JP4885520B2 - ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン - Google Patents
ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン Download PDFInfo
- Publication number
- JP4885520B2 JP4885520B2 JP2005341575A JP2005341575A JP4885520B2 JP 4885520 B2 JP4885520 B2 JP 4885520B2 JP 2005341575 A JP2005341575 A JP 2005341575A JP 2005341575 A JP2005341575 A JP 2005341575A JP 4885520 B2 JP4885520 B2 JP 4885520B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- water
- ink composition
- ballpoint pen
- ball
- ink
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Pens And Brushes (AREA)
- Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
Description
前記ボールには結合材として主にコバルト、クロム、チタン、ニッケル等の金属が使用されていることから、水性ボールペンに用いた場合、インキ中の溶存酸素等の腐食成分により前記結合材が経時的にインキ中に溶出し、ボールから結合材が失われることで、主成分である炭化珪素、ジルコニア、タングステンカーバイド等の結晶粒子が脱落したり、溶出した結合材が金属酸化物となり不溶化し、再びボール表面に付着する等、所謂腐食状態になることがある。前記腐食によりボールの表面の凹凸が大きくなるため、ボールの回転が阻害され書き味が重くなったり、インキのスムーズな流出が阻害されて筆跡がかすれる等の不具合を生じることがあった。
特に、タングステンカーバイドを主成分とする超硬合金ボールのうち、コバルトやニッケル等の金属を結合材に用いたボールは、結合材の含有量が多いことから、経時的に腐食し易いという欠点を有している。
そこで前述の経時的な腐食を防止する方法として、インキ中にスルフィド化合物を添加する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
更に、前記α−リポ酸がインキ組成物全量中0.05〜5重量%の範囲で添加されることを要件とする。
更には、前記ボールペン用水性インキ組成物を内蔵したボールペン、前記ボールペンが、少なくともタングステンカーバイドと結合材とからなる超硬合金ボールを筆記先端部に適用することを要件とする。
そこで、前記α−リポ酸をインキ中に添加することで、該α−リポ酸が活性酸素種に作用してボール腐食を抑制することとなる。
前記活性酸素種とは、一重項酸素、スーパーオキシドアニオンラジカル、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、アルキルラジカル、ヒドロペルオキシドラジカル等を示す。
0.05重量%未満では所期の効果を得ることは困難であり、又、5重量%を越えて添加しても腐食抑制効果の向上は認められないので、これ以上の添加を要しない。
前記染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等を使用することができる。
酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、アシッドバイオレット6B(C.I.42640)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)、アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
C.I.Pigment Blue 15:3B〔品名:S.S.Blue GLL、顔料分22%、山陽色素株式会社製〕、
C.I. Pigment Red 146〔品名:S.S.Pink FBL、顔料分21.5%、山陽色素株式会社製〕、
C.I.Pigment Yellow 81〔品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業株式会社製〕、
C.I.Pigment Red220/166〔品名:TC Red FG、顔料分約35%、大日精化工業株式会社製〕等を挙げることができる。
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
その他、パール顔料、金色、銀色のメタリック顔料、蓄光性顔料、修正ペン等に用いられる二酸化チタン等の白色顔料、アルミニウム等の金属粉、香料又は香料カプセル顔料などを例示できる。
尚、前記水溶性有機溶剤は一種又は二種以上を併用して用いることができ、2〜60重量%、好ましくは5〜35重量%の範囲で用いられる。
前記剪断減粘性付与剤としては、水に可溶乃至分散性の物質が効果的であり、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する炭水化物、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、HLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩やアミン塩等を例示でき、更には、インキ組成物中にN−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤を併用して添加しても安定した剪断減粘性を付与できる。
前記pHに調整することで、α−リポ酸が活性酸素種によるボール腐食を効率的に抑制することができる。
前記インキ逆流防止体としては、液状または固体のいずれを用いることもでき、前記液状のインキ逆流防止体としては、ポリブテン、α−オレフィンオリゴマー、シリコーン油、精製鉱油等の不揮発性媒体が挙げられ、所望により前記媒体中にシリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、脂肪酸アマイド等を添加することもできる。また、固体のインキ逆流防止体としては樹脂成形物が挙げられる。前記液状及び固体のインキ逆流防止体は併用することも可能である。
