以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。なお、本開示は、以下の実施形態に何ら制限されず、本開示の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本開示において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれか一方を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれか一方を意味する。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、「工程」との用語には、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有しないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
本開示において、「全固形分」とは、組成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本開示において、「固形分」とは、上述のように、溶剤を除いた成分であり、例えば、25℃において固体であっても、液体であってもよい。
本開示において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー株式会社製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶媒THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
<パターン形成方法>
本開示に係るパターン形成方法は、基板と、第一のレジスト層と、第二のレジスト層と、をこの順で有する積層体を準備する工程(以下、「準備工程」ともいう。)と、上記第二のレジスト層を露光する工程(以下、「露光工程A」ともいう。)と、上記第一のレジスト層を露光する工程(以下、「露光工程B」ともいう。)と、をこの順で含む。
本開示に係るパターン形成方法は、上記工程を備えることで、解像性及びテンティング性に優れるレジストパターンを形成できる。本開示に係るパターン形成方法が上記効果を奏する理由は明らかではないものの、以下のように推察される。
本開示に係るパターン形成方法によれば、積層体における第二のレジスト層及び第一のレジスト層を順次露光することで、目的に応じて各レジスト層から形成されるレジストパターンの形状及び位置をそれぞれ制御できる。このため、例えば、導通孔上に第一のレジストパターン(第一のレジスト層から形成されるレジストパターン)と第二のレジストパターン(第二のレジスト層から形成されるレジストパターン)とが積層した領域を形成し、そして、第二のレジストパターンの開口部において第一のレジストパターンを形成することで、導通孔を強固に保護しつつ、導通孔が存在しない領域において高解像度のレジストパターンを形成できる。よって、本開示に係るパターン形成方法は、解像性及びテンティング性に優れるレジストパターンを形成できると推察される。
本開示に係るパターン形成方法は、レジストパターンを容易に形成できる観点から、上記第二のレジスト層を露光する工程と上記第一のレジスト層を露光する工程との間に、上記第二のレジスト層を現像して第二のレジストパターンを形成する工程を含み、かつ、上記第一のレジスト層を露光する工程の後に、上記第一のレジスト層を現像して第一のレジストパターンを形成する工程を含むことが好ましい。すなわち、本開示に係るパターン形成方法は、基板と、第一のレジスト層と、第二のレジスト層と、をこの順で有する積層体を準備する工程(準備工程)と、上記第二のレジスト層を露光する工程(露光工程A)と、上記第二のレジスト層を現像して第二のレジストパターンを形成する工程(以下、「パターン形成工程A」ともいう。)と、上記第一のレジスト層を露光する工程(露光工程B)と、上記第一のレジスト層を現像して第一のレジストパターンを形成する工程(以下、「パターン形成工程B」ともいう。)と、をこの順で含むことが好ましい。
本開示に係るパターン形成方法について、図面を参照して説明する。図1は、本開示に係るパターン形成方法の一例を示す概略図である。なお、図面における寸法の比率は、必ずしも実際の寸法の比率を表すものではない。
図1(a)に示される基板100は、絶縁層10a、導電層20a、絶縁層10b、導電層20b、及び導電層20cをこの順で有する。基板100は、導電層20aと導電層20bとを電気的に接続するための導通孔30を有する。
導電層20cは、導通孔30において、導電層20aと導電20bとを電気的に接続する。導電層20cは、例えば、めっきにより形成される。
準備工程においては、例えば、図1(b)に示される積層体200を準備する。積層体200は、絶縁層10a、導電層20a、絶縁層10b、導電層20b、導電層20c、第一のレジスト層40、及び第二のレジスト層50をこの順で有する。
第一のレジスト層40は、露光により現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト層である。
第二のレジスト層50は、露光により現像液に対する溶解性が低下するネガ型レジスト層である。
積層体200は、基板100上に、第一のレジスト層40、及び第二のレジスト層50を形成することにより製造される。
露光工程Aにおいては、例えば、図1(c)に示されるように第二のレジスト層50上にフォトマスク60aを配置し、第二のレジスト層50を露光する。フォトマスク60aにおいて、白色の領域は光を透過する部分を表し、黒色の領域は光を遮蔽する部分を表す。第二のレジスト層50の露光部においては、硬化反応が進行することによって、現像液に対する溶解性が低下する。
第二のレジスト層50を露光する際、第二のレジスト層50とフォトマスク60aとの間に仮支持体(不図示)が配置されていてもよい。
パターン形成工程Aにおいては、例えば、図1(d)に示されるように第二のレジスト層50を現像することによって、第二のレジストパターン51を形成する。上記現像においては、第二のレジスト層50のうち、未露光部が除去され、露光部が第二のレジストパターン51として残存する。
露光工程Bにおいては、例えば、図1(e)に示されるように第二のレジストパターン51上にフォトマスク60bを配置し、第一のレジスト層40を露光する。フォトマスク60bにおいて、白色の領域は光を透過する部分を表し、黒色の領域は光を遮蔽する部分を表す。第一のレジスト層40の露光部においては、現像液に対する溶解性が増大する。図1(e)に示されるように第二のレジストパターン51の開口部に存在する第一のレジスト層40を露光することで、第二のレジストパターン51の開口部において第一のレジスト層40の露光部及び未露光部を形成する。
パターン形成工程Bにおいては、例えば、図1(f)に示されるように第一のレジスト層40を現像することによって、第一のレジストパターン41を形成する。上記現像においては、第一のレジスト層40のうち、露光部が除去され、未露光部が第一のレジストパターン41として残存する。
第一のレジストパターン41を形成した後、例えば、図1(g)に示されるようにエッチングによって、第一のレジストパターン41の開口部に存在する導電層20b、及び導電層20cを除去することで、導電パターン21b、及び導電パターン21cを形成することができる。
第一のレジストパターン41、及び第二のレジストパターン51は、保護膜として働く。このため、エッチングにおいて、導通孔30は、第一のレジストパターン41、及び第二のレジストパターン51により保護される。
導電パターン21b、及び導電パターン21cを形成した後、例えば、図1(h)に示されるように第一のレジストパターン41、及び第二のレジストパターン51を除去することができる。
本開示に係るパターン形成方法においては、工程数の低減の観点から、第二のレジスト、及び第一のレジスト層を露光した後に、第二のレジスト、及び第一のレジスト層を同時に現像することが好ましい。すなわち、本開示に係るパターン形成方法は、第一のレジスト層を露光する工程の後に、第二のレジスト層、及び第一のレジスト層を同時に現像して第二のレジストパターンと第一のレジストパターンとを形成する工程(すなわち、パターン形成工程A、及びパターン形成工程Bを同時に行うこと)を含むことが好ましい。
第二のレジスト、及び第一のレジスト層を同時に現像するパターン形成方法について、図面を参照して説明する。なお、図面における寸法の比率は、必ずしも実際の寸法の比率を表すものではない。
図2は、本開示に係るパターン形成方法の一例を示す概略図である。図2に示されるパターン形成方法においては、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層をいずれもネガ型レジスト層とする。
図2(a)に示される積層体210を準備する。積層体210は、銅基板110と、第一のレジスト層40、及び第二のレジスト層50をこの順で有する。積層体210における第一のレジスト層40、及び第二のレジスト層50は、露光により現像液に対する溶解性が低下するネガ型レジスト層である。
図2(b)に示されるように第二のレジスト層50上にフォトマスク60aを配置し、第二のレジスト層50を露光する。フォトマスク60aにおいて、白色の領域は光を透過する部分を表し、黒色の領域は光を遮蔽する部分を表す。第二のレジスト層50の露光部においては、硬化反応が進行することによって、現像液に対する溶解性が低下する。
図2(c)に示されるように第二のレジスト層50上にフォトマスク60bを配置し、第一のレジスト層40を露光する。フォトマスク60bにおいて、白色の領域は光を透過する部分を表し、黒色の領域は光を遮蔽する部分を表す。第一のレジスト層40の露光部においては、硬化反応が進行することによって、現像液に対する溶解性が低下する。
図2(d)に示されるように第二のレジスト層50、及び第一のレジスト層40を同時に現像することによって、第二のレジストパターン51、及び第一のレジストパターン41をそれぞれ形成することができる。
図2(e)に示されるようにエッチングによって、第一のレジストパターン41の開口部に存在する銅基板110を除去することで、銅パターン111を形成することができる。
次に、図3について説明する。図3は、本開示に係るパターン形成方法の一例を示す概略図である。図3に示されるパターン形成方法においては、第一のレジスト層をポジ型レジスト層とし、そして、第二のレジスト層をネガ型レジスト層とする。
図3(a)に示される積層体210を準備する。積層体210は、銅基板110と、第一のレジスト層40、及び第二のレジスト層50をこの順で有する。積層体210における第一のレジスト層40は、露光により現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト層である。一方、図3に示される積層体210における第二のレジスト層50は、露光により現像液に対する溶解性が低下するネガ型レジスト層である。
図3(b)に示されるように第二のレジスト層50上にフォトマスク60aを配置し、第二のレジスト層50を露光する。フォトマスク60aにおいて、白色の領域は光を透過する部分を表し、黒色の領域は光を遮蔽する部分を表す。第二のレジスト層50の露光部においては、硬化反応が進行することによって、現像液に対する溶解性が低下する。
図3(c)に示されるように第二のレジスト層50上にフォトマスク60bを配置し、第一のレジスト層40を露光する。フォトマスク60bにおいて、白色の領域は光を透過する部分を表し、黒色の領域は光を遮蔽する部分を表す。第一のレジスト層40の露光部においては、現像液に対する溶解性が増大する。
図3(d)に示されるように第二のレジスト層50、及び第一のレジスト層40を同時に現像することによって、第二のレジストパターン51、及び第一のレジストパターン41をそれぞれ形成することができる。
図3(e)に示されるようにエッチングによって、第一のレジストパターン41の開口部に存在する銅基板110を除去することで、銅パターン111を形成することができる。
次に、図4について説明する。図4は、本開示に係るパターン形成方法の一例を示す概略図である。図4に示されるパターン形成方法においては、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層をいずれもポジ型レジスト層とする。
図4(a)に示される積層体210を準備する。積層体210は、銅基板110と、第一のレジスト層40、及び第二のレジスト層50をこの順で有する。積層体210における第一のレジスト層40、及び第二のレジスト層50は、露光により現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト層である。
図4(b)に示されるように第二のレジスト層50上にフォトマスク60aを配置し、第二のレジスト層50を露光する。フォトマスク60aにおいて、白色の領域は光を透過する部分を表し、黒色の領域は光を遮蔽する部分を表す。第二のレジスト層50の露光部においては、現像液に対する溶解性が増大する。
図4(c)に示されるように第二のレジスト層50上にフォトマスク60bを配置し、第一のレジスト層40を露光する。フォトマスク60bにおいて、白色の領域は光を透過する部分を表し、黒色の領域は光を遮蔽する部分を表す。第一のレジスト層40の露光部においては、現像液に対する溶解性が増大する。
図4(d)に示されるように第二のレジスト層50、及び第一のレジスト層40を同時に現像することによって、第二のレジストパターン51、及び第一のレジストパターン41をそれぞれ形成することができる。
図4(e)に示されるようにエッチングによって、第一のレジストパターン41の開口部に存在する銅基板110を除去することで、銅パターン111を形成することができる。
以下、本開示に係るパターン形成方法の各工程について具体的に説明する。なお、本開示においては、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層を特に区別する必要がない場合、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層を総称して「レジスト層」という。
<<準備工程>>
本開示に係るパターン形成方法は、基板と、第一のレジスト層と、第二のレジスト層と、をこの順で有する積層体を準備する工程を含む。
本開示において、「積層体を準備する」とは、積層体を使用可能な状態にすることを意味し、特に断りのない限り、予め製造された積層体を用意すること、及び積層体を製造することを包含する。すなわち、本開示に係るパターン形成方法において使用される積層体は、予め製造された積層体であってもよく、準備工程において製造された積層体であってもよい。
本開示に係るパターン形成方法において使用される積層体の具体的な実施形態については、後述の「積層体」の項目において説明する。後述するとおり、積層体における第一のレジスト層は、露光により現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト層、又は露光により現像液に対する溶解性が低下するネガ型レジスト層であることが好ましい。また、積層体における第二のレジスト層は、露光により現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト層、又は露光により現像液に対する溶解性が低下するネガ型レジスト層であることが好ましい。
以下、積層体を製造することを含む準備工程の好ましい実施形態について説明する。
[第1実施形態]
準備工程の第1実施形態は、基板上に、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層を同時に形成する工程を含む。基板上に、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層を同時に形成することで、工程数を低減することができる。
第一のレジスト層、及び第二のレジスト層を同時に形成する方法としては、簡便性、及び工程数の低減の観点から、転写材料を用いる方法が好ましい。本開示に係るパターン形成方法において使用される転写材料の具体的な実施形態については、後述の「転写材料」の項目において説明する。
具体的に、準備工程は、仮支持体と、第二のレジスト層と、第一のレジスト層と、をこの順で有する転写材料を用いて、基板上に、上記第一のレジスト層、及び上記第二のレジスト層を一括転写する工程を含むことが好ましい。例えば、基板に対して、仮支持体と、第二のレジスト層と、第一のレジスト層と、をこの順で有する転写材料を貼り合わせることで、基板上に、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層を同時に形成できる。また、基板と転写材料とを貼り合わせる際、転写材料における第一のレジスト層と基板とを接触させることで、基板上に、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層をこの順で転写できる。
基板と転写材料との貼り合わせは、ロール等を用いて、加圧及び加熱しながら行われることが好ましい。
圧力は、制限されず、例えば、線圧1000N/m~10000N/mの範囲で適宜設定できる。温度は、制限されず、例えば、40℃~130℃の範囲で適宜設定できる。温度、及び圧力のうち、少なくともいずれかが上記範囲より低い場合、ラミネート時に巻き込まれ得る空気が、基板とレジスト層の間から十分に押し出されない可能性がある。また、温度が上記範囲よりも高い場合には、熱でレジスト層が分解、又は変質することで好ましくない形態になる可能性がある。圧力が上記範囲よりも高い場合には、レジスト層が変形する可能性がある。
基板と転写材料との貼り合わせにおいては、例えば、ラミネーター、真空ラミネーター、及び、より生産性を高めることができるオートカットラミネーターを用いることができる。また、基板と転写材料との貼り合わせは、基板の材料に応じて、ロールツーロールで行うこともできる。
[第2実施形態]
準備工程の第2実施形態は、基板上に第一のレジスト層を形成する工程と、上記第一のレジスト層上に第二のレジスト層を形成する工程と、をこの順で含む。すなわち、準備工程の第2実施形態においては、基板上に、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層を順次形成する。
第一のレジスト層、及び第二のレジスト層を順次形成する方法としては、例えば、塗布法、及び転写材料を用いる方法が挙げられる。
塗布法としては、制限されず、公知の方法を利用できる。塗布方法としては、例えば、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、及びインクジェット塗布が挙げられる。塗布方法は、スリット塗布であることが好ましい。
塗布法においては、例えば、基板上に第一のレジスト層形成用組成物を塗布することによって、第一のレジスト層を形成した後、上記第一のレジスト層上に第二のレジスト層形成用組成物を塗布することによって、第二のレジスト層を形成できる。また、塗布されたレジスト層形成用組成物は、必要に応じて、公知の方法により乾燥してもよい。本開示に係るパターン形成方法において使用されるレジスト層形成用組成物の具体的な実施形態については、後述の「積層体の製造方法」の項目において説明する。
転写材料を用いる方法においては、例えば、仮支持体と、第一のレジスト層と、を有する転写材料を用いて、基板上に第一のレジスト層を転写した後、仮支持体と、第二のレジスト層と、を有する転写材料を用いて、上記第一のレジスト層上に第二のレジスト層を転写することで、基板上に、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層を形成できる。本開示に係るパターン形成方法において使用される転写材料の具体的な実施形態については、後述の「転写材料」の項目において説明する。
基板上に、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層をそれぞれ転写する際の条件(例えば、温度、及び圧力)については、上記「第1実施形態」の項目において説明した条件を適用できる。基板上に、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層をそれぞれ転写する際、例えば、ラミネーター、真空ラミネーター、及び、より生産性を高めることができるオートカットラミネーターを用いることができる。また、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層の転写は、基板の材料に応じて、ロールツーロールで行うこともできる。
準備工程の第2実施形態において、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層を形成する方法は、それぞれ、同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、塗布法、又は転写材料を用いる方法によって、基板上に、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層を順次形成してもよい。また、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層のうち、一方のレジスト層を塗布法によって形成し、他方のレジスト層を転写材料を用いて形成してもよい。
準備工程の第2実施形態においては、簡便性の観点から、転写材料を用いて、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層を形成することが好ましい。具体的に、準備工程は、仮支持体と、第一のレジスト層と、を有する転写材料を用いて、基板上に上記第一のレジスト層を転写する工程と、仮支持体と、第二のレジスト層と、を有する転写材料を用いて、上記第一のレジスト層上に上記第二のレジスト層を転写する工程と、をこの順で含むことが好ましい。
また、準備工程の第2実施形態においては、層間制御の観点から、塗布法によって第一のレジスト層を形成し、次いで、転写材料を用いて第二のレジスト層を形成することが好ましい。具体的に、準備工程は、塗布法によって、基板上に第一のレジスト層を転写する工程と、仮支持体と、第二のレジスト層と、を有する転写材料を用いて、上記第一のレジスト層上に上記第二のレジスト層を転写する工程と、をこの順で含むことが好ましい。
<<露光工程A>>
本開示に係るパターン形成方法は、上記第二のレジスト層を露光する工程(露光工程A)を含む。
露光工程Aにおいて、露光された第二のレジスト層(すなわち、露光部)は、現像液に対する溶解性が変化する。例えば、第二のレジスト層がネガ型レジスト層である場合、第二のレジスト層の露光部は、未露光部に比べて、現像液に対する溶解性が低下する。
第二のレジスト層を露光する方法としては、例えば、フォトマスクを用いる方法が挙げられる。例えば、第二のレジスト層と光源との間にフォトマスクを配置することで、フォトマスクを介して第二のレジスト層をパターン状に露光できる。第二のレジスト層をパターン露光することで、第二のレジスト層において露光部及び未露光部を形成できる。
露光の光源としては、現像液に対する第二のレジスト層の溶解性を変化し得る波長域(例えば、365nm、又は405nm)の光を照射できる光源であれば制限されない。露光の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、及びメタルハライドランプが挙げられる。
露光波長は、開始剤、及び光酸発生剤の分光吸収の観点から、波長365nm、又は波長405nmを含むことが好ましい。露光波長は、開始剤、及び光酸発生剤の分光吸収の観点から、波長365nm、又は波長405nmであることが好ましい。
第一のレジスト層を露光する工程における露光波長と、第二のレジスト層を露光する工程における露光波長とは、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。同一の露光機を用いた露光も可能となることから、第一のレジスト層を露光する工程における露光波長と、第二のレジスト層を露光する工程における露光波長とは、同一であることが好ましい。また、レジスト層を選択的又は優先的に感光する観点から、第一のレジスト層を露光する工程における露光波長と、第二のレジスト層を露光する工程における露光波長とは、互いに異なることが好ましい。
露光量は、1mJ/cm2~200mJ/cm2であることが好ましく、5mJ/cm2~100mJ/cm2であることがより好ましい。露光量は、光源照度、及び露光時間に基づいて決定される。また、露光量は、光量計を用いて測定してもよい。
露光工程Aにおいては、第一のレジスト層を実質的に感光しないこと、換言すると、第一のレジスト層の現像性変化が実質的に生じない範囲で第二のレジスト層を露光することが好ましい。第一のレジスト層がポジ型レジスト層である場合、露光工程Aにおいては、第一のレジスト層を実質的に感光しないことがより好ましい(例えば、図3(b)、及び図4(b)参照)。本開示において、「第一のレジスト層を実質的に感光しない」とは、第一のレジスト層の露光部において現像性変化が実質的に生じないことを意味する。ここで、「第一のレジスト層の露光部において現像性変化が実質的に生じない」とは、第一のレジスト層がポジ型レジスト層である場合には、現像前の第一のレジスト層の露光部(露光工程Bで露光される部分を除く。以下、本段落において同じ。)の厚さに対する現像後の第一のレジスト層の露光部の厚さの比が、例えば、0.9~1(好ましくは0.95~1、より好ましくは0.98~1、特に好ましくは0.99~1)であることを意味し、そして、第一のレジスト層がネガ型レジスト層である場合には、現像前の第一のレジスト層の露光部の厚さに対する現像後の第一のレジスト層の露光部の厚さの比が、例えば、0.1以下(0を含む。好ましくは0.08以下、より好ましくは0.05以下、特に好ましくは0.02以下)であることを意味する。露光工程Aにおいて第二のレジスト層を選択的又は優先的に感光することで、所望の第一のレジストパターン、及び第二のレジストパターンを形成できる。
