JP2001146090A - 油性インキ用レフィル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】油性インキ用レフィルとして、インキ収容筒に
生分解性樹脂を用いて、合成樹脂の廃棄処理量の少量化
に貢献する。 【解決手段】油性インキ用レフィルにおいて、インキ収
容筒２を、基体５を生分解性樹脂で成形する。基体５の
内側に、収容する油性インキに対し膨潤して寸法変化を
きたさない、耐油性、耐溶剤性に優れた樹脂層６を設け
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、生分解性樹脂を用
いた多層構造のインキ収容筒を装着してなる油性インキ
用レフィルに関する。

【０００２】

【従来の技術】最近、地球環境問題の高まりから、各種
製品の樹脂部材に生分解性樹脂を用いたものが提供され
ている。筆記具においても例外でなく、軸筒やキャップ
等に生分解性樹脂を用いたものが提供されている。しか
し、油性インキを収容する油性インキ用レフィル、例え
ば油性インキを収容したボールペン用レフィル等におい
ては、先端部分にステンレス等の金属で形成されたボー
ルペンチップが挿着してあり、油性インキ用レフィル全
体を生分解性樹脂で形成することはできないが、樹脂部
材で形成されているインキ収容筒を生分解性樹脂で成形
したという油性インキ用レフィルも出現していないのが
現状である。

【０００３】その理由は、生分解性樹脂の耐インキ性の
悪さからで、本発明者達が検討したところによると、生
分解性樹脂で成形したインキ収容筒に当社が市販してい
る油性インキを収容したレフィルを作製し、該レフィル
を室温で１ケ月位放置していると、インキ収容筒の膨潤
が顕著に進み、寸法に変化をもたらした。また、油性イ
ンキにおける溶剤も溶剤全質量の４％も透過してしまっ
た。現行の油性ボールペン用レフィルにおいては、イン
キ収容筒をポリプロピレン樹脂を用いて成形しており、
前述したような問題がおきなく、溶剤の透過はなく、膨
潤もない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は油性イ
ンキ用レフィルにおいて、合成樹脂部材の廃棄処理量を
軽減するために、インキ収容筒を生分解性樹脂を用いて
成形し、かつインキ収容筒が油性インキにより膨潤して
寸法変化をもたらすことがなく、溶剤の透過も起こりに
くい、現実の使用に耐えうるものを提供することにあ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、生分解性樹脂
の基体の内側に他の樹脂層を１層又は２層以上形成して
なる多層構造の油性インキを収容するインキ収容筒を装
着した油性インキ用レフィルであって、前記樹脂層の一
番内側の層を、収容する油性インキに対し耐油性、耐溶
剤性を有し、膨潤による寸法変化をもたらさない樹脂層
としたことを特徴とする油性インキ用レフィルである。

【０００６】本発明の油性インキ用レフィルは、インキ
収容筒を多層構造とするが、一番外側が生分解性樹脂層
で一番内側が耐インキ性を有した樹脂層であれば、２層
構造でも良いし、中間層として数層有するものでも良
い。中間層の樹脂については特に特定されない。

【０００７】前記生分解性樹脂としては、具体的には、
グリコールとジカルボン酸の縮合重合により得られる脂
肪族ポリエステルからなる昭和高分子株式会社製の商品
名：ビオノーレ、ポリ乳酸樹脂からなる三井東圧化学株
式会社製の商品名：レイシア、β−ヒドロキシ酢酸とβ
−ヒドロキシ吉草酸との微生物産生の共重合ポリエステ
ルからなるモンサント社製の商品名：バイオポール、で
んぷんを主成分とした変性ポリビニルアルコール等との
ポリマーアロイからなるノバモント社製の商品名：マタ
ビー等がある。この他、バクテリアやかび等の微生物に
より、生分解され、最終的に土の有機物成分や二酸化炭
素と水になるものであれば良い。

【０００８】前記一番内側の樹脂層としては、エチレン
・ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン、ポリエ
チレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、
ナイロン等からなる樹脂層が挙げられる。エチレン・ビ
ニルアルコール共重合体の具体的なものとしては、エチ
レン-酢酸ビニル共重合体のケン化物である株式会社ク
ラレ製の商品名：エバールがある。樹脂層の厚さは、特
に限定されないが、インキ収容筒としての外径は決まっ
ており、樹脂層を厚くすればその分、結果的に生分解性
樹脂層が薄くなる。本願発明の目的である合成樹脂部材
の廃棄処理量をより軽減するには、生分解性樹脂層が厚
くなるように、樹脂層を薄くすれば良い。樹脂層は、充
分なガスバリヤー性が得られ、製造上の観点からも、好
適には１０〜１５０μｍの厚さのフイルム状にすること
が好ましい。

【０００９】油性インキ用レフィルとは、インキ収容筒
に油性インキを収容するもので、油性ボールペン用ある
いは油性マーカー用等、インキ収容筒の先端に装着する
筆記先端により特定されるものではない。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を用い
て説明する。本実施の形態の油性インキレフィルは、油
性ボールペン用レフィルとして説明する。

【００１１】本発明の油性インキレフィル１の実施の形
態は、インキ収容筒２の先端には、ボール(図示せず)を
回転自在に配設したボールペンチップ３を装着してあ
り、インキ収容筒２内には、一般的な油性ボールペン用
インキ４を充填する。インキ収容筒２の後端２ａは開口
してある。

【００１２】インキ収容筒２は、生分解性樹脂からな
る、外径が約３ｍｍで肉厚が約０．７ｍｍの中空状の基
体５と、該基体５の内側に厚さが１００μｍのフイルム
状の樹脂層６を配した２層構造とした。

【００１３】生分解性樹脂としては、グリコールと脂肪
族ジカルボン酸とから合成される脂肪族ポリエステルか
らなる昭和高分子株式会社製の商品名：ビオノーレを用
いた。樹脂層を形成する樹脂としては、エチレン・ビニ
ルアルコール共重合体樹脂である株式会社クラレ製の商
品名：エバールを用いて、２種の異なった材質で同時に
一体として押出成形する場合に使用する多色用金型（図
示せず）に、それぞれの材質を押し出す押出機(図示せ
ず)を取り付けて、同時に成形する共押出成形法により
２層構造に成形した。

【００１４】

【発明の効果】本発明は、油性インキ用レフィルは前述
したような構造なので、インキ収容筒を生分解性樹脂で
成形したものであっても、インキ収容筒が油性インキに
対して膨潤して寸法変化をもたらすこともなく実用可能
となり、インキ収容筒の生分解性樹脂の部分が生分解さ
れるので、油性インキ用レフィルとしての樹脂材料部分
の廃棄処理量の少量化に貢献することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の油性インキ用レフィルの縦断面図であ
る。

【図２】本発明の実施の形態を示す、油性ボールペン用
レフィルにおけるインキ収容筒の断面図である。

【符号の説名】

１ 水性インキ用レフィル ２ インキ収容筒 ５ 基体 ６ 樹脂層

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】生分解性樹脂の基体の内側に他の樹脂層を
   １層又は２層以上形成してなる多層構造の油性インキを
   収容するインキ収容筒を装着した油性インキ用レフィル
   であって、前記樹脂層の一番内側の層を、収容する油性
   インキに対し耐油性、耐溶剤性を有し、膨潤による寸法
   変化をもたらさない樹脂層としたことを特徴とする油性
   インキ用レフィル。
2. 【請求項２】前記生分解性樹脂が、グリコールと脂肪族
   ジカルボン酸とから合成される脂肪族ポリエステル又は
   ポリ乳酸樹脂である、請求項１に記載の油性インキ用レ
   フィル。
3. 【請求項３】前記一番内側の樹脂層が、エチレン・ビニ
   ルアルコール共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレ
   ン、ポリエチレンテレフタレート又はナイロンからなる
   厚さが１０〜１５０μｍのフィルム状の層である、請求
   項１又は２に記載の油性インキ用レフィル。