不具合の発生を避けることができる。
この図8に示したリフィールにおいては、インク収容管1として例えばポリプロピレンなどの樹脂素材が利用される。このインク収容管1の前端部におけるボールペンチップ2を支持する中継部材3の接続部分には、インク収容管1の内面に向かって肉厚部1eが形成されている。
そして、肉厚部1eは中継部材3側の縮径部3eに入り込むことで、図8に示すようにインク収容管1の前端部に中継部材3を結合させることができる。
したがって、図8に示した第6実施例のリフィールにおいても、インク収容管1とボールペンチップ2側の接続部分の取付け強度をより大きく確保することができ、リフィールの交換時などにおいて生ずるインク漏れなどの不具合の発生を避けることができる。
この図9(A)~図9(C)に示した3本リフィールにおいて、それぞれの筆記チップ2に備えられた筆記ボール5a,5b,5cは、そのボール径が互いに異なるものが使用されている。例えば筆記ボール5aのボール径は0.7mm、筆記ボール5bのボール径は0.5mm、筆記ボール5cのボール径は0.38mmになされており、これによりそれぞれ異なるインク流出量に設定された筆記チップ2が用いられる。
これにより、インク収容管1とボールペンチップ2側の接続部分において、所定の取付け強度を得ている。
したがって、図9に示した第7~第9実施例として示す各リフィールによっても、インク収容管1とボールペンチップ2側の接続部分の取付け強度をより大きく確保することができ、リフィールの交換時などにおいて生ずるインク漏れなどの不具合の発生を避けることができる。
この場合、各繰り出し操作部25aに施される彩色濃度または無彩色濃度をそれぞれ異ならせることで、識別させることができる。また、各繰り出し操作部25aの素材の表面粗さをそれぞれ異ならせることで、識別させることができる。
さらに、各繰り出し操作部25aの外観形状をそれぞれ異ならせることで、識別させることもでき、さらには前記した3つの要素を組み合わせることで、識別させることができる。
この例に示すリフィールは、中継部材3に形成されたインク収容管の接続部3hに対して、軸方向に沿って複数条(図示例では二条)の環状の係止部11が形成されている。
すなわち、各環状の係止部11は、ボールペンチップ2側に向かって径を拡大するテーパ面11aと、前記テーパ面11aに続いて径を鋭角に縮小する立ち下がり部11bとが備えられている。そして、テーパ面11aと立ち下がり部11bとを有する環状の係止部11は、ボールペンチップ2の先端部側に向かうほど、その外径が大きくなるように形成されている。
図10(B)に示すように、インク収容管1の前端部が接続部3hに接続された状態においては、環状の係止部11に形成された径を鋭角に縮小する立ち下がり部11bが、いわゆる釣り針のかえしと同様の作用を発揮して、接続部3hからインク収容管1が外れるのを効果的に阻止するように作用する。
この第10実施例においては、テーパ面11aと立ち下がり部11bとによる環状の係止部11が、軸方向に沿って二条形成されているが、これは必要に応じて三条以上形成されていてもよい、
したがって、この第10実施例のリフィールにおいても、インク収容管1とボールペンチップ2側の接続部分の取付け強度をより大きく確保することができ、リフィールの交換時などにおいて生ずるインク漏れなどの不具合の発生を避けることができる。
そして、各突起体12には、ボールペンチップ2側に向かって除々に立ち上がるテーパ面12aと、このテーパ面12aに続いて鋭角に立ち下がる立ち下がり部12bとが備えられ、ボールペンチップ2の先端部側に向かうほど、各突起体13の高さが高くなるように構成されている。
したがって、図12に示した第11実施例のリフィールにおいても、インク収容管1とボールペンチップ2側の接続部分の取付け強度をより大きく確保することができ、リフィールの交換時などにおいて生ずるインク漏れなどの不具合の発生を避けることができる。
そして、ボールペンチップ2に接続されたインク収容管1の外周面に沿って、リング状に形成された補強部材13が嵌め込まれている。
そして、ボールペンチップ2に接続されたインク収容管1の外周面に沿って、軸に直交する方向の断面がC字状に成形された補強部材14が嵌め込まれている。
