JP7314628B2 - 画像処理装置、画像処理方法、及び、画像処理プログラム - Google Patents

画像処理装置、画像処理方法、及び、画像処理プログラム Download PDF

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Description

本発明は、印刷装置に印刷を実行させる画像処理装置、画像処理方法、及び、画像処理プログラムに関する。
特許文献1に開示された画像形成装置は、基準色で塗りつぶされる基準パッチを起点として所定方向に沿って色情報の差が所定間隔となるように各パッチを並べることを基本態様として、複数のパッチを並べた色調整用チャートを印刷する。前述の画像形成装置は、所定方向に沿って並ぶ各パッチの粒状性指標又は色差に基づいて基本態様を変更し、該変更した態様で色調整用チャートを印刷する。
特開2013-102364号公報
パッチ毎に色彩値が異なる色調整用チャートを使用すると、ユーザーは、色彩値の違いによる色合いを選択することができる。しかし、各パッチについて、色彩値が同じでも、インクの含有量が異なると発色特性が違ってくる。例えば、複数のインクに蛍光色インクが含まれる場合、各パッチについて、同じ色彩値でも蛍光色インクの含有量が異なると、蛍光の光り方が違ってくる。また、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、及び、ブラックインクを使用する場合、各パッチについて、同じ色彩値でもブラックインクの含有量が異なると、ブラックインクのドットによる粒状感が違ってくる。上述した技術は、同じ色彩値における発色特性の違いを確認することができない。
本発明の画像処理装置は、印刷装置に印刷を実行させる画像処理装置であって、
色空間の座標値である色彩値と、記録材の使用量に対応する記録材値と、の対応関係を複数含むカラープロファイルを記憶している記憶部と、
カラーチャートを前記印刷装置に印刷させるプロセッサーと、を備え、
前記プロセッサーは、前記カラープロファイルに含まれる前記複数の対応関係に従って、前記色空間の座標値である特定色彩値に対応する前記記録材値である特定記録材値を複数取得し、各前記特定記録材値について対応する前記使用量のパッチを含む前記カラーチャートを前記印刷装置に印刷させる、態様を有する。
また、本発明の画像処理方法は、印刷装置に印刷を実行させる画像処理方法であって、
色空間の座標値である色彩値と、記録材の使用量に対応する記録材値と、の対応関係を複数含むカラープロファイルに含まれる前記複数の対応関係に従って、前記色空間の座標値である特定色彩値に対応する前記記録材値である特定記録材値を複数取得する取得工程と、
各前記特定記録材値について対応する前記使用量のパッチを含むカラーチャートを前記印刷装置に印刷させる制御工程と、を含む、態様を有する。
さらに、本発明の画像処理プログラムは、印刷装置に印刷を実行させるための画像処理プログラムであって、
色空間の座標値である色彩値と、記録材の使用量に対応する記録材値と、の対応関係を複数含むカラープロファイルに含まれる前記複数の対応関係に従って、前記色空間の座標値である特定色彩値に対応する前記記録材値である特定記録材値を複数取得する取得機能と、
各前記特定記録材値について対応する前記使用量のパッチを含むカラーチャートを前記印刷装置に印刷させる制御機能と、をコンピューターに実現させる、態様を有する。
画像処理システムの構成例を模式的に示すブロック図。 第一調色チャートの印刷物の例を模式的に示す図。 第二調色チャートの印刷物の例を模式的に示す図。 カラープロファイルに含まれる色変換テーブルの構造例を模式的に示す図。 画像処理装置が行う色設定処理の例を示すフローチャート。 ユーザーインターフェイス画面の例を模式的に示す図。 転写装置の例を模式的に示す図。 第二調色チャート印刷物の別の例を模式的に示す図。 第二調色チャート印刷物の別の例を模式的に示す図。 第二調色チャート印刷物の別の例を模式的に示す図。
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、図1~10に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。「本発明に含まれる技術の概要」において、括弧内は直前の語の補足説明を意味する。
態様1:
図1に例示するように、本技術の一態様に係る画像処理装置10は、記憶部(例えば記憶装置15)とプロセッサー(例えば制御部11)を備える。図1,4に例示するように、前記記憶部(15)は、色空間の座標値である色彩値(例えば図4に示すLab0j)と、記録材の使用量に対応する記録材値(例えば図4に示すCMYKFyij)と、の対応関係COを複数含むカラープロファイル50を記憶している。前記プロセッサー(11)は、前記カラープロファイル50に含まれる前記複数の対応関係COに従って、前記色空間の座標値である特定色彩値(例えば図5に示すL0,a0,b0)に対応する前記記録材値である特定記録材値(例えば図5に示すCi,Mi,Yi,Ki,Fyi)を複数取得し、各前記特定記録材値について対応する前記使用量のパッチを含むカラーチャート(例えば図3に示す第二調色チャートCH2)を印刷装置(例えば図1に示すプリンター20)に印刷させる。
同じ特定色彩値で異なる複数の特定記録材値のそれぞれに対応する記録材使用量のパッチを含むカラーチャート(CH2)が印刷されるので、ユーザーは同じ色彩値において異なる発色特性を確認することができる。従って、本態様は、同じ色彩値であっても記録材の使用量に応じて発色特性が異なる場合に所望の発色特性の色を選択することが可能な画像処理装置を提供することができる。
ここで、色空間は、機器独立色空間(device independent color space)が好ましいものの、機器従属色空間(device dependent color space)でもよい。機器独立色空間には、CIE(国際照明委員会)L***色空間、CIE XYZ色空間、等がある。色彩値には、L***色空間の座標値であるL***値、XYZ色空間の座標値であるXYZ値、等がある。以下、「*」の記載を省略する。
記録材値には、後述する態様2~4において特定される値といった様々な値が含まれる。
尚、上述した付言は、以下の態様においても適用される。
態様2:
前記記録材値は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)、及び、蛍光色(例えばFy)の前記使用量にそれぞれ対応する値を含んでいてもよい。図3に例示するように、前記カラーチャート(CH2)は、前記蛍光色の前記使用量が第一蛍光色使用量(例えばFy1に対応する使用量)である前記パッチ(例えばパッチPA21)、及び、前記蛍光色の前記使用量が前記第一蛍光色使用量とは異なる第二蛍光色使用量(例えばFy2に対応する使用量)である前記パッチ(例えばパッチPA22)を含んでいてもよい。本態様は、同じ色彩値であっても蛍光色の記録材の使用量に応じて蛍光特性が異なる複数の色から所望の蛍光特性の色を選択することが可能となる。
