JP7281023B2 - ファンインペラ用液晶性樹脂組成物及びそれを用いたファンインペラ - Google Patents
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Description
前記(A)液晶性樹脂は、下記構成単位(I)、(III)、(IV)及び(V)を含有し、下記構成単位(II)を含有し又は含有せず、
全構成単位に対して構成単位(I)の含有量が35~75モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(II)の含有量が0~8モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(III)の含有量が4.5~30.5モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(IV)の含有量が2~8モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(V)の含有量が12.5~32.5モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(I)~(V)の合計の含有量が100モル%である、溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステルであり、
前記(B)繊維状充填剤の含有量は、前記液晶性樹脂組成物全体に対して、5~40質量%であり、
JIS G0602に準拠して測定される、温度23℃、周波数10000Hzにおける損失係数が0.05以上である、液晶性樹脂組成物。
全構成単位に対して構成単位(I)の含有量が35~75モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(II)の含有量が2~8モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(III)の含有量が4.5~30.5モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(IV)の含有量が2~8モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(V)の含有量が12.5~32.5モル%であり
全構成単位に対して構成単位(I)~(V)の合計の含有量が100モル%である、溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステルであり、
前記(B)繊維状充填剤の含有量は、前記液晶性樹脂組成物全体に対して、5~30質量%である(1)に記載の液晶性樹脂組成物。
本発明に係るファンインペラ用液晶性樹脂組成物は、特定の液晶性樹脂と、所定量の繊維状充填剤とを含み、損失係数が0.05以上である。本発明に係る液晶性樹脂組成物は、損失係数が0.05以上であることにより、振動減衰特性に優れ、ノイズを抑制したファンインペラを与えることができる。損失係数は、好ましくは0.055以上、より好ましくは0.06以上である。損失係数の上限は、特に限定されず、例えば、0.08で良い。
本発明に係る液晶性樹脂組成物には、上記全芳香族ポリエステルである液晶性樹脂が含まれる。上記全芳香族ポリエステルは、特に優れた流動性及び振動減衰特性が得られるため、ノイズが抑制されたファンインペラを良好に成形することができる。液晶性樹脂は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明に係る液晶性樹脂組成物は、(B)繊維状充填剤を含有することにより、該液晶性樹脂組成物からなるファンインペラに十分な機械的強度を与えることができる。(B)繊維状充填剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明に係る液晶性樹脂組成物には、本発明の効果を害さない範囲で、その他の重合体、その他の充填剤、一般に合成樹脂に添加される公知の物質、即ち、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤、潤滑剤、離型剤、結晶化促進剤、結晶核剤等のその他の成分も要求性能に応じ適宜添加することができる。その他の成分は1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る液晶性樹脂組成物を成形することにより、本発明に係るファンインペラを得ることができる。また、本発明に係るファンは、上記ファンインペラを備える。これにより、本発明に係るファンインペラ及びファンは、振動減衰特性に優れ、ノイズが抑制される。
下記の実施例及び比較例において、液晶性樹脂LCP1~LCP5は、以下の通りにして製造した。その際、ペレットの融点及び溶融粘度の測定は、それぞれ下記の条件で行った。
TAインスツルメント社製DSCにて、液晶性樹脂を室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、(Tm1+40)℃の温度で2分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度、20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピークの温度を測定した。
(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1B型を使用し、液晶性樹脂の融点よりも10~20℃高い温度で、内径1mm、長さ20mmのオリフィスを用いて、剪断速度1000/秒で、ISO11443に準拠して、液晶性樹脂の溶融粘度を測定した。なお、測定温度は、LCP1については380℃、LCP2については350℃、LCP3については300℃、LCP4については380℃、LCP5については340℃であった。
撹拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、アシル化剤を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)4-ヒドロキシ安息香酸:1040g(48モル%)(HBA)
(II)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸:89g(3モル%)(HNA)
(III)テレフタル酸:547g(21モル%)(TA)
(IV)イソフタル酸:91g(3.5モル%)(IA)