特に、前記4a、5a、6a族の金属又はそれらの炭化物のうち、化学的に安定でしかも硬度の高いタングステンカーバイド(炭化タングステン)を主成分として用いた超硬合金製ボールが好適に用いられる。
なお、4a、5a、6a族の金属としてチタン、バナジウム、クロム、タンタルやそれらの炭化物を含んでいてもよい。
前記結合材のうち、特にコバルトは水性インキ中に溶出し易いため、ボール表面が粗くなったり、更にコバルトの溶出によりタングステンカーバイトが脱落していっそうボール表面が粗くなる。その結果、ボール受け座に接触した状態でボールが回転すると受け座の磨耗が激しくなるので、筆記感が損なわれたり、軸方向のボールとボール抱持部の間隙(クリアランス)が大きくなりインキ流出量が増大して筆跡が太くなったり、線飛びが発生する等の不具合が生じ易くなる。
また、前記ボールは、直径0.1mm〜2.0mmの範囲のものが好適に用いられる。
前記軸筒にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記軸筒とチップを連結してもよい。
前記軸筒内に収容されるインキ組成物は、インキ組成物が低粘度である場合は軸筒前部にインキ保留部材を装着し、軸筒内に直接インキ組成物を収容する方法と、多孔質体或いは繊維加工体に前記インキ組成物を含浸させて収容する方法が挙げられる。
尚、前記軸筒は、ボールペン用レフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよい。
尚、前記インキ収容管は、ボールペン用レフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
以下の表に実施例及び比較例のボールペン用水性インキの組成を示す。尚、表中の組成の数値は重量部を示す。
(1)住友化学工業(株)製、商品名:アシッドブルーPG
(2)保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:フロキシン
(3)第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフAL
(4)三晶(株)製、商品名:レオザン
(5)ジエチルヒドロキシルアミン
(6)東洋醗酵(株)製、商品名:α−リポ酸
(7)ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム
水に剪断減粘性付与剤以外の成分を添加し、混合攪拌した後、剪断減粘性付与剤を含むものはこれを添加して、25℃で、ディスパーにて400rpm、1時間攪拌し、濾過することで各インキを調製した。
基油としてポリブテン85部中に、増粘剤として脂肪酸アマイド15部を添加した後、3本ロールにて混練してインキ逆流防止体を得た。
前記実施例1、2及び比較例1乃至3のインキ組成物を直径0.3mmのWC−Co系超硬合金ボールAを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製パイプ(内径3.8mm)の一端に嵌着されたボールペンレフィルに充填し、その後端に前記インキ逆流防止体を配設した後、前記ボールペンレフィルを軸筒に組み込み、試料ボールペンAを作製した。
前記実施例3及び比較例4、5のインキ組成物を軸筒内に収容し、直径0.5mmのWC−Co系超硬合金ボールAを抱持するステンレススチール製チップを筆記先端部に装着した櫛歯状インキ保留部材(ペン芯)を組み込むことで試料ボールペンBを作製した。
ボール腐食試験
調製した各インキ5gをサンプル瓶に移し取り、A、B二種類の超硬合金ボール(A:WC−Co系、B:WC−Ni系)を浸漬させて蓋をした後、70℃の環境下に30日間放置した。その後、室温にて光学顕微鏡(倍率1000倍)で各ボール表面の状態を確認した。
筆記可能であることを確認した試料ボールペンを、横置き状態で50℃の環境下に60日間放置した後、JIS P3201筆記用紙Aに手書きで螺旋状の丸を連続筆記した際の筆記感と、目視による筆跡状態の確認を行った。
前記試験の結果を以下の表に示す。
ボール腐食試験
○:初期と変化なし。
△:初期と比較して光沢が失われた。
×:初期と比較して表面が粗い、又は、析出や付着物あり。
筆記試験
○:滑らかに筆記でき、良好な筆跡を示した。
△:筆記時にひっかかり感があり、筆跡に若干のかすれや線飛びが見られる。
×:筆記感が悪く、筆跡にかすれや線飛びが多数見られる、又は、筆記不能。
Claims (4)
- 着色剤と、水と、リン酸エステル系界面活性剤と、α−リポ酸とを少なくとも含有することを特徴とするボールペン用水性インキ組成物。
- 前記α−リポ酸がインキ組成物全量中0.05〜5重量%の範囲で添加されることを特徴とする請求項1記載のボールペン用水性インキ組成物。
- 前記請求項1又は2に記載のボールペン用水性インキ組成物を内蔵したボールペン。
- 前記ボールペンが、少なくともタングステンカーバイドと結合材とからなる超硬合金ボールを筆記先端部に適用することを特徴とする請求項3記載のボールペン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005341575A JP4885520B2 (ja) | 2005-11-28 | 2005-11-28 | ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005341575A JP4885520B2 (ja) | 2005-11-28 | 2005-11-28 | ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007145969A JP2007145969A (ja) | 2007-06-14 |
JP4885520B2 true JP4885520B2 (ja) | 2012-02-29 |
Family
ID=38207768
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005341575A Expired - Fee Related JP4885520B2 (ja) | 2005-11-28 | 2005-11-28 | ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4885520B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010005797A (ja) * | 2008-06-24 | 2010-01-14 | Pilot Ink Co Ltd | 水性ボールペン |