ここで、本願における「第一」、「第二」、「第三」、…は、各構成要素を識別するための用語であり、順番を意味しない。この付言は、以下の態様においても適用される。
態様3:
前記記録材値は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及び、ブラック(K)の前記使用量にそれぞれ対応する値を含んでいてもよい。図8に例示するように、前記カラーチャートは、前記ブラックの前記使用量が第一ブラック使用量(例えばK1に対応する使用量)である前記パッチ(例えばパッチPA21)、及び、前記ブラックの前記使用量が前記第一ブラック使用量とは異なる第二ブラック使用量(例えばK2に対応する使用量)である前記パッチ(例えばパッチPA22)を含んでいてもよい。本態様は、同じ色彩値であってもブラックの記録材の使用量に応じて粒状性が異なる複数の色から所望の粒状性の色を選択することが可能となる。
態様4:
前記記録材値は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)、及び、透明(CL)の前記使用量にそれぞれ対応する値を含んでいてもよい。図9に例示するように、前記カラーチャートは、前記透明の前記使用量が第一透明使用量(例えばCL1に対応する使用量)である前記パッチ(例えばパッチPA21)、及び、前記透明の前記使用量が前記第一透明使用量とは異なる第二透明使用量(例えばCL2に対応する使用量)である前記パッチ(例えばパッチPA22)を含んでいてもよい。本態様は、同じ色彩値であっても透明記録材の使用量に応じて表面効果が異なる複数の色から所望の表面効果の色を選択することが可能となる。
態様5:
図2,3に例示するように、前記カラーチャートは、前記複数のパッチとして複数の第一調色パッチPA1を含む第一調色チャートCH1、及び、前記複数のパッチとして複数の第二調色パッチPA2を含む第二調色チャートCH2を含んでいてもよい。図5に例示するように、前記プロセッサー(11)は、以下の処理を行ってもよい。
互いに前記色彩値が異なる前記複数の第一調色パッチPA1を含む前記第一調色チャートCH1を前記印刷装置(20)に印刷させる第一の処理。
前記第一調色チャートCH1に含まれる前記第一調色パッチPA1の選択に応じた前記特定色彩値を決定する第二の処理。
前記特定色彩値に対応する前記複数の特定記録材値を前記複数の対応関係COに従って取得する第三の処理。
各前記特定記録材値について対応する前記使用量の前記第二調色パッチPA2を含む第二調色チャートCH2を前記印刷装置(20)に印刷させる第四の処理。
前記第二調色チャートCH2に含まれる前記第二調色パッチPA2の選択を受け付ける第五の処理。
態様5では、発色特性を選択する際に基準となる特定色彩値を決めたうえで第二調色パッチPA2を選択することができるので、利便性を向上させることができる。
態様6:
図10に例示するように、前記プロセッサー(11)は、前記特定色彩値(例えばL0,a0,b0)に対応する各前記特定記録材値(例えば図5に示すCi,Mi,Yi,Ki,Fyi)に対応する前記使用量の前記パッチを含む第一パッチ群G1と、前記特定色彩値とは所定色差異なる周辺色彩値に対応する各前記特定記録材値に対応する前記使用量の前記パッチを含む第二パッチ群P2と、を含む前記カラーチャートを前記印刷装置(20)に印刷させてもよい。この態様は、基準となる特定色彩値よりも発色特性を優先して色を選択することが可能となる。
態様7:
ところで、図5に例示するように、本技術の一態様に係る画像処理方法は、印刷装置(20)に印刷を実行させる画像処理方法であって、取得工程(例えば第三工程ST3)と制御工程(例えば第四工程ST4)を含む。前記取得工程(ST3)では、色空間の座標値である色彩値と、記録材の使用量に対応する記録材値と、の対応関係COを複数含むカラープロファイル50に含まれる前記複数の対応関係COに従って、前記色空間の座標値である特定色彩値に対応する前記記録材値である特定記録材値を複数取得する。前記制御工程(ST4)では、各前記特定記録材値について対応する前記使用量のパッチを含むカラーチャートを前記印刷装置(20)に印刷させる。
同じ特定色彩値で異なる複数の特定記録材値のそれぞれに対応する記録材使用量のパッチを含むカラーチャートが印刷されるので、ユーザーは同じ色彩値において異なる発色特性を確認することができる。従って、本態様は、同じ色彩値であっても記録材の使用量に応じて発色特性が異なる場合に所望の発色特性の色を選択することが可能な画像処理方法を提供することができる。
態様8:
前記印刷装置(20)は、前記カラーチャートを第一媒体(例えば熱転写紙ME1)に印刷してもよい。図7に例示するように、前記画像処理方法は、前記第一媒体(ME1)に印刷された前記カラーチャートを第二媒体(例えば布ME2)に転写する転写工程ST6と、前記第二媒体(ME2)に転写された前記カラーチャートに含まれる前記パッチの選択操作を受け付ける受付工程(ST5)と、をさらに含んでいてもよい。本態様は、転写型印刷装置を使用する場合において、同じ色彩値であっても記録材の使用量に応じて発色特性が異なる場合に所望の発色特性の色を選択する好適な方法を提供することができる。
態様9:
また、図1に例示するように、本技術の一態様に係る画像処理プログラムPR0は、取得工程(ST3)に対応する取得機能(例えば特定記録材値取得機能FU3)、及び、制御工程(ST4)に対応する制御機能(例えば第二調色チャート印刷制御機能FU4)をコンピューター(例えば画像処理装置10)に実現させる。本態様は、同じ色彩値であっても記録材の使用量に応じて発色特性が異なる場合に所望の発色特性の色を選択することが可能な画像処理プログラムを提供することができる。
さらに、本技術は、画像処理装置を含む画像処理システム、画像処理システムの制御方法、画像処理システムの制御プログラム、前述のいずれかのプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な媒体、等に適用可能である。画像処理装置や画像処理システムは、分散した複数の部分で構成されてもよい。
(2)画像処理装置の具体例:
図1は、画像処理装置10を含む画像処理システムSY1の構成を模式的に例示している。図1に示す画像処理システムSY1は、画像処理装置10、印刷装置の例であるプリンター20、及び、表示装置30を含んでいる。
