JP7281023B2 - ファンインペラ用液晶性樹脂組成物及びそれを用いたファンインペラ - Google Patents

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Description

本発明は、ファンインペラ用液晶性樹脂組成物及びそれを用いたファンインペラに関する。
液晶性ポリエステル樹脂に代表される液晶性樹脂は、優れた耐熱性、耐薬品性、電気的性質等をバランス良く有し、優れた寸法安定性も有するため高機能エンジニアリングプラスチックとして広く利用されている。
ところで、ファンは、空気等の流体を強制対流させることにより、電子機器の冷却等に利用されている(例えば、特許文献1)。ファンは、通常、複数の羽根を有し、回転することにより流体の流れを発生させるファンインペラ、ファンインペラを回転させるモータ、ファンインペラ及びモータを収納するハウジング、等から構成される。従来、ファンインペラやハウジングの樹脂としては、ポリアミドやポリブチレンテレフタラート等が使用されていた。
特開2005-039253号公報
近年、超高速・超低遅延・多数同時接続を可能にする第5世代移動通信システム(5G)のサービスが開始される中で、電子機器等の高機能化・高速化に伴う発熱が増加しており、冷却システムの重要性が益々高まっている。冷却ファンにおいても冷却能力の効率化が求められており、ファンインペラの羽根の厚みを薄く(薄肉化)して羽根の枚数を増加させる手法、従来よりもファンを高速に回転させる手法、等の対応策が考えられている。
しかし、従来の樹脂をファンインペラに使用する場合、羽根を薄肉化させると、樹脂組成物の流動性が低いために良好に成形できないという問題や、高速に回転させると、振動によるノイズが発生するという問題が発生し得る。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、振動減衰特性及び流動性に優れ、ノイズが抑制されたファンインペラを良好に成形できるファンインペラ用液晶性樹脂組成物、前記組成物からなるファンインペラ、及び前記ファンインペラを備えるファンを提供することを目的とする。
本発明者らは、従来の樹脂に代わるファンインペラ材料を検討した結果、特定の構成単位を所定量含む液晶性樹脂を使用すると、特に優れた流動性及び振動減衰特性が得られることを発見した。そして、上記液晶性樹脂と、所定の含有量の繊維状充填剤とを組み合わせ、所定の温度及び周波数において測定した損失係数を所定の範囲とした液晶性樹脂組成物であると、上記の課題を解決できることを見出した。具体的には、本発明は、以下のようなものを提供する。
(1) (A)液晶性樹脂と、(B)繊維状充填剤と、を含むファンインペラ用液晶性樹脂組成物であって、
前記(A)液晶性樹脂は、下記構成単位(I)、(III)、(IV)及び(V)を含有し、下記構成単位(II)を含有し又は含有せず、
全構成単位に対して構成単位(I)の含有量が35~75モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(II)の含有量が0~8モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(III)の含有量が4.5~30.5モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(IV)の含有量が2~8モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(V)の含有量が12.5~32.5モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(I)~(V)の合計の含有量が100モル%である、溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステルであり、
前記(B)繊維状充填剤の含有量は、前記液晶性樹脂組成物全体に対して、5~40質量%であり、
JIS G0602に準拠して測定される、温度23℃、周波数10000Hzにおける損失係数が0.05以上である、液晶性樹脂組成物。
Figure 0007281023000001
(2) 前記(A)液晶性樹脂は、構成単位(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)からなり、
全構成単位に対して構成単位(I)の含有量が35~75モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(II)の含有量が2~8モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(III)の含有量が4.5~30.5モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(IV)の含有量が2~8モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(V)の含有量が12.5~32.5モル%であり
