JP2016101703A - 筆記具レフィル及びそれを収容した筆記具 - Google Patents
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Abstract
Description
前記操作体や継手部材を連結した筆記具レフィルでは、操作体や継手部材をインキ色に着色することで出没操作や筆記具本体との接続部としての本来の機能の他、単体での陳列時や筆記具収容状態でレフィルに内蔵されるインキ色が一目で分かるため、特に有用な構成となっている。
しかしながら、熱可塑性樹脂によるインキ収容管を用いた場合、経時や温度変化等の環境負荷によって変形や収縮を生じることがある。その際、操作体や継手部材とインキ収容管との連結力が弱くなるため、レフィル交換時に筆記具本体から使用済レフィルを引き抜く際に操作体や継手部材がインキ収容管から外れてしまう虞がある。
尚、本発明において「前」とは、ペン先側を示し、「後」とは、ペン先の軸方向逆側を示す。
更に、前記樹脂コート層がエチレンビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれる樹脂のいずれかであること、前記樹脂コート層が複合成形により形成されることを要件とする。
更に、前記無機蒸着層が酸化アルミ、酸化珪素、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化スズから選ばれる酸化物であることを要件とする。
更に、前記操作体又は継手部材がインキ収容管内に挿入嵌合されることを要件とする。
更には、前記いずれかに記載の筆記具レフィルを単数本又は複数本収容した筆記具を要件とし、前記筆記具が操作体を連結した筆記具レフィルを収容しており、レフィル交換時に操作体を把持して引き抜く構造であることを要件とする。
更に、前記筆記具が継手部材を連結した筆記具レフィルを収容しており、レフィル交換時にインキ収容管を把持して引き抜く構造であること、前記継手部材が筆記具本体及びインキ収容管に嵌合されており、インキ収容管との嵌合力が筆記具本体との嵌合力よりも大きいことを要件とする。
前記ペン先としては、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップ等のマーキングペンチップやボールペンチップが適用できる。マーキングペンチップの先端は、砲弾型、チゼル型、筆ペン型等いずれであってもよい。
前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等の0.1〜1.5mm径程度のものが適用できるが、好ましくは0.3〜1.0mm、より好ましくは0.3〜0.7mmのものが用いられる。
前記樹脂コート層としては、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリエステル樹脂等が耐劣化性が高い点から好ましく、このうちの一種以上をインキ収容管の熱可塑性樹脂に対して少なくとも一層(二層以上の何層構造であってもよい)を積層することで形成される。
前記エチレンビニルアルコール共重合体樹脂としては株式会社クラレ製、商品名:エバールが挙げられる。前記塩化ビニリデン樹脂は、塩化ビニリデン共重合体樹脂を用いることもでき、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体、塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、塩化ビニリデン−メタクリレート共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体等を例示できる。
また、前記インキ収容管に樹脂コート層を形成する方法としては、熱可塑性樹脂で成形加工された成形体に、二色成形等の複合成形や、塗布、印刷等の手段により直接樹脂コート層を形成してもよいし、間接的に接着層を設けた方法であってもよい。尚、樹脂コート層と熱可塑性樹脂の間には、接着材を用いることができ、特に樹脂材料からなるものが好適である。
前記無機蒸着層は、インキ収容管の外面や内面の他、中間層(即ち、金属酸化物が露出した部分を更に熱可塑性樹脂でコーティングした状態)として設けることができる。好ましくは、作業性に優れると共に、熱可塑性樹脂に無機蒸着層を確実に密着できることから、プラズマを利用したプラズマ製膜法、化学的気相法(CVD法)、真空蒸着法、蒸発源内の分子に電子ビームを照射して加熱・蒸発させて膜を形成するイオンプレーティング法、スパッタリング法が用いられる。そのため、インキ収容管の一番内側(内面層)や一番外側(外面層)に形成したものが好ましい。尚、中間層とする場合には、樹脂フィルム表面に前記方法で無機蒸着層を形成した後、熱可塑性樹脂表面に貼着する方法が好ましい。この方法をとる場合、無機蒸着層が内面になるように貼着する他、外面になるように貼着してもかまわない。尚、貼着用の接着材としては汎用のものが適用できる。