図1に示す画像処理装置10は、電気系統として、プロセッサーであるCPU12、半導体メモリーであるROM13、半導体メモリーであるRAM14、記憶部の例である記憶装置15、入力装置16、及び、通信インターフェイス17を備えている。ここで、CPUはCentral Processing Unitの略称であり、ROMはRead Only Memoryの略称であり、RAMはRandom Access Memoryの略称であり、図1に示すI/Fはインターフェイスの略称である。コンピューターを画像処理装置10として機能させる画像処理プログラムPR0は、記憶装置15に記憶され、CPU12によりRAM14に読み出され、CPU12により実行される。画像処理プログラムPR0が画像処理装置10に実現させる複数の機能は、第一調色チャート印刷制御機能FU1、特定色彩値決定機能FU2、特定記録材値取得機能FU3、第二調色チャート印刷制御機能FU4、及び、第二調色パッチ選択機能FU5を含んでいる。CPU12は、RAM14をワークエリアとして使用しながら画像処理プログラムPR0を実行することにより、機能FU1~FU5等を画像処理装置10に実現させ、各種処理を行う。前述の要素12~15は、制御部11の例である。制御部11を構成するプロセッサーは、一つのCPUに限定されず、複数のCPU、ASICといったハードウェア回路、CPUとハードウェア回路との組合せ、等でもよい。ここで、ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略称である。
記憶装置15は、画像処理プログラムPR0の他に、図2,3に例示する調色チャートCH1,CH2の印刷に使用されるカラープロファイル50を記憶している。カラープロファイル50は、Lab色空間の座標値と、インク使用量に対応する記録材値と、の対応関係を表す色変換テーブル51を含んでいる。カラープロファイル50には、例えば、ICCプロファイルのデータフォーマットを用いることができる。ここで、ICCは、International Color Consortiumの略称である。
記憶装置15には、フラッシュメモリーといった半導体メモリー、ハードディスクといった磁気記録媒体、等を用いることができる。記憶装置15は、画像処理プログラムPR0を記憶すると、画像処理プログラムPR0を記録したコンピューター読み取り可能な媒体となる。
入力装置16には、ポインティングデバイス、キーボードを含むハードキー、表示パネルの表面に貼り付けられたタッチパネル、等を用いることができる。通信インターフェイス17は、プリンター20の通信インターフェイス21に有線又は無線で接続され、プリンター20に対して印刷データ等といった情報を入出力する。通信インターフェイス17,21の接続は、USB接続といったローカル接続でもよいし、ANやインターネットといったネットワーク接続でもよい。ここで、USBはUniversal Serial Busの略称であり、LANはLocal Area Networkの略称である。
尚、画像処理装置10には、タブレット型端末を含むパーソナルコンピューターといったコンピューター等が含まれる。例えば、デスクトップ型パーソナルコンピューターの本体を画像処理装置10に適用する場合、通常、この本体にプリンター20と表示装置30が接続される。ノート型パーソナルコンピューターのように表示装置一体型のコンピューターを画像処理装置10に適用する場合、通常、このコンピューターにプリンター20が接続される。表示装置一体型のホスト装置でも、内部の表示装置に表示データを出力していることに変わりない。また、画像処理装置10は、一つの筐体内に全構成要素を有してもよいが、互いに通信可能に分割された複数の装置で構成されてもよい。さらに、プリンター20の少なくとも一部が画像処理装置10の内部にあっても、本技術を実施可能である。
図1に示すプリンター20は、記録材として、Cインク、Mインク、Yインク、Kインク、Fyインク、及び、CLインクを記録ヘッド22から吐出するインクジェットプリンターである。ここで、Cはシアンを意味し、Mはマゼンタを意味し、Yはイエローを意味し、Kはブラックを意味し、Fyはイエローの蛍光色を意味し、CLは透明を意味する。CLインクは、グロスインクやバーニッシュインクと呼ばれることがあり、印刷画像IM1に質感や凹凸等の表面効果を付与する。記録ヘッド22には、インクカートリッジCc,Cm,Cy,Ck,Cfy,CclからそれぞれC,M,Y,K,Fy,CLのインクが供給される。記録ヘッド22は、画像処理装置10からの印刷データに従って、ノズルNc,Nm,Ny,Nk,Nfy,NclからそれぞれC,M,Y,K,Fy,CLのインク滴28を噴射する。インク滴28が被印刷物(print substrate)である媒体ME0に着弾すると、インクドットが媒体ME0に形成される。その結果、印刷データに対応する出力画像IM1を媒体ME0上に有する印刷物が得られる。出力画像IM1には、カラーチャートが含まれる。
図2は、近似色チャートとも呼ばれる第一調色チャートCH1の印刷物を模式的に例示している。捺染分野等では、印刷結果から目視で色合わせを行うため、指定された色値を中心とした複数パッチを含む近似色チャートが使用されている。図2に示すように、媒体ME0上の第一調色チャートCH1は、指定された色値に対応する中心パッチPA1cを中心として、明度Lを色差ΔLの間隔、色座標aを色差Δaの間隔、及び、色座標bを色差Δbの間隔で並べられた複数の第一調色パッチPA1を含んでいる。ここで、L値、a値、及び、b値は、Lab色空間における座標値である。色差には、CIEDE2000色差式で表される色差ΔE00、CIE1994年色差式で表される色差ΔE* 94、1976年に提案された色差ΔE* 76、等を用いることができる。色差ΔL,Δa,Δbは、ΔL=Δa=Δbでもよいし、一部又は全部が異なる値でもよい。図2に示す第一調色チャートCH1は、L値、a値、及び、b値をそれぞれ3段階に変えた計27個の第一調色パッチPA1を含んでいる。むろん、第一調色パッチPA1の数は、53個など27個よりも多くてもよいし、27個未満でもよい。図2中、太線で囲まれた特定パッチPA10は、ユーザーにより選択されたパッチを示している。
互いにLab値が異なる複数の第一調色パッチPA1を含む第一調色チャートCH1を使用すると、ユーザーは、Lab値の違いによる色合いを選択することができる。ここで、Lab値は、Lab色空間の座標値である色彩値を意味し、L値、a値、及び、b値を含む。各第一調色パッチPA1について、Lab値が同じでもインクの含有量が異なると、発色特性が違ってくる。例えば、複数のインクに蛍光色Fyのインクが含まれる場合、各第一調色パッチPA1について同じ色彩値でも蛍光色Fyのインクの含有量が異なると、蛍光の光り方が違ってくる。このような場合、ユーザーは、第一調色チャートCH1を見ても、同じLab値における発色特性の違いを確認することができない。
そこで、本具体例では、図3に例示するように、選択された特定パッチPA10のLab値に複数対応付けられている記録材値で示されるインク使用量の各第二調色パッチPA2を含む第二調色チャートCH2を使用することにしている。