露光工程Aにおいて、第一のレジスト層の現像性変化が実質的に生じない範囲で第二のレジスト層を露光する方法としては、例えば、各レジスト層の露光感度を調節する方法、及び各レジスト層の露光条件を調節する方法が挙げられる。
第二のレジスト層を露光する工程における露光量(mJ/cm2)は、第一のレジスト層を露光する工程における露光量(mJ/cm2)より小さいことが好ましい。第二のレジスト層を露光する工程における露光量を第一のレジスト層を露光する工程における露光量より小さくすることで、第一のレジスト層の現像性変化が実質的に生じない範囲で第二のレジスト層を露光することができる。
第二のレジスト層を露光する工程における露光量は、第一のレジスト層を露光する工程における露光量より、1mJ/cm2以上小さいことが好ましく、10mJ/cm2以上小さいことがより好ましく、50mJ/cm2以上小さいことが特に好ましい。第二のレジスト層を露光する工程における露光量を上記範囲内にすることで、第一のレジスト層の現像性変化が実質的に生じない範囲で第二のレジスト層を露光することができる。
露光工程Aにおいては、積層体とフォトマスクとを接触させて露光することが好ましい。積層体とフォトマスクとを接触させて露光する方式(「コンタクト露光」とも称される。)により、解像性を向上できる。
後述するとおり、積層体は表面に仮支持体を有していてもよい。積層体が表面に仮支持体を有する場合、仮支持体を介して第二のレジスト層を露光してもよく、積層体から仮支持体を除去した後で第二のレジスト層を露光してもよい。コンタクト露光によって第二のレジスト層を露光する場合、フォトマスクの汚染、及びフォトマスクに付着した異物による露光への影響を避ける観点から、仮支持体を介して第二のレジスト層を露光することが好ましい。
露光工程Aにおいては、フォトマスクを用いずに第二のレジスト層を露光してもよい。フォトマスクを用いずに第二のレジスト層を露光する場合(以下、「マスクレス露光」ともいう。)、例えば、直接描画装置を用いて第二のレジスト層を露光することができる。直接描画装置は、活性エネルギー線を用いて直接画像を描くことができる。マスクレス露光における光源としては、例えば、波長350nm~410nmの光を照射可能な、レーザー(例えば、半導体レーザー、ガスレーザー、及び固体レーザー)、及び水銀ショートアークランプ(例えば、超高圧水銀灯)が挙げられる。マスクレス露光における露光波長は、405nmであることが好ましい。露光量は、光源照度、及び積層体の移動速度に基づいて決定される。描画パターンは、コンピューターによって制御できる。
<<パターン形成工程A>>
本開示に係るパターン形成方法は、上記第二のレジスト層を現像して第二のレジストパターンを形成する工程(パターン形成工程A)を含むことが好ましい。
第二のレジストパターン、及び第一のレジストパターンを順番に形成する場合、本開示に係るパターン形成方法は、露光工程Aと露光工程Bとの間に、パターン形成工程Aを含むことが好ましい。また、第二のレジストパターン、及び第一のレジストパターンを同時に形成する場合、本開示に係るパターン形成方法は、第一のレジスト層を露光する工程の後に、パターン形成工程A(具体的には、パターン形成工程A、及びパターン形成工程B)を含むことが好ましい。
パターン形成工程Aにおいては、第二のレジスト層のうち、現像液に対する溶解性が相対的に大きい部分を除去することで、第二のレジスト層に由来するレジストパターンを形成できる。例えば、第二のレジスト層がネガ型レジスト層である場合、第二のレジスト層のうち、未露光部が除去され、そして、露光部が第二のレジストパターンとして残存する(例えば、図1(d)参照)。
第二のレジスト層の現像は、現像液を用いて行うことができる。
現像液としては、制限されず、公知の現像液を利用できる。現像液としては、例えば、特開平5-72724号公報に記載された現像液が挙げられる。
現像液は、pKaが7~13の化合物を含むアルカリ水溶液系の現像液であることが好ましい。上記アルカリ水溶液系の現像液において、pKaが7~13の化合物の濃度は、0.05mol/L~5mol/Lであることが好ましい。
現像液は、上記以外の成分として、例えば、水と混和性を有する有機溶剤、及び界面活性剤を含んでいてもよい。
好ましい現像液としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落0194に記載された現像液が挙げられる。
現像液の温度は、20℃~40℃であることが好ましい。
現像方式としては、制限されず、公知の方法を利用できる。現像方式としては、例えば、パドル現像、シャワー現像、シャワー及びスピン現像、並びにディップ現像が挙げられる。
現像方式の一例として、シャワー現像について説明する。例えば、第二のレジスト層がネガ型レジスト層である場合、シャワーを用いて、露光後の第二のレジスト層に対して現像液を吹き付けることにより、第二のレジスト層の未露光部を除去できる。また、現像の後に、洗浄剤等をシャワーにより吹き付け、ブラシ等で擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。
パターン形成工程Aは、第二のレジストパターンを加熱処理(「ポストベーク」ともいう。)する工程を含んでいてもよい。
加熱処理は、8.1kPa~121.6kPaの環境下で行うことが好ましく、8.1kPa~114.6kPaの環境下で行うことがより好ましく、8.1kPa~101.3kPaの環境下で行うことが特に好ましい。
加熱処理の温度は、20℃~250℃であることが好ましく、30℃~170℃であることがより好ましく、50℃~150℃であることが特に好ましい。
加熱処理の時間は、1分~30分であることが好ましく、2分~10分であることがより好ましく、2分~4分であることが特に好ましい。
加熱処理は、空気環境下で行っても、窒素置換環境下で行ってもよい。
<<露光工程B>>
本開示に係るパターン形成方法は、上記第一のレジスト層を露光する工程(「露光工程B」)を含む。
露光工程Bにおいて、露光された第一のレジスト層(露光部)は、現像液に対する溶解性が変化する。例えば、第一のレジスト層がポジ型レジスト層である場合、第一のレジスト層の露光部は、未露光部に比べて、現像液に対する溶解性が増大する。
本開示に係るパターン形成方法がパターン形成工程Aとパターン形成工程Bとの間に露光工程Bを含む場合、露光工程Bにおいては、第二のレジストパターンの開口部(すなわち、第二のレジストパターンが配置されていない領域)において露出した第一のレジスト層を露光することが好ましい。第二のレジストパターンの開口部において露出した第一のレジスト層を露光することで、第一のレジスト層を選択的に露光できる。この結果、第二のレジストパターンの開口部において第一のレジストパターンを形成できる(例えば、図1(e)~(f)参照)。
第一のレジスト層を露光する方法としては、例えば、フォトマスクを用いる方法が挙げられる。例えば、第一のレジスト層と光源との間にフォトマスクを配置することで、フォトマスクを介して第一のレジスト層をパターン状に露光できる。第一のレジスト層をパターン露光することで、第一のレジスト層において露光部及び未露光部を形成できる。
露光の光源としては、現像液に対する第一のレジスト層の溶解性を変化し得る波長域(例えば、365nm、又は405nm)の光を照射できる光源であれば制限されない。露光の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、及びメタルハライドランプが挙げられる。
露光波長は、開始剤、及び光酸発生剤の分光吸収の観点から、波長365nm、又は波長405nmを含むことが好ましい。露光波長は、開始剤、及び光酸発生剤の分光吸収の観点から、波長365nm、又は波長405nmであることが好ましい。
露光量は、5mJ/cm2~1000mJ/cm2であることが好ましく、10mJ/cm2~500mJ/cm2であることがより好ましい。露光量は、光源照度、及び露光時間に基づいて決定される。また、露光量は、光量計を用いて測定してもよい。
露光工程Bにおいては、第二のレジスト層を実質的に感光しないことが好ましい。第二のレジスト層がネガ型レジスト層である場合、露光工程Bにおいては、第二のレジスト層を実質的に感光しないことがより好ましい(例えば、図2(c)、及び図3(c)参照)。露光工程Bにおいて、第二のレジスト層を実質的に感光しないことで、例えば、第二のレジスト層がポジ型レジスト層である場合には、現像液に対するポジ型レジスト層の露光部の不意な溶解を抑制でき、また、第二のレジスト層がネガ型レジスト層である場合には、現像を経たネガ型レジスト層の露光部が残渣となることを抑制できる。この結果、パターン形成性、及びエッチング性を向上できる。本開示において、「第二のレジスト層を実質的に感光しない」とは、第二のレジスト層の露光部において現像性変化が実質的に生じないことを意味する。ここで、「第二のレジスト層の露光部において現像性変化が実質的に生じない」とは、第二のレジスト層がポジ型レジスト層である場合には、現像前の第二のレジスト層の露光部(露光工程Aで露光される部分を除く。以下、本段落において同じ。)の厚さに対する現像後の第二のレジスト層の露光部の厚さの比が、例えば、0.9~1(好ましくは0.95~1、より好ましくは0.98~1、特に好ましくは0.99~1)であることを意味し、そして、第二のレジスト層がネガ型レジスト層である場合には、現像前の第二のレジスト層の露光部の厚さに対する現像後の第二のレジスト層の露光部の厚さの比が、例えば、0.1以下(0を含む。好ましくは0.08以下、より好ましくは0.05以下、特に好ましくは0.02以下)であることを意味する。
露光工程Bにおいては、積層体とフォトマスクとを接触させて露光することが好ましい。積層体とフォトマスクとを接触させて露光する方式(「コンタクト露光」とも称される。)により、解像性を向上できる。
第二のレジストパターン、及び第一のレジストパターンを順番に形成する(すなわち、露光工程Aと露光工程Bとの間にパターン形成工程Aを行う)場合、露光工程Bにおいては、第二のレジストパターン上に保護フィルムを設けた後、上記保護フィルムを介して第一のレジスト層を露光してもよい。コンタクト露光によって第一のレジスト層を露光する場合、フォトマスクの汚染、及びフォトマスクに付着した異物による露光への影響を避ける観点から、保護フィルムを介して第一のレジスト層を露光することが好ましい。保護フィルムを介して第一のレジスト層を露光した場合、上記保護フィルムを除去した後、後述するパターン形成工程Bを行うことが好ましい。
保護フィルムは、露光の際に照射される光を透過可能なフィルムであれば制限されず、公知の保護フィルムを利用できる。
露光工程Bにおいては、フォトマスクを用いずに第一のレジスト層を露光してもよい。フォトマスクを用いずに第一のレジスト層を露光する場合(以下、「マスクレス露光」ともいう。)、例えば、直接描画装置を用いて第一のレジスト層を露光することができる。直接描画装置は、活性エネルギー線を用いて直接画像を描くことができる。マスクレス露光における光源としては、例えば、波長350nm~410nmの光を照射可能な、レーザー(例えば、半導体レーザー、ガスレーザー、及び固体レーザー)、及び水銀ショートアークランプ(例えば、超高圧水銀灯)が挙げられる。マスクレス露光における露光波長は、405nmであることが好ましい。露光量は、光源照度、及び積層体の移動速度に基づいて決定される。描画パターンは、コンピューターによって制御できる。
<<パターン形成工程B>>
本開示に係るパターン形成方法は、上記第一のレジスト層を現像して第一のレジストパターンを形成する工程(パターン形成工程B)を含むことが好ましい。
第二のレジストパターン、及び第一のレジストパターンを順番に形成する場合、本開示に係るパターン形成方法は、露光工程Bの後に、パターン形成工程Bを含むことが好ましい。また、第二のレジストパターン、及び第一のレジストパターンを同時に形成する場合、本開示に係るパターン形成方法は、露光工程Bの後に、パターン形成工程B(具体的には、パターン形成工程A、及びパターン形成工程B)を含むことが好ましい。
パターン形成工程Bにおいては、第一のレジスト層のうち、現像液に対する溶解性が相対的に大きい部分を除去することで、第一のレジスト層に由来するレジストパターンを形成できる。例えば、第一のレジスト層がポジ型レジスト層である場合、第一のレジスト層のうち、露光部が除去され、そして、未露光部が第一のレジストパターンとして残存する(例えば、図1(f)参照)。
パターン形成工程Bにおける現像方法、及び現像条件としては、上記「パターン形成工程A」の項目において説明した現像方法、及び現像条件を適用でき、好ましい実施形態も同様である。
第一のレジストパターンの開口面積は、テンティング性の向上の観点から、第二のレジストパターンの開口面積より小さいことが好ましい。
本開示において、「開口面積」とは、レジストパターンを平面視した場合に観察されるレジストパターンの開口部の面積を意味する。レジストパターンの開口部は、レジスト層が現像によって除去されることで形成される領域である。
第一のレジストパターン、及び第二のレジストパターンの開口面積は、それぞれ、露光部及び非露光部の面積を調節することで制御できる。例えば、フォトマスクのパターン形状、又は直接描画装置の描画パターンを適宜設定することによって、第一のレジストパターン、及び第二のレジストパターンの開口面積をそれぞれ制御できる。
基板が表面に開口部(例えば、導通孔)を有する場合、テンティング性の向上の観点から、第一のレジストパターン、及び第二のレジストパターンは、上記開口部(例えば、導通孔)上に形成されることが好ましい。
第二のレジストパターン、及び第一のレジストパターンを順番に形成する場合、本開示に係るパターン形成方法は、露光工程Bとパターン形成工程Bとの間に、必要に応じて、60℃~250℃の温度で加熱を行う、又は0.01J/cm2~10J/cm2の露光量で露光を行うことにより、レジストパターンの形成性を高めることができる。
<<エッチング工程>>
本開示に係るパターン形成方法は、上記第一のレジストパターンを形成する工程(第二のレジスト層、及び第一のレジスト層を同時に現像して第二のレジストパターンと第一のレジストパターンとを形成する工程を含む。)の後に、基板に対してエッチングを行う工程(以下、「エッチング工程」ともいう。)をさらに含むことが好ましい。例えば基板が導電層を有する場合、基板に対してエッチングを行うことで、導電パターンを形成できる。
エッチングとしては、例えば、ドライエッチング、及びウェットエッチングが挙げられる。エッチングは、真空プロセスが不要であり、そしてプロセスが簡便であることから、ウェットエッチングであることが好ましい。エッチングとしては、特開2010-152155号公報の段落0048~段落0054に記載された方法も挙げられる。
ウェットエッチングにおいて用いられるエッチング液としては、例えば、酸性タイプのエッチング液、及びアルカリ性タイプのエッチング液が挙げられる。
酸性タイプのエッチング液としては、例えば、酸性成分(例えば、塩酸、硫酸、フッ酸、及びリン酸)を含む水溶液、及び酸性成分と塩(例えば、塩化第二鉄、フッ化アンモニウム、及び過マンガン酸カリウム)とを含む水溶液が挙げられる。酸性タイプのエッチング液は、1種単独の酸性成分を含んでいてもよく、2種以上の酸性成分を含んでいてもよい。酸性タイプのエッチング液は、1種単独の塩を含んでいてもよく、2種以上の塩を含んでいてもよい。
アルカリ性タイプのエッチング液としては、例えば、アルカリ成分〔例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン、及び有機アミンの塩(例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド〕を含む水溶液、及びアルカリ成分と塩(例えば、過マンガン酸カリウム)とを含む水溶液が挙げられる。アルカリ性タイプのエッチング液は、1種単独のアルカリ成分を含んでいてもよく、2種以上のアルカリ成分を含んでいてもよい。アルカリ性タイプのエッチング液は、1種単独の塩を含んでいてもよく、2種以上の塩を含んでいてもよい。
エッチング液は、エッチングレートの制御の観点から、防錆剤を含んでいてもよい。防錆剤としては、例えば、含窒素含有化合物が挙げられる。含窒素含有化合物としては、例えば、トリアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、及びテトラゾール系化合物が挙げられる。
エッチング液の温度は、45℃以下であることが好ましい。
本開示に係るパターン形成方法において、エッチングマスクとして用いられる第一のレジストパターンは、45℃以下のエッチング液に対して優れた耐性を発揮することが好ましい。第一のレジストパターンが上記耐性を有することで、エッチング工程において、第一のレジストパターンが除去されることを防止できる。この結果、基板表面において、第一のレジストパターンが存在しない部分が選択的にエッチングされる。
<<洗浄工程、及び乾燥工程>>
本開示に係るパターン形成方法は、工程ラインの汚染を防ぐ観点から、上記エッチング工程後に、必要に応じて、洗浄工程、及び乾燥工程を含んでいてもよい。
洗浄工程においては、例えば、常温(例えば、25℃)で純水を用いて基板を洗浄することができる。洗浄時間は、例えば、10秒~300秒の範囲で適宜設定できる。
乾燥工程においては、例えば、エアブローを用いて基板を乾燥することができる。エアブロー圧は、0.1kg/cm2~5kg/cm2であることが好ましい。
<<全面露光工程>>
本開示に係るパターン形成方法は、上記パターン形成工程((1)本開示に係るパターン形成方法が上記露光工程Aと上記露光工程Bとの間に上記パターン形成工程Aを含み、かつ、上記露光工程Bの後に上記パターン形成工程Bを含む場合には、上記パターン形成工程B、(2)本開示に係るパターン形成方法が上記露光工程Bの後に、上記パターン形成工程A及び上記パターン形成工程Bの両方を含む場合には、上記パターン形成工程A及び上記パターン形成工程Bの両方、(3)本開示に係るパターン形成方法が上記エッチング工程を含む場合には、上記エッチング工程)の後、かつ、後述する除去工程の前に、上記第一のレジストパターン及び上記第二のレジストパターンを全面露光する工程(以下、「全面露光工程」ともいう。)を含むことが好ましい。第一のレジストパターン及び第二のレジストパターンを全面露光することで、後述する除去工程におけるレジストパターンの除去性を向上できる。例えば、ポジ型レジスト層を用いて形成されるレジストパターンは、全面露光されることによって、後述する除去工程における除去性がさらに向上する。
全面露光工程においては、基板上に残存する第一のレジストパターン及び第二のレジストパターンの全面を少なくとも露光すればよい。すなわち、第一のレジストパターン及び第二のレジストパターンがない部分は、露光してもよく、露光しなくてもよい。
全面露光工程においては、簡便性の観点から、基板を基準として第一のレジストパターン及び第二のレジストパターンが配置された側から、基板の全面を露光することが好ましい。
露光の光源としては、制限されず、公知の光源を利用できる。露光の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、及び発光ダイオード(LED)が挙げられる。
露光波長は、除去性の観点から、波長365nmを含むことが好ましい。
露光量は、除去性の観点から、5mJ/cm2~1,000mJ/cm2であることが好ましく、10mJ/cm2~800mJ/cm2であることがより好ましく、100mJ/cm2~500mJ/cm2であることが特に好ましい。
露光量は、除去性の観点から、上記露光工程Bにおける露光量以上であることが好ましく、上記露光工程Bにおける露光量より大きいことがより好ましい。
露光照度は、5mW/cm2~25,000mW/cm2であることが好ましく、20mW/cm2~20,000mW/cm2であることがより好ましく、30mW/cm2~15,000mW/cm2であることが特に好ましい。照度を大きくすることで全面露光に要する時間が短縮される。
<<加熱工程>>
本開示に係るパターン形成方法は、上記全面露光工程の間、及び上記全面露光工程と後述する除去工程との前の少なくとも一方において、上記全面露光された第一のレジストパターン及び第二のレジストパターンを加熱する工程(以下、「加熱工程」ともいう。)を含んでいてもよい。本開示に係るパターン形成方法は、加熱工程を含むことで、第一のレジストパターン及び第二のレジストパターンの除去を容易に行うことができる。例えば、ポジ型レジスト層を用いて形成されるレジストパターンにおいては、光酸発生剤の反応速度、及び発生酸とポジ型感光性組成物との反応速度を向上できるため、除去性能を向上できる。
加熱装置としては、制限されず、公知の加熱装置を利用できる。加熱装置としては、例えば、赤外線ヒーター、ホットブロワー、及びコンベクションオーブンが挙げられる。
加熱温度は、除去性の観点から、30℃~100℃であることが好ましく、30℃~80℃であることがより好ましく、30℃~60℃であることが特に好ましい。
加熱時間は、除去性の観点から、1秒~600秒であることが好ましく、1秒~120秒であることがより好ましく、5秒~60秒であることが特に好ましい。ここで、「加熱時間」とは、基板表面が設定温度に到達した時から起算した時間を意味し、昇温中の時間は含まない。
加熱雰囲気は、空気(相対湿度10RH%~90RH%)であることが好ましい。加熱雰囲気は、不活性ガス(例えば、窒素、及びアルゴン)であってもよい。
圧力は、常圧であることが好ましい。
基板上に多量の水が付着しているような場合、上記加熱工程の前、及び加熱工程中の少なくとも一方において、加熱効率を高める観点から、エアナイフ等で余分な水を吹き飛ばす工程を組み合わせてもよい。
<<除去工程>>
本開示に係るパターン形成方法は、第一のレジストパターン及び第二のレジストパターンを除去する工程(以下、「除去工程」ともいう。)を含むことが好ましい。例えば、第一のレジストパターンがポジ型レジスト層を用いて形成される場合、第一のレジストパターンを除去することで、第二のレジストパターンも除去できる。本開示に係るパターン形成方法が上記全面露光工程を含む場合、上記全面露光された第一のレジストパターン及び第二のレジストパターンを除去することが好ましい。
レジストパターンを除去する方法としては、例えば、薬品を用いてレジストパターンを除去する方法が挙げられる。薬品を用いてレジストパターンを除去する場合、レジストパターンは、薬品中に溶解してもよく、薬品中に分散してもよい。
レジストパターンを除去する方法は、除去液を用いてレジストパターンを除去する方法であることが好ましい。例えば、レジストパターンを有する基板を除去液に浸漬することで、レジストパターンを除去できる。
除去液の温度は、30℃~80℃であることが好ましく、50℃~80℃であることがより好ましい。
除去液への浸漬時間は、1分~30分間であることが好ましい。
除去液は、除去性の観点から、30質量%以上の水を含むことが好ましく、50質量%以上の水を含むことがより好ましく、70質量%以上の水を含むことが特に好ましい。
除去液は、無機アルカリ成分、又は有機アルカリ成分を含むことが好ましい。無機アルカリ成分としては、例えば、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムが挙げられる。有機アルカリ成分としては、例えば、第1級アミン化合物、第2級アミン化合物、第3級アミン化合物、及び第4級アンモニウム塩化合物が挙げられる。
除去液は、除去性の観点から、有機アルカリ成分を含むことが好ましく、アミン化合物を含むことがより好ましい。
有機アルカリ成分の含有量は、除去性の観点から、除去液の全質量に対して、0.01質量%~20質量%であることが好ましく、0.1質量%~10質量%であることがより好ましい。
除去液は、除去性の観点から、界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤としては、制限されず、公知の界面活性剤を利用できる。
界面活性剤の含有量は、除去性の観点から、除去液の全質量に対して、0.1質量%~10質量%であることが好ましい。
除去液は、水溶性有機溶剤を含むことが好ましい。水溶性有機溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド、及びN-メチルピロリドンが挙げられる。
除去工程において除去液とレジストパターンとを接触させる方法としては、例えば、スプレー法、シャワー法、及びパドル法が挙げられる。
除去液としては、特開平11-021483号公報、特開2002-129067号公報、特開平07-028254号公報、特開2001-188363号公報、特開平04-048633号公報、及び特許第5318773号公報に記載された剥離液を適用することもできる。
<<ロールツーロール方式>>
本開示に係るパターン形成方法は、ロールツーロール方式により行われることが好ましい。ロールツーロール方式としては、制限されず、公知のロールツーロール方式を利用できる。例えば、本開示に係るパターン形成方法において、少なくとも1つの工程の前後に、少なくとも基板を巻き出す工程、及び少なくとも基板を巻き取る工程をそれぞれ設けることで、基板を搬送しながら加工できる。
<<他の工程>>
本開示に係るパターン形成方法は、上記以外の工程を含んでいてもよい。上記以外の工程としては、例えば、以下の工程が挙げられる。
[保護フィルムを貼り付ける工程]
第二のレジストパターン、及び第一のレジストパターンを順番に形成する場合、本開示に係るパターン形成方法は、上記パターン形成工程Aの後、上記露光工程Bの前に、第二のレジストパターン上に、光透過性を有する保護フィルムを貼り付ける工程を含んでいてもよい。既述のとおり、露光工程Bにおいては、第二のレジストパターン上に保護フィルムを設けることで、保護フィルムを介して第一のレジスト層を露光できる。
[可視光線反射率を低下させる工程]
基板が導電層を有する場合、本開示に係るパターン形成方法は、上記導電層の一部又は全ての可視光線反射率を低下させる処理をする工程を含んでいてもよい。
