JP2004025446A - 筆記具用インキ収容部材 - Google Patents

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Toshifumi Kamiya
神谷 俊史
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荻原 康明
Yuzo Tsunoda
角田 裕三
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Abstract

【課題】水性又は油性の液状インキ、ゲル状インキなどの筆記具用インキを収容する筆記具用インキ収容容器、インキ収容管等の筆記具用インキ収容部材に空気中の酸素が透過することによるインキの劣化の防止、並びにインキの吹き出しを防止することができる筆記具用インキ収容部材を提供する。
【解決手段】筆記具用インキを収容する有機高分子から構成される筆記具用インキ収容部材Aであって、該筆記具用インキ収容部材が少なくとも酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下の有機高分子を含む多層構造からなることを特徴とする筆記具用インキ収容部材。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性又は油性の液状インキ、ゲル状インキなどの筆記具用インキを収容する加圧又は非加圧の筆記具用インキ収容容器、インキ収容管等の筆記具用インキ収容部材に関し、更に詳しくは、筆記具用インキ収容部材に空気中の酸素や窒素が透過することによるインキの劣化防止、並びに香料入りインキの保香性向上、更にはインキの吹き出しを防止することができ、また、加圧ボールペン等の気体による加圧式筆記具でのインキ収容容器内の内圧低下による筆記不良を防止できる筆記具用インキ収容部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、多種多様の筆記具が知られているが、一般に、コレクター構造を有する直液筆記具、中綿式筆記具等のインキ収容容器やボールペンのインキ収容管(インキチューブ、リフィール)の役目は、水性又は油性の液状インキ、ゲル状インキなどの筆記具用インキを収容し、かつインキを構成している溶媒の揮発を防止することが主目的である。
【0003】
通常、これらの筆記具用インキ収容容器やインキ収容管は、化学的安定性、耐溶剤性、経済性、生産性等の点からポリプロピレンなどの有機高分子(合成樹脂等)から構成されているものである。
しかしながら、本発明者の研究及び知見によれば、経時的にみると、インキ収容容器やインキ収容管に空気、中でも酸素が透過してインキ収容容器やインキ収容管の中に入ることにより、インキが酸化されインキの増粘、色材濃度の低下などのインキの劣化を促進し、更にはインキの吹き出しなどの問題が加速され、筆記具としての寿命を短くするという課題があることが判った。
また、加圧ボールペン等では、安価で成形性、透明性に優れるポリプロピレンなどをインキ収容部材に使用した場合、インキ収容容器内の窒素ガスなどの加圧気体が容器外に透過して容器内圧が低下することによる筆記不良を生じるという課題を有している。
【0004】
一方、特開平8−133346号公報には、抗菌剤入り筆記具などの文具類の包装方法に関して、包材中に脱酸素剤を内在せしめて空気中の酸素や湿気との接触を極力抑えることにより文具類の変色防止を図ることができる抗菌剤入り文具類の包装方法が開示されている。
しかしながら、この公報に開示される技術は、長期間に亘り店頭の陳列棚等に陳列放置された場合(製造後から消費者にわたるまで)の抗菌剤入り筆記具などの文具類の酸化による変色を防止するものであり、本発明とはその目的、作用及びその構成(技術思想)が異なるものである。
【0005】
また、インキの調製や充填に際して取り込まれるインキ中に混入する空気(酸素)によるインキの酸化劣化の防止策として、インキ中にビタミンCやビタミンE、その他酸素と反応又は吸収するなどの成分を添加する技術も知られている。しかしながら、これらの技術は、インキへの添加量には自ずと制限があり、極微量の添加量となるため、比較的短期間にその機能を喪失するという課題があるものである。なお、上記技術には、インキ収容部材の酸素透過により生じるインキの酸化劣化、インキのペン先からの吹き出し性等の課題の認識はないものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、水性又は油性の液状インキ、ゲル状インキなどの筆記具用インキを収容する筆記具用インキ収容容器やインキ収容管等の筆記具用インキ収容部材に、空気中の酸素や窒素が透過することによるインキの劣化防止、並びに香料入りインキの保香性向上、更にはインキの吹き出しを長期間防止することができ、並びに、加圧ボールペン等の窒素ガス等の加圧気体による加圧式筆記具などは、容器内の加圧気体が外気側へ透過して容器内圧が低下することによる筆記不良を来たすので、例えば、安価で成形性、透明性に優れるポリプロピレンなどの高分子を使用できないなどの課題も解決できる筆記具用インキ収容部材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記従来技術の課題等について鋭意検討を重ねた結果、筆記具用インキを収容する有機高分子から構成される筆記具用インキ収容部材を特定物性の有機高分子から構成することにより、上記目的の筆記具用インキ収容部材が得られることを見いだし、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の筆記具用インキ収容部材は、次の(1)〜(11)に存する。
(1) 筆記具用インキを収容する有機高分子から構成される筆記具用インキ収容部材であって、該筆記具用インキ収容部材は少なくとも酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下の有機高分子を含む多層構造からなることを特徴とする筆記具用インキ収容部材。
(2) 上記(1)記載の多層構造からなる筆記具用インキ収容部材において、酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下の有機高分子を最外層と最内層の間に一層以上設けられていることを特徴とする筆記具用インキ収容部材。
(3) 上記(1)又は(2)記載の多層構造の筆記具用インキ収容部材において、酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下の有機高分子以外の有機高分子がポリオレフィン系有機高分子であることを特徴とする筆記具用インキ収容部材。
(4) 酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下の有機高分子がエチレンビニルアルコール共重合体であることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の筆記具用インキ収容部材。
(5) エチレンビニルアルコール共重合体のエチレンモル比率が80mol%以下であることを特徴とする上記(4)に記載の筆記具用インキ収容部材。
(6) ポリオレフィン系有機高分子がポリプロピレン、ポリエチレン、環状ポリオレフィン、ポリメチルペンテンから選ばれるものであることを特徴とする上記(3)〜(5)の何れか一つに記載の筆記具用インキ収容部材。
(7) 酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下の有機高分子の層が、接着性が改質された改質又は変性ポリオレフィン系有機高分子と片面又は両面で接していることを特徴とする上記(3)〜(6)の何れか一つに記載の筆記具用インキ収容部材。
(8) 筆記具用インキ収容部材が筆記具用インキ収容容器又はインキ収容管であることを特徴とする上記(1)〜(7)の何れか一つに記載の筆記具用インキ収容部材。
(9) 上記(1)〜(8)の何れか一つに記載の多層構造の筆記具用インキ収容部材において、その総厚が0.5〜5.0mmであり、酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下の有機高分子層の総厚が0.1〜2000μmであることを特徴とする筆記具用インキ収容部材。
(10) 上記(1)〜(9)の何れか一つに記載の多層構造の筆記具用インキ収容部材において、多層構造を構成する各層の層厚をL1、L2、……Lnとし、各層の有機高分子の酸素透過係数をP1、P2、……Pnとしたときに、多層構造からなる筆記具用インキ収容部材全体の酸素透過係数Pを下記式(I)で定義したときに、この全酸素透過係数Pが10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下であることを特徴とする筆記具用インキ収容部材。
(L1+L2+…+Ln)/P=L1/P1+L2/P2+…+Ln/Pn
……………(I)
(11) 上記(1)〜(10)の何れか一つに記載の多層構造の筆記具用インキ収容部材が、共押し出し法、多色ブロー、二色成形、多色成形の何れかにより製造されることを特徴とする筆記具用インキ収容部材。
【0008】
なお、本発明(後述する実施例等を含む)で規定する「酸素透過係数」(単位cc・cm/cm・sec・cmHg)とは、下記式(II)により算出される値をいう。
酸素透過係数=酸素透過度×試験片の厚さ   ………(II)
上記式(I)中、酸素透過度(酸素透過率、単位:cc/m・24hr・atm)は、単位分圧差で単位時間に単位面積の試験片を透過する酸素の体積をいい、ある時間に試験片を透過した酸素の量を実測することによって、下記式により求められる。
酸素透過度=酸素透過量/〔(高圧側分圧−低圧側分圧)×透過面積×時間〕
なお、本発明で規定する「酸素透過係数」は、上記定義されるように、酸素透過度に試験片の厚さを乗じて、単位厚さ当たりの透過量に換算したものであるので、試験片の厚さと、その酸素透過度がわかれば、必要な酸素透過度を得るためにどれだけの厚さの有機高分子層を選択すればよいかがわかるものとなる。
また、本発明で規定する「Dry」とは、各温度で湿度30%以下をいい、「25℃ Dry」とは、25℃の環境下において湿度30%以下をいい、また、「50℃ Dry」は、50℃の環境下において湿度30%以下をいう。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳しく説明する。
本発明の筆記具用インキ収容部材は、筆記具用インキを収容する有機高分子から構成される筆記具用インキ収容部材、具体的には、筆記具用インキ収容容器又はインキ収容管が、少なくとも酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下の有機高分子を含む多層構造からなることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の筆記具用インキ収容部材の構造としては、例えば、図1及び図2におけるボールペンにおけるインキ収容管(リフィール)、図3におけるコレクター構造を備えた直液式筆記具におけるインキを直接貯溜する軸体(インキ容器)となるインキタンク部、図4におけるバルブ機構を有する筆記具におけるインキを直接貯溜する軸体(インキ容器)となるインキタンク部、図5における中綿式筆記具におけるインキをインキ吸蔵体に吸蔵させて収容するインキ収容部などが挙げられ、筆記具用インキを収容する収容部材であれば、特に限定されるものではない。
【0011】
本発明では、筆記具用インキ収容部材を、少なくとも上記特性の酸素透過係数の有機高分子の層を含む二層以上の多層構造とするものである。
本発明において、筆記具用インキ収容部材は、二層構造以上の多層構造の場合は少なくとも一層が、酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下の有機高分子層とすることが必要であり、好ましくは、10−11(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下の有機高分子層、更に好ましくは、10−12〜10−15(cc・cm/cm・sec・cmHg)の有機高分子層とすることが望ましい。
この酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)を越える有機高分子層を有するものでは、本発明の効果、すなわち、筆記具用インキを収容する筆記具用インキ収容部材に、空気中の酸素が透過することによるインキの劣化防止、並びにインキの吹き出しを長期間防止するという効果を達成することができないものとなる。
また、二層構造以上の多層構造の態様としては、例えば、二層構造、三層構造、四層構造、五層構造等が挙げられ、酸素の透過を更に防止して優れた効果を発揮させるために、上記特性の酸素透過係数の有機高分子層は二層構造の場合は最外層に、三層構造の場合はその中間層に、四層以上の場合は、その最外層と最内層の間に一層以上設けられていることが望ましい。