全構成単位に対して構成単位(I)~(V)の合計の含有量が100モル%である、溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステルであり、
前記(B)繊維状充填剤の含有量は、前記液晶性樹脂組成物全体に対して、5~30質量%である(1)に記載の液晶性樹脂組成物。
(3) 前記(B)繊維状充填剤は、ガラス繊維及び/又は炭素繊維である、(1)又は(2)に記載の液晶性樹脂組成物。
(4) (1)~(3)のいずれかに記載の液晶性樹脂組成物からなるファンインペラ。
(5) 羽根厚みt(mm)に対する羽根全長L(mm)の比率L/tが50以上の遠心ファンインペラである、(4)に記載のファンインペラ。
(6) (4)又は(5)に記載のファンインペラを備えるファン。
本発明によれば、振動減衰特性及び流動性に優れ、ノイズが抑制されたファンインペラを良好に成形できるファンインペラ用液晶性樹脂組成物、前記組成物からなるファンインペラ、及び前記ファンインペラを備えるファンを提供することができる。
本発明に係るファンの実施形態のうち、軸流ファンを模式的に示した斜視図である。 本発明に係るファンの実施形態のうち、遠心ファンを模式的に示した斜視図である。 実施例において作成した遠心ファンのファンインペラの正面図及び側面図である。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
<ファンインペラ用液晶性樹脂組成物>
本発明に係るファンインペラ用液晶性樹脂組成物は、特定の液晶性樹脂と、所定量の繊維状充填剤とを含み、損失係数が0.05以上である。本発明に係る液晶性樹脂組成物は、損失係数が0.05以上であることにより、振動減衰特性に優れ、ノイズを抑制したファンインペラを与えることができる。損失係数は、好ましくは0.055以上、より好ましくは0.06以上である。損失係数の上限は、特に限定されず、例えば、0.08で良い。
本明細書において、損失係数としては、JIS G0602に準拠し、温度23℃、周波数10000Hzにおいて測定される値を採用する。
[(A)液晶性樹脂]
本発明に係る液晶性樹脂組成物には、上記全芳香族ポリエステルである液晶性樹脂が含まれる。上記全芳香族ポリエステルは、特に優れた流動性及び振動減衰特性が得られるため、ノイズが抑制されたファンインペラを良好に成形することができる。液晶性樹脂は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明における全芳香族ポリエステルは、下記構成単位(I)、下記構成単位(III)、下記構成単位(IV)及び下記構成単位(V)を含有し、下記構成単位(II)を含有し又は含有しない。
Figure 0007281023000002
構成単位(I)は、4-ヒドロキシ安息香酸(以下、「HBA」ともいう。)から誘導される。本発明における全芳香族ポリエステルは、全構成単位に対して構成単位(I)を35~75モル%含む。構成単位(I)の含有量が35モル%未満、又は75モル%を超えると、振動減衰特性及び流動性の少なくとも一方が不十分となりやすい。振動減衰特性と流動性との両立の観点から、構成単位(I)の含有量は、好ましくは40~65モル%、より好ましくは44~55モル%である。
構成単位(II)は、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(以下、「HNA」ともいう。)から誘導される。本発明における全芳香族ポリエステルは、全構成単位に対して構成単位(II)を0~8モル%含む、すなわち、構成単位(II)を含まない又は全構成単位に対して0モル%超8モル%以下含む。構成単位(II)の含有量が8モル%を超えると、振動減衰特性及び流動性の少なくとも一方が不十分となりやすい。振動減衰特性と流動性との両立の観点から、構成単位(II)の含有量は、好ましくは2~8モル%、より好ましくは2~6モル%である。
構成単位(III)は、1,4-フェニレンジカルボン酸(以下、「TA」ともいう。)から誘導される。本発明における全芳香族ポリエステルは、全構成単位に対して構成単位(III)を4.5~30.5モル%含む。構成単位(III)の含有量が4.5モル%未満、又は30.5モル%を超えると、振動減衰特性及び流動性の少なくとも一方が不十分となりやすい。振動減衰特性と流動性との両立の観点から、構成単位(III)の含有量は、好ましくは11~27モル%、より好ましくは16~24モル%である。
構成単位(IV)は、1,3-フェニレンジカルボン酸(以下、「IA」ともいう。)から誘導される。本発明における全芳香族ポリエステルは、全構成単位に対して構成単位(IV)を2~8モル%含む。構成単位(IV)の含有量が2モル%未満、又は8モル%以上であると、振動減衰特性及び流動性の少なくとも一方が不十分となりやすい。振動減衰特性と流動性との両立の観点から、構成単位(IV)の含有量は、好ましくは2~7モル%、より好ましくは2.5~5モル%である。