可視光線反射率を低下させる処理としては、例えば、酸化処理が挙げられる。例えば、導電層が銅を含む場合、銅を酸化処理して酸化銅とすることで、導電層の可視光線反射率を低下させることができる。
可視光線反射率を低下させる処理の好ましい態様については、特開2014-150118号公報の段落0017~段落0025、並びに特開2013-206315号公報の段落0041、段落0042、段落0048、及び段落0058に記載があり、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
本開示に係るパターン形成方法における、露光工程、現像工程、及び他の工程の例としては、特開2006-23696号公報の段落0035~段落0051に記載された方法を適用することもできる。
<回路基板の製造方法>
本開示に係る回路基板の製造方法は、本開示に係るパターン形成方法を含む。本開示に係る回路基板の製造方法は、上記構成を備えることで、導電パターンを形成する際に利用されるレジストパターンの解像性及びテンティング性を向上できる。
本開示に係る回路基板の製造方法に適用されるパターン形成方法については、上記「パターン形成方法」の項目において説明したとおりであり、好ましい実施形態も同様である。
回路基板としては、制限されず、例えば、プリント配線板、及びタッチパネルセンサーが挙げられる。
<電子デバイス>
本開示に係る電子デバイスは、本開示に係る回路基板の製造方法により作製された回路基板を含む。本開示に係る電子デバイスによれば、上記回路基板の製造方法により作製された回路基板を含むことで、上記回路基板におけるパターンを高精細化できる。
電子デバイスとしては、制限されず、例えば、タッチパネル、コンピュータ(タブレット型コンピュータを含む。)、及びスマートフォンが挙げられる。
<積層体>
本開示に係る積層体は、基板と、第一のレジスト層と、第二のレジスト層と、をこの順で有する。本開示に係る積層体は、上記構成を備えることで、解像性及びテンティング性に優れるパターンを形成できる。
<<基板>>
本開示に係る積層体は、基板を有する。基板の種類は、制限されず、目的に応じて適宜選択すればよい。基板は、いわゆるリジッド基板であってもよく、フレキシブル基板であってもよく、リジッドフレキシブル基板であってもよい。
基板は、導電層を有することが好ましく、導電層と、絶縁層と、を有することがより好ましい。
[導電層]
基板は、導電層を有することが好ましい。導電層は、基板の表面に配置されていてもよく、基板の内部に配置されていてもよく、基板の表面及び内部に配置されていてもよい。
基板は、表面に導電層を有することが好ましい。ここで、「表面に導電層を有する」とは、基板表面の一部又は全部に導電層が配置されていることを意味し、特に断りのない限り、基板表面以外の領域(例えば、基板の内部)に導電層がさらに配置されることを制限するものではない。
基板が表面に導電層を有する場合、上記導電層は、少なくとも、基板と第一のレジスト層との間に配置されていることが好ましい。
基板が導電層及び絶縁層を有する場合、導電層は、絶縁層の片面に配置されていてもよく、絶縁層の両面に配置されていてもよい。
導電層としては、導電性を有する層であれば制限されない。ここで、「導電性」とは、体積抵抗率が1×106Ωcm未満であることを意味する。導電性を示す体積抵抗率は、1×104Ωcm未満であることが好ましい。
導電層は、導電性、及び細線形成性の観点から、金属層であることが好ましい。金属層は、金属を含む層である。
金属層に含まれる金属としては、例えば、銅、銀、錫、パラジウム、金、ニッケル、クロム、白金、鉄、ガリウム、及びインジウムが挙げられる。金属層に含まれる金属は、単体の金属であってもよく、合金であってもよい。合金としては、例えば、銅合金、及び銀合金が挙げられる。
金属層は、1種単独の金属を含んでいてもよく、2種以上の金属を含んでいてもよい。
金属層は、導電性の観点から、銅層、又は銅合金層であることが好ましく、銅層であることがより好ましい。
導電層は、本開示に係るパターン形成方法の効果を損なわない範囲において、有機物を含んでいてもよい。有機物としては、例えば、バインダー樹脂が挙げられる。
基板の少なくとも一方の表面に導電層が配置されている場合、上記導電層の表面は、粗面化されていてもよい。粗面化により導電層の表面に微小な凹凸が形成されることで、導電層と第一のレジスト層との密着性を向上できる。導電層の表面を粗面化する方法としては、例えば、マイクロエッチングが挙げられる。
基板は、1つの導電層を有していてもよく、複数の導電層を有していてもよい。基板が複数の導電層を有する場合、各導電層の種類は、同一であってもよく、互いに異なるものであってもよいが、導電性の観点から、同一であることが好ましい。
導電層の平均厚さは、制限されず、目的に応じて適宜設定すればよい。導電層の平均厚さは、導電性、及び製膜性の観点から、0.1μm~1000μmであることが好ましく、0.5μm~15μmであることがより好ましく、1μm~10μmであることが特に好ましい。
導電層の平均厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、導電層の面方向に対し垂直な方向の断面を観察することによって測定される、10箇所の厚さの平均値とする。
導電層の形成方法としては、制限されず、公知の方法を利用できる。導電層の形成方法としては、例えば、真空蒸着、スパッタリング、及びめっきが挙げられる。
[絶縁層]
基板は、絶縁層を有することが好ましい。絶縁層としては、例えば、有機樹脂基板、セラミック基板、シリコン基板、及びガラス基板が挙げられる。絶縁基板は、有機樹脂基板であることが好ましい。
有機樹脂基板としては、ポリイミド基板、ポリエステル基板(例えば、ポリエチレンテレフタレート基板、及びポリエチレンナフタレート基板)、ポリカーボネート基板、及びアクリル樹脂基板が挙げられる。また、有機樹脂基板は、液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer:LCP)基板であってもよい。有機樹脂基板は、耐熱性、絶縁特性、及び可撓性の観点から、ポリイミド基板であることが好ましい。
絶縁層は、透明であってもよく、透明でなくてもよい。
基板は、1つの絶縁層を有していてもよく、複数の絶縁層を有していてもよい。基板が複数の絶縁層を有する場合、各絶縁層の種類は、同一であってもよく、互いに異なるものであってもよい。
絶縁層の厚さは、制限されず、目的に応じて適宜設定すればよい。絶縁層の平均厚さは、10μm~100μmであることが好ましく、20μm~50μmであることがより好ましい。
[導通孔]
基板は、導通孔を有することが好ましい。基板が導通孔を有することで、例えば、基板における層間を電気的に接続できる。
導通孔としては、例えば、スルーホールビア、及びビアホールが挙げられる。スルーホールビアは、層間を電気的に接続するために設けられる貫通穴である。ビアホール(インタースティシャルビアホールとも称される。)は、層間を電気的に接続するために設けられる非貫通穴である。
導通孔により層間を電気的に接続する方法としては、例えば、基板に設けた貫通孔又は非貫通孔の内壁面に金属層を形成する方法、及び基板に設けた貫通孔又は非貫通孔の内部を金属で充填する方法が挙げられる。例えば、基板の両面にそれぞれ金属配線が設けられる場合、貫通孔又は非貫通孔内を金属(例えば、銅、及び銅合金)で充填することで、基板の一方の表面に設けられる金属配線と、基板の他方の表面に設けられる金属配線とを電気的に接続できる。
基板に貫通孔又は非貫通孔を形成する方法としては、制限されず、公知の方法を利用できる。例えば、レーザー、又はドリルを用いて貫通孔又は非貫通孔を形成できる。基板に貫通孔又は非貫通孔を形成した後、例えば、めっきを行うことによって層間を電気的に接続できる。
[基板の厚さ]
基板の厚さは、制限されず、目的に応じて適宜設定すればよい。基板の平均厚さは、搬送性、電気特性、及び製膜性の観点から、10μm~100μmであることが好ましく、20μm~50μmであることがより好ましい。基板の平均厚さは、既述した導電層の平均厚さの測定方法に準ずる方法により測定する。
[基板の構造]
基板の構造は、制限されず、目的に応じて適宜選択すればよい。例えば、基板が導電層及び絶縁層を有する場合、導電層、及び絶縁層は、交互に配置されていてもよい。基板の一例として、2以上の導電層と、2以上の絶縁層と、を有し、上記導電層、及び上記絶縁層が、交互に積層された構造を有する基板が挙げられる(例えば、図1(a)参照)。
<<第一のレジスト層>>
本開示に係る積層体は、第一のレジスト層を有する。第一のレジスト層としては、露光により現像液に対する溶解性が変化するレジスト層であれば制限されない。露光により現像液に対する溶解性が変化するレジスト層としては、例えば、露光により現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト層(以下、単に「ポジ型レジスト層」ともいう。)、及び露光により現像液に対する溶解性が低下するネガ型レジスト層(以下、単に「ネガ型レジスト層」ともいう。)が挙げられる。
〔ポジ型レジスト層〕
第一のレジスト層は、解像性の観点から、露光により現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト層であることが好ましい。ここで、「露光により現像液に対する溶解性が増大する」とは、露光部の現像液に対する溶解性が、非露光部の現像液に対する溶解性に比べて相対的に大きくなることを意味する。
ポジ型レジスト層としては、制限されず、公知のポジ型レジスト層を利用できる。ポジ型レジスト層は、感度、及び解像度の観点から、酸分解性樹脂、すなわち、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体と、光酸発生剤と、を含むことが好ましい。
ポジ型レジスト層は、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体と、光酸発生剤と、を含む化学増幅ポジ型レジスト層であることがより好ましい。ただし、光酸発生剤としてキノンジアジド化合物を用いた場合、逐次型光化学反応によりカルボキシ基が生成されるが、量子収率は必ず1以下であるため、化学増幅型には該当しない。
以下、ポジ型レジスト層について具体的に説明する。
[酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体]
ポジ型レジスト層は、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位(以下、「構成単位A」ともいう。)を有する重合体(以下、「重合体X」ともいう。)を含むことが好ましい。
重合体Xにおいて、酸分解性基で保護された酸基は、露光により生じる触媒量の酸性物質(例えば、酸)の作用により、脱保護反応を経て酸基に変換される。重合体Xにおいて酸基が生じることで、現像液に対するポジ型レジスト層の溶解性が増大する。
重合体Xは、付加重合型の重合体であることが好ましく、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構成単位を有する重合体であることがより好ましい。
(酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位)
重合体Xは、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位(構成単位A)を有することが好ましい。重合体Xが構成単位Aを有することにより、ポジ型レジスト層の感度を向上できる。
酸基としては、制限されず、公知の酸基を利用できる。酸基は、カルボキシ基、又はフェノール性水酸基であることが好ましい。
酸分解性基としては、例えば、酸により比較的分解し易い基、及び酸により比較的分解し難い基が挙げられる。酸により比較的分解し易い基としては、例えば、アセタール型保護基(例えば、1-アルコキシアルキル基、テトラヒドロピラニル基、及びテトラヒドロフラニル基)が挙げられる。酸により比較的分解し難い基としては、例えば、第三級アルキル基(例えば、tert-ブチル基)、及び第三級アルキルオキシカルボニル基(例えば、tert-ブチルオキシカルボニル基)が挙げられる。上記の中でも、酸分解性基は、アセタール型保護基であることが好ましい。
酸分解性基の分子量は、導電パターンの形成に適用した場合における導電パターンの線幅のバラツキを抑制する観点から、300以下であることが好ましい。
構成単位Aは、感度、及び解像度の観点から、以下の式A1により表される構成単位、式A2により表される構成単位、又は式A3により表される構成単位であることが好ましく、式A3により表される構成単位であることがより好ましい。式A3で表される構成単位は、アセタール型の酸分解性基で保護されたカルボキシ基を有する構成単位である。
式A1中、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、R11及びR12の少なくとも一方は、アルキル基、又はアリール基であり、R13は、アルキル基、又はアリール基を表し、R11又はR12と、R13とは連結して環状エーテルを形成してもよく、R14は、水素原子、又はメチル基を表し、X1は、単結合、又は二価の連結基を表し、R15は、置換基を表し、nは、0~4の整数を表す。
式A2中、R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、R21及びR22の少なくとも一方は、アルキル基、又はアリール基であり、R23は、アルキル基、又はアリール基を表し、R21又はR22と、R23とは連結して環状エーテルを形成してもよく、R24は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシアルキル基、アリールカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、又はシクロアルキル基を表し、mは、0~3の整数を表す。
式A3中、R31及びR32は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、R31及びR32の少なくとも一方はアルキル基又はアリール基であり、R33は、アルキル基、又はアリール基を表し、R31又はR32と、R33とは連結して環状エーテルを形成してもよく、R34は、水素原子、又はメチル基を表し、X0は、単結合、又は二価の連結基を表す。
式A3中、R31又はR32がアルキル基の場合、炭素数は1~10のアルキル基が好ましい。
式A3中、R31又はR32がアリール基の場合、フェニル基が好ましい。
式A3中、R31及びR32は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1~4のアルキル基であることが好ましい。
式A3中、R33は、炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~6のアルキル基であることがより好ましい。
式A3中、R31~R33で表されるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。
式A3中、R31又はR32と、R33とは連結して環状エーテルを形成することが好ましい。上記環状エーテルの環員数は、5又は6であることが好ましく、5であることがより好ましい。
式A3中、X0は、単結合であることが好ましい。アリーレン基は、置換基を有していてもよい。
式A3中、R34は、重合体Xのガラス転移温度(Tg)をより低くし得るという観点から、水素原子であることが好ましい。
式A3におけるR34が水素原子である構成単位の含有量は、重合体Xに含まれる構成単位Aの全質量に対して、20質量%以上であることが好ましい。構成単位A中の、式A3におけるR34が水素原子である構成単位の含有量は、13C-核磁気共鳴スペクトル(NMR)測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
式A1~式A3の好ましい態様としては、国際公開第2018/179640号の段落0044~段落0058を参照することができる。
式A1~式A3において、酸分解性基は、感度の観点から、環状構造を有する基であることが好ましく、テトラヒドロフラン環構造又はテトラヒドロピラン環構造を有する基であるがより好ましく、テトラヒドロフラン環構造を有する基であることがさらに好ましく、テトラヒドロフラニル基であることが特に好ましい。
重合体Xは、1種単独の構成単位Aを有していてもよく、2種以上の構成単位Aを有していてもよい。
構成単位Aの含有量は、重合体Xの全質量に対して、10質量%~70質量%であることが好ましく、15質量%~50質量%であることがより好ましく、20質量%~40質量%であることが特に好ましい。構成単位Aの含有量が上記範囲内であることで、解像度がより向上する。重合体Xが2種以上の構成単位Aを含む場合、上記構成単位Aの含有量は、2種以上の構成単位Aの総含有量を表すものとする。構成単位Aの含有量は、13C-NMR測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
(酸基を有する構成単位)
重合体Xは、酸基を有する構成単位(以下、「構成単位B」ともいう。)を有していてもよい。
構成単位Bは、酸分解性基で保護されていない酸基、すなわち、保護基を有しない酸基を有する構成単位である。重合体Xが構成単位Bを有することで、パターン形成時の感度が良好となる。また、パターン露光後の現像工程においてアルカリ性の現像液に溶けやすくなるため、現像時間の短縮化を図ることができる。
構成単位Bにおける酸基とは、pKaが12以下のプロトン解離性基を意味する。酸基のpKaは、感度向上の観点から、10以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。また、酸基のpKaは、-5以上であることが好ましい。
酸基としては、例えば、カルボキシ基、スルホンアミド基、ホスホン酸基、スルホ基、フェノール性水酸基、及びスルホニルイミド基が挙げられる。酸基は、カルボキシ基、又はフェノール性水酸基であることが好ましく、カルボキシ基であることがより好ましい。
重合体Xは、1種単独の構成単位Bを有していてもよく、2種以上の構成単位Bを有していてもよい。
構成単位Bの含有量は、重合体Xの全質量に対して、0.01質量%~20質量%であることが好ましく、0.01質量%~10質量%であることがより好ましく、0.1質量%~5質量%であることが特に好ましい。構成単位Bの含有量が上記範囲内であることで、解像性がより良好となる。重合体Xが2種以上の構成単位Bを有する場合、上記構成単位Bの含有量は、2種以上の構成単位Bの総含有量を表すものとする。構成単位Bの含有量は、13C-NMR測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
(他の構成単位)
重合体Xは、既述の構成単位A及び構成単位B以外の、他の構成単位(以下、「構成単位C」ともいう。)を有することが好ましい。構成単位Cの種類及び含有量の少なくとも一方を調製することで、重合体Xの諸特性を調整することができる。重合体Xが構成単位Cを有することで、重合体Xのガラス転移温度、酸価、及び親疎水性を容易に調整することができる。
構成単位Cを形成するモノマーとしては、例えば、スチレン類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸ジエステル、ビシクロ不飽和化合物、マレイミド化合物、不飽和芳香族化合物、共役ジエン系化合物、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、及び不飽和ジカルボン酸無水物が挙げられる。
構成単位Cを形成するモノマーは、密着性の観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましく、炭素数4~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることがより好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、及び(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルが挙げられる。
構成単位Cとしては、スチレン、α-メチルスチレン、アセトキシスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、クロロスチレン、ビニル安息香酸メチル、ビニル安息香酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、アクリロニトリル、又はエチレングリコールモノアセトアセテートモノ(メタ)アクリレートに由来の構成単位が挙げられる。構成単位Cとしては、特開2004-264623号公報の段落0021~段落0024に記載された化合物に由来の構成単位も挙げられる。
構成単位Cは、解像性の観点から、塩基性基を有する構成単位を含むことが好ましい。塩基性基としては、例えば、窒素原子を有する基が挙げられる。窒素原子を有する基としては、例えば、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基、及び含窒素複素芳香環基が挙げられる。塩基性基は、脂肪族アミノ基であることが好ましい。
脂肪族アミノ基としては、第一級アミノ基、第二級アミノ基、及び第三級アミノ基のいずれであってもよいが、解像性の観点から、第二級アミノ基、又は第三級アミノ基であることが好ましい。
塩基性基を有する構成単位を形成するモノマーとしては、例えば、メタクリル酸1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル、メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル、メタクリル酸2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル、アクリル酸2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル、メタクリル酸2-(ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸2-(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸N-(3-ジメチルアミノ)プロピル、アクリル酸N-(3-ジメチルアミノ)プロピル、メタクリル酸N-(3-ジエチルアミノ)プロピル、アクリル酸N-(3-ジエチルアミノ)プロピル、メタクリル酸2-(ジイソプロピルアミノ)エチル、メタクリル酸2-モルホリノエチル、アクリル酸2-モルホリノエチル、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、4-アミノスチレン、4-ビニルピリジン、2-ビニルピリジン、3-ビニルピリジン、1-ビニルイミダゾール、2-メチル-1-ビニルイミダゾール、1-アリルイミダゾール、及び1-ビニル-1,2,4-トリアゾールが挙げられる。上記の中でも、メタクリル酸1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルが好ましい。
また、構成単位Cとしては、電気特性を向上させる観点から、芳香環を有する構成単位、又は脂肪族環式骨格を有する構成単位が好ましい。これらの構成単位を形成するモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、及びベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。上記の中でも、シクロヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
重合体Xは、1種単独の構成単位Cを有していてもよく、2種以上の構成単位Cを有していてもよい。
構成単位Cの含有量は、重合体Xの全質量に対し、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることが特に好ましい。構成単位Cの含有量は、重合体Xの全質量に対し、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。構成単位Cの含有量が上記範囲内であることで、解像度及び密着性がより向上する。重合体Xが2種以上の構成単位Cを有する場合、上記構成単位Cの含有量は、2種以上の構成単位Cの総含有量を表すものとする。構成単位Cの含有量は、13C-NMR測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
重合体Xの好ましい例を以下に示す。ただし、重合体Xは、以下の例示に制限されない。なお、下記に示す重合体Xにおける各構成単位の比率、及び重量平均分子量は、それぞれ、好ましい物性を得るために適宜選択される。
(重合体Xのガラス転移温度:Tg)
重合体Xのガラス転移温度(Tg)は、90℃以下であることが好ましく、20℃~60℃であることがより好ましく、30℃~50℃であることが特に好ましい。ポジ型レジスト層が後述する転写材料を用いて形成される場合、重合体Xのガラス転移温度が上記範囲内であることで、ポジ型レジスト層の転写性を向上できる。
重合体XのTgを上記範囲内に調整する方法としては、例えば、FOX式を用いる方法が挙げられる。FOX式によれば、例えば、目的とする重合体Xにおける各構成単位の単独重合体のTg、及び各構成単位の質量分率に基づいて、目的とする重合体XのTgを調整できる。
以下、FOX式について、第一の構成単位、及び第二の構成単位を有する共重合体を例に用いて説明する。
第一の構成単位の単独重合体のガラス転移温度をTg1、共重合体における第一の構成単位の質量分率をW1、第二の構成単位の単独重合体のガラス転移温度をTg2、共重合体における第二の構成単位の質量分率をW2とした場合、第一の構成単位、及び第二の構成単位を有する共重合体のガラス転移温度Tg0(単位:K)は、以下の式にしたがって推定することができる。