図3は、第二調色チャートCH2の印刷物を模式的に例示している。媒体ME0上の第二調色チャートCH2は、特定パッチPA10の特定色彩値(L0,a0,b0)に対応付けられている複数の特定記録材値で示されるインク使用量の各第二調色パッチPA2を含んでいる。図3には、複数の第二調色パッチPA2に共通の特定色彩値(L0,a0,b0)が(110,50,50)であり、「C1」の位置にあるパッチPA21の特定記録材値(C1,M1,Y1,K1,Fy1)が(25,0,63,0,15)であり、「C3」の位置にあるパッチPA22の特定記録材値(C2,M2,Y2,K2,Fy2)が(25,0,73,0,5)であることが示されている。
第二調色チャートCH2を使用すると、ユーザーは、同じLab値で互いにインク使用量が異なる複数の第二調色パッチPA2から所望の発色特性の色を選択することができる。
図4は、第二調色チャートCH2の印刷に使用される蛍光特性確認用カラープロファイル50に含まれる色変換テーブル51の構造を模式的に例示している。色変換テーブル51は、Lab色空間の座標値である色彩値Lab0jと、インク使用量に対応する記録材値CMYKFyijと、の対応関係COを表すデータを有している。ここで、変数iは、共通の色彩値Lab0jに対応付けられているn個の記録材値を識別する変数である。ここで、nは、複数を表す整数である。変数jは、仮想のLab色空間に設定されたm個の格子点を識別する変数である。ここで、mは、複数を表す整数である。色変換テーブル51の複数の格子点は、Lab色空間にa軸方向、b軸方向、及び、L軸方向へ略等間隔となるように並べられているものとする。各色彩値Lab0jは色彩値(L0j,a0j,b0j)を意味し、各記録材値CMYKFyijは記録材値(Cij,Mij,Yij,Kij,Fyij)を意味する。色彩値Lab0すなわち(L0,a0,b0)は色彩値(L0j,a0j,b0j)を代表し、記録材値CMYKFyiすなわち(Ci,Mi,Yi,Ki,Fyi)は記録材値(Cij,Mij,Yij,Kij,Fyij)を代表している。
図4の上部に示すように、色変換テーブル51は、色彩値Lab0と記録材値CMYKFy1との対応関係CO、色彩値Lab0と記録材値CMYKFy2との対応関係CO、…、色彩値Lab0と記録材値CMYKFyiとの対応関係CO、…、色彩値Lab0と記録材値CMYKFynとの対応関係COを有している。図4の下部に示すように、色彩値Lab0と記録材値CMYKFyiとの対応関係COに着目すると、色彩値(L0j,a0j,b0j)に記録材値(Cij,Mij,Yij,Kij,Fyij)が対応付けられていることが分かる。
色変換テーブル51を使用して印刷を行う場合、複数の対応関係COの内いずれか一つの対応関係が使用される。デフォルトの対応関係は、i=1の対応関係であるものとする。
(3)画像処理装置が行う処理の具体例:
図5は、画像処理装置10が行う色設定処理を模式的に例示している。ここで、ステップS102~S108は、第一の処理、第一工程ST1、及び、第一調色チャート印刷制御機能FU1に対応している。ステップS110~S112は、第二の処理、第二工程ST2、及び、特定色彩値決定機能FU2に対応している。ステップS114は、第三の処理、第三工程ST3、及び、特定記録材値取得機能FU3に対応している。ステップS116は、第四の処理、第四工程ST4、及び、第二調色チャート印刷制御機能FU4に対応している。ステップS118は、第五の処理、第五工程ST5、及び、第二調色パッチ選択機能FU5に対応している。以下、「ステップ」の記載を省略する。画像処理装置10は、マルチタスクにより複数の処理を並列して実行している。
色設定処理が開始すると、制御部11は、S102において、調色チャートCH1,CH2の印刷に使用するカラープロファイル50を設定する。例えば、使用するインクの種類の組合せとして、C,M,Y,K,Fyの5種類である第一の組合せ、C,M,Y,Kの4種類である第二の組合せ、及び、C,M,Y,K,CLの5種類である第三の組合せがあるものとする。複数のカラープロファイルには、第一の組合せのインクを使用するための蛍光特性確認用カラープロファイル、第二の組合せのインクを使用するための粒状性確認用カラープロファイル、及び、第三の組合せのインクを使用するための表面効果確認用カラープロファイルが含まれるとする。この場合、制御部11は、第一の組合せ、第二の組合せ、及び、第三の組合せの中からいずれか一つの組合せを入力装置16により受け付け、受け付けた組合せに対応するカラープロファイルを印刷用として設定すればよい。
尚、表面効果確認用カラープロファイルを使用しない場合、使用するインクの組合せにCLインクは無くてもよい。蛍光特性確認用カラープロファイルを使用しない場合、使用するインクの組合せにFyインクは無くてもよい。表面効果確認用カラープロファイルと蛍光特性確認用カラープロファイルの両方を使用しない場合、使用するインクの組合せにCLインクとFyインクが無くてもよい。
カラープロファイル50の設定後、制御部11は、S104において、図6に例示するUI画面200を表示装置30に表示させ、図2に示す中心パッチPA1cに対応する中心色の設定を入力装置16により受け付ける。ここで、UIは、ユーザーインターフェイスの略称である。図6に示すUI画面200は、中心色の入力領域210、第一調色チャートCH1に含まれる第一調色パッチPA1の数の入力領域220、第一調色パッチPA1を並べる色差の間隔の入力領域230、チャート印刷ボタン240、等を有している。図6に示す中心色入力領域210は、Lab値の入力欄211、及び、CMYK値の入力欄212を有している。制御部11は、Lab値入力欄211においてLab値の操作入力を入力装置16により受け付け、入力されたLab値を中心色として設定し、この中心色を表示欄213に表示させる。また、制御部11は、CMYK値入力欄212においてCMYK値の操作入力を入力装置16により受け付け、入力されたCMYK値をLab値に変換し、このLab値を中心色として設定し、この中心色を表示欄213に表示させる。ここで、CMYK値は、Cインクの使用量に対応するC値、Mインクの使用量に対応するM値、Yインクの使用量に対応するY値、及び、Kインクの使用量に対応するK値を意味する。CMYK値からLab値へは、カラープロファイル50の色変換テーブル51におけるi=1の対応関係COを参照することにより変換することができる。尚、Lab値入力欄211とCMYK値入力欄212のいずれか一方は、無くてもよい。
また、制御部11は、S106において、第一調色チャートCH1に含まれる第一調色パッチPA1の数の設定、及び、第一調色パッチPA1を並べる色差の間隔の設定を入力装置16により受け付ける。例えば、制御部11は、パッチ数入力領域220において、横向きのスライダーバーに沿ってスライダーを移動可能なスライダーコントロール221への操作入力を入力装置16により受け付け、スライダーの位置に応じたパッチ数を設定し、このパッチ数をパッチ数欄222に表示する。例えば、第一調色パッチPA1の並びをL値、a値、及び、b値のそれぞれについてNp段階にする場合、第一調色パッチPA1の数はNp3個に設定される。Np=7である場合、図6に示すようにパッチ数が343個になる。また、制御部11は、色差間隔入力領域230において、横向きのスライダーバーに沿ってスライダーを移動可能なスライダーコントロール231への操作入力を入力装置16により受け付け、スライダーの位置に応じた色差間隔を設定し、この色差間隔を色差間隔欄232に表示する。図6には、第一調色パッチPA1を並べる色差の間隔が5に設定されていることが示されている。