構成単位(V)は、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(以下、「BP」ともいう。)から誘導される。本発明における全芳香族ポリエステルには、全構成単位に対して構成単位(V)を12.5~32.5モル%含む。構成単位(V)の含有量が12.5モル%未満、又は32.5モル%を超えると、振動減衰特性及び流動性の少なくとも一方が不十分となりやすい。振動減衰特性と流動性との両立の観点から、構成単位(V)の含有量は、好ましくは17~30モル%、より好ましくは21~28モル%である。
以上の通り、本発明における全芳香族ポリエステルは、特定の構成単位である(I)~(V)のそれぞれを、全構成単位に対して特定の量含有するため、特に優れた振動減衰特性と流動性が得られる。なお、本発明の全芳香族ポリエステルは、全構成単位に対して構成単位(I)~(V)を合計で100モル%含む。
次いで、本発明における全芳香族ポリエステルの製造方法について説明する。本発明における全芳香族ポリエステルは、直接重合法やエステル交換法等を用いて重合される。重合に際しては、溶融重合法、溶液重合法、スラリー重合法、固相重合法等、又はこれらの2種以上の組み合わせが用いられ、溶融重合法、又は溶融重合法と固相重合法との組み合わせが好ましく用いられる。
本発明では、重合に際し、重合モノマーに対するアシル化剤や、酸塩化物誘導体として末端を活性化したモノマーを使用できる。アシル化剤としては、無水酢酸等の脂肪酸無水物等が挙げられる。
これらの重合に際しては種々の触媒の使用が可能であり、代表的なものとしては、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、トリス(2,4-ペンタンジオナト)コバルト(III)等の金属塩系触媒、1-メチルイミダゾール、4-ジメチルアミノピリジン等の有機化合物系触媒を挙げることができる。
反応条件としては、例えば、反応温度200~380℃、最終到達圧力0.1~760Torr(即ち、13~101,080Pa)である。特に溶融反応では、例えば、反応温度260~380℃、好ましくは300~360℃、最終到達圧力1~100Torr(即ち、133~13,300Pa)、好ましくは1~50Torr(即ち、133~6,670Pa)である。
反応は、全原料モノマー(HBA、HNA、TA、IA、及びBP)、アシル化剤、及び触媒を同一反応容器に仕込んで反応を開始させることもできるし(一段方式)、原料モノマーHBA、HNA、及びBPの水酸基をアシル化剤によりアシル化させた後、TA及びIAのカルボキシル基と反応させることもできる(二段方式)。
溶融重合は、反応系内が所定温度に達した後、減圧を開始して所定の減圧度にして行う。撹拌機のトルクが所定値に達した後、不活性ガスを導入し、減圧状態から常圧を経て、所定の加圧状態にして反応系から全芳香族ポリエステルを排出する。
上記重合方法により製造された全芳香族ポリエステルは、更に常圧又は減圧、不活性ガス中で加熱する固相重合により分子量の増加を図ることができる。固相重合反応の好ましい条件は、反応温度230~350℃、好ましくは260~330℃、最終到達圧力10~760Torr(即ち、1,330~101,080Pa)である。
次いで、全芳香族ポリエステルの性質について説明する。本発明における全芳香族ポリエステルは、溶融時に光学的異方性を示す。溶融時に光学的異方性を示すことは、本発明における全芳香族ポリエステルが液晶性樹脂であることを意味する。
本発明において、全芳香族ポリエステルが液晶性樹脂であることは、全芳香族ポリエステルが良好な振動減衰特性と流動性を併せ持つ上で不可欠な要素である。上記構成単位(I)~(V)から構成される全芳香族ポリエステルは、構成成分及びポリマー中のシーケンス分布によっては、異方性溶融相を形成しないものも存在するが、本発明における液晶性樹脂は溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステルに限られる。
溶融異方性の性質は直交偏光子を利用した慣用の偏光検査方法により確認することができる。より具体的には溶融異方性の確認は、オリンパス社製偏光顕微鏡を使用しリンカム社製ホットステージにのせた試料を溶融し、窒素雰囲気下で150倍の倍率で観察することにより実施できる。液晶性樹脂は光学的に異方性であり、直交偏光子間に挿入したとき光を透過させる。試料が光学的に異方性であると、例えば溶融静止液状態であっても偏光は透過する。
ネマチックな液晶性樹脂は融点以上で著しく粘性低下を生じるので、一般的に融点又はそれ以上の温度で液晶性を示すことが加工性の指標となる。融点は、でき得る限り高い方が耐熱性の観点からは好ましいが、液晶性樹脂の溶融加工時の熱劣化や成形機の加熱能力等を考慮すると、360℃以下であることが好ましい目安となる。なお、より好ましくは300~360℃であり、更により好ましくは340~358℃である。
本発明における液晶性樹脂の融点より10~30℃高い温度、かつ、剪断速度1000/秒における前記液晶性樹脂の溶融粘度は、好ましくは500Pa・s以下であり、より好ましくは0.5~300Pa・sであり、更により好ましくは1~100Pa・sである。上記溶融粘度が上記範囲内であると、前記液晶性樹脂そのもの、又は、前記液晶性樹脂を含有する組成物は、その成形時において、流動性が確保されやすく、充填圧力が過度になりにくい。なお、本明細書において、溶融粘度としては、ISO 11443に準拠した測定方法で得られた値を採用する。
