JP2009045785A - インクリフィル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】筆記先端を構成するボールペンチップ40と、インク24を収容するインク収容管20と、これらを連結する継手30とを備えたインクリフィル10であって、前記インク収容管20は内層21、中間層22及び外層23の少なくとも三層構造を有し、前記内層21及び外層23はオレフィン系樹脂で形成され、前記中間層22は環状オレフィン系共重合体樹脂にポリスチレン樹脂を添加した混合樹脂で形成されているとともに、前記インク収容管20の内径は、前記継手30が同インク収容管20に挿入される部分の外径とほぼ等しいか、又は同外径よりやや小さい。
【選択図】図1
Description
しかし、直鎖系のオレフィン樹脂は、外界の酸素、二酸化炭素及び水分の遮断性が低く、そのため収容するインクが長期的には変質を被ることがあった。それを防止すべく、アミド系樹脂とオレフィン系樹脂とのラミネート構造を採用することもあった。ここでアミド系樹脂はガスバリア性に富むという特徴があるが、吸湿性も有するのでそれをインク中の水分から遮断する目的でポリプロピレン樹脂のようなオレフィン系樹脂層を設けているのである。
ところで、インク収容管の先端には継手を介して筆記先端としてのボールペンチップが装着されるが、インク収容管の内部に継手を圧入して装着する場合、インク収容管の材質によっては割れが生じやすいこともある。そのために、下記の特許文献2記載の従来技術のように、継手を内筒と外筒との二重構造として、これらの間隙にインク収容管の先端を挿入して固定することで、挿入部分の多少の割れを外筒でカバーしようとするものもあった。
そのために、前記特許文献2記載の発明のような二重構造の継手を採用する場合、どうしても継手部分の外径がインク収容管の外径よりかなり大きくならざるを得ない。そして、製品の規格上の要請としてインクリフィルをできるだけ細くしたい場合には、このような継手構造は採用しにくいものである。
前記インク収容管20は内層21、中間層22及び外層23の少なくとも三層構造を有し、
前記内層21及び外層23はオレフィン系樹脂で形成され、
前記中間層22は環状オレフィン系共重合体樹脂にポリスチレン樹脂を添加した混合樹脂で形成されているとともに、
前記インク収容管20の内径は、前記継手30が同インク収容管20に挿入される部分の外径とほぼ等しいか、又は同外径よりやや小さいことを特徴とする。
また、「環状オレフィン系共重合体樹脂」(cyclo olefin copolymer、以下、「COC」と略す。)とは、たとえばシクロヘキサジエンのようなシクロアルケン(環状オレフィン)と、エチレンのようなオレフィンとの共重合により生成される樹脂をいう。COCは一般に、水蒸気バリア性、化学薬品耐性に富み、透明度が高いという物性を有する。
このCOCを中間層22に配することで、収容するインク24を外界の水蒸気から遮断するとともに、内層21を透過してきたインク成分による劣化にも耐え得ることとなっている。
ただし、インク収容管20を混合樹脂のみで形成すると継手30との接合部分が割れやすくなるとともに継手30との嵌合力もあまり強くできない。そこで、これを中間層22に配し、これを挟むように可撓性に富むオレフィン系樹脂の層を配することとした。
こうすることで、インク収容管20の内径を、継手30がインク収容管20に挿入される部分の外径とほぼ等しいか、又は同外径よりやや小さくして、必要な嵌合力を確保することが可能となった。具体的には、インク収容管20の内径の、継手30の外径に対する比率は80%以上95%以下であることが望ましい。ここで、80%未満の場合は圧入変形が大き過ぎててインク収容管20の割れが生じやすくなる。一方、95%を超える場合は必要な嵌合力とされる25Nが確保できず、継手30の抜けや嵌合部からのインク漏れなどの問題が生じる可能性が増す。
図1は、本実施の形態に係るインクリフィル10を軸心に沿った断面図で示したものである。
本実施の形態に係るインクリフィル10は、インク収容管20、継手30及びボールペンチップ40により構成されており、インク収容管20内にはインク24が収容され、このインク24の後方には、インク24がインク収容管20の後端から漏れるのを防ぐ目的でグリース状のインク追従体25が充填されている。
インク収容管20の先端には、継手30を介してボールペンチップ40が装着されている。
継手30はポリブチレンテレフタレート樹脂製で、インク収容管20の先端内部に圧入される小径な継手連結部31と、より大径な継手露出部32とに分けられる。継手連結部31がインク収容管20に圧入されることで、図1に示すように、インク収容管20の圧入部分がやや拡径することとなっている。そして、圧入後のインク収容管20と継手30との間の表面高さはほぼ等しくなっている。
(1)ポリスチレン添加の効果