尚、S104の処理は、S106の処理の後でも行われる。S104,S106の処理は、チャート印刷ボタン240が入力装置16により操作されるまで繰り返し行われる。制御部11は、チャート印刷ボタン240の操作を入力装置16により受け付けると、処理をS108に進め、図2で示したように、互いにLab値が異なる複数の第一調色パッチPA1を含む第一調色チャートCH1をプリンター20に印刷させる。制御部11は、図2に示すように、各第一調色パッチPA1を識別するための文字もプリンター20に印刷させてもよい。S108の処理は、例えば、以下のようにして行うことができる。
まず、制御部11は、S104~S106の処理において設定された情報、すなわち、中心色のLab値、第一調色パッチPA1の数、及び、第一調色パッチPA1を並べる色差の間隔に基づいて、各第一調色パッチPA1のLab値を決定する。次に、制御部11は、各第一調色パッチPA1について、色変換テーブル51においてi=1に対応する対応関係COを参照することにより、Lab値をインク使用量に対応する記録材値に変換する。例えば、蛍光特性確認用カラープロファイルが設定されている場合、各第一調色パッチPA1のLab値がCMYKFy値に変換される。ここで、CMYKFy値は、C値、M値、Y値、K値、及び、Fy値を意味する。第一調色パッチPA1のLab値が色変換テーブル51に無い場合、制御部11は、第一調色パッチPA1のLab値を囲む複数の格子点に対応付けられているCMYKFy値を用いた補間演算によりLab値を対応するCMYKFy値に変換することができる。
第一調色チャートCH1の印刷後、制御部11は、S110において、第一調色チャートCH1に含まれる第一調色パッチPA1の選択操作を入力装置16により受け付ける。例えば、制御部11は、図2に示す第一調色チャートCH1に付加された文字群のうち特定パッチPA10に対応する文字の操作入力を入力装置16により受け付けてもよい。この場合、ユーザーは、特定パッチPA10に対応する「G3」を入力装置16により操作入力すればよい。また、制御部11は、第一調色チャートCH1に含まれる第一調色パッチPA1の配置を示す画面を表示装置30に表示させ、表示された画面から特定パッチPA10の選択操作を入力装置16により受け付けてもよい。
パッチ選択操作の受け付け後、制御部11は、S112において、特定パッチPA10に対応する特定色彩値(L0,a0,b0)を決定する。上述したように、各第一調色パッチPA1にはLab値が対応付けられているので、制御部11は、特定パッチPA10に対応するLab値を特定色彩値(L0,a0,b0)として取得すればよい。
以上より、第一調色チャートCH1に含まれる第一調色パッチPA1の選択操作に応じた特定色彩値(L0,a0,b0)が決定される。
特定色彩値の決定後、制御部11は、S114において、図4で示したような色変換テーブル51から特定色彩値(L0,a0,b0)に対応する複数の特定記録材値(Ci,Mi,Yi,Ki,Fyi)を取得する。例えば、特定色彩値が(L0j,a0j,b0j)である場合、制御部11は、色変換テーブル51から特定色彩値(L0j,a0j,b0j)に対応する特定記録材値を探索し、特定記録材値(C1j,M1j,Y1j,K1j,Fy1j),(C2j,M2j,Y2j,K2j,Fy2j),…,(Cij,Mij,Yij,Kij,Fyij),…,(Cnj,Mnj,Ynj,Knj,Fynj)を取得すればよい。特定色彩値(L0,a0,b0)が色変換テーブル51に無い場合、制御部11は、特定色彩値(L0,a0,b0)を囲む複数の格子点に対応付けられているCMYKFy値を用いた補間演算により特定色彩値(L0,a0,b0)に対応する複数の特定記録材値(Ci,Mi,Yi,Ki,Fyi)を取得することができる。
以上より、カラープロファイル50に含まれる複数の対応関係COに従って、特定色彩値(L0,a0,b0)に対応する複数の特定記録材値(Ci,Mi,Yi,Ki,Fyi)が取得される。
複数の特定記録材値の取得後、制御部11は、S116において、図3で示したように、各特定記録材値(Ci,Mi,Yi,Ki,Fyi)について対応するインク使用量の第二調色パッチPA2を含む第二調色チャートCH2をプリンター20に印刷させる。各第二調色パッチPA2は、特定記録材値(Ci,Mi,Yi,Ki,Fyi)に対応する使用量のインクにより形成される。制御部11は、図3に示すように、各第二調色パッチPA2を識別するための文字もプリンター20に印刷させてもよい。
上述したように、第二調色チャートCH2に含まれる複数の第二調色パッチPA2は、全て特定色彩値(L0,a0,b0)を示すパッチである。しかし、各第二調色パッチPA2は、CMYKFyのインクの成分が少しずつ異なる。例えば、図3において、「C1」の位置にあるパッチPA21の特定記録材値(C1,M1,Y1,K1,Fy1)が(25,0,63,0,15)であり、「C3」の位置にあるパッチPA22の特定記録材値(C2,M2,Y2,K2,Fy2)が(25,0,73,0,5)である。パッチPA21,PA22に着目すると、パッチPA21におけるFyの特定記録材値Fy1に対応するインク使用量は第一蛍光色使用量の例であり、パッチPA22におけるFyの特定記録材値Fy2に対応するインク使用量は第二蛍光色使用量の例である。むろん、第一蛍光色使用量のパッチと第二蛍光色使用量のパッチの組合せは、第二調色チャートCH2から任意に選択される。
第二調色チャートCH2の印刷後、制御部11は、S118において、第二調色チャートCH2に含まれる第二調色パッチPA2の選択操作を入力装置16により受け付ける。例えば、制御部11は、図3に示す第二調色チャートCH2に付加された文字群のうち選択パッチPA20に対応する文字の操作入力を入力装置16により受け付けてもよい。この場合、ユーザーは、選択パッチPA20に対応する「B3」を入力装置16により操作入力すればよい。また、制御部11は、第二調色チャートCH2に含まれる第二調色パッチPA2の配置を示す画面を表示装置30に表示させ、表示された画面から選択パッチPA20の選択操作を入力装置16により受け付けてもよい。
以上より、ユーザーは、同じLab値であってもFyインクの使用量に応じて蛍光特性が異なる複数の色から所望の蛍光特性の色を選択することができる。