【0012】
本発明における上記特性を有する有機高分子層は、酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下となる有機高分子からなるものであれば、特に限定されず、例えば、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、セロハン、ポリアミド(ナイロン6−6、ナイロン6−11)、ポリエステル〔PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)〕等が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。
好ましくは、薄膜でも優れた耐酸素透過性、製造性、経済性などの点などから、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)からなるものが望ましい。中でも、低吸湿性の点から、EVOHの場合は、エチレンモル比率が80%以下のものが更に好ましい。
本発明において、二層以上の多層構造の筆記具用インキ収容部材の場合には、酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下の有機高分子以外の有機高分子としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、環状ポリオレフィン、ポリメチルペンテン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、シリコーンエラストマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ナイロン(ポリアミド)、ポリイミド、ポリ塩化ビニル(PVC)などの有機高分子が挙げられ、好ましくは、熱可塑性の有機高分子、更に好ましくは、耐溶剤性、経済性、生産性等からポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、環状ポリオレフィン、ポリメチルペンテンなどから選ばれるポリオレフィン系熱可塑性有機高分子から構成されるものが望ましい。
【0013】
本発明において、二層以上の多層構造の筆記具用インキ収容部材の場合には、酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下の有機高分子とこれ以外の上述の有機高分子などを用いて共押し出し法多色ブロー、二色成形、多色成形などにより容易に成形することができる。
【0014】
本発明において、二層以上の多層構造の筆記具用インキ収容部材にあって上記特性の酸素透過係数の有機高分子とこれ以外の有機高分子を用いる場合、特に、ポリオレフィン系有機高分子を用いる場合には、通常、ポリオレフィン系有機高分子表面の表面自由エネルギーは小さく濡れ難いものであるが、酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下の有機高分子は極性基を有する高分子が多く一般に表面自由エネルギーはポリオレフィン系有機高分子の表面自由エネルギーよりも高いものとなる。例えば、EVOHは、ポリプロピレンやポリエチレンの表面自由エネルギーよりも大きいので、ポリオレフィン系有機高分子からなる層とEVOHとからなる層を有する多層構造のものでは、層間は濡れ難いものとなり層間での密着性が十分とならない場合がある。このような場合には、ポリオレフィン系有機高分子に濡れ性を向上させて層間の密着性を更に向上させるために、ポリオレフィン系有機高分子が改質剤で接着性が改質された改質又は変性ポリオレフィン系有機高分子を用いることが好ましい。
この接着性が改質された改質又は変性ポリオレフィン系有機高分子を酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下の有機高分子層の片面又は両面で接することにより、層間は濡れ易いものとなり層間での密着性が十分となる。
この改質剤としては、例えば、無水マレイン酸、石油樹脂又はその誘導体などが挙げられ、その配合量はポリオレフィン系有機高分子100重量部対して、無水マレイン酸、石油樹脂又はその誘導体などの改質剤を5〜40重量部配合又はグラフト重合して密着性を向上させた筆記具用インキ収容部材とすることが望ましい。
上記の石油樹脂又はその誘導体としては、例えば、水素化石油樹脂又はその誘導体など挙げられる。具体的には、市販のハイレッツG−100(三井石油化学社製)、ペトロジン#100(三井石油化学社製)、アルコンP−100(荒川化学工業社製)などが挙げられる。
これらの改質剤をポリオレフィン系有機高分子に配合することにより、ポリオレフィン系表面の表面自由エネルギーを大きくしてプラズマ処理などの特別な表面活性化処理を施すことなく、上記特性の有機高分子、特にEVOHをポリオレフィン系有機高分子に濡れるようにできるものとなる。
この改質剤の配合量が5重量部未満であると、上記範囲となる酸化透過係数との更なる密着性が向上せず、一方、40重量部を越えてもその効果は変わらず、また、筆記具用インキ収容部材の機械的強度が低下する問題があり、好ましくない。
更に、本発明に用いることができる改質ポリオレフィンとしては、例えば、日本ポリオレフィン社製の接着性ポリオレフィン樹脂「アドテックス」、出光石油化学社製の接着性ポリオレフィン樹脂「ポリタック」、三菱化学社製の高接着性ポリオレフィン樹脂「モディック−AP」など市販されている接着性ポリオレフィンをそのまま用いることができる。
【0015】
本発明において、二層以上の多層構造の有するものでは、上記特性の酸化透過係数となる有機高分子層の厚さと、該有機高分子以外の有機高分子層とを合わせた総厚は、収容するインキ種、用いる本体部の有機高分子種などにより変動するが、好ましくは0.5〜5.0mm、更に好ましくは、1〜3mmとすることが望ましく、また、上記特性の酸化透過係数となる有機高分子層の厚さは、好ましくは0.1〜2000μm、更に好ましくは、0.5〜1500μmとすることが望ましい。
上記総厚を0.5〜5.0mmとし、かつ、上記特性の酸化透過係数有する有機高分子層の厚さを0.1〜2000μmとすることにより、成形性、機械的強度等に問題を生じることなく、より確実に酸素の透過を防止して、インキの劣化防止及びインキの吹き出し等を防止することができるものとなる。
上記総厚が0.5mm未満であると、成形性、インキ収容部材の強度の面で不具合を生じることがあり、また、総厚が5.0mmを越える厚みであると、耐酸素透過性は向上するが、視認性(インキ残量を視認等)を有する部材とするためには視認性が劣ることとなり、更に、設計の自由度の低下を招くこととなる。
また、上記特性の酸化透過係数有する有機高分子層の厚さが0.1μmであると、膜の機械的強度の低下を招き、耐酸素透過性の低下を生じることとなり、また、上記特性の酸化透過係数有する有機高分子層の厚さが2000μmを越えると、耐酸素透過性は向上するが、視認性(インキ残量を視認等)を有する部材とするためには視認性が劣ることとなり、更に、設計の自由度の低下を招くこととなる。
【0016】
本発明では、上記構成となる筆記具用インキ収容部材、すなわち、少なくとも上記特性の酸素透過係数の有機高分子層から構成する、または、少なくとも上記特性の酸素透過係数の有機高分子層を含む二層以上の多層構造の筆記具用インキ収容部材とすることにより、空気中の酸素が透過することがなくなり、インキの劣化防止、並びにインキの吹き出しを長期間防止することができるものであるが、更にこれらの効果を向上させるために、好ましくは、図1に示すような二層以上の多層構造の筆記具用インキ収容部材の場合には、多層構造を構成する各層の層厚をL1、L2、……Lnとし、各層の有機高分子の酸素透過係数をP1、P2、……Pnとしたときに、多層構造からなる筆記具用インキ収容部材全体の酸素透過係数Pを下記式(I)で定義したときに、この全酸素透過係数Pが10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下とすることが望ましい。
(L1+L2+…+Ln)/P=L1/P1+L2/P2+…+Ln/Pn
……………(I)
なお、図1はリフィールについて説明するものであるが、図2に以下の軸体がインキ収容容器(インク収容部)となるものであっても全酸素透過係数Pが10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下とすることが望ましい。
全酸素透過係数Pを10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下とすることにより、筆記具用インキ収容部材に空気中の酸素が透過することによるインキの劣化の更なる防止、並びにインキの吹き出しの更なる防止を発揮せしめることができるものとなる。また、加圧ボールペン等の気体による加圧式筆記具用のインキ収容部材においては、インキ収容容器内の気体が容器外に透過することが更に防止できるものとなるので、インキ収容容器内の内圧低下による筆記不良を更に防止することができる。
【0017】
本発明の筆記具用インキ収容部材に収容されるインキは、一般に用いられている筆記具用インキであれば、特に限定されず、ボールペン用、加圧ボールペン用、サインペン用、マーキングペン用、アンダーライン用などの水性又は油性の液状インキ、ゲル状インキなどの筆記具用インキが収容されるものである。
【0018】
次に、本発明の筆記具用インキ収容部材の具体的な実施形態を図1〜図5により更に詳しく説明する。
図1(a)、(b)及び図2は、本発明の筆記具用インキ収容部材をボールペンにおけるインキ収容管(リフィール)に適用した場合である。
本実施形態の筆記具用インキ収容部材Aは、先端にボールペン型チップ10を具備したインキ収容管11を有している。なお、12はインキ収容管に充填されているボールペン用インキ、13はペン先部とインキ収容管との継ぎ手部材であり、14はインキ追従体である。
このインキ収容管11は、共押し出し成形により成形されるものであり、図1(b)に示すように、上述の各種の有機高分子、本形態では最内層と最外層に夫々PPからなる内層部11a(厚さ0.45mm)と外層部11c(厚さ0.45mm)、該内層部11aと外層部11cの中間に酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下となる有機高分子層(本形態では、EVOHからなる層厚さ100μm、エチレンモル比率38mol%)11bとから構成されている。なお、内層部11aと最外層部11cをマレイン酸、石油樹脂又はその誘導体などの改質剤を配合した材質で構成したものであってもよい(図3以下の実施形態も同様)。
この筆記具用インキ収容部材Aは、図2に示すように、ボールペン用軸体15に装着してボールペンとして用いられる。なお、16は尾栓、17はキャップ体、18はシールゴムである。
【0019】
図3は、本発明の筆記具用インキ収容部材をコレクター構造を備えた直液式筆記具におけるインキを直接貯溜する軸体(インキ容器)となるインキタンク部に適用したものである。
本実施形態の筆記具用インキ収容部材Bは、インキ20を中綿等に吸蔵させないで直接貯溜する軸体となるインキタンク部21から構成されるものである。
なお、インキタンク部21の前部には、インキタンク部21内の空気が温度上昇等によって膨張した場合にインキタンク21から押し出されるインキ20をペン先や空気孔からボタ落ちさせないために一時的に保溜するインキ保溜体(コレクター部材)22が内蔵され、コレクター部材22の先端部には繊維芯からなるペン先23が設けられた構成となっている。
インキタンク部21からペン先23へのインキ導出は、コレクター部材22の中心孔に付設されたインキ流路22aを設けた中継芯24を介してインキタンク部21からインキ20をペン先23に導出することにより行われる。
なお、図3中の25はホルダー部材であり、26はインキタンク部11の後部に固着される後部軸体であり、27はキャップである。また、中継芯24を介在させることなく、ペン先23の後部をインキタンク部21内に直接配置してインキの導出を行ってもよい。
このインキ収容容器となるインキタンク部21は、共押し出し成形により成形されるものであり、内層部と外層部からなる二層構造からなり、ポリプロピレンからなる内層部(厚さ1.0mm)と、外層部に酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下となる有機高分子層(本形態では、EVOHからなる層厚さ100μm、エチレンモル比率38mol%)とから構成されている。
【0020】
図4は、本発明の筆記具用インキ収容部材を、撹拌ボールを内蔵したバルブ機構部を有するバルブ式筆記具におけるインキを直接貯溜する軸体(インキ容器)となるインキタンク部に適用したものである。
本実施形態の筆記具用インキ収容部材Cは、インキ30を中綿等に吸蔵させないで直接貯溜する軸体となるインキタンク部31から構成されるものである。
なお、この筆記具には、インクタンク部31内にバルブ機構部32を介在して繊維芯からなるペン先33へインキが供給される構成となっている。なお、図3中の34はホルダー部材であり、35はバルブ機構部32とホルダー部材34間に介在し、ペン先33の後部を保持する保持部材であり、36はキャップであり、37は撹拌ボールである。また、本実施形態は、中継芯を介さないでインキをペン先へ供給するものであるが、中継芯を設け、インキタンク部31からバルブ機構部32、中継芯を介在して繊維芯からなるペン先33へインキを供給する構成にしてもよい。
このインキ収容容器となるインキタンク部31は、共押し出し成形により成形されるものであり、内層部と外層部からなる二層構造からなり、環状ポリオレフィンからなる内層部(厚さ2.0mm)と、外層部に酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下となるEVOHからなる層(厚さ30μm)とから構成されている。
【0021】
図5は、本発明の筆記具用インキ収容部材を、インキを中綿等のインキ吸蔵体に吸蔵させた筆記具のインキタンク部に適用したものである。
本実施形態の筆記具用インキ収容部材Dは、インキを中綿等に吸蔵させたインキ吸蔵体40を収容する軸体となるインキタンク部41から構成されるものである。
このインキ吸蔵体40の前部には繊維芯からなるペン先42の後端部42aが当接されることにより、インキ吸蔵体40のインキがペン先42へ供給される構成となっている。43は、先軸部材、44は軸本体41の後端部に固着された尾栓、45は、キャップである。
このインキ収容容器となるインキタンク部41は、共押し出し成形により成形されるものであり、内層部と外層部からなる二層構造からなり、ポリプロピレンからなる内層部部(厚さ1.0mm)と、外層部に酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下となるEVOHからなるコート層(厚さ50μm)とから構成されている。
【0022】
このように構成される本発明では、水性又は油性の液状インキ、ゲル状インキなどの筆記具用インキを収容するコレクター構造を有する直液筆記具、中綿式筆記具等のインキ収容容器やボールペンのインキ収容管(ボールペンリフィール)等の筆記具用インキ収容部材、すなわち、少なくとも有機高分子層を含む二層以上の多層構造の筆記具用インキ収容部材では、少なくとも酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下の有機高分子層を有する層が設けられることとなるので、筆記具用インキ収容部材に空気中の酸素が透過することがなくなり、インキの劣化防止、並びに香料入りインキの保香性向上、更にはインキの吹き出しを長期間防止することができる筆記具用インキ収容部材が得られることとなる。
また、本発明の多層構造の筆記具用インキ収容部材では、少なくとも酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下の有機高分子層を有する層が設けられるものであるが、筆記具用インキ収容部材等においては窒素ガスよりも酸素ガスの方が透過しやすいので、該酸素透過係数を上記特性値以下にすることにより、窒素ガスの透過も更に抑制できるものとなり、従って、空気及び加圧筆記具に用いる窒素ガスの透過も抑制できるものとなる。従って、加圧ボールペン等の窒素ガスなどによる加圧気体による加圧式筆記具用の筆記具用インキ収容部材においても、インキ収容容器内の窒素ガスなどの加圧気体が容器外に透過することが防止できるものとなるので、インキ収容容器内の内圧低下による筆記不良を長期間防止することができるものとなる。
【0023】
本発明の筆記具用インキ収容部材は、上記実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の形態に変更できることはいうまでもない。
本発明の筆記具用インキ収容部材は、少なくとも上記特性の酸素透過係数の有機高分子層から構成される筆記具用インキ収容部材とすること、または、少なくとも上記特性の酸素透過係数の有機高分子層を含む二層以上の多層構造の筆記具用インキ収容部材とすることを要旨とするので、本発明を各種筆記具に用いた場合には、上記筆記具用インキ収容部材以外の構造は特に限定されるものではなく、ボールペン、サインペン、マーキングペン、筆ペンなどの各種筆記具の構造が適用されるものである。
なお、筆記具用インキ収容部材を酸素透過係数の少ない材質、例えば、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)等の単層構造により構成した場合には、酸素透過が少なくなるが、加湿雰囲気等の環境下にすると、樹脂が空気中の水蒸気で膨潤し、ガスバリア性が低下し、寸法変化等が起こることとなり、本発明の効果を発揮できるものではないものである。
【0024】
【実施例】
次に、本発明を実施例及び比較例に基づき更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0025】
〔実施例1〜8及び比較例1〜2〕
下記方法により各筆記具用インキ収容部材を備えた筆記具を作製した。
(実施例1、直液式サインペン)
下記方法により直液式サインペン用のインキ収容容器を作製した。このインキ収容容器は図3の図示符号21に準拠するものであり、総厚0.75mm、内径7.0mm、長さ90mmである。
接着性PP/EVOH/接着性PP=300μm/150μm/300μmの構成からなるインキ収容部材を共押し出し法により押出し成形することにより得た。総厚750μm(0.75mm)。接着性PPとしては、接着性ポリオレフィン樹脂「アドテックス」(日本ポリオレフィン社製)を用いた。
用いた接着性PPの酸素透過係数は、25℃Dryで約5×10−9(cc・cm/cm・sec・cmHg)であった。
また、用いたEVOHは、エチレンモル比率が28mol%となるものであり、この酸素透過係数は、25℃Dryで約5×10−14(cc・cm/cm・sec・cmHg)であった。
これにより、インキ収容容器の全体の酸素透過係数Pは約2.5×10−13(cc・cm/cm・sec・cmHg・25℃)であった。
このインキ収容容器を用いて図3に示す直液式サインペンを組み立た。
【0026】
(実施例2、直液式サインペン)
下記方法により直液式サインペン用のインキ収容容器を作製した。このインキ収容容器は図3の図示符号21に準拠するものであり、総厚0.8mm、内径7.0mm、長さ90mmである。
PP(内層)/接着性PP/PET(外層)=700μm/50μm/50μm=800μmの肉厚を有するチューブ状のインキ収容部材を共押し出し成形することにより得た。
用いたPP及び接着性PPの酸素透過係数は、25℃Dryで約5×10−9(cc・cm/cm・sec・cmHg)であった。
用いたPETの酸素透過係数は、25℃Dryで約5×10−11(cc・cm/cm・sec・cmHg)であった。
これにより、インキ収容容器の全体の酸素透過係数Pは約6×10−11(cc・cm/cm・sec・cmHg・25℃)であった。
このインキ収容容器を用いて図3に示す直液式サインペンを組み立た。
【0027】
(実施例3、直液式サインペン)
上記実施例1において、インキ収容容器用材料と用いたPP樹脂(J226E、三井石油化学社製)100重量部に対して石油樹脂(アルコンP−100、荒川化学工業社製)5重量部を配合した樹脂組成物を用いてPP製インキ収容容器を実施例1と同寸法のものを共押出し成形により作製した。総厚750μm(0.75mm)。
用いた接着性PPの酸素透過係数は、25℃Dryで約5×10−9(cc・cm/cm・sec・cmHg)であった。
用いたEVOHは、エチレンモル比率が28mol%となるものであり、この酸素透過係数は、25℃Dryで約5×10−14(cc・cm/cm・sec・cmHg)であった。
これにより、インキ収容容器の全体の酸素透過係数Pは約2.5×10−13(cc・cm/cm・sec・cmHg・25℃)であった。
このインキ収容容器を用いて図3に示す直液式サインペンを組み立た。
【0028】
(実施例4、直液式サインペン)
下記方法により直液式サインペン用のインキ収容容器を作製した。このインキ収容容器は図3の図示符号21に準拠するものであり、総厚0.75mm、内径7.0mm、長さ90mmである。
接着性PP/EVOH/接着性PP=300μm/150μm/300μmの構成からなるインキ収容部材を共押し出し法により押出し成形することにより得た。総厚750μm(0.75mm)。接着性PPとしては、接着性ポリオレフィン樹脂「モディック−AP」(三菱化学社製)を用いた。
用いたPPの酸素透過係数は、25℃Dryで約5×10−9(cc・cm/cm・sec・cmHg)であった。
用いたEVOHは、エチレンモル比率が23mol%となるものであり、この酸素透過係数は、25℃Dryで約5×10−14(cc・cm/cm・sec・cmHg)であった。
このPP製リフィールの全体の酸素透過係数Pは約9.8×10−11(cc・cm/cm・sec・cmHg)であった。
このインキ収容容器を用いて図3に示す直液式サインペンを組み立た。
【0029】
(実施例5、直液式サインペン)
上記実施例1において、インキ収容容器用材料と用いたPP樹脂(J226E、三井石油化学社製)100重量部に対して石油樹脂(アルコンP−100、荒川化学工業社製)5重量部を配合した樹脂組成物を用いてPP製インキ収容容器を実施例1と同寸法のものを共押出し成形により作製した。総厚750μm(0.75mm)。
用いた接着性PPの酸素透過係数は、25℃Dryで約5×10−9(cc・cm/cm・sec・cmHg)であった。
用いたEVOHは、エチレンモル比率が28mol%となるものであり、この酸素透過係数は、25℃Dryで約5×10−14(cc・cm/cm・sec・cmHg)であった。
これにより、インキ収容容器の全体の酸素透過係数Pは約2.5×10−13(cc・cm/cm・sec・cmHg・25℃)であった。
このインキ収容容器を用いて図3に示す直液式サインペンを組み立た。
【0030】
(実施例6、ボールペン)
下記方法によりボールペン用のインキ収容容器(リフィール)を作製した。このインキ収容容器は図2の図示符号11に準拠するものであり、総厚0.7mm、内径4.0mm、長さ120mmである。
接着性PP(内層)/EVOH(外層)=500μm/200μmの構成からなるインキ収容部材を共押し出し法により押出し成形することにより得た。総厚700μm(0.7mm)。接着性PPとしては、接着性ポリオレフィン樹脂「モディック−AP502」(三菱化学社製)を用いた。
用いた接着性PPの酸素透過係数は、25℃Dryで約5×10−9(cc・cm/cm・sec・cmHg)であった。
また、用いたEVOHは、エチレンモル比率が28mol%となるものであり、この酸素透過係数は、25℃Dryで約5×10−14(cc・cm/cm・sec・cmHg)であった。
これにより、インキ収容容器(リフィール)全体の酸素透過係数Pは約1.8×10−13(cc・cm/cm・sec・cmHg・25℃)であった。
このインキ収容容器を用いて図1及び2に示すボールペンリフィールを組み立た。
【0031】
(実施例7、ボールペン)
下記方法によりボールペン用のインキ収容容器(リフィール)を作製した。このインキ収容容器は図2の図示符号11に準拠するものであり、総厚0.7mm、内径4.0mm、長さ120mmである。
PP(内層)/接着性PP(中間層)/EVOH(外層)=550μm/50μm/100μmの構成からなるインキ収容部材を共押し出し法により押出し成形することにより得た。総厚700μm(0.7mm)。接着性PPとしては、接着性ポリオレフィン樹脂「モディック−AP502」(三菱化学社製)を用いた。
用いた接着性PPの酸素透過係数は、25℃Dryで約5×10−9(cc・cm/cm・sec・cmHg)であった。
また、用いたEVOHは、エチレンモル比率が28mol%となるものであり、この酸素透過係数は、25℃Dryで約5×10−14(cc・cm/cm・sec・cmHg)であった。
これにより、インキ収容容器(リフィール)全体の酸素透過係数Pは約3.5×10−13(cc・cm/cm・sec・cmHg・25℃)であった。
このインキ収容容器を用いて図1及び2に示すボールペンリフィールを組み立た。
【0032】
(実施例8、ボールペン)
下記方法によりボールペン用のインキ収容容器(リフィール)を作製した。このインキ収容容器は図2の図示符号11に準拠するものであり、総厚0.7mm、内径4.0mm、長さ120mmである。
PP(内層)/接着性PP/EVOH(中間層)/接着性PP/PP(外層)=250μm/50μm/100μm/50μm/250μmの構成からなるインキ収容部材を共押し出し法により押出し成形することにより得た。総厚700μm(0.7mm)。接着性PPとしては、接着性ポリオレフィン樹脂「モディック−AP502」(三菱化学社製)を用いた。