FR2943412B1 (fr) * | 2009-03-19 | 2015-05-29 | Commissariat Energie Atomique | Dispositif de mesure magnetique de rotation d'une boule magnetisee et procede de realisation |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5485181A (en) * | 1994-05-18 | 1996-01-16 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Ink jet printhead with improved durability |
JPH0892519A (ja) * | 1994-07-26 | 1996-04-09 | Mitsubishi Pencil Co Ltd | 水性ボールペン用インキ組成物 |
US6090842A (en) * | 1998-03-10 | 2000-07-18 | The Regents Of The University Of California | Lipoic acid analogs |
JP2004015684A (ja) * | 2002-06-11 | 2004-01-15 | Ricoh Co Ltd | 画像形成装置 |
PL2319500T3 (pl) * | 2004-03-12 | 2013-05-31 | Biodel Inc | Szybko działające kompozycje do dostarczania leku |
-
2005
- 2005-11-28 JP JP2005341575A patent/JP4885520B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007145969A (ja) | 2007-06-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4754225B2 (ja) | 水性染料ボールペン | |
JP5641698B2 (ja) | 水性ボールペン | |
JP2010005797A (ja) | 水性ボールペン | |
JP4885520B2 (ja) | ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン | |
JP5053012B2 (ja) | ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン | |
JP5043377B2 (ja) | ボールペン | |
JP2009297921A (ja) | 水性ボールペン | |
JP5150446B2 (ja) | ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン | |
JP5090866B2 (ja) | ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン | |
JP5053006B2 (ja) | ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン | |
JP5166098B2 (ja) | ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン | |
JP5626881B2 (ja) | ボールペン | |
JP5427457B2 (ja) | ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン | |
JP5427557B2 (ja) | ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン | |
JP5053024B2 (ja) | ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン | |
JP4223415B2 (ja) | ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン | |
JP6580382B2 (ja) | ボールペン | |
JP2006117866A (ja) | ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン | |
JP2016216622A (ja) | ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン | |
JP6002011B2 (ja) | ボールペン | |
JP5627987B2 (ja) | ボールペン | |
JP5484181B2 (ja) | ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン | |
JP5145276B2 (ja) | ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン | |
JP2006316093A (ja) | ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン | |
JP2005232340A (ja) | ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080825 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110729 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110809 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20111006 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20111206 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20111208 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141216 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4885520 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |