JP5626881B2 - ボールペン - Google Patents
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Description
前記ボールやボールペンチップを用いたボールペンに収容する水性インキは、耐腐食性が十分ではなく、経時によりインキと接するボール表面やボールペンチップ内部に腐食を生じて書き味が悪くなったり、筆跡がかすれたり、ボールとボールペンチップ間の間隙が大きくなってインキ流出量が増加したり、或いは、ボールの脱落を生じることがある。
そこで経時による腐食を防止するために、ハイドロキノンスルホン酸をインキ中に添加することが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、前記ハイドロキノンスルホン酸を添加すると、経時により析出することがあるため、腐食抑制効果が充分に得られ難く、筆記性能の維持には不十分であった。
前記ボールは、4a、5a、6a族の金属又はそれらの炭化物を結合材となるコバルトやニッケル等の金属と共に焼結して得られるものであり、化学的に安定で硬度が高く磨耗し難いタングステンカーバイド(炭化タングステン)を主成分として用いた超硬合金製ボールが適用される。特に、結合材であるコバルトやニッケルが超硬合金ボール全量中1〜20質量%の範囲で含有されるものは高強度であり好適に用いられる。
尚、4a、5a、6a族の金属としてチタン、バナジウム、クロム、タンタルやそれらの炭化物を含んでいてもよい。
前記結合材であるコバルトとニッケルは水性インキ中に溶出し易いため、経時によりボール表面が粗くなり、更に長期的にはコバルトやニッケルの溶出によりタングステンカーバイドが脱落していっそうボール表面が凹凸状になることがある。その結果、ボール受け座に接触した状態でボールが回転すると受け座の磨耗が激しくなり、筆記感が損なわれたり、軸方向のボールとボール抱持部の間隙(クリアランス)が大きくなりインキ流出量が増大して筆跡が太くなったり、線飛びが発生する等の不具合を生じ易くなる。
前記ボールは、直径0.1mm〜2.0mm、好ましくは0.15mm〜1.5mm、より好ましくは0.3〜1.0mmの範囲のものが好適に用いられる。
前記軸筒内に収容されるインキ組成物は、インキ組成物が低粘度である場合は軸筒前部に櫛溝状のインキ保留部材を装着し、軸筒内に直接インキ組成物を収容したり、多孔質体或いは繊維加工体に前記インキ組成物を含浸させて収容することができる。
尚、前記軸筒は、ボールペン用レフィルの形態として、該レフィルを外軸(軸筒)内に収容するものでもよい。
前記出没式ボールペンとしては、ボールペンレフィルに設けられたボールペンチップが外気に晒された状態で外軸内に収納されており、出没機構の作動によって外軸開口部から筆記先端部が突出する構造であれば全て用いることができる。
出没機構の操作方法としては、例えば、ノック式、回転式、スライド式等が挙げられる。
前記ノック式は、外軸後端部や外軸側面にノック部を有し、該ノック部の押圧により、ボールペンレフィルのボールペンチップを外軸前端開口部から出没させる構成、或いは、外軸に設けたクリップ部を押圧することにより、ボールペンレフィルのボールペンチップを外軸前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記回転式は、外軸後部に回転部を有し、該回転部を回すことによりボールペンレフィルのボールペンチップを外軸前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記スライド式は、軸筒側面にスライド部を有し、該スライドを操作することによりボールペンレフィルのボールペンチップを外軸前端開口部から出没させる構成、或いは、外軸に設けたクリップ形状のスライド部をスライドさせることにより、ボールペンレフィルのボールペンチップを外軸前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記出没式ボールペンは外軸内に複数のボールペンレフィルを収容してなる複合タイプの出没式ボールペンであってもよい。
前記一般式(1)で示されるチアジアゾール誘導体として具体的には、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジンモノナトリウム塩、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジントリナトリウム塩等を例示できる。
前記トリアジンチオール誘導体は、インキ組成物全量中0.01〜5.0質量%、好ましくは0.05〜3.0質量%、より好ましくは0.05〜1.5質量%添加することができる。
0.01質量%未満では所期の効果を得ることは困難であり、又、5.0質量%を越えて添加することもできるが、腐食抑制効果の向上は認められないので、これ以上の添加を要しない。
C.I.Pigment Blue 15:3B〔商品名:Sandye Super Blue GLL、顔料分22%、山陽色素(株)製〕、
C.I. Pigment Red 146〔商品名:Sandye Super Pink FBL、顔料分24%、山陽色素(株)製〕、
C.I.Pigment Yellow 81〔商品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業(株)製〕、
C.I.Pigment Red220/166〔商品名:TC Red FG、顔料分約35%、大日精化工業(株)製〕等を挙げることができる。
また、水溶性樹脂を用いた水分散顔料としては、
C.I.Pigment Black 7〔商品名:WA color Black
A250、顔料分15%、大日精化工業(株)製〕、
C.I.Pigment Green 7〔商品名:WA−S color Green、顔料分8%、大日精化工業(株)製〕、