特定パッチPA10と選択パッチPA20とにより示される蛍光特性の色を再現するため、制御部11は、S120において、ユーザー専用の色変換テーブルを生成してもよい。その後、制御部11は、色設定処理を終了させる。ここで、選択パッチPA20の記録材値を(Cs,Ms,Ys,Ks,Fys)とする。例えば、制御部11は、カラープロファイル50に含まれる色変換テーブル51においてi=1の対応関係COを表す元色変換テーブルにおいて、S104において設定された中心色のLab値に記録材値(Cs,Ms,Ys,Ks,Fys)を対応付けることにより、ユーザー専用の色変換テーブルを生成することができる。このようにして、カラーマネジメントが行われる。ユーザー専用の色変換テーブルを参照することにより印刷データが生成され、この印刷データに従った印刷がプリンター20で行われると、ユーザー好みの蛍光特性の色が印刷画像に再現される。
上述した色設定処理により、同じ特定色彩値(L0,a0,b0)で異なる複数の特定記録材値(Ci,Mi,Yi,Ki,Fyi)のそれぞれに対応するインク使用量の第二調色パッチPA2を含む第二調色チャートCH2が印刷される。ユーザーは、第二調色チャートCH2を見ることにより、同じ色合いで蛍光インクの光り方を確認することができ、色合いを変えずに所望の発色特性の色を選択することができ、蛍光の光らせ方の調整を簡単に行えるようになる。従って、本具体例は、同じ色彩値であってもインク使用量に応じて発色特性が異なる場合に所望の発色特性の色を選択することが可能となる。また、インクの組合せにKインクが含まれているので、本具体例は、同じ色彩値であってもKインクの使用量に応じて粒状性が異なる複数の色から所望の粒状性の色を選択することが可能となる。
尚、印刷装置には、昇華型インクを用いることにより転写紙に出力画像を形成する昇華転写プリンターといった転写型印刷装置もある。例えば、ユニフォームにチームカラーを転写する場合、転写型印刷装置が転写紙にチームカラーを印刷し、転写装置がチームカラーをユニフォームに転写する。他にも、制服にコーポレイトカラーを転写する場合等が考えられる。これらのような場合、転写紙に印刷されたカラーチャートからパッチを選択するのではなく、転写紙から別の媒体に転写されたカラーチャートからパッチを選択する方が、好ましい。
まず、図7を参照して、転写から別の媒体、例えば、布に印刷画像を転写する転写装置の例を説明する。
図7は、熱転写装置300を模式的に例示している。図7に示す転写装置300は、加熱板323、支柱329、加圧板322、ハンドル321、及び、コントローラー325を備えている。加熱板323は、印刷画像が付着した熱転写紙ME1と、布ME2と、の積層物を加熱する。ここで、熱転写紙ME1は第一媒体の例であり、布ME2は第二媒体の例である。支柱329は、加熱板323の一縁部から加熱板323の加熱面323aに交差する方向へ延出している。加圧板322は、支柱329に支えられ、両矢印Sの向き、すなわち、加熱面323aに近付く向き、及び、加熱面323aから離れる向きへ回転動作可能である。ハンドル321は、加圧板322に取り付けられている。コントローラー325は、加熱板323の加熱条件の設定をユーザーから受け付ける。図7に示すコントローラー325は、タッチパネル326を備えたタブレット端末であり、転写装置300の本体320に対して通信ケーブル327により接続され、通信ケーブル327を介して転写装置300の動作を制御する。
熱転写紙ME1と布ME2との積層物を加熱板323に載せてハンドル321の操作により加熱板323と加圧板322とで挟んで加熱すると、熱転写紙ME1から布ME2に印刷画像が転写される。印刷画像が調色チャートCH1,CH2である場合、調色チャートCH1,CH2が布に転写される。
むろん、転写装置300は、図7で示した例に限定されない。例えば、転写装置300は、ロール状の熱転写紙ME1を解いて布ME2に重ねて加熱ローラーにより積層物を加熱及び加圧することにより、熱転写紙ME1から布ME2に印刷画像を転写してもよい。
図5で示した色設定処理において、S108の処理は、転写型印刷装置であるプリンター20に対して昇華型インクによる第一調色チャートCH1を熱転写紙ME1に付着させる処理となる。この処理の後、ユーザーは、第一調色チャートCH1が付着した面を布ME2に向けて熱転写紙ME1を布ME2に重ね、この積層物を転写装置300の加熱面323aに載置してハンドル321の操作により加熱板323と加圧板322とで挟む操作を行うことになる。加熱板323と加圧板322とで挟まれた積層物が加熱されると、熱転写紙ME1から布ME2に第一調色チャートCH1が転写される。S110の処理は、布ME2に転写された第一調色チャートCH1に含まれる第一調色パッチPA1の選択操作を入力装置16により受け付ける処理となる。ユーザーは、布ME2に転写された第一調色チャートCH1を見ることにより、所望の色合いの第一調色パッチPA1を精度よく選択することができる。
また、S116の処理は、プリンター20に対して昇華型インクによる第二調色チャートCH2を熱転写紙ME1に付着させる処理となる。この処理の後、ユーザーは、第二調色チャートCH2が付着した面を布ME2に向けて熱転写紙ME1を布ME2に重ね、この積層物を転写装置300の加熱面323aに載置してハンドル321の操作により加熱板323と加圧板322とで挟む操作を行うことになる。加熱板323と加圧板322とで挟まれた積層物が加熱されると、熱転写紙ME1から布ME2に第二調色チャートCH2が転写される。これにより、第一媒体に印刷されたカラーチャートを第二媒体に転写する転写工程ST6が実施される。S118の処理は、布ME2に転写された第二調色チャートCH2に含まれる第二調色パッチPA2の選択操作を入力装置16により受け付ける処理となる。ユーザーは、布ME2に転写された第二調色チャートCH2を見ることにより、所望の発色特性の第二調色パッチPA2を精度よく選択することができる。
また、図5で示したS102の処理において粒状性確認用カラープロファイルが設定された場合、C,M,Y,Kの4種類のインクが使用される。この場合、色変換テーブル51は、色彩値Lab0jと記録材値CMYKijとの対応関係COを表すデータを有することになる。すなわち、粒状性確認用カラープロファイルの色変換テーブル51は、図4で示した色変換テーブルのうちFy値を無くしたデータを有することになる。
図8は、粒状性確認用カラープロファイルを使用した場合の第二調色チャートCH2の印刷物を模式的に例示している。媒体ME0上の第二調色チャートCH2は、特定パッチPA10の特定色彩値(L0,a0,b0)に対応付けられている複数の特定記録材値で示されるインク使用量の各第二調色パッチPA2を含んでいる。図8には、複数の第二調色パッチPA2に共通の特定色彩値(L0,a0,b0)が(10,50,50)であり、「C1」の位置にあるパッチPA21の特定記録材値(C1,M1,Y1,K1)が(23,0,0,50)であり、「C3」の位置にあるパッチPA22の特定記録材値(C2,M2,Y2,K2)が(25,0,0,60)であることが示されている。パッチPA21,PA22に着目すると、パッチPA21におけるKの特定記録材値K1に対応するインク使用量は第一ブラック使用量の例であり、パッチPA22におけるKの特定記録材値K2に対応するインク使用量は第二ブラック使用量の例である。むろん、第一ブラック使用量のパッチと第二ブラック使用量のパッチの組合せは、第二調色チャートCH2から任意に選択される。