(1−1)割れ防止効果について
実施例として、上記実施の形態で示したインクリフィルを用いた。また、比較例として、上記実施の形態で示したインクリフィルにおける中間層をCOCのみで形成した点のみが異なるものを用いた。
そして、実施例及び比較例に係るインクリフィルをそれぞれ、室温、0℃及び50℃の環境下に72時間放置し、継手の圧入箇所のひび割れの発生を目視にて確認した。また、実施例及び比較例に係るインクリフィルを0℃に12時間放置し引き続き50℃に12時間放置するのを1サイクルとして、これを3サイクル実施するヒートサイクル下に放置し、同様にひび割れの発生を確認した。
よって、COCへのポリスチレン添加により、より過酷な条件下でのインクリフィルのひび割れ発生の防止が可能となることが認められた。
(1−2)嵌合力について
上記(1−1)の項と同様の実施例及び比較例について、インク収容管と継手のとの間合力を検討した。
その結果、製造直後の嵌合力は、実施例が54N、比較例が62Nであったのに対し、50℃の環境下に72時間放置した後では実施例が43N、比較例が34Nであった。これにより、COCへのポリスチレンの添加が、嵌合力の経時的な低下を軽減させる効果があることが判明した。
(2)中間層の厚さについて
前期実施の形態のインクリフィルについて、インク収容管の厚さに対する中間層の厚さの比率を変えて、インク収容管と継手との嵌合力を評価した。嵌合力の測定については、前期(1−2)の項の実験と同様にした。その結果を下記表1に示す。
20 インク収容管 21 内層 22 中間層
23 外層 24 インク 25 インク追従体
30 継手 31 継手連結部 32 継手露出部
40 ボールペンチップ 41 ホルダー 42 筆記ボール
Claims (3)
- 筆記先端を構成するボールペンチップと、インクを収容するインク収容管と、これらを連結する継手とを備えたインクリフィルであって、
前記インク収容管は内層、中間層及び外層の少なくとも三層構造を有し、
前記内層及び外層はオレフィン系樹脂で形成され、
前記中間層は環状オレフィン系共重合体樹脂にポリスチレン樹脂を添加した混合樹脂で形成されているとともに、
前記インク収容管の内径は、前記継手が同インク収容管に挿入される部分の外径とほぼ等しいか、又は同外径よりやや小さいことを特徴とするインクリフィル。 - 前記インク収容管の内径の、前記継手がインク収容管に挿入される部分の外径に対する比率は80%以上95%以下であることを特徴とする請求項1記載のインクリフィル。
- 前記中間層の厚さは、インク収容管の厚さの50%以下であることを特徴とする請求項2記載のインクリフィル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007212610A JP2009045785A (ja) | 2007-08-17 | 2007-08-17 | インクリフィル |
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JP2007212610A JP2009045785A (ja) | 2007-08-17 | 2007-08-17 | インクリフィル |
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JP2009045785A true JP2009045785A (ja) | 2009-03-05 |
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Family Applications (1)
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JP2007212610A Pending JP2009045785A (ja) | 2007-08-17 | 2007-08-17 | インクリフィル |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016101703A (ja) * | 2014-11-28 | 2016-06-02 | 株式会社パイロットコーポレーション | 筆記具レフィル及びそれを収容した筆記具 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3544202B2 (ja) * | 2002-05-01 | 2004-07-21 | 三菱鉛筆株式会社 | 筆記具用インキ収容管 |
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2007
- 2007-08-17 JP JP2007212610A patent/JP2009045785A/ja active Pending
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