JP7294857B2 - 筆記具用インク収容部材および筆記具 - Google Patents
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Description
そして、インク収容管には、成形の容易性とインク量の視認性を確保するために、透明もしくは半透明の樹脂素材、例えばポリプロピレンが用いられている。
そこで、筆記具を構成する各部品についても、脱プラスチックに着目した提案がなされており、特許文献1には、生分解性樹脂により成形された収容管基体の内側に、他の樹脂層を一層または二層以上成形してなる多層構造のインク収容管を用いた筆記具用インク収容部材が開示されている。
これによると、生分解性樹脂により成形された収容管基体は、時間の経過と共に生分解されるので、廃棄処理量の小量化に貢献できると記載されている。
この筆記具に用いられる軸筒によると、耐水性やガスバリア性を向上させるために、軸筒の外面側から、裏面がクラフト紙からなるアルミ箔ラベル紙、およびライナー紙を二層重ねた後、さらに内面にポリエチレン層、次いでアルミ蒸着膜を外側に持つポリエステル膜を積層した構造を有している。
この軸筒によると、紙基材を含む複合材を用いることで、耐久性を維持しながら低公害化を達成し得る筆記具が提供できると言える。
この発明は、前記した観点に沿ってなされたものであり、冒頭において記述したポリプロピレン等を用いて成形したインク収容管を、紙基材を含む材料に置き換えることにより、脱プラスチックを図ろうとするものである。
また他の一つとして、前記接続部には、筆記部材の先端部側に向かって径を拡大するテーパ面と、前記テーパ面に続いて径を鋭角に縮小する立ち下がり部とを有する環状の係止部を、軸方向に沿って複数条形成した第2係止手段が備えられる。
そして、前記したインク収容管との接続部には、当該接続部におけるインク収容管の外周面に沿って、リング状の補強部材が嵌め込まれた構成を好適に採用することができる。 また、前記したインク収容管との接続部には、当該接続部におけるインク収容管の外周面に沿って、軸に直交する方向の断面がC字状に成形された補強部材が嵌め込まれた構成を採用することもできる。
この場合、前記締結リングには、前記筆記部材もしくは中継部材側に形成された雄ねじに螺合する雌ねじが施されていることが望ましい。
また、この発明に係る筆記具は、前記した各係止手段を備えた筆記具用インク収容部材、さらに前記した補強部材を組み合わせてなる筆記具用インク収容部材におけるインク収容管が、把持部としての軸筒を形成することで構成される。
さらに、筆記部材もしくは筆記部材を支持する中継部材には、インク収容管に対する前記した各係止手段を備えることで、一定の接続強度を確保した実用性に優れた筆記具用インク収容部材およびこれを用いた筆記具を提供することが可能となる。
図1は筆記具用インク収容部材の第1実施例を示しており、この筆記具用インク収容部材1を構成する筆記部材として、先端部に筆記ボールを備えたボールペンチップ2が用いられている。
なお、この第1実施例においては、インク収容管の接続部3aは、ストレート状の円筒体により構成されている。したがって前記接続部3aに、例えば粘着剤を予め塗布しておくことにより、嵌合により結合されたインク収容管5に対して一定の接続強度を持たせることができる。
中央の基層5aは紙基材で構成され、内層5bは樹脂もしくはアルミニウム層によって構成されている。さらに外層5cは樹脂で構成されている。
基層5aを構成する紙基材は、一層または多層構成の紙基材が用いられ、インク収容管5の成形に伴う屈曲耐性、落下衝撃吸収性、および端面の耐水性などに優れることが望ましい。
なお、前記紙基材は主としてパルプからなるシートであり、他に填料、各種助剤を含んでもよい。パルプとしては、化学パルプ、機械パルプ、非木材繊維等である。これらの素材を適宜配合して用いることが可能である。
加えて、強度に優れ、取り扱いおよび入手容易などの点で、アクリル樹脂、ポリスチレン、フッ素樹脂、シリコーン、或いはこれらの併用およびポリ乳酸等の生分解性プラスチックが好ましい。なお、生分解性プラスチックは、インク収容管として必要な強度および寿命を付与し得るかぎり、環境に配慮した材料として好適である。