FOX式:1/Tg0=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)
また、重合体の重量平均分子量を調整することにより、重合体のTgを調整することもできる。
(重合体Xの酸価)
重合体Xの酸価は、解像性の観点から、0mgKOH/g~50mgKOH/gであることが好ましく、0mgKOH/g~20mgKOH/gであることがより好ましく、0mgKOH/g~10mgKOH/gであることが特に好ましい。
重合体の酸価は、重合体1gあたりの酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムの質量を表したものである。具体的な測定方法を以下に説明する。まず、測定試料を、テトラヒドロフラン及び水を含む混合溶媒(体積比:テトラヒドロフラン/水=9/1)に溶解する。電位差滴定装置(例えば、商品名:AT-510、京都電子工業株式会社製)を用いて、得られた溶液を25℃において、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定する。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点として、次式により酸価を算出する。
A=56.11×Vs×0.1×f/w
A:酸価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の使用量(mL)
f:0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の力価
w:測定試料の質量(g)(固形分換算)
(重合体Xの重量平均分子量:Mw)
重合体Xの重量平均分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、60,000以下であることが好ましい。ポジ型レジスト層が後述する転写材料を用いて形成される場合、重合体Xの重量平均分子量が60,000以下であることで、低温(例えば130℃以下)でポジ型レジスト層を転写できる。
重合体Xの重量平均分子量は、2,000~60,000であることが好ましく、3,000~50,000であることがより好ましい。
重合体Xの数平均分子量と重量平均分子量との比(分散度)は、1.0~5.0が好ましく、1.05~3.5がより好ましい。
重合体Xの重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定する。測定装置としては、様々な市販の装置を用いることができる。以下、GPCによる重合体Xの重量平均分子量の測定方法について具体的に説明する。
測定装置として、HLC(登録商標)-8220GPC(東ソー株式会社製)を用いる。
カラムとして、TSKgel(登録商標)Super HZM-M(4.6mmID×15cm、東ソー株式会社製)、Super HZ4000(4.6mmID×15cm、東ソー株式会社製)、Super HZ3000(4.6mmID×15cm、東ソー株式会社製)、及びSuper HZ2000(4.6mmID×15cm、東ソー株式会社製)をそれぞれ1本ずつ直列に連結したものを用いる。
溶離液として、THF(テトラヒドロフラン)を用いる。
測定条件は、試料濃度を0.2質量%、流速を0.35mL/min、サンプル注入量を10μL、及び測定温度を40℃とする。
検出器として、示差屈折率(RI)検出器を用いる。
検量線は、東ソー株式会社製の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F-40」、「F-20」、「F-4」、「F-1」、「A-5000」、「A-2500」、及び「A-1000」の7サンプルのいずれかを用いて作成する。
(重合体Xの含有量)
ポジ型レジスト層は、1種単独の重合体Xを含んでいてもよく、2種以上の重合体Xを含んでいてもよい。
重合体Xの含有量は、高解像性の観点から、ポジ型レジスト層の全質量に対して、50質量%~99.9質量%であることが好ましく、70質量%~98質量%であることがより好ましい。
(重合体Xの製造方法)
重合体Xの製造方法としては、制限されず、公知の方法を利用できる。例えば、有機溶剤中、重合開始剤を用いて、構成単位Aを形成するためのモノマー、さらに必要に応じて、構成単位Bを形成するためのモノマー及び構成単位Cを形成するためのモノマーを重合することにより重合体Xを製造できる。また、重合体Xは、いわゆる高分子反応で製造することもできる。
[他の重合体]
ポジ型レジスト層は、重合体Xに加えて、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有しない重合体(以下、「他の重合体」ともいう。)を含んでいてもよい。
他の重合体としては、例えば、ポリヒドロキシスチレンが挙げられる。ポリヒドロキシスチレンの市販品としては、サートマー社製のSMA 1000P、SMA 2000P、SMA 3000P、SMA 1440F、SMA 17352P、SMA 2625P、及びSMA 3840F、東亞合成株式会社製のARUFON UC-3000、ARUFON UC-3510、ARUFON UC-3900、ARUFON UC-3910、ARUFON UC-3920、及びARUFON UC-3080、並びにBASF社製のJoncryl 690、Joncryl 678、Joncryl 67、及びJoncryl 586が挙げられる。
ポジ型レジスト層は、1種単独の他の重合体を含んでいてもよく、2種以上の他の重合体を含んでいてもよい。
ポジ型レジスト層が他の重合体を含む場合、他の重合体の含有量は、重合体成分の全質量に対して、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。
本開示において、「重合体成分」とは、ポジ型レジスト層に含まれる全ての重合体の総称である。例えば、ポジ型レジスト層が重合体Xと他の重合体とを含む場合、重合体X、及び他の重合体を合わせて「重合体成分」という。なお、後述する架橋剤、分散剤、及び界面活性剤に該当する化合物は、高分子化合物であっても重合体成分に含まないものとする。
重合体成分の含有量は、ポジ型レジスト層の全質量に対して、50質量%~99.9質量%であることが好ましく、70質量%~98質量%であることがより好ましい。
[光酸発生剤]
ポジ型レジスト層は、光酸発生剤を含むことが好ましい。光酸発生剤は、活性光線(例えば、紫外線、遠紫外線、X線、及び電子線)の照射により酸を発生することができる化合物である。
光酸発生剤としては、波長300nm以上、好ましくは波長300nm~450nmの活性光線に感応することにより酸を発生する化合物が好ましい。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光酸発生剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応することにより酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく用いることができる。
光酸発生剤は、pKaが4以下の酸を発生する光酸発生剤であることが好ましく、pKaが3以下の酸を発生する光酸発生剤であることがより好ましく、pKaが2以下の酸を発生する光酸発生剤であることが特に好ましい。光酸発生剤に由来の酸のpKaの下限は、制限されないが、例えば、-10.0以上であることが好ましい。
光酸発生剤としては、例えば、イオン性光酸発生剤、及び非イオン性光酸発生剤が挙げられる。
イオン性光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物が挙げられる。オニウム塩化合物としては、例えば、ジアリールヨードニウム塩化合物、トリアリールスルホニウム塩化合物、及び第四級アンモニウム塩化合物が挙げられる。イオン性光酸発生剤は、オニウム塩化合物であることが好ましく、トリアリールスルホニウム塩化合物、及びジアリールヨードニウム塩化合物の少なくとも一方であることが特に好ましい。
イオン性光酸発生剤としては、特開2014-85643号公報の段落0114~段落0133に記載されたイオン性光酸発生剤も好ましく用いることができる。
非イオン性光酸発生剤としては、例えば、トリクロロメチル-s-トリアジン化合物、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、及びオキシムスルホネート化合物が挙げられる。非イオン性光酸発生剤は、感度、解像度、及び密着性の観点から、オキシムスルホネート化合物であることが好ましい。
トリクロロメチル-s-トリアジン化合物、ジアゾメタン化合物、及びイミドスルホネート化合物の具体例としては、特開2011-221494号公報の段落0083~段落0088に記載された化合物が挙げられる。
オキシムスルホネート化合物としては、国際公開第2018/179640号の段落0084~段落0088に記載されたものを好適に用いることができる。
光酸発生剤は、感度、及び解像度の観点から、オニウム塩化合物、及びオキシムスルホネート化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが好ましく、オキシムスルホネート化合物であることがより好ましい。
光酸発生剤の好ましい例として、以下の構造を有する光酸発生剤が挙げられる。
波長405nmに吸収を有する光酸発生剤としては、例えば、アデカアークルズ(登録商標)SP-601(株式会社ADEKA製)が挙げられる。
ポジ型レジスト層は、1種単独の光酸発生剤を含んでいてもよく、2種以上の光酸発生剤を含んでいてもよい。
光酸発生剤の含有量は、感度、及び解像度の観点から、ポジ型レジスト層の全質量に対して、0.1質量%~10質量%であることが好ましく、0.5質量%~5質量%であることがより好ましい。
[他の添加剤]
ポジ型レジスト層は、上記した各成分に加えて、公知の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、増感剤、塩基性化合物、ヘテロ環状化合物、アルコキシシラン化合物、及び界面活性剤が挙げられる。
(可塑剤)
ポジ型レジスト層は、可塑性を改良する目的で、可塑剤を含んでいてもよい。
可塑剤は、可塑性付与の観点から、分子中にアルキレンオキシ基を有することが好ましい。可塑剤に含まれるアルキレンオキシ基は、下記構造を有することが好ましい。
上記式中、Rは、炭素数2~8のアルキレン基を表し、nは、1~50の整数を表し、*は、他の原子との結合部位を表す。
なお、上記構造のアルキレンオキシ基を有する化合物(以下、「化合物X」という。)、重合体X、及び光酸発生剤を含むポジ型レジスト層が、化合物Xを含まないポジ型レジスト層に比べて可塑性が向上しない場合、化合物Xは、本開示における可塑剤には該当しない。また、任意に使用される界面活性剤は、通常、ポジ型レジスト層に可塑性を付与可能な量で使用されることはないため、本開示における可塑剤には該当しない。
可塑剤としては、例えば、下記構造を有する化合物が挙げられる。ただし、可塑剤は、下記の化合物に限定されるものではない。
可塑剤の重量平均分子量は、重合体Xの重量平均分子量より小さいことが好ましい。可塑剤の重量平均分子量は、可塑性付与の観点から500以上10,000未満であることが好ましく、700以上5,000未満であることがより好ましく、800以上4,000未満であることが特に好ましい。
ポジ型レジスト層は、1種単独の可塑剤を含んでいてもよく、2種以上の可塑剤を含んでいてもよい。
可塑剤の含有量は、密着性の観点から、ポジ型レジスト層の全質量に対して、1質量%~50質量%であることが好ましく、2質量%~20質量%であることがより好ましい。
(増感剤)
ポジ型レジスト層は、増感剤を含むことが好ましい。
増感剤は、活性光線を吸収することにより電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤と光酸発生剤との接触により、電子移動、エネルギー移動、発熱等の作用が生じる。上記作用によって、光酸発生剤は、酸を生成する。このため、ポジ型レジスト層が増感剤を含むことで、露光感度を向上できる。
増感剤としては、アントラセン誘導体、アクリドン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ベーススチリル誘導体、及びジスチリルベンゼン誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物が好ましく、アントラセン誘導体がより好ましい。
アントラセン誘導体は、アントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジクロロアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9-ヒドロキシメチルアントラセン、9-ブロモアントラセン、9-クロロアントラセン、9,10-ジブロモアントラセン、2-エチルアントラセン、又は9,10-ジメトキシアントラセンであることが好ましい。
増感剤としては、国際公開第2015/093271号の段落0139~段落0141に記載された化合物を挙げることができる。
ポジ型レジスト層は、1種単独の増感剤を含んでいてもよく、2種以上の増感剤を含んでいてもよい。
増感剤の含有量は、ポジ型レジスト層の全質量に対して、0質量%~10質量%であることが好ましく、0.1質量%~10質量%であることがより好ましい。
(塩基性化合物)
ポジ型レジスト層は、塩基性化合物を含むことが好ましい。
塩基性化合物としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、第四級アンモニウムヒドロキシド、及びカルボン酸の第四級アンモニウム塩が挙げられる。塩基性化合物の具体例としては、特開2011-221494号公報の段落0204~段落0207に記載された化合物が挙げられ、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
脂肪族アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリ-n-プロピルアミン、ジ-n-ペンチルアミン、トリ-n-ペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、及びジシクロヘキシルメチルアミンが挙げられる。
芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、ベンジルアミン、N,N-ジメチルアニリン、及びジフェニルアミンが挙げられる。
複素環式アミンとしては、例えば、ピリジン、2-メチルピリジン、4-メチルピリジン、2-エチルピリジン、4-エチルピリジン、2-フェニルピリジン、4-フェニルピリジン、N-メチル-4-フェニルピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4-メチルイミダゾール、2-フェニルベンズイミダゾール、2,4,5-トリフェニルイミダゾール、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8-オキシキノリン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、4-メチルモルホリン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン、及び1,8-ジアザビシクロ[5.3.0]-7-ウンデセンが挙げられる。
第四級アンモニウムヒドロキシドとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ-n-ブチルアンモニウムヒドロキシド、及び、テトラ-n-ヘキシルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
カルボン酸の第四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムベンゾエート、テトラ-n-ブチルアンモニウムアセテート、及びテトラ-n-ブチルアンモニウムベンゾエートが挙げられる。
塩基性化合物は、導電層の防錆性と導電パターンの直線性の観点から、ベンゾトリアゾール化合物であることが好ましい。
ベンゾトリアゾール化合物としては、ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物であれば制限されず、公知のベンゾトリアゾール化合物を利用できる。ベンゾトリアゾール化合物としては、例えば、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、5-カルボキシベンゾトリアゾール、1-(ヒドロキシメチル)-1H-ベンゾトリアゾール、1-アセチル-1H-ベンゾトリアゾール、1-アミノベンゾトリアゾール、9-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イルメチル)-9H-カルバゾール、1-クロロ-1H-ベンゾトリアゾール、1-(2-ピリジニル)ベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-メチルベンゾトリアゾール、1-エチルベンゾトリアゾール、1-(1’-ヒドロキシエチル)ベンゾトリアゾール、1-(2’-ヒドロキシエチル)ベンゾトリアゾール、1-プロピルベンゾトリアゾール、1-(1’-ヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1-(2’-ヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1-(3’-ヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール、4-ヒドロキシ-1H-ベンゾトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール-5-カルボキシレート、エチルベンゾトリアゾール-5-カルボキシレート、t-ブチル-ベンゾトリアゾール-5-カルボキシレート、シクロペンチルエチル-ベンゾトリアゾール-5-カルボキシレート、1H-ベンゾトリアゾール-1-アセトニトリル、1H-ベンゾトリアゾール-1-カルボキシアルデヒド、2-メチル-2H-ベンゾトリアゾール、及び2-エチル-2H-ベンゾトリアゾールが挙げられる。
ポジ型レジスト層は、1種単独の塩基性化合物を含んでいてもよく、2種以上の塩基性化合物を含んでいてもよい。
塩基性化合物の含有量は、ポジ型レジスト層の全質量に対して、0.001質量%~5質量%であることが好ましく、0.005質量%~3質量%であることがより好ましい。
(ヘテロ環状化合物)
ポジ型レジスト層は、ヘテロ環状化合物を含んでいてもよい。
ヘテロ環状化合物としては、例えば、分子内にエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物、アルコキシメチル基を有するヘテロ環状化合物、含酸素ヘテロ環状化合物(例えば、環状エーテル、及び環状エステル(例えば、ラクトン))、含窒素ヘテロ環状化合物(例えば、環状アミン、及びオキサゾリン)が挙げられる。ヘテロ環状化合物は、d軌道に電子を有する元素(例えば、ケイ素、硫黄、及びリン)を含むヘテロ環状化合物であってもよい。
分子内にエポキシ基を有する化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、及び脂肪族エポキシ樹脂が挙げられる。
分子内にエポキシ基を有する化合物は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、又は脂肪族エポキシ樹脂であることが好ましく、脂肪族エポキシ樹脂であることがより好ましい。
分子内にエポキシ基を有する化合物は、市販品として入手できる。分子内にエポキシ基を有する化合物の市販品としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製のJER828、JER1007、JER157S70、及びJER157S65、並びに特開2011-221494号公報の段落0189に記載された市販品が挙げられる。
上記以外の市販品としては、例えば、株式会社ADEKA製のアデカレジンEP-4000S、EP-4003S、EP-4010S、及びEP-4011S、日本化薬株式会社製のNC-2000、NC-3000、NC-7300、XD-1000、EPPN-501、EPPN-502、ナガセケムテック株式会社製のデナコールEX-611、EX-612、EX-614、EX-614B、EX-622、EX-512、EX-521、EX-411、EX-421、EX-313、EX-314、EX-321、EX-211、EX-212、EX-810、EX-811、EX-850、EX-851、EX-821、EX-830、EX-832、EX-841、EX-911、EX-941、EX-920、EX-931、EX-212L、EX-214L、EX-216L、EX-321L、EX-850L、DLC-201、DLC-203、DLC-204、DLC-205、DLC-206、DLC-301、DLC-402、EX-111,EX-121、EX-141、EX-145、EX-146、EX-147、EX-171、及びEX-192、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製のYH-300、YH-301、YH-302、YH-315、YH-324、及びYH-325、並びに株式会社ダイセル製のセロキサイド2021P、2081、2000、3000、EHPE3150、エポリードGT400、セルビナースB0134、及びB0177が挙げられる。
分子内にオキセタニル基を有する化合物としては、例えば、東亞合成株式会社製のアロンオキセタンOXT-201、OXT-211、OXT-212、OXT-213、OXT-121、OXT-221、OX-SQ、及びPNOXが挙げられる。
また、オキセタニル基を有する化合物は、単独で、又はエポキシ基を有する化合物と共に使用することが好ましい。
上記の中でも、ヘテロ環状化合物は、エッチング耐性及び線幅安定性の観点から、エポキシ基を有する化合物であることが好ましい。
ポジ型レジスト層は、1種単独のヘテロ環状化合物を含んでいてもよく、2種以上のヘテロ環状化合物を含んでいてもよい。
ヘテロ環状化合物の含有量は、密着性、及びエッチング耐性の観点から、ポジ型レジスト層の全質量に対し、0.01質量%~50質量%であることが好ましく、0.1質量%~10質量%であることがより好ましく、1質量%~5質量%であることが特に好ましい。
(アルコキシシラン化合物)
ポジ型レジスト層は、アルコキシシラン化合物を含んでいてもよい。
アルコキシシラン化合物としては、例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリアコキシシラン、γ-グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ-クロロプロピルトリアルコキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、及びビニルトリアルコキシシランが挙げられる。
上記の中でも、アルコキシシラン化合物は、トリアルコキシシラン化合物であることが好ましく、γ-グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、又はγ-メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランであることがより好ましく、γ-グリシドキシプロピルトリアルコキシシランであることがさらに好ましく、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランであることが特に好ましい。
ポジ型レジスト層は、1種単独のアルコキシシラン化合物を含んでいてもよく、2種以上のアルコキシシラン化合物を含んでいてもよい。
アルコキシシラン化合物の含有量は、密着性、及びエッチング耐性の観点から、ポジ型レジスト層の全質量に対し、0.1質量%~50質量%であることが好ましく、0.5質量%~40質量%であることがより好ましく、1.0質量%~30質量%であることが特に好ましい。
(界面活性剤)
ポジ型レジスト層は、膜厚の均一性の観点から、界面活性剤を含むことが好ましい。
界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系(非イオン系)界面活性剤、及び両性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、ノニオン界面活性剤であることが好ましい。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤の市販品としては、例えば、KP(信越化学工業株式会社製)、ポリフロー(共栄社化学株式会社製)、エフトップ(JEMCO社製)、メガファック(登録商標)(DIC株式会社製)、フロラード(住友スリーエム株式会社製)、アサヒガード(登録商標)(AGC株式会社製)、サーフロン(登録商標)(AGCセイミケミカル株式会社製)、PolyFox(OMNOVA社製)、及びSH-8400(東レ・ダウコーニング株式会社製)が挙げられる。
界面活性剤は、下記式I-1で表される構成単位SA及び構成単位SBを含み、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000以上10,000以下である共重合体であることが好ましい。
式(I-1)中、R401及びR403はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R402は炭素数1以上4以下の直鎖アルキレン基を表し、R404は水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、Lは炭素数3以上6以下のアルキレン基を表し、p及びqは重合比を表す質量百分率であり、pは10質量%以上80質量%以下の数値を表し、qは20質量%以上90質量%以下の数値を表し、rは1以上18以下の整数を表し、sは1以上10以下の整数を表し、*は他の構造との結合部位を表す。
Lは、下記式(I-2)で表される分岐アルキレン基であることが好ましい。式(I-2)におけるR405は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、相溶性と被塗布面に対する濡れ性の点で、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、炭素数2又は3のアルキル基がより好ましい。pとqとの和(p+q)は、p+q=100、すなわち、100質量%であることが好ましい。
上記式I-1で表される構成単位SA及び構成単位SBを含む共重合体の重量平均分子量(Mw)は、1,500以上5,000以下であることが好ましい。
界面活性剤として、特許第4502784号公報の段落0017、特開2009-237362号公報の段落0060~段落0071に記載された界面活性剤も用いることができる。
ポジ型レジスト層は、1種単独の界面活性剤を含んでいてもよく、2種以上の界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤の含有量は、ポジ型レジスト層の全質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、0.001質量%~10質量%であることがより好ましく、0.01質量%~3質量%であることが特に好ましい。
可塑剤、増感剤、塩基性化合物、ヘテロ環状化合物、アルコキシシラン化合物、及び界面活性剤は、それぞれ、国際公開第2018/179640号の段落0097~段落0127にも記載されている。これらの内容は参照により本明細書に取り込まれる。
(他の成分)
ポジ型レジスト層は、上記添加剤以外の成分(以下、「他の成分」ともいう。)を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、金属酸化物粒子、酸化防止剤、分散剤、酸増殖剤、現像促進剤、導電性繊維、着色剤、熱ラジカル重合開始剤、熱酸発生剤、紫外線吸収剤、増粘剤、架橋剤、及び、有機又は無機の沈殿防止剤が挙げられる。他の成分の好ましい態様については、特開2014-85643号公報の段落0165~段落0184にそれぞれ記載があり、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
ポジ型レジスト層は、溶剤を含んでいてもよい。例えば、溶剤を含む組成物によりポジ型レジスト層を形成した場合、ポジ型レジスト層中に溶剤が残留することがある。
-溶剤-
溶剤としては、例えば、特開2011-221494号公報の段落0174~段落0178に記載された溶剤、及び国際公開第2018/179640号の段落0092~段落0094にも記載された溶剤が挙げられる。溶剤としては、テトラヒドロフラン等の環状エーテル溶剤を用いてもよい。
ポジ型レジスト層は、1種単独の溶剤を含んでいてもよく、2種以上の溶剤を含んでいてもよい。
溶剤の含有量は、ポジ型レジスト層の全質量に対して、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが特に好ましい。
〔ネガ型レジスト層〕
第一のレジスト層は、得られる第一のレジストパターンの強度、耐熱性、及び耐薬品性の観点から、露光により現像液に対する溶解性が低下するネガ型レジスト層であることが好ましい。ここで、「露光により現像液に対する溶解性が低下する」とは、露光部の現像液に対する溶解性が、非露光部の現像液に対する溶解性に比べて相対的に小さくなることを意味する。
ネガ型レジスト層としては、制限されず、公知のネガ型レジスト層を利用できる。ネガ型レジスト層は、パターン形成性の観点から、酸基を有する重合体、重合性化合物、及び、光重合開始剤を含むことが好ましい。ネガ型レジスト層として、例えば、特開2016-224162号公報に記載された感光性樹脂層を用いてもよい。
以下、ネガ型レジスト層について具体的に説明する。
[酸基を有する重合体]
ネガ型レジスト層は、酸基を有する重合体(以下、「重合体Y」ともいう。)を含むことが好ましい。
酸基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、及びホスホン酸基が挙げられる。酸基は、カルボキシ基であることが好ましい。
重合体Yは、アルカリ現像性の観点から、酸価60mgKOH/g以上のアルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂であることがより好ましい。
酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂としては、例えば、特開2011-95716号公報の段落0025に記載のポリマーのうち酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂、特開2010-237589号公報の段落0033~段落0052に記載のポリマーのうち酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂、及び特開2016-224162号公報の段落0053~段落0068に記載のバインダーポリマーのうち酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂等が挙げられる。ここで、「アクリル樹脂」とは、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の少なくとも一方を含む樹脂を意味する。アクリル樹脂中における(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有量は、アクリル樹脂の全質量に対して、30質量%~100質量%であることが好ましく、50質量%~100質量%であることがより好ましい。
重合体Y中の酸基を有する構成単位の含有量は、重合体Yの全質量に対して、5質量%~50質量%であることが好ましく、10質量%~40質量%であることがより好ましく、12質量%~30質量%であることが特に好ましい。
重合体Yは、反応性基を有していてもよい。反応性基としては、重合可能な基が好ましい。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、重縮合性基(例えば、ヒドロキシ基、及びカルボキシ基)、及び重付加反応性基(例えば、エポキシ基、及びイソシアネート基)が挙げられる。
重合体Yの酸価は、アルカリ現像性の観点から、60mgKOH/g~200mgKOH/gであることが好ましく、100mgKOH/g~200mgKOH/gであることがより好ましく、150mgKOH/g~200mgKOH/gであることが特に好ましい。
重合体Yの重量平均分子量は、1,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、20,000~100,000であることが特に好ましい。
重合体Yは、非酸性のモノマーに由来の構成単位を有していてもよい。非酸性のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルアルコールのエステル化合物、(メタ)アクリロニトリル、及び芳香族ビニル化合物が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
ビニルアルコールのエステル化合物としては、例えば、酢酸ビニルが挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、及びスチレン誘導体が挙げられる。
非酸性のモノマーは、メチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、スチレン誘導体、又はベンジル(メタ)アクリレートであることが好ましい。非酸性のモノマーは、解像性、密着性、エッチング耐性、及び現像における凝集物の低減の観点から、スチレン、スチレン誘導体、又はベンジル(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
ネガ型レジスト層は、1種単独の重合体Yを含んでいてもよく、2種以上の重合体Yを含んでいてもよい。
重合体Yの含有量は、感光性の観点から、ネガ型レジスト層の全質量に対して、10質量%~90質量%であることが好ましく、20質量%~80質量%であることがより好ましく、30質量%~70質量%であることが特に好ましい。
[重合性化合物]
ネガ型レジスト層は、重合性化合物を含むことが好ましい。
重合性化合物としては、制限されず、公知の重合性化合物を利用できる。重合性化合物は、エチレン性不飽和化合物であることが好ましい。エチレン性不飽和化合物は、1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物である。エチレン性不飽和化合物は、ネガ型レジスト層の感光性(すなわち、光硬化性)、及び硬化膜の強度に寄与する。
エチレン性不飽和基は、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
エチレン性不飽和化合物は、(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。
エチレン性不飽和化合物としては、例えば、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート化合物〔例えば、日本化薬株式会社製KAYARAD(登録商標)DPCA-20、及び新中村化学工業株式会社製A-9300-1CL〕、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート化合物〔例えば、日本化薬株式会社製KAYARAD RP-1040、新中村化学工業株式会社製ATM-35E、及びA-9300、並びにダイセル・オルネクス社製EBECRYL(登録商標)135〕、エトキシル化グリセリントリアクリレート〔例えば、新中村化学工業株式会社製A-GLY-9E〕、アロニックス(登録商標)TO-2349(東亞合成株式会社製)、アロニックスM-520(東亞合成株式会社製)、アロニックスM-510(東亞合成株式会社製)、及びウレタン(メタ)アクリレート化合物〔例えば、8UX-015A(大成ファインケミカル株式会社製)、UA-32P(新中村化学工業株式会社製)、及びUA-1100H(新中村化学工業株式会社製)〕が挙げられる。
エチレン性不飽和化合物としては、特開2004-239942号公報の段落0025~段落0030に記載された酸基を有する重合性化合物を用いてもよい。
ネガ型レジスト層は、エチレン性不飽和化合物として、2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を含むことが好ましい。以下、Xつのエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和化合物を、「X官能エチレン性不飽和化合物」ということがある。
2官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A-DCP、新中村化学工業株式会社製)、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(DCP、新中村化学工業株式会社製)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(A-NOD-N、新中村化学工業株式会社製)、及び1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(A-HD-N、新中村化学工業株式会社製)が挙げられる。
2官能エチレン性不飽和化合物として、ビスフェノール構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物も好適に用いられる。
ビスフェノール構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、特開2016-224162号公報の段落0072~段落0080に記載された化合物が挙げられる。また、ビスフェノール構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物としては、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
アルキレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均5モルずつのエチレンオキサイドを付加したエチレングリコールのジメタクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均2モルのエチレンオキサイドを付加したエチレングリコールのジメタクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均5モルのエチレンオキサイドを付加したエチレングリコールのジメタクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均6モルのエチレンオキサイドと平均2モルのプロピレンオキサイドを付加したアルキレングリコールのジメタクリレート、及びビスフェノールAの両端に平均15モルのエチレンオキサイドと平均2モルのプロピレンオキサイドを付加したアルキレングリコールのジメタクリレートが挙げられる。
アルキレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートの具体例としては、2,2-ビス(4-(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、及び2,2-ビス(4-(メタクリロキシエトキシプロポキシ)フェニル)プロパンが挙げられる。
アルキレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、BPE-500(新中村化学工業株式会社製)が挙げられる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸(メタ)アクリレート、及びグリセリントリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、及びヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念である。「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物は、ペンタエリスリトールの水酸基の末端に平均9モルのエチレンオキサイドを付加したテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールの水酸基の末端に平均12モルのエチレンオキサイドを付加したテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールの水酸基の末端に平均15モルのエチレンオキサイドを付加したテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールの水酸基の末端に平均20モルのエチレンオキサイドを付加したテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールの水酸基の末端に平均28モルのエチレンオキサイドを付加したテトラメタクリレート、又はペンタエリスリトールの水酸基の末端に平均35モルのエチレンオキサイドを付加したテトラメタクリレートであることが好ましい。
重合性化合物の分子量は、200~3,000であることが好ましく、280~2,200であることがより好ましく、300~2,200であることが特に好ましい。重合性化合物が分子量分布を有する化合物(例えば、重合体)である場合、重合性化合物の重量平均分子量(Mw)は、200~3,000であることが好ましく、280~2,200であることがより好ましく、300~2,200であることが特に好ましい。
ネガ型レジスト層は、1種単独の重合性化合物を含んでいてもよく、2種以上の重合性化合物を含んでいてもよい。
重合性化合物の含有量は、ネガ型レジスト層の全質量に対し、10質量%~70質量%が好ましく、20質量%~60質量%がより好ましく、20質量%~50質量%が特に好ましい。
[光重合開始剤]
ネガ型レジスト層は、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は、活性光線(例えば、紫外線、及び可視光線)を受けることにより重合性化合物の重合を開始する。
光重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤、及びN-フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤等が挙げられる。光重合開始剤は、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する重合開始剤、及びN-フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
光重合開始剤は、例えば、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種であることも好ましい。なお、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体において、2つの2,4,5-トリアリールイミダゾール構造は、それぞれ、同一であってもよく、異なっていてもよい。
2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体の誘導体の好ましい例としては、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、及び2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体が挙げられる。
光重合開始剤として、例えば、特開2011-95716号公報の段落0031~段落0042、及び特開2015-14783号公報の段落0064~段落0081に記載された重合開始剤を用いてもよい。
光重合開始剤の市販品としては、例えば、1-[4-(フェニルチオ)]-1,2-オクタンジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:IRGACURE(登録商標) OXE-01、BASFジャパン株式会社製)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(O-アセチルオキシム)(商品名:IRGACURE OXE-02、BASFジャパン株式会社製)、IRGACURE(登録商標) OXE-03(BASFジャパン株式会社製)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン(商品名:Omnirad 379EG、IGM Resins B.V.製)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(商品名:Omnirad 907、IGM Resins B.V.製)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン(商品名:Omnirad 127、IGM Resins B.V.製)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1(商品名:Omnirad 369、IGM Resins B.V.製)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(商品名:Omnirad 1173、IGM Resins B.V.製)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:Omnirad 184、IGM Resins B.V.製)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(商品名:Omnirad 651、IGM Resins B.V.製)、2,4,6-トリメチルベンゾリル-ジフェニルフォスフィンオキシド(商品名:Omnirad TPO H、IGM Resins B.V.製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾリル)フェニルフォスフィンオキシド(商品名:Omnirad 819、IGM Resins B.V.製)、オキシムエステル系の光重合開始剤(商品名:Lunar 6、DKSHジャパン株式会社製)、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビスイミダゾール(2-(2-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体)(商品名:B-CIM、Hampford社製)、及び2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体(商品名:BCTB、東京化成工業株式会社製)が挙げられる。
また、光重合開始剤の市販品としては、例えば、株式会社ADEKA製のアデカアークルズNCI-930、アデカアークルズNCI-730、及びアデカアークルズN-1919Tも挙げられる。
ネガ型レジスト層は、1種単独の光重合開始剤を含んでいてもよく、2種以上の光重合開始剤を含んでいてもよい。
光重合開始剤の含有量は、ネガ型レジスト層の全質量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることが特に好ましい。光重合開始剤の含有量は、ネガ型レジスト層の全質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
[他の添加剤]
ネガ型レジスト層は、上記した各成分に加えて、公知の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、重合禁止剤、可塑剤、増感剤、水素供与体、ヘテロ環状化合物、及び紫外線(UV)吸収剤が挙げられる。
(重合禁止剤)
ネガ型レジスト層は、重合禁止剤を含んでいてもよい。
重合禁止剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落0018に記載された熱重合防止剤が挙げられる。重合禁止剤は、フェノチアジン、フェノキサジン、又は4-メトキシフェノールであることが好ましい。
ネガ型レジスト層は、1種単独の重合禁止剤を含んでいてもよく、2種以上の重合禁止剤を含んでいてもよい。
重合禁止剤の含有量は、ネガ型レジスト層の全質量に対して、0.01質量%~3質量%が好ましく、0.01質量%~1質量%がより好ましく、0.01質量%~0.8質量%が特に好ましい。
(可塑剤)
可塑剤としては、例えば、上記ポジ型レジスト層において説明した可塑剤が挙げられ、好ましい実施形態も同様である。
ネガ型レジスト層は、1種単独の可塑剤を含んでいてもよく、2種以上の可塑剤を含んでいてもよい。
可塑剤の含有量は、密着性の観点から、ネガ型レジスト層の全質量に対して、1質量%~50質量%であることが好ましく、2質量%~20質量%であることがより好ましい。
(増感剤)
ネガ型レジスト層は、増感剤を含んでいてもよい。
増感剤としては、例えば、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、クマリン化合物、キサントン化合物、チオキサントン化合物、オキサゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、トリアゾール化合物(例えば、1,2,4-トリアゾール)、スチルベン化合物、トリアジン化合物、チオフェン化合物、ナフタルイミド化合物、トリアリールアミン化合物、及びアミノアクリジン化合物が挙げられる。
増感剤として、染料、又は顔料を用いることができる。染料、又は顔料としては、例えば、フクシン、フタロシアニングリーン、オーラミン塩基、カルコキシドグリーンS,パラマジエンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン(保土ヶ谷化学株式会社製、アイゼン(登録商標) MALACHITE GREEN)、ベイシックブルー20、及びダイアモンドグリーン(保土ヶ谷化学株式会社製、アイゼン(登録商標) DIAMOND GREEN GH)が挙げられる。
染料としては、発色系染料を用いることができる。発色系染料とは、光照射によって発色する機能を有する化合物である。発色系染料としては、例えば、ロイコ染料、及びフルオラン染料が挙げられる。発色系染料は、ロイコ染料であることが好ましい。
ネガ型レジスト層は、1種単独の増感剤を含んでいてもよく、2種以上の増感剤を含んでいてもよい。
増感剤の含有量は、光源に対する感度の向上、重合速度と連鎖移動とのバランスによる硬化速度の向上の観点から、ネガ型レジスト層の全質量に対して、0.01質量%~5質量%の範囲であることが好ましく、0.05質量%~1質量%の範囲であることがより好ましい。
(水素供与体)
ネガ型レジスト層は、水素供与体を含んでいてもよい。水素供与体は、光重合開始剤に水素を与えることができる。
水素供与体としては、例えば、ビス[4-(ジメチルアミノ)フェニル]メタン、ビス[4-(ジエチルアミノ)フェニル]メタン、及びロイコクリスタルバイオレットが挙げられる。
ネガ型レジスト層は、1種単独の水素供与体を含んでいてもよく、2種以上の水素供与体を含んでいてもよい。
水素供与体の含有量は、ネガ型レジスト層の全質量に対して、0.01質量%~10質量%であることが好ましく、0.05質量%~5質量%であることがより好ましく、0.1質量%~2質量%であることが特に好ましい。
(ヘテロ環状化合物)
ヘテロ環状化合物としては、例えば、上記ポジ型レジスト層において説明したヘテロ環状化合物が挙げられ、好ましい実施形態も同様である。
ネガ型レジスト層は、1種単独のヘテロ環状化合物を含んでいてもよく、2種以上のヘテロ環状化合物を含んでいてもよい。
ヘテロ環状化合物の含有量は、密着性、及びエッチング耐性の観点から、ネガ型レジスト層の全質量に対し、0.01質量%~50質量%であることが好ましく、0.1質量%~10質量%であることがより好ましく、1質量%~5質量%であることが特に好ましい。
(紫外線(UV)吸収剤)
ネガ型レジスト層は、UV吸収剤を含むことが好ましい。UV吸収剤は、露光波長に対するネガ型レジスト層の透過率を小さくできる。
UV吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系UV吸収剤、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤、ベンゾエート系UV吸収剤、サリシレート系UV吸収剤、トリアジン系UV吸収剤、シアノアクリルレート系UV吸収剤が挙げられる。UV吸収剤は、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤、及びトリアジン系UV吸収剤からなる群より選択される少なくとも1種のUV吸収剤であることが好ましい。
ベンゾトリアゾール系UV吸収剤としては、例えば、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-[5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノールが挙げられる。ベンゾトリアゾール系UV吸収剤は、上記化合物の混合物、変性物、重合物、又は誘導体であってもよい。
トリアジン系UV吸収剤としては、例えば、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-イソ-オクチルオキシフェニル)-s-トリアジンが挙げられる。トリアジン系UV吸収剤は、上記化合物の混合物、変性物、重合物、又は誘導体であってもよい。
ネガ型レジスト層は、1種単独のUV吸収剤を含んでいてもよく、2種以上のUV吸収剤を含んでいてもよい。
UV吸収剤の含有量は、ネガ型レジスト層の全質量に対して、1.0質量%~40質量%であることが好ましく、3.0質量%~30質量%であることがより好ましく、5.0質量%~20質量%であることが特に好ましい。
(他の成分)
ネガ型レジスト層は、上記添加剤以外の成分(以下、「他の成分」ともいう。)を含んでいてもよい。他の成分としては、金属酸化物粒子、酸化防止剤、分散剤、酸増殖剤、現像促進剤、導電性繊維、着色剤、熱ラジカル重合開始剤、熱酸発生剤、紫外線吸収剤、増粘剤、架橋剤、及び有機又は無機の沈殿防止剤が挙げられる。これらの成分の好ましい態様については特開2014-85643号公報の段落0165~段落0184にそれぞれ記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
-溶剤-
ネガ型レジスト層は、溶剤を含んでいてもよい。例えば、溶剤を含む組成物によりネガ型レジスト層を形成した場合、ネガ型レジスト層中に溶剤が残留することがある。溶剤としては、例えば、上記ポジ型レジスト層において説明した溶剤が挙げられる。
ネガ型レジスト層は、1種単独の溶剤を含んでいてもよく、2種以上の溶剤を含んでいてもよい。
溶剤の含有量は、ネガ型レジスト層の全質量に対して、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが特に好ましい。
ネガ型レジスト層は、重合体Y以外の樹脂を含んでいてもよい。上記樹脂の好ましい例としては、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、及びポリシロキサン樹脂が挙げられる。
[第一のレジスト層の平均厚さ]
第一のレジスト層の平均厚さは、第二のレジスト層の平均厚さより小さいことが好ましい。第一のレジスト層の平均厚さが第二のレジスト層の平均厚さより小さいことで、解像性を向上できる。
第二のレジスト層の平均厚さ(T2)に対する第一のレジスト層の平均厚さ(T1)の比(T1/T2)は、0.01~1であることが好ましく、0.01~0.6であることがより好ましく、0.05~0.6であることがさらに好ましく、0.1~0.5であることが特に好ましい。T1/T2が上記範囲内であることで、解像性及びテンティング性を向上できる。
第一のレジスト層の平均厚さは、8μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、3μm以下であることが特に好ましい。第一のレジスト層の平均厚さが8μm以下であることで、解像性を向上できる。
第一のレジスト層の平均厚さは、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。第一のレジスト層の平均厚さが0.5μm以上であることで、膜厚均一性を向上できる。
第一のレジスト層の平均厚さは、既述した導電層の平均厚さの測定方法に準ずる方法により測定する。
<<第二のレジスト層>>
本開示に係る積層体は、第二のレジスト層を有する。第二のレジスト層としては、露光により現像液に対する溶解性が変化するレジスト層であれば制限されない。露光により現像液に対する溶解性が変化するレジスト層としては、例えば、露光により現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト層、及び露光により現像液に対する溶解性が低下するネガ型レジスト層が挙げられる。
第二のレジスト層は、解像性の観点から、露光により現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト層であることが好ましい。ポジ型レジスト層については、上記「第一のレジスト層」の項目において説明したとおりであり、好ましい実施形態も同様である。
第二のレジスト層は、得られる第二のレジストパターンの強度、耐熱性、及び耐薬品性の観点から、露光により現像液に対する溶解性が低下するネガ型レジスト層であることが好ましい。ネガ型レジスト層については、上記「第一のレジスト層」の項目において説明したとおりであり、好ましい実施形態も同様である。
本開示に係る積層体における第一のレジスト層の種類と第二のレジスト層の種類との好ましい組み合わせとしては、例えば、以下の3つが挙げられる。
(1)第一のレジスト層がネガ型レジスト層であり、第二のレジスト層がネガ型レジスト層である。
(2)第一のレジスト層がポジ型レジスト層であり、第二のレジスト層がネガ型レジスト層である。
(3)第一のレジスト層がポジ型レジスト層であり、第二のレジスト層がポジ型レジスト層である。
[第二のレジスト層の平均厚さ]
第二のレジスト層の平均厚さは、5μm以上であることが好ましく、8μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが特に好ましい。第二のレジスト層の平均厚さが5μm以上であることで、テンティング性を向上できる。
第二のレジスト層の平均厚さは、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、25μm以下であることが特に好ましい。第二のレジスト層の平均厚さが100μm以下であることで、製膜時の乾燥負荷を軽減できる。
第二のレジスト層の平均厚さは、既述した導電層の平均厚さの測定方法に準ずる方法により測定する。
[第二のレジスト層の透過率]
露光波長に対する第二のレジスト層の透過率は、98%以下であることが好ましく、95%以下であることがより好ましく、90%以下であることが特に好ましい。露光波長に対する第二のレジスト層の透過率を小さくすることで、第二のレジスト層を露光する際に第一のレジスト層が感光することを抑制できる。すなわち、第二のレジスト層を露光する工程において、第二のレジスト層を選択的又は優先的に感光できる。
第二のレジスト層の透過率は、分光器(例えば、大塚電子株式会社製のMCPD Series)を用いて測定する。
露光波長に対する第二のレジスト層の透過率の調整方法としては、例えば、既述のUV吸収剤を用いる方法が挙げられる。
本開示に係るレジスト層は、金属成分、残モノマー成分等の不純物を出来る限り含まないことが好ましい。
<<積層体の製造方法>>
本開示に係る積層体の製造方法としては、制限されず、公知の方法を利用できる。例えば、基板上に、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層を形成することで、積層体を製造できる。
レジスト層を形成する方法としては、制限されず、公知の方法を利用できる。レジスト層を形成する方法としては、例えば、塗布法、及び転写材料を用いる方法が挙げられる。
塗布法としては、制限されず、公知の方法を利用できる。塗布方法としては、例えば、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、及びインクジェット塗布が挙げられる。塗布方法は、スリット塗布であることが好ましい。
塗布法においては、例えば、基板上に第一のレジスト層形成用組成物を塗布することによって、第一のレジスト層を形成した後、上記第一のレジスト層上に第二のレジスト層形成用組成物を塗布することによって、第二のレジスト層を形成できる。また、塗布されたレジスト層形成用組成物は、必要に応じて、公知の方法により乾燥してもよい。
レジスト層形成用組成物は、目的とするレジスト層の原材料、及び溶剤を含むことが好ましい。
レジスト層形成用組成物の調製方法としては、例えば、目的とするレジスト層の原材料、及び溶剤を任意の割合で混合する方法が挙げられる。混合方法は、制限されず、公知の方法を利用できる。また、レジスト層形成用組成物は、孔径0.2μmのフィルター等を用いてろ過してもよい。
溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エステル類、ケトン類、アミド類、及びラクトン類が挙げられる。溶剤としては、特開2011-221494号公報の段落0174~段落0178に記載された溶剤、国際公開第2018/179640号の段落0092~段落0094にも記載された溶剤も挙げられ、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
既述の溶剤に、必要に応じて、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナール、ベンジルアルコール、アニソール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、炭酸エチレン、又は炭酸プロピレンを添加してもよい。
また、溶剤としては、沸点130℃以上160℃未満の溶剤、沸点160℃以上の溶剤、又はこれらの混合物であることが好ましい。
沸点130℃以上160℃未満の溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点158℃)、プロピレングリコールメチル-n-ブチルエーテル(沸点155℃)、及びプロピレングリコールメチル-n-プロピルエーテル(沸点131℃)が挙げられる。
沸点160℃以上の溶剤としては、例えば、3-エトキシプロピオン酸エチル(沸点170℃)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(沸点176℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート(沸点160℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(沸点213℃)、3-メトキシブチルエーテルアセテート(沸点171℃)、ジエチレングリコールジエチエルエーテル(沸点189℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、プロピレングリコールジアセテート(沸点190℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点220℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点175℃)、及び1,3-ブチレングリコールジアセテート(沸点232℃)が挙げられる。
レジスト層形成用組成物は、1種単独の溶剤を含んでいてもよく、2種以上の溶剤を含んでいてもよい。レジスト層形成用組成物においては、2種以上の溶剤を併用することが好ましい。2種以上の溶剤を併用する場合、例えば、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類とジアルキルエーテル類との併用、ジアセテート類とジエチレングリコールジアルキルエーテル類との併用、又はエステル類とブチレングリコールアルキルエーテルアセテート類との併用が好ましい。
溶剤の含有量は、レジスト層形成用組成物中の全固形分100質量部に対して、50質量部~1,900質量部であることが好ましく、100質量部~900質量部であることがより好ましい。
転写材料を用いる方法としては、例えば、転写材料を用いて、基板上に、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層を一括転写する方法、及び転写材料を用いて、基板上に、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層を順次転写する方法(すなわち、基板上に第一のレジスト層を転写した後、上記第一のレジスト層上に第二のレジスト層を転写する方法)が挙げられる。転写材料の具体的な実施形態については、後述の「転写材料」の項目において説明する。
転写材料を用いる方法においては、基板と転写材料とを貼り合わせることで、目的とするレジスト層を基板上に転写できる。例えば、基板上に、仮支持体と、第二のレジスト層と、第一のレジスト層と、をこの順で有する転写材料を貼り合わせることで、基板上に第一のレジスト層及び第二のレジスト層を一括転写できる。
基板と転写材料との貼り合わせは、ロール等を用いて、加圧及び加熱しながら行われることが好ましい。
圧力は、制限されず、例えば、線圧1000N/m~10000N/mの範囲で適宜設定できる。温度は、制限されず、例えば、40℃~130℃の範囲で適宜設定できる。温度、及び圧力のうち、少なくともいずれかが上記範囲より低い場合、ラミネート時に巻き込まれ得る空気が、基板とレジスト層の間から十分に押し出されない可能性がある。また、温度が上記範囲よりも高い場合には、熱でレジスト層が分解、又は変質することで好ましくない形態になる可能性がある。圧力が上記範囲よりも高い場合には、レジスト層が変形する可能性がある。
基板と転写材料との貼り合わせにおいては、例えば、ラミネーター、真空ラミネーター、及び、より生産性を高めることができるオートカットラミネーターを用いることができる。また、基板と転写材料との貼り合わせは、基板の材料に応じて、ロールツーロールで行うこともできる。
第一のレジスト層、及び第二のレジスト層を形成する方法は、それぞれ、同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、塗布法、又は転写材料を用いる方法によって、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層を形成してもよい。また、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層のうち、一方のレジスト層を塗布法によって形成し、他方のレジスト層を転写材料を用いて形成してもよい。
上記の中でも、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層を形成する方法は、転写材料を用いて、基板上に、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層を一括転写する方法であることが好ましい。
第一のレジスト層、及び第二のレジスト層を形成する方法については、上記「パターン形成方法」の項目を参照できる。
<転写材料>
本開示に係る転写材料は、仮支持体と、レジスト層と、を有する。以下、本開示に係る転写材料の構成要素について説明する。
<<仮支持体>>
本開示に係る転写材料は、仮支持体を有する。仮支持体は、レジスト層を支持し、剥離可能な支持体である。
仮支持体としては、例えば、ガラス基板、樹脂フィルム、及び紙が挙げられ、仮支持体は、強度、及び可撓性の観点から、樹脂フィルムであることが好ましい。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、及びポリカーボネートフィルムが挙げられる。仮支持体は、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましく、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであることがより好ましい。
仮支持体は、光透過性を有することが好ましい。仮支持体が光透過性を有することで、仮支持体を介して露光を行うことができる。ここで、「光透過性を有する」とは、露光に使用する光の主波長の透過率が50%以上であることを意味する。露光に使用する光の主波長の透過率は、露光感度向上の観点から、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。透過率は、分光器(例えば、大塚電子株式会社製のMCPD Series)を用いて測定する。
仮支持体の平均厚さは、取扱い易さ、及び汎用性の観点から、5μm~200μmであることが好ましく、10μm~150μmであることがより好ましい。仮支持体の平均厚さは、既述した導電層の平均厚さの測定方法に準ずる方法により測定する。
仮支持体の好ましい態様については、例えば、特開2014-85643号公報の段落0017~段落0018に記載があり、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
仮支持体中の直径5μm以上の粒子、及び直径5μm以上の凝集物(以下、粒子及び凝集物を合わせて「粒子等」ともいう。)の総数は、5個/mm2以下であることが好ましく、3個/mm2以下であることがより好ましく、1個/mm2以下であることがさらに好ましい。
直径5μm以上の粒子等の総数が5個/mm2を超える仮支持体を有する転写材料を、例えばプリント配線板の製造に使用すると、エッチング時のオープン不良の発生、又はめっき時のショート不良の発生の一因になり、プリント配線板の製造歩留りが低下する傾向がある。
直径5μm以上の粒子等は、例えば、仮支持体を構成する成分(例えば、ポリマーのゲル状物、原料であるモノマー、製造時に使用される触媒、及び必要に応じて含まれる無機又は有機微粒子)の凝集物、又は滑剤を仮支持体上に塗布した際に発生する滑剤及び接着剤による膨らみに起因して生じる。直径5μm以上の粒子等の総数を5個/mm2以下にする方法としては、例えば、粒径の小さな粒子、又は分散性に優れた粒子を選択的に用いる方法が挙げられる。
仮支持体中の粒子等には、仮支持体の表面から突出している粒子等、及び仮支持体の内部に存在する粒子等の両方が含まれる。また、直径5μm以上の粒子には、直径5μm以上の一次粒子が含まれる。直径5μm未満の一次粒子の凝集物については、凝集物の直径が5μm以上であれば、直径5μm以上の凝集物に含まれる。
直径5μm以上の粒子等の総数は、偏光顕微鏡を用いて測定する。なお、直径5μm以上の一次粒子と直径5μm未満の一次粒子とが凝集して形成される凝集物は、1個として数える。
仮支持体は、単層であってもよく、多層であってもよい。例えば、二軸配向ポリエステルフィルムの一方の面に、微粒子を含有する樹脂層を積層することで、2層構造の仮支持体を得ることができる。上記2層構造の仮支持体にレジスト層を形成する場合、二軸配向ポリエステルフィルムの微粒子を含有する樹脂層とは反対側の面にレジスト層を形成することが好ましい。仮支持体は、3層以上の層を有する多層仮支持体であってもよい(例えば、A層/B層/A層)。多層仮支持体の構成は、制限されないが、滑り性等の観点からは、最外層(上記3層からなる仮支持体の場合は2つのA層)はいずれも微粒子を含有する樹脂層であることが好ましい。
仮支持体のヘーズは、露光感度、及び解像性の観点から、2.0%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましく、0.5%以下であることが特に好ましい。
仮支持体のヘーズの下限は、露光感度、及び解像性の観点から、0%に近いことが好ましい。仮支持体のヘーズの下限は、仮支持体の作製時の巻取り性の観点から、0.01以上であるとが好ましい。
「ヘーズ」とは、曇り度を意味する。仮支持体のヘーズは、JIS K 7105:1981に規定される方法に準拠して、市販の曇り度計(濁度計)を用いて測定された値をいう。市販の曇り度計(濁度計)としては、例えば、NDH-1001DP(日本電色工業株式会社製)が挙げられる。
仮支持体の市販品としては、例えば、微粒子を含有する層を両面に有する3層構造の二軸配向PETフィルム(16FB40、東レ株式会社製)が挙げられる。
<<レジスト層>>
本開示に係る転写材料は、レジスト層を有する。レジスト層は、ポジ型レジスト層であってもよく、ネガ型レジスト層であってもよい。レジスト層としては、例えば、既述の第一のレジスト層、及び第二のレジスト層が挙げられる。
本開示に係る転写材料における第一のレジスト層、及び第二のレジスト層は、それぞれ、上記「積層体」の項目において説明した第一のレジスト層、及び第二のレジスト層と同義であり、好ましい実施形態も同様である。
本開示に係る転写材料は、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層の少なくとも一方を有することが好ましく、第一のレジスト層、及び第二のレジスト層を有することがより好ましい。
本開示に係る転写材料が第一のレジスト層、及び第二のレジスト層を有する場合、本開示に係る転写材料は、仮支持体と、第二のレジスト層と、第一のレジスト層と、をこの順で有することが好ましい。本開示に係る転写材料は、上記構成を備えることで、解像性及びテンティング性に優れるレジストパターンを形成することができる。
本開示に係る転写材料は、仮支持体と、第二のレジスト層と、第一のレジスト層と、をこの順で有し、上記第一のレジスト層は、露光により現像液に対する溶解性が増大するポジ型レジスト層であり、上記第二のレジスト層は、露光により現像液に対する溶解性が低下するネガ型レジスト層であることがより好ましい。本開示に係る転写材料は、上記構成を備えることで、解像性及びテンティング性に優れるレジストパターンを形成することができる。
<<保護フィルム>>
本開示に係る転写材料は、保護フィルムを有することが好ましい。
保護フィルムは、転写材料において仮支持体が配置された側とは反対側の表面に配置されていることが好ましい。例えば、本開示に係る転写材料が仮支持体と第一のレジスト層とをこの順で有する場合、保護フィルムは、第一のレジスト層上に配置されていることが好ましい。本開示に係る転写材料が仮支持体と第二のレジスト層と第一のレジストとをこの順で有する場合、保護フィルムは、第一のレジスト層上に配置されていることが好ましい。
保護フィルムとしては、例えば、樹脂フィルム、及び紙が挙げられる。保護フィルムは、強度、及び可撓性の観点から、樹脂フィルムであることが好ましい。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、及びポリカーボネートフィルムが挙げられる。樹脂フィルムは、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、又はポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
保護フィルムの平均厚さは、制限されず、例えば、1μm~2mmの範囲で適宜設定できる。保護フィルムの平均厚さは、既述した導電層の平均厚さの測定方法に準ずる方法により測定する。
保護フィルムにおいて、第一のレジスト層又は第二のレジスト層と接触する面の表面粗さRaは、0.15μm以下であることが好ましい。
保護フィルムにおいて、第一のレジスト層又は第二のレジスト層と接触する面の表面粗さRmaxは、1.5μm以下であることが好ましい。
保護フィルムにおいて、第一のレジスト層又は第二のレジスト層と接触しない面の表面粗さRaは、0.1μm~0.8μmであることが好ましい。
保護フィルムにおいて、第一のレジスト層又は第二のレジストと接触しない面の表面粗さRmaxは、1μm~5μmであることが好ましい。
保護フィルムの市販品としては、例えば、王子製紙株式会社製アルファンMA-410、及びE-200C、信越フィルム株式会社製のポリプロピレンフィルム、並びに帝人株式会社製のポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、PS-25等のPSシリーズ)が挙げられる。
<<中間層>>
本開示に係る転写材料は、中間層を有していてもよい。中間層は、仮支持体とレジスト層との間に配置されていることが好ましい。例えば、本開示に係る転写材料が第一のレジスト層と第二のレジスト層とを有する場合、中間層は、第一のレジスト層と第二のレジスト層との間に配置されていることが好ましい。
[重合体]
中間層は、重合体を含むことが好ましい。重合体としては、例えば、水溶性又はアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。重合体は、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。ここで、「水溶性又はアルカリ可溶性」とは、水溶性、及びアルカリ可溶性のいずれか一方であってもよく、水溶性かつアルカリ可溶性であってもよいことを意味する。
本開示において、「水溶性」とは、22℃においてpH7.0の水100gへの溶解度が0.1g以上である性質を意味する。
本開示において、「アルカリ可溶性」とは、22℃において炭酸ナトリウムの1質量%水溶液100gへの溶解度が0.1g以上である性質を意味する。
重合体は、22℃におけるpH7.0の水100gへの溶解度が、1g以上であることが好ましく、5g以上であることがより好ましい。
水溶性樹脂としては、例えば、セルロース樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、アクリルアミド樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、ゼラチン、ビニルエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、及びこれらの共重合体が挙げられる。水溶性樹脂は、セルロース樹脂であることが好ましく、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースかなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であることがより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、アルカリ可溶性アクリル樹脂が好ましく、塩を形成してもよい酸基を有するアクリル樹脂がより好ましい。
中間層は、1種単独の重合体を含んでいてもよく、2種以上の重合体を含んでいてもよい。
重合体の含有量は、密着性の観点から、中間層の全質量に対して、20質量%~100質量%であることが好ましく、50質量%~100質量%であることがより好ましい。
[pH感受性色素]
中間層は、露光パターンの確認容易性の観点から、発色時における波長範囲400nm~780nmの極大吸収波長が450nm以上であり、pHにより極大吸収波長が変化するpH感受性色素を含むことが好ましい。ここで、「極大吸収波長が変化する」とは、発色状態にある色素が消色する態様、消色状態にある色素が発色する態様、及び発色状態にある色素が他の色相の発色状態に変化する態様のいずれの態様を指すものであってもよい。
pH感受性色素は、視認性の観点から、光酸発生剤から発生する酸により消色する潜在性色素であることがより好ましい。
pH感受性色素であることの確認は、以下の方法により行う。
色素0.1gを、エタノール及び水の混合溶液(エタノール/水=1/2[質量比])100mLに溶かし、次いで、得られた溶液に0.1mol/L(1N)の塩酸水溶液を加えてpH=1に調整する。得られた溶液を、0.01mol/L(0.01N)の水酸化ナトリウム水溶液を用いて滴定し、発色変化と発色変化が現れた際のpHを確認する。なお、pHは、pHメーター(型番:HM-31、東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて25℃で測定される値である。
極大吸収波長については、大気の雰囲気下で、25℃にて分光光度計:UV3100(株式会社島津製作所製)を用いて、400nm~780nmの範囲で透過スペクトルを測定し、光の強度が極小となる波長(極大吸収波長)を測定するものとする。
露光により消色するpH感受性色素としては、例えば、ロイコ化合物、ジフェニルメタン系色素、オキザジン系色素、キサンテン系色素、イミノナフトキノン系色素、アゾメチン系色素、アントラキノン系色素等が挙げられる。
pH感受性色素は、視認性の観点から、ロイコ化合物であることが好ましい。
ロイコ化合物としては、例えば、トリアリールメタン系(例えばトリフェニルメタン系)、スピロピラン系、フルオラン系、ジフェニルメタン系、ローダミンラクタム系、インドリルフタリド系、ロイコオーラミン系等のロイコ化合物が挙げられる。ロイコ化合物は、トリアリールメタン骨格を有するロイコ化合物(トリアリールメタン系色素)であることが好ましく、トリフェニルメタン系色素であることがより好ましい。
また、ロイコ化合物としては、視認性の観点から、ラクトン環、スルチン環、又はスルトン環を有し、上記ラクトン環、上記スルチン環、若しくは上記スルトン環が開環又は閉環するロイコ化合物であることが好ましく、スルトン環を有し、上記スルトン環が閉環して消色するロイコ化合物であることがより好ましい。
pH感受性色素は、色素の析出による欠陥を防止する目的で、水溶性の化合物であることが好ましい。
また、pH感受性色素は、22℃におけるpH7.0の水100gへの溶解度が、1g以上であることが好ましく、5g以上であることがより好ましい。
中間層は、1種単独のpH感受性色素を含んでいてもよく、2種以上のpH感受性色素を含んでいてもよい。
pH感受性色素の含有量は、視認性の観点から、中間層の全質量に対し、0.01質量%~10質量%であることが好ましく、0.5質量%~5質量%であることがより好ましく、1.0質量%~3.0質量%であることが特に好ましい。
[界面活性剤]
中間層は、厚さの均一性の観点から、界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤としては、例えば、フッ素原子を有する界面活性剤、ケイ素原子を有する界面活性剤、及びフッ素原子とケイ素原子とを有しない界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、レジスト層及び中間層におけるスジの発生抑制、並びに密着性の観点から、フッ素原子を有する界面活性剤であることが好ましく、パーフルオロアルキル基とポリアルキレンオキシ基とを有する界面活性剤であることがより好ましい。
また、界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性(非イオン性)界面活性剤、及び両性界面活性剤のいずれであってもよいが、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
25℃の水100gに対する界面活性剤の溶解度は、界面活性剤の析出抑制の観点から、1g以上であることが好ましい。
中間層は、1種単独の界面活性剤を含んでいてもよく、2種以上の界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤の含有量は、レジスト層及び中間層におけるスジの発生抑制、並びに密着性の観点から、中間層の全質量に対して、0.05質量%~2.0質量%であることが好ましく、0.1質量%~1.0質量%であることがより好ましく、0.2質量%~0.5質量%であることが特に好ましい。
[無機フィラー]
中間層は、無機フィラーを含むことができる。無機フィラーとしては、例えば、シリカ粒子、酸化アルミニウム粒子、及び酸化ジルコニウム粒子が挙げられ、シリカ粒子が好ましい。
無機フィラーの粒径は、透明性の観点から、小さいことが好ましい。無機フィラーの平均粒径は、100nm以下であることがより好ましい。
無機フィラーの市販品としては、例えば、スノーテックス(登録商標、日産化学株式会社製)が挙げられる。
中間層は、1種単独の無機フィラーを含んでいてもよく、2種以上の無機フィラーを含んでいてもよい。
無機フィラーの体積分率(中間層における無機フィラーが占める体積割合)は、中間層とレジスト層との密着性の観点から、中間層の全体積に対し、5%~90%であることが好ましく、10%~80%であることがより好ましく、20%~60%であることが特に好ましい。
[pH調整剤]
中間層は、pH調整剤を含むことができる。中間層がpH調整剤を含むことで、中間層中の色素の発色状態又は消色状態をより安定的に維持することができ、さらに、感光性樹脂層と中間層との密着性がより向上する。
pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、有機アミン、及び有機アンモニウム塩が挙げられる。pH調整剤は、水溶性の観点から、水酸化ナトリウムであることが好ましい。pH調整剤は、レジスト層と中間層との密着性の観点から、有機アンモニウム塩であることが好ましい。
中間層は、1種単独のpH調整剤を含んでいてもよく、2種以上のpH調整剤を含んでいてもよい。
pH調整剤の含有量は、pH安定性の観点から、中間層の全質量に対して、0.1質量%~20質量%であることが好ましく、1質量%~10質量%であることがより好ましい。
[吸光性化合物]
中間層は、波長365nmの光に対して大きなモル吸光係数を有する吸光性化合物を含んでいてもよい。
吸光性化合物のモル吸光係数は、5000(l/[mol・cm])~100000(l/[mol・cm])であることが好ましく、10000(l/[mol・cm])~80000(l/[mol・cm])、又は15000(l/[mol・cm])~50000(l/[mol・cm])であることがより好ましい。モル吸光係数が5000(l/mol・cm)より小さくなる場合、十分な減衰係数(k値)を持つ下層反射防止膜が得られず、十分な反射防止効果が得られない場合がある。
吸光性化合物としては、例えば、紫外線吸収剤が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、サリシレート系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、置換アクリロニトリル系紫外線吸収剤、及びトリアジン系紫外線吸収剤が挙げられる。
サリシレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリシレート、p-オクチルフェニルサリシレート、及びp-t-ブチルフェニルサリシレートが挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、及び2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノンが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-アミル-5’-イソブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-イソブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-イソブチル-5’-プロピルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、及び2-[2’-ヒドロキシ-5’-(1,1,3,3-テトラメチル)フェニル]ベンゾトリアゾールが挙げられる。
置換アクリロニトリル系紫外線吸収剤としては、例えば、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸エチル、及び2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシルが挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のモノ(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物;2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-プロピルオキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-プロピルオキシフェニル)-6-(4-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-ヘキシルオキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のビス(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物;2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[2-ヒドロキシ-4-(3-ブトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]-1,3,5-トリアジン等のトリス(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、株式会社ADEKA社製のアデカスタブLA-24、LA-29、LA-31、LA-31RG、LA-31G、LA-32、LA-36、及びLA-36Gが挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、株式会社ADEKA社製のアデカスタブLA-46、及びLA-F70が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、株式会社ADEKA社製のアデカスタブ1413が挙げられる。
また、吸光性化合物としては、例えば、2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、2-(4-ジブチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3’,4,4’,5’-ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、ウスニックアシッド、フェニルフルオロン、ロゾリックアシッド、1,8,9-トリヒドロキシアントラセン、2-(4-ヒドロキシフェニルアゾ)安息香酸、メチルレッド、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、5,5’-メチレンビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)、3,4-ジアミノベンゾフェノン、クルクミン、及びα-シアノ-4-ヒドロキシシンナミックアシッド、メトキシケイヒ酸オクチル、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸オクチル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクチルトリアゾン、及びパラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシルも挙げられる。
吸光性化合物は、可視領域に吸収のある化合物であってもよい。可視領域に吸収のある化合物としては、例えば、フタロシアニン系化合物、及び黒色顔料が挙げられる。
好ましい吸光性化合物としては、例えば、水又は低級アルコールに可溶な化合物が挙げられる。ここで、「低級アルコール」とは、メタノール、エタノール、1-プロパノール、又は2-プロパノールを指す。水又は低級アルコールに可溶な化合物の市販品としては、例えば、BASF社製のTINUVIN109、171、326、327、328、329、384、400、405、479、900、928、及び1130が挙げられる。
中間層は、1種単独の吸光性化合物を含んでいてもよく、2種以上の吸光性化合物を含んでいてもよい。
吸光性化合物の含有量は、中間層の全質量に対して、0.001質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下であることがより好ましい。
[中間層の平均厚さ]
中間層の平均厚さは、レジスト層と中間層との密着性、及びパターン形成性の観点から、0.3μm~10μmであることが好ましく、0.3μm~5μmであることがより好ましく、0.3μm~2μmであることが特に好ましい。中間層の平均厚さは、既述した導電層の平均厚さの測定方法に準ずる方法により測定する。
中間層は、2層以上の層を有することができる。中間層が2層以上の層を有する場合、各層の平均厚さは上記範囲内であれば制限されない。中間層における2層以上の層のうち、レジスト層に最も近い層の平均厚さは、レジスト層と中間層との密着性、及びパターン形成性の観点から、0.3μm~10μmであることが好ましく、0.3μm~5μmであることがより好ましく、0.3μm~2μmであることが特に好ましい。
[中間層の形成方法]
中間層の製造方法としては、例えば、中間層の形成に用いる成分と、水溶性溶剤と、を含む中間層形成用組成物を用いる方法が挙げられる。例えば、仮支持体上に、中間層形成用組成物を塗布し、次いで乾燥することによって、仮支持体上に中間層を形成できる。
中間層形成用組成物の調製方法としては、例えば、中間層の形成に用いる成分と、水溶性溶剤と、を混合する方法が挙げられる。また、中間層の形成に用いる成分を少なくとも1種ずつ含む複数の溶液を、所定の割合で混合することによって中間層形成用組成物を調整することもできる。中間層形成用組成物は、孔径3.0μmのフィルター等を用いてろ過してもよい。
水溶性溶剤としては、例えば、水、及び炭素数1~6のアルコールが挙げられる。水溶性溶剤は、水を含むことが好ましい。炭素数1~6のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、及びn-ヘキサノールが挙げられる。炭素数1~6のアルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、及びイソプロパノールよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
塗布方法としては、例えば、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、及びインクジェット塗布が挙げられる。
<<その他の層>>
本開示に係る転写材料は、上記以外の層(以下、「その他の層」ともいう。)を有していてもよい。その他の層としては、例えば、コントラストエンハンスメント層、及び熱可塑性樹脂層が挙げられる。
コントラストエンハンスメント層の好ましい態様については、国際公開第2018/179640号の段落0134に記載があり、これらの内容は参照により本明細書に取り込まれる。
熱可塑性樹脂層の好ましい態様については、特開2014-85643号公報の段落0189~段落0193に記載があり、これらの内容は参照により本明細書に取り込まれる。
上記以外の層の好ましい態様については、特開2014-85643号公報の段落0194~段落0196に記載があり、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
<<転写材料の製造方法>>
本開示に係る転写材料の製造方法は、制限されず、公知の方法を利用できる。例えば、仮支持体上に、既述の方法に基づいて各層を形成することで、転写材料を製造できる。本開示に係る転写材料の製造方法の好ましい実施形態として、例えば、以下の4つの方法が挙げられる。
本開示に係る転写材料の製造方法の第1実施形態は、中間層形成用組成物を仮支持体上に塗布することによって、上記仮支持体上に中間層を形成する工程と、第一のレジスト層形成用組成物又は第二のレジスト層形成用組成物を上記中間層上に塗布することによって、上記中間層上に第一のレジスト層又は第二のレジスト層を形成する工程と、を含む。上記第1実施形態によれば、仮支持体と、中間層と、第一のレジスト層又は第二のレジスト層と、をこの順で有する転写材料を製造できる。上記第1実施形態は、第一のレジスト層又は第二のレジスト層の上に保護フィルムを設ける工程をさらに含んでいてもよい。
本開示に係る転写材料の製造方法の第2実施形態は、第一のレジスト層形成用組成物又は第二のレジスト層形成用組成物を仮支持体上に塗布することによって、上記仮支持体上に第一のレジスト層又は第二のレジスト層を形成する工程を含む。上記第2実施形態によれば、仮支持体と、第一のレジスト層又は第二のレジスト層と、を有する転写材料を製造できる。上記第2実施形態は、第一のレジスト層又は第二のレジスト層の上に保護フィルムを設ける工程をさらに含んでいてもよい。
本開示に係る転写材料の製造方法の第3実施形態は、第二のレジスト層形成用組成物を仮支持体上に塗布することによって、上記仮支持体上に第二のレジスト層を形成する工程と、中間層形成用組成物を上記第二のレジスト層上に塗布することによって、上記第二のレジスト層上に中間層を形成する工程と、第一のレジスト層形成用組成物を上記中間層上に塗布することによって、上記中間層上に第一のレジスト層を形成する工程と、を含む。上記第3実施形態によれば、仮支持体と、第二のレジスト層と、中間層と、第一のレジスト層と、をこの順で有する転写材料を製造できる。上記第3実施形態は、第一のレジスト層の上に保護フィルムを設ける工程をさらに含んでいてもよい。
本開示に係る転写材料の製造方法の第4実施形態は、第二のレジスト層形成用組成物を仮支持体上に塗布することによって、上記仮支持体上に第二のレジスト層を形成する工程と、第一のレジスト層形成用組成物を上記第二のレジスト層上に塗布することによって、上記第二のレジスト層上に第一のレジスト層を形成する工程と、を含む。上記第4実施形態によれば、仮支持体と、第二のレジスト層と、第一のレジスト層と、をこの順で有する転写材料を製造できる。上記第4実施形態は、第一のレジスト層又は第二のレジスト層の上に保護フィルムを設ける工程をさらに含んでいてもよい。
本開示に係る転写材料の製造方法においては、複数の組成物を同時に塗布することによって複数の層を形成してもよい。また、本開示に係る転写材料の製造方法においては、塗布された組成物を、必要に応じて、乾燥することによって目的とする層を形成してもよい。
以下、実施例により本開示を詳細に説明する。以下の実施例に示す事項(例えば、材料、使用量、割合、処理内容、及び処理手順)は、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本開示は、以下に示す実施例に制限されない。なお、特に断りのない限り、「部」、及び「%」は質量基準である。
<用語>
次の略号は、それぞれ、以下の化合物を表す。
「AA」:アクリル酸(東京化成工業株式会社製)
「ATHF」:2-テトラヒドロフラニルアクリレート(合成品)
「BzMA」:ベンジルメタクリレート(富士フイルム和光純薬株式会社製)
「CHA」:アクリル酸シクロヘキシル(東京化成工業株式会社製)
「EA」:アクリル酸エチル(東京化成工業株式会社製)
「HEMA」:メタクリル酸ヒドロキシエチル(富士フイルム和光純薬株式会社製)
「MAA」:メタクリル酸(東京化成工業株式会社製)
「MMA」:メタクリル酸メチル(東京化成工業株式会社製)
「PGMEA」:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(昭和電工株式会社製)
「St」:スチレン(富士フイルム和光純薬株式会社製)
「V-601」:2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル(和光純薬工業株式会社製)
「OXE01」:IRGACURE OXE-01(BASF社製)
「OXE02」:IRGACURE OXE-02(BASF社製)
「379EG」:Omnirad 379EG(IGM Resins B.V.製)
「Irg907」:Omnirad 907(IGM Resins B.V.製)
「化合物X1」:下記構造を有する化合物
「EABF」:ジエチルアミノベンゾフェノン(東京化成工業株式会社製)
「DETX」:KAYACURE DETX-S(日本化薬株式会社製)
<ATHFの合成>
3つ口フラスコにアクリル酸(72.1g、1.0mol)、ヘキサン(72.1g)を加え20℃に冷却した。カンファースルホン酸(7.0mg、0.03mmol)、2-ジヒドロフラン(77.9g、1.0mol)を滴下した後に、20℃±2℃で1.5時間撹拌した後、35℃まで昇温して2時間撹拌した。ヌッチェにキョーワード200(ろ過材、水酸化アルミニウム粉末、協和化学工業株式会社製)、キョーワード1000(ろ過材、ハイドロタルサイト系粉末、協和化学工業株式会社製)の順に敷き詰めた後、反応液をろ過することでろ過液を得た。得られたろ過液にヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ、1.2mg)を加えた後、40℃で減圧濃縮することで、アクリル酸テトラヒドロフラン-2-イル(ATHF)140.8gを無色油状物として得た(収率99.0%)。
<重合体A-1の合成>
3つ口フラスコにPGMEA(75.0g)を入れ、窒素雰囲気下において90℃に昇温した。ATHF(40.0g)、AA(2.0g)、EA(20.0g)、MMA(22.0g)、CHA(16.0g)、V-601(4.0g)、及びPGMEA(75.0g)を含む溶液を、90℃±2℃に維持した3つ口フラスコ溶液中に2時間かけて滴下した。滴下終了後,90℃±2℃にて2時間撹拌することで、重合体A-1(固形分濃度40.0質量%)を得た。重合体A-1における各構成単位の含有量を表1に示す。重合体A-1の酸価は、15.6mgKOH/gである。
<ポジ型レジスト層形成用組成物1Aの調製>
下記表2に示す組成に従って秤量した重合体A-1、光酸発生剤B-1、塩基性化合物D-1、及び界面活性剤C-1と、PGMEAと、を混合することによって、固形分濃度10質量%の混合物を得た。孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターを用いて、上記混合物をろ過することによって、ポジ型レジスト層形成用組成物1Aを得た。
<ポジ型レジスト層形成用組成物2Aの調製>
下記表3に示す組成に従って秤量した重合体A-1、光酸発生剤B-1、塩基性化合物D-1、界面活性剤C-1、及び添加剤E-1(9,10-ジブトキシアントラセン)と、PGMEAと、を混合することによって、固形分濃度10質量%の混合物を得た。孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターを用いて、上記混合物をろ過することによって、ポジ型レジスト層形成用組成物2Aを得た。
光酸発生剤B-1は、下記構造を有する化合物(特開2013-47765号公報の段落0227に記載の化合物、段落0227に記載の方法に従って合成した。)である。
界面活性剤C-1は、下記構造を有する化合物である。
塩基性化合物D-1は、下記構造を有する化合物である。
<重合体B-1の合成>
3つ口フラスコにPGMEA(116.5質量部)を入れ、窒素雰囲気下において90℃に昇温した。St(52.0質量部)、MMA(19.0質量部)、MAA(29.0質量部)、V-601(4.0質量部)、及びPGMEA(116.5質量部)を含む溶液を、90℃±2℃に維持した3つ口フラスコ溶液中に2時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃±2℃にて2時間撹拌することで、重合体B-1(固形分濃度30.0質量%)を得た。
<重合体B-2の合成>
モノマーの種類、及び添加量を下記表4の記載に従って変更したこと以外は、重合体B-1と同様の方法によって重合体B-2(固形分濃度30.0質量%)を合成した。表4に記載された各モノマーの量の単位は、質量%である。
<ネガ型レジスト層形成用組成物1Bの調製>
以下の成分を混合することによって、ネガ型レジスト層形成用組成物1Bを調製した。
重合体B-1(固形分濃度30.0質量%):21.87質量部
アロニックスM270(東亞合成株式会社製):0.51質量部
NKエステルBPE-500(新中村化学工業株式会社製):4.85質量部
B-CIM(光ラジカル発生剤(光重合開始剤)、Hampford社製、2-(2-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体):0.89質量部
NBCA(増感剤、10-ブチル-2-クロロアクリドン、黒金化成株式会社製):0.05質量部
N-フェニルカルバモイルメチル-N-カルボキシメチルアニリン(富士フイルム和光純薬株式会社製):0.02質量部
フェノキサジン(富士フイルム和光純薬株式会社製):0.025質量部
1-フェニル-3-ピラゾリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製):0.001質量部
LCV(色素、ロイコクリスタルバイオレット、山田化学工業株式会社製):0.053質量部
VPB-NAPS(色素、ビクトリアピュアブルー-ナフタレンスルホン酸塩、保土谷化学工業株式会社製):0.009質量部
メチルエチルケトン(MEK、三協化学株式会社製):30.87質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、昭和電工株式会社製):33.92質量部
テトラヒドロフラン(THF、三菱ケミカル株式会社製):6.93質量部
<ネガ型レジスト層形成用組成物2B~4Bの調製>
下記表5の記載に従って組成を適宜変更したこと以外は、ネガレジスト層形成用組成物1Bと同様にして、ネガ型レジスト層形成用組成物2B~4Bをそれぞれ調製した。表5における各数値の単位は、質量部である。
<ネガ型レジスト層形成用組成物5Bの調製>
以下の成分を混合することによって、ネガ型レジスト層形成用組成物5Bを調製した。
重合体B-1(固形分濃度30.0質量%):21.87質量部
アロニックスM270(東亞合成株式会社製):0.51質量部
NKエステルBPE-500(新中村化学工業株式会社製):4.85質量部
IRGACURE OXE-01(BASF社製):0.05質量部
フェノキサジン(富士フイルム和光純薬株式会社製):0.01質量部
1-フェニル-3-ピラゾリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製):0.001質量部
LCV(色素、ロイコクリスタルバイオレット、山田化学工業株式会社製):0.053質量部
VPB-NAPS(色素、ビクトリアピュアブルー-ナフタレンスルホン酸塩、保土谷化学工業株式会社製):0.009質量部
メチルエチルケトン(MEK、三協化学株式会社製):30.87質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、昭和電工株式会社製):33.92質量部
テトラヒドロフラン(THF、三菱ケミカル株式会社製):6.93質量部
<銅張積層板1の前処理>
8μm圧延銅箔を積層した銅張積層板1(厚さ0.4mm)を、スプレー圧0.2MPaで研削剤を用いてジェットスクラブ研磨した後、10質量%H2SO4水溶液で洗浄した。以上の手順により、銅張積層板1を準備した。
<銅張積層板2の前処理>
直径7mmの開口部(20個)を有する、18μm圧延銅箔を積層した銅張積層板2(厚さ1.6mm)を、スプレー圧0.2MPaで研削剤を用いてジェットスクラブ研磨した後、10質量%H2SO4水溶液で洗浄した。以上の手順により、銅張積層板2を準備した。
<ポジ型/ネガ型転写材料1の製造>
仮支持体(PETフィルム、平均厚さ16μm、ヘーズ0.12%)上に、スリット状ノズルを用いてネガ型層形成用組成物1Bを均一に塗布し、次いで、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させて溶剤を除去することにより、ネガ型レジスト層(平均厚さ8μm)を形成した。仮支持体のヘーズは、スガ試験機株式会社製ヘイズメーターHZ-2を用い、JIS-K-7136に準拠して測定した。
保護フィルム(ポリプロピレンフィルム、厚さ30μm、王子エフテックス株式会社製E-201F)上に、バーコーターを用いてポジ型レジスト層形成用組成物1Aを均一に塗布し、次いで、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させて溶剤を除去することにより、ポジ型レジスト層(平均厚さ3μm)を形成した。
ネガ型レジスト層、及び仮支持体を有する多層体と、ポジ型レジスト層、及び保護フィルムを有する多層体とを、ラミネーターを用いて23℃で貼り合わせることにより、ポジ型/ネガ型転写材料1を作製した。ポジ型/ネガ型転写材料1は、仮支持体、ネガ型レジスト層(第二のレジスト層)、ポジ型レジスト層(第一のレジスト層)、及び保護フィルムをこの順で有する。
<ポジ型転写材料1の製造>
仮支持体(PETフィルム、平均厚さ30μm、ヘーズ0.19%)上に、スリット状ノズルを用いてポジ型レジスト層形成用組成物1Aを乾燥膜厚が3μm、塗布幅が1mとなるように塗布した。ポジ型レジスト層形成用組成物1Aが塗布された仮支持体を、80℃の乾燥ゾーンを40秒間かけて通過させ、次いで、保護フィルム(ポリエチレンフィルム、トレデガー社製OSM-N)を圧着することにより、ポジ型転写材料1を作製した。ポジ型転写材料1は、仮支持体、ポジ型レジスト層、及び保護フィルムをこの順で有する。
<ポジ型転写材料2~6の製造>
ポジ型レジスト層の厚さを表6の記載に従って適宜変更したこと以外は、上記ポジ型転写材料1と同様の手順により、ポジ型転写材料2~6をそれぞれ作製した。
<ポジ型転写材料7の製造>
ポジ型レジスト層形成用組成物の種類、及びポジ型レジスト層の厚さを表6の記載に従って変更したこと以外は、上記ポジ型転写材料1と同様の手順により、ポジ型転写材料7を作製した。
<ネガ型転写材料1の製造>
仮支持体(PETフィルム、平均厚さ30μm、ヘーズ0.19%)上に、スリット状ノズルを用いてネガ型レジスト層形成用組成物2Bを乾燥膜厚が8μm、塗布幅が1mとなるように塗布した。ネガ型レジスト層形成用組成物2Bが塗布された仮支持体を、80℃の乾燥ゾーンを40秒間かけて通過させ、次いで、保護フィルム(ポリエチレンフィルム、トレデガー社製OSM-N)を圧着することにより、ネガ型転写材料1を作製した。ネガ型転写材料1は、仮支持体、ネガ型レジスト層、及び保護フィルムをこの順で有する。
<ネガ型転写材料2~10の製造>
ネガ型レジスト層形成用組成物の種類、及びネガ型レジスト層の厚さを表6の記載に従って適宜変更したこと以外は、上記ネガ型転写材料1と同様の手順により、ネガ型転写材料2~10をそれぞれ作製した。
<ネガ型転写材料a1~a10の製造>
下記表7の記載に従って組成(色素、光ラジカル発生剤、及び増感剤)を適宜変更したこと以外は、ネガレジスト層形成用組成物1Bと同様にして、ネガ型レジスト層形成用組成物a1~a10をそれぞれ調製した。仮支持体(PETフィルム、平均厚さ30μm、ヘーズ0.19%)上に、スリット状ノズルを用いて表7の記載に従って選択したネガ型レジスト層形成用組成物(a1~a10)を乾燥膜厚が3μm、塗布幅が1mとなるように塗布した。ネガ型レジスト層形成用組成物が塗布された仮支持体を、80℃の乾燥ゾーンを40秒間かけて通過させ、次いで、保護フィルム(ポリエチレンフィルム、トレデガー社製OSM-N)を圧着することにより、ネガ型転写材料a1~a10をそれぞれ作製した。
<ネガ型転写材料b1~b6の製造>
下記表8の記載に従って組成(色素、光ラジカル発生剤、及び増感剤)を適宜変更したこと以外は、ネガレジスト層形成用組成物1Bと同様にして、ネガ型レジスト層形成用組成物b1~b6をそれぞれ調製した。仮支持体(PETフィルム、平均厚さ30μm、ヘーズ0.19%)上に、スリット状ノズルを用いて表8の記載に従って選択したネガ型レジスト層形成用組成物(b1~b6)を乾燥膜厚が12μm、塗布幅が1mとなるように塗布した。ネガ型レジスト層形成用組成物が塗布された仮支持体を、80℃の乾燥ゾーンを40秒間かけて通過させ、次いで、保護フィルム(ポリエチレンフィルム、トレデガー社製OSM-N)を圧着することにより、ネガ型転写材料b1~b6をそれぞれ作製した。
<ネガ型転写材料c1~c3の製造>
仮支持体(PETフィルム、平均厚さ30μm、ヘーズ0.19%)上に、スリット状ノズルを用いて表9の記載に従って選択したネガ型レジスト層形成用組成物(b1~b3)を乾燥膜厚が12μm、塗布幅が1mとなるように塗布した。ネガ型レジスト層形成用組成物(b1、b2、又はb3)が塗布された仮支持体を、80℃の乾燥ゾーンを40秒間かけて通過させ、次いで、スリット状ノズルを用いてネガ型レジスト層形成用組成物a1を乾燥膜厚が3μm、塗布幅が1mとなるように塗布した。ネガ型レジスト層形成用組成物a1が塗布された仮支持体を、80℃の乾燥ゾーンを40秒間かけて通過させ、次いで、保護フィルム(ポリエチレンフィルム、トレデガー社製OSM-N)を圧着することにより、ネガ型転写材料c1~c3をそれぞれ作製した。ネガ型転写材料c1~c3は、それぞれ、仮支持体、ネガ型レジスト層(第二のレジスト層)、ネガ型レジスト層(第一のレジスト層)、及び保護フィルムをこの順で有する。
<実施例1>
[積層体1A(解像性評価用)の製造]
ポジ型/ネガ型転写材料1から保護フィルムを剥離しながら、60℃に予熱した銅張積層板1にポジ型/ネガ型転写材料1をラミネートした。ラミネート条件は、ロール温度120℃、線圧0.8MPa、線速度1.0m/分とした。以上の手順により、銅張積層板1、ポジ型レジスト層(第一のレジスト層)、ネガ型レジスト層(第二のレジスト層)、及び仮支持体をこの順で有する積層体1Aを得た。
[積層体1B(テンティング性評価用)の製造]
銅張積層板1を銅張積層板2に変更したこと以外は、上記積層体1Aと同様の手順により、積層体1Bを製造した。
<実施例2>
[積層体2A(解像性評価用)の製造]
ポジ型転写材料1から保護フィルムを剥離しながら、60℃に予熱した銅張積層板1にポジ型転写材料1をラミネートした。ラミネート条件は、ロール温度120℃、線圧0.8MPa、線速度1.0m/分とした。ラミネート後、ポジ型転写材料1に由来の仮支持体を剥離した。
次に、ネガ型転写材料1から保護フィルムを剥離しながら、60℃に予熱した銅張積層板1にネガ型転写材料1をラミネートした。ラミネート条件は、ロール温度110℃、線圧0.8MPa、線速度1.0m/分とした。
以上の手順により、銅張積層板1、ポジ型レジスト層(第一のレジスト層)、ネガ型レジスト層(第二のレジスト層)、及び仮支持体をこの順で有する積層体2Aを得た。
[積層体2B(テンティング性評価用)の製造]
銅張積層板1を銅張積層板2に変更したこと以外は、上記積層体2Aと同様の手順により、積層体2Bを製造した。
<実施例3>
[積層体3A(解像性評価用)の製造]
銅張積層板1上に、ポジ型レジスト層形成用組成物1Aを乾燥膜厚が3μmとなるようにバー塗布し、次いで、コンベクションオーブンを用いて100℃で2分間乾燥することにより、第一のレジスト層(ポジ型レジスト層)を形成した。
次に、ネガ型転写材料2から保護フィルムを剥離しながら、60℃に予熱した銅張積層板1にネガ型転写材料2をラミネートした。ラミネート条件は、ロール温度110℃、線圧0.8MPa、線速度1.0m/分とした。
以上の手順により、銅張積層板1、ポジ型レジスト層(第一のレジスト層)、ネガ型レジスト層(第二のレジスト層)、及び仮支持体をこの順で有する積層体を得た。
[積層体3B(テンティング性評価用)の製造]
銅張積層板1を銅張積層板2に変更したこと以外は、上記積層体3Aの製造と同様の手順により、積層体3Bを製造した。
<実施例4~12>
[積層体4A~12A(解像性評価用)の製造]
ポジ型転写材料1、及びネガ型転写材料1を表10の記載に従って適宜変更したこと以外は、上記積層体2Aの製造と同様の手順により、積層体4A~12Aをそれぞれ製造した。積層体4A~12Aは、それぞれ、実施例4~12の積層体(解像性評価用)に対応する。
[積層体4B~12B(テンティング性評価用)の製造]
銅張積層板1を銅張積層板2に変更したこと以外は、上記積層体4Aの製造と同様の手順により、積層体4B~12Bをそれぞれ製造した。積層体4B~12Bは、それぞれ、実施例4~12の積層体(テンティング性評価用)に対応する。
<実施例13~25>
[積層体13A~25A(解像性評価用)の製造]
上記積層体2Aの製造において使用したポジ型転写材料1、及びネガ型転写材料1を表11の記載に従って変更したこと以外は、上記積層体2Aの製造と同様の手順により、積層体13A~25Aをそれぞれ製造した。積層体13A~25Aは、それぞれ、実施例13~25の積層体(解像性評価用)に対応する。
[積層体13B~25B(テンティング性評価用)の製造]
銅張積層板1を銅張積層板2に変更したこと以外は、上記積層体13A~25Aの製造と同様の手順により、積層体13B~25Bをそれぞれ製造した。積層体13B~25Bは、それぞれ、実施例13~25の積層体(テンティング性評価用)に対応する。
<実施例26~28>
[積層体26A~28A(解像性評価用)の製造]
表11の記載に従って選択したネガ型転写材料(c1~c3)から保護フィルムを剥離しながら、60℃に予熱した銅張積層板1に上記ネガ型転写材料をラミネートした。ラミネート条件は、ロール温度120℃、線圧0.8MPa、線速度1.0m/分とした。以上の手順により、銅張積層板1、ネガ型レジスト層(第一のレジスト層)、ネガ型レジスト層(第二のレジスト層)、及び仮支持体をこの順で有する積層体26A~28Aをそれぞれ得た。積層体26A~28Aは、それぞれ、実施例26~28の積層体(解像性評価用)に対応する。
[積層体26B~28B(テンティング性評価用)の製造]
銅張積層板1を銅張積層板2に変更したこと以外は、上記積層体26A~28Aの製造と同様の手順により、積層体26B~28Bをそれぞれ製造した。積層体26B~28Bは、それぞれ、実施例26~28の積層体(テンティング性評価用)に対応する。
<比較例1>
[積層体1C(解像性評価用)の製造]
ネガ型転写材料7から保護フィルムを剥離しながら、60℃に予熱した銅張積層板1にネガ型転写材料7をラミネートした。ラミネート条件は、ロール温度110℃、線圧0.8MPa、線速度1.0m/分とした。
以上の手順により、銅張積層板1、ネガ型レジスト層、及び仮支持体をこの順で有する積層体1Cを得た。
[積層体1D(テンティング性評価用)の製造]
銅張積層板1を銅張積層板2に変更したこと以外は、上記積層体1Cの製造と同様の手順により、積層体1Dを製造した。
<比較例2>
[積層体2C(解像性評価用)の製造]
ネガ型転写材料7をネガ型転写材料9に変更したこと以外は、上記積層体1Cの製造と同様の手順により、積層体2Cを製造した。
[積層体2D(テンティング性評価用)の製造]
銅張積層板1を銅張積層板2に変更したこと以外は、上記積層体2Cの製造と同様の手順により、積層体2Dを製造した。
<比較例3>
[積層体3C(解像性評価用)の製造]
ポジ型転写材料1から保護フィルムを剥離しながら、60℃に予熱した銅張積層板1にポジ型転写材料1をラミネートした。ラミネート条件は、ロール温度120℃、線圧0.8MPa、線速度1.0m/分とした。
以上の手順により、銅張積層板1、ポジ型レジスト層、及び仮支持体をこの順で有する積層体3Cを得た。
[積層体3D(テンティング性評価用)の製造]
銅張積層板1を銅張積層板2に変更したこと以外は、上記積層体3Cの製造と同様の手順により、積層体3Dを製造した。
<比較例4>
[積層体4C(解像性評価用)の製造]
ポジ型転写材料1をポジ型転写材料6に変更したこと以外は、上記積層体3Cの製造と同様の手順により、積層体2Cを製造した。
[積層体4D(テンティング性評価用)の製造]
銅張積層板1を銅張積層板2に変更したこと以外は、上記積層体4Cの製造と同様の手順により、積層体4Dを製造した。
<評価>
実施例1~28、及び比較例1~4の各積層体を用いて、以下の方法によって解像性、及びテンティング性を評価した。解像性の評価においては、積層体1A~28A、及び1C~4Cを用いた。テンティング性の評価においては、積層体1B~28B、及び1D~4Dを用いた。
[解像性]
(実施例1~10:積層体1A~10A)
第二のレジストパターンが後に形成される第一のレジストパターンを覆わないようにパターン形状を設計した上で(例えば図1(f)参照)、第二のレジスト層(ネガ型レジスト層)に対して、露光、及び現像を行うことにより、第二のレジストパターンを形成した。露光は、超高圧水銀灯(波長365を含む。以下同じ。)を用いて、仮支持体を介して行った。露光量は、表10の記載に従って調節した。現像は、仮支持体を剥離した後、25℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像で30秒行った。
次に、第二のレジストパターン上に保護フィルムを設けた。保護フィルムを剥離することなく線幅3μm~20μmのラインアンドスペースパターン(Duty比 1:1)を有するマスクを介して、超高圧水銀灯を用いて第一のレジスト層(ポジ型レジスト層)を露光した。露光量は、表10の記載に従って調節した。1時間引き置いた後、保護フィルムを剥離し、次いで、現像することにより、第一のレジストパターンを形成した。現像は、25℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像で30秒行った。
(実施例11:積層体11A)
第二のレジストパターンが後に形成される第一のレジストパターンを覆わないようにパターン形状を設計した上で(例えば図1(f)参照)、第二のレジスト層(ネガ型レジスト層)に対して、超高圧水銀灯(波長365を含む。以下同じ。)を用いて、仮支持体を介して露光を行った。露光量は、表10の記載に従って調節した。次いで、第一のレジスト層(ネガ型レジスト層)に対して、波長400nm以下の波長をカットする光学フィルター(朝日分光株式会社製LU0400)を介して露光を行った。露光量は、表10の記載に従って調節した。次いで、仮支持体を剥離した後、25℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像で30秒行った。
(実施例12:積層体12A)
第二のレジストパターンが後に形成される第一のレジストパターンを覆わないようにパターン形状を設計した上で(例えば図1(f)参照)、第二のレジスト層(ポジ型レジスト層)に対して、超高圧水銀灯(波長365を含む。以下同じ。)を用いて、仮支持体を介して波長400nm以下の波長をカットする光学フィルター(朝日分光株式会社製LU0400)を介して露光を行った。次いで、第一のレジスト層(ポジ型レジスト層)に対して、超高圧水銀灯を用いて、仮支持体を介して露光を行った。なお、第一のレジスト層の露光は、光学フィルターを介さずに行った。露光量は、表10の記載に従って調節した。次いで、仮支持体を剥離した後、25℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像で30秒行った。
(実施例13~16:積層体13A~16A)
第二のレジストパターンが後に形成される第一のレジストパターンを覆わないようにパターン形状を設計した上で(例えば図1(f)参照)、第二のレジスト層(ネガ型レジスト層)に対して、超高圧水銀灯(波長365を含む。以下同じ。)を用いて、仮支持体を介して露光を行った。露光量は、表11の記載に従って調節した。次いで、第一のレジスト層(ネガ型レジスト層)に対して、波長400nm以下の波長をカットする光学フィルター(朝日分光株式会社製LU0400)を介して露光を行った。露光量は、表11の記載に従って調節した。次いで、仮支持体を剥離した後、25℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像で30秒行った。
(実施例17~19:積層体17A~19A)
第二のレジストパターンが後に形成される第一のレジストパターンを覆わないようにパターン形状を設計した上で(例えば図1(f)参照)、第二のレジスト層(ネガ型レジスト層)に対して、超高圧水銀灯(波長365を含む。以下同じ。)を用いて、仮支持体を介して露光を行った。露光量は、表11の記載に従って調節した。次いで、第一のレジスト層(ネガ型レジスト層)に対して、波長365nm以外の波長をカットする光学フィルター(朝日分光株式会社製HBO365)を介して露光を行った。露光量は、表11の記載に従って調節した。次いで、仮支持体を剥離した後、25℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像で30秒行った。
(実施例20~22:積層体20A~22A)
第二のレジストパターンが後に形成される第一のレジストパターンを覆わないようにパターン形状を設計した上で(例えば図1(f)参照)、第二のレジスト層(ネガ型レジスト層)に対して、超高圧水銀灯(波長365を含む。以下同じ。)を用いて、仮支持体を介して露光を行った。露光量は、表11の記載に従って調節した。次いで、第一のレジスト層(ネガ型レジスト層)に対して、波長400nm以下の波長をカットする光学フィルター(朝日分光株式会社製LU0400)を介して露光を行った。露光量は、表11の記載に従って調節した。次いで、仮支持体を剥離した後、25℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像で30秒行った。
(実施例23~25:積層体23A~25A)
第二のレジストパターンが後に形成される第一のレジストパターンを覆わないようにパターン形状を設計した上で(例えば図1(f)参照)、第二のレジスト層(ネガ型レジスト層)に対して、超高圧水銀灯(波長365を含む。以下同じ。)を用いて、仮支持体を介して露光を行った。露光量は、表11の記載に従って調節した。次いで、第一のレジスト層(ネガ型レジスト層)に対して、波長365nm以外の波長をカットする光学フィルター(朝日分光株式会社製HBO365)を介して露光を行った。露光量は、表11の記載に従って調節した。次いで、仮支持体を剥離した後、25℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像で30秒行った。
(実施例26~28:積層体13A~25A)
第二のレジストパターンが後に形成される第一のレジストパターンを覆わないようにパターン形状を設計した上で(例えば図1(f)参照)、第二のレジスト層(ネガ型レジスト層)に対して、超高圧水銀灯(波長365を含む。以下同じ。)を用いて、仮支持体を介して露光を行った。露光量は、表11の記載に従って調節した。次いで、第一のレジスト層(ネガ型レジスト層)に対して、波長400nm以下の波長をカットする光学フィルター(朝日分光株式会社製LU0400)を介して露光を行った。露光量は、表11の記載に従って調節した。次いで、仮支持体を剥離した後、25℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像で30秒行った。
(比較例1~4:積層体1C~4C)
ポジ型レジスト層、又はネガ型レジスト層に対して、線幅3μm~20μmのラインアンドスペースパターン(Duty比 1:1)を有するマスクを介して、超高圧水銀灯を用いて露光した。露光は、仮支持体を介して行った。露光量は、表10の記載に従って調節した。1時間引き置いた後、仮支持体を剥離し、次いで、現像することにより、レジストパターンを形成した。現像は、25℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像で30秒行った。
(評価基準)
形成されたレジストパターンのうち、最も高解像度であったパターンの線幅を到達解像度とした。到達解像度に基づき、以下の基準に従って解像性を評価した。なお、パターンの側壁部に大きな荒れが生じている場合、又は裾引きが顕著に生じている場合は、解像できていないとした。
A:6μm未満
B:10μm未満、6μm以上
C:15μm未満、10μm以上
D:15μm以上、又は解像できていない
[テンティング性]
(実施例1~11:積層体1B~11B、及び比較例1~2:積層体1D~2D)
第二のレジスト層(ネガ型レジスト層)の全面に対して、超高圧水銀灯を用いて露光を行った。次に、25℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像を30秒行った。
(実施例12:積層体12B)
第二のレジスト層(ポジ型レジスト層)の全面に対して、25℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像を30秒行った。
(実施例13~28:積層体13B~28B)
第二のレジスト層(ネガ型レジスト層)の全面に対して、超高圧水銀灯を用いて露光を行った。次に、25℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像を30秒行った。
(比較例3~4:積層体3D~4D)
25℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像を30秒行った。
(評価基準)
上記シャワー現像後の各積層体について、レジスト層又はその硬化膜が破れることにより生じた穴(以下、「テント穴」という。)を計測した。テント穴の数を銅張積層板に設けられた開口部の数で除することによって、破れ率を算出した。破れ率に基づき、以下の基準に従ってテンティング性を評価した。
A:20%未満
B:20%以上、40%未満
C:40%以上、60%未満
D:60%以上
表10、及び表11より、実施例1~28は、比較例1~4に比べて、解像性及びテンティング性に優れることがわかった。