(V)4,4’-ジヒドロキシビフェニル:716g(24.5モル%)(BP)
酢酸カリウム触媒:110mg
無水酢酸:1644g
重合容器に原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で1時間反応させた。その後、更に360℃まで5.5時間かけて昇温し、そこから20分かけて5Torr(即ち、667Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、その他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズしてペレット化した。得られたペレットの融点は355℃、溶融粘度は10Pa・sであった。
撹拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、アシル化剤を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)4-ヒドロキシ安息香酸1380g(60モル%)(HBA)
(II)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸157g(5モル%)(HNA)
(III)テレフタル酸484g(17.5モル%)(TA)
(V)4,4’-ジヒドロキシビフェニル388g(12.5モル%)(BP)
(VI)N-アセチル-p-アミノフェノール126g(5モル%)(APAP)
酢酸カリウム触媒110mg
無水酢酸1659g
重合容器に原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で1時間反応させた。その後、更に340℃まで4.5時間かけて昇温し、そこから15分かけて10Torr(即ち、1330Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、その他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズしてペレット化した。得られたペレットの融点は336℃、溶融粘度は20Pa・sであった。
撹拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、アシル化剤を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)4-ヒドロキシ安息香酸:1660g(73モル%)(HBA)
(II)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸:837g(27モル%)(HNA)
酢酸カリウム触媒:165mg
無水酢酸:1714g
重合容器に原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で1時間反応させた。その後、更に325℃まで3.5時間かけて昇温し、そこから20分かけて5Torr(即ち、667Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、その他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズしてペレット化した。得られたペレットの融点は280℃、溶融粘度は44.0Pa・sであった。
撹拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、アシル化剤を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)4-ヒドロキシ安息香酸:37g(2モル%)(HBA)
(II)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸:1218g(48モル%)(HNA)
(III)テレフタル酸:560g(25モル%)(TA)
(V)4,4’-ジヒドロキシビフェニル:628g(25モル%)(BP)
酢酸カリウム触媒:165mg
無水酢酸:1432g
重合容器に原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で1時間反応させた。その後、更に360℃まで5.5時間かけて昇温し、そこから30分かけて5Torr(即ち、667Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、その他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズしてペレット化した。得られたペレットについて、窒素気流下、300℃で3時間の熱処理を行った。ペレットの融点は348℃、溶融粘度は9Pa・sであった。
撹拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、アシル化剤を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)4-ヒドロキシ安息香酸:1347g(60モル%)(HBA)
(III)テレフタル酸:378g(14モル%)(TA)
(IV)イソフタル酸:162g(6モル%)(IA)
(V)4,4’-ジヒドロキシビフェニル:605g(20モル%)(BP)
酢酸カリウム触媒:110mg
無水酢酸:1704g
重合容器に原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で3時間反応させた。その後、更に360℃まで4.5時間かけて昇温し、そこから15分かけて10Torr(即ち、1330Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、その他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズしてペレット化した。得られたペレットの融点は320℃、溶融粘度は20Pa・sであった。
・繊維状充填剤
ガラス繊維:日本電気硝子(株)製ECS03T-786H(平均繊維径10μm、繊維長3mmのチョプドストランド)
炭素繊維:東邦テナックス(株)製HTC432(PAN系炭素繊維、平均繊維径10μm、繊維長6mmのチョップドストランド)
[押出条件]
メインフィード口に設けられたシリンダーの温度を250℃とし、他のシリンダーの温度はすべて下記の通りとした。液晶性樹脂はすべてをメインフィード口から供給した。また、充填剤はサイドフィード口から供給した。
他のシリンダー温度:
370℃(実施例1~4、比較例3及び4)
340℃(実施例5)
350℃(比較例1)