内層5bは、前記したとおりアルミニウム層で構成する場合もあり、これによると水性および油性インクのいずれにも溶解することなく、紙基材による基層5aまでのインクの浸透を確実に阻止することができる。
外層5cを構成する樹脂としては、内層5bを構成する材料と同様の樹脂を挙げられる。内層5bを構成する樹脂と、外層5cを構成する樹脂とは、同一でも良いし、異なっていても良い。
この第2実施例によると、中継部材3の接続部3aに形成された雄ねじ11aに対して、インク収容管5の前端部をねじ込みながら結合させることができる。図2(C)は、インク収容管5の前端部を雄ねじ11aに対してねじ込むことで、インク収容管5を中継部材3の接続部3aに結合させた状態を示している。
なお、図2(C)に断面図で示したとおり、この第2実施例に示したインク収容管5についても、第1実施例と同様に三層構造が採用されている。
すなわち、各環状の係止部12は、ボールペンチップ2側に向かって径を拡大するテーパ面12aと、前記テーパ面12aに続いて径を鋭角に縮小する立ち下がり部12bとが備えられている。そして、テーパ面12aと立ち下がり部12bとを有する環状の係止部12は、ボールペンチップ2の先端部側に向かうほど、その外径が順次大きくなるように形成されることで、第2係止手段(環状の係止部12と同一の符号で示す。)が構成されている。
図3(C)に示すように、インク収容管5の前端部が接続部3aに接続された状態においては、環状の係止部12に形成された径を鋭角に縮小する立ち下がり部12bが、いわゆる釣り針のかえしと同様の作用を発揮して、接続部3aからインク収容管5が外れるのを効果的に阻止するように作用する。
前記第1基層5a1および第2基層5a2は、いずれも図1に基づいて説明した中央の基層5aと同様の紙基材で構成されている。また内層5b、樹脂層5d、および外層5cを構成する樹脂は、互いに同一でも異なっていても良い。互いに同一の材料を利用する場合には、図1に基づいて説明した内層5bと同様の樹脂を好適に利用することができる。 また、前記した五層構造のインク収容管5においては、内層5bのみをアルミニウム層とした構成も採用することができる。
そして、各突起体13には、ボールペンチップ2側に向かって徐々に立ち上がるテーパ面13aと、このテーパ面13aに続いて鋭角に立ち下がる立ち下がり部13bとが備えられ、ボールペンチップ2の先端部側に向かうほど、各突起体13の高さが高くなるように構成されている。
したがって、図4に示す接続部3a部分の断面図は、図3(C)に示した断面図とほぼ同一となる。
そして、ボールペンチップ2の接続部2aに接続されたインク収容管5の外周面に沿って、リング状に形成された補強部材16が嵌め込まれている。
なお、図5に示すインク収容管5は、単層構造で示されているが、これは、すでに説明した三層または五層構造のインク収容管5が適宜採用される。
なお、ボールペンチップ2の後端部の一部が内向きにかしめられており、このかしめ部2eにより前記スプリング2cの後端部を係止している。
そして、ボールペンチップ2の接続部2aに接続されたインク収容管5の外周面に沿って、軸に直交する方向の断面がC字状に成形された補強部材17が嵌め込まれている。
この補強部材17は、軸に直交する方向の断面がC字状に成形されて、径が縮小するばね特性が持たされているので、ボールペンチップ2に対するインク収容管5の接続を確実に果たすことができる。
前記締結リング18には、中継部材3側に形成された雄ねじ3cに螺合する雌ねじ18bが施されている。そして、中継部材3側の雄ねじ3cに、締結リング18側の雌ねじ18bを締め付けることで、締結リング18に形成された漏斗状の圧接面18aが、中継部材3のテーパ部3bに装着されたインク収容管5の前端部に外側から圧着する。
これにより、中継部材3に対してインク収容管5を確実に取り付けることができる。
また、図8(A)に示す符号5eは、インク収容管5内のインク後端面と接触し、インクの消費にしたがって前進して追従する周知のインク逆流防止体(フォロア)を示している。
さらに、図8(B)に示す符号3dは、ボールペンチップ2が上向きとなるように保管した場合に、中継部材3に形成された軸孔に密着することで、ボールペンチップ2の先端から空気が流入するのを阻止する逆流防止ボールである。
この例に示す筆記具用インク収容部材1は、ボールペンチップ2を支持する中継部材3に、インク収容管5の前端部が挿入される筒状体3eが一体に形成されている。そして、筒状体3eの内底部に収容されてインク収容管5の先端部に圧接するガータスプリング(環状スプリング)19と、筒状体3e内に装着されて前記ガータスプリング19を筒状体3eの内底部に位置させる押さえリング20を備えてインク収容管5の第5係止手段15が形成されている。
この実施例においては、ガータスプリング19の内径が、インク収容管5の前端部の外径に対して小さく成形されており、このガータスプリング19は中継部材3に形成された筒状体3eの内底部に収容され、さらに筒状体3eに挿入された押さえリング20によって、前記内底部に位置するように構成されている。
そして、ガータスプリング19は押さえリング20によって、中継部材3に形成された筒状体3eの内底部に保持されるので、インク収容管5はガータスプリング19を介して中継部材3に接続された状態が維持される。したがって、この第5係止手段15によると、ガータスプリング19が持つ耐久性に優れた嵌合作用を発揮させることが可能となる。
また、図5~図7に示す例は、ボールペンチップ2に対して直接インク収容管5を結合させた状態を示しているが、これはボールペンチップ2を支持する中継部材3に形成された接続部にインク収容管5の前端部を結合させる構成を採用することができる。
この複式筆記具は、前軸21および後軸22により軸筒を構成しており、図11(B)に断面図で示すように前軸21の後部外周面に形成された雄ねじ21aが、後軸22の前部内周面に形成された雌ねじ22aに螺合することで、前軸21と後軸22とが互いに軸方向に着脱可能に結合されている。
前軸21は、その先端部が円錐形状に縮径して、先端口23が開口されており、先端口23よりインク収容部材1の筆記部材(ボールペンチップ)2が択一的に繰り出されるように構成されている。
また、内筒部材27の後端部は細径に形成されて、前記後軸22の後端部よりも若干突出しており、この内筒部材27の突出部分を覆うようにして、クリップ28を取り付けるキャップ部材29が嵌合されて装着されている。
そして、それぞれのインク収容管5とスライダー25を取り巻くようにして戻しスプリング32が配置されており、この戻しスプリング32によって、各インク収容管5とスライダー25は、軸筒内で後方に向かって付勢された状態で配置されている。
この結果、第1のスライダー25は前記した戻しスプリング32の作用により後退し、第2のスライダー25の後端係止部25cが、内筒部材27に形成された係止面27aに係止され、先端口23から繰り出されるボールペンチップ2の交換を行うことができる。
図12に示す筆記具は、アンダーラインマーカーと呼ばれる筆記具であり、これは幅広の筆記部材2を備えることにより、幅広の線引きを可能にしたものである。
なお、このインク収容管5は、例えば図1(B)に示した三層構造、さらに図3(C)に示した五層構造を適宜採用することもできる。
前記筆記部材2は、透明な平板状の支持部材2cの外周に沿って、ほぼU字状の多孔質部材が取り付けられることにより形成されている。そして、インク収容管5内にはインクが含浸されたインク吸蔵体33が収容されており、インク吸蔵体33からのインクは、筆記部材2を構成する前記した多孔質部材に供給される。これにより、筆記部材2によりライン等の筆記が可能となる。
なお、筆記部材2に透明な支持部材2cが用いられることにより、筆記部材2に窓状の可視部が形成されるので、この可視部を介して紙面に記載された文字等の視認が可能である。これにより筆記部材2によって、正確にライン等を引くことができる。
この第3実施例についても、筆記具用インク収容部材1のインク収容管5が、紙を基材として構成されると共に、インク収容管5が把持部としての軸筒31を構成している。
すなわち、この例に示すインク収容管5は、図12に示す第2実施例の筆記具と同様に、外層が紙を基材として構成されており、好ましくは内層に樹脂もしくはアルミニウム層を備えた二層構造以上のインク収容管5が用いられる。
また、インク収容管5は、例えば図1(B)に示した三層構造、さらに図3(C)に示した五層構造を適宜採用することができる。
図13の符号5eは、インク収容管5内のインク後端面と接触し、インクの消費にしたがって前進して追従するインク逆流防止体(フォロア)を示している。したがって、図示していないがインクは、フォロア5eと中継部材3との間のインク収容管5内に貯留されている。また、図13の符号31bは、軸筒31に形成された空気孔を示している。
さらに、この発明に係る筆記具においては、軸筒31を兼ねるインク収容管5の前端部の取り付け強度を確保するために、図2~図10に基づいて説明した各種の係止手段および補強部材を適宜採用することができる。これにより、一定のインク収容管5の接続強度を確保した実用性に優れた筆記具を提供することが可能となる。
2 筆記部材
2a 接続部
2b 筆記ボール
2c 支持部材
3 中継部材
3a 接続部
3b テーパ部
3c 雄ねじ
3e 筒状体
5 インク収容管
5a 基層
5a1 第1基層
5a2 第2基層
5b 内層
5c 外層
5d 樹脂層
11 第1係止手段
11a 雄ねじ
12 第2係止手段(環状係止部)
12a テーパ面
12b 立ち下がり部
13 第3係止手段(突起体)
13a テーパ面
13b 立ち下がり部
14 第4係止手段
15 第5係止手段
16 リング状補強部材
17 C字状補強部材
18 締結リング
18a 圧接面
18b 雌ねじ
19 ガータスプリング
20 押さえリング
21 前軸(軸筒)
22 後軸(軸筒)
23 先端口
31 軸筒
32 キャップ
33 インク吸蔵体
Claims (5)
- 紙を基材としてインク収容管を構成し、
前記インク収容管の一端部を、筆記部材もしくは筆記部材を支持する中継部材に形成された接続部に結合させたことを特徴とする筆記具用インク収容部材であって、
前記筆記部材もしくは筆記部材を支持する中継部材における前記インク収容管との接続部には、
筆記部材もしくは中継部材に形成されたインク収容管の前端開口が挿入されるテーパ部と、前記テーパ部におけるインク収容管の外側に圧接する圧接面を有する締結リングとによる係止手段が備えられ、
前記インク収容管が前記係止手段によって筆記部材もしくは中継部材に結合されていることを特徴とする筆記具用インク収容部材。 - 前記締結リングには、前記筆記部材もしくは中継部材側に形成された雄ねじに螺合する雌ねじが施されていることを特徴とする請求項1に記載の筆記具用インク収容部材。
- 紙を基材としてインク収容管を構成し、
前記インク収容管の一端部を、筆記部材もしくは筆記部材を支持する中継部材に形成された接続部に結合させたことを特徴とする筆記具用インク収容部材であって、
前記筆記部材もしくは筆記部材を支持する中継部材における前記インク収容管との接続部には、
筆記部材もしくは中継部材に形成されてインク収容管の前端部が挿入される筒状体と、前記筒状体の内底部に収容されてインク収容管の先端部に圧接するガータスプリング(環状スプリング)と、前記筒状体内に装着されて前記ガータスプリングを前記筒状体の内底部に位置させる押さえリングとによる係止手段が備えられ、
前記インク収容管が前記係止手段によって筆記部材もしくは中継部材に結合されていることを特徴とする筆記具用インク収容部材。 - 請求項1~3のいずれか1項に記載の筆記具用インク収容部材を軸筒内に収容したことを特徴とする筆記具。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の筆記具用インク収容部材における前記インク収容管が、把持部としての軸筒を構成していることを特徴とする筆記具。
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