粒状性確認用カラープロファイルに従った第二調色チャートCH2を使用すると、ユーザーは、同じ色合いでKインクドットの粒状感を確認することができ、色合いを変えずに所望の粒状性の色を選択することができ、粒状感を抑えたインク量の調整を簡単に行えるようになる。従って、図8に示す例は、同じ色彩値であってもKインクの使用量に応じて粒状性が異なる複数の色から所望の粒状性の色を選択することが可能となる。また、粒状感の確認のみならず、グレー色にMが混ざる「赤転び」といったグレーの色ずれに対してもインク量の調整を簡単に行えるようになる。特に、様々な特殊インクを併用すると「赤転び」といったグレーの色ずれが生じることがあるので、このような場合に本技術を適用すると好適である。
さらに、図5で示したS102の処理において表面効果確認用カラープロファイルが設定された場合、C,M,Y,K,CLの5種類のインクが使用される。この場合、色変換テーブル51は、色彩値Lab0jと記録材値CMYKCLijとの対応関係COを表すデータを有することになる。すなわち、表面効果確認用カラープロファイルの色変換テーブル51は、図4で示した色変換テーブルのうちFy値がCL値に変わったデータを有することになる。一般に、印刷画像にCLインクドットが混ざるとL値が高くなるため、CLインクの使用量が増えるとC,M,Y,KのインクによりL値を下げるように記録材値CMYKCLijが設定される。
印刷画像においてC,M,Y,KのインクドットにCLのインクドットを重ねる場合、制御部11は、C,M,Y,KのインクドットにCLのインクドットを重ねるように印刷データを生成し、この印刷データをプリンター20に送信すればよい。印刷データを受信したプリンター20は、印刷データに基づいて、C,M,Y,KのインクドットにCLのインクドットを重ねるように記録ヘッド22を駆動し、表面にCLのインクドットを有する印刷画像を媒体上に形成する。
図9は、表面効果確認用カラープロファイルを使用した場合の第二調色チャートCH2の印刷物を模式的に例示している。媒体ME0上の第二調色チャートCH2は、特定パッチPA10の特定色彩値(L0,a0,b0)に対応付けられている複数の特定記録材値で示されるインク使用量の各第二調色パッチPA2を含んでいる。図9には、複数の第二調色パッチPA2に共通の特定色彩値(L0,a0,b0)が(110,50,50)であり、「C1」の位置にあるパッチPA21の特定記録材値(C1,M1,Y1,K1,CL1)が(25,0,63,0,15)であり、「C3」の位置にあるパッチPA22の特定記録材値(C2,M2,Y2,K2,CL2)が(27,2,65,0,5)であることが示されている。パッチPA21,PA22に着目すると、パッチPA21におけるCLの特定記録材値CL1に対応するインク使用量は第一透明使用量の例であり、パッチPA22におけるCKの特定記録材値CL2に対応するインク使用量は第二透明使用量の例である。むろん、第一透明使用量のパッチと第二透明使用量のパッチの組合せは、第二調色チャートCH2から任意に選択される。
表面効果確認用カラープロファイルに従った第二調色チャートCH2を使用すると、ユーザーは、同じ色合いで質感や凹凸や光沢といった表面効果を確認することができ、色合いを変えずに所望の表面効果の色を選択することができ、表面効果の調整を簡単に行えるようになる。従って、図9に示す例は、同じ色彩値であってもCLインクの使用量に応じて表面効果が異なる複数の色から所望の表面効果の色を選択することが可能となる。また、インクの組合せにKインクが含まれているので、図9に示す例は、同じ色彩値であってもKインクの使用量に応じて粒状性が異なる複数の色から所望の粒状性の色を選択することが可能となる。
上述した様々な具体例は、色差確認用の第一調色チャートCH1に加えて、蛍光や粒状性や光沢等を確認するための第二調色チャートCH2を利用したカラーマネジメントを行うことができる。これにより、蛍光や粒状性や光沢等について所望の発色特性となる印刷成果物を生成することが可能となる。
(4)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、印刷装置は、インクジェットプリンターに限定されず、記録材としてトナーを使用するレーザープリンターといった電子写真方式のプリンター等でもよい。また、印刷装置は、コピー機、ファクシミリ、これらの機能を備えた複合機、等でもよい。
使用する記録材の種類の組合せは、上述した例に限定されない。例えば、C,M,Y,K,Fy,CLの6種類全ての記録材を組み合わせることにより、粒状性と蛍光特性と表面特性について所望の発色特性となるように色を選択することが可能となる。また、記録材の組合せには、Cよりも低濃度のライトシアンLc、Mよりも低濃度のライトマゼンタLm、Yよりも高濃度のダークイエローDy、オレンジOr、グリーンGr、Fy以外の蛍光色、等の少なくとも一部が含まれてもよい。
第一調色チャートCH1からの特定パッチPA10の選択により特定色彩値(L0,a0,b0)が決まっても、第二調色チャートCH2に含まれる複数の第二調色パッチPA2に所望の発色特性の色が含まれていないことも想定される。この場合、第一調色チャートCH1から特定パッチPA10を選び直してから第二調色チャートCH2を再印刷することが考えられるが、手間が掛かる。そこで、図10に例示するように、特定色彩値(L0,a0,b0)に対応する複数の第二調色パッチPA2を含む第一パッチ群G1に加えて、特定色彩値とは所定色差異なる周辺色彩値に対応する複数の第二調色パッチPA2を含む第二パッチ群P2を含む第二調色チャートCH2が印刷されてもよい。
第一パッチ群G1は、特定色彩値(L0,a0,b0)に対応する各特定記録材値に対応するインク使用量の第二調色パッチPA2を含んでいる。第二パッチ群P2は、周辺色彩値に対応する各特定記録材値に対応するインク使用量の第二調色パッチPA2を含んでいる。周辺色彩値は、例えば、特定色彩値(L0,a0,b0)との色差がΔa=Δb=ΔLであるLab値とすることができる。図10に示す第二調色チャートCH2では、第一パッチ群G1を中心として、パッチ群G1,G2のa値が右方向へΔaずつ変わり、パッチ群G1,G2のb値が上方向へΔbずつ変わっていることが示されている。すなわち、第二調色チャートCH2の右端にある3組の第二パッチ群G2のa値は第一パッチ群G1のa値よりもΔa大きく、第二調色チャートCH2の左端にある3組の第二パッチ群G2のa値は第一パッチ群G1のa値よりもΔa小さい。また、第二調色チャートCH2の上端にある3組の第二パッチ群G2のb値は第一パッチ群G1のb値よりもΔb大きく、第二調色チャートCH2の下端にある3組の第二パッチ群G2のb値は第一パッチ群G1のb値よりもΔb小さい。図示していないが、第二調色チャートCH2は、第一パッチ群G1とはL値が異なる第二パッチ群G2を含んでいてもよい。