本発明に係る液晶性樹脂組成物は、上記の液晶性樹脂を、液晶性樹脂組成物全体に対して、好ましくは60~95質量%、より好ましくは65~95質量%、更に好ましくは70~95質量%、特に好ましくは75~92質量%含む。液晶性樹脂の含有量が、液晶性樹脂組成物全体に対し60質量%未満であると、液晶性樹脂組成物の振動減衰特性及び流動性が悪化しやすく、また、液晶性樹脂組成物から得られるファンインペラのノイズが悪化する恐れがある。液晶性樹脂の含有量が、液晶性樹脂組成物全体に対して95質量%超であると、液晶性樹脂組成物から得られるファンインペラの強度や剛性が低下する恐れがある。
[(B)繊維状充填剤]
本発明に係る液晶性樹脂組成物は、(B)繊維状充填剤を含有することにより、該液晶性樹脂組成物からなるファンインペラに十分な機械的強度を与えることができる。(B)繊維状充填剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
(B)繊維状充填剤の重量平均繊維長は、特に限定されず、例えば、200μm以上でよく、好ましくは300~600μmであり、より好ましくは400~500μmである。上記重量平均繊維長が600μm以下であると、液晶性樹脂組成物の流動性が十分となりやすい。上記重量平均繊維長が200μm以上であると、本発明の液晶性樹脂組成物から得られる成形体は、機械的強度及び耐熱性が向上しやすい。なお、本明細書において、液晶性樹脂組成物中の(B)繊維状充填剤の重量平均繊維長としては、液晶性樹脂組成物を600℃で2時間の加熱により灰化して残存した繊維状充填剤の実体顕微鏡画像をCCDカメラからPCに取り込み、画像測定機によって画像処理手法により当該繊維状充填剤の繊維長を測定した値の平均を採用する。
(B)繊維状充填剤の平均繊維径は、特に限定されず、例えば、20μm以下であり、好ましくは5~15μmである。上記平均繊維径が20μm以下であると、成形体表面の起毛を抑制しやすい。なお、本明細書において、液晶性樹脂組成物中の(B)繊維状充填剤の平均繊維径としては、液晶性樹脂組成物を600℃で2時間の加熱により灰化して残存した繊維状充填剤の繊維径を電子顕微鏡(SEM)観察で測定した値の平均を採用する。
以上の形状を満足する繊維状充填剤であれば、何れの繊維も用いることができるが、(B)繊維状充填剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ミルドファイバー、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウム繊維、更にステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物等の無機質繊維状物質が挙げられる。本発明においては、機械的強度の観点から、(B)成分として、ガラス繊維及び/又は炭素繊維を使用することが好ましい。
ガラス繊維としては、特に限定されず、公知のガラス繊維がいずれも好ましく用いられる。そして、ガラス繊維の円筒、繭形、長円断面等の形状、あるいはチョップドストランドやロービング等の製造に用いる際の長さやガラスカットの方法は特に限定されない。本発明では、ガラスの種類も限定されないが、品質上、Eガラスや、組成中にジルコニウム元素を有する耐腐食ガラスが好ましく用いられる。
炭素繊維としては、特に限定されず、ポリアクリロニトリルを原料とするPAN系炭素繊維、ピッチを原料とするピッチ系炭素繊維が挙げられる。
(B)繊維状充填剤の含有量は、本発明に係る液晶性樹脂組成物において、5~40質量%であり、好ましくは5~35質量%、より好ましくは5~30質量%、特に好ましくは8~25質量%である。(B)繊維状充填剤の含有量が上記範囲内であると、液晶性樹脂組成物の流動性が十分に確保されつつ、良好な振動減衰特性が得られ、液晶性樹脂組成物から得られるファンインペラの機械的強度が向上しやすく、ノイズが抑制されやすい。
[その他の成分]
本発明に係る液晶性樹脂組成物には、本発明の効果を害さない範囲で、その他の重合体、その他の充填剤、一般に合成樹脂に添加される公知の物質、即ち、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤、潤滑剤、離型剤、結晶化促進剤、結晶核剤等のその他の成分も要求性能に応じ適宜添加することができる。その他の成分は1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他の重合体としては、例えば、(A)液晶性樹脂以外の液晶性樹脂が挙げられる。但し、成形体の振動減衰特性等の観点から、本発明に係る液晶性樹脂組成物は、(A)液晶性樹脂以外の液晶性樹脂を含まないことが好ましい。その他の重合体としては、例えば、エポキシ基含有共重合体も挙げられる。但し、エポキシ基含有共重合体の加熱分解によりガスが発生することも、それに起因してファンインペラ等の成形体が膨れることも起きにくいことから、本発明に係る液晶性樹脂組成物は、エポキシ基含有共重合体を含まないことが好ましい。
その他の充填剤とは、繊維状充填剤以外の充填剤をいい、例えば、板状充填剤(例えば、タルク、マイカ)等が挙げられる。