この補強部材14は、軸に直交する方向の断面がC字状に成形されて、径が縮小するばね特性が持たされているので、ボールペンチップ2に対するインク収容管1の接続を確実に果たすことができる。
したがって、図12および図13に示した第11、第12実施例のリフィールにおいても、インク収容管1とボールペンチップ2側の接続部分の取付け強度をより大きく確保することができ、リフィールの交換時などにおいて生ずるインク漏れなどの不具合の発生を避けることができる。
この例に示すリフィールは、ボールペンチップ2を支持する中継部材3に、例えばポリプロピレンなどの樹脂素材によるインク収容管1の前端部が挿入される筒状体3iが一体に形成されている。そして、筒状体3iの内底部に収容されてインク収容管1の先端部に圧接するガータスプリング(環状スプリング)11と、筒状体3i内に装着されて前記ガータスプリング11を筒状体3iの内底部に位置させる押さえリング12を備えてインク収容管1の係止手段が形成されている。
そして、ガータスプリング11は押さえリング12によって、中継部材3に形成された筒状体3iの内底部に保持されるので、インク収容管1はガータスプリング11を介して中継部材3に接続された状態が維持される。したがって、この係止手段によると、ガータスプリング11が持つ耐久性に優れた嵌合作用を発揮させることが可能となる。
したがって、図15に示した第14実施例のリフィールにおいても、インク収容管1とボールペンチップ2側の接続部分の取付け強度をより大きく確保することができ、リフィールの交換時などにおいて生ずるインク漏れなどの不具合の発生を避けることができる。
また、図5、図13~図14に示す例は、ボールペンチップ2に対して直接インク収容管1を結合させた状態を示しているが、これはボールペンチップ2を支持する中継部材3に形成された接続部にインク収容管1の前端部を結合させる構成を採用することができる。
なお、以上の説明においては、その実施の形態としてボールペンリフィールを用いた例を示しているが、この発明はボールペンチップ以外の他の筆記チップを備えたリフィールを備えた筆記具にも利用することができ、同様の作用効果を得ることができる。
1a 前端側接続部
1b 後端側接続部
1c 係止凸部
1d 係止凸部
1e 肉厚部
2 筆記チップ(ボールペンチップ)
2a かしめ部
2b 段差部
3 中継部材
3a 接着剤受け部
3b 通気路
3c 係止凹部
3d 係止凹部
3e 縮径部
3f 頭部
3g テーパ部
3h 接続部
3i 筒状体
4 金属管
5 筆記ボール
5a~5c 筆記ボール
6 スプリング
6a 押し棒
7 逆流防止ボール
9 インク逆流防止体(フォロア)
11 ガータスプリング
12 押さえリング
21 前軸(軸筒)
21a 雄ねじ
22 後軸(軸筒)
22a 雌ねじ
23 先端口
24 ガイドスリット
25 スライダー
25a 操作部
25b リフィール装着部
25c 後端係止部
25d 係止解除カム
27 内筒部材
27a 係止面
28 クリップ
28a クリップ玉
29 キャップ部材
29a クリップ取付け部
30 軸体
31 コイルスプリング
32 戻しスプリング
Claims (1)
- 直線状にして円筒状に形成され、インク収容部の肉厚が0.56mm未満になされたインク収容管と、前記インク収容管の一端部に取付けられた筆記チップもしくは筆記チップを支持する中継部材を備えたリフィールを、軸筒内に着脱可能に装着した筆記具であって、前記リフィールにおける筆記チップもしくは筆記チップを支持する中継部材とインク収容管との接続部分の取付け強度が、軸筒側と前記インク収容管との接続部分の取付け強度よりも高く設定されていると共に、
前記筆記チップもしくは筆記チップを支持する中継部材における前記インク収容管との接続部には、
筆記チップもしくは中継部材に形成されてインク収容管の前端部が挿入される筒状体と、前記筒状体の内底部に収容されてインク収容管の先端部に圧接するガータスプリング(環状スプリング)と、前記筒状体内に装着されて前記ガータスプリングを前記筒状体の内底部に位置させる押さえリングとが備えられ、
前記インク収容管が前記ガータスプリングによって筆記チップもしくは中継部材に結合されていることを特徴とする筆記具。
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