C.I.Pigment Violet 23〔商品名:マイクロピグモ WMVT−5、顔料分20%、オリエント化学工業(株)製〕、
C.I.Pigment Yellow 83〔商品名:エマコールNSイエロー4618、顔料分30%、山陽色素(株)製〕が挙げられる。
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
その他、アルミニウム等の金属粉、パール顔料、二酸化チタン等の白色顔料、可逆熱変色性顔料、蓄光性顔料等を例示できる。
前記可逆熱変色性顔料としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が好適に用いられる。
前記顔料は一種又は二種以上を適宜混合して使用することができ、インキ組成中1乃至40質量%、好ましくは2乃至30質量%の範囲で用いられる。
前記水溶性有機溶剤としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
なお、前記水溶性有機溶剤は一種又は二種以上を併用することができ、2〜60質量%、好ましくは5〜35質量%の範囲で用いられる。
前記水溶性樹脂としては、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等が挙げられる。
前記水溶性樹脂は一種又は二種以上を併用することができ、インキ組成中1乃至30質量%の範囲で用いられる。
更に、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、N−アシルアミノ酸、N−アシルメチルタウリン等の潤滑剤を用いることもできる。
前記剪断減粘性付与剤としては、水に可溶乃至分散性の物質が効果的であり、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する炭水化物、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、HLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩やアミン塩等を例示でき、更には、インキ組成物中にN−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤を併用して添加しても安定した剪断減粘性を付与できる。
前記インキ逆流防止体組成物は不揮発性液体又は難揮発性液体からなる。
具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、一種又は二種以上を併用することもできる。
前記不揮発性液体及び/又は難揮発性液体には、ゲル化剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましく、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物を例示できる。
更に、前記液状のインキ逆流防止体組成物と、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
インキの調製
以下の表に実施例及び比較例の水性インキの組成を示す。尚、表中の組成の数値は質量部を示す。
(1)冨士色素(株)製、商品名:フジSPレッド5585、顔料分20%
(2)三菱化学(株)製、商品名:MA−100
(3)三協化成(株)製、商品名:サンチオールN−W、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジントリナトリウム塩15%水溶液
(4)三協化成(株)製、商品名:サンチオールN−1、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジンモノナトリウム塩
(5)三協化成(株)製、商品名:ジスネットDB、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン
(6)ローム&ハース社製、商品名:プライマルASE60〔アクリル共重合体の水分散体(固形分28%)〕
(7)三晶(株)製、商品名:ケルザンST
(8)BASF社製、商品名:ルビスコールK−30
(9)(株)林原製、商品名:HS−30、糖固形分70%
(10)第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフAL
(11)アーチケミカルズジャパン社製、商品名:プロキセルXL−2
基油としてポリブテン98.5部中に、増粘剤として脂肪酸アマイド1.5部を添加した後、3本ロールにて混練してインキ逆流防止体を得た。
前記実施例及び比較例のインキ組成物を直径0.5mmの超硬合金ボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたインキ収容管に充填し、その後端に前記インキ逆流防止体を配設して、ボールペンレフィルを得た。
前記ボールペンレフィルを外軸に組み込み、キャップを嵌めてボールペンを作製した。
経時試験
筆記可能であることを確認したボールペンを、横置き状態で50℃、湿度100%の環境下に60日間放置した。
筆記試験
前記経時試験を行ったボールペンを用いて、筆記用紙に手書きで螺旋状の丸を連続筆記した際の筆跡の状態を目視により観察した。
腐食試験
前記経時試験を行ったボールペンのボールを光学顕微鏡(倍率1000倍)にて観察した。
前記筆記試験、腐食試験の結果を以下の表に示す。
筆記試験
○:滑らかに筆記でき、良好な筆跡を示した。
△:筆記時にひっかかり感があり、筆跡に若干のかすれや線飛びが見られる。
×:筆記感が悪く、筆跡にかすれや線飛びが多数見られる、又は、筆記不能。
腐食試験
○:初期と変化なし。
△:初期と比較して光沢が失われた。
×:初期と比較して表面が粗い。
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