本発明に係る液晶性樹脂組成物の製造方法は、液晶性樹脂組成物中の成分を均一に混合できれば特に限定されず、従来知られる樹脂組成物の製造方法から適宜選択することができる。例えば、1軸又は2軸押出機等の溶融混練装置を用いて、各成分を溶融混練して押出した後、得られた液晶性樹脂組成物を粉末、フレーク、ペレット等の所望の形態に加工する方法が挙げられる。
本発明に係る液晶性樹脂組成物は流動性に優れるため、羽根を薄肉化させたファンインペラを容易に成形することができる。
液晶性樹脂の融点より10~30℃高い温度で、剪断速度1000/秒で、ISO11443に準拠して測定した液晶性樹脂組成物の溶融粘度が500Pa・s以下(より好ましくは、5Pa・s以上100Pa・s以下)であることが、ファンインペラの成形時において、液晶性樹脂組成物の流動性を確保しやすく、羽根を薄肉化させたファンインペラの成形が容易である点で好ましい。
<ファンインペラ及びファン>
本発明に係る液晶性樹脂組成物を成形することにより、本発明に係るファンインペラを得ることができる。また、本発明に係るファンは、上記ファンインペラを備える。これにより、本発明に係るファンインペラ及びファンは、振動減衰特性に優れ、ノイズが抑制される。
本発明に係るファンとしては、特に限定されず、複数の羽根を有し、回転することにより空気等の気体の流れを発生させるファンインペラと、ファンインペラを回転させるモータと、ファンインペラ及びモータを収納するハウジングとを備える通常のファンであってよい。また、ファインインペラ、モータ及びハウジングに加えて、通常のファンが備える他の構成を備えていてもよい。本発明に係るファンインペラは、一部又は全部が本発明に係る液晶性樹脂組成物からなる。
ファンは、気体の流れ方によって、気体がファンインペラを軸方向に通り抜ける軸流ファン(標準的な軸流ファン、二重反転ファン等);気体がファンインペラを径方向に通り抜ける遠心ファン(後向きファン、ラジアルファン、多翼ファン等);気体がファンインペラを軸方向に対して傾斜して通り抜ける斜流ファン;等に分類することができる。本発明に係るファンとしては、特に限定されず、いずれのファンであってもよいが、特に軸流ファン及び/又は遠心ファンが好ましく、遠心ファンがより好ましい。
ファンの一般的な用途としては、換気、冷房、機械・電気機器の冷却等が挙げられるが、なかでも、本発明に係るファンの用途としては、機械・電気機器の冷却ファンが好ましく、ノートPCやサーバー等の電子機器における冷却ファンがより好ましい。
本発明に係るファンの形状として、例えば、図1に示す軸流ファン1、図2に示す遠心ファン2が挙げられる。図1の軸流ファン1は、ファンインペラ11と、ファンインペラ11を回転させるモータと、ファンインペラ11及びモータを収納するハウジング12とを備える。モータが駆動して、複数の羽根111を有するファンインペラ11を回転させることで、気体がファンインペラ11を軸方向に通り抜け、後方に送風される。図2の遠心ファン2は、ファンインペラ21と、ファンインペラ21を回転させるモータと、ファンインペラ21及びモータを収納するハウジング22とを備える。モータが駆動して、複数の羽根211を有するファンインペラ21を回転させることで、吸入口23から流入した気体がファンインペラ21を径方向に通り抜け、排気口24へと送風される。
ファンインペラの羽根の厚みtは、特に限定されないが、好ましくは0.1~0.5mmであり、より好ましくは0.1~0.2mmである。ファンインペラの羽根の全長Lは、特に限定されないが、好ましくは5~50mmであり、より好ましくは10~30mmである。羽根の厚みtに対する羽根の全長Lの比率L/tは、特に限定されないが、好ましくは50以上であり、より好ましくは50~200である。上記数値範囲内であると、本発明に係る液晶性樹脂組成物を使用した際に本発明の効果が発揮されやすい。なお、本明細書において、羽根の厚みtは最小厚みを意味し、羽根の全長Lは、羽根の半径方向の基部と先端を結ぶ直線の長さを意味する。
ファンインペラの直径は、特に限定されないが、好ましくは10~100mmであり、より好ましくは20~60mmである。ファンインペラの羽根の枚数は、特に限定されないが、好ましくは30~80枚であり、より好ましくは40~60枚である。上記数値範囲内であると、本発明に係る液晶性樹脂組成物を使用した際に本発明の効果が発揮されやすい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1~5、比較例1~4>
下記の実施例及び比較例において、液晶性樹脂LCP1~LCP5は、以下の通りにして製造した。その際、ペレットの融点及び溶融粘度の測定は、それぞれ下記の条件で行った。
[融点の測定]
TAインスツルメント社製DSCにて、液晶性樹脂を室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、(Tm1+40)℃の温度で2分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度、20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピークの温度を測定した。