用いた接着性PPの酸素透過係数は、25℃Dryで約5×10−9(cc・cm/cm・sec・cmHg)であった。
また、用いたEVOHは、エチレンモル比率が28mol%となるものであり、この酸素透過係数は、25℃Dryで約5×10−14(cc・cm/cm・sec・cmHg)であった。
これにより、インキ収容容器(リフィール)全体の酸素透過係数Pは約2.4×10−13(cc・cm/cm・sec・cmHg・25℃)であった。
このインキ収容容器を用いて図1及び2に示すボールペンリフィールを組み立た。
【0033】
(比較例1)
射出成形により直液筆記具用のPP製インキ収容容器を作製した。このPP製インキ収容容器は図3の図示符号21に準拠するものであり、肉厚1.0mm、内径7mm、長さ50mmである。PPの酸素透過係数は、25℃Dryで約5×10−9(cc・cm/cm・sec・cmHg)であった。
このPP製インキ収容容器を用いて図3に示す直液式サインペンを組み立た。
【0034】
(比較例2)
射出成形により直液筆記具用のPP製インキチューブ(リフィール)を作製した。このPP製インキリフィールは図1(a)の図示符号Aに準拠するものであり、肉厚0.5mm、内径4mm、長さ120mmである。PPの酸素透過係数は、25℃Dryで約5×10−9(cc・cm/cm・sec・cmHg)であった。
【0035】
得られた各筆記具等について、下記各組成のインキを充填し、各直液式サインペン、図2に示すボールペンについて、下記各方法によりインキの吹き出し性、保香性について評価した。
これらの結果を下記表1〜4に示す。
【0036】
上記実施例1〜3及び比較例1は下記直液筆記具用インキ組成▲1▼、直液筆記具用インキ組成▲2▼(香料タイプ)各1gを充填した。また、上記実施例4〜5及び比較例2は、下記直液筆記具用インキ組成▲3▼、直液筆記具用インキ組成▲4▼(香料タイプ)各1gを充填した。更に、実施例6〜8は、下記ボールペン用インキ組成▲5▼各1gを充填した。
(直液筆記具用インキ組成▲1▼、全量100重量%)
C.I.Direct Black−154                  4.5
C.I.Direct Black−19                   1.5
エチレングリコール                  10.0
グリセリン                      10.0
pH調整剤                       0.3
防腐剤(プロキセルGXL)               0.5
固着性樹脂(スチレンアクリル酸樹脂、アンモニア中和)  3.0
界面活性剤(インゲンP、第一製薬工業社製)       0.2
精製水                         残部
【0037】
(直液筆記具用インキ組成▲2▼香料タイプ、全量100重量%)
C.I.Direct Black−154                  4.5
C.I.Direct Black−19                   1.5
プロピレングリコール                 10.0
グリセリン                      10.0
香料(1−メントール)                 1.3
pH調整剤                       0.3
防腐剤(プロキセルGXL)               0.5
固着性樹脂(スチレンアクリル酸樹脂、アンモニア中和)  3.0
界面活性剤(インゲンP、第一製薬工業社製)       0.2
精製水                         残部
【0038】
(直液筆記具用インキ組成▲3▼、全量100重量%)
C.I.Direct Black−154                  4.5
C.I.Direct Black−19                   1.5
エチレングリコール                  10.0
グリセリン                      10.0
ゲル化剤(キサンタンガム)               0.3
防腐剤(プロキセルGXL)               0.5
固着性樹脂(スチレンアクリル酸樹脂、アンモニア中和)  3.0
界面活性剤(インゲンP、第一製薬工業社製)       0.2
精製水                         残部
【0039】
(直液筆記具用インキ組成▲4▼香料タイプ、全量100重量%)
C.I.Direct Black−154                  4.5
C.I.Direct Black−19                   1.5
プロピレングリコール                 10.0
グリセリン                      10.0
香料(1−メントール)                 1.3
ゲル化剤(キサンタンガム)               0.3
防腐剤(プロキセルGXL)               0.5
固着性樹脂(スチレンアクリル酸樹脂、アンモニア中和)  3.0
界面活性剤(インゲンP、第一製薬工業社製)       0.2
精製水                         残部
【0040】
(ボールペン用インキ組成▲5▼、全量100重量%)
蛍光トナー(NKW−3905、日本蛍光社製)      15
グリセリン                       20
トリエタノールアミン                0.10
ゲル化剤(キサンタンガム)             0.25
防腐剤(プロキセルGXL)             0.10
精製水                         残部
【0041】
(インキの吹き出し性の評価法)
50℃Dry(25%RH)環境下、35℃・湿度35%環境下、40℃Dry(30%RH)環境下で、キャップした状態でペン先を下向き保存し、1カ月、3カ月、6カ月保存したときのペンの状態を下記評価基準にて評価した。
評価基準:
◎:インキの吹き出しが全くない。
○:インキの吹き出しがやっと肉眼で確認できるが、実用上問題ない。
△:インキの吹き出しがややある。
×:インキの吹き出しがある。
【0042】
(保香性の評価法)
50℃Dry(25%RH)環境下で、キャップした状態でペン先を下向き保存し、1カ月、3カ月、6カ月保存したものを筆記して描線のメントールの香りを下記評価基準にて評価した。
評価基準:
◎:初期(保存前)と全く変わらない香りがする。
○:初期(保存前)に較べやや香りが弱くなっているが実用上全く問題ない。
△:香りがやや弱っている。
×:殆ど香りがない。
【0043】
【表1】
Figure 2004025446
【0044】
【表2】
Figure 2004025446
【0045】
【表3】
Figure 2004025446
【0046】
【表4】
Figure 2004025446
【0047】
上記表1〜4の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜8は、本発明の範囲外となる比較例1〜2に較べ、筆記具用インキ収容部材に空気中の酸素が透過することがなくなるので、インキの吹き出しを長期間防止することができると共に、香料入りインキの保香性を向上することができる筆記具用インキ収容部材(筆記具用インキを収容するコレクター構造を有する直液筆記具、ボールペンのインキ収容管)であることが判明した。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、筆記具用インキ収容部材に空気中の酸素、窒素ガス等が透過することがなくなり、インキの劣化防止、並びに香料入りインキの保香性向上、更にはインキの吹き出しを長期間防止することができる筆記具用インキ収容部材が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の筆記具用インキ収容部材をボールペン用インキ収容管に適用した一例を断面態様で示す縦断面図であり、(b)は、その要部を示す部分横断面図である。
【図2】図1のボールペン用インキ収容管を備えたボールペンの縦断面図である。
【図3】本発明の筆記具用インキ収容部材を直液式サインペンに適用した一例を示す縦断面図である。
【図4】本発明の筆記具用インキ収容部材をバルブ機構を備えた筆記具に適用した一例を示す断面図である。
【図5】本発明の筆記具用インキ収容部材をインキを中綿等のインキ吸蔵体に吸蔵させた筆記具に適用した一例を示す断面図である。
【符号の説明】
11  インキ収容管
11a 本体層
11b コート層

Claims (11)

  1. 筆記具用インキを収容する有機高分子から構成される筆記具用インキ収容部材であって、該筆記具用インキ収容部材は少なくとも酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下の有機高分子を含む多層構造からなることを特徴とする筆記具用インキ収容部材。
  2. 請求項1記載の多層構造からなる筆記具用インキ収容部材において、酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下の有機高分子を最外層と最内層の間に一層以上設けられていることを特徴とする筆記具用インキ収容部材。
  3. 請求項1又は2記載の多層構造の筆記具用インキ収容部材において、酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下の有機高分子以外の有機高分子がポリオレフィン系有機高分子であることを特徴とする筆記具用インキ収容部材。
  4. 酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下の有機高分子がエチレンビニルアルコール共重合体であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の筆記具用インキ収容部材。
  5. エチレンビニルアルコール共重合体のエチレンモル比率が80mol%以下であることを特徴とする請求項4に記載の筆記具用インキ収容部材。
  6. ポリオレフィン系有機高分子がポリプロピレン、ポリエチレン、環状ポリオレフィン、ポリメチルペンテンから選ばれるものであることを特徴とする請求項3〜5の何れか一つに記載の筆記具用インキ収容部材。
  7. 酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下の有機高分子の層が、接着性が改質された改質又は変性ポリオレフィン系有機高分子と片面又は両面で接していることを特徴とする請求項3〜6の何れか一つに記載の筆記具用インキ収容部材。
  8. 筆記具用インキ収容部材が筆記具用インキ収容容器又はインキ収容管であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一つに記載の筆記具用インキ収容部材。
  9. 請求項1〜8の何れか一つに記載の多層構造の筆記具用インキ収容部材において、その総厚が0.5〜5.0mmであり、酸素透過係数が25℃Dryで10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下の有機高分子層の総厚が0.1〜2000μmであることを特徴とする筆記具用インキ収容部材。
  10. 請求項1〜9の何れか一つに記載の多層構造の筆記具用インキ収容部材において、多層構造を構成する各層の層厚をL1、L2、……Lnとし、各層の有機高分子の酸素透過係数をP1、P2、……Pnとしたときに、多層構造からなる筆記具用インキ収容部材全体の酸素透過係数Pを下記式(I)で定義したときに、この全酸素透過係数Pが10−10(cc・cm/cm・sec・cmHg)以下であることを特徴とする筆記具用インキ収容部材。
    (L1+L2+…+Ln)/P=L1/P1+L2/P2+…+Ln/Pn
    ……………(I)
  11. 請求項1〜10の何れか一つに記載の多層構造の筆記具用インキ収容部材が、共押し出し法、多色ブロー、二色成形、多色成形の何れかにより製造されることを特徴とする筆記具用インキ収容部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006519718A (ja) * 2003-02-28 2006-08-31 ビック コーポレイション 透明又は半透明の管状構造体
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JP2018187831A (ja) * 2017-05-02 2018-11-29 株式会社パイロットコーポレーション 筆記具用水性インキ収容体

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