また、熱可塑性樹脂単独で用いた場合に比べ、酸素透過を低減できるため、外側からインキ収容管内(インキ側)への酸素難透過性を付与できる。
特に軸筒内に複数の筆記具レフィルを収容し、出没機構の作動によっていずれかの筆記具レフィルの筆記先端部が軸筒前端開口部から出没する複合筆記具の場合、軸筒の外径を小さくして握持し易くするため、インキ収容管の外径を小さく設計する必要がある。更に、インキ量が少なくなることを防止するため、インキ収容管の肉厚を極力薄くする必要があるため、変形し易いものとなる。この点からも本発明の積層部分を全体に備えたインキ収容管の適用は特に有用な要件となる。
尚、前記インキ収容管は、インキ残量を視認できるように透明性を有することが好ましいため、前述の樹脂コート層や無機蒸着層は透明性を有するものが好適である。
前記継手部材は、インキ収容管の後端に連結されており、筆記具本体の軸筒内に収容した状態では、軸筒後端や回転摺動体、スライドレバー等に嵌合等の方法で接続保持される。その際、筆記具本体側の接続力は、継手部材とインキ収容管との連結力よりも小さく設定され、レフィル交換時にインキ収容管を引き抜いた際に継手部材も一緒に外れるように構成される。
前記着色剤としては、水性媒体に溶解もしくは分散可能な染料及び顔料がすべて使用可能であり、その具体例を以下に例示する。
前記染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等を使用することができる。
酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、アシッドバイオレット6B(C.I.42640)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)、アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
塩基性染料としては、クリソイジン(C.I.11270)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
直接染料としては、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
その他、パール顔料、金色、銀色のメタリック顔料、蓄光性顔料、修正ペン等に用いられる二酸化チタン等の白色顔料、アルミニウム等の金属粉を例示できる。
更に、熱変色性組成物、光変色性組成物、香料等や、これらをマイクロカプセル化したカプセル顔料等を例示できる。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた加熱消色型のマイクロカプセル顔料が適用できる。
更に、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている比較的大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示すものや、特開2006−137886号公報、特開2006−188660号公報、特開2008−45062号公報、特開2008−280523号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度以上の高温域での消色状態が、特定温度域で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させ加熱消色型のマイクロカプセル顔料も適用できる。
尚、筆記具インキに適用される、前記色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物として具体的には、完全発色温度を冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち−50〜0℃、好ましくは−40〜−5℃、より好ましくは−30〜−10℃、且つ、完全消色温度を摩擦体による摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち50〜95℃、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜80℃の範囲に特定し、ΔH値を40〜100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