300℃(比較例2)
(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1B型を使用し、液晶性樹脂の融点よりも10~20℃高い温度で、内径1mm、長さ20mmのオリフィスを用いて、剪断速度1000/秒で、ISO11443に準拠して、液晶性樹脂組成物の溶融粘度を測定した。なお、測定温度は、LCP1を使用した液晶性樹脂組成物については380℃、LCP2を使用した液晶性樹脂組成物については350℃、LCP3を使用した液晶性樹脂組成物については300℃、LCP4を使用した液晶性樹脂組成物については380℃、LCP5を使用した液晶性樹脂組成物については340℃であった。結果を表1に示す。
下記成形条件で、液晶性樹脂組成物を射出成形し、ISO試験片A形を得た。この試験片を切り出し、測定用試験片(80mm×10mm×4mm)を得た。この測定用試験片を用いて、ISO 178に準拠し、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
[成形条件]
成形機:住友重機械工業(株)、SE100DU
シリンダー温度:
370℃(実施例1~4、比較例3及び4)
340℃(実施例5)
350℃(比較例1)
300℃(比較例2)
金型温度:90℃
射出速度:33mm/sec
下記成形条件で、液晶性樹脂組成物を射出成形して、200mm×10mm×1.6mmの試験片を得た。そして、この試験片をエミック(株)製の加速器「512-D」に中央が支持されるように取り付け、JIS G0602に準拠して、温度23℃、周波数10000Hzにおける損失係数(振動減衰特性)を半値幅法により測定した。結果を表1に示す。
[成形条件]
成形機:住友重機械工業(株)、SE100DU
シリンダー温度:
370℃(実施例1~4、比較例3及び4)
340℃(実施例5)
350℃(比較例1)
300℃(比較例2)
金型温度:90℃
射出速度:33mm/sec
下記成形条件で、幅5mm、厚さ0.2mmの棒状成形品を成形し、流動距離を測定した。5回の試験における平均値を流動距離とした。結果を表1に示す。
[成形条件]
成形機:住友重機械工業(株)、SE30DUZ
シリンダー温度:
370℃(実施例1~4、比較例3及び4)
340℃(実施例5)
350℃(比較例1)
300℃(比較例2)
金型温度:80℃
射出速度:300mm/sec
射出圧力:100MPa
[成形条件]
成形機:住友重機械工業(株)、SE100DU
シリンダー温度:
370℃(実施例1~4、比較例3及び4)
340℃(実施例5)
350℃(比較例1)
300℃(比較例2)
金型温度:90℃
射出速度:33mm/sec
上記で得られたファンインペラを組み付けた遠心ファンを、ノートパソコン内に取り付け、無響箱内にて、精密騒音計(リオン(株)製「NA-60」)とFFTアナライザ((株)小野測器製「CF5220」)を用いて、下記条件にてノイズを測定した。結果を表1に示す。
回転数:15,000rpm
測定距離:100mm(軸中心上方)
回転方向:正回転
Claims (6)
- (A)液晶性樹脂と、(B)繊維状充填剤と、を含む、電子機器における冷却ファンのファンインペラ用液晶性樹脂組成物であって、
前記(A)液晶性樹脂は、下記構成単位(I)、(III)、(IV)及び(V)を含有し、下記構成単位(II)を含有し又は含有せず、
全構成単位に対して構成単位(I)の含有量が35~75モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(II)の含有量が0~8モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(III)の含有量が4.5~30.5モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(IV)の含有量が2~8モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(V)の含有量が12.5~32.5モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(I)~(V)の合計の含有量が100モル%である、溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステルであり、
前記(B)繊維状充填剤の含有量は、前記液晶性樹脂組成物全体に対して、5~40質量%であり、
JIS G0602に準拠して測定される、温度23℃、周波数10000Hzにおける損失係数が0.05~0.08である、液晶性樹脂組成物。
- 前記(A)液晶性樹脂は、構成単位(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)からなり、
全構成単位に対して構成単位(I)の含有量が35~75モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(II)の含有量が2~8モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(III)の含有量が4.5~30.5モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(IV)の含有量が2~8モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(V)の含有量が12.5~32.5モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(I)~(V)の合計の含有量が100モル%である、溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステルであり、
前記(B)繊維状充填剤の含有量は、前記液晶性樹脂組成物全体に対して、5~30質量%である、請求項1に記載の液晶性樹脂組成物。 - 前記(B)繊維状充填剤は、ガラス繊維及び/又は炭素繊維である、請求項1又は2に記載の液晶性樹脂組成物。
- 請求項1~3のいずれかに記載の液晶性樹脂組成物からなる、電子機器における冷却ファンのファンインペラ。
- 羽根厚みt(mm)に対する羽根全長L(mm)の比率L/tが50~200の遠心ファンインペラである、請求項4に記載のファンインペラ。
- 請求項4又は5に記載のファンインペラを備える、電子機器における冷却ファン。
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