[溶融粘度の測定]
(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1B型を使用し、液晶性樹脂の融点よりも10~20℃高い温度で、内径1mm、長さ20mmのオリフィスを用いて、剪断速度1000/秒で、ISO11443に準拠して、液晶性樹脂の溶融粘度を測定した。なお、測定温度は、LCP1については380℃、LCP2については350℃、LCP3については300℃、LCP4については380℃、LCP5については340℃であった。
(LCP1の製造方法)
撹拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、アシル化剤を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)4-ヒドロキシ安息香酸:1040g(48モル%)(HBA)
(II)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸:89g(3モル%)(HNA)
(III)テレフタル酸:547g(21モル%)(TA)
(IV)イソフタル酸:91g(3.5モル%)(IA)
(V)4,4’-ジヒドロキシビフェニル:716g(24.5モル%)(BP)
酢酸カリウム触媒:110mg
無水酢酸:1644g
重合容器に原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で1時間反応させた。その後、更に360℃まで5.5時間かけて昇温し、そこから20分かけて5Torr(即ち、667Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、その他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズしてペレット化した。得られたペレットの融点は355℃、溶融粘度は10Pa・sであった。
(LCP2の製造方法)
撹拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、アシル化剤を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)4-ヒドロキシ安息香酸1380g(60モル%)(HBA)
(II)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸157g(5モル%)(HNA)
(III)テレフタル酸484g(17.5モル%)(TA)
(V)4,4’-ジヒドロキシビフェニル388g(12.5モル%)(BP)
(VI)N-アセチル-p-アミノフェノール126g(5モル%)(APAP)
酢酸カリウム触媒110mg
無水酢酸1659g
重合容器に原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で1時間反応させた。その後、更に340℃まで4.5時間かけて昇温し、そこから15分かけて10Torr(即ち、1330Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、その他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズしてペレット化した。得られたペレットの融点は336℃、溶融粘度は20Pa・sであった。
(LCP3の製造方法)
撹拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、アシル化剤を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)4-ヒドロキシ安息香酸:1660g(73モル%)(HBA)
(II)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸:837g(27モル%)(HNA)
酢酸カリウム触媒:165mg
無水酢酸:1714g
重合容器に原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で1時間反応させた。その後、更に325℃まで3.5時間かけて昇温し、そこから20分かけて5Torr(即ち、667Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、その他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズしてペレット化した。得られたペレットの融点は280℃、溶融粘度は44.0Pa・sであった。
(LCP4の製造方法)
撹拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、アシル化剤を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)4-ヒドロキシ安息香酸:37g(2モル%)(HBA)
(II)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸:1218g(48モル%)(HNA)
(III)テレフタル酸:560g(25モル%)(TA)
(V)4,4’-ジヒドロキシビフェニル:628g(25モル%)(BP)
酢酸カリウム触媒:165mg
無水酢酸:1432g
重合容器に原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で1時間反応させた。その後、更に360℃まで5.5時間かけて昇温し、そこから30分かけて5Torr(即ち、667Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、その他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズしてペレット化した。得られたペレットについて、窒素気流下、300℃で3時間の熱処理を行った。ペレットの融点は348℃、溶融粘度は9Pa・sであった。
(LCP5の製造方法)
撹拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、アシル化剤を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)4-ヒドロキシ安息香酸:1347g(60モル%)(HBA)
(III)テレフタル酸:378g(14モル%)(TA)
(IV)イソフタル酸:162g(6モル%)(IA)
(V)4,4’-ジヒドロキシビフェニル:605g(20モル%)(BP)
酢酸カリウム触媒:110mg
無水酢酸:1704g
重合容器に原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で3時間反応させた。その後、更に360℃まで4.5時間かけて昇温し、そこから15分かけて10Torr(即ち、1330Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、その他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズしてペレット化した。得られたペレットの融点は320℃、溶融粘度は20Pa・sであった。
(液晶性樹脂以外の成分)
・繊維状充填剤
ガラス繊維:日本電気硝子(株)製ECS03T-786H(平均繊維径10μm、繊維長3mmのチョプドストランド)
炭素繊維:東邦テナックス(株)製HTC432(PAN系炭素繊維、平均繊維径10μm、繊維長6mmのチョップドストランド)
上記で得られた各液晶性樹脂と、上述した液晶性樹脂以外の成分とを二軸押出機を使用して混合し、液晶性樹脂組成物を得た。各成分の配合量は表1に示した通りである。なお、以下、表中の配合量に関する「%」は質量%を示す。また、液晶性樹脂組成物を得る際の押出条件は下記の通りである。本明細書に記載された測定方法により測定した結果、得られた液晶性樹脂組成物中のガラス繊維と炭素繊維の重量平均繊維長はいずれも450μmであった。
[押出条件]
メインフィード口に設けられたシリンダーの温度を250℃とし、他のシリンダーの温度はすべて下記の通りとした。液晶性樹脂はすべてをメインフィード口から供給した。また、充填剤はサイドフィード口から供給した。
他のシリンダー温度:
370℃(実施例1~4、比較例3及び4)
340℃(実施例5)
350℃(比較例1)
300℃(比較例2)
(液晶性樹脂組成物の溶融粘度の測定)
(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1B型を使用し、液晶性樹脂の融点よりも10~20℃高い温度で、内径1mm、長さ20mmのオリフィスを用いて、剪断速度1000/秒で、ISO11443に準拠して、液晶性樹脂組成物の溶融粘度を測定した。なお、測定温度は、LCP1を使用した液晶性樹脂組成物については380℃、LCP2を使用した液晶性樹脂組成物については350℃、LCP3を使用した液晶性樹脂組成物については300℃、LCP4を使用した液晶性樹脂組成物については380℃、LCP5を使用した液晶性樹脂組成物については340℃であった。結果を表1に示す。
下記の方法に基づき、液晶性樹脂組成物から成形した成形体の物性を測定した。各評価結果を表1に示す。
(曲げ試験)
下記成形条件で、液晶性樹脂組成物を射出成形し、ISO試験片A形を得た。この試験片を切り出し、測定用試験片(80mm×10mm×4mm)を得た。この測定用試験片を用いて、ISO 178に準拠し、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
[成形条件]
成形機:住友重機械工業(株)、SE100DU
シリンダー温度:
370℃(実施例1~4、比較例3及び4)
340℃(実施例5)
350℃(比較例1)
300℃(比較例2)
金型温度:90℃
射出速度:33mm/sec
(損失係数(振動減衰特性))
下記成形条件で、液晶性樹脂組成物を射出成形して、200mm×10mm×1.6mmの試験片を得た。そして、この試験片をエミック(株)製の加速器「512-D」に中央が支持されるように取り付け、JIS G0602に準拠して、温度23℃、周波数10000Hzにおける損失係数(振動減衰特性)を半値幅法により測定した。結果を表1に示す。
[成形条件]
成形機:住友重機械工業(株)、SE100DU
シリンダー温度:
370℃(実施例1~4、比較例3及び4)
340℃(実施例5)
350℃(比較例1)
300℃(比較例2)
金型温度:90℃
射出速度:33mm/sec
(薄肉流動性)
下記成形条件で、幅5mm、厚さ0.2mmの棒状成形品を成形し、流動距離を測定した。5回の試験における平均値を流動距離とした。結果を表1に示す。
[成形条件]
成形機:住友重機械工業(株)、SE30DUZ
シリンダー温度:
370℃(実施例1~4、比較例3及び4)
340℃(実施例5)
350℃(比較例1)
300℃(比較例2)
金型温度:80℃
射出速度:300mm/sec
射出圧力:100MPa
下記成形条件で、液晶性樹脂組成物を射出成形し、図3に示すような、遠心ファンのファンインペラ(羽根厚みt:0.2mm、羽根全長L:15mm、羽根枚数:45枚、ファンインペラ径:46mm)を得た。
[成形条件]
成形機:住友重機械工業(株)、SE100DU
シリンダー温度:
370℃(実施例1~4、比較例3及び4)
340℃(実施例5)
350℃(比較例1)
300℃(比較例2)
金型温度:90℃
射出速度:33mm/sec
(ノイズ抑制)
上記で得られたファンインペラを組み付けた遠心ファンを、ノートパソコン内に取り付け、無響箱内にて、精密騒音計(リオン(株)製「NA-60」)とFFTアナライザ((株)小野測器製「CF5220」)を用いて、下記条件にてノイズを測定した。結果を表1に示す。
回転数:15,000rpm
測定距離:100mm(軸中心上方)
回転方向:正回転
Figure 0007281023000003
表1に示される通り、実施例において、振動減衰特性、薄肉流動性、ノイズ抑制の評価はいずれも良好であった。よって、本発明に係る液晶性樹脂組成物は、振動減衰特性及び流動性に優れ、この液晶性樹脂組成物から得られるファンインペラは、減衰振動特性に優れ、ノイズが抑制されていることが確認された。したがって、上記液晶性樹脂組成物は、ファンインペラの製造に好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. (A)液晶性樹脂と、(B)繊維状充填剤と、を含む、電子機器における冷却ファンのファンインペラ用液晶性樹脂組成物であって、
    前記(A)液晶性樹脂は、下記構成単位(I)、(III)、(IV)及び(V)を含有し、下記構成単位(II)を含有し又は含有せず、
    全構成単位に対して構成単位(I)の含有量が35~75モル%であり、
    全構成単位に対して構成単位(II)の含有量が0~8モル%であり、
    全構成単位に対して構成単位(III)の含有量が4.5~30.5モル%であり、
    全構成単位に対して構成単位(IV)の含有量が2~8モル%であり、
    全構成単位に対して構成単位(V)の含有量が12.5~32.5モル%であり、
    全構成単位に対して構成単位(I)~(V)の合計の含有量が100モル%である、溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステルであり、
    前記(B)繊維状充填剤の含有量は、前記液晶性樹脂組成物全体に対して、5~40質量%であり、
    JIS G0602に準拠して測定される、温度23℃、周波数10000Hzにおける損失係数が0.05~0.08である、液晶性樹脂組成物。
    Figure 0007281023000004
  2. 前記(A)液晶性樹脂は、構成単位(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)からなり、
    全構成単位に対して構成単位(I)の含有量が35~75モル%であり、
    全構成単位に対して構成単位(II)の含有量が2~8モル%であり、
    全構成単位に対して構成単位(III)の含有量が4.5~30.5モル%であり、
    全構成単位に対して構成単位(IV)の含有量が2~8モル%であり、
    全構成単位に対して構成単位(V)の含有量が12.5~32.5モル%であり、
    全構成単位に対して構成単位(I)~(V)の合計の含有量が100モル%である、溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステルであり、
    前記(B)繊維状充填剤の含有量は、前記液晶性樹脂組成物全体に対して、5~30質量%である、請求項1に記載の液晶性樹脂組成物。
  3. 前記(B)繊維状充填剤は、ガラス繊維及び/又は炭素繊維である、請求項1又は2に記載の液晶性樹脂組成物。
  4. 請求項1~のいずれかに記載の液晶性樹脂組成物からなる、電子機器における冷却ファンのファンインペラ。
  5. 羽根厚みt(mm)に対する羽根全長L(mm)の比率L/tが50~200の遠心ファンインペラである、請求項に記載のファンインペラ。
  6. 請求項又はに記載のファンインペラを備える、電子機器における冷却ファン。
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