更に、潤滑剤を添加することができ、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、リン酸エステル系活性剤、N−アシルアミノ酸系界面活性剤、ジカルボン酸型界面活性剤、β−アラニン型界面活性剤、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールやその塩やオリゴマー、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、α−リポ酸、N−アシル−L−グルタミン酸とL−リジンとの縮合物やその塩等が用いられる。
また、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピペリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、N−ビニル−ε−カプロラクタムのオリゴマー等の増粘抑制剤を添加することで、出没式形態での機能を高めることもできる。
更に、尿素、ノニオン系界面活性剤、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤を一種又は二種以上添加することもできる。
前記剪断減粘性付与剤としては、水に可溶乃至分散性の物質が効果的であり、キサンタンガム、ウェランガム、ゼータシーガム、ダイユータンガム、マクロホモプシスガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する炭水化物、ポリN−ビニル−カルボン酸アミド架橋物、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、HLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩やアミン塩等を例示できる。更には、インキ組成物中にN−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤を併用して添加してもよい。
前記着色剤としては、有機溶剤に溶解もしくは分散可能な染料及び顔料がすべて使用可能であり、その具体例を以下に例示する。
前記染料としては、従来公知の油溶性染料を用いることができ、具体的には、ローダミンBベース(C.I.45170B、田岡染料製造(株))、ソルダンレッド3R(C.I.21260、中外化成(株))、メチルバイオレット2Bベース(C.I.42535B、米国、National Aniline Div.社製)、ビクトリアブルーF4R(C.I.42563B)、ニグロシンベースLK(C.I.50415)(以上、独国、BASF社製)、バリファーストイエロー♯3104(C.I.13900A)、バリファーストイエロー♯3105(C.I.18690A)、オリエントスピリットブラックAB(C.I.50415)、バリファーストブラック♯3804(C.I.12195)、バリファーストイエロー♯1109、バリファーストオレンジ♯2210、バリファーストレッド♯1320、バリファーストブルー♯1605、バリファーストバイオレット♯1701(以上、オリエント化学工業(株)社製)、スピロンブラックGMHスペシャル、スピロンイエローC−2GH、スピロンイエローC−GNH、スピロンレッドC−GH、スピロンレッドC−BH、スピロンブルーC−RH、スピロンバイオレットC−RH、S.P.T.オレンジ6,S.P.T.ブルー111(以上、保土ヶ谷化学工業(株)製)などが例示できる。更に、C.I.ベーシックブルー1、同7、同8、C.I.ベーシックバイオレット1、同3、C.I.ベーシックレッド1等の塩基染料とC.I.アシッドイエロー23、同36等から選ばれる酸性染料との造塩染料等が例示できる。
更に、その他の顔料として、蛍光顔料、パール顔料、蓄光顔料、金属顔料、複合金属顔料、金属酸化物顔料、熱変色性顔料等を使用することもできる。
例えば、W/O型としては、極性溶剤とポリビニルピロリドン等の曳糸性付与剤を含む油性成分中に、水と多価アルコールと剪断減粘性付与剤と着色剤とを含む水性成分が分散されてなるものが例示でき、O/W型としては、着色剤と有機溶剤とショ糖脂肪酸エステルとアシル乳酸ナトリウムとを含む油性成分を、水中に乳化分散したものが例示できる。
尚、前記エマルションインキを構成する組成は、前述の水性インキと油性インキで例示した組成物から適宜組み合わせて適用できる。
前記インキ逆流防止体としては、液状または固体のいずれを用いることもでき、前記液状のインキ逆流防止体としては、ポリブテン、α−オレフィンオリゴマー、シリコーン油、精製鉱油等の不揮発性媒体が挙げられ、所望により前記媒体中にシリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、脂肪酸アマイド等を添加することもできる。また、固体のインキ逆流防止体としては樹脂成形物が挙げられる。前記液状及び固体のインキ逆流防止体は併用することも可能である。
尚、前記筆記具は、軸筒内に一本の筆記具レフィルを収容したもの以外に、複数の筆記具レフィルを収容してなる複合タイプの出没式筆記具であってもよい。その場合、シャープペンシルユニット、消しゴムユニット、タッチペンユニット、摩擦体ユニット等、各レフィルの後端に操作体や継手部材が接続されたユニットを併用することもできる。
前記ノック式は、軸筒後端部や軸筒側面にノック部を有し、該ノック部の押圧により、筆記具レフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成、或いは、軸筒に設けたクリップ部を押圧することにより、筆記具レフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記回転式は、軸筒に回転部(後軸等)を有し、該回転部を回すことにより筆記具レフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記スライド式は、軸筒側面にスライド部を有し、該スライドを操作することにより筆記具レフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成、或いは、軸筒に設けたクリップ部をスライドさせることにより、筆記具レフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。尚、操作体付レフィルを用いる場合、前記スライド部がレフィルの操作体として機能する構造となる。
尚、実施例中の部は質量部であり、樹脂のメルトフローレート(MFR)は、JIS K 6921−2に準じて測定された値である。
実施例1
黒色水性インキ組成物の調製
黒色染料5.0部、キサンタンガム0.5部、N-ビニル−2−ピロリドンオリゴマー10.0部、防黴剤0.3部、潤滑剤0.5部、トリエタノールアミン1.0部、水82.7部からなる黒色水性インキ組成物6を調製した。
第一層(内層)として、熱可塑性樹脂部41であるポリプロピレン〔MFR:1〜10〕、第二層(中間層)として樹脂コート層42であるエチレンビニルアルコール共重合樹脂、第三層(外層)としてポリプロピレン〔MFR:1〜10〕を用いて、押し出し成形機(多層押し出し金型、3種3層)により内径1.7mm、外径3.1mm厚の形で筒状に押し出し成形し、長さを85mmに切断してインキ収容管4を作製した。
尚、前記インキ収容管4の第一層の肉厚は、0.48mm、第二層の肉厚は0.05mm、第三層の肉厚は0.17mmであった。
前記インキ収容管4の先端に、金属パイプの先端近傍を押圧変形させて形成したボール抱持部に0.3mm超硬ボールを抱持したボールペンチップ2を接続部材3を介して固着した後、前記水性インキ組成物6を充填し、次いで、ポリブテンを主成分とするインキ追従体(液栓61)をインキ6と接触するように充填した。更に、インキ収容管4の後端部内側に、黒色不透明の樹脂成形体からなる操作体5の前端が挿入嵌合することで操作体付ボールペンレフィル(筆記具レフィル1)を得た。尚、図面に記載はないが、ペン先にはボールを前方に押圧するスプリングが内蔵されている。
後端開口部に開閉自在な蓋体95を有するとともに、後端から軸方向に連接するように軸筒9の側壁に4本の窓孔94が等間隔に設けられたクリップ97付筆記具本体8(各窓孔94の軸方向前方の内部にはスプリングが配設されている)に対し、前記窓孔94から操作体5が突出するように、軸筒9の後端開口部から各レフィル1を挿入し、蓋体95を閉鎖することで、操作体5のスライド操作により各レフィル1の筆記先端部2を選択的に出没させる複合式ボールペン(筆記具7)を得た。尚、各レフィル1は、蓋体95を開放して操作体5を把持した後、軸方向後方に引き抜くことで容易に取り出すことができるため、交換性が高いものとなる。
前記実施例1のボールペンのうち、インキ収容管4をポリプロピレン単独で構成した以外は同様にして複合式ボールペン7を得た。
得られたボールペンと、実施例1で作製したボールペンを、横置き状態で50℃の環境下に90日間放置した後、各複合ボールペンの筆記具本体8から操作体5を把持してレフィル1を引き抜き、再び収納するという動作を繰り返したところ、実施例の操作体付ボールペンレフィル1は問題なく繰り返すことができた。これに対して比較例の操作体付ボールペンレフィル1では操作体5がインキ収容管4から外れてしまうものや、連結箇所が曲がってしまうものや、インキ収容管4が湾曲してしまうものがあった。
また、実施例の操作体付ボールペンレフィル1内は初期と変化がないのに対して、比較例の操作体付ボールペンレフィル1内にはエアが発生しており、インキ6と液栓61との界面が分離していた。
前記各筆記具7を用いて、室温にてJIS P3201筆記用紙Aに螺旋状の丸を連続筆記した。その際、実施例の操作体付ボールペンレフィル1はインキ6を最後まで書き切ることができたのに対して、比較例の操作体付ボールペンレフィル1は途中で書けなくなるものや筆記不能なものがあった。
インキ収容管の作製
第一層(内層)として、熱可塑性樹脂であるポリプロピレン〔MFR:1〜10〕、第二層としてポリオレフィン系接着樹脂、第三層として樹脂コート層であるエチレンビニルアルコール共重合樹脂、第四層としてポリオレフィン系接着樹脂、第五層(外層)としてポリプロピレン〔MFR:1〜10〕を用いて、押し出し成形機(多層押し出し金型、5種5層)により内径1.7mm、外径3.1mm厚の形で筒状に押し出し成形し、長さを85mmに切断してインキ収容管を作製した。
尚、前記インキ収容管の第一層の肉厚は、0.45mm、第二層の肉厚は0.03mm、第三層の肉厚は0.05mm、第四層の肉厚は、0.03mm、第五層の肉厚は0.14mmであった。
また、実施例1と同様にして、赤色、青色及び緑色の3色の水性インキ組成物及び操作体を有する操作体付ボールペンレフィルを得た。
更に、実施例1で用いた筆記具本体8に対し、軸筒9の後端開口部から各レフィル1を挿入して蓋体95を閉鎖することで複合式ボールペン(筆記具7)を得た。
前記実施例2のボールペンのうち、インキ収容管をポリプロピレン単独で構成した以外は同様にして複合式ボールペンを得た。
得られたボールペンと、実施例2で作製したボールペンを、横置き状態で50℃の環境下に90日間放置した後、各複合ボールペンの筆記具本体から操作体を把持してレフィルを引き抜き、再び収納するという動作を繰り返したところ、実施例の操作体付ボールペンレフィルは問題なく繰り返すことができた。これに対して比較例の操作体付ボールペンレフィルでは操作体がインキ収容管から外れてしまうものや、連結箇所が曲がってしまうものや、インキ収容管が湾曲してしまうものがあった。
また、実施例の操作体付ボールペンレフィル内は初期と変化がないのに対して、比較例の操作体付ボールペンレフィル内にはエアが発生しており、インキと液栓との界面が分離していた。
前記各筆記具を用いて、室温にてJIS P3201筆記用紙Aに螺旋状の丸を連続筆記した。その際、実施例の操作体付ボールペンレフィルはインキを最後まで書き切ることができたのに対して、比較例の操作体付ボールペンレフィルは途中で書けなくなるものや筆記不能なものがあった。
インキ収容管の作製
熱可塑性樹脂であるポリプロピレン〔MFR:1〜10〕を用いて、押し出し成形機により内径1.7mm、外径3.1mm厚の形で筒状に押し出し成形し、長さを85mmに切断してインキ収容管を作製した。
更に、前記インキ収容管の外側に、プラズマCVD製膜法で0.1μmのSiOx膜層を積層することで無機蒸着層を形成してインキ収容管を得た。
また、実施例1と同様にして、赤色、青色及び緑色の3色の水性インキ組成物及び操作体を有する操作体付ボールペンレフィル1を得た。
更に、実施例1で用いた筆記具本体8に対し、軸筒9の後端開口部から各レフィル1を挿入して蓋体95を閉鎖することで複合式ボールペン(筆記具7)を得た。
前記実施例3のボールペンのうち、インキ収容管をポリプロピレン単独で構成した以外は同様にして複合式ボールペンを得た。
得られたボールペンと、実施例3で作製したボールペンを、横置き状態で50℃の環境下に90日間放置した後、各複合ボールペンの筆記具本体から操作体を把持してレフィルを引き抜き、再び収納するという動作を繰り返したところ、実施例の操作体付ボールペンレフィルは問題なく繰り返すことができた。これに対して比較例の操作体付ボールペンレフィルでは操作体がインキ収容管から外れてしまうものや、連結箇所が曲がってしまうものや、インキ収容管が湾曲してしまうものがあった。
また、実施例の操作体付ボールペンレフィル内は初期と変化がないのに対して、比較例の操作体付ボールペンレフィル内にはエアが発生しており、インキと液栓との界面が分離していた。
前記各筆記具を用いて、室温にてJIS P3201筆記用紙Aに螺旋状の丸を連続筆記した。その際、実施例の操作体付ボールペンレフィルはインキを最後まで書き切ることができたのに対して、比較例の操作体付ボールペンレフィルは途中で書けなくなるものや筆記不能なものがあった。
インキ収容管の作製