図10に示す第二調色チャートCH2を見たユーザーは、特定色彩値(L0,a0,b0)の第一パッチ群G1のみならず、周辺色彩値の第二パッチ群G2からも所望の色のパッチを選択することができる。これにより、基準となる特定色彩値よりも発色特性を優先して色を選択することが可能となる。尚、第二パッチ群G2に選択パッチPA20がある場合も、図4に示すようにi=1の対応関係COを表す元色変換テーブルにおいて、中心色のLab値に選択パッチPA20の記録材値(Cs,Ms,Ys,Ks,Fys)が対応付けられることにより、カラーマネジメントが行われる。
(5)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、同じ色彩値であっても記録材の使用量に応じて発色特性が異なる場合に所望の発色特性の色を選択することが可能な技術等を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
10…画像処理装置、11…制御部、15…記憶装置、16…入力装置、20…プリンター、30…表示装置、50…カラープロファイル、51…色変換テーブル、200…UI画面、300…転写装置、CH1…第一調色チャート、CH2…第二調色チャート、CO…対応関係、G1…第一パッチ群、G2…第二パッチ群、ME0…媒体、ME1…熱転写紙、ME2…布、PA1…第一調色パッチ、PA1c…中心パッチ、PA2…第二調色パッチ、PA10…特定パッチ、PA20…選択パッチ、SY1…画像処理システム。

Claims (8)

  1. 印刷装置に印刷を実行させる画像処理装置であって、
    色空間の座標値である色彩値と、記録材の使用量に対応する記録材値と、の対応関係を複数含むカラープロファイルを記憶している記憶部と、
    カラーチャートを前記印刷装置に印刷させるプロセッサーと、を備え、
    前記プロセッサーは、前記カラープロファイルに含まれる前記複数の対応関係に従って、前記色空間の座標値である特定色彩値に対応する前記記録材値である特定記録材値を複数取得し、前記特定色彩値に対応する各前記特定記録材値に対応する前記使用量のパッチを含む第一パッチ群と、前記特定色彩値とは所定色差異なる周辺色彩値に対応する各前記特定記録材値に対応する前記使用量のパッチを含む複数の第二パッチ群と、を含むカラーチャートを前記印刷装置に印刷させる、画像処理装置。
  2. 前記記録材値は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、及び、蛍光色の前記使用量にそれぞれ対応する値を含み、
    前記カラーチャートは、前記蛍光色の前記使用量が第一蛍光色使用量である前記パッチ、及び、前記蛍光色の前記使用量が前記第一蛍光色使用量とは異なる第二蛍光色使用量である前記パッチを含む、請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記記録材値は、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックの前記使用量にそれぞれ対応する値を含み、
    前記カラーチャートは、前記ブラックの前記使用量が第一ブラック使用量である前記パッチ、及び、前記ブラックの前記使用量が前記第一ブラック使用量とは異なる第二ブラック使用量である前記パッチを含む、請求項1に記載の画像処理装置。
  4. 前記記録材値は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、及び、透明の前記使用量にそれぞれ対応する値を含み、
    前記カラーチャートは、前記透明の前記使用量が第一透明使用量である前記パッチ、及び、前記透明の前記使用量が前記第一透明使用量とは異なる第二透明使用量である前記パッチを含む、請求項1に記載の画像処理装置。
  5. 前記カラーチャートは、前記複数のパッチとして複数の第一調色パッチを含む第一調色チャート、及び、前記複数のパッチとして複数の第二調色パッチを含む第二調色チャートを含み、
    前記プロセッサーは、
    互いに前記色彩値が異なる前記複数の第一調色パッチを含む前記第一調色チャートを前記印刷装置に印刷させる第一の処理と、
    前記第一調色チャートに含まれる前記第一調色パッチの選択操作に応じた前記特定色彩値を決定する第二の処理と、
    前記特定色彩値に対応する前記複数の特定記録材値を前記複数の対応関係に従って取得する第三の処理と、
    各前記特定記録材値について対応する前記使用量の前記第二調色パッチを含む第二調色チャートを前記印刷装置に印刷させる第四の処理と、
    前記第二調色チャートに含まれる前記第二調色パッチの選択を受け付ける第五の処理と、を実行する、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  6. 印刷装置に印刷を実行させる画像処理方法であって、
    色空間の座標値である色彩値と、記録材の使用量に対応する記録材値と、の対応関係を複数含むカラープロファイルに含まれる前記複数の対応関係に従って、前記色空間の座標値である特定色彩値に対応する前記記録材値である特定記録材値を複数取得する取得工程と、
    前記特定色彩値に対応する各前記特定記録材値に対応する前記使用量のパッチを含む第一パッチ群と、前記特定色彩値とは所定色差異なる周辺色彩値に対応する各前記特定記録材値に対応する前記使用量のパッチを含む複数の第二パッチ群と、を含むカラーチャートを前記印刷装置に印刷させる制御工程と、を含む、画像処理方法。
  7. 前記印刷装置は、前記カラーチャートを第一媒体に印刷し、
    前記画像処理方法は、
    前記第一媒体に印刷された前記カラーチャートを第二媒体に転写する転写工程と、
    前記第二媒体に転写された前記カラーチャートに含まれる前記パッチの選択操作を受け付ける受付工程と、をさらに含む、請求項に記載の画像処理方法。
  8. 印刷装置に印刷を実行させるための画像処理プログラムであって、
    色空間の座標値である色彩値と、記録材の使用量に対応する記録材値と、の対応関係を複数含むカラープロファイルに含まれる前記複数の対応関係に従って、前記色空間の座標値である特定色彩値に対応する前記記録材値である特定記録材値を複数取得する取得機能と、
    前記特定色彩値に対応する各前記特定記録材値に対応する前記使用量のパッチを含む第一パッチ群と、前記特定色彩値とは所定色差異なる周辺色彩値に対応する各前記特定記録材値に対応する前記使用量のパッチを含む複数の第二パッチ群と、を含むカラーチャートを前記印刷装置に印刷させる、制御機能と、をコンピューターに実現させる、画像処理プログラム。
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