実施例3で作製したポリプロピレン製のインキ収容管41の外面に、凸版印刷(株)製のGL−AUフィルム(厚み10μmPETを基材に1μmのAl2O3層(無機蒸着層43)とホットメルト接着剤層を有した多層複合フィルム)を接合溶着することで、熱可塑性樹脂部41の外面に無機蒸着層43を積層した構造のインキ収容管4を得た。
前記インキ収容管4の先端に、金属柱を切削して形成したボール抱持部に0.5mm超硬ボールを抱持したボールペンチップ2を接続部材3を介して固着した後、前記実施例1の水性インキ組成物6を充填し、次いで、ポリブテンを主成分とするインキ追従体(液栓61)をインキと接触するように充填した。更に、インキ収容管4の後端部内側に、黒色不透明の樹脂成形体からなる継手部材5′の前端を挿入嵌合することで継手部材付ボールペンレフィル1を得た。
前後方向に分割可能に螺合された筆記具本体の後軸92に、後軸側壁に3本の窓孔94が等間隔に設けられ、前記窓孔94からスライドレバー96が突出するように設けられるとともに、各スライドレバー96の軸方向前方にスプリングが配設されてなる筆記具本体8を外装として用いた。尚、前記スライドレバー96は透明樹脂からなり、その前端には、継手部材5′の後端が挿入嵌合できる孔部が設けられている。そのため、嵌合時には嵌合部分が色表示機能を発現する。前記スライドレバー96のうち1本はクリップ97形状に成形されている。
前記筆記具本体8の軸筒9を分割した後、各レフィル1をスライドレバー96の前端に挿入し、前軸91を螺合することで、スライドレバー96の操作により各レフィル1の筆記先端部2を選択的に出没させる複合式ボールペン(筆記具7)を得た。尚、各レフィル1は、軸筒9を分割してインキ収容管4を把持した後、軸方向前方に引き抜くことで容易に取り外すことができるため、交換性が高いものである。
前記実施例4のボールペン7のうち、インキ収容管4をポリプロピレン単独で構成した以外は同様にして複合式ボールペンを得た。
得られたボールペンと、実施例4で作製したボールペン7を、横置き状態で50℃の環境下に90日間放置した後、各複合ボールペン7の筆記具本体8からインキ収容管4を把持してレフィル1を引き抜き、再び収納するという動作を繰り返したところ、実施例の継手部材付ボールペンレフィル1は問題なく繰り返すことができた。これに対して比較例の継手部材付ボールペンレフィルでは継手部材5′がインキ収容管4から外れてしまいスライドレバー96に嵌合したままとなった。
また、実施例の継手部材付ボールペンレフィル1内は初期と変化がないのに対して、比較例の継手部材付ボールペンレフィル内にはエアが発生しており、インキ6と液栓61との界面が分離していた。
2 ボールペンチップ
3 接続部材
4 インキ収容管
41熱可塑性樹脂部
42 樹脂コート層
43 無機蒸着層
5 操作体
5′ 継手部材
6 インキ
61 液栓
7 筆記具(複合式ボールペン)
8 筆記具本体
9 軸筒
91 前軸
92 後軸
93 先端開口部
94 窓孔
95 蓋体
96 スライドレバー
97 クリップ
Claims (9)
- インキ組成物を収容するインキ収容管の前端にペン先を備え後端に操作体又は継手部材を連結してなる筆記具レフィルであって、
前記インキ収容管が熱可塑性樹脂からなり、少なくとも操作体又は継手部材を連結する端部が樹脂コート層又は無機蒸着層により二層以上に積層される筆記具レフィル。 - 前記樹脂コート層がエチレンビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれる樹脂のいずれかである請求項1記載の筆記具レフィル。
- 前記樹脂コート層が複合成形により形成される請求項1又は2に記載の筆記具レフィル。
- 前記無機蒸着層が酸化アルミ、酸化珪素、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化スズから選ばれる酸化物である請求項1記載の筆記具レフィル。
- 前記操作体又は継手部材がインキ収容管内に挿入嵌合される請求項1記載の筆記具レフィル。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の筆記具レフィルを単数本又は複数本収容した筆記具。
- 前記筆記具が操作体を連結した筆記具レフィルを収容しており、レフィル交換時に操作体を把持して引き抜く構造である請求項6に記載の筆記具。
- 前記筆記具が継手部材を連結した筆記具レフィルを収容しており、レフィル交換時にインキ収容管を把持して引き抜く構造である請求項6に記載の筆記具。
- 前記継手部材が筆記具本体及びインキ収容管に嵌合されており、インキ収容管との嵌合力が筆記具本体との嵌合力よりも大きい請求項8に記載の筆記具。
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